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奥田麻里子-02 [F組三国志-02]

 キンコンカンコ~ン♪  キンコンカンコ~ン♪

 ふ~、やっとお昼か、おなかすいた~。
 おべんと、おべんとうれしいなっと。

「あやか~、早く~、先に食べちゃうわよ。」
「あ~ん、待ってよ~。」

「では。」
「いっただっきま~す。」

「麻里子、昨日省吾さんちへ行ったのでしょ、どうだった?」
「ふふ、それが美咲ったらね…。」

 昨日のことを話し始めたら、昼休みだけで済む訳がないのよね~。
 なんか楽しかったな。
 ふふ、でも、ちゃんとやるべきことやんなきゃね。

「でさ、我らが省吾さんからの提案でね…。」

 あれっ、黒川淳一…。 
 私に用かしら?

「ねえ、奥田さん。」
「なに?」
「テスト団体戦のことだけどさ。」
「あっ、そうか、哲平に聞いたんだ。
 こっちも今から説明を始めるとこよ。」
「俺、奥田さんのグループに入れてくれない?」
「哲平のグループじゃないの?」
「うん、まあ仲は良いのだけど、今回はゲーム感覚だから、林、林徹がね、俺たちが分かれて勝負した方が面白いと言い出してさ。」
「うん。」
「で、ジャンケンして勝ったから、俺が奥田さんのグループを選んだのだけど、どうかな?」
「ふふ、そっか…、ジャンケンで勝って選んでくれた人を追い返せないわね。
 おっけいよ、っていうより、よろしくね。」
「ああ、じゃあまた。」
「うん。」

「麻里子、どういうことなの?」
「省吾さんからの提案はね…。」

「そっか、それで、黒川くんが麻里子のグループに入ったってことは私も…。」
「そうね、由香とあやかと別グループというのはさみしいけど、省吾さんの考えからすれば、私らも分かれた方がベターよね。」
「由香はどっちのグループへ行きたい?」
「そうね、林くんって結構面白そうじゃない?」
「じゃあ、私は哲平くんのところにするね。」
「あらっ、あやか、哲平のところであまり嬉しそうじゃないのね。」
「だってさ、哲平くん、遠足以来、静さんと随分親しそうでしょ。」
「う~ん、そうかも。」
「静さん無口な人だけど、あの二人何話してるのかしら?」
「そうよね…。」

 ふふ、お二人さんは遠足のまとめ資料作成の打ち合わせとかでね…。
 でも、雰囲気悪くなかったな、あの二人。

「麻里子。」
「あら美咲、お昼のデートは終わったの?」
「うん、それでね、鈴木くんも了承してくれたから、みんなに発表するね。」
「了解。」
「でね、リーダーが承認した人から、ここに名前を書いて貰うようにしといたから。」
「なるほど、あっ、もう書いてある、私のところは、平岩周と黒川淳一、まずは男子二人ね。」
「あれっ? 美咲、これって十三人が最高ってこと?」
「ええ、四十人マイナスニ人、割る三で、アンバランスになり過ぎない様に上限を決めたの。
 更に黒川くんと林くんがチームのバランスを考えて動いてくれるわよ。」
「ホント、助かるわ、私のチームだけ人数が少なかったらどうしようかと思っててさ。」
「プリントを配った後で、後ろに張るから確認してね。」
「うん。」

 と、いうことはすぐプリントを配るのね。
 ほんとに準備が早いのよね~、あの二人。
 たぶんお昼のデートはプリントの準備だったのだろうな。
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奥田麻里子-01 [F組三国志-02]

「なあ省吾、そろそろ次の企画のこと話して良いんじゃないか。」
「そうだな、麻里子にも頼みたいことあるし。」
「えっ?」
「ちょっとしたお遊びだけどさ。」
「うん。」
「数学の小テストや定期テストで、団体戦を考えていてね。」
「テストの団体戦?」
「ああ、うちは進学校だからテストは避けて通れないだろ。
 で、どうせテストを受けるのならゲーム感覚にした方が楽しいと思わないか?
 テストは基本個人戦だけど、グループで協力したり競ったりしてさ。」
「う~ん、でもどうやって?」
「俺的には三つのグループって考えてるのだけど、無理なら二つのグループでね。
 簡単な方法なら全員の平均点で勝負。
 複雑なルールの案も有るけど一回目はシンプルな方が良いと思ってる。」
「なるほど、それで、勝ったら?」
「そのあたりはバツゲームとかみんなで考えたら楽しいと思う、夏休み前にみんなで集まって遊ぶ機会があっても良いだろ。」
「悪くはないわね、で、私は?」
「グループのリーダーをお願いできないかな。
 最初は哲平と美咲って考えていたのだけど、美咲と俺はゲームの運営的な立場になってみんなをサポートして行きたいと思ってさ。
 グループに関係なく学習の手助けをするって立場かな。
 哲平と麻里子は数学の力とか近いから、良きライバルになれると思うんだ。」
「具体的には何をすれば良いの?」
「一回目は、とにかくみんながんばろっ! ってだけで良いよ。
 二回目以降は一回目の経験を踏まえてより楽しく、より効果的にして行きたいけどね。」
「それぐらいならやっても良いわよ、でもリーダーとして哲平のライバルってのはちょっと荷が重いわね。」
「多少の根回しはするから…、あまりにもアンバランスになりそうだったら、美咲もグループにって選択肢を用意している、でも麻里子はもっと自信を持って良いよ、将来の編集長さん。」
「ありがとう、がんばってみるわ。」
「問題は…。」
「美咲、なに?」
「遠足に続いてまたしてもグループ分けの問題があるのよね。
 省吾の言う、三つの方が面白いと思うし。」
「う~んと…、それなら鈴木正信、彼をリーダーにってどうかしら?」
「麻里子、彼のこと詳しいの?」
「うん、席、近いから話すことがあってね、真面目で成績も良さそう、今は目だってないけど中学生の頃は生徒会長をやっていたそうよ。」
「へ~、それは知らなかった、明日にでも声を掛けてみるよ、な、哲平?」
「おう。」
「それからね、今日、学習の時間に、覚えるときのポイントはねって、話したろ。
 それは教える時のポイントでもある。
 そして、教えることは自分の学習したことの再確認にもなるんだ。」
「省吾、なんか色々企んでいそうね。」
「いや、企みなんて、美咲と俺をボートに乗せようなんてことに比べたら可愛いものだよ。」
「ははは、根に持ってる。」
「まあ、俺たちの結婚式にはみんな呼んでやるからな。」
「そこまで開き直ったか。」
「可愛い企みとしてはね、F組がいじめのない楽しくまとまりのあるクラスになって、且つ学力面でも他のクラスを寄せ付けず、スポーツ大会で優勝してだな…。」
「欲張りすぎ~、ぜんぜん可愛くないわ。」
「ははは、でも俺は省吾の考えに乗ったんだ。」
「美咲には聞くまでもないわね。
 でも、三つに分けて、まとまりのあるクラスになるのかしら。」
「グループ同士が協力しあっても良いし、そんな雰囲気を作って行けると思う。
 だって、哲平と麻里子はもう友達だろ、知らない内に団結してたし。」
「ふふ、確かに。」
「鈴木と調整出来たら、すぐにでもみんなに話してグループを作って貰おうかな。
 もちろん自由参加だけど十人程度で三グループって規模にはしたいね。」
「遠足の余韻が有るから、流れは良いと思うわ。」
「そうだな、平岩は、どう?」
「うん、参加したい、奥田さんのグループに入れてくれるかな。」
「おっ、麻里子、一人ゲットじゃん。」
「私は哲平さんのグループが良いです。」
「哲平は、静さんゲットね。」

 なんか楽しくなりそうだけど、平岩が私のグループか…、う~ん微妙だなぁ~。
 岡崎とかをいじめてたのよね。
 岡崎…、彼も私のグループに来そうじゃない?
 あ~、やばいかも…。
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平岩周-05 [F組三国志-02]

 う~ん、あまりうまい文とは思えないけど何とか書けた。
 え~っと奥田に見て貰えば良いんだよな…。

「奥田さん、一応書けたけど、どうかな?」
「う~ん、どれどれ…。」
「まあこれだけ書けてれば良いわよ。
 後は、私の方で手を加えるから、それを確認してね。」
「うん、じゃあ後は、俺に手伝えることとか有るのかな?」
「そうね…、作業のメインは私が文章の整理編集、静さんが絵とDTP作業って感じで、もう大分進んでいるから…。」
「大変そうだな。」
「はは、私は将来編集の仕事とかやりたいと思ってるし、静さんもDTP作業とか好きって言ってたからね。」
「ふ~ん、それにしてもみんな手際良さそう、一緒に作業することに慣れているんだね。」
「みんなで作業するのは今日が初めてよ。」
「えっ?」
「みんなの頭の中には完成したものが大体出来てるの。
 それに向けて、各自それぞれの分担をきちんとこなしてるってとこね。」
「へ~。」
「今日の作業予定分はもうすぐ終わると思うわ。
 後は、残りの文を私が整理して、静さんに渡せば数日で形になる。
 それをみんなで見直して完成。」
「なんかなあ~。」
「どうしたの?」
「俺なんか、高校へ入ってから惰性でさ、特にやりたいこともなくて。」
「ふふ、今からでもぜんぜん遅くないと思うわよ。」
「うん。」
「省吾たちも終わったみたいね。」

「麻里子、そっちはどう? 区切りついた?」
「ええ、哲平たちは?」
「今日の予定分は済んだってさ。」
「じゃあ片付けるわね。」
「ああ、簡単で良いよ、どこへ戻せば良いか分からないのも多いだろ。」
「ごめんね、皆で押しかけて。」
「気にしなくて良いよ、美咲はお茶の用意に行ってるから。」
「了解、手伝いに行くわ。」
「なんか、息が合ってるね。」
「はは、出来たばかりのチームだけど、一緒にいて楽しいもの。」

 なんか自分がすごく子どもに思えてきた。
 同い年なのに全然違う。
 彼女達は充実した時間を過ごしているのだろう。
 高校に合格する為、結構頑張って来たのに、今の俺って…。

「みんなお疲れ様。」
「結構順調に進んでるわね。」
「うん、麻里子と静さんのおかげだ、有難うね。」
「どういたしまして。
 でも、私はともかく静さんのテクニックはすごいわよね。」
「ああ、俺も理屈では分かってるつもりだけど全体のバランスとかね。
 絵と文のバランスが良いよな、さすがだね静さん。」
「あらっ、全体の配置は哲平さんにおまかせしてますけど。」
「えっ、哲平ってそういう感性を持ってたの。」
「はは、ラグビーボールを追っかけるだげの男じゃないぜ。」
「人は見かけによらないなぁ~。」
「ははは。」
「なあ省吾、そろそろ次の企画のこと話して良いんじゃないか。」
「そうだな、麻里子にも頼みたいことあるし。」
「えっ?」

 遠足で忙しかったろうに、もう次の企画か。
 すごいな…。
 俺も少しは…、真面目にやってみようかな…。
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平岩周-04 [F組三国志-02]

 カレー、うまかった~。
 秋山も、真面目で綺麗なだけでなくかわいい所あるよな。
 赤澤も冷静沈着な男かと思っていたらあせりまくってた。

「ごちそうさまでした。」
「おいしかったし楽しかった、ははは。」
「はははって、麻里子ったら、もう~。
 静ちゃんは、私の味方よね。」
「もちろんです、それで、お式は何時なのですか?」
「おっと、静さんの口からも!」
「ははは。」
「も~う、開き直ってやる。
 ねえ、省吾、結婚式は何時にする?」
「そうだな、洗い物でもしながら考えるか?」
「うん、じゃあ麻里子と静ちゃんでお茶、お願いね。」
「皿は運ぶから。」
「おっけ~、後は任せといて、省吾。」
「あっ、美咲が開き直った。」
「省吾が冷静になった。」
「でも静さんが冗談言うなんて思ってもみなかったわ。」
「だよな。」
「えっ、私は冗談なんて言ってませんよ。」
「まじだったんだ~。」

 ほんとにあの二人、結婚までいっちゃいそうな感じだよな。
 まだ、高一だぞ。
 でも、うらやましいか。
 森のパシリやってて、まともな女子との出会いなんて有るのか…?
 おっと午後は遠足のまとめだったな…。
 勉強教えてもらってカレーごちそうになって、ずいぶん楽しませて貰って、こりゃ真面目にやるしかない、と、言っても大した遠足ではなかった。
 まあ高木のことには少し詳しくなったが。
 高校って担任との接点多くないから、そんなネタでも話すかな。
 ゲーセンに行こうとしてたことも…。
 何か今日のメンバーには色々聞いて欲しいと思う。
 色々話したら、俺も仲間に…、なれるのかな…。
 おっと片付けが済んだみたいだ。

「じゃあ遠足のまとめ作業を始めるわね。
 今日は平岩くんも来てくれているから、もう一度基本から確認しておくわよ。
 まず、午前中のお気楽企画だけど、楽しいクラスにしたいという私の願いを省吾が叶えてくれたと思っています。
 ちょっとしたアイディアだけど、動物園の中で他のグループとの出会いが有るなんて新鮮で楽しかったもの。
 アンケートでもみんな高く評価してくれて、さすが私の省吾ってとこね。」

 あっ、秋山さん完全に開き直ってる。
 誰も突っ込めなくなってるし…。
 そうか、俺たちが参加しなかった企画は…、俺たちが勝手に仲間はずれになってたってことか…。

「平岩くん、高一、その五月の遠足で、こういった企画をすることの意義を、後輩たちにも伝えたい。
 ならば、きちんとした記録として残しておこうってことになったの。
 で声をかけて手伝って貰うことになったのが、静ちゃんと麻里子でね。」
「なんとなく分かったよ。」
「でも、全員が参加した訳でもないから、そのあたりを平岩くんに教えて欲しくてさ。」
「うん、俺もみんなに色々話したいと思う。」
「じゃあよろしくね。
 それと、お真面目企画『発見、気付いたこと』の方も、自由参加だったのにもかかわらず、沢山の発見が寄せられています。
 今からは、まず、ここまで各自が進めて来た作業の確認から。
 あっ、平岩くん何?」
「秋山さん、俺、自分の考え、やっぱり自分で書くよ。
 出来ればパソコンとか使わせて貰えると助かるのだけどどうかな?」
「その方が全体の作業がはかどるわね、省吾、どう?」
「じゃあパソコンは俺のノート使ってよ、で、文章の編集とかは麻里子の担当だから、ある程度書けたら彼女に見せてくれるかな。」
「うん、分かった。」
「じゃあ始めよっか。」

 作文ってあんまし得意じゃないけど、みんなの足を引っ張らないようにしなきゃな。
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平岩周-03 [F組三国志-02]

 あっ、もう十二時か、集中してたら、あっ、という間だった。
 分かって来ると数学も面白いもんだ。
 なんか入学してからの分を一気にやった気がするけど、省吾も親父さんも教えるのうまいな。
 数学の先生なんて何言ってるのかさっぱり解かんないのに。

「みんなお疲れ、今日の学習時間はここまでだよ。」
「有難う御座いました。」
「お父さまも、有難う御座いました。」
「どういたしまして、でも、さすがだな、省吾。」
「でしょ。」
「どういうことです?」
「中学の時も勉強会をやったことが有ってね。」
「そっか。」
「その時も学校の成績関係なくだったのだけど、さすがにピンキリでさ。」
「今日のメンバーは教え易かったね、みんな優秀だよ。」
「へへ、数学の小テストに苦しめられていたのですけどね。」
「ははは。」
「それにしても、省吾さんもお父さまも教えるのが上手くてすごいです。
 学校の数学の先生なんて…。」
「有難う、まあ、私は教えることのプロだからね。
 省吾にも小さい頃から教える時のポイントとか仕込んできたし。」
「なるほど。」
「さ、じゃあ昼飯にしようぜ。」
「ご飯は何?」
「まあ無難にカレーにしといたけど、どうかな?
 辛いのが良いとか、甘いのがってリクエストがあれば調整出来るからね。」
「私、手伝うわ。」
「私も。」

 あっ、女の子、みんな連れて行っちゃった。
 省吾、独り占めかよ…。

「で、あの美咲って子が省吾の彼女なのかい?」
「あっ、分かりましたか?」
「君たち気を使い過ぎてないか?」
「え? 特には…。」
「省吾が美咲さんに説明してる時だけは、誰も省吾に声を掛けないで、私の所だったろ。」
「はは、勉強に夢中で、他の連中の行動まで見てませんでした。」
「で、どうなんだい?」
「俺は応援してます。
 省吾、省吾くんにはすごく感謝してるのです。
 数学を教えて貰ってるだけではなくて、学校が楽しくなりました。
 そのきっかけをくれたのが美咲だったのです。
 まあ、それを利用して省吾が上手くやったという事なのですけどね。」
「ははは、そうかそうか、哲平くんの話しは省吾からもよく聞くよ。
 さっぱりしたスポーツマンで、一緒にいると安心するって。」
「はは、照れます。」

「は~い、お待たせ~。」
「おっ、うまそうなにおいだ。」
「沢山食べてな。」

「みんなオッケー?」
「あっ、それは静ちゃんの激辛だから危険よ。」
「えっ?」
「こっちが平岩くんの普通の辛口、はいどうぞ。」
「あ、有難う。」
「あっ、スプーンが足りなかった。」
「省吾、私、取ってくるわ。」
「おお、頼む。」
「あのさ、省吾…、ふふ、なんでもないわよ。」
「なんだよ、麻里子。」
「麻里子、隠さなくても、もうお父上にばれてるよ。」
「はは、な~んだ、哲平がばらしちゃったの?」
「え~!」
「いやいや皆さんの様子を見ていたらね。
 省吾、いい友達を持ったな。」
「それは否定しないけど…。」

「はいスプーンないの誰?」
「美咲、お父さまよ。」
「はい、お父さま、どうぞ。」
「美咲、お母さまにはご挨拶したの?」
「えっ?」
「美咲さん、省吾の母です、改めてよろしくね。」
「は、はい、よろしくお願いします、お母さま。」
「母さんまで悪のりしすぎだよ~!」
「で、お式は何時?」
「えっ? お式…? あ~、やっだ~! はずかし~、お父さま、お母さまなんて、ご、ごめんなさい失礼しました。」
「ははは、気付くの遅すぎ。」
「私は構わんがね。」
「私もよ、息子の嫁にはもったいないかしら。」
「ははは。」

 ははは、楽し~、でも、うらやましくもあるな。
 良い友達か。
 俺の友達…。
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平岩周-02 [F組三国志-02]

 えっと地下鉄覚王山駅の、一番出入口を上がった所だから…。
 あっ、笑い声が聞こえる。
 みんな来てるのかな…。

「平岩くん、おはよう。」
「ああ、おはよ。」
「おはよう、これでみんな揃ったな。」
「じゃあ、行く?」
「うん、あっ、静さん、荷物多いのね。」
「お、俺が持つよ。」
「大丈夫です。」
「へ~、平岩くんって紳士なんだ。」
「い、いや、そんなんじゃないけど、今日は仲間に入れて貰ったって感じだからさ。」
「それなら、静、持たせてやれよ。」
「はい、哲平さん。」
「省吾の家までは遠いの?」
「日泰寺の裏を下りたとこ、少し有るけど、みんなで歩くのも悪くないだろ。」
「風が気持ち良いものね。」
「そうそう、遠足の写真持って来たわよ。」
「麻里子、見せて見せて。」
「おいおい、歩きながら見ててこけるなよ。」
「大丈夫よね~、そんな時は省吾さんが支えてくれるもの。
 ほら美咲、これなんかどう?」
「あ~、ボートの時の! やっだ~!」
「お似合いよね~。」
「しかし、まいったよな、哲平たちがあんな企みをしていたとは。」
「麻里子は信じてたのに…。」
「楽しい青春の一ページということで、クラスが盛り上がったでしょ。」
「ははは。」
「も、もし省吾と別れることになったら一生恨んでやるからね。」
「お~こわ。」
「たかが都市伝説じゃない。」
「されど都市伝説よ。」
「でもさ、由香って美咲とは付き合い長いじゃない。
 その彼女が二人は簡単には別れないって断言してたわよ。」
「その根拠は?」
「二人の性格とか、占いもほどほどに良いんだって。」
「なんだ、すごく相性ピッタシとかじゃないのか。」
「良過ぎるのって結構だめらしいわよ。」
「ふ~ん。」
「ねえ、静さんはどうなの?」
「どうって?」
「好きな人とかさ。」
「えっと…。」
「そうか、うふふ、いるんだ、って意外と分かり易い人なのね。」
「麻里子、静ちゃんをいじめちゃだめよ。」

 はは、奥田麻里子ってほんとに元気で、かわいい…。
 森たちとつるんでるより、うんと楽しい。
 おっ、あっという間に到着か…。

「え~、遠路はるばるお越しくださいまして、まことに有難うございます。」
「へ~、立派な家ね。」
「ただいま~、皆を連れてきたよ~。」
「はいはい、みなさんようこそ、今日はゆっくりしていって下さいね。」
「おじゃましま~す。」

 綺麗で広い部屋、うちとは大違いだ。
 親父さんも一緒なのか…。

「まずは勉強会の流れを説明しておくね。
 最初に今後の数学小テストの流れとポイント。
 中学で学習したことにプラスされて、高校の数学がある訳だけど、中学で学習した筈のところが、先生の説明では中学と微妙に表現が違っていたりして、全く違うことのように感じてる人が少なくないみたいなんだ。
 だから、まずは、そのあたりを説明させて貰うね。
 その後は個別学習、で特に質問とかあったら答えていくけど、今日は親父も同じ部屋で仕事してるから、俺が手一杯だったら親父に聞いてくれても構わないよ。
 親父からは何かある?」
「そうだな、今日は息子の先生ぶりを見せて貰う、ってとこなんだけど、私でも高校一年生の数学なら大丈夫、だから気軽にね。」
「じゃあまずは…。」

 へ~、うちの親父とはずいぶん違うな、やっぱ大学教授ってことか。
 折角だから真面目にやるかな。
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平岩周-01 [F組三国志-02]

 まったくひどい話だ。
 森の『平岩で決定な。』の一言で、遠足について面倒なことを押し付けられた。
 四月頃は森たちとつるみ新鮮で楽しかった、岡崎とかをパシリにして。
 それが最近じゃ、岡崎の近くには赤澤や女子がいるし、他の連中も遠足後、急に仲良くなっちまって、結局俺が森のパシリみたいなことに…。
 あ、赤澤。

「どう、遠足のレポート書けた?」
「いや、まだっていうか書かなきゃいけないのか?」
「別にインタビュー形式でも良いけど、時間とれる?」
「それなら…。」
「何時が良い?」
「そうだな…。」

 そう言えば森が今度の日曜日、ナナちゃん人形の下で集合とか、冗談っぽく言ってたけど、なんか、もう本格的にパシリさせられそうな雰囲気だった。
 逃げる口実に…。

「次の日曜日なら良いけど。」
「日曜日か…、そう言えば平岩って家どこ?」
「名東区、本郷の近く。」
「じゃあ学校までは地下鉄だろ、定期だよね?」
「ああ。」
「俺んち覚王山だけど、来る?」
「行っても良いけど。」
「午前中に数学の勉強会やってから、遠足のまとめをする予定なんだ。
 終わってからちょっとおしゃべりってとこかな。
 メシの心配はしなくて良いからさ。」
「はは、赤澤の手料理か?」
「まあね、みんなにも手伝って貰うけど。
 別にずっとじゃなくて良い…、そうだなインタビューだけだから食事前からで良いよ。」
「数学の勉強会って?」
「哲平たちからリクエストがあってね。」
「俺も参加して良いのか?」
「もちろんだ。」
「森たちと遊んでばかりだったから、かなりやばくてさ。」
「なるほど、じゃあ中三の…、ちょっと待ってて。」

 はっきり言って数学、やばいんだよな…。
 でも、勉強会ね~、やっぱり真面目な奴らは違うな。
 俺、ほんとに行っても良いのか?

「おまたせ、中三の時のさ、このあたりを中心に復習しておいて欲しいのだけど。」
「中三の教科書、持って来てるのか。」
「ああ、最近数学の質問をよく受けるからね、説明するのに便利なんだ。
 ここに受かるくらいだから、みんな中三の数学はそれなりに出来てるからね。
 平岩はどう?」
「まぁ、俺も受験勉強はそれなりにやったから。」
「なら大丈夫、復習はどちらでも良いけど、やっておいてくれると説明が早く済むんだ。」
「わかった、で、他に誰が来るの?」
「哲平に美咲、静さん、山影静だよ、それと奥田麻里子ってとこかな。」
「へ~、俺なんかが行っても本当に良いのか?」
「ああ、できたら遠足のまとめとか手伝ってくれると嬉しいけどね。」
「う~ん。」
「パソコンとかは?」
「まあ普通に使えるけど。」
「じゃあ、よろしく頼むよ。」
「い、いや、こちらこそ。」

 なんか変なことになった。
 でも…、山影って結構美人だよな、奥田は明るくて可愛い、まあ秋山は別格として、俺入れて男女三人ずつか…。
 怖いような、楽しみなような…。
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Amazon [ネット社会の]

「亜紀、最近、迷惑メールフォルダに入ったものにAmazonを騙るものが有ったのだけどね。」
「Amazonは利用してるの?」
「昔、利用していた。
ただ、長期間利用していないとアカウントがロックされるのだよ。」
「さすが、セキュリティが万全ということなのね。」
「いやいや、それは不正利用されて気付いたことなんだ。」
「えっ?」
「全く心当たりの無いクレジットカード利用情報がメールの速報で届いて嫌な気分に。
その後のメールにより、数千円の商品をAmazonで購入したことになってると判明してね。」
「その、速報では分からなかったの?」
「ああ、速報は金額だけなんだ。
Amazonは何年も使ってなかったから、取り敢えずログインしようとしたら出来なくて。
カード会社に連絡したらAmazonに問い合わせてくれと、まあ、不正が確認されて最終的に返金されたけど、カード会社もAmazonも電話は簡単に繋がらないし、カードを再発行して貰う事になって結構面倒を掛けさせられた。」
「それって…、Amazonに関するデータはどこから漏れたの?」
「全く分からない、面倒でAmazonに確認する気にもならなかったし。
ただ、アカウントが凍結されるぐらい何年も使ってなかったのに、そのデータが不正と分かる形で悪用されたという事実からAmazonのセキュリティは信用出来ないと思う。
数千円の利用なら、頻繁にAmazonを利用している人は気付かないかも知れないという所を狙っていたのだと思うよ。」
「その後は大丈夫なの?」
「何度か、Amazonを騙るメールが届き、新しいカードナンバーを入力させようと試みて来たから、犯人は捕まってないのかも知れない。
因みに、その時の犯人とは違うと思うが、最近届いた迷惑メールはこんな感じ。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
クレジットカード情報の更新、追加などにつきまして、以下の手順をご確認ください。アカウントサービスからAMAZ0N情報を管理するページにアクセスして、更新してください。

会員情報の管理ページで確認  (←この部分がリンクになっている)

なお、20時間以内にご確認がない場合、誠に申し訳ございません、お客様の安全の為、アカウントの利用制限をさせていただきますので、予めご了承ください。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「送って来たのは『Amazon.com返信』アドレスを確認したら『amazon006@amazon-shopping.webstarterz.com』となっていた。
こんなのを手あたり次第送って、間違ってクリックする人がいればラッキーという感じなのだろうな。」
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LINE [ネット社会の]

「なあ亜紀、迷惑メールってどう思う?」
「そりゃあ、迷惑でしょ。」
「だよな、それでさ。
数日前に4,000名を超える“LINE”アカウントが不正ログインの被害を受けた、という記事を目にしたのだけど、その記事に対してね…。」
----------------------------------
お客様のLINEアカウントに異常ログインされたことがありました。お客様のアカウントの安全のために、ウェブページで検証してお願いします。
こちらのURLをクリックしてください。安全認証
(URLが載っていて)

この時、旧端末のLINEへ公式アカウント(LINE)から「他のスマートフォンであなたのアカウントが使用されようとしています」というメッセージが届きますが、もちろん自分で操作していることなので、そのまま手順を進めましょう。

※URLの安全認証有効期限は毎日8時から15時までです。。
LINE
LINE Corporation
----------------------------------
「というメールに騙されて、乗っ取られたというコメントが有ったんだ。」
「LINEとは関係ない悪意有るメールだったのね。」
「ああ、実は同じメールが私の所へも毎日届いているんだ、LINEを全く使っていないのに。」
「アドレスの変更はしないの?」
「まあ、迷惑メールフォルダーに直行で実害がないからスルーして来た。
でも、実際に被害に遭ってる人が居ると知って考えさせられてね。
確かに騙され易いかもと思うんだ。」
「どうして?」
「迷惑メールの多くは送信元が、vmpzqyub@ieqwbzdxpbgboahmrpdr.jp の様な、さも怪しげなメールアドレスが表示されていて直ぐそれと分かる。
だが、このメールは送信元がLINEと表示されているんだ。
実際のアドレスはbchoz@xtso.comだから、そこまで調べればLINEとは無関係そうだと気付けても、LINEの利用者なら、件名の『LINEにご登録のアカウント(名前、パスワード、その他個人情報)の確認 6:12:32』を目にし、安全の為と思って危険なリンクをクリックしてしまうかも。
慣れた人ならURLを見て怪しいと気付けても、初心者の方や他に気を取られているとね。」
「クリックしてしまうとどうなるの?」
「試す気がないから正確には分からないが、そこで情報を入力してしまうとアカウントが乗っ取られ、詐欺に利用されるみたいだよ。」
「完全に犯罪よね、それが放置されているのかしら?」
「そこが問題だと思う。
大勢の人がこのメールの存在を認識してると思うが、毎日送られてくると言う事はLINE自体が対策を取る気がないのかも知れない。
まあ、韓国の企業らしいから日本人が被害を受けて喜んでいるのかもな。」
「野放し状態?」
「分からないね、野放しなのか対策が追い付いていないのか。
ただ、一つ言えるのは野放し状態ではまずいという事。
亜紀は、落書きを消した事で治安が良くなったという話を聞いたことないか?」
「割れ窓理論でしょ、ニューヨークの話を何かで読んだことが有るわ。」
「同じ事が、ネット社会でも言えると思うんだ。
明らかに違法性の有る迷惑メールや違法アップロードだけでなく、大した実害が無くて放置されてる迷惑メールも、それらが何の取り締まり対象になってないと感じさせる現状が、ネット上では何でも有りだと勘違いする輩を、更に生み出しているとは考えられないかな?」
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山影静-05 [F組三国志-02]

 まだ、陽は高い。
 でも、植物園を出た所で遠足は終わり、後は自由に帰宅ということになっている。
 とは言えみんな地下鉄へ向かうのか、ばらばらになるでもなく、上池の方へ。
 あらっ?

「お~い、みんな集まってくれ~。」
「哲平、どうした?」
「なんだ~?」
「みんなさ、ここの都市伝説知ってるだろ。」
「はは、『東山公園のボートにカップルで乗ると、そのカップルは別れる。』ってやつか。」
「でさ、せっかくだから実験してみないか?」
「実験?」
「カップルと言えば?」
「そりゃ、赤澤と秋山だわな。」
「ということで、お二人でボートに乗って頂こうかと。」
「なに~、聞いてないぞ!」
「実験なんて…。」
「美咲、逃げるか?」
「ええ。」
「甘いな、奥田さん頼む。」
「えっ? 麻里子もぐるなの~。」
「F組の団結力をなめちゃだめよ~。」
「あっ、囲まれてる、哲平、謀ったな~。」
「麻里子ったらひど~い。」
「はは、秋山さん、団結したF組の姿、嬉しいでしょ。」
「え~。」
「乗っちゃえ乗っちゃえ。」
「クラス公認のデートなんだからさ。」
「でも…。」
「まあ、実験に協力してくたら、ボート代は俺たちが持つし。」
「哲平…。」
「さらに、都市伝説に打ち勝つようなら、私たちはお二人を暖かく見守ってあげるからさ。」
「麻里子…。」

「美咲、こりゃ勝てないよ。」
「みたいね。」

「淳一、ボートの手配は?」
「おう、大丈夫だ。」

「ではこちらへどうぞ。」
「さ、手をつないで。」
「ちゃ~ん ちゃちゃちゃ~ん♪ ちゃんちゃちゃちゃ~ん♪ …♪」
「おいおい、ワーグナーか?」
「ローエングリンね。」
「なんで婚礼の合唱なんだよ!」
「はいは~い、細かいことは気にしないでお足元にご注意くださ~い。」

「どうして手漕ぎボートなんだ。」
「基本だろ。」
「別れるって話し、親父が中学生の頃には、普通に広まってたらしいぞ。」
「でも、なんか羨ましくもあるな。」
「あの二人、お似合いだから、ずっと仲良くしてて欲しいわね。」
「その割に、この企みに積極的だったのはどなた?」
「だって、だって、楽しいじゃん。」
「ははは。」
「あの二人、こっち見ないようにしてるぞ。」

「で、俺たちこれからどうすんの?」
「私もボート乗りた~い。」
「じゃあ、希望者で適当にペアとか作って乗るか?」
「さんせ~い。」
「でも二人のじゃまはだめよ。」
「了解。」
「じゃあ、二三人で組を作って、組が出来たところからボートの方へ行って。」
「おう。」

 な、なんか盛り上がってる。
 F組がこんなクラスだとは思っていなかった、不思議な気分。
 あらっ、哲平さんは組み合わせの調整をしていて…。

「乗る人はみんな乗ったのかな、あっ、谷口さんは?」
「私、船はだめなの、哲平くんは乗らないの?」
「そうだな…。
 山影さん、一緒にボート、乗らない?」
「えっと…。」
「いいじゃん、まだカップルって訳でもないし、手漕ぎじゃなければ大丈夫だよ。」
「はい。」

 って、まだ? 手漕ぎじゃなければ大丈夫?
 哲平さんと…、なんかドキドキしてきた。

「どうだった、山影さん、今日は楽しかった?」
「はい、とっても…。」
「よかった。」
「静と呼んで下さったらもっと…。」

 ああ、何言ってるんだろ、私…。
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