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久兼剛太-11 [高校生会議2-02]

イベントの打ち上げ。
思い思いにグループを作り、音楽を流し踊ってる連中もいれば、花火をしている連中、焚火を見て話し込んでるカップルがいたりと、それぞれ夏の夜を楽しんでいる。
俺達は校庭の片隅で、予定していた後片付けが無くなってのんびりと…。

「で、剛太はやはり茜なのか?」
「はは、随分単刀直入に切り込んで来るんだな。」
「男女混じっての恋バナってのも良いだろ、こんな時でも無いと人の恋愛観なんて聞けないしな。」
「うんうん、どうなのどうなの?」
「理沙、熱くなるなよ、ま、まあ…、チームには素敵な女の子ばかりで…。」
「あっ、優等生的模範解答で逃げる気ね、この際はっきりしてくれた方がリーダーのファン達が落ち着くのよ。
私にもチャンスが有るのかどうか…、知っておきたいじゃない。」
「うっ、どさくさに紛れて留美もかよ。」
「はぁ~、茜には話したけど今は男女関係なく友達を増やしたいと思っている。
もちろん、普通に特定の女の子と特別な関係になりたいよ。
でもそれは有る程度お互いに知り合って、友達以上の存在になってからと、今はぼんやり考えているんだ。」
「茜は友達と思われているそうだぞ、これで良いのか?」
「うん、まだ出会って何か月も経っていないでしょ、今は剛太に認めて貰える様に頑張ってる段階なのよ。」
その言葉に、少しほっとしたという感じで理沙が話始める…。
「そうなの…、私は色々考えてしまったわ、真面目な話よ…、剛太や太一達を好きって本人の前で言うのが流行ってるでしょ、中には真剣に告る勇気が無くても何となく上手くまとまったカップルもいて…、中学の時には考えられられなかった事なんだけどね。
でも剛太のサポートは茜が担当していて…、私だってすごく好きなのに学校も違うから正妻の座は無理かななんて…。」
これはまずい、話がおかしな方向へ進んでいる。
イベント終了後の解放感が焚火を見ながらの夜という事で気持ちが…、でも理沙の事は普通に好きだ、茜と同じ様に…。
「正妻を諦めて妾か?」
太一の問いに理沙は…。
「私自身、まだ剛太の子を授かった訳ではないけど、色々思い描いている内にね、結婚て色々な形が有ると思い始めたの。
離婚する人もいるじゃない、シングルマザーなんて大変そうだけど、その中の何割かは子孫を残すという生物の本能に従って子を産んだ段階で配偶者を必要とし無くなったと考える事は出来ないかしら。」
「あっ、むしろ邪魔者か…、うちの親父を見てると納得できるよ。」
「おい、その前に剛太の子を授かった訳ではない…、に突っ込めよ。」
「ふふ、生物の多くが優秀な子孫を残そうとするのは本能でしょ。
まあ遺伝は単純じゃないから、優秀な配偶者を得たからといって生まれて来る子が優秀とは限らない。
でも確率が高くなる事は否定できない、優秀な親は良い環境を作る確率も高い訳だしね。
だから皆が剛太を好きになるのは仕方ないのよ、でも一人だけが剛太の愛を受けられるなんて…、私がその一人になれるのなら、私的には何の問題もないのだけどね…。」
「う~ん、一夫多妻というのも有るがあれはどうなんだろうな?」
「風習として定着してる所では…、妻個人の感覚は日本とは違うのかしら。」
「剛太はどう思う?」
「はは、そんなに大勢養えないだろ、日本では…。」
「養えても法的な壁が有るし、俺みたいにもてない男には明日が無くなるよな…。」
「あら、聡って意外と人気有るのよ。」
「うっ、意外と言うのが気になるが…。」
「一夫多妻が成立してもその逆は成立しないよな。」
「それだけ子を産み育てる事は大変な事なのよ。」
「だろうな。」
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久兼剛太-12 [高校生会議2-02]

岩崎高校生会議では性教育をしっかり行っている。
正しい知識を持つ事は大切で、少子化に歯止めをかけたいと大人達が考えての事。
そんな事が有って、俺達は結構真面目に話していた、理沙は…。

「内縁の妻みたいに籍を入れない、子どもは認知して欲しいけど養育費は要らない。
正妻には理解して欲しいけど…、そういうのでもだめなのかな…。」
「ちょっと待て、理沙は正妻の座を狙わないのか? らしくないな~。」
「そうよ、太一の言う通りだわ、何時もの理沙らしくない、恋すると変わってしまうのかしら。」
「だって…、これから会える機会がすごく減ってしまう訳で…。」
「剛太、たまにはデートしてやれよ。」
「あ、ああ…。」
「理沙はタイプじゃないのか?」
「いや、そんな事はない、真面目な話、普通に好きな子の一人だ。」
「うっ、浮気者的発言ね。」
「サブリーダーをやってくれたみんなは、それぞれに良い所が有って人間的に好きだよ。
今は俺を気に入ってくれた三人から、一人を選ぶのはとてつもなく大変な作業だと感じてる。
俺の優柔不断さ加減に愛想をつかして三人に嫌われるかも知れないな。」
「なんだ、結構絞り込まれてるじゃないか、理沙、確率三分の一だぞ。」
「う、うん…。」
「じゃあ三人でバトルして勝者が剛太をゲットで良いじゃん。」
「そ、そういう問題じゃないでしょ!」
「留美なら勝てるぞ!」
「ば、馬鹿!」
「まあ、これで剛太の恋愛事情がはっきりしたという事で良いじゃないか。
俺は見守るよ君達の事、取り敢えず剛太ファンの女子達を諦めさせておくからな。」
「有難う。」
「茜、良かったな、理沙は妾で良いそうだから本妻の座は近いぞ。」
「でも…、そんなに単純な話ではないわ…。」
「そうだわな、剛太がいきなり他の子と恋に落ちるかも知れないし、人の心は移ろい易い…。」
「焦る必要ないでしょ、色々な経験をして大人になって行く訳で…、でもつらい経験した時にも支え合える仲間で有り続けたいな、男女関係なくね。」
「そうだな、理沙、剛太に振られた時は俺の胸を貸してやるよ。」
「大丈夫、間に合ってるから。」
「聡、残念だったな。」
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久兼剛太-13 [高校生会議2-02]

俺の恋愛事情はすぐに広まってしまった。
中にはからかって来る先輩もいたが、真面目に受け止めてくれた人も多く、高校の先輩方だけでなくサポートスタッフの間でも、恋愛、結婚、出産といった事を話し合うきっかけになったそうだ。
姉さんは…。

「どうなの、三人のガールフレンドとは上手く行ってるの?」
「まあね、広く知れ渡ってしまったお陰で、告られる事が無くなった。」
「逆に三人から一人に絞り辛くなったのでしょ。」
「まあね、三人とも普通に好きだから、一人に絞ったら好きな女の子二人を傷つける事に成るだろ、そうならなかっただけでもラッキーかな。」
「彼女達は喧嘩しないの?」
「喧嘩しない子だから好きなのかも、四人で学習会したり、イベント後の夏休みは一緒に過ごす事が多かったけど、俺が仲間外れにされる事が有ったぐらいだよ。」
「そんなんじゃキスとか出来ないでしょ?」
「ま、まあ…、それなりに…。」
「誰と?」
「三人とも、というか、順番はジャンケンで決めたみたい、彼女達が真剣に一夫多妻を話し合った結果、それは妻同士が協力し合う事で成立するそうだよ。」
「法律が有るからあなた達が不幸にならなければ良いのだけど。」
「事実婚とか手は色々有るそうだ、子どもだって四人の親で協力すれば育児ノイローゼになりにくいとか、俺の遺伝子の可能性を広げられるとか、共同生活のメリットとか、真面目に考えているみたい。
まだ、高一だから、この先どうなるかは全く分からないけどね。」
「三人平等に、とか気を遣うでしょ?」
「俺がそういう事に気を遣っていたら、彼女達が楽しくなくなるって話してくれたよ。」
「はぁ~、そういう子達なのね…、でも、学校では色々言われないの?」
「茜が堂々としてるからね、もちろん皆違和感を覚えて色々言って来るのだけど、真面目な交際だと言い切っているよ、俺もね。」
「彼女達のご両親には?」
「学習会は四人の家を持ち回りで開いているからね。
今の状況は理解して頂けている様だったよ、すでに娘から色々聞かされていたみたい。」
「うちの父さんも知ってるの?」
「ああ、沢山の孫を期待しているそうだよ。」
「そっか、思ってたより問題は少ないのね、少し安心したわ。」
「で、姉さんの方はどうなの?」
「いまいちなのよね…、大学で頑張るわ。」
「少しはおしとやかにしなよ。」
「うん。」
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久兼剛太-14 [高校生会議2-02]

秋が深まる頃、親父の提案で彼女達の両親と共に我が家で会食をする事になった。
大人達に酒が入り会話が弾み始めた頃、俺はお父さん達に囲まれていた…。

「剛太くんは高校生会議の一年生リーダーなんだろ、どんな感じなんだ?」
「リーダーと言っても、お飾りみたいなものです、サブリーダー達が優秀ですから。」
「人に指示を出していくタイプではないと聞いたが?」
「はい、夏イベントに向けての組織作りをして行く中で、優秀なサブリーダーに細かい指示は必要ない、むしろ組織の形だけ固めた後は、色々任せないと失礼になると思いました。
それで、最低限の指示を出し全体を見守るリーダーという形にしたのです。」
「成程ね、良い社長に成れそうだ、久兼さんは次期社長に内定とお聞きしましたが、正式には何時頃なのですか?」
「現社長次第です、実質的な引継ぎは終わっていますので。」
そこへ留美がつまみと酒のお代わりを届けてくれた。
「留美ちゃんも可愛いね。」
「剛太くんから見て三人はどんな感じなの?」
「ここで惚気ろというのですか?」
「はは、その一言で充分かな。」
「皆さんは、彼等の少しイレギュラーな関係をどの様に受け止めておられるのですか?」
「留美は急に大人びて落ち着きましたよ、久兼さん、始めは疑問も有ったのですが三人でパジャマパーティーを開いた時に色々聞かされましてね。
例えばアイドルの追っかけ、偶像崇拝みたいなもので虚しくならないのかってね。
それに比べたら三人だけで一人のアイドルを独占出来るなんて幸せでしかないそうですよ。」
「うちの理沙は夏休み前に、愛人とか妾とかそんな人生を歩むかもしれないとボソッとこぼしまして、少し心配していました。
それが吹っ切れたみたいです、私も我が家での学習会で剛太くんに会って安心しました。
顔だけのアイドルではない、娘が惚れた理由が分かりましたから。」
「茜は容姿が留美さんや理沙さんに劣るからと悩んでいたそうです、それでも同じ高校なので剛太くんといる時間が長くてと色々考えていたみたいです、でも今は女の子同士すっかり仲良しみたいです。
頼もしいのはパジャマパーティーをうちで開いた時でも、時間を区切ってしっかり学習に時間を使っている事です。
何でもその時間は剛太くんが自宅で学習している時間だったそうで。」
「四人で同じ大学へ行こうって話してますから…。
近くにするか岩崎学園大学を狙うか微妙なのですが。」
「あっ、剛太はまだ知らなかったのか、ここに岩崎学園大学の新校舎が出来るんだ、岩崎雄太社長が遥香さまの為にという事なのだがな、成績は優子より上だし高校生会議での実績も有る、岩崎学園大学スーパー特別推薦を狙って良いと思うぞ。」
「えっ、そうなの、枠って何人ぐらいかな?」
「枠は無い、本当に力の有る高校生に無駄な受験勉強をさせない為の制度だからね。
その代わり高二、三月の試験合格後は課題やレポートの提出が求められる訳だがな。」
「知ってる、姉さんでも出来るレベルだから大丈夫だよ。」
「四人揃って受かりそうなのか?」
「彼女達は各高校のトップレベルだよ、でなかったら遊びに行く時の会話は英語のみって無理でしょ。」
「あっ、可愛い子達だから学校の成績まで意識していなかった。」
「枠がないのなら、夏イベントでサブリーダーをやってくれた連中は全員受かってもおかしくないよ。」
「そこなんだな、頭の悪い子達が君達と同じ事をしていたら大人達は反対するだろう、でも娘たちが論理的に考えた上で真面目に情報発信してるから、少々イレギュラーでも応援する人が多いのだと思う。」
「有難う御座います。」
「たとえ娘と別れる事が有っても、私は君を応援するよ。
良かったら、うちの会社で実習してくれないかな。」
「はい、お願いします。」
「女性社員達から頼まれてね、彼女がいても関係なく、弟にしたい高校生ナンバーワンだそうだ。」
「はは…。」
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久兼剛太-15 [高校生会議2-02]

俺達にとって憧れの存在である遥香さまは社長になり大学進学を決意し、良い刺激を与えてくれている。

「剛太、昨日のパジャマパーティーでね、将来は会社を経営したいって話になったの。」
「へ~、どんな会社?」
「まだ、育児をしながらでも経営出来るというくらいしか考えてない、でも子どもを沢山作れって良く言われるでしょ、それには安定収入が必要なのよね。」
「どんな子が生まれるか楽しみって早すぎるよな、俺達より絶対遥香さまの子どもに興味が有ると思わないか、天才少女が誰と結婚してどんな子が生まれるのか。」
「釣り合う人、いるのかしら?」
「でしょ、恋もままならないと思わない?
お忙しくて私達の事情をご存じないみたいだから、そのまま隠し通しているの、私が今どんなに幸せかなんて話しづらくてさ。」
「そっか、茜の優しさなのね、あそこまで綺麗で天才だとなると恋愛対象はかなり限られるでしょうからね。」
「うん、皆が憧れる人だけど、恋愛対象には君達ぐらいが最高レベルなのさ。」
「ふふ。」
「それで、会社の方は?」
「遥香さまは高校生社長に就任、岩崎雄太社長は大学で起業してみえるでしょ。
私達もチャレンジしてみたいのよ、具体的な事はこれからだけどね。」
「遥香さまみたいな飛び級は考えていないけど、今までの学習会で予習した結果、無理しなくても進学出来そうでしょ、一人では難しいけど私達が力を合わせれば出来そうな気がするの。」
「今から準備してどこまでやれるか分からない、充分な利益を上げられなかったら一旦就職しても良いし、剛太は別で大きい会社の社長を目指しても良いと思うわ。」
「そうだな…、やってみよう、小さな会社を体験的に始めて見る事に問題は無い。
むしろ高校生会議の場で積極的にアピールして行くべきだね。
まずは事業内容を検討してみてよ、俺は太一や先輩達と相談してみる。
焦る必要は無いというのが俺達の強み、資金力が乏しいのが弱みかな。」
「でも、始めの資本金は少ない方が責任が軽くて安心かもね。」
「うん…、ねえ、趣味で作っている物を販売するってどうかしら?
作るのが好きだけど完成品を持て余してると嘆くサポートスタッフがいたから可能性は有ると思うの。」
「調査してみて採算が取れるかどうかだね、どれだけ高品質の商品を生産する能力が有っても、売る力がないと充分な利益に繋がらないと聞いた事が有る。
良いシステムを構築出来れば行けると思うけど、問題は需要と供給かな。」
「趣味関連は財布の紐が緩む傾向が有ると聞いた事が有るわ、若干金銭感覚が甘くなるのかも。」
「う~ん、親父を見てると分かる気がする、まずは分担を決めて取り組んでみようか。」
「学習会の次はお仕事なのね、でも、何をするのも四人でなら楽しいわ。」
「ふふ、四人でなら何だって出来そう、高校生会議の仲間もいるしね。」
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久兼剛太-16 [高校生会議2-02]

会社設立に向けての調査研究は高校生会議の活動に組み込んだ。
太一達が乗ってくれたのは彼等の親の多くが社長や会社役員という環境にもよると思うが、仲間意識有っての事だと思う。
会社は高一中心に動いて先輩やサポートスタッフの助言を受ける形にした。
社員は五十名程、まず岩崎高校生会議の企業体験実習前研修を全員で受講。
それと並行して組織作りを進めた。
問題は給料だ、社員がボランティアでは会社とは言えない、だが利益の無い状態では払えない。
そこで、研修ではなくはっきり仕事だと言いきれる労働に対しては時給千円とし、その分の株券もどきを支給する事にした。
実際に株式会社を設立した後で正式な株券と交換する契約だ。
こういった契約も学習の一環としてサポートスタッフから説明を受けながらのこと、研修はゆっくりだか着実に進んだ。
法人登記は理沙が担当してくれた、しっかり調べ書類などを用意、定期テスト最終日の午後に法務局へ、俺達も付き添ったが、係員との話は全て理沙がこなした。
理沙には時給が発生し経理担当も正式な初仕事をこなすだろう。

「理沙、お疲れ、大変だったでしょ。」
「それがね、思ってた程では無かったの、調べた事と違っていたら慌てたかもだけど、書類はサポートスタッフの人に確認して貰っていたしね。
一見難しそうだけど、説明通りにやれば良いだけの事だったの。」
「俺も簡単に確認したけど、その通りだと思った。
でも待ってる間に、ちょっと目に入った人は単純な誤解というか読解力に問題が有ったみたいで係の人に教えられていたよ、それは理沙が間違える様なレベルで無かったみたいだった、高校生でも理解出来る事に対して、司法書士とかが必要な理由だろうね。
まあ、企業や忙しい人はお金を払ってでも専門家に任せるのだろうけど。」
「私にとっては良い経験になったわ、このまま司法書士の資格を視野に入れてみようと思う。」
「私の得意分野では無さそうだから理沙に任せるよ、でもこれで会社の本格スタートでしょ、茜、会場の方はどうなってるの?」
「春休みの土日、交渉していた工場の食堂でオーケーを頂けたわ、会社としても人が集まってくれるのならPRイベントを開催し私達のスポンサーにもなって下さるそうで、剛太社長の根回しが効いてるよって担当の人が笑ってた。」
「剛太、何かしたの?」
「はは、高校生会議第十七支部の次期リーダーになるから、少しづつ挨拶周りをしてるって話したろ。
その時に少し提案させて貰っただけだよ、マーケットにPRイベントが重なれば集客力が高まると思ってね、当面百万円ぐらいまでなら株式を引き受けて良いと話して下さったよ。」
「それなら品揃えも豊富にして成功させないといけないわね。」
「留美、商品提供者への営業活動はどんな感じなんだ?」
「不用品買い取りは売れ残ったら自分達で買ったり福祉施設へ寄付出来たりする物に限定、報告を受けてる分だけでも、それなりの量が集まりそうよ、幾らで引き取って幾らで売るかは納得して頂いてね。
売れ残りそうでも値引きせず福祉施設へ寄付という形には賛成して下さる方が多いみたい。」
「趣味で作った作品の方は?」
「ウエブサイト構築スタッフは結構苦労してるみたいだけど、もう直ぐ仕事と言えるレベルで、販売する作品を紹介するページを完成させられそう。
皆が良いと感じてる物はオークション、売り切れた作品は受注生産の話を販売担当が問題なく出来る様に体制を整えているわ。」
「利益率はどう?」
「製作者サイドとの話では、自分が作った物を気に入って買ってくれる人がいるのなら嬉しいという人が多いみたい。
しっかり売ってサイドビジネスにしたいという人には具体的に今後の販売体制を提案しようと考えて貰ってる。
それとね、半製品を扱ってみようと思うの。」
「半製品?」
「おしゃれ雑貨のパーツを用意して、そこから自分で完成させる、一からの手作りだとハードルが高いけど、パーツを組み合わせて最後の作業だけというレベルから、少し踏み込んでオリジナル度を高めるのも有で、テスト期間が終わったから検討チームが動き始めるわよ。」
「オリジナル商品の形で販売するの?」
「出来れば春休みのマーケットまでにね、どこまで出来るか分からないけれど。」
「他の商品との差別化を計りたいね、どうせなら全国展開も視野に入れてネーミングやパッケージ…、ストーリー性とか…、あっ、ターゲットをどこに置くかも重要だな。」
「しばらくは試行錯誤する事になりそうね、でも複数の企画を同時にスタートさせて大丈夫かしら。」
「一つに絞って行き詰ったらお終いだろ、今は、数打ちゃ当たる、的な発想は良く無いが今まで出て来た案は工夫次第でどれも成功出来そうな気がするんだ。
おしゃれ雑貨だって…、幼児向けに教育的要素を取り入れたり、大人向けに完成品を買うと高くなるところを自分で完成させる事によってオリジナリティーが加わり安価に成るとかね。」
「そっか、チームの幹部スタッフにすぐ指示を出すわ。」
「留美、焦らず迅速にね、スタッフが混乱しない指示は出せる?」
「あっ、そうね、理沙、剛太の指摘が的を得過ぎている気がして…。」
「製造関係の事情は私の方で調べるからね、でも対象年齢毎に色々な可能性は有ると思う。
如何にアピールして行くかが問題だけど。」
「岩崎の力を借りれば簡単かも知れないけど、今は自力を試す時だな。
赤字になりそうなら俺が動くから、今は試行錯誤して行こう。」
「その自信は何処から?」
「自分の政治力と胸を張りたい所だけど…、まあ可愛がって下さる方の多さかな。」
「剛太、おばさま方の毒牙に掛からないでよ。」
「はは、大丈夫だよ。」
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久兼剛太-17 [高校生会議2-02]

Team Seventeenが会社の名称、岩崎高校生会議第十七支部と高校生らしさから決まった。
学業に支障を来たさないペースで実習という形だが利益は出して行きたい。
春休みのマーケットで稼いで運転資金にと考えている。
それ迄の資金は株で、予定していた百万円分の株式は社員の親達が引き受けてくれた。
親父が奮発して我が社の筆頭株主に。
広く募集すれば一千万ぐらいでも調達出来そうな勢いだったが、まだ必要ないと判断した。
そんな資金を活用して開いた、初めてのマーケットでは…。

「剛太くん、なかなか盛況じゃないか。」
「あっ、水神さん、有難う御座います、お陰様で予定以上の売り上げが期待出来そうです。」
「ここの絵画は趣味の作品とはいえ、なかなかの物じゃないか、オークションでどれ程の値が付くのか楽しみだよ、作品オーダーも出来るのだね。」
「はい、写真を見せれば画家各々の作風で仕上げて貰えます、。
あくまでも趣味の範囲ですから、急ぎはNGで気に入らなかったら買い取らなくても良いとしました、その場合は発注者と相談なく他者に販売出来るという契約です。
金額は画家の最低希望価格とオークション落札価格から提示させて頂きます。」
「なるほど互いの利益を尊重している訳か。
あれっ、このリトグラフはプロの作品なんだね。」
「はい、不用品としてお預かりしました、古物商許可証が有りますから問題なく扱えます。」
「抜かりは無いのだね。」
「何を扱うか相談している段階でリサイクルの話が出てましたから早目に、こういう形は想定外でしたが、色々学習させて貰っています。」

その後のオークションが盛り上がったのは事前にサイトで情報公開していたからだと思う。
素人の作品と言っても美大を出ている奥さまの作品なども混じる。
部屋を飾るのに作者のネームバリューで選ぶ様な成金ではなく、自分の感性で選ぶ人がオークションに参加してくれた。
その結果、予想金額を上回る額で落札された作品が多かった。
そんな中でも、同級生の女子、その五作品が結構な価格で落札されたのは正直嬉しかった。
自分が気に入っていた作風だったのだが、落札額を知って彼女はすぐ美大進学への決意をしたそうだ。
絵の代金は学費に充てるという。
落札まで隠していた彼女の素性を知った人達、主に競り負けた人達はこぞってオーダーした。
描いてくれた絵が気に入ったら奨学金の意味で価格に上乗せすると話してくれる人もいたそうだ。
発注者と彼女との仲立ちは社員の仕事となる。
如何に良い絵を描く才能が有っても、知らない大人との話が簡単に出来る子ではない。
発注者の意向を整理し彼女に伝え調整して行く事によって、より発注者が満足出来る作品に仕上がると思う。
彼女に近い社員が担当し、彼女とは絵の代金の二割を会社が受け取る代わりにマネージメント全般を引き受ける契約を交わした。
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久兼剛太-18 [高校生会議2-02]

マーケットでは不用品販売コーナーが人気。
全て新品もしくは新品同様の品。
貰ったけど使う気が無い、という様な品が中心なので仕入れ価格は低い。
半面それなりに良い物が多かったので利益率を高めに設定しても、購入者は割安感を感じたそうだ。
もう一つ盛況だったのは、半製品を購入して自分で完成させるコーナー。
その場で社員達のアドバイスを受けながら、パーツを選び小物を完成させる。
お手本は趣味で作ってる人の作品。
完成品も普通に売れている。
他にも…。

「あっ、遠藤社長、今日は会場を貸して頂いて有難う御座います。」
「剛太くん、なかなか盛況じゃないか、うちのコーナーも君の所の社員がしっかり回してくれてたよ。
商品は私の予想以上に売れてたね、近所のスーパーと同じ販売価格なのにな。」
「安売りしてはスーパーでの売り上げを落とす事になる、今日買って下さった人が次はスーパーで買って下さって初めて成功ですね。」
「はは、分かってるじゃないか、今日の利益ボーナスは多くなりそうだな。」
「社員達も喜ぶと思います、高校生会議の研修として無給だった部分を、実績に応じて会社の研修扱いとし給与を発生させますから。」
「ちゃんとアメも用意してる訳か、社員達は給料で何を買うとか決めてるのかい?」
「一番多いのは我が社の株です、自社株を持って高額配当を目指します。」
「なるほど、生活に問題はないだろうからな、株の売買はどうやって?」
「親に買って貰った株を買いたいという人が多いです。
それが一巡したら、増資を視野に入れています。
その株は社員優先、みんな自分達の責任で会社を運営して行きたいと考えています。
自分はそんな彼等により多くの配当、卒業後は岩崎標準の給料を保証出来る所までにしたいと考えています。
もちろん他社への就職も応援しますが。」
「勝算は有るのか?」
「まだ始まったばかりですし、学業優先ですから何とも言えません、まずは大人の社員を雇って、自分達の授業中でも会社が動く状態にしたいと考えている段階です。」
「遥香さまとは条件が違うから大変だろう、私は応援して行くよ。
あっ、遥香システムにはもう触れたのかい?」
「まだ一部の幹部が研修を始めたばかりです、政党関係や先輩が優先でしたので。
でも、会社のワークシート構築を始める許可は頂きましたから一気に進めたいと思っています。
閲覧フリーにしておけば多くのアドバイスを受けられると聞いていますので楽しみです。」
「ああ、遥香さまの部下になった子はアドバイスを上手く整理するだけでなく、協力体制を構築、高校を卒業したばかりなのに一つ指示を出すだけで、遥香コーポレーションの社員を大勢動かす事も可能だそうだよ。」
「確かに使いこなせば可能でしょうね、しっかり学習して行きたいです。」
「だが時間は掛かるだろ、学校の学習も有るだろうし、それで彼女達とデートの時間とか確保出来るのか?」
「大丈夫ですよ、会社の事も学校の学習も遥香システムの研修も四人でやっています。
仕事してる時間がデートみたいなものなんです。」
「そうか、高校生時代なら一緒にいられるだけで幸せなんだろうな…。」
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久兼剛太-19 [高校生会議2-02]

マーケットの成功から幾つか、金額の大小は有るものの事業として展開して行けそうな状態になって来ている。
サポートスタッフからのアドバイスは、着実に右肩上がりの経営を目指す事を前提にしていて、高校生のお遊びとは誰も考えて無いという雰囲気が心地良い。
俺は、四月から岩崎高校生会議第十七支部の支部長にもなった。
支えてくれるメンバーが多いから何の不安も無く、社長業と兼任出来ている。

「茜、美術品のオークションは三か月に一回程度で調整中だったね、今日遠藤社長と会って来たのだろ。」
「ええ、あくまでも素人の作品という事で会場は一回目同様、工場の食堂で問題ないと話して下さいました、出品者も参加者も気楽に楽しめると。
ただ次回は、新商品のPRをしたいと話しておられまして、高校生によるPR風景映像は他でも使いたいそうです。
それと、出来れば留美をメインにCMを作りたいそうです。」
「留美、どうだ?」
「う~ん…、売り上げに貢献出来るのなら断れないけど…、早めに内容を掴んで練習する必要が有るとは思うかな…、でも…、私で良いのかしら。」
「大丈夫よ、遠藤社長は人の力を見極められる人だわ。」
「私もそう思うわ、すぐ遠藤社長と連絡を取って良い?」
「うん、今は会社の収入を増やしたいし、遠藤社長も私達の為に提案して下さったのでしょうから。」
「じゃあ話を進めるね。
次回は、一回目の話が広がって、出品希望者オークション参加希望者共に多くなりそう、他県からの問い合わせも有るのよ、だからオークションと新商品のPRだけ、その分少人数で回せるわ。」
「一回目高値で売れた画家達は依頼が有って出品出来そうにない、その埋め合わせは充分という事なんだね。」
「はい。」
「また稼げるといいね、理沙、オークションとは日程をずらす不用品販売の大まかな日程は決まったの?」
「ええ、お中元、お歳暮の後と引っ越しシーズン、具体的な日程はこれからなんだけど、それとは別に家具とか初回には扱わなかった物も仲介を引き受けるか検討中よ。
ただ、私達には目利きの力が無いから、オークションが無難とは考えているけど、輸送コストとか別の問題が有るでしょ。」
「商業ベースに乗せられるかどうかだね、安定的にそれなりの利益を得られそうに無かったらやめておこう。
当面は趣味の美術品オークションに出せる程度の物までにしておくのが良いと思うな。」
「そうね、担当スタッフに伝えておくわ。」
「あっ、スタッフ達は遥香システムを使いこなせそうか?」
「個人差は有るけど…、社員は学校の成績を落とせないから…。」
「そうだな…、学習支援をシステムに組み込むのを早めようか。
イメージは有るから、相談してみるよ、まずは高二限定になるかな。
仕事のワークシートと別に…、生きた参考書を構築出来ないかと考えていたんだ。」
「剛太の負担が大きく成り過ぎるのは嫌なんだけど…。」
「大丈夫だよ、他の支部や大学生とも連携して行くからね。」
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久兼剛太-20 [高校生会議2-02]

岩崎高校生会議の役割に遥香システム研修の場という役割が加わった。
これにより他地区の高校生会議メンバーとの繋がりが深まる事に。
彼等の中には俺達の活動を詳しく知り、自分達も起業をと考える者やTeam Seventeenの支社を構築して行く道を考える者が現れた。
いずれにしても情報交換をし協力して行く事に成る、岩崎の一員として。
岩崎関連の大人達からは、高校生が仕事を考える場、という役割は飛躍的に向上していると評価して貰っている。
どれだけの座学を受けた所で実体験には勝てない。

「理沙、手芸関連の現場は見て来てくれた?」
「ええ、遥香コーポレーションに提案して採用されたグッズの製造は体験実習として効果的だとサポートの人が話してくれたわ。
特に検品を厳しくしている事が、その意味を高校生達が考える事に繋がっていると話して下さった。
作業してた子達も、気軽に買ってた商品の裏側には品質へのこだわり、安全へのこだわりが有る。
みんな、自分達で作業して初めて気づいたと言ってたわ。」
「いい加減な商品を納めていては、取引中止になるからな。
特に数量限定で割高にして貰っている、時給が良いのはその分だけ責任が大きい、という自覚を持ってくれてるのかな。」
「大丈夫みたい、久兼社長に恥をかかせる訳には行かないって…、婚約者がいても剛太のファンだという子が何人もいたけど、私達婚約したっけ?」
「うっ、俺はまだ法的に結婚出来る年齢ではないし、色々ハードルが有るだろ…。」
「理沙、私達の剛太をあんましいじめないでね。」
「わ、分かってるわよ、でも…、三人が四人になってもあまり変わらないだとか…、ここでは言えない様な事を色々聞かされて来たのよ…。」

特殊な恋愛事情には厚い壁が立ちはだかっている。
だが、岩崎高校生会議第十七支部支部長、そして株式会社Team Seventeen代表取締役社長としての自分は多くの人に支えられていて、真面目に働いていれば何の問題もないと感じている。
リーダーとしての研修はまだ始まったばかりだとは思うが。
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