SSブログ
高校生バトル-87 ブログトップ

近衛予備隊-441 [高校生バトル-87]

「収入が増えた人達は少しずつ公共のマナーが良くなってるのでしょ、やはり親の背中を見てるのかしら?」
「ええ、特に王国内は観光客に対して良いイメージを持って貰えるようにと教育して来ましたし、建物が綺麗ですから気持ち的にも汚しにくいのだと思います。
 観光客からは喫煙所が多過ぎると言われるみたいですが、所構わず煙草を吸い、そのまま吸殻を捨てることが減りましたので悪くないと思っています。
 喫煙所のデザインも街並みに合わせて有りますし、公営ギャンブルへの投票端末も設置されていますので単なる喫煙所では無いのです。
 利益率を高く設定している煙草が売れれば国が潤いますので、マナーを守って沢山吸って貰いたいですね、自分は吸いませんが。」
「煙草による健康への影響は理解されていないのかしら。」
「喫煙者に言っても無駄ですし、この先の人口増加を考えたら放置しておいて構わないと思います。
 長生きして欲しい近衛予備隊のメンバーは、教育の成果で喫煙者が少ないですから。」
「一般の人は長生きしなくても良いと考えているの?」
「生活環境の改善で感染症による病死者が減っていますので、年老いたら適度に亡くならないと国が破綻しかねないと。」
「そこまで深刻に考えていたの?」
「日本の高齢化に付いて調べましたが、国家予算や医療費とか。」
「そうね、日本の明日を支える子育て世帯が苦労してるのに、高齢者は優遇され過ぎて。
 貧富の差は有るのだけど、裕福な家庭では老人になってもお金が増える一方で使い道に困るぐらい、そんな家庭の子ども達が相続で揉めたりしてね。
 良い薬が開発されて長生きになってる反面、高額な医療費を使ってほぼ死んでる老人に呼吸をさせたりもしているのよ。」
「人としての死に対する考え方が異常だと感じました。
 まあ、我が国では真似出来ませんが。」
「大学生達はどう考えているのかしら?」
「どうですかね、日本では百歳以上の人が数万人いると聞かされても想像出来ません。
 村では、最後に生まれた子が最初の子を産むまで生きれば充分、後はおまけと言われて来ました。」
「へ~、そんな考えなのか、確かに生物として子孫を残して行くことを考えたらおかしくは無いわね。
 う~ん…、おまけで生きる高齢者が何をするかで社会は…。
 ジョンは老害という言葉を知ってる?」
nice!(13)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

近衛予備隊-442 [高校生バトル-87]

「前大統領が年老いても元気過ぎるあまり、こちらに口出しして来る様なら老害だと理解しています。
 幸い彼には色々な楽しみが有り、たまに会食しても政治の話は出て来ないのですが。」
「ジョンと話をするのも楽しみの一つなのでしょうね。」
「老害とまでは行かなくても、近衛予備隊のメンバーは職場で、理解力が落ちたか元々低かった人達相手に苦労してるみたいで、こればかりは対策の立てようがなく苦慮しているとは聞いています、年長者が上司か部下かには関係無く。」
「引退して貰うには早過ぎるのね、でも十年もしたら人が入れ替わって改善されるのではないかしら。」
「日本の老害はそんな感じなのですか?」
「日本は無理ね、十年したら別のお年寄りが…、いえ寿命が延びてるからそのままかも。
 八十を超えてる人が政治の中枢にいるなんて、次を育てられない無能な人の象徴なのだけど。」
「自分達はリーダーになったら次のリーダーを育てる様に言われて来ましたので、自分が担当していた会社の部門を信頼出来る部下に引き継ぐのはスムーズでした。
 大統領職の方は自分がまだ若いですし、知名度の問題も有るのでゆっくり進めていますが。」
「王子や王女の候補も若いものね。」
「でも若い国だからこそ、五十年後とかを見据えたいと思うのです。
 五十年後に自分が老害だと言われない為にも。」
「国際情勢は五年後、いえ一年後でさえ、どうなってるか分からないでしょ。」
「ですね、それでも国のリーダーが先を見据えていないと。
 次の大統領選挙も問題なさそうですし。」
「独裁者としての力を発揮しなくても?」
「ええ、詩織が女王としてバックにいてくれますから、共和国と言っても実質的に王国なのです。
 当選後は共和国から王国への移行を進めようかと思っています。」
「民主主義からは少し後退することになって国民は納得すると思う?」
「多くの国民は民主主義について分かっていないのではないでしょうか。
 自分が初めて大統領になった時は若さとルックスだけで当選したと言われたものです。」
「そうだったわね、でもこの国の国民は幸せだわ、適当に選んだ大統領が優秀なのだから。
 間違って対立候補が当選してたら、この国は終わってたと思うわよ。」
「ですね、もっとも詩織の活動を排除すると訴えた時点で彼の敗北は決定していました、すでに共和国から詩織を女王とする王国にすることを多くの人が望んでいたのですから。」
nice!(11)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

近衛予備隊-443 [高校生バトル-87]

「王国への移行は急ぐ必要は有りませんでしたのでじっくり準備を進めて来ましたが、タリート共和国の話が進んでいますので、今が良いタイミングかと思います。」
「あそこは王国になることが決まりそうなの?」
「ええ、国民の多くは詩織の信者です、今のリーダーは経済的に弱い国がバラバラでは発展は無いと考えています、あの大国が怪しげな動きを続けていることも有りまして。」
「そうね、無視出来ない存在、自国の利益の為に小国を食い潰しかねないものね。」
「タリート共和国では、詩織を中心にこのエリアの国々がもっと協力し合うべきだと訴えて、国民投票を実施します、それに合わせて我が国もと。」
「アビュニス王国の女王としては大したことをしていないのだけど。」
「それで充分なのですよ、勿論、詩織の負担を増やさないことはタリート共和国でも確約済みです。
 アビュニス王国同様、訪問は気が向いたら、国の記念日などにテレビを通してメッセージを送って下さるだけで充分なのです。」
「それでも女王を必要とする感覚はね…。」
「心の拠り所なのだと思います。
 宗教が担って来た役割なのかも知れませんが…、王家の残る国々には王家に対して敬愛の念が有る国民が少なからず存在するみたいです、それが共和国では大統領なのかも知れません。
 そんな敬愛出来る存在を持たない人達は、女神でも有る詩織が自分達の女王で有ったならと想うのです。」
「リーダーとは少し違うのよね…、シンボルとしての自覚は有るけど…。
 タリート国と仲良くやって行けるのなら、それが一番ね。」
「他の周辺諸国も今まで以上に仲良くやって行きたいと考えていまして、出て来たのが、このエリアで詩織に因んだ名称の共同体を発足させることです。」
「共同体の活動内容にもよるけど、このエリアの安定と発展は近衛隊と共に考えて来たことだから否定出来ないわね、それで私の立場は?」
「実質的な指導者から名誉職まで詩織さま次第です。
 各国で展開しているマーケットの現地法人は、利益をその国に投資する姿勢を変えていませんので、経済面での指導を期待されている様ですが。」
「そうね、近衛からの報告では我が社に好意的な国と、そうで無い国に分かれているのよね。
 我が社に好意的な国は、既にまとまり始めてるのでしょ?」
「はい、そこが核になると思いますが、会社のマーケット展開に対する思いと詩織に対する思いは別物の様です。
 どの国のマーケットにも詩織の写真が飾られていますが、我が国同様、写真に対して拝んだりする人が多いと聞いていますので。
 マーケットが礼拝所の役目も兼ねるとは、マーケットのスタート時には思ってもみなかったことです。」
「そんな感じなのか…、近衛隊の担当者はそれを狙ってたのかしら。」
nice!(12)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

近衛予備隊-444 [高校生バトル-87]

 我らが共和国を王国に移行、これまでの国家改革の進捗を見たら反対出来る人は少ないだろう。
 詩織さまが日本人だと言うことを反対理由に挙げる人がいたが、多くの国民にとって女神さまの国籍に意味は無い。
 国家元首、大統領である自分が詩織さまによって育てられたと理解してる人は多く、自分は王家の王子でも有るのだ。

「シャルロット、我が国が王政に移行するに当たって問題は有ると思うか?」
「ここまで準備が粛々と進められて来たのを見て来たけど、小さくなった反政府組織ぐらいでしょ。
 一番迷惑しそうなのは、血筋を重んじ伝統有る王国の王家ぐらいかしら。」
「かもな、とても素晴らしい王様の血筋で有っても…、まあ、今は象徴に過ぎない所が多いのだから、笑顔が素敵なら問題無いのだろう。
 王家が国政の実権を握ってる国は何とも言えないが…。」
「初代女王さまはどうしてらしたの?」
「何時も通りさ、既にアビュニス王国の女王、この国では世界的には国と認められてない村レベルの王国の女王だったが、企業のトップとしての実績が有って気にもしていないさ。」
「タリート共和国のことは?」
「元々このエリアの経済改革を目論んでいたのだから、それが一歩進んだぐらいのことみたいだ。
 一人の女王の下に国々が手を取り合えれば良いのだがな。」
「でも、今は良いけど時を経て詩織さまが退かれたらどうなるのかしら?」
「次の国王に頑張って貰うしかないが、その準備は自分達で出来ることだ。
 我が王家は国に関係なく王子王女を迎え入れて行く。
 彼らには王家の一員としての仕事をこなして貰いながら、政治経済を学んで貰い尊敬されるリーダーに成長して貰う。
 そこで権力闘争が起きる様なら我々の挑戦は失敗だな。」
「失敗しない為の教育なのよね。
 でも、生まれながらに王位継承権を持っていた訳では無いのだから…。
 何にせよ、女神さまの後を務めるのは大変そうだわ。」
「先のことだけど色々検討はしてるんだ。
 先々の国王は詩織さま同様、王宮から出歩くことを好まれないとしてね。」
「映像で国民にアピールするの?」
「実物がパレードなどでアピールするのは王子や王女で充分だろ。
 実物を見たと有難がる人はいるが、それが所謂影武者だった所で何の問題もないと思わないか。
 実質的な国王の役割は王子や王女が分担し摂政と共に担えば良い。」
「ジョンは王子のまま大統領から摂政になるのだから、そう言うことなのね。」
「詩織さまがお疲れの時は、女王としての役割全てを我々が担う。
 それが女王になって頂く条件でね。
 詩織さまの姿をCGに置き換える案も出されていて、それが実現したら千年女王として代替わりを気にする必要が無くなるのかも知れないんだ。」
nice!(11)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

近衛予備隊-445 [高校生バトル-87]

「千年女王?」
「詩織さまの神格化を少しずつ高めて行き、そのまま永遠に女王でいて頂く計画が進んでいてね。
 いずれはバーチャル女王になるのだけど、それでも今と大差ないだろ。」
「映像以外で一般人の前に出られることは少ないものね。」
「政治は摂政が行えば良いのだが、摂政が一人で判断する必要もない。
 詩織さまに見守っていて頂いて、自分だけでなく王子や王女が政治を執り行って行くシステム、王家は定期的に新しい王子王女を迎えることが前提だが、皆で理想の国家像を考えて行く。
 王家さえしっかりしていれば良い国家運営を続けられるだろ。」
「逆に言えば王家内で揉めてそのシステムが崩壊した時が問題ね、民主主義なら自分達のリーダーに問題が有った時は法的に交代させられるのだけど、その辺りはどうなの?」
「確かに王家が間違ったことをしても女王は変わらない、王家が反省出来るかどうかが問題だな。
 ただ、お年寄りが政治の中枢に居座り続ける国よりはマシになると思うんだ。
 王子王女は年齢などに関わらず同格とし詩織さまの教えから離れないと言うのが前提、そんな宗教的国家が国民の為に一貫した政策を続けることが出来たら、一人の指導者の思惑だけで揺れ動き、指導者が失脚したら全く別の政策となってしまう民主主義国家よりはマシだろう。」
「王子王女の人選を選挙によらない所がポイントなのよね。」
「ああ、詩織さまの教えから外れる人は受け入れられないからな。」
「宗教的な国家運営か…。」
「アビュニス王国の国民が女王に対する想いは宗教以上みたいだろ。」
「宗教以上?」
「ほとんどの国民が女王に守られて生活している、宗教団体は寄付を求めるが、アビュニス王国は求めない、普通に働いて給料を受け取っていれば女神でもある女王に奉仕していることになるからな。
 給料は周辺国と比べて凄く良いとは言えないが、国家イコール会社なので会社が普通に利益を上げていれば税金は発生しない。
 それでもインフラ整備は進み、街はより綺麗になっている。
 会社の利益が減ればその辺りの予算は削られるのだろうがシェリルは上手くやってるよ。」
「小国だから出来ることよね。
 シェリルは国に対して不満が有れば気軽に言えるシステムを用意したけど全然利用されないと嘆いていたわ。」
「みたいだな、我が国で税金を無くすことは出来ないし、不満を受け付け始めたらキリがないだろう。
 ほとんどの国民が一企業の社員というアビュニス王国の状態を目指したくは有るが、社会主義国家の崩壊を学習したから考えにくいんだ。
 王国エリアの状態を少しずつ広げて行くのが無難だな。」
「そうね、うちの会社関係者は給料から税金を差し引かれているから、アビュニス王国と同じだと思われているものね、実際は税金の計算をしなくて良いアビュニス王国の方が遥かに効率的なのだけど。
「それで、千年掛けて税金に相当する部分は労働に組み込まれる、そんな社会を築き上げて行くの?」
nice!(12)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

近衛予備隊-446 [高校生バトル-87]

「アビュニス王国の規模なら問題ないだろうが、企業が社会主義的に国家を動かした実例は他にない。
 まだどんな弊害が出て来るのか分からないが、結局は指導者の人格次第になるのだろうな。」
「指導者には王子や王女がなると考えれば良いの?」
「そうだな王家の規模をどうして行くかにもよるが、県知事の役目を王子でも有る会社の役員が担うとか、経済と行政の一体化を目指して行くのなら、そんな形も考えに入れるべきだろう。」
「今の県知事はどうなの?」
「まだ選挙で選んでるから、役に立たない知事もいる。
 中途半端に頭が回る人は王国騎士団の話を受け入れたがらなくてね。
 王国騎士団メンバーが立候補して当選した所は、順調に改革が進んでいるから今後は変わって行くだろう。」
「王国騎士団メンバーが立候補して落選なんてことも有ったのかしら?」
「いやさすがにそれは無い、調査検討してからの立候補だからな。」
「王政になったら、県知事も女王が指名するのよね?」
「それは国民の意識調査をしながらになる、まずは王政になっても何も変わらないと思って貰った方が無難だろ。」
「王政に期待する人はいないの?」
「王政への移行は、国民投票で国民が賛成したからだが、そもそも我が国の国民に政治のことが分かると思うか?
 王政への圧倒的な支持は、単に詩織さまに対する気持ちの表れに過ぎず、そこに共和国と王国の違いに対する理解はないのだよ。
 大統領が摂政になることに対してもね。」
「これからは面倒でお金の掛かる大統領選挙をしなくて良いし、女王様の承認を得たとして、そのまま独裁的な政治を続けられるのよね。」
「今までも詩織さまに相談して来たが、基本的に反対されることは無かった。
 これからは新たに加わる王子や王女意見を聞いて行くから、独裁的な部分は今以上に減るかもな。」
「まあ、ジョンは他国からも信頼されてる独裁者だものね。」
nice!(13)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

近衛予備隊-447 [高校生バトル-87]

 新王国の建国祭は少し控え気味に行われた。
 もっと盛大にしても良かったのだが観光客を受け入れる余力が無かったからだ。
 実際ホテルは満室が続き仮設キャンプ場に張られたテントにさえ余裕は無かった。
 予測はしていたので何とか乗り切ったが、それなりに混乱と犯罪は起きた。

「千年王国は何とかその第一歩を踏み出せたわね。」
「ええ、千年女王、千年先を見越して頑張って下さい。
 しかし、国名は詩織さまから発表と言うことで我々にも知らされていなかったのですが、思い切りましたね。」
「現実に存在するこの国と、ネット上のバーチャル国家をリンクさせる案が出ていて、ちょっと迷いが有ったのだけどね。」
「その割に、ネット上の千年王国はしっかり準備がなされていましたね。」
「誰とは言わないけど勝手に動いた人がいてね、世界中の人が国民になれるバーチャル千年王国を利用して、誕生したばかりの千年王国を支え広げようと。」
「利益は出ているのですか?」
「世界中からバーチャル千年王国への国民登録がなされているから登録料だけでもそれなりの金額になってるみたい、登録した国民が自由に閲覧出来るコンテンツだけでなく、更にお金の掛かるコンテンツも結構利用され始めてるそうでね。」
「詩織の秘蔵映像ですか?」
「そうね、ジョンの知らない所でコツコツ撮影して来たのだけど…。
 冠婚葬祭向けのメッセージには、設定価格が気持ち的に安すぎるからと謝礼の形での入金も有るそうよ、祝う気持ちや弔う気持ちに対して設定価格が安過ぎると感じる人が多いみたいなの。」
「冠婚葬祭の場に詩織の映像を流してのことなのですか。」
「ええ、葬儀の場に合わせたメッセージ映像だけでも十通り用意したのよ。
 勿論亡くなられた人のことを何も知らない私からのメッセージになる訳だけど、好評みたいでね。
 これからコツコツとバリエーションを増やして行くことになるわ。」
「忙しくなるのですか?」
「そうはならないかな、しっかり準備された上での撮影だから短時間で済ませられるの。
 衣装などのバリエーションはCGを使って沢山用意、利用者にとってそこから選ぶのは楽しいかも。
 千年王国の千年女王と言われる様になったけど、千年女王の仕事はそれぐらいなのでしょ?」
「自分達を見守っていて頂きたいですが、女王としての仕事は極力作りたくないと考えています。
 千年女王がバーチャルに近い存在で有っても、国民の心が変わらないのか見極めたいですし、神格化を進めて行きたいのです。」
「私としては宮殿に引き籠っていたいから問題ないし、神格化が進んで私とかけ離れた存在が誕生してくれれば気軽になるのだけどね。」
「十年二十年経ってもバーチャル千年女王の姿は変わりませんが、それで良かったのですか?」
「問題無いわ、千年女王は若いままが理想でしょ。
 嘘偽りなく千年女王計画の概要は発表されているのだから、後はそれをバーチャルを含めた国民達がどう判断するのか、ジョン、そこはしっかり見極めて行きましょうね。」
nice!(10)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

近衛予備隊-448 [高校生バトル-87]

 共和国が千年王国に代わっても国民の生活は何も変わることなく、今まで通りインフラ整備が進められ、病院などの施設が少しずつ改善されている。
 一方、バーチャル千年王国では当初の予想を遥かに超える人々が国民になってくれ、大きな収入を国にもたらすことになった。
 十ドルで国民になると基本コンテンツを利用出来るのだが、ゲームなど賑わっている所では追加の課金をしたくなる場面が色々用意されていて、国民は王国を潤してくれるのだ。
 その利益でバーチャル千年王国を拡張してはいるが、リアル千年王国の予算に加えられている額は少なく無い。

「佐伯学長はバーチャル千年王国の盛り上がりをどう捉えているのです?」
「リアルとバーチャルの境界をあやふやにした所がウケてたと思ってる、そこを狙ったのだがね。」
「言われてみればそうかもしれません。
 リアル千年王国へ旅行するなら、バーチャル千年王国内で色々調べることが出来、手続きも簡単ですが、未来地図は特に面白いですね。」
「あれは、学生の発案でね、誰しもが街を綺麗にするクラウドファンディングを発案出来る所がウケたみたいだ。」
「現状写真を地図から閲覧出来、それに対して自分はこうしたいと未来図を公開、賛同者を得られたらクラウドファンディングのスタート、その成果に関係なく未来図に近付けつつある所も有るそうです。
 今の所は花壇にしたいと言った比較的お金の掛からない提案が多いみたいですが、広大な荒れ地をターゲットにしてくれた所では我々が思いもしなかった提案が出されて、担当者はその可能性を違った角度から模索しています。」
「中には無責任な提案も有るが、バーチャルマップの一角にリアルマップが有ることの意味は大きいと思うよ、世界中の人達が自分の国として考えてくれてるからな。」
「バーチャルは現実離れした国土になるのかと思っていましたが、意外とまともですね。」
「基本的な社会は常識的なのが良いのだろう、趣味のエリアが急速に広がっているから、そっちは混沌として行っても不思議ではないだろう。
 色々な意味でこれからなんだよ、まあ、国民になってくれた人達を様々なコンテンツで満足されられている様だからバーチャル千年王国は伸びると思うよ。」
「佐伯学長はその為に人材育成をして来られたのですね。」
「まあな、リアルな詩織が多くの人と接することは難しいが、たとえ映像であったとしても人生の節目に女王が登場したら国民にとって嬉しいことだと思ってな。
 それを充実して行く人材はまだまだ必要だけどな。」
「千年後の国民を意識しているのですから当然ですね。」
nice!(11)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

近衛予備隊-449 [高校生バトル-87]

「千年王国の千年女王に対して、賛否は様々みたいだな。」
「国王の概念を覆すものですからね。
 でも、国のシステムとしては悪くないと思っています。
 立憲君主制の王国に於いて国王はシンボル、そのシンボルが代替わりしないだけのことで、海外からの賓客も生身の国王にはいずれ会えなくなりますが、王子王女の歓迎で充分でしょう、実質的に国政を担っているのですから。
 教祖的存在としても、釈迦にしろキリストにしろ、その教えは長きに渡って伝えられる内に様々な解釈が加えられ様々な宗派が出来、宗派間の争いをしている宗教もあります。
 我らが女神さまは多くの映像を残していますので、百年後の信者も今の信者と同様、千年女王の姿を見ることが出来るのですから勝手な宗派は現れにくいでしょう。」
「ああ、その為に千年王国のシステムは現時点で思い付く限りのセキュリティーを施してあるだけでなく、バックアップサーバーは世界中に置いて有るからな。」
「物理的な攻撃も想定しているのですね。」
「リアル千年王国よりバーチャル千年王国を脅威と感じる指導者がいてもおかしくないし、既に目立つ存在になっているから様々な嫌がらせも考えられる。」
「簡単に王国の民となれますので、その辺りが心配です、法を破る者は即追放ですが。」
「そこはより強固な国にして行く為に千年王国のパスポートを持たないと入れないエリアを拡大して行こうと考えている、パスポート取得時に個人情報をしっかり教えて頂く方向でね。」
「そのパスポートは国際的に使えるのですか?」
「リアル千年王国とアビュニス王国では持ってれば優遇される、タリート共和国と遠江王国はこれから調整だな、観光の推進を考えたら周辺諸国でも千年王国のパスポートを持っていればビザなしで入国出来る様になると面白いかな。」
「そう考えるとパスポートの信頼性が問われますね。」
「ああ、ICチップを入れて今のパスポートより上等な物を考えているが、バーチャル国民に関しては居住国の戸籍データを最低限条件とするつもりだ。」
「かなり大変そうですが。」
「国毎で戸籍などのシステムが違うからな。
 千年王国のパスポートを取得出来る居住国は少しずつ増やして行けば良い、まずはしっかり準備してリアル千年王国の国民向けに新パスポートを発行する所からだ。」
「リアルとバーチャルでパスポートは変えるのですか?」
「基本同じにしたいと思ってる、国籍、居住国で分かるからな。」
「バーチャルの国民は二つの国籍を持つことになるのですね。
 その辺りは各国の法律と調整だろうな。
 今まで存在しなかったバーチャル国家を人々がどれだけ受け入れるのか、それを国際法上どんな扱いにするのか。
 我々は千年女王の存在だけでなく、多くのことを国際社会に問いかけて行くことになるのだと思うよ。」
nice!(10)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

近衛予備隊-450 [高校生バトル-87]

「バーチャル千年王国の国民が正式な国籍を取得出来るとしたら面白いですが混乱が起きそうです。」
「まあな、徴兵を逃れる為にとか、国民としてどこまで保護するのか、と言った大きな課題が有る。
 バーチャル王国を既存の国家と同等に扱って貰うのは難しいだろう。
 ただ、単にお遊び感覚で国民になる人と違い、女王に忠誠を誓いパスポートを取得しようと考える人が増えたら、それは大きな力に成りうると思わないか?」
「リアルな国境を越えた存在になりますものね、しかし百万人程度では影響力はないでしょう。」
「だな、一億人ぐらいに出来れば面白くなるのだが今の目標は十万人だよ。」
「パスポートシステムが完成しないと何ともなりませんが、詩織さまの信者に著名人もいることはご存じですよね?」
「リストは受け取っているが正直言って良く分かってないんだ。」
「著名ミュージシャンとファンとの関係は神と信者みたいなものも有るのです、その神が詩織さまに対して忠誠を誓い、バーチャル千年王国に於ける真の国民になる為パスポートを取得したと宣言したらどうなると思います?」
「後に続くと言うことか…。」
「バーチャル千年王国のコンテンツとして準備されている中には、そんなミュージシャンが是非にと協力してくれるものも有るのですよ。」
「王国のコンテンツは既に充実していて登録者が増えてるとは思っていたが、そう言ったコンテンツが正式に発表されたら更に増えるのだろうな。」
「間違いないです、平和を語り愛を歌う彼らと千年女王の関係が世界中の人に受け入れられたらと思っていますが、それだけに最初の演出が難しいと考えていまして。」
「演出か…。」
「一つ間違えると世界中の人に悪印象を持たれかねませんので慎重に準備を進めているのです。」
「う~ん…、確かにそうかもな、現時点でバーチャル千年王国のことを怪しげな存在だと思っている人もいるだろう。
 女王は女神さま扱いされているが、詩織を神と認めたくない宗教団体もいて中には攻撃的な連中もいると聞く、そんな状況から平和的に千年王国を広げて行くことが出来れば良いのだがな。」

nice!(13)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー
高校生バトル-87 ブログトップ