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夏休み-151 [花鈴-16]

「まだそう言う段階では無いのだけど、国道を通る人達をターゲットにと考えたら店の規模を大き目にしても良いとは考えていてね。
 営業内容が道の駅と被っても距離が離れていて問題ないと判断しているの。」
「特色は出せそうですか?」
「ええ、併設する菜園の野菜を自分で収穫するスタイルってどうです。
 文字通り採れたての野菜と言うことで。」
「いちご狩りみたいな感覚?」
「そうね、トマトやキュウリならその場で食べて頂いても良いかな。
 それなりの広さが無いと直ぐに売り切れてしまいそうだけど。」
「その辺りの管理は微妙かもですが試みてみる価値は有りそうです、そこでの売り上げを見込むより集客の一環と考えれば良いかもですね。
 菜園の規模と来客数のバランス次第ですが、その営業は日曜日だけでも良いかと。
 日曜日により良い物が多く収穫出来る様に調整してです。」
「成程、料金設定が難しくなりそうだけど検討してみるわ。
 本格スタートまでに色々試してみないとね。」
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夏休み-152 [花鈴-16]

「夏場は兎も角冬場の商品作物は限られますよね。」
「一応温室栽培を考えているのだけど、路地ものにしろビニールハウスにしろ人数や時間を制限して収穫して貰うことを考えれば良いのよね、収穫スケジュールをネットで公表して。
 収穫に掛かるコストや店への輸送コストを考えたら一般的な市場価格に合わせても利益は出そうだわ。」
「観光の一環として取り組むのであれば安くする必要はないですね。
 当初は価格を高めに設定し客足が伸びなければ値下げしたり提供する作物を入れ替えれば良いと思います。
 それと、もやし栽培キットなどの販売も考えては如何です?」
「良いかも、ジビエ中心に肉類の販売も考えてるのだけど普通のスーパーマーケットとの差を強調したいのよ。
 適正価格は分かりにくいけど、一般のスーパーであまり扱っていない商品で有れば少しぐらい高くても買ってくれる人はいると思うの。」
「薄利多売は考えていないのですね?」
「国道はそれなりの交通量が有るけど、だからと言って多く売れるかどうかは分からないし、そもそも薄利多売の発想が日本経済にマイナスだったと話す経済学部生がいましたよ。」
「かも知れません、販売価格を下げる為に人件費を抑えることが市民の購買力を落とすと言う悪循環を起こすと考えることの出来ない経営者が多過ぎたと思います。」
「商品価格って微妙なのよね、店ごとに違っていても買う人にとっては金額よりも店の利便性が重要だったり、観光客なら価格より興味の有る無しが大きく影響するでしょ。」
「ですよね、より安いスーパーで買う為に労力を惜しまない人もいますが、少しばかりの価格差を気にせず、その労力を他に活かしている人も少なく無いですからね。」
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夏休み-153 [花鈴-16]

「将来的にはお客様が自分で収穫する菜園を発展させ、野菜のことを学習出来る農業公園に出来たらと考えていて、その為には充分な収益を上げられる体制を整えて行く必要が有るの。」
「なるほど、その為の土地は充分有るのですね。」
「耕作放棄地はこれから増えそうで、その辺りを我が社で一括管理出来ないかと調べて貰っているの、単に商品作物を栽培するより、農業体験出来る公園として整備した方が付加価値を付け易いでしょ。」
「確かにそうですね、どれぐらいの規模を想定してるのです?」
「最終的には今有るここの農地全てを農業公園にしたいかな。
 農家の後継者問題が有るのだけど、後継者がいたとしても株式会社の社員になった方が安心出来るシステムを構築してね。」
「株式会社にして農業に取り組む動きは有りますが、そこに農業公園化と言う要素を組み込んで収益アップを図るのですね?」
「農業公園とすればあまり流通して無い品種の栽培にも取り組み易くて、利益率を高められる可能性が有るでしょ。
 栽培の難しいものでも作付面積を増やさなければリスクが少なくて済むし、花も販売したいかな。」
「しっかりしたビジョンが有るのですね。」
「まだ、農家の皆さんに話し始めたばかりですが、引退を考え始めた方の中には協力を申し出て下さる方もいるのですよ。」
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夏休み-154 [花鈴-16]

「もう随分土地の人達と馴染んでいるのですね。」
「そうね、始めは全然だったけど、絵梨とお祭りに参加したりしている内に知り合いが増えたかな。
 絵梨が積極的に話し掛けてくれたおかげでね。」
「挨拶程度の付き合いでは無いのだよね?」
「絵梨は小枝子さんから情報収集と言うミッションを与えられていて、それがお小遣いに直結。
 だから色々質問する絵梨と一緒にいる私も色んな情報に接することに。
 ここの人達は私達と話すのが嬉しいみたいで、お菓子や果物をくれるのよ。」
「可愛い孫の様な存在なのでしょう、ここの人達も株式会社花鈴に興味が有るのだと思います。」
「ええ、バカ息子に遺産を残しても碌な使い方をしないだろうから、出資したいと言って下さる方もいらして、上場企業では無いので売買しにくいのですが配当が出る様に協力するからと。
 今はその辺りのことを社員に検討して貰っています。」
「う~ん、株式会社花鈴を中心とした共同体が構築されつつ有るとは感じていましたが、より結びつきの強い形になりそうですね。」
「ええ、昔の村落共同体と形は違うものの皆さんと協力してこの地を盛り立てて行けたらと思っています。」
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夏休み-155 [花鈴-16]

 藤井さんと長話をしていたのはクワガタ捕りをパスしたから。
 朝早くから山道を登るだけの根性は私にない。
 そもそもクワガタは皆が捕まえて来たのを見るだけで充分だ。
 居残り組で朝食の準備を終えた所へ腹をすかせた連中が帰って来た。

「大賢者、成果はどうだった?」
「捕まえたノコギリクワガタの勇姿を見てくれよ。
 如何にも強そうで恰好良いだろ。」
「おおっ、男の子達が欲しがる気持ちが分かるわ。
 沢山いたの?」
「沢山ではないけど僕はこの二匹を選んだ、他の子達も無駄に死なせるだけだからと控えめでね、環境が整っていれば少しぐらい多めに持ち帰っても大丈夫なのだけど、売る為に沢山捕獲する人もいるから微妙だとか。
 僕らが捕りに行った所は許可を受けた人以外入山禁止だから荒らされて無いのだけどね。」
「売れるんだ。」
「見ての通りカッコイイからね。
 でも、このノコギリクワガタは寿命が短くて、この番で繁殖を試みるつもりなんだけど上手く行くかどうかは神のみぞ知る所。」
「そっか、繁殖に成功したのを売るのは有り?」
「それは問題ないと思う、でも、買って来たクワガタなんて味気ないと思うぞ。」
「私達の店では田舎ならではの商品を多く扱いたいのよ。
 ちっちゃな子だと自分では捕りに行けないでしょ。」
「付き添ってくれた人が虫捕りを通して生き物の命に付いて考えてくれたら嬉しいって話してた。
 ただ売るだけと言うのはどうかな。」
「そうね、その辺りは売り方を工夫して自然についての教育活動に繋がる様な…、来年の夏にはクワガタをマジで売ってみたいかも。」
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夏休み-156 [花鈴-16]

「売るとなると大変だと思うけど、ただ売るのでは無く幼虫から観察出来るスペースが有ると良いかな。
 副業としてオオクワガタの養殖をしている人もいるみたいだから有りだとは思うよ。」
「オオクワガタは高く売れるの?」
「ネットオークションではそれなりの価格で売れるみたい。
 でも、価格に関係無くノコギリクワガタやミヤマクワガタも扱って欲しい、沢山売りたいのならカブトムシもね。」
「大儲け出来なくても利益が出せれば良いのだけど、どう?」
「クワガタで商売なんて考えたこと無かったから良く分からないけど売れるとは思うよ。」
「夏休みの自由研究向けとして参考になる本を並べたら親としても価値を感じられないかしら?」
「花鈴姫はそんな考え方をするんだ。
 それなら確かに売れると思うし、お父さんが欲しがるケースも有るだろうな。
 クワガタにはロマンが有ると語る大学生がいたから。」
「ロマンね…、良く分からないけど、自分で繁殖を試みられるキットとか作成して販売したら売れるかしら?」
「微妙かな、繁殖にトライした人が成功したとアピールしてくれたら売り上げが伸びるかもだけど、失敗する人や途中でやめる人が多そうだろ。」
「それも経験だと思って貰えば良いのでしょ。」
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夏休み-157 [花鈴-16]

「でもさ、今回のキャンプでは命について考えて来ただろ。
 寿命が短いとは言えクワガタの命だって大切に考えるべきだと思うんだ。」
「そうね、その辺りのことは強調すべきだと思う。
 猪と言う種が増え過ぎて人間が調整しようとしてるのだけど、生存本能の有る個体にとっては迷惑でしかないのよね。」
「うん、生態系のバランスとかも考えさせられたな。
 もしニホンオオカミが絶滅していなかったら鹿や猪は今ほど増え過ぎていなかったとか。」
「でも、ニホンオオカミが鶏などを襲う被害を考え人間が駆除しようと考えた一面も有ったのでしょ。
 絶滅の原因は色々みたいだけど。」
「自然界は基本弱肉強食なのだけど、天敵がいなくなるとバランスが崩れてしまう、猪や鹿は食べられてしまうことが前提だったのか繁殖力が強いから、人間にとって迷惑なレベルで増えてしまった。
 だからと言って今更オオカミを輸入して野に放つなんてことは別の問題を引き起こし兼ねなくて出来ない、人間が頑張ってコントロールするしかないのだよな。」
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夏休み-158 [花鈴-16]

「ねえ大賢者、クワガタの販売によって自然を学ぶ切っ掛けには出来ないかしら?」
「販売の前にクワガタの養殖が上手く行くかどうか気にならないのか?」
「難しいの?」
「生育に適した環境を用意し天敵や寄生虫の問題をクリア出来たら良いのだけど…。」
「天敵や寄生虫から守れるかどうかが問題なのね。」
「そこをクリアして生育に適した環境を作り上げることに成功したら難しくは無いと思う。
 う~ん、東山動植物園ではクジャクなどを飼育してる所へ人が入って行けるのだけど、そんな感じに出来たら面白いかもな。」
「あのパターンか、それなら木に留まってるクワガタを自分で捕まえて貰う形にしても良いわよね。」
「こっそりポケットに入れてしまう人がいそうだけど。」
「その辺りのシステムは検討するけど、小さな子でも自分で捕まえられたら嬉しいでしょ?」
「入り口で虫かごを渡し出口で精算か、クワガタのロマンは半減するけど、ちっちゃい子がクワガタに親しんでくれるのなら有かもな。
 どうせなら広いエリアに何種類かの採集出来る昆虫がいたら、いや思い切って大きな檻の中に川を作ってカエルとかもいる空間に出来たら面白いだろうな。」
「そうね、販売だけでなく入場料を取れるぐらいのレベルにするのは有かも。」
「でも建設費が嵩むぞ。」
「そんなのここのシンボル的な施設に出来たら安いものよ、中途半端にちゃちな施設を作るより、他には無いものを建てた方が初期投資額が増えてもリターンが大きくなるのよ。」
「リターンか…。」
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夏休み-159 [花鈴-16]

「クワガタをメインにしたいけど他の生き物も積極的に考えてみたいわ。
 お勧めは有る?」
「現実的では無いかもだけど蝶が乱舞するとか、どう?」
「微妙ね、モンシロチョウの様にキャベツを餌にする様な蝶は、逃げ出した個体が周辺の農家に迷惑を掛けかねないでしょ。
 クワガタの良い所は逃げても迷惑が掛からない所なの。」
「成程、確かにクワガタは農作物に害を与えない、ならば、農作物に害を与えない昆虫や小動物を選べば良いのだね。
 う~ん、絶滅危惧種の繁殖を試みるのは有りなのか?」
「そうね、逃げ出しても問題が無いものなら、むしろ積極的に取り組みたいぐらい。
 教育的な価値が高ければ親たちは子どもを連れて遊びに来てくれるでしょ。」
「じゃあ、何を繁殖させるかはキャンプが終わってから皆で検討するとして、施設のイメージは巨大な虫カゴになるのかな?」
「風通しが良くないと匂いの問題が出て来そうでしょ。
 より自然に近い環境で天敵から守れたら良いのだけど、寄生虫の問題が有るのよね。」
「うん、ダニとか、そっちの対策は見た事あるから整理しておくよ。
 でも売ることを前提にして繁殖を考えるとなると、どんな問題が出て来るのか見当も付かないよ。」
「最初から上手く行かなくても良いの、試行錯誤から学べることは多いと考えてるからね。」
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夏休み-160 [花鈴-16]

「だったな、でも、余計なお金を使わず事業を軌道に乗せたいのだろ?」
「理想はね、ただ、ボランティア感覚で手伝うと言ってくれる人が増え始めてるから、気持ち的に少し余裕は有るのよ。」
「ボランティアか。」
「この地を賑やかにしたいと考えてる人は少なく無いの、職場を増やして子や孫には自宅から通える所で働いて欲しいとね。」
「花鈴姫の会社は社員募集を始めたのだろ?」
「実績がないから、まだ応募が少なくてね、今はあまり儲かりそうに無い事業がメインだから仕方ないのだけど、これから色々チャレンジして行くから人材は必要、ボランティア頼りではなくね。」
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