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新ブランド-01 [安藤優-07]

話は優が坂本社長の家を訪問してから数日後に戻る。
彼は坂本絵里と会っていた。

「私達の作った物が売れなくても良いって、どういう事なの?」
「絵里にお願いしたいのは準備段階なんだ、そうだね見本を示すという感じかな、今は五人でスタートだけど将来的にはかなりの規模に拡大するつもりだからね、まずは新ブランドを立ち上げるけど、その問題点を探りだすサンプル的な意味合いも有るんだ。」
「私の役割は?」
「まずは今のメンバーをまとめて試作をどんどん提示して欲しい、そうだな絵里には特別にブランド名を決める権利を上げようかな…、でもひどかったら却下だからね。」
「嬉しいような怖いような…。」
「新ブランドは、中高生にとって、遊び感覚だったり、自分の力を試す場だったりと考えている、皆で作るブランドという感じかな、でも女の子が何を考えてるかは良く分からないから頼むね。」
「はい、承知しました。」
「はは、話す時は今まで通りにしてね、それと母さんからも、皆の学習の妨げにならない様にって言われてるけど大丈夫?」
「真面目にやってるから大丈夫、でも、優くんがお母さんの事話すの珍しいわね。」
「そうかな、まあ今回は女の子が中心になるから、相談もしてるけど。」
「優くんもそろそろ反抗期じゃないの?」
「多少はね、でもコントロール出来てるよ。」
「さすがに社長ともなると違うのね、弟なんて扱いにくくて困ってるのに。」
「ほかっとけば良いんじゃない、うちの両親は揃って僕を信頼してくれているからね、細かい事は何も言わないから自分で判断するしかないんだ。」
「そっか、さすがだなぁ~、うちの父さんは細かい事気にしない人なんだけど母さんがね。」
「はは。」
「あっ、連絡はどんな形で?」
「基本的には担当の木下さんへ頼む、メールや電話は今まで通り秘書宛で、但し優先順位が上がったから、内容の無いメールはNGだよ。」
「優くんは携帯とか持たないの?」
「持つと大変な事になりそうだからね、父さんも随分前にやめたよ。」
「残念だな~、もっとお近づきになれると思ったのに。」
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新ブランド-02 [安藤優-07]

翌日午後、出社した優を迎えた木下は。

「殿、自分は坂本社長の方を一気に推し進めます、新ブランドの方は、広報部からの移籍で研修がもうすぐ終わる、片山理沙さんにお任せしようかと思うのですが如何でしょうか。」
「そうですね、坂本さん関連の資料を見ましたが片手間では時間が掛かりすぎます、藤吉郎さんの方でチームを組んで下さい、新ブランドは片山さんにお願いしましょう、資料を一通り見て頂いてからお会いしたいと思います、絵里には連絡先の変更を伝えて下さい。」
「分かりました、片山さんには資料を見て貰いましたので何時でもOKです。」
「う~ん、今日は新ブランドに関する作業を進めるつもりでしたから、今からでも良ければ…、部屋は空いてますか?」
「はい、すぐに用意します。」

十分後、優と片山、簡単な挨拶の後。

「社内では、社長とお呼びしないと伺いましたが、どうお呼びすればよろしいですか?」
「優くんと呼んで下さい。」
「えっ、少し抵抗が有りますが。」
「この企画のスタートに参加する女子中高生全員優くんと呼んでくれてます、男子は優、だったり安藤だったりですが。」
「分かりました、私の事は理沙と呼んで頂けるのですか?」
「ええ、社内ではすでにそう呼ばれているのでは?」
「はい。」
「では本題に移りましょう、企画案を見て如何ですか?」
「面白いですね、単に短期的収益だけを目的とせず、将来の購買層を取り込むというのは大きいと思います。」
「まずは具体的なスケジュールを組んで頂きたいのですが。」
「はい、でも絵里さんからのサンプルを受け取って試作を作るといった事はどこに問い合わせれば良いのですか?」
「宇野さんか中田さんに聞けば問い合わせ先を教えてくれます、他の社員でもある程度は把握していますが、この二人に相談するのが一番早いです、どちらに相談するかは気分で良いですよ。」
「分かりました、スケジュール案が出来たら、しゃ…、優くんに見て頂けばよろしいですか?」
「そうですね、その前に矢崎さんとも相談しておいて下さい、自分のスケジュール管理をお任せしていますので。」
「分かりました。」
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新ブランド-03 [安藤優-07]

約束していた日に絵里から三十点ほどのデザイン画を受け取った片山は、それを試作品作成へ回した。
数日後、完成した試作品を前に。

「優くんどうです?」
「う~ん、良く分からないけど良いんじゃないかな、モデルは絵里達引き受けてくれた?」
「はい、もう歩き方がどうとか目線はとか、盛り上がってました。」
「新ブランド立ち上げの発表はうまく行きそうかな。」
「一つのイベントとして広報部や制作部と調整済で予定通り進めていますから大丈夫かと、皆手慣れたものです、ネットのシステムも完成して、今は問題がないかチェックしている段階で、余裕を持ってスタート出来そうとの事です。」
「ロゴが仮だという事は?」
「中学生デザイナーの方に伝えて有りますし、サイト担当にも正式決定後に差し替え易い様にして貰いました。」
「発表当日のプログラムに変更は有りませんか。」
「ええ、先日見て頂いた通りで、絵里さん達ともリハーサルをして有ります、優くんに言われた通り多少ミスした方が素人っぽさが出て良いとも伝えさせて頂きました。」
「楽しんで貰えれば良いけどね。」
「ブランド名が、You&優に決定したと話したら絵里さん喜んでましたよ。」
「優ってとこがちょっと照れくさいけど、秘書を通して僕の友人達に軽くアンケートをとって貰ったら、皆、賛成してくれたからね。」
「優くんのブランドって感じで、女の子なら興味を持ちますよ。」
「うん、今回はちょっと表に出ようかと思う、まあ自分でやれば色々安上がりだからね。」
「やはり利益が出るまでに時間が掛かりそうですか?」
「応募作品次第かな、短期的な予想は難しいね、でも長期的に考えれば、それなりの結果が出せると思うよ。」
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新ブランド-04 [安藤優-07]

新ブランド、You&優の立ち上げ発表会には多くの記者が詰めかけた。
少年社長として有名なだけでなく、ルックスも良くかなりのファンもいる割に公の場に登場する事が少なかったので、色々なメディアの記者が集まっても不思議ではない。
進行役が軽く会の流れと注意事項をアナウンスした後、優の登場をコール、拍手に迎えられ優の登場となる。

「本日はお忙しい中、多くの方々にお集り頂きまして有難う御座います、時間も限られておりますので早速本題に移らせて頂きます。
株式会社つぼみでこの度、新ブランドを立ち上げる事になりました、ブランド名はYou&優です。」
スクリーンにYou&優と映し出される。
「You&優の特徴は中高生参加型という事です。
扱う商品は主に中高生向けと考えていますが、その商品のデザインは中高生に考えて貰います、分かり易くする為にモデルに入って貰います。
女子中学生達がデザイン画を持って入場、皆緊張の面持ち、最後に入場したのは絵里だ。
「彼女達が持ってるデザイン画は彼女達自身が描いたものです。
今回はグループで作成して頂きました、手にしているのは、彼女達が描いたものの中から、お互い意見を出し合って修正し、選んだものです、絵を持たずに立ってる子がそのまとめ役です。」
はにかみながら会釈する絵里。
「もうお分かりと思いますが、彼女達が着ている服やバッグは彼女達のデザインを元に作られた物、自分が着たいと思うデザインが形になって喜んで貰えました。
You&優で扱う商品はこんな形で出して行きますが、もちろん売れない商品を出す訳には行きません。
そこで商品化に向け、彼女達が行った作業を全国の中高生に広げます。
まず、学生デザイナーを募集します、無料で登録出来ますが保護者の方と学校サイドの了承を必要とします、特殊な事情が有る場合は考慮させて頂きます、個人参加もグループ参加も受け付けます、詳しくはネットで紹介させて頂きます。
デザイン画のレベルはモデル達が手にしてる物と同等かそれ以上でお願いします。
絵だけではなく実際の形になった作品も歓迎します。
応募して下さったデザインが商品化された段階でデザイン料を支払わさせて頂きますが、そこまでのステップとして、まず基礎審査が有ります、これはデザイン画の質、類似する商品が存在しないかといった事が基準となります。
基礎審査を通った作品はネット上に公開させて頂きます。
これに関連して、You&優、一般会員を募集します、この一般会員も中高生に限定させて頂きます。会員になって下さった方々には作品に対してネット投票して頂きます、どのデザイン画の商品なら着てみたいという感覚でお願いしたいです、投票時には購入するとした場合の服のサイズとかも入力して頂きますが、購入を強制するものではは有りません。
一般会員の特典やルールに関してもネット上に公開します。
ネット投票の結果多くの得票を得た作品を商品化して行きます。
さて…。」

企画の概要を説明していく優、この説明は三十分近く掛かった。
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新ブランド-05 [安藤優-07]

会は質疑の時間となる。

「今回の企画は商品価格の内訳などを積極的に開示する事で、教育的効果も狙うとの事ですが、その効果はどの程度とお考えですか?」
「効果の程度は簡単に判断できません、基準も有りませんので。
ただ…、そうですね身近な経済と言いますか、物の価格は同じ物が店によって違っていたりもします、消費者で有れば基本的により安いものを求めるのが自然かもしれません、でもその背景を考えて欲しいとも思うのです、簡単な事では有りませんが。
粗悪な物が安価なのは当たり前かもしれません、しかしきちんと作られた物が必ずしも評価を得られていない場合も有ります、薄利多売の裏に劣悪な労働環境が有った事も聞いています。
父も色々な経済活動に関して若い世代に教育が行き届いていないかもしれないと申しておりました。
例えば…、結構勘違いしている子がいるのですが、一万円で買った物が一万円で売れる訳では無いという事です。
通常の流通システム外なら売れるかもしれませんが、普通の業者は一万円では買い取らないですよね、販売コストを考えたら。
私達はこういった経済活動についてもっと知って欲しいと考えています。
また、今までも父の主導で割高な国産の割りばしを使ったり、コストが掛かっても廃棄物の再利用を促進してきた桜根の姿勢を考えて欲しいと思っています。
それと一つの商品に多くの人が関わっている事も知って欲しいと考えています。」
別の質問者が。
「しかし、少年社長は経済の専門家でもなく、どれだけの成果が出せるのか疑問ですが。」
「そうですか、え~っとどこの記者さんでしたか?」
記者は雑誌の名を口にする。
優はその出版社を確認した後。
「申し訳ありません、本日の本題からそれますので、後日、場を設けたいと思いますが如何でしょうか。」
「えっ、ああ、勿論構いません。」
「社名とお名前を、秘書に確認して貰いますので、もう一度よろしいでしょうか。」
記者が応えた後。
「では経済教育問題に関する討論の場を設けさせて頂きます、他社の方にも参加して頂いてよろしいですね。」
「ええ、もちろん。」

後日、公開での討論会が開かれ、結果、この記者は自らの不勉強をさらす事となる。
逆に優のレベルの高さを世間に再認識させる事になり、彼に対してより注目を集めるきっかけともなった。
ブランドの宣伝効果に繋げるべく、優が即興で考えた討論会の模様をマスコミ各社が競って取り上げたのは、彼の計算通りだった事は言うまでもない。
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新ブランド-06 [安藤優-07]

発表から数日後。

「理沙さん、作品の応募はどう?」
「まだ商品関係の応募は有りません、作品を仕上げる時間、登録の手間の事も有ると思います、さらにグループ参加の場合は違った準備も必要ですし、ロゴの方は数点届いています。」
「手間が掛かる分いい加減な人の参加は抑えられると思ってはいるけど、どうかな、商品の一回目締め切りまでは、しばらく様子見かな…、春休み、二回目の締め切りがポイントになるのか…、でもあまりにも参加者が少なかったらCM展開を考ようか?」
「たぶんそこまで少なくはないと思います、優くんのお友達高校生チームが絵ではなく完成した物を早目に応募と考え作成して下さっています、完成品の応募が有ったという情報だけでも、皆さんの刺激になるのではないでしょうか。
問い合わせからは、高校の部活の一環で取り組みたいとの声も届いていますし、正式なロゴが投票で決まってからと考えている人もいるようです。
それと絵里さん達と作成した説明動画の再生数がかなりの回数になっています、まあ、絵里さんが可愛いからかもしれませんけど、でも動画に対しての質問も結構投稿されていて、絵里さん目当てだけではなさそうです、質問の中には十九歳だけど参加出来ないかというのも有りましたが。」
「上の世代も悪くはないけどプロが絡んでくるかもと思ってね。」
「可能性は否定できません。」
「商品としてだけなら悪くないけど、中学生、高校生はコンテストの意味合いが強いからね、やるとしたら別ブランドかな、まあ、今は丁重にお断りして下さい、ただ専門学校や大学生を含めて別の展開も考えていますと匂わせて下さっても結構ですよ。」
「分かりました、先日話しておられた件ですね。」
「まだ、発表できる段階じゃないから具体的な事は内緒にしておいて下さい。
ロゴ作品の方は審査作業を始めますか?」
「はい、受け付けたものから、類似する物がないかすでに調べ始めて貰っています、その結果のNG作品とその理由は明日から公開します、早目に発表した方が今後のNGを減らす事に繋がると思いますので。」
「作品の方も同様に出来そうですか?」
「桜根本社にお願いして有り、大丈夫との返事を頂いています、場合によっては増員も検討して下さるそうです。」
「権利関係は難しいからね。」
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新ブランド-07 [安藤優-07]

ロゴの募集が締め切られた翌日。

「優くん、ロゴは締め切りました、締め切り間際に送られたもののチェックが済み次第公開です、予定通りに行けそうです。」
「理沙さんの感覚で良いの有りましたか?」
「中高生でも皆上手ですねプロかと思うぐらいです。」
「不正がなければ良いのだけど。」
「一応上位になった作品は確認調査をする手筈にはしてあります。」
「完璧に出来るかどうか分からないけど気休めにはなるね、NG作品は多かった?」
「規定を守ってない、既存の物に類似するといったNGは三割ぐらいです。」
「うん、早めにNG例を提示したのが良かったかな、もっと多いと思ってたよ。」
「単純な物だとNGになり易いと気付いたのか、NG例を提示した始めた後は凝った、個性的な作品が増えた気がします。」
「なるほど、そういう効果も有るのか、残ったのは何点ぐらいかな?」
「六百点ほどです。」
「無作為に十二のグループに分けて第一次投票、各グループの上位三作品を集めて第二次投票、上位十作品で本選だね、投票が盛り上がってくれると良いけど、投票に参加してくれたお礼はあの程度で良いのかな。」
「優くんの写真ですからね、皆欲しいですよ、ネットでの質問でも写真についての質問やお願いが結構有りましたから。」
「そういうものかな、女の子は何を考えているのか…。」
「男の子でも欲しいみたいですよ。」
「う~ん、妹にでも上げるのかな、うちの妹達は欲しがらないだろうけど。」
「わ、私も頂いてよろしいですか?」
「えっ? だめですよ不正は、理沙さんには資格がないのだから。」
「え~、ケチなんですね。」
「配るのとは違う写真にして下さい。」
「有難う御座います!」
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新ブランド-08 [安藤優-07]

ロゴは投票の結果一位二位に高校生の作品が三位には中学生の作品が選ばれた。

「理沙さん、投票してくれた一般会員は何人ぐらいになりましたか?」
「一万七千人です。」
「行けそうだね。」
「ここまで資金が出る一方ですが、回収出来そうですか?」
「その内の何割かは商品を購入してくれるだろう、おまけに写真でも入れるかな。」
「あ、これまでの応募で、着て欲しい人指定の企画は、断トツで優くんご指名が多いです。」
「あれは、桜総合学園芸能部メンバーを意識したのだけど。」
「自分が着たい、持ちたいより、特定の人に着て貰いたいという企画は、選ばれても得られる金額は少ないのですが、やはり夢が有るのでしょうね。」
「一般向けに販売出来ない様なのばかりなのかな。」
「沢山は売れないでしょうね、コスプレ系が多いですから。」
「うっ、それを着なくちゃいけないのか。」
「もちろんファンサービスですから、ファッションショーの主役は、優くんで決まりですね。
生写真を売ったり、おまけにした後はオークションにかけて、そこから必要経費を引いた残りは学生の実習や研修の費用にしますから、高値で売れる様に、中高年の方へのアピールもお願いしますね。」
「あ~、自分で決めた事だから断れないのか…。」
「良いじゃないですか、アイドルの道を歩いても。」
「歌や踊りは断固拒否するよ。」
「バイオリンでも弾いて女心をくすぐれば良いですよ。」
「う~ん、最近人前で弾いてないな…、えっと、ロゴで勝ち抜いた人達の賞金授与とかはどこになるのかな?」
「大分、広島、青森です。」
「見事にばらけたね、それぞれの映像撮影条件とかはどう?」
「一位の大分の子は、顔出しOKで名前の公表希望です、将来デザイン系で働きたいとの事でその実績にしたいそうです、二位の子は名前だけなら、顔は恥ずかしいそうで、三位の子は後ろ姿ぐらいならとの事でした。」
「調度いいね、じゃあ大分に行こうか、他は現地の桜根支社にお願いしよう、映像も簡単で良いからお任せだね、大分はきちんと取材する様に指示を出して下さい、日程の調整もお願いします。」
「分かりました。」
「当日のプログラムは少し考えてみますので後ほど。」
「はい。」
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新ブランド-09 [安藤優-07]

二週間ほど後、大分へ向かう飛行機の中で。

「優くん、サンプル的に投票出来る形にしていた、絵里さんグループの作品の中でポーチが五千票近くになったのですが、他も多いのは三千票とか二千票とかになりました。」
「う~ん、実際に始まったら上位からと考えていたけど、サンプルなんだよな…。
じゃあ友人アンケートを実施して貰おうか、欲しいかどうか、売れそうかどうかのね、僕の友達全員に答えて貰えば、アンケートのサンプル数としては充分なんだ、有る程度得票している物に関して…、アンケート対象の作品は理沙さんにお任せします。」
「分かりました、川北さんにお願いしておきます、でも、商品化した場合どの程度売れるでしょうね?」
「アンケートの結果次第だけどYou&優は注目を集めつつ有るから、少しは売れると思う。」
「少しですか。」
「今までの桜根とは対象が違うからね、あえて中高生にとっては若干高めな価格設定にして、どの程度売れるかの実験的な要素もある、質は当然落とせない、だからおまけが重要なんだけど。」
「でもこのポーチなら大人でも使えます。」
「理沙さんは売れると思いますか?」
「ええ、ちょっと背伸びをしたい中高生だけでなく上の世代にも、You&優のロゴをマッチさせればですが、今なら話題性も有りますから。」
「それならポーチは高校生チームと中学生チームにロゴを組み合わせての作品に出来るかどうかの打診をして下さい、アンケートの結果が良かった作品も同様にお願いします。
相談して締め切りを設け、締め切りまでに良い物が完成出来なかったら、今のままの形で商品化しましょう。
ある程度の案が出たら中高生のチームには、採用しなくても謝礼をお願いします、今回はこちらからの依頼ですから。
案が出た場合の最終決定は社員で行って下さい、良いのが複数有ったら一つに絞り込む必要は有りません。
当初は予定していませんでしたが、正式投票の結果が出て商品化されるまでの繋ぎにもなります。
実際に買える商品が早目に完成する事の意味は大きいと思いますよ。」
「初回の販売数はどれくらいにしましょう。」
「ポーチは五千個にしましょうか、桜根直営店にYou&優のコーナーを置いて貰う話を進めています、企画の意図も解る様にディスプレイする準備も始めて下さい。
基本は中高生対象ですから、ネットで申し込んで桜根直営店で受け取るという形も試してみたいです、今まで直営店を利用した事のない人達に直営店への来店を促す事もYou&優の目的の一つですからね。」
「動きが一歩早まる訳ですね、販売は国内だけですか?」
「限定する必要はないか…、そうなると少しレア物になるけど、売れ行きを見て追加という形で行こうか…、第一回販売数量限定という形が良いのかな…もう少し考えてみるよ。」
「今回の企画は日本の学校に在籍する事を条件にしていますが今後はどうされます?」
「状況を見ながら国単位で広げて行けたら面白いだろうね、でもまずは日本で初期投資を回収するぐらいまでは成功させないと。」
「そうでした。」
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新ブランド-10 [安藤優-07]

株式会社桜根、大分支社の会議室。
You&優ロゴコンテストで一位になった佐伯留美は緊張の面持ちで待っていた。
テレビカメラが自分に向けられている事が彼女の体を硬くしている。

「佐伯さん、社長はまもなく到着しますからね。」
「はい、え~っと、どんな話をすれば…、私は…。」
「特別な事は有りません、式もすぐ済みますから。」

周りのスタッフも本番に合わせ動き出す。
そこへ、優達が入って来る。
「うわっ、可愛い~。」
佐伯の口から思わず漏れてしまったその言葉はしっかりマイクに拾われていた。
式は簡単なもの。
「佐伯さんおめでとう、そして素敵なロゴを有難う御座いました。」
「は、はい、有難う御座います。」
佐伯が優から賞を受け取り契約書にサインをして式は終わりだが、その後に対談の時間が設けられていた。
質問を促されて、緊張気味に話し始める佐伯。
「社長さんって大変じゃないですか?」
「社員が優秀ですからそうでもないですよ、佐伯さんはデザイナー志望と聞いてます、デザイナーの方が苦労が多くないですか。」
「まだ分かりません、でも今回一位にして貰えて自信になりました、今後の学費の足しにもなりますし、賞金だけでなく今後一個売れたら一円頂ける契約にして下さって楽しみが増えました。
優さま中心にこのブランドが伸びたらYou&優の商品がどれぐらい売れるか、売れ続けるか想像しただけで楽しいです。」
「でしょ、これから登場してくるデザイナー達が頑張ってくれたら楽しいですよね、今回、賞金だけにしない契約とさせて頂いたのは夢を乗せたかったからです、もちろん佐伯さんが気付いたら何百万円というのを目標にしてますからね、ただ結果が出るのは随分先の事になります、先走って無駄遣いはしないで下さいね。」
「はい、これからの学費にしますから無駄遣いは出来ません。」
「とりあえずこのロゴを付けた試作的な商品発売を決定しましたから、近い内に幾らか振り込ませて頂きます。」
「おお~。」
「でも賞金も含めて非課税では有りませんから気を付けて下さいね、所得税の申告が必要になります。」
「そんな話聞きました、色々難しいのですね。」
「はは、頑張って税金を納めて下さい、佐々木総理は税金の無駄遣いを随分減らしました、沢山稼いで税金を沢山納める事で、もっと良い国になります。」
「佐々木総理とは今でも会われる事有るのですか?」
「有りますよ、総理はこっちの都合を忘れる事も多くて困りますが、ちっちゃい頃から可愛がって貰って来ましたから。」
「う~ん、私も、もうすぐ選挙権が貰えますから、政治も勉強します。」
「もうすぐ高校卒業なんですね、ならば別の企画で参加のお誘いをさせて頂くかもしれませんがよろしいですか?」
「もちろんです、どんな企画ですか?」
「それはまだ内緒です。」

しばらく対談が続いた後二人で写真の写真を撮って終わりとなる。
その写真が佐伯留美の宝物となったのは言うまでもない。
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