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神沢祐樹-81 [高校生会議2-17]

「絵美、システムを介して情報交換は出来てると思うが、昨日親父と話していて、社員同士顔を合わせてのコミュニケーションも大切な気がして来たよ。」
「そうですね、先日撮影を手伝って下さった方とは直接お話が出来て良かったです。
それまで声を聞いた事もなく、お顔は写真でしか知らない方でしたが、実際にお会い出来た事によって、その方が書かれた報告の内容を受け止め易くなった気がします、微妙な感覚ですが。」
「分かるよ、ほとんど知らない人と、知り合った人の差だな。
それでね、少し調べてみたら、うちみたいに社員がバラバラの場所で働いている会社は、遥香システムを活用していても、それぞれ工夫して同じ部署で働く社員同士が交流する場を作っているみたいなんだ。」
「それはうちでも取り入れるべきですね、ただ、柿川に住んでいらっしゃる方は容易だと思いますが、問題は遠方にお住まいの方です。」
「ああ、将来的な事業拡大を考えると、遠くの人とも意識にずれが生じる事の無い様にしておきたいと思う、でも移動の時間や経費を気軽に使える状況では無いよな。」
「色々ハードルが有ります、まずはテレビ電話を利用してとかは如何でしょう?」
「そうだな…、趣旨を説明し検討して貰おうか。」
「はい、ですが、テレビ会議という事になると少し違ってしまいます。」
「そうだね、もちろん必要が有ればテレビ会議を開いてくれても構わないが…、大人達だから、仕事帰りの飲み会という雰囲気で交流してくれると良いのだけど。」
「お好きな飲み物や食べ物を用意して…、テレビ電話での歓談という感じに上手く出来ますでしょうか?」
「試して貰おう、俺達だって酒席には参加しにくいが、そういう形なら問題ないだろう。」
「そうですね、うちでのホームパーティーならお酒を召し上がって頂いても大丈夫なのですが。」
「あっ、会社の幹部になって下さる方とは早めにそういう席を設けたいね。」
「分かりました、総務部長と相談しておきます、テレビ電話を通しての交流も彼女なら、その意味を理解して下さると思います。」
「ああ、頼むよ、会社の創立パーティーも、遠方の方には映像で見ていた頂く予定だが、もう一歩踏み込んで、映像を通して自己紹介とかお願いしても良いのかな、時間的にはどうだろう?」
「予め録画して置けば大丈夫では無いでしょうか、一人一分とすれば十五分で済みます。
会場の方々は部署ごとに済ませる予定ですので簡単です、来賓の方の挨拶は長引くのでしょうか?」
「大丈夫だと思うよ、簡潔な挨拶をして下さる方を選んでおいたし、長引いたら俺達の歌を削ると伝えて有るからね。」
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神沢祐樹-82 [高校生会議2-17]

「白川副社長、本日はお招き下さいまして有難う御座います。」
「長澤部長、今日はゆっくりしていって下さいね。」
「は、はい…。」

「…、では、会社創立記念パーティーの準備は大丈夫ですね。
簡単ですが、予定していた確認作業はここまでとします。
後、幹部の皆さんから見て遥香システムには上がって来ていない様な問題とか有りませんか?」
「私共より、神沢社長は如何ですか、戸惑われる事もお有りかと思いますが。」
「はは、丁寧に話して下さる事には慣れません、自分はまだ高校生ですから。」
「いえ、年齢関係なく多くの者の心を動かした尊敬出来る社長です。
ボランティア社員などという普通で有り得ない形態は、我々の中から自発的に生まれたもの、尊敬に値しない社長の下に、この様な形で人は集りません。」
「有難う御座います、とても照れくさいですが、ただ、それに関しましては少し懸念が有ります。
ダブルワークが主とは言え順次正社員になって頂く訳ですが、スタートが無給社員なだけに、サービス残業が常態化してしまわないかと思うのです。
また、給料は岩崎標準に合わせますが、きちんと皆さんに満足して頂ける額になりますでしょうか?」
「大丈夫です、社長からの目標として、ダブルワークで良いから全員を正社員にと言われた時に、我々が何を考えたかと申しますと、社長の人徳で得られた資本金を効率良く活かし、我々の給料のみならず、会社全体の経費や会社を発展させて行くための資金を如何に稼ぐかという事です。
社長が提案して下さった様々な案件を検討させて頂いた結果、全員が正社員となるまで然程時間は掛からないと思っています。
更に、社長、副社長が自ら看板となって収益を上げて下さいますので何の心配もしておりません。
ブラック企業で横行している様なサービス残業は発生させませんのでご安心下さい。」
「ですが、休みの日に、つい仕事の事を考えてしまうとか…。」
「はは、それぐらいは許して下さい、嫌々考えてる者はいないでしょうから。」
「そうですか…。」
「我が社は大勢が勝手に押しかけ社員になった様なものです、自分達で何とかしますので社長が心配される必要は有りません。」
「そうですよ、記念パーティー関係の交渉をしている時でも、神沢社長のお名前を出させて頂くだけで、スムーズに事が運びました。
写真集、CD、DVDなど絶対買うから出して欲しいという声も沢山届いています。
社長はそちらに力を注いで下されば良ろしいのです。」
「総務部長は個人的に欲しいのだろ?」
「長澤さん、訊かないで下さいな。」
「社長、写真集ですが一つ考えが有ります。
市内のおしゃれポイントで撮影して頂きたいのですが、その時に、完成したお二人のツーショット写真を真似しての撮影がしやすい様に、また、自分と社長や副社長とのツーショット写真に加工し易い構図にしておくのです。
写真集発売後に知り合いを利用して仕掛ければ、撮影ポイントへ行く人が増え、自分とのツーショット写真加工を流行らせる事が出来ると思うのです。」
「なるほど、楽しんで貰えて、衣装の売り上げにも貢献出来るかも知れませんね、お店の宣伝も可能ですか…、でも男女カップルの写真集、売れますか?」
「始めは売れ行きが悪くても、自分とのツーショットに作り替える事が出来ると知ったら試してみたくなると思います、異色さが話題になりますし、素敵なカップルですから、ブライダル関係の目に留まればCM出演に繋がるかも知れません、白川副社長は如何です?」
「そうですね、モデルは経験して来ましたが基本一人での撮影でしたので少しチャレンジです、あまり売れなくても赤字にならない程度の規模で試してみますか。
柿川市を前面に出して柿川の案内的な要素を含めれば間違えて買って下さる方が見えるかも知れません。」
「悲観的なご発言ですが、進めてもよろしいですね。」
「ええ、どうぞ。
さて皆さん、良い時間になりましたのでそろそろ食事に致しましょう。」
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神沢祐樹-83 [高校生会議2-17]

「ここからはリラックスして下さいね、飲み物は各自でお願いします。」
「神沢社長、いよいよですね、私は完成された会社に就職して今まで過ごして来ましたので、会社の立ち上げに参加させて頂ける事が楽しくて仕方ないのです、地域の活性化、弱者に対する支援を念頭に置いている会社ですから尚更です。」
「ですが、社長が高校生で不安は有りませんか?」
「えっ、不安なんて、社長からは私利私欲が全く感じられません。
社長の為の会社ではなく、社会貢献を推し進める会社ですから味方は凄く多いのです。」
「そうですよ、白川副社長との初デートは柿川をざわつかせる大事件でしたが、生暖かく見守りつつ応援して行こうと盛り上がっていまして、写真集でもCDでも発売すればこのエリアの売り上げだけで採算が取れると予測されています。」
「社長、CD制作はどうなっていますか?」
「一枚目は自分達で作詞作曲したものをプロの先生に編曲して頂いてます。
相談しながら進めていますが来月から録音とDVDのための撮影に入れそうです。
二枚目は古い歌のカバーアルバムで、別の先生に編曲をお願いしています。
この二枚の制作は子会社化する事務所の方で仕切って貰います。
三枚目は一枚目以上に実験的な作品を考えています。
百人一首の世界を題材にし、例えば…。
『忍ぶれど 色に出でにけり わが恋は 物や思ふと 人の問ふまで 』
と詠んだ後、この和歌をイメージした歌を、一つは口語調の歌詞で、一つは古文の歌詞で、もう一つは英語の歌詞でと、三曲作る予定です。
国語の先生、英語の先生、音楽の先生が十人程集まりチームを組んで作業を始めています。」
「えっと…、その意図は?」
「教材です、古文に親しんで貰う事が第一の目的ですから、あまり売れないでしょうね。
でも、話を持ち掛けた先生方は面白いと、岩崎高校生会議にも古文関連の学習研究チームは有りますがあまり活発ではないそうで、新しく古文のルールに則っとった歌詞を作ってみる事で何かが見えて来るかも知れないと話して下さいました。
CD化まで出来なかったとしても、番組で取り上げて貰うつもりです。」
「普通のアイドル、他のアーティストがしない事を積極的にやって行くのですね。」
「はい、予定しているCDも伴奏にはマイナーな楽器も取り入れて行く方向でお願いしています。」
「先生方の取り組みにも取材が入るのですか?」
「ええ、学校改革が進んでいるからこそ、この様な取り組みが可能なんだという視点でも。
国語の先生は若い頃、経験のないバレー部の顧問にさせられて随分苦労されたそうです。」
「英語の歌というのも必要なのですか?」
「はい、とても重要です、言語の違いを実感するという大義名分が有りますが、英語の先生に密かに想いを寄せていらっしゃる音楽の先生の為なんです。」
「な、なるほど…。」
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神沢祐樹-84 [高校生会議2-17]

「神沢社長、記念パーティーの取材依頼はまだ増えそうですね。」
「はい、東京の子会社が頑張って情報を流してくれていまして、ぎりぎりになってからでも問い合わせが有るかも知れないそうです。」
「随分忙しいパーティーになりそうですが、少し欲張り過ぎましたか?」
「良いじゃないですか、効率的で。
もう直ぐスタートする番組の撮影、CMやポスターの撮影、マスコミの取材と慌ただしくはなりますが、そんな風景を来賓の方にも見て頂けたら、ただのパーティーより楽しいと思いますよ。
絵美の衣装も楽しんで頂けるでしょう。」
「確かに撮影風景を見せて頂けるのは楽しみですが…、全国放送されてる番組の取材は個別に応じられるのですよね、自分なら緊張してしまいそうです。」
「はは、メインの話題を番組毎に変えたいので、そちらの方が大変ですよ。
普段見ない番組ばかりなので色々教えて貰っていますが…、まあ生放送は無いので何とかなるでしょう、パーティーの費用を撮影関係でカバーしつつ宣伝も出来るのですから有難いですね。」
「その分、社長と副社長の負担が大きくなってしまいます。」
「大丈夫ですよ…、そうですね…、柿川フレンズのTシャツもアピール出来ませんか。」
「あれは、病院暮らしの子がデザインしてくれたそうですね。
素人っぽさが何故か暖かくて良い仕上がりだと思います。」
「あのTシャツを着ている映像を、テレビを通して作者の子に見せたいのですが。」
「分かりました、手配しておきます。
入院していても社会参加出来る、我々のシンボルに相応しいですものね。
やはり作者の子も番組に出演して貰いますか?」
「本人の意思を尊重してあげて下さい、それと絶対無理をさせない様に配慮が必要です。」
「はい、気を付けます。」

「神沢社長、スケジュールが立て込んで来ていますが大丈夫ですか?」
「大丈夫ですよ、部活にもそれなりに出るだけの余裕が有ります、挨拶回りも先方が気を遣って下さってスムーズに進みましたから。」
「法務局へは授業後になりますが…。」
「社会学習の一環として取り組んでいますので、学校側も配慮してくれています。
自分達が行く必要性は低いのですが、撮影も入りますからね。」
「私は経験が無いのですが、大変なのでは有りませんか?」
「大丈夫ですよ、書類などに間違いは無ければ簡単な事なのです。」

「社長、学校での撮影は始まっているのですか?」
「まだまだ準備中です、先生と生徒会の方が日常の学習に影響のない形を検討していたり、エキストラの人選をしている段階です。
ブラスバンドや演劇部は発表の場と捉えていますし、体育会系でも目立ちたい人達は色々考えていまして、それなりに準備期間が必要なのです。
番組が好評で長く続けば学校の皆さんにも満足して頂けると思うのですが、柿川市民には興味を持って頂けるとしても、他の地域ではどうでしょう…。」
「大丈夫ですよ、簡単な調査を高校生会議に協力して貰って実施した結果はまだ整理中ですが、ざっと目を通したところでは、興味を示している方が少なく有りませんでした。
編集済の番組一本目を見させて頂きましたが、あの内容なら大丈夫だと思います。」
「番組が成功すれば、我が社の売り上げも期待出来ます、夏休みまでに形を整えて、秋には黒字にします。」
「無理の無い様にお願いしますね。」
「はい。」
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神沢祐樹-85 [高校生会議2-17]

「祐樹くん、法務局はどうだった?」
「自分達はついて行っただけですから社会見学の様なものです、取材のカメラが入りましたので目立ってしまいましたが。
でも、これから代表取締役社長として頑張りますので、お義父さん、ご指導よろしくお願いします。」
「はは、私が指導する事なんて無さそうだがな、提出した書類の意味だって分かっているのだろ。」
「はい、書類作成などは全て人任せでしたが、内容の確認はさせて貰いました。
自分でも調べましたが、思っていたより簡単だと感じました。」
「うん、大変なのはこれからなのさ、決算とかね。
でも新会社は学生達の為に遥香システムを通してオープンにして行くのだろ、暇な人がチェックしてくれると思うよ。
上場企業だと面倒な事が多くなるが、上場を目指す必要もないからな。」
「はい、それでも社員達は何とか配当を出せる様にすると気合いを入れてくれています。」
「無理をする必要はないよ、だが社員持ち株制度を念頭に置いてるそうだね。」
「ええ、自分達の会社という気持ちが高まるという事で、形は検討して貰っています。」
「あの社員達だとボーナスの一部を株券にしそうだね、その株券の価値を自分達の力で高めて行くのだろう。」
「そんな気はしています、ただ雇われているだけの人とは根本的に違う人達です。
ボランティア社員として、休日を使って働いて下さる様な方々ですので。」
「それだけ新会社に夢が有るのだと思うよ、遥香コーポレーションの立ち上げは元になる会社が有って、当初外部から参加出来る人数がかなり限られていたそうなんだ。
若者中心だった事も有ってそこに絡めなかった人達が、祐樹くんから夢を貰って集まったのさ。
私も考えされられているんだよ、うちの社員達は夢を持って満足して働いているのかとね。」
「規模が大きいと難しいですよね。」
「ああ、でもな、若い子がぽろりとこぼしたのだよ、祐樹くんが次期社長になると思うとワクワクしますってね。」
「えっ、お義父さんを差し置いて…、しかも早過ぎですよ。」
「はは、散々お主の自慢話をしてやったよ。
考えてみるとだな、遥香さまが目立ちすぎてるから気付いてない人もいそうだが、岩崎には魅力ある人材が豊富なんだ。
それは岩崎社長の人徳だと思う。
そして、君もまた、その資質を備えていると思うんだ。
君が持ってる真っ直ぐさを失わなかったら、岩崎社長に負けず劣らない大社長になる器だと思っている。
高一の君に言うべき事では無いのかも知れないが、トップリーダーとしてその自覚を持って経験を重ねて欲しいのだよ。
まあ、ついでにうちの娘を頼むな。」
「有難う御座います、自分がどれだけの器なのか分かりませんが、お義父さんから頂いたこの機会を自分の成長の糧とさせて頂きます。
絵美は…、その…、お嫁に貰うという感覚には馴染めません、パートナーとして共に歩いて行けたらと考えていますので。」
「うむ、だが、娘は婆さんの影響を受けて古風な所が有るし、人付き合いの場が限られていたという事情も、まあ間違いなく君に惚れてるから、婚約は何時でも良いよ。」
「う~ん、何となく思っていた、娘を持つ父親像と違うのですが…。」
「そうか? 娘の相手が最高の男だったら嬉しいじゃないか。」
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神沢祐樹-86 [高校生会議2-17]

「お兄さま、オフィス白川、会社創立記念パーティー会場、広いですね。」
「優香、出席できる社員全員とゲストの人数を考えたらこれくらいの広さは必要なんだよ。」
「あっ、お姉さま、今日は一段とお美しいです。」
「有難う、優香さんも素敵よ、今日はお嬢さまモードなのですね。」
「はい、お姉さま、今日はハードな一日になりそうですね。」
「えっ、そうかしら、今日も祐樹さまとずっと一緒ですので楽しい一日になると思います。」
「そういう感覚なのですか…。」
「優香もインタビューされると思うが大丈夫か?」
「はい、一応裏技を考えて有ります。」
「裏技?」
「答えにくい質問をして来る人には、こちらから質問を指定させて頂こうかと、こういう質問なら丁寧にお答えしますよ、とか。」
「はは、それは良い、その質問を指定している場面も放送して貰えばうけると思うよ。
俺もその手で行こうかな。」
「私はきっと祐樹さまの事を聞かれると思うのです…。」
「だろうな。」
「限られた時間で祐樹さまに対する気持ちを、皆さんにお伝え出来るかどうかが心配で…。」
「うっ、ほどほどにしときなよ。」
「お兄さま、それはそれで楽しいでは有りませんか、私の大切なお兄さまを独り占めなさろうというお方なのですから。」
「はは、まあ自由にやった方が良いのかもな。」
「神沢社長、今日は長くなりますから今は控室でゆっくりしていて下さい。」
「有難う御座います、じゃあ控室へ行こうか…。」

「社長、ワイドショーのスタッフが事前にお話を伺いたいそうですが如何でしょうか?」
「う~ん、時間はまだ大丈夫だから、お通しして下さい。」

「…、という事で、神沢社長として、単に高校生社長というだけでなく紹介したいポイントとかあれば教えておいて頂きたいと思いまして。」
「有難う御座います、それでは、柿川フレンズのグッズ製作関連を取り上げて頂けませんか?」
「どの様な事で?」
「グッズの製作には様々なハンデをお持ちの方に協力して頂いております。
Tシャツのデザインには看護師の方から推薦の有った、長期入院中の中学生の作品を採用させて頂きました。
製作中のグッズは、パーツの準備を障害の有る方が働く作業所に依頼しています、そのパーツを使って組み立てる作業は、リハビリの一環として機能訓練中の方を中心にお願いしています。
仕上げは高齢者雇用促進の団体が協力してくれています。
どの工程も数量が不足したり、バランスが取れない様なら協力工場でカバーして頂きます。
働きたいが、普通に働きづらい人にお仕事をお願いする形です。
採算を考えると商品が割高になりますが、柿川フレンズのグッズとして一般の商品と差別化しますので、契約を済ませた団体の能力に応じた作業量は確保出来ると考えています。」
「単に芸能活動を通して利益を得るというのでは無いという事ですね。」
「ええ、芸能活動を通して、柿川の更なる活性化を計りながら、ハンデをお持ちの方にも喜んで頂ける活動をと考えています。」
「分かりました、その団体の方々も取材させて頂きたいと思いますがよろしいでしょうか?」
「もちろん大丈夫です、優香、吉川さんを呼んで来てくれないか。」
「はい。」
「うちの担当と打ち合わせをお願いします。
各団体にはそれぞれデリケートな部分が有りますので、普段の取材とは違うと考えて頂きたいのですがよろしいですか?」
「はい心掛けさせて頂きます。
その…、お話を伺いまして、継続的な取材をお願いしたいと思いますが如何でしょう?」
「構いませんが、ローカル局で番組がスタートする事はご存知ですか、系列が違うと思いますが。」
「はい、問題無いです、神沢社長はインディーズでスタートされるそうですが、うちの音楽番組にも紹介させて下さい、異色ですが日本中の人に知って欲しいと思います、お話を伺ってその気持ちが更に強まりました、まずは今日の撮影、よろしくお願いします。」
「こちらこそ、お願いします。」
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神沢祐樹-87 [高校生会議2-17]

「俺達の担当はひとまず終わったが、社長達は大変だな。」
「ええ、今から歌の披露、その後はポスター撮影にCM撮影でしょ。」
「しー、歌が始まるわよ…。」

「…、可愛い~、子ども向けって言うけどね。」
「ああ、俺はもう踊れるかも。」
「あなたが踊っても可愛くないわ、祐樹くんと絵美さんだから可愛いのよ。」
「ふん、悪かったな、でも、曲のシンプルさが、これは売れると思わないか。」
「なに当たり前の事言ってるの、柿川の小学生達の間ではもう広がっているって知らなかったの?」
「えっ、そうなのか?」
「こどもの日のイベントで紹介されたのがテレビでも流れたでしょ、当日会場にいた子達が周りの子達に教えてね、親達からもCD発売の催促が来てるのよ。」
「来賓の方々も笑顔になってるわね、次はがらりと雰囲気を変えるからインターバルを開けているけど…、あっ、うちの多田社長ったら年甲斐もなく踊りを真似してるわ。」
「ふふ、それはそれで可愛いわね。」
「おいおい、俺の方が可愛いぞ。」
「その発言、却下。」
「多田社長も神沢社長の事が大好きなのよね。」
「でも、バックアップは白川社長に委ねられた。」
「単に委ねた訳でも無いのよ、陰からオフィス白川を支えようと、でもうちの皆は多田社長に言われなくてもね、私がダブルワークで直接支える形にはなってるけど、少なくとも私の周りの女性社員は全員神沢社長のファンですからね。」
「うちもよ、でも副社長のファンも増えて欲しいかな。」
「柿川でのデビューが、社長と出会って間もないデートだから、反発は大きかったのよ。
でも、優香ちゃんと千恵ちゃんがよくやってくれたわ、大好きな祐樹くんの幸せを考えるという方向になって来てるものね。」
「ふふ、みんな、絵美さんに祐樹くんの事を聞いてはだめだからね。」
「えっ、どうして?」
「祐樹社長の事がどれだけ好きなのか、思いっきり語られてしまうのよ。
ご本人としては出会ってからの時間の短さが不安なのかしら。」
「一生懸命恋してらっしゃるのよね、応援したいって思うわ。」
「あっ、衣装を変えて次の曲が始まりそうね…。」

「素敵すぎるよね。」
「うん、絵美さんの心のままなんだろうな、蘇州夜曲は二枚目のCDに入れるって話を聞いていたけど…。」
「何十年も前の曲なのに、こうして聴かされるとね。」
「神沢社長は横に立ってるだけで…、映画のワンシーンみたいだったな。」
「副社長は何時も祐樹さまと呼ばれているものね。」
「社員になって良かった、こんな場面…、一番ピュアな年頃のお二人を生で見させて頂けただけるだけでも得した気分だわ。」
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神沢祐樹-88 [高校生会議2-17]

「撮影風景を見ながらのパーティーというのも楽しいものだな。」
「でも、社長達には申し訳ないわね、挨拶して、歌って、着替えて撮影、今ので六着目だもの。」
「何を着ても似合うのよね~、店員のユニフォームでも。」
「あの店は今日の料理にも協力してくれたからな。」
「写真の背景は後で合成するのね。」
「だから何本も続けて撮影出来るとは言え、服装や髪型を短時間で整えるのは大変だろう、万全の準備がして有ったとしても、担当スタッフは…。」

「ご歓談中すいません、お話を聴かせて頂いてよろしいですか?」
「はい。」
「皆さんはボランティア社員でしょうか?」
「私は今日付けで正社員になりました、ダブルワークで工場勤務と掛け持ちになります。」
「では、初めにボランティア社員になろうと思われたきっかけを教えて頂けますか?」
「私は元々神沢社長が児童合唱団で歌っていらした頃からのファンでした、とても可愛らしくて、女子高生の間でも有名だったのですよ。
まあ、工場の仕事は毎日あまり変化が無くて、仕事は嫌いでは無いのですが変化を求めたとも言えます。」
「工場側はダブルワークを簡単に許してくれるものなのですか?」
「そうですね、働き方に幅を持たせる意味で会社側が調整してくれます。
事務職と現場のダブルワークという人も結構いまして、日によって、時間帯によって違う職場で働いている人は結構います。
一見効率が悪い様ですが、作業が変わる事によってモチベーションが維持されます、遥香システムが導入されている事も有って、あまり問題はないのです。
トラブル発生時には、複数の部署に係わっている人が居る事でその処理が迅速に出来たり、人員の調整が出来ます。
ちなみに私の働いている工場で、柿川フレンズのグッズ製造を請け負います。
自分で発注して自分で作る事を前提としたダブルワークになりますので、発注者側が製造に加わる事で会社間の行き違いが無くなると考えています。」
「なるほどメリットが有るのですね、しかし二つの会社から給料を頂くと言うのは複雑になりませんか、特に別会社で働く場合は。」
「確かに面倒な事が有ると思います、岩崎関連同士の場合はシステムが確立されていますが、今回は資本的に関係のない企業間の事ですので。
でもオフィス白川は岩崎標準に合わせますし、岩崎関係の会社や岩崎高校生会議第十七支部は、神沢社長を全力で応援しようとしていますので大丈夫です。
社長がなさろうとしている事を応援しない訳には行かないのですよ。」
「そうですか、他の方も神沢社長のファンなのですか?」
「柿川市民は神沢社長の伝説を沢山共有しているのです、社長はそのレベルをご存知ない様ですが。」
「えっ、どの様な伝説があるのですか。」
「小学生の頃、いじめられている子をかばったなんて話は有名です。」
「それが伝説ですか?」
「はい、いじめられている子がいると気付いた子が先生ではなく、祐樹社長に相談したのです、どの学年の子も、何人も、それを一つづつ解決なさって、まあ、社長を敵に回すという事は女子を中心に多くの敵を作る事になる訳で、平和な小学校になりました。
その事で、元からの住民と岩崎の移転に伴って越して来た住民の融和を促進してくれたのです。」
「私の姪は未だに、祐樹くんに助けて貰って嬉しかったと話しますよ、いじめられた傷以上に助けて貰った喜びの方が勝っているみたいです。」
「他には?」
「天使の歌声ですね、ボーイソプラノの美しさに魅了された市民は多くて、市民コーラスが一気に盛り上がりました、声変わりで戸惑われた様ですが、中学時代も祐樹社長をゲストに呼びたがる合唱団が多かったのですよ。
中学時代は女生徒からの告白が度を越して少しトラブルも有りました、他の中学や高校からも色々あって、そうそうバレンタインの時は市内の福祉施設に貰い過ぎたチョコレートを寄付したり…、女の子達は完全にアイドル扱いしていましたからね。
高校の入試倍率にも影響を与えたみたいです、それから…。」

「そ、そんな事も…。」
「企業の役員連中は彼の能力の高さを評価しています、何と言っても大人に対する受け答えが気持ち良くて、神沢社長と話していると何故か笑顔になってしまうのですよ。」
「若くても尊敬されているのですか?」
「はい、愛されています。」
「柿川のアイドル、番組内にコーナーを作って毎週放送しても当分ネタに困らないですね、上司に掛け合ってみます。」
「お願いします、もし上の方が色よい返事を下さらない様でしたら、こちらから圧力をかける事も可能ですよ。」
「えっ?」
「私のもう一つの勤め先はお宅のスポンサーですし、社長は祐樹社長の熱烈なファンですから。」
「分かりました、柿川の熱量を上司に伝えさせて頂きます。」
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神沢祐樹-89 [高校生会議2-17]

「祐樹くん、一昨日はお疲れさまでした。」
「ああ、千恵、パーティ―はどうだった?」
「楽しかったわ、歌も良かったし撮影の様子も見られて、あれっ、絵美は?」
「東京の事務所と連絡を取ってるよ、全国放送で取り上げて貰った反響が大きかったみたいなんだ、今日も三回ぐらい放送されるそうなんだけど、次の土曜は東京でパーティーだろ、一昨日以上にマスコミが集まりそうなんだよ。」
「祐樹くんもだけど絵美は大丈夫かな。」
「昨日は社長室でゆっくりさせて貰ったけど、もう週刊誌の記者みたいな人達が家の周りに集まってたよ、出歩きにくくなってしまったが、絵美は気にしてないみたいだ。」
「不思議な人なのよね、すごく繊細かと思えば何事にも動じないって所があって。」
「面白いだろ、だから一緒にいて飽きないのだと思う。」
「私とだったら飽きるの?」
「う~ん…。」
「あっ、ご、ごめん、答えにくい事訊いちゃったわ…、それより東京でのパーティーはどんな感じなの?」
「ああ、子会社の関連で女性社長や社長の奥さん、社長令嬢といった人達が着飾って来て下さるみたいだよ。
ただ誘いに応じなかった人が番組を見てさ…。」
「我儘な人がいるのね。」
「うん、でも子会社の展開は多少の我儘を許す事で成り立ってる側面も有ってね、その分利益率が良いのだけど、その辺りの判断は絵美に任せる事にしたんだ。」
「セレブの世界なのね。」
「セレブが喜んで使ったお金を、社会的弱者に回して行くのが我が社の使命なんだよ。
高価な宝石とか売れれば社会経済的にはプラスになるのだろうが、社会的弱者には何のメリットもないだろ。」
「うん、私も最近分かって来たわ、お金の流れを変える事によって社会のバランスを取るって事なのでしょ。」
「ああ、その為にも来週のパーティーは重要なんだ、先々への布石としてね。」
「柿川のアイドルから一歩前進なのかな。」
「まあね、でも、社長としての立場も有るからアイドルに拘る必要はない、焦らずにやるさ。」
「美形男女ユニットLENTOの全国デビューは何時になるの?」
「焦らないでくれよ、まだCDの録音が終わってないのだからね。
でも、テレビでは曲が流されているから、ある意味全国デビューなのかな。」
「今の内にサインをお願いしても、良いかな?」
「転売目的か?」
「あっ、そうね百枚ぐらいお願い出来るかしら。」
「じゃあ印刷しておくよ。」
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神沢祐樹-90 [高校生会議2-17]

「神沢社長、CDとDVDの制作なのですが…。」
「時間を掛けてはいられないみたいですね。
一通りの準備は日曜日に済ませましたので、授業後に部活を休んで一気に仕上げる事も可能です。
簡単な曲なので録音には時間が掛からないと思います。
踊りも簡単ですし、同級生に描いて貰った絵は見て下さったでしょ、DVDも大丈夫ではないですか。」
「助かります、テレビの反響が大きいですから、早く発売したいのです。
社長達のパートさえ完成出来れば、後は一気にプロが仕上げてくれる事になっています。
彼等も、シンプルにした方が良いから、時間は掛からないと話してくれました。」
「インディーズデビューだけど、通販のOKは取れましたか?」
「はい、遥香コーポレーションからOKとの連絡が入りまして、CD、DVDの形が出来た段階で発売日を設定し、予約を開始してくれます。
初期段階の販売を通販一つに絞る事で、通販サイト全体の売り上げアップに繋がると判断して下さり全面協力を約束してくれました。」
「予約状況を見て何枚用意するか判断出来ますね、その状況は今度の土曜日に発表しても良いですか?」
「今週中の録音がOKでしたら、安心なのですが。」
「スタジオとかは大丈夫なのですか?」
「もちろんです、社長は最優先ですので、なんなら明日にでも。」
「そうだね…、絵美、聞いてた?」
「はい、明日、録音ですね、千恵に部活を休むと伝えておきます。」
「という事でお願いします。」
「分かりました。」

「祐樹さま、全国放送で三つの番組が継続的な取材を希望しておられるのですね。」
「テレビ局ってネタに困ってるのかな?」
「他局と被っても良いと考えてる訳ですから、そうかも知れません。」
「にしても、各局とも結構時間を割いてくれたね。」
「はい、番組が始まるローカル局は当然ですが…。」
「日程的に少しハードになりそうだが大丈夫か?」
「歌のレベルを高める為に体調管理はしっかりして来ました、スポーツは苦手でもひ弱ではないのですよ。」
「うん、絵美ってさ器用なのか不器用なのか良く分からないよな、踊りは可愛いし。」
「普通の人間ですので、祐樹さまの様に何でも上手にこなすなんて事は出来ません。」
「そうかな、絵美はちょっとしたコツを掴めばスポーツも出来そうなのに、でも今の状況では試していられないか。」
「はい、土曜日のパーティーは祐樹さまが主役ですのでしっかり準備をしておきたいです。
その後のイベントからはゲスト参加という形になり、ご負担が減りますのでよろしくお願いします。」
「パーティーは君も主役だろ?」
「女性中心のパーティーなのですよ。」
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