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F組三国志 2 秋山美咲 ブログトップ

F組三国志 2-1 [F組三国志 2 秋山美咲]

「で、どうだったの? 美咲。」

赤澤くんと別れて自宅マンションへ。
帰ると着替えて母と夕食の準備というのが私の日課。
ジャガイモを切りながら、母がさりげなく訊いてくる。

「どうって?」
「今日のデート。
男の子となんて初めてじゃなかった?」
「まあ、初めてかも。」
「ふふ、ご感想は?」
「ドキドキだった…、でも彼もドキドキだったんだって。」
「うぶなんだ。」
「はは。」
「どんな人?」
「そうね、前から頭の良さそうな人だなって思っていたの。
だってね、休み時間に読んでいる本が、リーダー論だったり、集団と心理、なんてのだったりするのよ。
しかも数学とか得意みたいでね。」
「そうか、美咲にはないものを持っている訳ね。」
「ど~せ、私は、数学苦手ですよ~。
でね、お堅いだけの人かなっ、とも思っていたんだけどね、今日、クラスのこと相談したら色々考えてくれて。」
「うんうん。」
「その話しが、大人だ~って感じなの。
ご本人が言うには、お父さんの影響が大きいんだって。」
「へ~。」
「お父さん、大学の先生。」
「なるほど。」
「でねでね…。」

話しは尽きない。
秋山美咲、蟹座生まれの十五歳、今まで何度か告られたことはあるけど…。
いつも、何か違うって感じてた。
私を好きになってくれるのは嬉しいけど、この人と一緒にいたいと思う人はいなかった。

赤澤くんのことは気になっていた。
時々、妙に大人びた発言をするし、そして、それが理にかなっている。
同じ学年とは思えない時もあったし。
今日色々話をしてみて…。
美咲、惚れたか? あ~、またドキドキしてきた。
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F組三国志 2-2 [F組三国志 2 秋山美咲]

「おはよ、美咲。」
「おはよう、あやか。」
「ふふ。」
「なによ、あやか?」
「み・た・わ・よ。」
「なにを?」
「赤澤くんとお二人で登校してきたじゃない。」
「あやか、ほんとなの~、私は昨日二人で帰るとこ目撃したわよ。」
「まじ? 由香…。」
「美咲~、何時からなの? 告られたの? 白状なさい。」
「い、何時からって昨日おごってもらって…。」
「うんうん。」
「で…。」
「告ったの? 告られたの!?」
「そ、そんなんじゃ…。」
「その割には真っ赤だぞ。」
「付き合うの?」
「ま、まだ~。」
「そんなんじゃ! 美咲はどう思ってるのよ!?」
「ふふ、パフェおいしかった。」
「おいおい。」
「赤澤くんけっこう人気あるし、昨日のオムレツでまたポイント上げたわよね。」
「そうなんだ。」
「そうなんだって、美咲、またまた、男に興味なさそうなふりしてさ。」
「そんなこと…、あっ。」
「あっ、て、あ~、赤澤くんのこと見てたんだ。」
「あれっ? こっちに来るみたい、おじゃまかしらね~。」
「でも由香、岡崎くんもご一緒みたいよ。」

赤澤くん、さっそく岡崎くんに声かけてくれてたんだ。
でも…、このシチュエーションで、うわっ、またドキドキしてきた。

「おはよ、盛り上がってるね。」
「おはよ、赤澤くん。」
「おはよう、盛り上がってるわよ、誰かさんたちのことで。」
「えっ?」
「美咲とどうなのよ?」
「はは、やっぱばれてたか。」
「ばればれ。」
「俺は美咲のこと大好きだぜ。」
「うわ~、大胆発言。」
「しかも昨日まで秋山さんだったに、いったい何時から呼び捨てに?」
「今朝から、地下鉄のホームで告って…、その返事はまだもらってないけど、美咲って呼んでもいいって。」
「へ~、赤澤くんって、けっこうやり手なんだ。」
「いや~、もうドキドキしっぱなしさ。
でも、本心を伝えたらすっきりしたってとこかな。」
「あ~、美咲、今回は何時もと違うのね。」
「由香、何時もとってどういうこと?」
「ふふ、この美咲お嬢様、今まで何回告られたのでしょう、はい、分かる人?」
「あ、美咲なら一桁ということは有り得ないわね。」
「そ~なんです、私が知ってるだけで十六人。」
「で?」
「その十六人全員、その場でふられているのです。」
「と、いうことは…。」
「と、いうことは?」
「赤澤が十七人目ということか?」
「岡崎、馬鹿か!」
「馬鹿ってなんだよ、谷口さん。」
「赤澤くんがまだふられていないことと、美咲の顔の赤さ、ここから導き出される結論は一つ!」
「美咲、おめでとう。
赤澤くん美咲のことよろしくね。」
「以上友人代表でした。」
「ははは。」
「ちょっとあんたたちね~。」
「あっ、先生来た。」
「続きは次の放課ね。」

あ~、なんか、あっという間に…。
みんな勝手に盛り上がってくれて…。
でも赤澤くん、ふふ、省吾とだからいっか。

「秋山さん、秋山美咲さん。」
「はっ、はい。」
「顔が赤いけど熱でもあるんじゃない?
大丈夫?」
「えっと…。」
「先生! 近づきすぎると火傷しますよ~!」
「ははは。」
「あらっ? 赤澤くんも真っ赤ね、大丈夫?」
「あらあら、わかりやすすぎよ、あなたたち。」
「えっ、秋山と赤澤?」
「えっ、何時から?」
「知ってたの?」
「いやぜんぜん。」

「あら、そういうことなの、ふふ、じゃあ保健室へは行かなくてもいいのね。」
「先生、二人で保健室へ行かせたら危険で~す。」
「はいはい、じゃあ授業を始めますね。」

か~、はずかし~。
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F組三国志 2-3 [F組三国志 2 秋山美咲]

はぁ~、やっとお昼休みだ。
今日は放課の度にみんなから冷やかされて…。
ふふ、なんか変な感じ。
でも、これからが大切な本番なのかな…。
赤澤くん…、ふふ、省吾はどうかな…。

「さ~、岡崎もこっち来いよ。」
「えっ、ぼくは…。」
「遠慮するなよ。
秋山さ、じゃなくて美咲、岡崎も連れてきたよ。」
「ええ、じゃあ麻里子たちも机移動してさ。」
「了解~、はは、男の子も混じるとなんか新鮮ね。」
「でも、彼女持ちと岡崎じゃあね~。」
「ぼく、やっぱり…。」
「まぁ、今日は一緒に食おうや。」

「いっただきま~す。」
「で? 美咲、今から赤澤くんとのきっかけについて話してくれるんだよね。」
「ふふ、興味津々だわ。」
「はは、でも実は真面目なことなんだ。」
「まあ、美咲委員長のことだからね。」
「このクラスでのいじめについて。」
「えっ?」
「ぼくは、いじめられている奴なら一人知ってるけど。」
「誰?」
「ぼく。」
「確かに、岡崎ってそうゆうキャラよね。」
「あやかったら普通に呼び捨てだし。」
「私もね小学生の頃はいじめられていたの。」
「美咲が~?」
「うん、私、普通に真面目な子だったから、いじめられている子をかばったりしているうちにね。」
「そっか。」
「このクラスも、いじめが広がりそうな雰囲気がないとも言えないし。
この前、先生と話してたら、不登校になった先輩も少なからずいて、その内の何割かはいじめが原因かもって。」
「あ~、私も先輩から聞いた。」
「私は自分のクラスがそんな風になったら嫌だなと思ってね。」
「そっか、岡崎って、いじめたら楽しそうだと思ったんだけどな。」
「おいおい。」
「奥田さんって怖いんだ、かわいいのに。」
「岡崎、おだてても何もあげないよ。」
「ははは。」
「それでね、赤澤くんに相談したの。」
「ちっ、ちっ、ちっ、そこは省吾にって言わなきゃ。」
「えっ、ま、まだ慣れてなくて…。」
「それと、いちいち真っ赤になるな。」
「うん。」
「で、相談された俺としてはだな、色々考えた訳だ。」
「どうやったら美咲と親しくなれるかとかでしょ?」
「もちろん、でも、ついでにいじめのことも考えたさ。」
「ついでかよ。」
「で、結論は?」
「いじめが広がる前に、いじめないグループを作ろうってことだな。」
「いじめはさ、人間の本能に由来する部分もあるから簡単にはなくせないと思うんだ。」
「本能?」
「ああ、人が他人より優位に立とうとするのは、生存競争の中で自然なことだと思わないか?
「確かに麻里子は自然だなぁ~。」
「何よ、あやかだって!」
「奥田さんは、岡崎が言う通りかわいいよ。」
「えっ、そ、そうかな。」
「麻里子は単純だから…。」
「ど~せ、あたしゃ…。」
「色んな人がいて、それが集団を形作ってさ、他人の集まりが何時も仲良くなんて有り得ないだろ。
そんな集団の中でも、学校のクラスなんて閉鎖的な環境だから、クラスの中に逃げ場がないとつらいと思うんだ。」
「逃げ場か…。」
「どうしたの岡崎くん。」
「秋山さん、ぼく時々逃げ出したくなるんだ。」
「はは、なあ岡崎、もう何時もなら森たちのおもちゃになってる時間じゃないのか?」
「えっ。」
「あの子たちのいじめは見ていて気分が悪くなるわよね。」
「でも、俺も含めて誰も止めようとはしてなかった。」
「だって、岡崎のために自分までやばくなるようなリスク、冒せないもの。」
「だよね~。」
「みんなひど~い。」
「でも、今日はここにいてどうだ?」
「美女に囲まれて楽しい想いをしつつ、ふふ、岡崎くんったら幸せ者じゃない。」
「あっ、だから赤澤くんはぼくを…。」
「と、いうことだ。
後は岡崎次第だけどな。」
「ぼく次第?」
「ああ、美咲の友達グループと仲良くやっていけるかどうかってことだな。」
「ぼく、話すのあんまり得意じゃないし…。」
「えっ、お前ここで話すつもりでいたの?」
「違うの?」
「話してもいいけど、人の話しを聞くことが大切なのさ。」
「話しを聞く?」
「人間なんて誰しも自分の話しを聞いてもらいたいものさ。
でも自分の話し聞いてくれる人なんて限られているからね。
奥田さんだって岡崎にきついこと言ってるけど、根は優しい人だから岡崎がきちんと接したらきっと仲良くなれると思うよ。」
「うん。」
「ねえ、赤澤くん。」
「何?」
「私のこと奥田か麻里子って呼び捨てにしてくんないかな~。
友達の友達ってことでさ。」
「わかった、俺のことも省吾とかで良いよ。」
「じゃあぼくも麻里子って。」
「岡崎は絶対だめ!」
「ふふ女王様ってお呼びって感じね。」
「はは。」

「ということは、私たちがいじめないグループってこと?」
「うん、谷口さん、そういうつもりなんだけどどうかな。」
「私は賛成、どうせなら楽しい高校生生活送りたいし。
それから、私のこともあやかでお願いね。」
「了解。」
「私も由香って呼んで、藤本でも良いけど…。
とりあえずは、省吾さんと美咲、麻里子、あやかと私、おまけで岡崎ってことなのね。」
「ぼくはおまけかい。」
「ははは、まあ細かいことは気にするなって。」
「でも私たちだけでは…。」
「ふふ、そこはまだ企みがあってね。」
「そっか~、お二人はこんな企みごとを相談しているうちに仲良くなったんだ。」

まず、私たちのグループはオーケーって感じね。
でも、麻里子たち…、由香なんて省吾さんって呼んでる…。
彼の魅力に一番早く気付いたのは私ですよ~。
う~ん、二人っきりになりたいな~。
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F組三国志 2-4 [F組三国志 2 秋山美咲]

キンコンカンコ~ン♪  キンコンカンコ~ン♪

ふ~、やっと授業が終わった。
でも、なんか集中できなかったな…。
省吾のことばかり考えてしまって…。
うわっ、私って…。

「美咲。
美咲!」
「えっ、な、なに? 麻里子。」
「大丈夫?」
「な、なにが?」
「その動揺ぶりからすると、赤澤くんのこと考えてたんたんでしょ。」
「えっ、その…。」
「なんだ、図星か。」
「えっと、なんか、その、自分でもよくわかんなくて。」
「男嫌いかと思ってたら、いきなり恋する乙女に変身、そりゃあ、わからんだろうなぁ~。」
「ど、どうしよう?」
「どうしようって、どうしたいの?」
「え~とお…。」

あっ、赤澤くんがこっちへ来る。
ド・キ・ド・キ・

「美咲、今日も一緒に帰らない?」
「う、うん。」
「おいおい、赤澤ってそういう積極キャラだったのかよ。」
「はは、ドキドキしながらだったけど思い切って告ったら…、そうだな開き直ったら、自分に正直になれたってとこかな。
断られた訳じゃないし。」

えっ? 断る。
そんなこと考えてもみなかった。
う~ん、これって運命の?

「ふふ、私はじゃましないわよ。」
麻里子…。

「遠くから見守っていてあげるわ。」
由香ったら…。

「じゃあまた後でね。」
「うん。」

うんうん、一緒に帰れる。
嬉しいけど、はずかしいような。
でもでも、うわ~私どうしちゃったんだろう。
あ~、しっかりしなきゃ。

「美咲、とりあえず秋山派はオッケイってとこだね。」
「うん、でもみんな…、はぁ~なんか疲れたな~。」
「はは、ごめんよ。」
「し、省吾があやまることじゃないわ。」
「俺さ、君とのこと隠しておけなくてさ。」
「そうね…、隠れてこそこそ付き合うより、ずっといいかも。
省吾、好きだよ。」
「えっ、あ、有難う。」
「ふふ。」
「ははは。」

「私たちのグループの次は河西哲平くんね。」
「ああ、そっちは俺に任せな。
すごく親しいという訳でもないけど、ちょくちょく話しはしてるからね。」
「うん。」
「そうだ、今日もカフェに寄ってく?」
「良いの?」
「もちろん。」
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