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近衛予備隊-81 [高校生バトル-51]

 そこからしばらく警察組織の話をし…。

「そろそろ昼食の時間ね、警察に関することは大統領とも相談するから、ここに来ている警官の話を聞き、近衛隊の皆にも考えて貰いましょう。」
「大統領には色々な話しをされるのですか?」
「いいえ、こちらからは警察関係に絞ります、この国の治安は私達にとって最重要課題です。」
「では自分達も考えてみます、ここに来ている警察官は英語が話せないと聞いていますので、自分も同席しましょうか?」
「そうね、ジョンが同席してくれた方が口が軽くなるでしょう。」

 プリンセスがスタッフに指示を出した後、昼食会。
 プリンセスとの昼食会では如何に美しく食べるか、と言うことが一つのテーマになっていて、毎回教えて頂いている。
 食事のマナーは今まで俺達にご馳走してくれたマネージャーなど、スタッフから教わっていたが、プリンセスはマナーよりも美しく食べることを重視、マナーとされてることから外れても美しく食べられていたら問題ないと言うスタンスだ。
 食べ盛りの俺にはまどろっこしくも有ったが、俺達が食堂を使い始めた頃の食事風景を撮影した映像を見せられてからは納得して学習している。
 フロアマネージャー達は強く言わなかったが、以前の俺達は野蛮人と言われても仕方のない食べ方をしていたのだ。
 今は美しく食事を取ることを意識しながら…。

「警察官の副業を認めるのは法的な問題も有るのでしょうか?」
「法整備は必要でしょう、今でも隠れて副業をしてる警官はそれなりに居るのではないかしら、その違法度に差は有ってもね。」
「副業以前に高官たちが不正蓄財してたりして…。」
「有り得ない話では無いのよね。」
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近衛予備隊-82 [高校生バトル-51]

 治安は大きな問題だ。
 調べてみると我が国の犯罪発生件数は他国に比べかなり多い。
 この辺りは人口が少なく貧乏なので金銭がらみの大きな犯罪が少ない為かあまり問題になっていなかったが、大規模店が出来て金持ちが集まって来ているのだから犯罪が増加してもおかしくない。
 今は大統領の命令で警官が多めに配置されてるそうだが、組織的な犯罪を行ってる連中は気にもしないと、近衛隊の人から聞いている。
 俺達はプリンセスが大統領と話す内容を意識しながら、村の治安を維持することと国の治安改善について学習し考え始めた。

 プリンセスに呼ばれて宮殿に来た警察官は始め口が重かったが、酒を振舞われ美味しい食事を食べ終わる頃には日頃の不満を沢山話してくれた。
 全部が事実なのかは分からないが、警察幹部がかなりの贅沢をしていることを含め警察組織に問題が有りそうだと確信出来るほどにだ。

「詩織、警察組織に問題が有りそうですが我々にはどうすることも出来ないですよね。」
「ええ、簡単ではないわね、ここは大統領に頑張ってもらわないと。」
「大統領が動いてくれるでしょうか?」
「前にお会いした時は、彼なりに問題だとは考えているみたいだったのだけど、取り巻き連中に任せて有るみたいなことを話してたの、今回はもう少し突っ込んだ話をしてみるわ。」

 プリンセスには何かお考えが有る様子だったが、それは話して貰えず、大統領をどう持て成すかに話は移り、自分達に関係することとしては、大統領とプリンセスの会談時に俺達三人は近衛隊の代表と共にプリンセスの近くに立つこと、また宮殿での晩餐会では予備隊幹部に随所で目立つ役割を担って貰うことなどが決まった。
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近衛予備隊-83 [高校生バトル-51]

 大統領の来訪を前に俺達にとって嬉しいことになった、プリンセスの滞在がかなり長くなることが決定したのだ。
 プリンセスが次の滞在地として予定していた国では予備隊の第四部隊編成を始めようかと言うタイミングで、政権交代が起こりそうだとの情報が入り、しばらく工事の着工も控え様子見状態に。
 そして実際に政権交代となったのだが、プリンセスに好意的だった前政権とは違い宗教指導者の影響力の強い政権が誕生し、プリンセス詩織は受け入れがたい存在だと表明したそうだ。
 ここから遠く離れ、プリンセスの知名度がそれ程高くない国だそうで多少の損失は出たが各種工事と滞在を断念。
 またその次に予定して国の指導者はプリンセスの人気を恐れ、滞在を断って来たそうでプリンセス人気にあやかろうと言うこの国の大統領とは対照的だそうだ。
 それなら遠江王国へ帰ると言う選択肢も有りそうだが、プリンセスは本国へ帰ると断りにくい来客が多過ぎるそうで、一度は帰国するものの直ぐにこちらへ戻って下さるとのこと。
 この村は標高が適度に高くて暑くもなく住み易いだけでなく、部外者立ち入り禁止になっているプリンセス専用の庭園を気に入っておられるのだとか。
 そして、大統領との会談次第では国の改革を考えておられるとのこと。
 何はともあれ俺達にとっては大好きなプリンセスとの時間が長くなることがただただ嬉しく、大統領を迎える準備と並行して進めている村の仕事にも身が入る、と言いたいところだが村の運営に関して俺達に出来ることはまだ少なく各担当者任せ。

「ジョン、上水道の敷設工事は何時始まるの?」
「まだ相談中なんだ、シャルロット、どうせなら電気も安定させたいだろ?」
「一緒に工事?」
「ああ、この村では電線が地中に埋められているから電柱が無いだろ、工事費用が嵩んでも同様にしたいそうなんだ、一つの村としてね。
 敷設ルートももう直ぐ開店するマーケットから伸ばすか寮の建設予定地側からにするかを検討していてね、将来的には両方に敷設して行くことになるのだけど、まずは作業効率と費用を考えている。」
「電気も一緒で予算面はどうなの?」
「主にYouTubeからの収益をプリンセスからのプレゼントとして使って行く方向でまとまったよ。
 つまり、YouTubeからの収益が多ければ上水道の敷設と電気事情の改善が早く進み、少なければゆっくりになる。
 計画が決定したら村長名で申請するから、その申請は頼むな。」
「ええ、フォーマットが有って難しくないから確認してからでも時間は掛からないわよ、各種工事を想定して作業の練習をして来たからね。
 午後の会議で最終決定となりそうなの?」
「ああ、特に問題がなければ、担当者が結論を出してくれることになっている、工事関係はこちらで何も判断出来ないからな。」
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近衛予備隊-84 [高校生バトル-51]

 大統領はほぼ予定通りに到着、軍隊が警護に当たり人の整理を警察官が行っているのだが、兵士と警官のトラブルを目にした。
 軍部と警察の関係は良好では無いと聞いたことが有るが事実なのかも知れない。
 それでも、歓迎式典は近衛隊の仕切りで滞りなく終わり、大統領はプリンセス詩織との会談へ。
 俺達は数名の近衛と共にプリンセスの後ろに、大統領の後ろには随行して来たお偉いさん達が控える。
 会談では社会問題なども話題に上がったが総じて当たり障りの無い内容に終始した。
 会談を終えると晩餐会までは特に予定は無く、プリンセスと共にくつろぐ。

「詩織、何か当たり障りの無い話ばかりでしたね。」
「ええ、後ろに警察の幹部や軍の幹部がいては迂闊な話をする訳には行かないでしょ。
 でも、お土産の中に手紙を添え、今後は治安の問題などについて電話やメールで直接やりとりしたいとは伝えたの、あまり他人に知られずに読んで貰えたら良いのだけど。」
「会談の目的はそこに有ったのですか?」
「ええ、お土産の中身は人に見せないで欲しいと言う意図が上手く伝わっているかどうかが問題だけど。」
「と、言うことは、今後踏み込んだ話しをして行くと?」
「出来ればね、彼は大統領になってからの実績が少ないでしょ、まあ、取り巻きに問題が有るのだとは思うのだけど。
 その辺りのことを前回の会談の時に少し聞いていて、私と近衛隊で協力出来ることを考えておくとは話しておいたの。」
「考えがまとまったのですね?」
「まあね、ただ、その内容は当分の間近衛隊や友人も含め大統領以外には知られたくないから、御免ね。」
「分かりました、情報が洩れて警察などに知られてはまずいのですね、自分達は今の話、全く聞かなかったことにして、結果を楽しみにすることにします。」
「有難う、晩餐会は疲れそうだから暫くのんびりしましょ。」
「はい。」

 それからは、お茶を飲みながら、普段あまり話すことの無かった俺達の子ども時代のことを聞かれたりしながら過ごした。
 勿論、プリンセスの秘密のことは気になって仕方なかったが一旦忘れようと本気で思っていた。
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近衛予備隊-85 [高校生バトル-51]

 大統領を迎えると言う大きなイベントはトラブルもなく無事終了、俺は良いタイミングだと思ったので自分のスケジュールを見直すことにした。
 村長としての仕事は当初考えていたほど時間が掛からなかったからだ。
 まず、スティーブとも毎日顔を合わせるのでは無く、電話やメールで済ませる日を作ることにすると言った話しを含めエミリーに相談したところ、プリンセスとの学習時間や昼食会の予定を早めに教えて貰えることになった。
 予定が変更になる可能性は有るとのことだが問題はないと思う。
 或る程度考えをまとめてから、今後のスケジュールについてシャルロット達と相談する。

「今後は自分も近衛予備隊の新兵教育に当たろうと思うのだけどどうかな?」
「それだけの余裕は有るわね、良いと思うわ。」
「その前に合併もしくは合併状態にすることの住民投票と予備隊隊員試験でしょ。」
「どちらも、俺の手を離れて進行中だよ、住民投票の結果がどうであれ俺達のすることはあまり変わらないが、新兵教育は教官達との調整や準備を必要とするだろ。」
「そっか、確かに予備隊幹部が村長を始めとする村の大人達とチームを組んで投開票を行う、そこに隣村の村長は必要ないものね。
 その結果がどうであれ私達の部落へは上水道が敷設されるし、今使ってる水もシャワーやトイレ用に簡単な濾過装置を付けるのよね。」
「ああ、上水道はほとんど業者任せになるが、シャワーとトイレ用の水に関しては水圧を上げると言う実験的な側面が有って予備隊と近衛隊の合同チームが検討してくれている。」
「でも、合併に関することが否定されたら今後に影響するのでしょ?」
「そうなったら、うちの部落にだけ予算を回せば良いのさ、部落ごと会社の所有地となってね。
 部落として農地改良実験に協力することで話しがまとまり、もうすぐ着工だけど、その工事に付随して道路の改良工事が始まるのだからな。」
「それを見て他の部落の人達がどう思いどう動くかがポイントになるわね。」
「合併が賛成多数ならまず上水道と電気工事の順番について説明、反対多数なら反対した連中を羨ましがらせれ良いだけのことだよ。」
「深く考える必要は無いってことなの?」
「ああ、俺はそう思うね。」
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近衛予備隊-86 [高校生バトル-51]

 住民投票は近衛隊の車を使って部落を回り投票して貰った。
 不正が無いかは各部落の代表が予備隊と共に監視、開票作業は学校の教室を借りて、やはり部落の代表が行った。
 その結果九十九%の人が賛成、住民登録は全員がしたとは思えず村人の殆どが賛成したとは考えにくいが、少なくとも意思表示をしてくれた人の中に反対は僅かしか居なかった訳だ。
 これを受けて今後の上水道と電気の工事、その順番を発表した。
 何時着工出来るかはYouTubeなどの収入次第なので、着工時期について村人にはプリンセスの都合によると伝えるに留める。
 
 その翌週には予備隊隊員試験を実施、十二歳以上の二十八名が試験を受け全員が合格となった。
 合格基準は事前に伝えて有り事前に相談の上受験して貰った結果だが、成績的にこの二十八名とその下のグループとは差が有ったので当然の結果とも言える。
 学習に対する取り組みは予備隊への憧れも関係しはっきり分かれていたのだ。
 俺は第三部隊の指揮官として彼らの教育に当たることに、その為の話し合いの中で、新兵は無給の訓練兵からスタートし、ランクアップと共に昇給して行くシステムとした。
 学習に必要なものは無償で提供する。
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近衛予備隊-87 [高校生バトル-51]

「ジョン、新兵達はどう?」
「予備隊に憧れて学習に取り組んで来た子達ですから良い雰囲気です。
 英語をもっと話せる様になってプリンセス詩織とも英語で話せる様になりたいと言ってましたよ。」
「そうね、そんな機会も作りたいわね。」
「ただ、型通りの学習をして来ただけですので、これからです。」
「英語はジョンも担当しているのでしょ?」
「日常会話を担当しています。」
「どんな授業なの?」
「今、取り組んでいるのは友達同士、英語で話そうと言う取り組み、まず普段友達同士でどんなおしゃべりをしているのか書き出して貰いました。
 ホントに他愛のない会話ですが、今はそれを英語にする取り組みをしています、ある程度英語に出来たら友達同士、英語での対話が出来ますから。
 暫くはそこから語彙を増やし教官や英語の話せる人には極力英語を使う様にと指導して行く予定です。」
「成程、使える英語なのね。」
「はい、英語の教材では彼らが実際に使うことの無いシチュエーションばかりでしたので。」
「そうよね、笑える話なのだけど、日本の英語教育、昔は随分遅れていてね、聞いた話では、これはペンです、なんて普通使うことない言い回しがテキストに書かれていたそうよ。」
「はは、笑い話ですか?」
「そんなだから長期間英語学習に取り組んでいても英語を話せない人が多いの。
 試験の為、読み書きばかりに力を掛けてたことも有ったのだけどね。
 大学入試に合格する為だけの英語学習だったと言う人が普通にいたみたい、それでも知識として役には立っているのでしょうけど。」
「読む力は子ども向けの本で養っていますがストーリーが面白いそうで皆熱心に読んでいます。
 書くことは教官に英語の手紙を書くと言う取り組み、下手でも間違っていても構わないから、兎に角書いてみなさいと指導しています。」
「ジョンは沢山手紙を貰って大変じゃないの?」
「簡単な返事は返しますが、手紙は担当教官に渡し指導の参考にして貰っていますので、それ程では有りません。」
「パソコンへの取り組みは?」
「もう少し落ち着いてからと考えていますが、少し難しいテストで合格点を取れた子からと考えています。」
「競わせるのね。」
「はい、協力し合い自分を高めながら競い合う、プリンセス詩織の教えを理解して欲しいです。」
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近衛予備隊-88 [高校生バトル-51]

「他の教科はどうなの?」
「算数は割合など店でも使う知識を中心に強化していますが、その先は各自の能力に応じてより高度な学習に進んで貰いたいと考えています、特に進路希望の有る子に関してはその進路に、より関係する内容を中心にして行く予定です。
 漠然と幅広く学習するのではなく、ある程度絞った内容に取り組んだ方が役に立ちますし、他の分野を学習する時にも、集中して学習した経験が役に立つ、と言うのが教官達が出した結論です。
 実際、自分達の代は時間的な関係で早めに職業訓練を始めた人が多いのですが、その過程で必要なことを中心に学習したことで、大人より役に立ってる人もいると聞いています。」
「そうよね、私には学習時間が沢山有るから幅広い知識を得られているけど、今振り返るとカリキュラム的には疑問に思える取り組みも有ったわ、まずはより豊かに生きて行く為の能力を身に着けることが大切なのだから、それを効率良く行えるのが理想よね。」
「はい、ですから学校にも貧困からの脱却には漠然とした教育ではなく将来働くことを意識した教育が必要だと働き掛けています。」
「必要なことだと思うわ、日本でも学習意欲の低い子には職業教育を重視する様、各方面に働きかけているのだけど、色々面倒なことが多くてね。
 ここは法律が緩いのだから、その気になれば大胆な教育改革が行えるでしょう。」
「そこまでは…、ここの学校では難しそうです。」
「教師の問題?」
「ええ、頭の固い人もいるのですよ。」
「やはり村立の学校が必要かしら?」
「作りたくは有りますが…。」
「やはり予算面が心配?」
「それも有りますが、あの学校との関係とか、あそこの本部は慈善団体で、より恵まれない子の為に、と掲げていまして…。
 う~ん、村立学校を小規模でスタートさせるので有れば学校との関係を維持出来、予算的な負担も少なく済むのかも知れません。」
「学校が予備隊を認めてくれた背景には子ども達の為にと言う発想が有ったものね。」
「はい、新兵より年下の子達を受け入れて行くことは彼らの負担を減らすことにも繋がるでしょう、いずれここから撤退することを考えるかも知れませんが、少人数の受け入れに止めるのであればいきなり村の予算を多く使うことにはならないと思います。」

 それからプリンセスと俺は村立学校の可能性について語り合った。
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近衛予備隊-89 [高校生バトル-51]

 プリンセスと村立学校について話し合ったことをシャルロットとルーシーに伝える。

「予算的にはどうなの?」
「受け入れる人数を抑えるだけで無く教師も控えめにしようと思うんだ。
 日本では教師になるのに資格が必要だそうだが、ここにはそんなルールないだろ。
 だから新兵にも教師の役割を担って貰って良いと思ってるし、後は予備隊の幹部や村人にお願いしたいね。」
「予備隊の幹部は兎も角、村人と言うのはどうかしら?」
「生きて行く上で知っておかなくては行けないことを教えるのに教師で有る必要は無いと思わないか?」
「う~ん、そっか…、学校との関係はどうするの?」
「学校サイドは俺達が予備隊として活躍する基礎を作ったのは自分達だとアピールしてるだろ。
 予備隊に移る前、俺達は学校に不満を募らせてはいたが、無いよりは有った方が良いと思うんだ。
 だからスタート時は予備隊の付属学校の形にし受け入れる子の相談に乗って貰ったり出来たらと考えている。」
「優秀な子を引く抜くばかりになったら学校サイドは不満を募らせないかしら?」
「学校で学んでも、町へ働きに出た人達の生活はあまり良くないと言う現実が有るだろ。
 或る程度力の有る子でも、あの学校では将来が見えないことを考えたら、表向きはあの学校の出身者にワンランク上の教育を施すことで就職に有利な様にする、と言ったことをアピールすれば良いのではないか。」
「そっか、あの学校の出身者として学校の功績を認めて上げれば協力的になるかもね。」
「それで、教室はどうするの?」
「校舎はうちの部落に近い所に建てたいかな、学校とは別の拠点としても活用して行きたいし。」
「町には役場などの公的な施設が有るそうだけど、ここには教会と学校ぐらいしかないものね。
 しかも、村の建物では無いから私達の自由には使えない。」
「建物は予備隊で大工仕事を学んで来た連中の実習を兼ねて建てることにしたい、その為の費用は俺達で稼ぎたいかな。」
「どうやって?」
「新兵の実習を兼ねて商売を始めようと思うんだ。」
「何を売るの?」
「商売の実習については前から近衛隊メンバーと相談していたのだけど、幾つかの候補が有って、安く始められそうなのから選ぶことになる。」
「建物を建てられるだけの額が稼げるのかしら?」
「始めは小さな建物で良いのだから何とかなるさ。」
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近衛予備隊-90 [高校生バトル-51]

 新しい学校の話はスティーブやエミリーにも相談し具体的な計画を練り始めたのだが、一週間もしない内に白紙となった。
 新しく学校を作る話を伝え聞いた従業員が、それなら家族を呼び寄せたいと言い始めたからだ。
 近衛隊が募集した従業員は寮の関係も有り単身での応募に限っていたので、俺はここで結婚しても子どもが学校へ通うまで、まだ時間が有ると考えていた。
 しかし、家族を自分の村に残し町へ出稼ぎに出ていた人が、そのままここへ働きに来たと言う例が少なからず有ったのだ。
 そんな彼らがここでの暮らしを気に入り家族を呼び寄せたいと思うのは自然なことだろう。
 それはスティーブ達にとっても想定外のことだったが従業員を幸福にすることこそが村の目的なので無視は出来ない。
 そこで、直ぐに呼び寄せたい家族の人数やその構成などの調査を行い、その結果を踏まえた会議が開かれた。

「前の村と違いこの村では独身者と明記して募集したつもりでしたが、聞いてみると言葉の行き違いが有った様で、彼らは結婚していても一人でここへ来るので有れば独身者だと捉えていたそうです。
 そう思った人が三十七名もいたのですから彼らを責める訳には行きません。
 呼び寄せたい人の合計は妻が三十三名、親が二十四名、子が百十六名で、その内小学生に当たるのが五十一名、中学生相当が六名、それ以上が四名で、残りは幼児です。」
「思ってたより子どもが少ないですね。」
「若い人が多いですから。」
「住まいの確保はどう?」
「ほとんどの人は部屋に充分な広さが有るので普通に同居出来ると言っていますが、四家族には無理が有りそうです、ただ、勤務態度の悪い連中を二人部屋にすれば部屋の確保は出来るかと思います。」
「子ども達の為に本格的な村立小学校が必要になるわね。」
「はい、ジョン、用地はどうかな?」
「新たに建設される寮の近くに適当な平地が有ります、造成の必要は有りますが。」
「新しい寮を家族寮中心に変更するのは難しいかしら?」
「設計事務所と相談してみます。」
「ええ、お願い。
 ジョン、その場所に小学校を建てた場合、今の学校に通うより地理的に楽になる子がいるのでしょ?」
「はい、学校は自分達の部落から遠いので随分違います、正確な数字では有りませんが五十人ぐらいでしょうか。」
「その子達にも通って貰う前提で、且つ将来的に人数が増えることを想定して…、敷地の広さはどう?」
「放棄された昔のプランテーション跡ですから広さは充分有ります、荒れ放題ですが。」
「広い土地だとしたら調査から漏れていたのかしら?」
「広くても荒れ放題なんです、高い所から見ないとそこに広い平地が有ることは分かりません。」
「プリンセス、ジョンに聞いて調べてみます。」
「お願いね。」

 小さく始めるつもりだった新しい学校は、百人以上の子どもが通う村立学校へと形を変え動き始めた。
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