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近衛予備隊-321 [高校生バトル-75]

「ジョン、化学の実験とか授業でやれてるの?」
「実験の必要性は化学を担当してる教官からも聞いてはいるのですが、それ以前に教えられる人が足りて無くて、王立高等学校はともかく国立学校では…、理数系の強化が難しい一番の理由なのです。」
「本や映像ではなく実際に自分の手で試してみることで化学の面白さが解るのよ。
 そんな状況では実験器具も足りて無さそうね。」
「はい、器具を用意出来たとしてもそれを使っての実験を指導出来る人がいなければ、特に薬品を使っての実験は間違えると危険でも有りますので。」
「そうね…、手始めはローソクの火を消すとか、そんなレベルからで良いから化学教育チームを立ち上げましょうか。」
「どんな感じですか?」
「小さめのローソクと大き目のガラスコップぐらいなら用意出来るでしょ?」
「問題無いです。」
「通信教育の体制は?」
「充分とは言えませんが一応全部の国立学校でネットが使えるようになりました、これから増強して行きたいですが。」
「映像で解説、実験は各学校の教師立会いの下にと言うのを想定しているのだけど、燃焼に関することは義務教育の範疇だったよね?」
「はい、火災を起こさせない為の安全教育、料理を通して火の利用、電力に関する授業では火力発電所の仕組みなども教えています。」
「火の消し方は?」
「訓練の一環として水による消火を経験して貰っています。」
「ではローソクに火を付けてその燃えるメカニズムを映像で説明、子ども達に興味を持たせられそうな講師には心当たりが有るのよ。
 例えばローソクは吹き消すことが出来るのだけど、何故消えるのか、なんて話から始めて貰ってね。」
「吹き消す、を論理的に考えたことは有りませんでした。」
「当たり前だと思ってることほど説明しにくいのよね。
 ローソクにガラスコップを被せ、何故消えるのか、芯をつまんでみたり、ドライアイスが身近に有ったら、ドライアイスで消してみたいわね。」
「酸素と二酸化炭素、それが化学の基礎なのですね?」
「化学教育チームにはそんな身近な物で出来る実験を用意して貰いながら、映像による授業体制を構築、物理教育チームや数学教育チームを立ち上げることも考えようか。」
「お願いします。」
「今後の国家改革を考えたら技術者を育てる教育はその要となる、それぐらいの気持ちで取り組んで貰える人を集めて貰いましょう。」
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近衛予備隊-322 [高校生バトル-75]

 国家の改革を考えたら教育はとても重要、だが技術者の養成に繋がる理数系を教えられる人が少なく、苦慮していたので詩織さまからの提案は有難かった。
 我々にはそれだけの人脈がないのだ。

「またしても詩織さまに頼ることになってしまったのね。
 それで、教育チームはどんな形になりそうなの?」
「理科や算数に対して興味を持つ子を増やして行くことがメインになるのだけど、学ぶ姿勢の有る子はそれなりにいる、教師サイドの問題が大きいと思うんだ。」
「今までの教育では、理数系の教師が充分に育ってなかったのよね。」
「その足りない所をネットを利用した通信教育で補えないかと考えてる。」
「お金が掛かりそうだけど予算的には大丈夫なの?」
「無理をしてでも将来に対する投資と考え、進めて行きたいと思う。」
「国会議員は理解してるから問題ないと思うのだけど、今までは政策に反対する人達の意見に合わせて多少の妥協をして来たでしょ。
 教育予算に関しては無駄遣いだと反対している人がいることを考えると、いよいよ独裁政権と呼ばれることになるのかしら。」
「子どもの教育は将来に対する投資だとはっきり示すべきだと考えてね。
 詩織さまがね、日本では少子化が進んでるのに、目先の利益に囚われて根本的な策が取られて来なかったと話しておられ、このままだと日本は国力が弱まり色々な意味で年老いた国になりそうだと嘆いておられたのだよ。
  国は子育て世代より高齢者にばかりお金を使い、企業が人件費を抑える事しか考えて来なかった結果なのだとか。
 その点我が国は改革が目に見え始めた段階、十年後二十年後を見据えて教育の更なる拡充を国民に訴え理解して貰おうと思う、先進国をお手本に…、勿論お手本に出来ないことも多々有るが。」
「教育予算増額に反対してる人達は目先の利益しか考えてなさそうだけど。」
「普通に国会を通せる案件だが、敢えて大統領令を発令し、もう一度教育の重要性を国民に訴えるのも良いだろう。」
「国立学校が給食だけでなく、その存在意義を示し始めてるから反政府系の人達以外は納得してくれると思うのだけど、反政府系は大統領令と言う言葉に対して様々な形で攻撃して来そうじゃない?」
「仕方ないだろ、彼らは言葉で説明しても理解出来ないのだから。
 一応、刑務所の拡張工事をして貰っているが、使わずに済んで欲しいものだな。」
「もしかして良からぬ動きが?」
「大統領親衛隊からの報告では一つのグループが武器を集めているそうだ。
 勿論違法行為で逮捕だが、どうせなら一気に殲滅してしまおうと策を練ってる最中なんだ。」
「抵抗したら射殺とか?」
「可能性は有るが、なるべく殺さず、刑期を出来る限り長くする方向で検討してるよ。
 反政府組織だから大統領親衛隊によって皆殺しにされた、ではこちらの印象が悪くなるだろ。
 あくまでも銃器の所持が逮捕理由、こちらに被害が出ない様に銃を使ってくれたら、銃器を使用したとして重罪に出来るが、親衛隊から死者やけが人は出したくない。
 その辺りを相手の動向を探りながら、慎重に検討しているんだ。」
「反政府組織が銃を手にしたら一番の標的はジョンでしょ、今の政府がどれだけの改革を進めているのか理解出来ない連中何て皆殺しにして欲しいのだけど、そうも行かないのね。
 せめて、その件が片付くまでは王宮前広場への入場チェックなどを厳しくして貰わないと。」
「まあ、王宮前広場を国境なき合唱団の拠点にする時に、金属探知機などを充実させているから心配はいらないだろう。
 このエリアは観光客中心に楽しんでる人が多い、そんな中で悪事を企ててる人がいたら自然と目立つ、怪しげな人物は大統領親衛隊が把握して調査してるそうだよ。」
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近衛予備隊-323 [高校生バトル-75]

 反政府組織の動向については警備の関係も有り密に報告が入って来る。
 それによると武器を調達している組織が他の組織に手を組むことを持ち掛けてるとか。
 前大統領が大統領親衛隊に関しては予算を惜しまず装備を整えていたことを反政府組織の連中は理解していないので彼らの情報は筒抜けなのだ。

「詩織、反政府勢力の動向はしっかり確認出来ていますが、しばらくは注意して下さい。」
「王宮への砲撃とか有りそうなの?」
「監視体制は出来ていますが万が一と言うことも有りますので。」
「盗聴もしてるのでしょ、彼らがどんな話をしてるのか知りたいわね。」
「はい、彼らは現代の情報戦に関して全く無知だそうで、大統領親衛隊と相談しておきます。」
「まともな教育を受けて来なかった人達が、警護に関する高度な教育を受けて来た大統領親衛隊にどう立ち向かって来るのか見ものよね、親衛隊に油断はない?」
「と、思います、今回指揮をとっている隊長は親衛隊の一期で村長時代からの友人です。
 彼は取り敢えず反政府組織構成員全員を刑務所へ、リーダー格は小細工を弄してでも刑期を長引かせ、改革の邪魔はさせないと話してくれました。」
「ジョンと親衛隊の一期生は特別な関係なのね。」
「ええ、村長時代から話し合う機会が沢山有りましたので。
 彼らに対して国家改革を話したことで、自分の考えがまとまったとも言えます。
 随分年下の村長でしたのに友人として接してくれた彼は、戒厳令のドタバタが落ち着いてから様々な学習に取り組み、それが前大統領に認められて出世したのです。」
「ジョンが大統領になって喜んでくれたのでしょうね。」
「どうでしょう、警護に当たる時は、前大統領の時より数倍の緊張感が有ると話していました。」
「絶対守りたい大統領なのか…、彼らの思いに応える為にも教育制度の拡充は進めて行かないとね。
 ねえ、犯罪を犯させない教育はしてるとして、政治教育はどんな感じなの、王国の存在と民主主義の関係とか。」
「義務教育では国家と個人の関係を税金中心に学んで貰っていますがあまり時間は掛けていません。
 我が国は民主主義国とは言えない歩みをして来ましたが、これからも独裁政治は控えめに、計画経済など社会主義的要素を入れた特殊な民主主義国家目指していますので。
 選択授業で『共和国と王国』を選択した子達には、国家について考えて貰っています。」
「共和国を王国に取り込んで欲しいと言う要望は沢山来てるのでしょ?」
「多くの国民は国家の有り方に関して良く分かっていません。
 ただ、共和国内王国領になったエリアは会社のお金でインフラ整備が進んでいますので、王国領に住みたいと思うのは自然です。」
「王国領は観光客の増加に伴いそれなりに拡大して来たけど、共和国全体を考えたらまだまだなのよね、予算的に共和国全体のインフラを王国レベルにするのには無理が有るし。」
「その辺りのことが理解出来てない国民が多いのですよ。
 義務教育の範囲では税金に関連して国家予算についても教えていますが、どれだけ理解されているのかは疑問です。
 一応十三歳以上で履修する様にして貰ってはいるのですが。」
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近衛予備隊-324 [高校生バトル-75]

 自分にとって身近でないと社会に関することは、学習しテストで好成績を納めたとしても本当に理解しているのかは微妙な気がする。
 自分も村長になった時、今まで学習して来たことの意味が初めて分かったと感じたものだ。
 民主主義的選挙については今でも疑問だらけなぐらいで。
 社会のことを良く分かっていない人達が人気投票をして決める議員にどんな意味が有るのだろう。
 教育水準の低い我が国では尚更だ。
 だから詩織さまが企業を軸とした王政を試してみたいと思われたのは納得出来る。
 教育現場としては、共和国内王国がそれなりに力を持っているので、国の仕組みを子どもに教えるのはいささか厄介かもしれないが。

「子どもに政治を教え理解させる、詩織は出来ると思いますか?」
「そうね、言葉の上では覚えさせられたとしても本質的な理解までは簡単なことでは無いわね。
 でも、この国ではジョンが中心となって進めている改革が如何に素晴らしいものなのか、トコトン教えれば良いのだからまだマシだと思うわよ。
 日本の公教育は政治的に中立でなくてはならないから、学校では政府の活動を褒めても貶しても行けないの。
 だから政治の現状を理解しないまま高校を卒業する子が多く、政治に興味を持たないまま有権者になった人達は投票に行かない。
 まあ、投票に行く気が起きない様な候補者ばかりなのが理由だとも聞いてるけどね。」
「自分が近衛予備隊に居た頃は隊員同志でも政治ついて議論していました。
 そんな議論をする様に教官が指導して下さっていたと理解しています。」
「必要なことだものね、考えてみると日本では学力ばかりに目が行ってしまい社会人として身に付けておくべきことが色々疎かにされていると思うわ。」
「そうなのですか…。」
「巨額の利益を出した大企業が下請け企業に部品の値下げを要求するとか考えられないでしょ。
 物価が上がっても給料が上がらない底辺で働く人達の生活なんて考えられないのよ。
 そんな大企業のトップが日本を格差社会にし、一番お金の掛かる世代が節約ばかりを考えなくてはならない、当然消費が伸びないから経済は停滞したまま。
 それに比べ、この国は貧困対策にお金を使って来たから、お金が勢いよく回ってる。
 お金が回れば税収も増える、王国の収入は実質的に会社の利益だけど、それを国の為に再投資しているから税金と同じ様なことでしょ。
 共和国と王国とでお金を回し経済の活性化を進めている、だから改革は進められる。
 このことは、しっかり子ども達に教えて行かないとね。」
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近衛予備隊-325 [高校生バトル-75]

 学校で政治教育に中立性が求められるのは分かるが、詩織さまは独裁国家の方が効率が良いと考えておられる。
 その辺りを国立学校の現場では、どのように考え教えているのか気になったので、国立学校の校長を務める王国騎士団のジェーンを宮殿に招いた。

「ジェーン、理数系教科の強化は進みそうか?」
「どうでしょう、まずは私の学校で試してみるとかで、機材が搬入され日本からの映像を皆で見られる環境が整いつつあるのですが。」
「ジェーンは理数系の学習、どうだったの?」
「自分達に用意されていた内容は何とかクリア出来ましたが、技術者を目指せるレベルからは程遠かったと思います。」
「子ども達は?」
「算数の得意な子もいますが基本十五歳まで、選択教科として取り組む子もいますが、教えられることの限界は低いのが現状だと思っています。」
「その辺りの改善が出来ても結果が見えるまでには時間が掛かりそうだな。
 制度上の問題も有りそうだ。
 もう一つ気になってるのは政治に関係する教育なのだが、ジェーンの所ではどう?」
「義務教育では政治の仕組みを中心に教えています、難しい話は出来ませんが大統領がジョン王子で、給食を食べられる学校を作ってくれたということぐらいは小さい子でも知っています。
 歴史の選択授業では『戒厳令前』『戒厳令』『戒厳令後』『大統領がジョン王子に変わってから』と言った形で、その時々の政治と社会問題を学んで貰っています。
 『詩織さまと王国』『共和国と王国』だけでなく『アビュニス王国』や『遠江王国』のことも企業による国造りの参考例として取り上げています。」
「歴史の学習に取り組む子は多いの?」
「興味深い話ばかりですし、ジョン王子や大統領親衛隊の活躍などはドラマチック、大昔の話では有りませんので興味を持って取り組む子は多いです。」
「反政府組織に関する話は?」
「『戒厳令後』ではなぜそれが残ったのか『大統領がジョン王子に変わってから』では彼らが如何に頭の悪い人達なのかを説明し、学習の必要性を強調しています。
 ジョン王子の活躍は皆が前のめりになって話を聞いていまして。」
「一応政治団体は幾つか有るのだから、学校に於ける政治の中立性とかは考えたりしないの?」
「王子が作られた国立学校なのですよ、給食によって食生活が改善された子が多いですし、職業実習を通して自分の生活が良くなる可能性、それが見えて来た子達にとって英雄で有るジョン王子の話は正しく伝えて行かなくてはなりません。
 先進国に倣い教育の中立性を王国騎士団で話し合ったことも有るのですが、我々は詩織さまの王国や、ジョン王子による穏やかで優しい独裁政治を見て来ましたので。
 国会議員を身内で固めることが出来たのは、国民がジョン王子による独裁を望んでいるからです。
 ジョン王子の抵抗勢力が論理的な主張をしているのなら兎も角、彼らは子ども達ですら突っ込める様な自己矛盾を抱えている連中、それに気を使うなんて馬鹿げています。」
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近衛予備隊-326 [高校生バトル-75]

「ジェーンは民主主義について学んで来たのだろ?」
「学んで来たからこそ、子に継承されない王政や優しい独裁政治の良さが見えた気がするのです。
 独裁国家で無くても大統領の失政で国力を落とす国も有ります、歴代の大統領が任期を終えた後、不正行為で逮捕されまくってる国も。
 政党間の争いの中で嘘でも良いから民衆を惹きつけた人が大統領に、その力量に問題が有っても口の上手い人が大統領に成ってしまう。
 民衆は、候補者がどんな人なのか分からないまま雰囲気に流されて投票するのでしょう。
 そんな形で選ばれた人より詩織さまが認めた人、王家で王国経済の発展に尽力された方にお任せした方が安心です、口先だけのごまかしではなく実績があって大統領になられたジョン王子の様に。」
「ふむ、我が国の少し変則的な政治形態を国民は理解した上で支持しているのだろうか?」
「難しいことは考えていないでしょう、マーケットが出来て便利になったら、そこに詩織さまとジョン王子の写真が飾られていたとか、マーケット関連で給料の良い仕事に就けたとか。
 そして国立学校が出来、子どもが給食を食べられる様になったのはジョン王子と言う若くて格好良い大統領が尽力してくれたお陰だと。
 そんな、目に見えることがジョン大統領への支持に繋がっているのだと思います。」
「前大統領の足元には及ばないが、インフラ整備を進める為に少し強引なことをしてるのだがな。」
「電力の安定供給を優先して…、大統領の会社を大統領が優遇、他国なら大問題になるのですね。」
「みたいだな、誰も文句を言わないのは電力供給の安定化が必要なことだと理解されてるからだろう。」
「かも知れませんが、お金の流れを全て公表しているからでは無いでしょうか。」
「詩織さまの指示で、ずっと行ってることだが。」
「戒厳令までは不正が当たり前だった国です。
 公表されている内容を精査した人は、大統領はもっと自分の為にお金を使っても良いと話したとか、そんなに慎ましやかなのですか?」
「どうかな、子どもが増えてベビーシッターを増やした、一般人と比べたら贅沢してると思うよ。」
「歴代の大統領と比べたら…、大統領の個人資産を教育資金に充ててることも知られています。
 今まで個人の才覚で増やして来た資産なのですから、ご自身や家族の為に使われては如何です?」
「すでに満ち足りているが、子ども達は将来自分の給料で生活して行くことになるだろ。
 だから贅沢過ぎる環境は良くないと思ってね。」
「ジョン王子のお子さんですから心配ないと思いますが。」
「それは分からない、売れない音楽家になるかも知れないし事業で失敗するかも知れない。
 子どもの持つ可能性は多いが、その中には残念なのも含まれるのだよ。」
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近衛予備隊-327 [高校生バトル-75]

「子ども達に対して政治の話はどの様に?」
「義務教育の授業では詳しい話は出来ませんので、大統領の役割、税金の話と言った基礎的な内容になっていますが、興味を持った子が深く学習する手助けは行っています。
 特に大統領は彼らのヒーローですので、テーマを大統領とし各自が自分なりに調べてからのディスカッションは毎回盛り上がっています。
 授業を受けて、彼らは自分達の国が世界的に見て貧しかったと知りますが、そこから改革を押し進めていること、その旗頭が世界で最も若くて恰好良い大統領だと理解し、それを誇りに感じるのです。」
「それは嬉しいね。」
「社会に関する選択授業では感想を書いて貰って終了となるのですが、一行だけでも問題のない感想を単元毎に毎回熱心にまとめ自分の意見を書いてくれる子もいます。」
「社会科は評価の必要も他者と比べる必要も無いのだが、そんな子にはどんな指導を?」
「そこから英作文の能力が高いことも証明されていますので、王立高等学校へ推薦状付きの試験を受ける方向で、今は試験に向けての準備をして貰っています。」
「ジェーンの推薦なら合格で良いのだが、入学後の学習に戸惑わない為にも試験科目は押さえて置いて欲しいね。
 その子がまとめたものを私が見ることは出来るのかな?」
「彼女は優等生クラスに入りましたので、文章入力の練習をパソコンで行っています。
 自分が手書きで書いたまとめと感想を入力練習の課題としていますので、完成したら送りましょうか?」
「ああ、お願いするよ、学校に優等生クラスを作ったのだね。」
「はい、王立高等学校を目指す子を集めましたので、能力の高い子同志刺激し合っています。」
「能力的に逆のパターンは?」
「学校という集団に馴染めない子は学校に来なくなりますので特には考えていません。
 義務と考えたら問題かも知れませんが、二十歳になってからでも学べる環境は有ります。
 今は様々な理由から義務教育課程や英語に取り組む大人が増えていますので、暫くは様子見で良いかと。」
「そうだな、無理に学習させようとしても上手く行かないだろう、他の学校もそんな感じなのかな?」
「校長会として連絡を取り合っていますが、各校多少の差は有るものの大きな違いは有りません。
 それぞれ校長の裁量で教育活動を行っていますが、特殊な教育をしている例は知っておきたいですし良い事ならば見習うべき。
 特に問題となる様な方針で学校運営をしている校長は居ませんのでご安心下さい。」
「少しばかりの問題なら学校の個性となって面白いと思うのだが。」
「許容範囲で有れば構いませんが、子どもが怪しげな宗教団体に入信したり反政府組織に入ったりしては国にとって損失になります。」
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近衛予備隊-328 [高校生バトル-75]

「国にとっての損失か、その通りだ。
 今は利益生み出さない子どもで有っても、育て方を誤れば国にとって大きな損失になるよな。」
「日本からの教育実習生に話したら、日本にはそんな意識が全くないと話していました。」
「ああ、少子化が進んでるのに無策に近いと詩織さまも話しておられたよ、大人達は国の将来に興味が無いのだとか、若者が気持ち良く学び働けない環境は反面教師として研究すべきだそうだ。
 我々には手が届かない高度な教育をしているのに、研究者が薄給で海外へ逃げ出すと言った問題も有るそうでね。」
「まだ人材を育てられる環境には程遠い我が国ですが、有能な人材を流出させない、むしろ優秀な人には来て貰いたいです。」
「我が社では、ここへの転属から定住を決意した外国人がそれなりに居るって知ってた?」
「言われてみれば、王国では自国へ帰る気の無さそうな人達ばかりだった様な…。」
「詩織さまは、それも狙って王国の整備を急いでおられたのだよ。
 住みたくなる王国、暑過ぎず寒過ぎない環境に加え、整備された公園や娯楽施設、観光客が増えて騒々しくは有るが彼らの居住地区には入れないだろ。」
「私が暮らしていた寮もそのエリアに有りました。」
「村に宮殿や店が出来始めた頃は経済格差による恩恵も有ったのだけど、それが薄れつつ有る今でも彼らにとって魅力的な王国、そして彼らはこの国が更に良くなるようにと考えてくれている。」
「そんな彼らの為にも、子ども達を怪しげな政治団体や宗教団体に近付けたくないです。」
「景気が良くなって来たから、金儲け目当ての宗教団体が入って来て人の心の隙間を狙い始めているのだよな、法改正して社会福祉活動をしていない宗教団体は税率を高くするなどの案を練ってるところだが、今まで平和的に宗教活動をして来た団体との線引きが難しくてね。」
「大統領令で排除とは出来ないのですか?」
「信仰の自由はこの先も保障して行きたいのだよ、近衛隊メンバーや海外からの移住者たちが、その信仰している宗教によって不利益を被らない為にもね。」
「海外には恐ろしい宗教団体も有ると聞いていますがその辺りは?」
「今の所そこまで危険な団体は確認されていないが、布教活動を始めた新興宗教団体は大統領親衛隊が資金の流れなどのチェックを始めている。
 法の網を搔い潜ってでも国の将来にとって損失となる布教活動をするのなら、独裁者の後継者として動く必要が有る。
 大統領の私が気に入らないから排除と言う形を取らざるを得ないかも知れないのだが、そうした場合国民はどう感じると思う?」
「情報次第だと思います、情報戦に負けると色々不利益を被りますが、そうさせない為に例え小悪党レベルだったとしても王国騎士団が総力を挙げて押さえ込みます、その布教活動は終身刑の人達にして貰いましょう。
 気になって調べたのですが、人心を惑わし利益を得る宗教団体の行為は危険だと思うのです。」
「大統領親衛隊の総隊長も同じことを話してたよ、私が独裁者として動いても問題ないのかな?」
「そうですね、こういった案件でしたら問題にならないと思います。
 むしろ優柔不断な指導者と思われない毅然とした態度が必要かと。
 反政府組織が喜びそうな情報は私達で何とかしますよ。」
「君からそう言って貰えると心強い。
 国益に反する行為を行った、もしくは行おうとした者は厳罰に処す、こんな法律を成立させておけば警察官や裁判官も楽になるのかな?」
「はい、細かい部分は裁判官の裁量でどうとでもなるぐらいが調度良いかと。
 平和的独裁国家の利点を活かして頂きたいです。
 三権分立は学習しましたが、三権が国民を第一に考え不正を行わないのであれば、三者で協議して最良の法律を作る、それに沿って運営される国家は、例え独裁国家と言われようともこの国にとって最善のものになると思うのです。」
「不正が行われない前提でことを進められたら、法律をもっと単純に出来るのだがな。」
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近衛予備隊-329 [高校生バトル-75]

「不正に対して不安が有るのですか?」
「特に心配している訳ではないのだが、国会議員と大統領親衛隊は公務員に不正を起こさせないシステムを検討してくれてる、不正を考える連中は隙を突こうとするからな。」
「過去の経験を踏まえて新しいシステムを?」
「ああ、どこの国でも起こってることだから完全に無くすのは難しいだろう。
 それでも現金決済を完全に無くしたから、政府の入出金が会社のシステムで把握出来る。」
「膨大なデータ量だと思いますが。」
「AIで監視していればある程度チェック出来るんだ、でもそれは不正行為を行ってからのこと、出来れば不正行為を行えない環境を作り、不正行為を行おうとは考えない職員を育成したい。」
「その為には?」
「職員の意識を更に高めるしかないかな。
 無駄を無くし、職員の給料を上げてはいるが、やはり小さい頃の教育が影響してる様でね。
 職員に対し定期的に意識改革の研修を受けて貰ってはいるが、拾った財布は自分の物といった感覚はなかなか抜けないんだ。」
「それが我が国の国民性だと悲しくなりますが、確かにうちの親もそんな感じで。
 でも私達は誇りある近衛予備隊の隊員となって、人としての教育を受けて来ました。
 今後政府機関は職員として王立高等学校の生徒を採用して行くのですから、それだけでも年々良くなって行くのでは有りませんか?」
「そうであって欲しいものだな。
 ジェーンの学校では、子ども達に対して犯罪に関する教育はどうしてる?」
「殺人や窃盗を犯すとどうなるのかは理解させていますが、難しいのはやはりマナー教育です。
 ジョン王子が観光立国を打ち立て、国を挙げて屋外マナーの強化を図っていますが、ゴミを道路に捨てないなどのマナー教育は親に問題が有ります。
 観光に関係する仕事をしている人達のマナーは随分向上しているのですが、その他の人はあまり気にして無くて当然子ども達も、国民性なのでしょうか…、優等生クラスの子達はしっかりマナーを考えてくれてるのですが。」
「対策は?」
「『公共マナー』を学習する延長で街の掃除に取り組んで貰っています。
 捨てられたゴミが放置されたままだとどうなってしまうのかを教えながらですが、町の掃除を通して子ども達と社会との関係が強化されるかも知れません。
 学習の一環として掃除に取り組んだ子が、学習を終えた後も手伝ってくれるのですが、そこに優等生クラスのリーダーが関わってくれていまして。」
「自主的に?」
「はい、リーダーの提案で一度思いっきり綺麗にしたのです。
 その状態は維持出来なかったのですが、自分達の街が綺麗であることの意味を感じてくれた子が手伝ったり、友達が学習として掃除してるのを手伝ったり、最近になって大人が手伝ってくれることも。
 手伝いはまだ少数で地道な活動ですが続けて行きたいです。」
「学校が無かったら、そしてジェーンが校長で無かったら、町は汚いままなのだろうな。」
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近衛予備隊-330 [高校生バトル-75]

「ただ、我が校と同様、清掃活動を始めた学校の中には宗教団体が絡んで来た所がありまして。
 掃除を手伝ってくれるだけなら問題はないのですが、信者を増やそうと言葉巧みに。」
「善意を装って拡大を目指しているのか…、取り敢えず、学校関係者への布教活動を禁止するべきかな?」
「それはお願いしたいですが、彼らが厄介なのは詩織さまを自分達の教義に取り込んで布教活動に利用してることなのです、詩織さまを讃えながら勧誘されるとつい入信してしまい、寄付を求められるのだとか。」
「ふむ、そこは見せしめとして潰そう、詩織さまに無断で行ってることは間違いないのだから即逮捕で良いだろう、大統領親衛隊に動いて貰うから情報をくれるか。」
「は、はい。」

 逮捕に関する指示と同時に、大統領令で詩織さまの名を出しての宗教活動を一切禁止する、その準備を進めること、また新興宗教がどのように金儲けを企んでいるのか国からの通達として広める様にと指示するのに時間は掛からなかった。

「 ジョン王子は何時もこの様に指示を出されているのですか?」
「まあ、怪しげな新興宗教に対して策を講じるべきとの話は大統領親衛隊の幹部とも話していたからね。
 奴らは詩織さまを勝手に利用してるのだから逮捕出来る、同様の事例が発生しない様に大統領令、そのついでに国民に対しての注意喚起、全て彼に任せておけば安心なんだ。」
「ジョン王子が時間に追われていない理由が分かりました。」
「私だけではない、任せた彼も、仕事の割り振りをした後は報告を受けながら、じっくりと新興宗教対策を考えているよ。」
「それが組織なのですね。
 我らが女神さまは宗教的活動をなされないのでしょうか?」
「詩織さまは自身を女神だとは思っておられないからな。
 詩織さまに対しては信仰心に近い感情を多くの人達が持ってるとは思う、女王からのお言葉を真剣に聞き考える人は多いだろ。」
「そう考えると宗教ってなんだろうと考えてしまいます、葬儀を司る役目を担っているとは思うのですが。」
「良い形で良い宗教が浸透していたら、治安は悪くならなかっただろうし、公共のマナーももう少しマシだったのかもな。」
「その代わりを大統領が担って行こうとされているのでしょうか?」
「科学的論理的に国の在るべき姿を提示したら、それに賛同してくれる人が大勢いるが、良く分からずに応援してくれてる人も少なく無い。
 大きな組織には、そんな宗教的な側面が有るとは思うよ。」
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