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バトル-261 [高校生バトル-27]

「この国への投資、私はパスするからね。」
「分かった、雅が予定していたこの国への投資は無くなったと明日さりげなく伝えて残念がらせてやるよ、やはり昨日会った人達の態度が決め手なのか?」
「それも有るけど、今日街を歩いていたら、こちらが言葉を理解出来ないと思っているのか、お兄さまの悪口を私達にだけ聞こえる様に話してる人がいてね。
 お兄さまの真意を全然分かっていなくて、ここに支社を立ち上げたら妨害が有るかもよ。
 一通りスタッフに伝えたら、やはりかと納得してみえたわ。」
「元々ここの政府は協力的では無かったからな。
 アルトバルとの相乗効果を考え早めの支社立ち上げを考えていたが、マイナス要素が思っていたより多い、我が社としても安心して投資出来る所を優先して行きたいからここは遅らせる方向で話が進んでいてね、支社立ち上げを一旦凍結し、他国で実績を上げてから考えることにしようとなりつつある。」
「それは正解かも、でも実際に来てなかったら、詩織関係のグッズが売れていると言う理由だけで投資してたかな。」
「そうだよな、伝え聞いてた情報だけでは見えて来ないことが有る。
 情報化社会となっても難しい所だよ。」
「ここに支社を立ち上げるかもって話は政府高官とかにしたの?」
「いや、今回は基本的に支社の立ち上げを匂わせる様な話はしないでおこうと考えていて、予定の国を全部周り終えてから判断し、それから動いて行くことにしようとね。」
「それでも、アルトバルでの動きを知っていたら、何かしらの期待を抱きそうなものなのにな。」
「だよな、次の訪問国からは歓迎のメッセージが沢山届いて、この国とは政府の対応が凄く違っていてさ。」
「遠江王国を国として認めて下さるとか?」
「その流れになってるよ、国王主催の晩餐会を開いてくれるぐらいだから。」
「この辺りで一番裕福な国なのでしょ、アルトバルとは動機が違いそうね。」
「どうかな、豊富な資源を保有してはいるが、将来を見越し観光にも力を入れて行こうと言うことかもだぞ、何時までも化石燃料に頼っていてはいけないと言うのが国際的な流れになってるからな。
 まあ、ここよりは英語が通用するから商売はし易いだろう。」
「国によって随分違うのね、裕福な国だから貧民街なんて無いのかしら。」
「ああ、データを見る限りでは治安も良い。」
「こことは真逆なのか、それだと支社を立ち上げる意義は弱いのね。」
「まあな、それでも稼がせて貰えれば、その利益を他国への投資に充てることも出来る、食料を輸入に頼ってるみたいだから美味しい食べ物は売れると思うんだ。」
「そっか、遠江王国の本社で収益を出しにくい部門を他の部門がカバーしたみたいに出来れば、このエリアの支社も安定して行くということなのね。」
「うん、実際にどんな国なのか見てからの判断になるけどな。」
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バトル-262 [高校生バトル-27]

「お兄さま、同じエリアの貧乏で不安定な国と裕福で安定した国を続けて訪問したことで、その差をより強く感じさせられたと思いません?」
「うん、ここまで極端に違うとはな、前の国では我々が貧困対策に力を入れてもどうにもならない感じだったから。」
「余裕が無いことで他国から足元を見られ食い物にされ、その経験から私達に不信感を抱く、悪循環に陥ってる様だと聞きました。
 アルトバルの様な小国でしたら少しの投資でも改革を進められそうですが、人口が多く教育水準の低い国ではどうにもなりませんね。
 支社を立ち上げられそうにないと言う事ですが見捨てるのですか?」
「支社は立ち上げないが、アルトバル支社が運営する店を出し暫く様子を見てみたいと言う提案が有ったよ。
 貧困対策には手を付けず輸入品を扱う店として現地の人を雇い入れ、店の運営をしながら社員教育を進めて行く、利益は出せそうだから店舗を拡大したり新店舗を出したりして行き、支社を立ち上げる時の足場固めにとね。」
「僅かで有っても雇用の拡大に繋がり、社員教育を通して民度を上げられたら良いのですが…、大変そうです。」
「アルトバルで雇った社員を派遣してトレーニングすることも視野に入れてるとか、それなりの構想が有っての提案でね。
 支社を置いて本格的に事業展開して行くことを考えたら初期投資は僅かで済むし、日本からアルトバルを経由して委託販売していたグッズでも、店舗が有れば直接送り直接販売する事が出来て効率的、委託販売より売れ筋商品を見極め易いと言う利点も有る。
 最低限の投資をした後はそれを回収しつつ現地での利益だけで拡大、成長速度は遅くなるがアルトバル支社の費用負担は少なく済むだろ。」
「支社を立ち上げるにしても、小さく始めてみてと言うことでしたが、更に小さいのですね。」
「ああ、粗末な小さな店でのスタートになるからな、逆にこの国は物価が高く、店もそれなりの内装外装を整える必要が有るから初期投資の桁は違って来る。」
「それでも利益は出せるのですね。」
「この国では値段が高くても質の良い物が求められている、我が社にはそれに応えられるだけの力が有るからな。
 それで…、詩織、この国で展開して行く店舗の名称は『SHIORI』で構わないか?」
「えっ?」
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バトル-263 [高校生バトル-27]

「雅、当初の予定にはなかった、ここの高校生との交流、どうだった?」
「この国は立憲君主制だけど国王の力が強いでしょ、その辺りのことをどう思ってるかを聞いてみたら皆さん自分の考えを持っていて、共和制との比較をしながらその長所短所を話してくれたのが印象的だったわ。
 能力の高い人が国王で有れば人気投票で選ばれた大統領や総理大臣より安定した政治を行う事が出来るそうで、今の国王は信頼されてるみたい。
 国のエリートとして国の為に自分達が何をなすべきかも話してくれたけど、詩織の前で恰好良い所を見せたかったのかな。」
「真面目な話ばかりだったのか?」
「知り合ったばかりだからね、でも、チーム詩織の話をしたら面白そうだから詩織本人とでなくても交流したいと言ってくれ、英語に慣れていない中学生がメインだと言う事を理解した上で、彼らも個人より何人かでチームを組んだ方が良いだろうと。
 そこから複数の男女によるバーチャル人格の創造と言う方向になってさ、男性の考えと女性の考えを融合させた人格形成って面白くない?」
「そうだな、チーム詩織は女子の集団によるバーチャル人格形成、女子の価値観が強く反映されてるのだろうが男女でとなると、どうなるのだろうな?」
「二重人格になってしまう可能性は指摘しておいたけど、それはそれで面白いでしょ。」
「充分あり得る、チーム詩織にだって、その可能性は有るのだろ?」
「一応気まぐれな女の子にしないとか、多重人格者にしない様、詩織が考えそうなことを尊重して行くことにはなってるけど、詩織のまんまじゃ面白くないのよね。」
「はは、雅が面白くして行きそうだな。」
「まあね、私からはミスをしようって提案してるの、詩織は慎重だからあまりミスらないから代わりにバーチャル詩織としてミスして上げるのも良いでしょ。
 そうしておいた方が大胆になれるからと詩織も賛成してくれたの。」
「そうだな、失敗を恐れて縮こまっていてはな。」
「ねえ、これから展開して行く店の名前は『SHIORI』になるのでしょ、お兄さまはリアル詩織とバーチャル詩織、どっちをイメージしてるの?」
「そこまでは考えてなかった、スタッフからの提案で悪くないと思ったのだが、チーム詩織に手伝って貰うことは想定していないし、詩織をイメージキャラクターにしたお店と言う感じになるのかな。」
「そっか、『SHIORI』と言う店名でも詩織が何かをする訳では無いのね。」
「詩織のポスターは店内に貼られるだろうがな。
 でも未だに、詩織と雅の人気の差が理解出来ないよ。」
「そうなの?
 私は大人気女優の写真を見せて貰って納得したわ。」
「似てるのか?」
「似てると言うか彼女に若さを加え美しさを加味したのが詩織なのよ。」
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バトル-264 [高校生バトル-27]

「昨夜の晩餐会、詩織は国王と随分長く話してたがどんなことを?」
「周辺諸国の貧困対策についてです、話の始めに私が目標としてることが有ったら応援すると話して下さいましたので。」
「もしかして資金援助をお願い出来るとか?」
「はい、条件付きですが。」
「無理な条件は出されてないだろうな?」
「無理とまでは行きませんが色々と、国王さまは私の外見だけでなくチーム妹での活動にも興味を持って下さいましたので。
 ご自身は他国の内政に口を出すことが出来ないのですが、私達が動くのならその後ろ盾となり支えることは可能だそうです。
 まずは自然豊かなアルトバルと綺麗な建物が立ち並ぶこの国をセットにして観光客を呼び込み経済活動を活発化させる、その切っ掛けとして高級ホテルを建設し…、まあ、その…、ホテル名を『SHIORI』にしたいと。」
「はは、我々と似た様なことを考えておられるのだな。」
「はい、お兄さまの会社が支社を展開して行くのなら協力して下さるそうで、私達の出国前にお兄さまとゆっくり話したいとおっしゃられていました。
 お兄さまは女性陣に取り囲まれていましたので、遠慮なされたみたいです。」
「国王陛下とは挨拶だけになってしまったからな、他の予定をキャンセルしてでも…、スタッフに打診して貰うよ。」
「私から連絡しても構いませんが。」
「連絡先を交換したのか?」
「はい、チーム詩織のことも理解して下さいました、すでに高校生の娘さんから聞いていらしたそうで。」
「急遽組まれた高校生との交流会は詩織と話してみたいと言う姫様の意向だと聞いていたが、断らなくて正解だったのかな。」
「王女さまは聡明な方、この国だけでなくこのエリアの安定を考えておられました。
 YouTubeを活用して情報発信したいとも話しておられまして、今後の交流を通してコラボを実現させたいのですが、まずはチャンネルを開設して頂く所からです。」
「うちの撮影スタッフが手伝えば簡単なことだな、一部のスタッフに残って貰おうか。
 姫様はお綺麗な方だから人選で揉めるかも知れないが。」
「そうですね、三人ぐらい残して行っても余裕は有りそうです、前の国では撮影が思うように出来なく、この国へ早めに来てるチームも有りますので、揉めるようならくじが良いでしょう。」
「国王とも相談して…、やはり詩織から直接連絡を入れた方が話が早いかな。」
「ですね、まずはスタッフと相談してみます。」
「頼むよ、それで国王とお話させて頂くに当たって知っておいた方が良い情報は有るのかな?」
「はい、このエリアを改革して行く構想としまして…。」
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バトル-265 [高校生バトル-27]

「そうか、国王陛下は遠くから見ていて詩織と楽しそうに話しておられると感じたが、内容は真面目なことばかりだったのだね。
 この国と接してる隣国にも支社を立ち上げ国境沿いの町を中心に経済の活性化を図って欲しいと言うのは、この国の繁栄や安全にも繋がって行くのだろうな。
 そのままこの国を中心とした経済圏を遠江王国と共に築いて行けたら確かに面白いと思う。
 次に訪問する隣国は治安が悪い訳でも経済が破綻しそうな訳でもない、環境問題が有ってこの先原油の輸出だけに頼れない状況を考えたら隣国への投資は悪くない選択だ、我が社を間に挟んでおけば余計なトラブルを避けられるからな。」
「詩織はこの話に乗っても良いと思うか?」
「はい、我々義兄弟姉妹の考えを理解した上でのお話しなのだと感じました。
 このエリアにとって必要なのは人を育て経済を活性化させること、でも、資金は出せても各国との交渉や人材確保が難しいと話しておられまして。」
「だろうな、他国に対して教育資金の援助と言っても国家間では話が進みにくいだろう。
 その点、遠江株式会社は動き易いからな、商業活動の一環として職業訓練を始めとした教育を進められる。
 国王陛下から支社の立ち上げとそれに伴う出資の話をして頂いて断る理由は一つも思い浮かばない、支社に関する決定は遠江王国への帰国後と考えていたが、決めてしまっても大丈夫だよな。」
「そうなれば王女さまも喜んで下さると思います。
 もし可能なら自身が取締役の一員になってみたいそうですが如何です?」
「一国の王女、しかも高校生だから話題性抜群、この国に住んでいても全く問題ないが一度遠江王国へご招待したいね。
 それだけの出資を考えて下さっていると言うことなのだろ?」
「だと思います、今ある資産を有効に投資して行くことで原油が売れなくなった時に備えておきたいと国王陛下も仰られていましたので。」
「うちなら安心だと思って下さっているのかな?」
「遠江王国へ何人も派遣ししっかり調べ上げた上での考えだそうで、遠江王家との交流も大切にして行きたいと話して下さいました。」
「それだけのお考えが有った上で、遠江王国を国として認め国交をと考えておられるのなら、こちらとしてもそれに応えないとな、まあ、こちらの事前調査でもこの国に関する評価値は高かった、僕はうちの国王に報告して相談するから、詩織はスタッフと打ち合わせをしてここの国王と調整してくれるか。」
「はい、国王陛下との緊急会談を最優先にしても構わないですよね?」
「ああ、なんなら、旅の日程を変更し旅の最後にもう一度立ち寄らせて貰いたいぐらいなのだが。」
「王室のプライベートジェットを使っても良いと言うことでしたがどうします?」
「う~ん、より親密な関係になれるのならそれに甘えさせて貰うのも有なのかな…。」
「ではその方向で。」
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バトル-266 [高校生バトル-27]

「お兄さま、この国との話は早く進みそうなのね。」
「ああ、両国が互いに調査し準備を進めていた結果だよ、雅は旅の日程が変更になっても問題ないのか?」
「勿論よ、最後に追加されるのが一つ前の国だったら一人で先に帰るけど、ここのエリート高校生達は素適な人ばかり、詩織だけでなく私にも気を使ってくれてね、来年の夏はここで過ごすのも良いかなって。
 それまでには日本から美味しい物を輸入する体制が整うのでしょ?」
「日本からだけでなくアルトバルからもね、宗教上の制約に気を付ける必要は有るが大した問題ではないからな。
 アルトバルと違って裕福だから余裕を感じさせられているよ。
 日本食をこの国向けにアレンジしたレストランと、詩織関係のグッズを中心とした店は直ぐにでも準備に取り掛かることになるだろう。
 国王陛下は詩織と話した晩餐会後、高級ホテルの建設予算を直ぐに確定させたそうだから負けてはいられないね。」
「高級ホテルって…。」
「国のシンボルになる様な立派なものを建て、従業員の教育をしっかり行い観光客の中でも富裕層に喜んで貰えるホテルにしたいそうだ。
 従業員の教育を含めた運営にはこちらからノウハウを提供して行くことになるが、設計施工にも絡んで行くことになるかも知れない。」
「へ~、そんなノウハウ、うちに有ったの…。」
「はは、何の為の遠江大学だと思っているんだ、すでに公開出来る情報は全て大学関係者に向けて発表済。
 大学関係者の中には接客のプロも建築のプロもいるからな。
 ここで得られた利益の一部をこのエリアへの投資に充ててくれることを条件とさせて貰ったが、即座に反応してくれた人が何人もいてね。」
「アルトバルとは、また違った研究や実験が出来ると言うことかしら?」
「ああ、人間工学的に考えた設計プランとかね、この間泊まったホテルは床が濡れると滑り易かっただろ、綺麗なホテルでもそれではダメだと思わないか。」
「そっか、綺麗さと利用のし易さ、このホテルも悪くはないのだけど改善の余地は有りそうだわ。」
「コンセプトは何度でも行きたくなる高級ホテル。
 勿論建物だけでなくホテルマンのレベルも重要になるのだけどね。」
「そこで教育が、お兄さま達の高校生バトルを通して培って来たノウハウが活かされると言う事なのね。」
「まあな、とは言っても環境が違い国民性が違う、どうなるのかは事業を進めてみないとね。」
「バトルにはするのでしょ?」
「そうなると思うが、そこから競争にばかり目が行ってしまう恐れも有ってな…。」
「行き過ぎた競争社会にならない様にってことなのね、のんびり暮らしたい人がのんびり暮らせる社会、でもバランスを取って行くのは凄く難しそうだわ。」
「でもさ、アルトバルの貧困層は思ってたより楽しそうに暮らしてると感じなかったか?
 そこから、不満が一つ解消されたら、富裕層の様なプライドに縛られていない分幸福感が一気に上がると思うんだ。」
「そうね、お父さまから自分達の価値判断とは違う価値基準を意識する様にと言われてたことを忘れるとこだった、冷静に分析しながら研究して行くことが大切なのね。
 今後、遠江大学がどう関係して行くのかは興味が有るけど、大学のことは良く分かってないのよね、私。」
「そうだな…。」
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バトル-267 [高校生バトル-27]

「雅、遠江大学の研究所は建設が進んでいて、そこを目に見える形のキャンパス第一号にする予定だったのだけどね。」
「それは知ってた、遠江王国の再開発に関わってる自動車会社の研究所に大学の事務施設をくっつけた形なのでしょ、予定が変更されるの?」
「うん、第一号キャンパスでは無くなる方向でね。」
「他に建設中のキャンパスって聞いてないのだけど。」
「農業公園そのものを大学のキャンパスにしたいと言う話が進んでいるんだ、公園管理施設の一室を遠江大学のリアル研究室とし、職業訓練としての農業実習を研究と合わせて充実させて行こうとしていてね。」
「社員向けの研修を変えて行くと言うことなの?」
「ああ、充実させ拡大して行く、遠江大学付属職業訓練校の立ち上げに向けての準備段階としてね。
 職業訓練校としてネット上でも展開して行くが、実際の田畑は必要だろ。」
「それでキャンパスと名付けるのね、遠江王国 国立遠江大学 農業公園キャンパスになるのかしら。」
「そんなとこに落ち着くと思う、森も含めた広大な敷地をキャンパスとすることになるだろう、まあ、実際は名付けるだけなのだけどね。
 その勢いで漁港の辺りもキャンパスに、そして研究所が完成したら近隣のスポーツ施設とまとめてキャンパスにして行く。」
「キャンパスだらけになるのね、名前だけだとしても。」
「職業訓練校には地元の工場も協力してくれることになってるから、一部の工場にもキャンパスの名を与えて行く話が出てるからな。」
「大学のキャンパスってそんなものなの?」
「日本の大学でも大小色んなキャンパスが有るからね、実験研究都市国家、遠江王国と呼ばれるのも良いだろ?」
「ふふ、ちょっと良いかも。」
「そしてアルトバルで現地の気候に有う野菜や果物の研究をしてるエリアも観光客向けの公園として整備しながら遠江大学 アルトバルキャンパスにする方向でね。」
「そっか、関連する研究施設では遠江大学関係者が研究をしているのだから、看板を付けるだけで大学のキャンパスになるのね。」
「そんなとこだ、まあ、大学のメインはネット上に有り続けるのだけど。
 雅もそろそろ遠江大学で社会学の基礎とかに触れてみるか?」
「社会学か…、少しだけどんな学問なのか聞いたことは有るけど…。」
「まあ、研究対象が多岐に渡るから、その一端に触れてみると言った方が良いのかもしれない。
 アルトバルの若者たちはこのエリアに関する研究室を立ち上げる準備をしているし、ここのお姫様がうちの取締役になると言う話が決まったら、この国の若者達にも遠江大学に参加して貰うことになって行くと思うんだ。」
「そっか、私でも彼らの手助けが出来るかも知れないのね。
 でも内容が難しいと私では…。」
「その心配はいらない、優秀な中学生が大学レベルの学問と向き合える環境、と言うのを研究テーマにしたいと打診が有ってね、遠江大学は自分のレベルに合わせた研究が基本だから中高生でも問題ない。
 新たに中高生が参加し易い研究室を模索して行きたいと言う話の延長なんだ。」
「そうね、たまに小学生の頃から一つのことを研究し続けて来たと言う話が耳に入って来るぐらいだから、人数は多くなくても研究をしたい人はいそうね、その人たちの為に研究環境を充実させることが出来たら遠江大学の存在意義が更に高まるわね。」
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バトル-268 [高校生バトル-27]

「詩織は王女ともメールのやり取りを始めたのか?」
「はい、王女さまもチームを組んでチーム詩織との交流に参加して下さっていますので。
 チーム詩織メンバーには私で無くても答えられる内容、特に遠江王国に関する質問には極力対応してくれる様にお願いしました。」
「それなら詩織の負担が少なくて済むのかな、チーム詩織はアルトバルの連中とはどう、上手くやれているのか?」
「はい、やり取りのチェックは必ずしていますが全然問題ないです。
 今は互いの国について質問をし合い、それに答えると言う程度ですので。」
「アルトバルの連中に、この眼下に見えてる王国と交流を進めて行くことはどの程度伝えたの?」
「彼らがこの国に対してどんな感情を抱いているのか掴めていませんので、まだ少しです。
 これから、チーム詩織が両国関係者と交流を深めて行く過程で色々見えて来ると思いますが、その過程でチーム詩織の真価が問われるのかも知れません。」
「そうか、チーム詩織メンバーなら全く異なる二か国の橋渡し役をと考えそうだが、仲良くさせるだけでなくライバル心を引き出すのも有りだな。」
「ライバル心はすでに芽生え始めていると感じています。
 アルトバルの人達で遠江大学に研究室を開設する話は、この王国に到着し高校生と交流した話を伝えてから一気に進み始めましたので。」
「はは、のんびりやってたら抜かされかねないと気付いたのかな。」
「だと思います、集中して動けば大した時間の掛からない作業でものんびり進めていました。
 王女さまが会社の取締役に就任となったら、更なる刺激となるでしょう。
 ただ、地理的なことも有り両国は仲が良くも悪くもなく、これまで互いに意識して来なかったようにも感じています。
 私達が対応を間違わなければ、三か国での友好関係を築くことは難しくないと思います。」
「だよな、国王陛下はアルトバルのことも把握しておられたし、アルトバルにとって豊かな国との絆を深めて行くことはプラスにしかならないだろう。
 さてこれから向かう国はどうなのかな?」
「ここの皆さん、隣国との二国間に経済格差は有るものの揉め事は無いと話しておられました、治安もそこそこ良いのだとか。」
「その経済格差を隣国の人達がどう捉えているかだな。」
「ですね、重労働は隣国からの労働力頼りだとか、きつい仕事でも自国で働くより実入りが良いと言う事で両者の間に問題はないと聞きました。
 でも重労働をしてる人達が、それを快く思ってるとは限らないと思います。」
「だよな、それなりにバランスが取れているとしても。
 まあ、隣国で会うのは経済界の人が中心、踏み込んだ話や調査はスタッフ任せにして、我々はメインのステージに集中だな。」
「はい、ステージはなんとしても成功させないとですね。」
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バトル-269 [高校生バトル-27]

「私達はステージの余韻に浸りながら観光を楽しんで来たけど、お兄さまはどうだったの?」
「昼食会では、大金持ちからアルトバルでの展開について聞かれたが、国の規模が違うからか凄く興味が有る訳では無いみたいだった、その後は日本との貿易が話しの中心でね、雅は何か期待してたのか?」
「ステージが盛り上がったから、色んな話が進んでないかと思ったのだけど。」
「この国で僕らの役目はステージを成功させること、他はスタッフ任せと言う方針だったから踏み込んだ話はしなかったんだ。
 休養したらすぐに移動だが、雅はもっと活躍したかった?」
「活躍したいと言うより…、国ごとで随分違うよね、この後の国々もこんな感じなのかな?」
「事前調査では始めの二か国が貧富に関して両極端、後の国々はそれぞれ一長一短が有り…、まあこの旅を通してどの国がうちに対して協力的なのかを見極めるのが目的の一つでは有る。」
「この国はどう?」
「協力者はそれなりにいて、会社としては他国との比較から優先度を判断して行くことになるよ、勿論金儲けだけでなく、社会に貢献出来るかどうかも含めてね。
 面積が広く人口がそれなりに多いから目立つ活動にまでは至らないかもだけど、将来的に遠江王国型の社会改革を各地で実現して行くことが一つの目標だからな。」
「このエリアの人達は社会改革を望んでいるのよね?」
「勿論さ、社会改革と言うワードは意識していなくても、生活に不満を抱えている人はそれなりにいるし、自力では生活改善をして行けない人もね。
 問題は改革を望んでいる人と、それを実行に移せる人が違うと言うことだな。
 力の有る人達は生活に不満は無く、貧困層の抱える問題には興味がない、ある意味当たり前の感覚だとは思うが。」
「社会全体を考えられる人は特別なのかしら?」
「歴史的に考えてもそうだろ、社会がどんなに変化しようが一般人は自分達の生活を守ることで精一杯だったのではないかな。」
「う~ん、一般庶民ではない志の有る人が歴史を動かして来た…、志が無く私利私欲の人もいたのだろうけど。」
「雅は、その志の有る一員に成れそうか?」
「そうね、お兄さまの妹になって無かったら考えもしなかったと思う、でも今はどう考えても一般庶民では無く、王家の一員として、義兄弟姉妹の一員として歴史を動かすとまでは行かなくても、国際社会に対し自分の出来ることをして行くつもりよ。
 もっとも、詩織程には求められて無いから気楽にだけどね。」
「そうでもないぞ『雅ちゃんの子育て奮闘記』を見てる人がこのエリアで増えている。」
「日本語なのに?」
「字幕が有るから大丈夫なのさ、子を思う気持ちは万国共通だろ、日本式の子育てに興味が集まり始めてるみたいなんだ。」
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バトル-270 [高校生バトル-27]

「子育てと言えば衛生面が気になるのよね、病院が日本ほどには充実して無いし。」
「ああ、上下水道の普及が遅れてる地域も有からな、そこにもっと予算を回せる国となる手伝いがしたいが、先は遠そうだ。」
「軍事費を削ってインフラ整備に回せば良いのにね。」
「そうは行かない事情が有るのだろう。」
「せめて訓練の一環として軍隊がインフラ整備に当たるとか考えれば良いのに。」
「う~ん、工事中に攻め込まれたら軍隊の意味がないとは思う…、でも試しに提案してみるかな、今は国家間の紛争が起きる様な状況では無いから、国益を考え柔軟な考え方の出来る人がいれば可能性はゼロではないだろう。」
「何か思いついたの?」
「訓練の一環として道路整備の基礎部分を軍が担い、完成させるのは建設会社にするとかどうかな。
 他国から攻め込まれた時に陸軍を素早く展開するにはそれなりの道路網が必要だと話せば、道路整備に対する考え方が変わるかも知れないだろ。」
「それって現実的な話?」
「勿論さ、信長や秀吉の時代だって、道路整備を進めることは戦略的にも重要だった。
 その道路整備がそのまま物流を良くし経済活動の発展にも、江戸幕府も街道の整備に力を入れただろ。」
「その考えがこの国では弱いとか?」
「植民地にされたりした歴史的な問題も有るのだろうが…、日本の様に優秀な指導者に恵まれなかったのかもな。」
「それには教育も関係してるのよね。」
「だろうな、それが識字率に現れていて、もしかすると識字率が江戸時代の日本並みの国が有るのではないかと思うよ。」
「う~ん、江戸時代の識字率なんてイメージ出来ないのだけど。」
「世界的に見ても高かったみたいなんだ、同時代のヨーロッパ諸国と比べてもね、だから明治になり今までに無かった知識が入って来た時、それを受け入れ広められるだけの力が庶民にも有った、そこがアジアの諸外国と大きな差を生み出したのだろうな。」
「そっか、文章を理解出来る人が多かったから殖産興業に成功したとも言える…、学校制度の充実も、やはり教育がカギを握るのね。」
「とは言え、今の学校制度がベストだとは思えないだろ。」
「それで貧困層の子ども達を研究材料として実験的な教育を、彼らが喜んでくれる教育が行われていれば良いのだけど。」
「今の所、アルトバルで雇った子達は熱心に学んでいるみたいだよ、学習したことが収入に直結すると理解しているそうでね。」
「チーム詩織とメールのやり取りをしてる人達以外も?」
「ああ、学習内容は与えられる仕事に関係してるからな、漠然と何かに役に立つことが有るかも知れないと言う知識ではなく、直ぐに役立つ知識を学んでいる、英語にしてもね。
 その分、学習に熱が入ってるみたいだよ。」
「チーム詩織とメール交換してる三人の英語力がどんどんアップしてるのは感じてたけど、確かに学んだことを活かす場が有れば…、私も英語を使う機会が多くなってから語彙が増えたかな。」
「そう考えると学習の目標が入試と言うのは少し寂しい気がしないか?」
「漠然と将来役に立つと考えられれば良いけど、古文なんて…、まあ、面白いから嫌いではないのだけどね。」
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