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バトル-161 [高校生バトル-17]

「三郎、給食センターの仕入れ担当が納入業者からお金を受け取ってた話は聞いたか?」
「聞いたよ次郎兄さん、その分食材が割高になっていたとか、逮捕される可能性が高いのでしょ。」
「ああ、新会社が食材の納入に関わることを想定し調査してる時、少し納入価格が割高なのに気付き調べたら怪しいと、担当スタッフの目が節穴でなくて良かったよ、おかげで給食センターの改革にも取り組めるからな。」
「隙をついて新会社が給食センターの仕入れに関われそうだものね。
 YouTubeほどの利益は出せないとは言え地道に稼いで行きたし地産地消を進めたい。
 他県の食材を割高に買うぐらいなら地元の食材をと言うことで、地元食材の買い付けから納品までのシステムを検討して貰ってるんだ。」
「物によっては大量に仕入れ、他にも卸して行くのだろ。
 その辺りは上手く行きそうなのか?」
「損失を出さない様に気を付けながら試して行くしかなさそう、でも、地元を盛り上げようと言う気運は続いてるからね。
 流通経路の確認作業は大学生部会が担当していて、そのまま再構築の案を出してくれることになってるよ。」
「JAとの関係はどうなんだ?」
「問題は有りそうだけど、僕らの仲間は至る所にいるからね。
 新会社が民間企業に大きな不利益を与えるのは良くない、でも、それが地元の会社でないのなら気にし過ぎる必要はないでしょ。
 地元のJAとは協力関係を築き、地元企業や地元農家を優先して行けば、市営企業の意味合いも分かって貰えると思うんだ。」
「特殊な会社だからな、新会社立ち上げ準備で問題はないのか?」
「手伝ってくれてる人達が組織を形作った所だよ、幾つかの部署が編成されてるけど、まだ部長代理とか課長代理とか、大学生が平社員代理なんて名乗ってる段階だけどね。」
「はは、代理が付かないのは何人なんだ?」
「ようやく二十人と言った所かな、役職者は坂田さんが農業公園準備室の係長で、自営業の継続を断念した人が販売部門の係長、今は全員が研修中だよ。」
「生活保護世帯の人はどうだ?」
「それぞれ事情を抱えてる人が九人、大学生が現状を聞き取り問題点の整理を始めてる。
 現時点でも五十人ぐらいまでなら生活保護費以上の援助が出来るから、生活保護は打ち切って貰うけどね。」
「労働力にはなるのか?」
「問題の無い人もいれば給料に見合った仕事量は難しい人も、でもハンディを持った人の中には研修を始めて状態が良くなってる人もいてね、まだサポートは必要だけど。」
「ハンディを抱えサポートが必要と言うことなんだな。」
「うん、市営の会社になるまででも、サポートして下さる方々の身分を市が保証する形が望ましいと、お父さんには話してある。
 今は半分ボランティアで、待遇面の調整を進めている最中なのだけど、サポートの仕方も様々で一律とはしにくい一面が有ってさ、でも複雑にはしたくないでしょ。
 皆さん、新会社がハンディを持つ人達を取り巻く現行制度に、新たな可能性を加えられないかと考えておられ、前向きに検討して頂いてる段階なんだ。」
「そうか、難しい所だな。」
「鍵を握りそうなのは元受刑者。」
「応募が有ったのか。」
「経済的に安定したら更生出来るだろうと、三人紹介されてね。」
「凶悪犯では無いのだな。」
「うん、能力に問題はなく、研修中も他の人の手伝いをしてくれてるそうで、リーダーを任せられそうな人もいるみたいなんだ。」
「再び犯罪を犯す可能性は低いのか?」
「今回の三人はね。」
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バトル-162 [高校生バトル-17]

「お兄さま、新会社ではフリーターも受け入れて行くのですね。」
「うん、一度就職したけど辞めてアルバイトしてる様な人は積極的に受け入れて行きたいよ、安定した生活をして貰って結婚や子育てを考えられる様にね、授産所との連携も大切だけど利益を上げる為の労働力は必要だからな。
 母子生活の支援も準備を進めてるが、シングルマザーには子どもを第一に考えて欲しいだろ、そうなるとフリーターから正社員になってくれる人は一番の労働力になると思うんだ。」
「フリーターの人達って仕事に対する気持ちはどうなのかしら?」
「景子、聞いた話だけど、バイトをきっちりこなしてる人は少なくないみたいだよ、仕事に対するプライドも有ってね、勿論人それぞれでアルバイトが長続きしない人もいるのだけど。」
「正社員になってない理由も人それぞれなのかな。」
「だと思う、だからフリーターの方が気楽で良いと言う人にも働いて貰い易い形を考えているんだ。
 原則同一労働同一賃金、働ける人にはどんな形で有れ労働に見合った賃金をと考えてる。
 会社が本格的に動き始めないと決まらないことも多いけどね。」
「来月一日付けでスタートですよね、会社の形は出来ているのですか?」
「まだYouTube部門みたいに応援者だけで成り立って所が多いけど、なんとかな。
 農業公園の一角は方針を決定し、第一期の社員達に整備を始めて貰ってる。
 でも、サツマイモの植え付けは五月ぐらいだから、景子が楽しみにしてる焼き芋までには時間が掛かりそうだよ。」
「一応チーム妹でサツマイモ栽培を体験し芋掘りからの焼き芋って話は進めてるのですが。」
「農業公園にチーム妹の畑を確保しておくよ、日頃の手入れは社員にやって貰い、時々観察に行く形にしよう、観察に行った時のおやつになるものは順次植えられて行くからね。」
「整備には時間が掛かるのですよね。」
「まあな、それでも全体の整備計画がまとまったら一気に進めて行く、今まで総合公園の周囲で手に入れて来た土地はそれなりに広いから、一気にやった方が効率的なんだ。
 チーム妹がYouTubeのチャンネルで稼いでくれ、予算に余裕が有るからな。」
「あの金額は全然思ってなかったです、皆素人で…。」
「日本の普通の女子中学生に世界中の人が興味を持ってるみたいだけど、演出の力が大きいんだ。
 演出の仕方を間違えていたら全然見て貰えなかっただろうけど、うちのスタッフは慣れてるからね。
 そこにフリーターからの人材を加え、更に充実させて行けば安定した収入になると思う。」
「YouTubeからの収入が無かったら会社の運営は難しいですか?」
「そうだな、やり方は他にも有るだろうが効率は悪いだろう、他の市では真似しにくいとは思うが活動内容によってはスポンサーについて貰うと言う手も有る。」
「チーム妹さくらチャンネルには固定のスポンサーがついて下さるそうですが、新会社の輝きチャンネルはどうなのです?」
「打診は幾つか来てるよ、今までテレビコマーシャルに掛けていた予算をこっちに回してくれるそうだ、うちは関連チャンネルが増えて相乗効果を生み出しているだろ。
 人気の出て来たさくらチャンネルの姉妹チャンネルとして宣伝効果が期待されていてね。」
「そう言えば、海外向けチャンネル、日本製品のCMが増えましたね。」
「ああ、海外向けも好調だろ、海外にアピール出来る手段として注目され始めてるんだ、手軽だからな。
 英語圏を意識して成功してるチャンネル、日本ではうちぐらいだろ、今度、自動車のCMをドラマ仕立で制作する話も決まってね、普通のドラマなんだけど自動車を使うシーンがやたら多く、ドラマを楽しんでる内にその車が欲しくなるようなのをな。」
「ふふ、また儲かってしまうのですね。
 でも、それを、どんどん社会に還元してるからみんなが協力したくなる。
 父はこの地にとって絶大な経済効果をもたらしているのだから、お兄さま方にはもっと贅沢な暮らしをして欲しいものだと話していました。」
「はは、贅沢はしてるけど、起きて半畳寝て一畳、天下取っても二合半って知ってるか?」
「えっと…、人の生活に必要なのはってことですか、二合半と言うのは…。」
「ああ、体育館程の寝室が有った所で疲れるだけ、二合半は米の量、徳川家康だって大量のご飯を食べてた訳ではないだろ、普通に暮らして行くのに、お小遣いが一億有ってもね、自分はもう家も建てたし必要な物は手に入れてる。
 豪邸に住んだところで実際に使うスペースなんてそんなに広さを必要としないのさ。
 それより、貧富の差のない明るい街に住むことの方が重要だと思うんだ。
 その為にね。」
「世界中の大金持ちが、お兄さまと同じように考えてたらと思ってしまいます…。」
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バトル-163 [高校生バトル-17]

「雅、中学へは無理して通わなくて良いのだからな、気が向かなかったら休めばいいんだぞ。」
「は~い、お兄さま、でも行ってみないとね。
 一緒にチーム妹に入って仲良くなった子もいるし、先輩にはチーム妹メンバーが多いのだからそんなに心配しなくて大丈夫だよ。
 揉め事が起きたらYouTubeチャンネルのネタに、平和に過ごせたらそれもネタにね。
 問題は授業中の暇な時間をどう使うかだけど、その辺りは詩織に教えて貰ってるからさ。
 お兄さまの方こそ新会社のスタートで大変でしょ?」
「そっちは心配しなくて良いよ。
 僕がいてもいなくても問題が起きる時は起きるし、問題を解決して行くのは社員の役目なんだ。
 大きな判断を必要とする時は考えなくてはいけないけど、試行錯誤の最中だから失敗は付き物さ。」
「試行錯誤しながら組織を形作って行くって楽しいものね、チーム妹でもさくらチャンネルや輝きチャンネルの制作に取り組みながらみんなで色々考えてるのよ。
 役割分担もね、始めの内は無かった衣装担当とかスケジュール調整担当が出来て裏方が充実し楽になったと思う。
 面倒な仕事でも進んで引き受けてくれる人が多くてさ。
 そうで無かったらさくらチャンネルは兎も角、輝きチャンネルは毎日更新なんて出来なかったと思うわ。
 大勢が交代で出演してるでしょ、撮影スケジュールを組むだけでも大変そうだもの。」
「そうか、新会社も面倒な仕事を進んで引き受けてくれる人がいて、雰囲気が良くなってるみたいだよ。
 春休みが終わり応援者の人数が減っても大丈夫そうだって報告が入ってる。」
「これから本格的に農業公園の整備が始まるのね。」
「それだけじゃないぞ、給食の質を向上させながら、給食の食材と一括で仕入れたものを使っての弁当販売や『学校の給食』ブランドで食材の販売を目論んでる。
 親が子ども達の食べてるものを確認出来ると言う意味合いも有ると協力してくれる人が多くてね、それが市内の業者にマイナスになってはまずいのだけど、調べてみたら影響は少ないみたいなんだ。」
「詩織は微妙だって言ってたな、給食。」
「まあ大量に作ってるから難しい面も有るのだけど、色々な問題が分かって来て一つずつ改善して行けそうなんだ、メニューを担当してた人を入れ替える話は我らが市長が動いてくれてるよ。
 小中学生が農業公園で生育を観察し自分達で芋掘りしたのを給食に出すなんて案も出てる。
「へ~、そう言うことも考えてるんだ。」
「自分達が何を食べているのか、食材について知ることも大切だとは思わないか?」
「そうね、この集落に越して来てから菜園が身近になり、美味しい野菜の見分け方を教えて貰って来たわ、それを知っているのと知らないのでは…、もしかして給食に関わってる大人達は知らなかったとか?」
「かもな、給食センターだと食べてる人との距離が遠く美味しいものを食べて貰うと言う意識が弱かったみたい、その辺りから見直して質を高めて行く作業が始まるんだ。」
「それも新会社で?」
「いや、新会社はサポートして行くがメインで動くのは市役所サイドが依頼した食育を考えている人達になる、市長の指示でね。」
「給食って予算が限られていて美味しいのは難しいと思ってたのだけど。」
「そこは工夫次第なのさ、仕入れのルートを変えることで今までより安くて良い食材をと、今まで不正が有った所を改めるだけでなく、それ以上にね。」
「給食センターの仕入れ担当は逮捕されたのだっけ?」
「うん。」
「ねえ、お兄さま、逮捕された本人は仕方ないけど、その家族はどうなるのかな?」
「高校生部会では犯罪被害者や加害者家族のフォローを考えていてね、そこを放置してたら新たな貧困を生み出し兼ねないだろ、まだ完全ではないのだけど市内で起きた事件や事故に関係した人の調査体制を考えているのだけど、担当者逮捕は新聞で扱われたからチームを組んでフォローに取り組む方向で動き始めてるよ。」
「そっか、家族はきっと肩身の狭い思いをするものね。」
「ああ、そこから子どもが良くない道に進んでしまうかもだろ。
 本当の改革には先手を打っていかないとな。」
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バトル-164 [高校生バトル-17]

「三郎、総合公園からの遊歩道をと考えて購入した土地の整備計画は決まったの?」
「うん、大まかなのはね、春子姉さんの提案通り防火帯を兼ね車の通れる幅での林道整備から始めるよ、今は削ったり盛ったりの作業を最低限に出来るルートを検討中なんだ。」
「費用は随分掛かりそうね。」
「それでも、地元の会社を潤すことになるからね。
 長く続けられる事業になるよう計画的にだけど、工期をきっちり決める必要はないから他の仕事が少ない時に一気に作業とかが可能でしょ、お願いする建設会社の社長も喜んでたよ。
 それで、猪やスズメバチの駆除もしてくれることになってね、完璧には無理かもだけど、観光客の安全を考えるだけでなく、農業公園が被害に遭わない為にもね。
 総合公園の近くにジビエ料理を出す店を共同出資で始めようって話や、林道の終点にログハウスを建て、管理作業の拠点にしながら、お客さん向けの施設も考えようって。
 社長はすごく前向きで、友達にも声を掛け僕らの費用負担が多くならない様にすると話してくれたんだ。」
「安定した収入が見込めるのなら、そう言う余裕が生まれるってことかしら。」
「だと思う、従業員が安心して働けるのが一番だと、体力の有りそうな人なら刑務所から出所した人でも受け入れられるそうだよ。」
「新会社だけで受け入れて行くより良いわね、辞めたくなった人には互いを紹介するのも有りだわ。
 そんな形で私達の考えに同調してくれる企業を増やせたら心強いわね。」
「うん、人口の減少に歯止めを掛けるどころか人口の増加に繋がるかも。
 県外からの問い合わせも来始めていてね。」
「現時点では市内在住の人が優先なのでしょ?」
「そうしなくても大丈夫みたい、授産所と連携することで、うちが直接雇用しなくてもサポート体制の有る人にも援助出来そうでね。
 市外からの問い合わせは殆どが農業に興味の有る党員だから、積極的に受け入れるべきだと思ってる。
 勿論、市内在住の人と違い、面接での人物判断を重視することなるけどね。」
「市外からは新会社で利益を出して行くために必要な人材をと言うことか…、ねえ、市内の希望者全員を受け入れると言う方針は大丈夫そう?」
「今の所はね、研修に時間が掛かる人はいるけど想定の範囲内に納まってる。
 研修には授産所の職員も協力してくれてるからね。
 サポートスタッフは、すごく地道な研修のポイントを教えて貰いながら学習を深めてるそうだよ。」
「大変そうね。」
「それでも、うちは資金に余裕が有るからね、授産所の職員も市長が変わってから経済面が楽になったと喜んでた。
 前市長はどうでもいいモニュメントに金を掛け過ぎてたとかで、お父さんのことを褒めまくってたよ。」
「でしょうね、私達の市長が一番始めに手を付けたのが社会的弱者に対する支援だったのだから。」
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バトル-165 [高校生バトル-17]

「三郎、新会社の給与体系は固まったのか?」
「うん、お父さん、少し複雑になるけど皆さんに納得して貰えそうな形を考えたよ。
 先を見越し力のある人は市の職員と同じにし後はランク付けを行ったけど、最低の人でもそれぞれの事情に合わせ生活に余裕が出来る様にするんだ。
 浪費癖の有る人は給料の一部を食品や日用品など物で支給、本人の同意が無ければ法的に問題が有るのだけど、サポートの人が暫くお金の管理をして行くことになりそう。
 サポートメンバーは、ギャンブル依存やアルコール依存の人をどうサポートして行くか、現実に即した家族へのサポートも含めて検討し始めていてね。」
「自力ではどうにもならない人達への支援か。
 もしかして、酔っぱらいながら働いてる人もいるのか?」
「うん、本人は一応隠そうとしてるみたいだけど、お酒の匂いはしていても普通に働いてるそうで、生活が改善される可能性が有るとサポートは考えてる。
 しばらくは事故に気を付けながら様子を見ると報告に有ったよ。」
「報告か…、そう言った報告は簡潔に?」
「沢山報告されてもこちらが困るし、報告に作業時間を取られるなんて馬鹿らしいことだと考えて貰ってる。
 社長が本当に知っていなくてはならない事だけを簡潔に報告、僕が社員全員にお願いしたことだよ。
 僕宛の報告は社員全員での共有が原則だけど、隠す必要が有る報告の存在は納得して貰えてると思う。」
「隠す?」
「多くは無いけど人事面に関する事はさすがにね、今は少ないけど社員が増えたら当然増えて行くでしょ、今後人事部には有能な人をと考えてるよ。」
「有能な人も集まりつつ有るのか?」
「始まったばかりの特殊な会社で、やりがいを感じられそうと言う人が、利益を出せるか微妙な農業公園事業を支えたいと入社してくれてる。
 考えてみたら、普通に販売の仕事をすることが社会的弱者の為になる職場ってそんなにないでしょ。
 どうせ働くなら人の為になる仕事をしたいと考える人がアルバイトから正社員にと入社して来てる。
 詐欺ではないけど、人をだます様な仕事をして後ろめたい思いをして来たと言う人からの打診も有ってさ、会社が回り始めたら、そう言う人が増えるかもね。」
「業務拡大も視野に入れられそうだな。」
「うん、民間企業を圧迫しない業種を中心に検討してるけど、場合によっては経営状態の悪い企業を子会社にすることも考えてるよ。」
「私的に立ち上げた保育所は、会社が運営する認定こども園にして行く予定だろ、多角経営になるが無理はないのか?」
「多角経営になるけど、それぞれの事業は有機的に結びついてるからね。
 認定こども園では社員の子も預かって行くし、シングルマザーの職場にもなる。
 会社が市営になれたら、子ども園の給食を給食センターで下ごしらえをして貰うとかもね。
 勿論、食材は農業公園で採れたものや地元の農家から買い付けたものが中心。
 他の業種を始める時は既存の会社を子会社化だから一からのスタートにはならない。
 市長の目から見てどう?」
「心配はしてないよ、人気YouTubeチャンネルを新会社の物にしたことで資金的な問題はないだろ。
 三郎が無理のないように社員を見守っていると、まあ色々聞いてるからな。
 新会社が赤字にならずに長く続いたら、自然と市の財政が改善されて行くと思う。
 市内の心有る人全員が三郎を応援してるのだから間違いはないだろう。」
「はは、皆が尊敬する市長の息子だからね。」
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バトル-166 [高校生バトル-17]

「お兄さま、チーム妹メンバーがベーシックインカムってどうなんだろうって書き込みをしたので調べてみたのですが、お兄さまはどう思います?」
「景子はアメリカで実験的な取り組みが始まってることも調べたのか?」
「少しだけ…、でも、良く分からないのです。」
「裕福な自治体や比較的小さな国でなら、無条件で市民に一定の金額を給付する、ユニバーサル ベーシック インカムは有りかもだけど、うちの会社で挑戦してるみたいな社会的弱者でも社会の一員として尊重される社会の実現とは少し違うのではないかな。
 勿論、今の生活保護制度よりは良い面が有るのだろうけどね。」
「貧困問題の解決策としては微妙なのですか?」
「給付されたお金をどう使うか自由なわけだろ、お酒や麻薬、ギャンブルにつぎ込む人が当然のようにいるとは思わないか?」
「あっ、お兄さまは生活困窮者を会社の社員に採用して生活改善を、サポートの必要な人にはサポートを、働けない人には生活保護費が減額されない様な支援をと…、ただお金をあげるだけでは問題解決にならないのですね。」
「その分余計に費用が掛かるのだけど…、僕等には大きな収入源が有るから出来ることで有って他の地方公共団体では簡単には真似出来ないと言うのが最大の問題点だな。」
「ですが、お兄さま方はそこに掛かってる費用を個人資産として蓄えておくことも出来た、多くのお金持ちはそうしてるのでしょ。
 大金持ち達がお兄さま方のしていることを真似してくれたら、他の自治体でも可能なことでは無いのですか?」
「そんなことを考える様なお金持ちがいたら貧困層は増えていないよ。
 自分が死んだら寄付なんて言ってる、成功し大金を得たけど子どものいない人がいるけど、生きてる内に自分の稼いだ金が有意義に使われる所をみたらどうですか、と言いたくなるね、経済を回して行く意味でも。」
「普通に寄付しても、心の狭い人が直ぐに売名行為だとか言う世の中だと父が話していましたが、お兄さま方の様に半端ないレベルでやっておられると、そんな人達も悪口が思い付かないですよね。」
「それはどうかな、些細なことでも嘘をを交えて大袈裟に書き立てる週刊誌が有るだろ。」
「嘘を書かれたらYouTubeのチャンネルを使って反撃です。」
「はは、悪目立ちして視聴回数が伸びそうだ。
 でも、チーム妹さくらチャンネルと輝きチャンネルではして欲しくないかな。
 どう、大勢で何本も制作して貰ってるけど無理は出て無い?」
「大丈夫ですよ、毎日更新していても、もっと出たいと言ってる子がいるぐらいですから、たまに一日二本アップするとか新たなチャンネルを立ち上げるって話が出てるぐらいです。」
「はは、また儲かってしまうな。」
「でも、お金の使い道は沢山有るのですよね。
 総合公園を拡大させるのはかなりの予算が必要だと聞いていますが。」
「うん、かなり掛かる、だからゆっくりなんだ。」
「父は、山の維持管理なんて一見利益を生み出すことはないからお金を掛けることに疑問を感じる人がいるかも知れないけど、少なくともお金が動き経済活動が活発になる、活発になれば人が集まる、人が集まれば経済活動が更に活発になると話してました。
 お兄さまは農業公園や林道の整備を通して市の活性化を考えているのですよね?」
「まあな、市長の息子として、この市の為に出来る限りのことをして行きたいと考えてる。
 他の市町村に住む人がうらやむ様な街にしたいかな。」
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バトル-167 [高校生バトル-17]

「お父さん、会社を市営化する話は進んでるの?」
「動いて貰ってはいるがなかなか難しい、前例の無いことに対して臆病な人が多過ぎてな。」
「どんな難癖を?」
「必死になってそれを探しているのではないかな。
 まあ、民業を圧迫すると言うのが一番だが、社会福祉を強化してることは輝きチャンネルを通して可愛い中学生達が伝えてくれてる、やってる内容は本来公共団体がすべきことなのだから今は判断を遅らせる努力をしてるとしか思えないね。
 市営にした方がスムーズに行く案件が多そうだとは思うが、しばらくは今のままで頑張って貰うしかないみたいだ。」
「そろそろメインチャンネルで取り上げるタイミングなのかな?」
「そうだな、総務省の判断を待たずに市営化しても良いが、高学歴なのに案件によっては無能レベルの醜態をさらけ出す官僚に対し、民意を示して国会議員を動かし働き掛けるのも有りだ。
 市役所の広報でも、市営会社の概要をもう一度示して貰い情報量を増やして行くよ。」
「ネタとして、前に出演したテレビ番組にも流そうか?」
「目立ち過ぎて市外からの就職希望者が増え過ぎても大丈夫なのか?」
「う~ん、人事部を強化しておかないとまずいのかな、対策を考えてからなら問題ない?」
「三郎が困らないのなら、注目度を上げることが市営化への近道だと思う、まあ、国がどんな判断を下そうと市営化はするつもりだけどな。
 そこで揉めたら国民が注目し、本当の社会福祉を考えることに繋がるだろう。
 ただ当事者にとっては揉めない方が良いに決まってる。
 そんな感じでどうだ?」
「そうだね、もしそれを切っ掛けに国から資金面で冷遇されるようなら、いっそ独立する?
 独立国として。」
「あっ、それは面白いな。
 お遊び感覚でも我々の市に対する注目度が一気に上がるだろう。
 市としては軽はずみに動けないが、高校生部会が動くのなら問題ないだろう。」
「うん、独立宣言とか、公式でなくても…、演出を上手く出来れば収益に繋がり…。
 まずはYouTubeチャンネルの開設からかな、可能性を語り合うとか、ネタとして面白いから乗ってくれる人は多く盛り上がると思う。」
「市のPRとして職員達にも話してみるよ。
 日本国内に社会福祉の充実した独立国家樹立、国際社会から認められる可能性はゼロではない。
 まあ、壮大なお遊びになるのだろうが我々なら面白く出来る、そうだろ三郎?」
「ふふ、ちょっとワクワクしてきたよ。
 もし王国になったら、お父さんが王様だね。」
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バトル-168 [高校生バトル-17]

「お兄さま、いきなり独立国だなんて、父は想定の斜め上を行くって言いながら可能性を考えていましたよ。」
「景子のお父さんも興味を持ってくれたんだ。」
「まだ簡単な話しだけで判断出来ないと言ってましたが、どこから出て来た話なのです?」
「ちょっとした思い付きだよ、市営企業化の話がなかなか進まないと市長と話してる時にね。
 それを考え始めたら面白くなってさ、少なくとも市が注目を集めることになるだろ、市営企業の話ですでに注目され始めてるし、僕らの資金源がYouTubeってことでも話題になってる、それによる経済効果は小さくないと思うんだ。」
「王政なら市長さんが王様、そうなるとお兄さまは王子様になるのですね。」
「はは、そんな風に皆が考えてくれたらそれだけでも楽しいだろ。
 市営を目指す会社は社会主義的、資金は資本主義の象徴みたいなYouTubeから。
 バーチャル国家だとしても国際社会に対して、ただの地方都市とは大きく違う扱われ方をされる様な演出を、僕らの最大の武器である英語チャンネルを使えば出来ると思わないか?」
「国って…、小さな国も有りますものね。」
「多くの国が国として認めてくれたら国と言って良いのかも、そうなったら景子は国を代表して国連に行ってくれるか?」
「そんな感じなのですか?」
「そんな感じにしてしまいたくないか?」
「したいような、でも私は国連には行きませんよ。」
「何事も経験だぞ。」
「まだ、英語が…、ってそんな問題では有りません!
 危うく現実から離れてしまう所でした。」
「それぐらい、夢の有る面白い話だろ。」
「ですね。
 でも実際問題、日本国籍を有する私達はどうなるのです?」
「まずは日本国に対し、我が国との二重国籍を認めさせる。
 次の選挙で僕らの党が勝てば不可能な話ではない。」
「税制は…?」
「我々は前例に囚われる必要はない、日本国との間で互いに納得出来る制度を確立し相互の利益に反しない国政を考えて行けば良いだろう。」
「まさか、二つの国に税金を納めるなんてことには成りませんよね。」
「そこまでは考えてないけど…、何人かの大金持ちが協力してくれて日本国との関係を見直せられたら面白い、まあ、今は現実的に無理のない形で独立運動を始めたいかな。」
「独立運動か…。」
「今の日本が嫌だって感じで、真面目なのか遊び半分なのか微妙な感じにしてさ。
 時々の都合によって、日本の一自治体だったり独立国家になったり。
 具体的には話を進めてみないと、どうなるか分からないけど。」
「ふざけるなって怒られたりしませんか?」
「怒られたって良いじゃないか、こうでもして行かないと地方都市は衰退して行く一方だよ、この辺りはまだましな方さ。
 そうだな、大金持ちの協力者を探して他の市町村も独立国入りして貰おうか。
 土地が繋がってなくても構わない、いっそ海外の都市も含めて連合国なんてどうだ。」
「ただでさえ有り得ない話なのですけど…。」
「それは景子が今までの概念に囚われているからだよ。
 今まで無かった物を生み出して人類は進歩して来たのだからね。
 既存の国家とは異なる体制、既存の国家の問題点を見直し改善して行く道しるべになる様な独立国、国家として認められたら面白いけど、法律上認められなくたって構わない。
 僕らが国として色々考えることを発信して行けたら面白いだろ。
 世界で一番素敵な街を目指して来たのだけど、その街が小さな国になるだけのことさ。」
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バトル-169 [高校生バトル-17]

「一郎兄さん、市立学校への学習システム導入、落札出来たんだね。」
「ああ、市長の子ども達が関わる企業と言うことで問題にならないよう、弁護士だけでなく関係する機関と相談しながらだったけど、市長が便宜を図った訳ではないと言うことを確認して貰えたよ。
 それぐらいしておかないと、面白おかしく騒ぎ立てる奴が出て来るからね。」
「市政の私物化を企んでるとかでしょ、市民が動いてくれて炎上してたけど。」
「独立運動が始まったら何を書かれるか分からないぞ、まあ、うちの場合は注目度が上がれば上がる程利益が増える、アンチには頑張って欲しい所だがな。」
「だね、学習システム導入で我が国の教育は日本国より一歩先を行くことになる、高校生バトルからの蓄積を十二分に生かして行くのでしょ?」
「勿論だ、その辺りの実績が他社とは大きく違うから堂々と落札出来たのさ。」
「社会福祉政策は日本国より二歩ぐらい先を目指してる、なかなかの国になりそうだね。」
「問題は人口の流入だろ、どこまで受け入れられるのか、試算の結果を見たが、独立運動が始まったら、限度を越しかねないと思うぞ。」
「うん、その辺りは微妙なのだけど、昨日、知り合いのシンガーソングライターから連絡が入ってね、独立運動を進めるのなら国歌や国民愛唱歌を作るし資金面の援助もしたいと、こっちに別荘を建てたいから良い土地を紹介して欲しいともね。」
「自称三郎の姉、あの人か、高校生部会向けのチャンネルもチェックしてくれてたのだな。」
「別荘はこの集落でも良いし少し奥まった所でもと、候補地を選ぶようスタッフにお願いしたところなんだ。」
「独立国の話はすでに広まり始めたのか…。」
「うん、今来てる賛同者の情報を公開したら協力者は更に増えると思うよ。」
「ゆっくりめに進めて来た再開発エリアの整備だけど、そろそろ住宅を建て始めて良いかもな。」
「そうだね、シングルマザーが協力し合って暮らせる様な施設とか、体にハンディの有る人達が暮らし易い住まいとかも考えたいかな、一般向けの住宅販売で稼いでさ。
 利益を福祉施設に回して行くのであれば、土地を安く譲ってくれた人達も納得してくれるでしょ。
 今は金利が安いから銀行からの借り入れで進めても良いよね。」
「そうだな、うちも事業拡大が進んで体力は有る、市への寄付を減らしてそっちに回すことを考えても良いが、少しは借りてあげないと銀行も大変だろう。
 どんな形での独立国になるのかはこれからだとしても、通貨は円をそのまま使うのか?」
「それが一番簡単だからね、でもさ、現金での取引は最低限まで抑え込めると思わない?」
「そうだな…、カードやスマホを使ったサービスが増えてるが…、まずは現金を使えない店を試してみるか?」
「停電時のシステムを確立しておけば無理なく出来そうな気がする、日本国は現金から離れられなくて遅れてるよ。」
「停電時か、必要な情報を写真撮影しての信用取引かな、通常より時間が掛かっても仕方ないだろうが…、その前に停電しにくいシステムも考えたいかな。」
「店に蓄電システムや自家発電の設備が有れば災害時でも安心だね。」
「コスト面の問題は有るが燃料電池車や電気自動車を普及させれば、燃料電池車向けの水素を自家発電に使えたり、電気自動車から電力を供給させることは可能だな。」
「化石燃料に対する依存度下げる、それも国家目標にしようか。」
「その辺りは自動車会社の海外向けCMに出演してる三郎の力で何とか出来るだろ。」
「う~ん、社長とはCM撮影の時に少し話した時は今度ゆっくり話がしたいとは言われ…、社交辞令だったと思うけど、こっちは高校生だから社交辞令だなんて分からない振りをして面会を申し込むぐらいのことは出来るかな、結果は分からないけどね。」
「はは、分からない振りか、三郎は春子に似て来たな。」
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バトル-170 [高校生バトル-17]

「雅、中学はどうだ?」
「みんな優しくしてくれて楽しいよ、チーム妹メンバーでグループが出来たんだ。
 お兄さま、今度うちに呼んでも良い?」
「勿論構わない。」
「みんなはお兄さまに会いたがっているのだけど。」
「ああ、スケジュールを合わせよう、う~ん、話題は…。」
「独立国の事を知りたがっている人は多いよ。」
「そうか、それなら話題に困ることはないな。」
「でさ、中学でお姫様ごっこって、お兄さまはどう思う?」
「えっ、お姫様ごっこが流行ってるのか?」
「もし、私達の国が王国になったら市長が王様、そうなったら私がお姫様だって言い始めた人がいてね。
 家臣の娘とか、お世話係とか、みんな勝手に自分の立場を設定をして、私はお姫様らしく振舞うことをお願いされているの。」
「お姫様ごっこなら良いじゃないか、雅はどんなお姫様と言う設定にしたんだ?」
「お姫様らしい言葉遣いに気を付けるのが面倒になって、あまり話さず、ただにこにこしてる様にしてたら、微笑みの王女と呼ばれる様になって。」
「微笑の王女ね、それって作り笑いなのか?」
「そうでもなくてね、みんな優しいから…、微笑みは自然なの。」
「それなら、次のミュージカルは微笑の王女で行こう、う~ん、セリフを少なめにして一気に撮り溜めておけば雅の負担は少なくて済む、その分詩織のセリフを増やして英語の特訓だな。」
「詩織は英語をもっと頑張りたいって言ってたものね。
 今度のミュージカルは王国と言う設定にするの?」
「高校生部会でも独立国の話で盛り上がってるからな、でも共和国でなく王国を望む声が多いのは少し意外だったかな。」
「そうね、クラスのみんなも普通に独立国は王国だって考えてるみたい、私達のお父さまが尊敬される存在だからとは思うけど、天は人の上に人を造らず、と言う考えとは少し違うと言うか…。」
「王家に対する憧れが有るのかも知れないし…、国民を正しく導いてくれる存在、良きリーダーとしての王なら誰も身分とかを意識しないかもな。」
「リーダーが世襲だと問題が起こるのでしょ、天皇みたいに象徴なら問題は無いのだろうけど。」
「そうだな、その辺りの事もクラスの子と話してるの?」
「私は微笑みの王女なのよ。」
「それって、クラスメイトとのコミュニケーションとしてはマイナスになってないのか?」
「う~ん、どうかな…、私は皆の話を聞いて…、今は皆の話を聞いて考えるのが面白いと言うか、質問をして考えを教えて貰うのも良いのだろうけど、耳に入る話の内容から色々推測したりするのが楽しくてさ。」
「観察者に徹してるのか?」
「そんなとこかな。」
「その結果は?」
「チーム妹の仲間だけでなく、クラスの人達は…、そうね昔通ってた小学校とは全く違うって分かった、男の子達も優しくて。」
「ボーイフレンドは出来そうなのか?」
「う~ん、ボーイフレンドの定義次第かもだけど…、みんなお子ちゃまなのよ。
 私にとって最大の幸せはお兄さまと出会えたことだけど、お兄さまと出会ってしまったからそう言うのはね…。」
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