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バトル-163 [高校生バトル-17]

「雅、中学へは無理して通わなくて良いのだからな、気が向かなかったら休めばいいんだぞ。」
「は~い、お兄さま、でも行ってみないとね。
 一緒にチーム妹に入って仲良くなった子もいるし、先輩にはチーム妹メンバーが多いのだからそんなに心配しなくて大丈夫だよ。
 揉め事が起きたらYouTubeチャンネルのネタに、平和に過ごせたらそれもネタにね。
 問題は授業中の暇な時間をどう使うかだけど、その辺りは詩織に教えて貰ってるからさ。
 お兄さまの方こそ新会社のスタートで大変でしょ?」
「そっちは心配しなくて良いよ。
 僕がいてもいなくても問題が起きる時は起きるし、問題を解決して行くのは社員の役目なんだ。
 大きな判断を必要とする時は考えなくてはいけないけど、試行錯誤の最中だから失敗は付き物さ。」
「試行錯誤しながら組織を形作って行くって楽しいものね、チーム妹でもさくらチャンネルや輝きチャンネルの制作に取り組みながらみんなで色々考えてるのよ。
 役割分担もね、始めの内は無かった衣装担当とかスケジュール調整担当が出来て裏方が充実し楽になったと思う。
 面倒な仕事でも進んで引き受けてくれる人が多くてさ。
 そうで無かったらさくらチャンネルは兎も角、輝きチャンネルは毎日更新なんて出来なかったと思うわ。
 大勢が交代で出演してるでしょ、撮影スケジュールを組むだけでも大変そうだもの。」
「そうか、新会社も面倒な仕事を進んで引き受けてくれる人がいて、雰囲気が良くなってるみたいだよ。
 春休みが終わり応援者の人数が減っても大丈夫そうだって報告が入ってる。」
「これから本格的に農業公園の整備が始まるのね。」
「それだけじゃないぞ、給食の質を向上させながら、給食の食材と一括で仕入れたものを使っての弁当販売や『学校の給食』ブランドで食材の販売を目論んでる。
 親が子ども達の食べてるものを確認出来ると言う意味合いも有ると協力してくれる人が多くてね、それが市内の業者にマイナスになってはまずいのだけど、調べてみたら影響は少ないみたいなんだ。」
「詩織は微妙だって言ってたな、給食。」
「まあ大量に作ってるから難しい面も有るのだけど、色々な問題が分かって来て一つずつ改善して行けそうなんだ、メニューを担当してた人を入れ替える話は我らが市長が動いてくれてるよ。
 小中学生が農業公園で生育を観察し自分達で芋掘りしたのを給食に出すなんて案も出てる。
「へ~、そう言うことも考えてるんだ。」
「自分達が何を食べているのか、食材について知ることも大切だとは思わないか?」
「そうね、この集落に越して来てから菜園が身近になり、美味しい野菜の見分け方を教えて貰って来たわ、それを知っているのと知らないのでは…、もしかして給食に関わってる大人達は知らなかったとか?」
「かもな、給食センターだと食べてる人との距離が遠く美味しいものを食べて貰うと言う意識が弱かったみたい、その辺りから見直して質を高めて行く作業が始まるんだ。」
「それも新会社で?」
「いや、新会社はサポートして行くがメインで動くのは市役所サイドが依頼した食育を考えている人達になる、市長の指示でね。」
「給食って予算が限られていて美味しいのは難しいと思ってたのだけど。」
「そこは工夫次第なのさ、仕入れのルートを変えることで今までより安くて良い食材をと、今まで不正が有った所を改めるだけでなく、それ以上にね。」
「給食センターの仕入れ担当は逮捕されたのだっけ?」
「うん。」
「ねえ、お兄さま、逮捕された本人は仕方ないけど、その家族はどうなるのかな?」
「高校生部会では犯罪被害者や加害者家族のフォローを考えていてね、そこを放置してたら新たな貧困を生み出し兼ねないだろ、まだ完全ではないのだけど市内で起きた事件や事故に関係した人の調査体制を考えているのだけど、担当者逮捕は新聞で扱われたからチームを組んでフォローに取り組む方向で動き始めてるよ。」
「そっか、家族はきっと肩身の狭い思いをするものね。」
「ああ、そこから子どもが良くない道に進んでしまうかもだろ。
 本当の改革には先手を打っていかないとな。」
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