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新学期-401 [花鈴-41]

「勿論家庭での教育が重要なのですけど。
 残念ながら充分な家庭教育が出来ない親が存在する訳です。」
「ですね、モンスターペアレンツが問題になることも有ります。
 聞いた話ではかなり厄介だそうですよ。」
「そう言う親に育つ環境だったのでしょうね。
 親に殴られて育った人は、子を殴って育てると聞いたことが有りますが、うちの祖父や祖母達は愛情たっぷりに私の両親を育てて下さったので、私も愛情たっぷりに育てて貰っています。」
「その愛情はどんな時に感じますか?」
「感じると言うより、知ったのは算数を教える様になり、様々な家庭の事情が情報として入って来る様になってからです。
 教頭先生から、色々な親が居ることなどを教えて頂きまして…。
 例えば子どもからの質問に応えない親とか。」
「子どもからの、何故、どうして?
 に付き合い切るのは大変みたいですよ。」
「でも、うちの両親や兄はとことん付き合ってくれたのです。
 今でも自分で調べられないレベルのことに関して、調べるヒントをくれます。
 物心ついてからの全ての疑問に対して全て答えを貰って来たのですが、それは家族の愛情だと知りました、沢山の時間を割いてくれることも有りましたので。」
「そんな環境で育ったから姫さまは知的な能力を大きく伸ばされたのですね?」
「ええ、ただ教えられたことを覚えて来ただけでなく、沢山のことを考えて来ました。
 家族が私に教える時、その時の能力では理解するのに少し苦労するレベルのことまで教えてくれましたので、教えるのも教えられるのも大変な部分も有ったと思います。
 でも、そのことが会社の会長として働く下地になりました。」
「単に高い能力を持っていただけでなく沢山考え学習して来たと言うことなのですか…。
 遺伝的な部分と最高の環境が有って、今の姫さまになられた…、私の様な凡人は教えを乞うしか有りません。」
「丸田さんが一流大学で学べているのと同じことです。
 ただ、うちの家族が有能過ぎるだけのことで。」
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新学期-402 [花鈴-41]

「はい、優秀さに関して、お父さまやお兄さまのことが学生達の話題になる事も有るのですが…、お母さまはどんな方なのです?」
「結婚して専業主婦となりましたので目立つ活動はしていません。
 専業主婦と言っても株主として配当収入は有りますし、その収入から更なる投資を考えていまして、株式会社花鈴の株主でも有ります。
 私の疑問にトコトン付き合ってくれたのも専業主婦として時間が有ったからだと思います。
 家事に関しては家政婦さんに手伝って貰っていますので。」
「家政婦さんに全部お願いしてる訳ではないのですね?」
「家政婦さんと相談して、と言う形をとっています。
 お客さまを持てなす為に色々考えたり、私達の教育環境を整えることに時間を使って来たのではないでしょうか。
 掃除や洗濯は母で無くても出来ること、収入は充分有りますので、それを有効に活かすことで家政婦さんが潤ったりしてるのです。
 高額所得者の義務として、社会経済を回す為に、家政婦さんを雇ってると言う一面も有るのですが、理解出来ますか?」
「えっと…、雇用の場を生み出してるとか?」
「ええ、広い庭の維持管理は造園業者に任せていますが、月に二回、片道一時間掛けて来てくれています。
 うちは沢山稼いでいますが、そんな感じで沢山使っているのですよ。」
「お父さまは大社長、貯金も多いのでしょうね。」
「貯金って、銀行預金のことですか?」
「ええ。」
「現金が必要になることも有りますので無くはないですが、最低限に抑えています。」
「えっ?」
「銀行預金の利息なんて無いに等しいです。
 毎月収入が有るのですから、預金は最低限にして投資に回しています。
 私のお小遣いもですが。」
「投資って、株式とかですか?」
「ええ、私は株式会社の会長なのですよ。」
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新学期-403 [花鈴-41]

「株取引ですか…。」
「上場企業の株を取引きしてる訳では有りませんので、丸田さんがイメージしてるのと少し違うと思います。
 我が社が買収したのは小さな株式会社ばかりですので。
 買収交渉はオーナー社長と直接。
 双方合意の上で買収価格が決まりました。」
「そうでしたね、上場企業は大企業が中心で…。」
「経営が苦しく後継者もいない所は、従業員と顧客を大切にしてくれるならと格安での買収になりましたが、皆さん、私達のことを調べて下さったからかスムーズに進みました。
 ホントに私のお小遣いだけで買収出来た会社も有るのですよ。」
「安かったと?」
「ええ、会社に対して思い入れは有るものの私達に託せばより安定した会社になると判断して下さいました。
 小規模な事業所の中には、社長がそのままうちの従業員として働いて下さってる所も有ります。」
「社長から降格ですか…。」
「社長と言う肩書を失っても、収入は増えていますからね。
 会社を再生していますし、必要が有っての買収ですので従業員の方々には納得の行く額の給料を支払っています。
 労働組合が無かった会社ばかりでしたが、希望者は全員株式会社花鈴の労働組合に加入しています。」
「労働組合ですか…、私には分からないことばかりです…。」
「生意気な話しで申し訳ないのですが、丸田さんだけでなく、社会のことを知らな過ぎる大学生が多いと感じています。
 株式会社と言う存在、そこの社員として働くこと、就職して研修を受けてと考えているのかも知れませんが、そこに関係する法律を学びもせずに不利益を被っている社員は少なくないみたいです。
 労働者を守る為の法律が有るのにブラック企業が被害者を出しているのですよ。」
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新学期-404 [花鈴-41]

「その様なことも学習されていたのですか…。」
「勿論です、経営者としての責任、一般の社員より多くの報酬を得ているのですから当然のことです。
 逆に就職後、自分に関係するかも知れない社会一般のことを学んでない大学生は大丈夫ですか?」
「確かに大切なことに目が向いていなかったかも…、自分が恥ずかしいです。
 姫さまのことを始めて知った時は、大社長に守られての単なるお遊びぐらいのことだろうと思ったのですが、ここに来たら姫さまのことを尊敬している人ばかりで。
 社会経済のことに興味の無かった私でも、姫さまの功績は理解したつもりでしたが…。」
「お金が絡んでいますからね。
 この地に大きな投資をしている父と、別角度から支える株式会社花鈴。
 この地で真面目に働いてる人達に損はさせないと考えています。」
「お金が大切なのは分かっていたつもりでも、姫さまと話して、もっと学んでおくべきだと感じています。
 ここの人達が姫さまに褒められたとか、怒られたと笑って話されていた意味が分かって来ました。」
「う~ん…、そんなに怒ったりはしていないと思うのだけど…。」
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新学期-405 [花鈴-41]

「先々耕す予定の無い休耕田を手放せなかった人が、姫さまから、荒れた田んぼを残して置くことを御先祖様喜ぶとでも、と言われたそうで。」
「権左衛門さんね。
 荒れ果てていても先祖が遺してくれた土地だからと話していたのよ。
 土地を相続してくれる人が居なかったから、貸して貰うより買い取った方が良いと判断したの。」
「デイサービスへ通えなくなった後のフォローも株式会社花鈴にお願いした、と話してみえました。」
「結果的に我が社の社員を信じて下さり色々託して下さったわ。
 耕作放棄地だけでなく家も。」
「相続する人がいないのですよね?」
「ええ、彼が信頼している南野さんが間に入って契約書を交わして有るのよ。
 生きてる間は株式会社花鈴が責任持ってお世話させて頂く代わりに天寿を全うされた後は全財産を我が社にと。
 南野さんにその契約が守られることを見守って頂く形でね。」
「法定相続人が居ないとそんな形もあるのですか…。」
「私達が動いているからここの土地は売れるのだけど、普通の過疎地なんて土地は売れず所有者が亡くなると行政サイドも扱いに困ったりしていてね。
 過疎化を止めたいと考えていても、そこに所有者のいなくなった耕作放棄地が点在していてはマイナスにしかならないでしょ。
 法整備を少しづつ進めているみたいだけど、時間が掛かるのよ。」
「法改正には何年も掛かることが有るとか…。」
「権左衛門さんが聞き分けの良いご老人で良かったわ。
 休耕田は区画整理して宅地への変更を進めていてね、そこに入所タイプの老人福祉施設を建てる計画が有るの、権左衛門さんが自宅での一人暮らしが出来なくなったら入所して頂く為にね。」
「施設建設となると費用が掛かりそうですが…。
 需要が有るから問題ないわ。
 寝たきりになって家族に迷惑掛けたくない人とかね。
 その辺りのことは調査済みなのだけど、ここの人だけで定員を埋める必要はなくて…。
 寝たきりになったら都会だろうが田舎だろうが関係ないのよ。」
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新学期-406 [花鈴-41]

「そんな感じなのですか…。」
「問題が有るとすれば従業員の生活環境かしら。
 田舎暮らしに抵抗の無い人にとっては関係の無い話だけどね。」
「母子家庭の人からの応募が有ると聞きました。」
「社会的にハンディをお持ちの方も受け入れて行く姿勢を示しましたので。
 実際、母子家庭の授業員は増えつつ有ります。
 移住に不安の有った人達も、仲間が出来たことで安心して下さってるみたいです。」
「守られて?」
「社会的弱者でも、都会から離れられない人は我々の支援対象には成りませんが、田舎暮らしに挑戦してみようと言う人には最大限の支援をと考えています。
 老人向けのデイサービスセンターの隣に保育施設をオープンさせたのも従業員の為なのですよ。」
「あっ、ご老人の中には子どもと遊ぶ方もおられるとか。」
「職員に見守られた状態なら、どちらにとっても良いことだと思いませんか?」
「ええ、確かに。」
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新学期-407 [花鈴-41]

「デイサービスに通われてるご老人でも、ちょっとした作業を手伝いたいと思っている方や子どもの相手をしたいと思われる方がおられるのです。
 うちのセンターでは、そんな思いを積極的に後押しすることで認知症の進行を遅らせることが出来たらと考えていまして。」
「認知症のことは良く分からないのですが、進行して行くものなのですか?」
「ええ、認知症を直す薬は無いみたいですが、進行を遅らせる薬は多々有り、新薬では高額なのが話題になりました。
 患者さん個人レベルで考えると薬の効果は判断しにくいのですが…。」
「個人では薬を使わなかった場合と比較出来ませんものね。」
「実際問題として、環境の変化と言う要因も有ります。
 デイサービスに通い始める前と比べ、子どもとの時間を過ごす様になったからか、表情が豊かになった人もいるそうで。
 合う合わないが有るみたいですし、認知症が進むと怒りっぽくなったりとかの症状が出る場合も有り、全員に有効とは言えません。
 一応、子どもと遊ぶ時間を取ってる人達のデータは整理して貰っていいるのですが、認知症の進行を遅らせることに有効なのかどうかの判断は難しいです。
 科学的な実証が出来なくても続けて行く方向で動いていますが。」
「見守りが大変だったりするのですか?」
「今はデイサービスの職員と保育の職員に意見交換して貰ってる段階です。
 無理の無い範囲で続けて行けたらと考えていまして、問題を起こしそうな人は人形に相手をして貰うとか。」
「人形相手では…。」
「おしゃべりしてくれる人形は結構人気が有るみたいですよ。」
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新学期-408 [花鈴-41]

「そんな人形が?」
「音声を認識して簡単な対話が出来るの。
 ちょっと遊んでみたけど面白かったわ。
 お歌を歌って、とお願いすると歌ってくれるのよ。
 ある認知症の方はご自分のベットに寝かしつけて一緒に寝ているのだとか。
 人形の話す独り言に応えて微妙な対話が成立することも有るそうでね。」
「へ~。」
「デイサービスの担当者が、朝、迎えに行くと息子さんが人形と一緒に送り出すそうなのだけど、行ってきますと言うと、それを聞きとれた時は何種類かの反応を示す。
 でも、聞き取って貰えないことも有るそうで…。」
「パソコンの音声認識も微妙ですものね。」
「試してみました?」
「はい、現時点では手を動かした方が早いです。」
「ですよね。」
「そんな人形をデイサービスセンターにも置いているのですか?」
「ええ、ただ、その子は取り合いになって乱暴に扱われることも有るそうなので、今後の方針は検討中だそうです。」
「認知症の方はそんな感じなのですか…。」
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新学期-409 [花鈴-41]

「一口に認知症と言っても、その進行具合によって様々なのですよ。
 怒りっぽくなった人は周りに不快感を与える訳ですが、暫くすると入院したりして、デイサービスに来なくなったりします。
 穏やかな人達は談笑して楽しんでるのですが。」
「認知症の方をお世話するのは大変そうです…。」
「ええ、ですが、それを前提に働いてる訳ですから。
 でも我が社では相談して他の仕事もして貰っています。
 毎日ご老人の世話ばかりをするのではなく、店の仕事や集荷や配達をしたり。
 株式会社花鈴が複数の事業所を抱えていることで可能なのですが、複数の業務をこなして貰うことによって出会いの機会も増えるのです。
 デイサービスセンターだけで働いてたら視野が狭くなってしまうと思いません?」
「確かに…、日によって違う仕事に就いたりするのですか?」
「時間単位で複数の作業をしている社員が多いです。
 事務系の社員が一時間だけ畑仕事をするとか。」
「それだと移動や着替えたりする時間のロスは無いのですか?」
「ブラック企業では有りませんから、そこまでロスを気にしていません。
 気分転換出来る時間が有るから、作業に集中出来ると好評なのですよ。
 椅子に座っての仕事ばかりでは体にも良く有りませんので。」
「メリットが有ると?」
「基本的に個人の希望を聞きながらスケジュールを組んでいますからね。
 そこに一手間掛かってはいるのですが、結果的に労働環境の質を上げられていると結論付けられています。」
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新学期-410 [花鈴-41]

「労働環境ですか…。」
「気持ち良く働ける環境って大切な事だと思いません?」
「勿論です。」
「残念ながらノルマなどのプレッシャーに押し潰されそうになりながら働いてる方は少なく無い様です。
 充分な給料を得ていたしてもどうかと思いますが、大したことの無い給料で働いて、自分をすり潰している人もいるのです。
 株式会社花鈴が事業所の買収を積極的に進めて来たのは、過疎地の会社で働く人達の労働環境を改善したいと言う思いが有ったからで。」
「それが成功しているから…。
 自分の将来を考える様になって知ったのは、正式な教員になる為に不利益を受け入れている人の存在です。」
「非常勤講師との肩書を持つ人達ですね?」
「ええ、能力の低い人が教員になるのはどうかと思っていたのですが…、微妙だと思いませんか?」
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