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バトル-221 [高校生バトル-23]

「アルトバル国の貧困対策は遠江王国で行って来たのと同じ様にして行くと言うことですが。」
「ああ、まずは遠江王国国営遠江株式会社の支社を置き現地社員を募集し教育する所からになる。」
「資金面は大丈夫なのですか?」
「初期投資は少し掛かるが、向こうの平均年収は日本の八分の一ぐらいなんだ、貧富の差が有ってのデータだからもう少し少なくても普通に暮らせるのではないかな。
 まずは、小さな工場を立ち上げるが、そこでの労働とは別にうちのYouTubeチャンネルに出て貰う。
 王家で働く人達としてセリフの無いエキストラとか、病人には病人の役をやって貰うみたいな感じでね、それに対する報酬を生活の足しにして貰うんだ。」
「それなら無理なくなのかな、歌はどうですか?」
「ミュージカルで僕らが歌って来たのとは趣が違うが、現地の歌をストリーに組み込み貧困層の子ども達に歌って貰おうかと、その報酬を増やせるかどうかは演出次第だから、次郎兄さんは視察旅行中に子ども達の歌を沢山聴いて来ると話してたよ。」
「素朴さを前面に出してとか?」
「うん、スタッフが録音した中に言葉が分からなくても胸に響く歌声が有り、演出に成功すればアルトバル国にとって大きな財産になる可能性を秘めているんだ。」
「その演出が難しいのですね。」
「エスニック音楽に興味を持ってる人は多くない、ただ、それだけに耳新しく感じて貰える可能性が有る、次郎兄さんは貧困対策の費用ぐらいは簡単に稼げるかもって。」
「簡単にですか…、さくらチャンネルでは視聴回数が伸びると思ってたのが全然ダメだったりしてるのですけど。」
「それでも充分稼げているだろ、全体では上手く行ってるのだからな。」
「確かにそうですね、新しく上げたものだけでなく過去のを見て下さる方がそれなりに、動画の本数が増えるにつれ総視聴回数の伸びが加速して来ました。」
「そこが強みだよな、テレビ番組は多くの人が見るのだろうが、放送されるのは一回だけのことも有る、だがYouTubeは何時でも何回でも見られるから過去に上げた作品の視聴回数も伸びる。
 人気の有るチャンネルにとって過去作は財産なんだ。」
「そこを、新たなヒット作を出したいと言う思いが後押ししてますからね。」
「うん、チーム妹には感謝しかないよ、さくらチャンネルと輝きチャンネル中心に活躍してくれてて。
 特に輝きチャンネルは内容が地味目だから、チーム妹の出演が無かったら全然伸びなかったと思うんだ。」
「そうでしょうか、お兄さまの出演回はぐっと跳ねてます。」
「いやいや、毎回出られる訳ではないからな、チーム妹の力は大きいよ。」
「チャンネルの多さによる相乗効果も有りますね、東京に住む祖父は空いた時間には私たち関係のチャンネルを見てるから、ニュースや天気予報以外のテレビ番組はほとんど見なくなったそうです、遠江王国への関心は高まるばかりだそうで。」
「定年退職後はこちらへ移住とか?」
「かも知れません。」
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バトル-222 [高校生バトル-23]

「三郎、アルトバルの周辺諸国についても調査してるのだろ、どんな感じなのか報告は有ったのか?」
「少しずつ情報は来てるのだけど、父さん、やっぱ難しい問題が起きそうだよ。
 アルトバル国で直ぐに国民の生活水準が向上する訳ではないにしても、目標としてる社会環境を考えたら何らかの手を打っておかないと周辺諸国と軋轢が生じたり不法移民の問題が起きかねないみたいなんだ、経済的な問題も有って一国だけを改革と言うのは無理が有るみたいだね。」
「そうなると広範囲に我々が影響力を与えることが出来るかどうか政治力が問われるところだな。」
「政治力か、父さんの考えは?」
「周辺諸国に対し、アルトバル国同様の提案をして行くしかないだろ、各国に遠江王国国営遠江株式会社の支社を置き現地社員を募集し教育する所から始めて。」
「う~ん、そこまでの資金は…。」
「アルトバル国での成功が見えれば資金調達は出来ると思うぞ、元植民地なら旧宗主国に働き掛けるのも有りだな。
 直ぐに支社を置く必要はないが早めに準備を始めるべきで、アルトバル国で失敗する気はないのだろ。」
「そうだね、同じ一億円でも日本とアルトバルでは全く違う、問題はアルトバルの周辺諸国の中でも人口の多い国かな、資金調達出来たとしても、支援の仕方を工夫しないと色々落とし穴が有りそうな気がするよ。」
「それは言えるな、安い労働力を利用してる大国がどう出て来るのかも分からない。
 ただ、貧富の差が大きくなり過ぎているのだから少しずつでも是正して行く必要はあるだろ。」
「うん、低所得者層は受け取った給料を溜め込むことなく使う必要が有るのだからお金の回転は良い筈、富裕層が少し良心的に貧困層のことを考えるだけで貧困問題が解決しそうな国は少なからずあると思うのだけど、日本の現状を考えると難しそうだね。」
「人間は金を溜め込むのが好きみたいだからな。
 うちみたいに沢山稼いで沢山使い、投資してくれたらと思うのだが。」
「アルトバル国で成功出来れば、動いてくれる人が増えると信じて頑張ってみるしかないね。」
「だな、周辺諸国の歴史や事情に配慮しながらになるが、少し調べていて気付いたのは、戦争によって独立出来たと考えてる人が少なからずいること、個人の事情によって想いは様々だろうが、日本に対するイメージは悪くないみたいなんだ。
 こちらの好感度を更に上げられる企画を出して行けたら政治的な駆け引きは楽になると思うがどうだ?」
「次郎兄さんが帰って来たらその辺りの相談をして…、僕も一度行ってみようかな。」
「そうだな次郎はこっそり言ってるが、三郎は第三王子として周辺諸国を含めた視察旅行を企画してみないか、バカンスとは別でね。
 それに対する各国の反応を見ておきたいと思わないか?」
「そうだね…。」
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バトル-223 [高校生バトル-23]

「春子姉さん、父さんとの話からそんなことを考えているのだけど。」
「そうね、アルトバルの周辺諸国を三郎が遠江王国第三王子として回れば、各国の思惑が見えてくると思うわ、まずは各国に打診して反応をみましょうか。
 遠江王国のことを単にお遊びの王国と捉えているのかどうか、アルトバル国との情報はそれなりに広まっているとは思うのだけど正確に伝わってるかは疑わしいのよね。」
「うん、人口の多い国がどう出るかが問題だと思う、でも軽くあしらわれたら、それはそれで遠江王国国営遠江株式会社の支社を普通に置くだけで済む様な気はしてる。
 政治的な交渉抜きで勝手に貧困対策を進めながらの事業展開、小さく始めるのなら資金は何とかなるでしょ。」
「大きな国の小さな村から始める支社と言うのは面白いかもね、そのままノンフィクションドラマにするとして…、学生を送り込みたいかな、あの辺りは英語が話せれば何とかなるのでしょ。」
「みたいだね、結果を出せるまでには時間が掛かるだろうけど。
 ただ、ふと思うのは生活が安定したら出生率が上がり平均寿命が延びてと…、人口問題は無視出来ないよね。」
「それは微妙な問題に間違いないな…。
 経済状態が良くなると子どもを育て易くなる半面、子どもの人数が減る傾向に有るとは言え、その過渡期は…。
 自分達の子孫を増やすのは生き物にとって自然なことなのだけど、バランスを崩しかねないと言いたいのでしょ。」
「うん、アルトバルの若者は今でも他国へ働きに出る人が少なくないと聞いただろ。
 簡単に答えを出せる事ではないけど、これからの活動を考えたら避けては通れないことだと思うんだ。」
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バトル-224 [高校生バトル-23]

「公園の美化活動から街の美化運動に発展して来たのは、市民の手で綺麗な活気有る街にしようと言う市長の提案に多くの人が賛同した結果ですよね。」
「そうだな、詩織達の活躍も有るが、綺麗になり始めた公園を見て手伝おうと思ったり、清掃活動と地域の親睦活動を並行して行うことで参加者が増えたり、観光客が増えたことで商店が協力的になったことも大きいかな。」
「お兄さま、遠江王国では起きてる、そんな好循環をアルトバル国でも起こせるのでしょうか?」
「う~ん、国民性の違いが有り、貧富の差が大きく生きるだけで精一杯と言う人が少なくないみたいだから難しいかな、衣食足りて礼節を知るって言葉も有るだろ。」
「街の美化を考える余裕は無いのですね。」
「今はな、でも、それだけに余裕を作って行きたいとは考えてるんだ、僕らの力で労働環境を大きく改善させることは可能だが、市民教育の必要が有ってさ。
 我々が作り出した余力を、全力で博打や、飲酒は兎も角違法薬物につぎ込んだりされたら残念過ぎるだろ、だから、その余力で環境改善を考えてくれたらとは思ってる。
 まあ、労働環境改善の交換条件と言った形で進めて行くことになり、成功すれば社会改革の速度が上がるだろうが、失敗したら新たな社会問題を作り出しかねないかな。」
「収入が増えれば生活が良くなって、と言う単純な話ではないのですね。」
「教育環境も日本とは違うだろ。」
「まずは職業訓練校でしたね、子ども達に対する教育はどうなのです?」
「貧困層の子ども達も職業訓練校で面倒を見て行くことになりそうだよ、それが一番手っ取り早くてね。」
「小学生の頃からですか?」
「小さい子には職業訓練を受ける為の基礎学習から始めて貰うことになるから、小学校と似た様なもの、ただ、貧困層の親を納得させる必要が有り、職業訓練を前面に出した方が学校に通わせ易いと言う事情が有ってね。」
「こちらとは随分違うと…。」
「親に対して生活を安定させるサポートをしながら、親子共に教育して行く必要が有る、そうして行かないと僕らの活動は本当の成果を上げられないし、定着して行かないのさ。」
「街の美化に自主的に取り組み好循環を生み出して行くなんてことは先のことなのですね。」
「ああ、彼らの幸せを考え、じっくり取り組む必要が有る、それは我が社が遠江王国で進めていることと同じだよ。」
「じっくりですか…、私達はどうしても早い結果を求めがちで…、チーム妹のメンバーにも考えて貰います。」
「頼むよ、詩織もリーダーとして考えてくれてるのだね。」
「まだまだですが…。」
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バトル-225 [高校生バトル-23]

「三郎、アルトバルの教育について、遠江大学が動き始めたそうね。」
「うん、早い段階から話は出ていたのだけど、アルトバルにとってプラスとなる教育を、大学にとっては日本では出来ない実験的取り組みをと議論を重ね、形がまとまったんだ。」
「日本では出来ない?」
「母さん、日本の義務教育は中学までだけど高校進学が当たり前の様になってるし、大学に進学する人も多いでしょ。
 でも、個人の能力によってはそこに無駄が有るのではないかと遠江大学教育学部では考えられて来たんだ。
 どういう教育が理想なのかは個人差が有り過ぎて結論が出にくいのだけど、アルトバルの裕福ではない層に対して生活改善を手伝いながらなら、思い切ったことが出来るとなってね、何と言っても識字率は60%程度だから。」
「そう言うレベルなの…、それだと基礎教育からになるのね。」
「勿論読み書きや基礎計算は必修になるけど、能力別の指導を職業訓練と並行して行う予定、能力の高い子には遠江大学に参加することを意識して貰おうと考えいてる。」
「遠江大学に参加となると、ネット環境は大丈夫なの?」
「富裕層は普通に使えてるのだから学校で使える様にするぐらいは難しくないと思う。
 こちらで中古パソコンを集めメンテナンスして送り、英語と数学に真面目に取り組める子に使って貰うと言う話が進んでるよ。
 英語が苦手ではネットを利用した学習が出来ないからね。
「もしかして通信教育を考えてるとか?」
「効率が良いでしょ、現地にアドバイザーは置くけど、学力レベルの高い子に対しては日本に住む遠江大学教育学部のメンバーがアドバイスして行く予定なんだ。」
「技術系のことでもネットだけで伝えられるの?」
「その必要が出て来たら現地へ教師を派遣か留学になるのだけど、まずは政治経済のリーダーや教員の育成をと考えていて、所謂技師の育成は後回しにするつもりなんだ。」
「そっか、でも低所得者層を対象にして能力の高い子はどれ程いるのかしら?」
「今は少ないと思う、基礎教育を充実させてからでないとね、小さく始め少しずつ拡大して行く過程で富裕層が興味を示す様になれば展開が早まるかも知れないけど。」
「予算面は?」
「まずは学校と言うより小さな塾レベルでスタートなんだ、でもボランティア講師候補の人数はすでに百人を超えていてね、その中には観光を兼ねての現地滞在を考えてる人もね。
 ネットでは相手をすることが難しい子達の様子を直接見て検討してみたいと言う人もいるんだよ。」
「大切なことだわ、日本では成績優秀者に目が行きがちだけど社会を構成してるのはそんな人ばかりではないものね、私達のバカンスでも時間を作って現地の学校を見て来ようか。」
「僕らは始めからそのつもりだったのだけど。」
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バトル-226 [高校生バトル-23]

「アルトバルに遠江株式会社の支社を置く話は進んでいるのか?」
「うん、送り込んだ社員は住居を確保し、そこを拠点にして準備を始めてるよ、英語の堪能な現地社員を二人雇い調査活動をしつつ動画の撮影も始めてる、YouTubeを意識した調査報告は整理中でね。」
「調査より調査報告作成の方が大変そうだな。」
「だから現地からは整理されてない状態でこっちに送って貰い本社で整理しているんだ。
 整理出来た分から向こうで確認して貰い修正してから関係者が閲覧出来る状態にすると言う流れ、父さんも少し待ってね。」
「成程、と言う事はネット環境に問題はないのだな。」
「ホテル経営者とか、それなりに富裕層がいるそうで、僕らがバカンスで泊まるホテルでも問題ないみたいだよ。」
「では市長の業務も向こうで行える訳だ。」
「市長が長期休暇とは行かないものね、社員にはネット環境の確認を最優先に動いて貰っていて、近い内に市役所サイドと調整することになると思う、昔みたいに紙とハンコの世界だったら出来なかったことだよ。」
「市長が市役所に行かなくても仕事が出来るとは便利になったものだな。
 遠江大学教育学部の方はどうだ?」
「長期滞在の予定で向こうへ行ってる人の報告が彼のブログに上げられ始めたのだけど、言葉の壁を感じてるみたい、それでも英語を話せる人と知り合いになれたそうで、うちの社員とは違った情報をもたらしてくれそうだよ。」
「違う視点が有るのは良いことだな、次郎が見て来た話も面白かったし。」
「次郎兄さんのはお金儲け中心の視点だったけどね。
 経済、教育の分野は少し見えつつ有るけど…。」
「気掛かりな事でも有るのか?」
「政治はどうなのかな、社会福祉制度とかが全然みたいでしょ、遠江株式会社として関わって行くとしたら日本みたいな法制度が有って欲しい所なのだけど。」
「大統領は国民に敬愛されているがお年寄りだったな…。」
「うちとの関係を画策した人は言いにくそうに、大統領だけど国王の様なものと話してたよね、後継者が世襲になりかねないとか。」
「そう言った問題に対して私達が口を挟むことは出来ないが、彼の考えをもっと聞き出しておくべきだとは思う、三郎になら話してくれそうな気がしたのだがどうだ?」
「うん、話しにくい事情が有るのかも知れないけど少しずつ聞いてみるよ。」
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バトル-227 [高校生バトル-23]

「雅、遠江王国国立自然公園はどうだった?」
「少し疲れたけど、ハイキングコースは花が綺麗だったわよ。」
「花木を植えたとは聞いてたが。」
「自生してる植物を守るエリアが有ったり、季節毎の花を楽しめるエリアが有ったりとね、野鳥に配慮して植えた木も有るのだとか。
 里山の人工林として生き物との共存を考えたい所だけど、人が猪と出会うことが無いようにしてるそうで、公園をより安全にするために猟友会の方々が動いてくれてるの。
 スズメバチの巣が遊歩道沿いに出来ないか気を配ってる人達もいてね。」
「農業公園のジビエ料理専門店が流行っているが、最近は肉の売れ行きも好調だからな、増え過ぎている猪や鹿を減らすだけでなく、経済面でもプラスになりつつ有るんだ。」
「猟友会の人だけでなく、遠江王国国立自然公園には大勢の人が関わってるのでしょ。」
「ああ、当初の構想を遥かに超えてね、山の維持管理を趣味にと考える人が多いのだが皆さんボランティアなんだ。
 林道の奥に管理センターが完成したから更に活動が活発になるだろう。
 まあ、作業の合間や作業後の楽しみは色々あるそうだけどな。」
「歩道の補強作業をしていた人は花鳥風月を楽しめると話してみえたわ、作業後に一杯と言う楽しみも有るそうだけど。」
「ログハウス風の管理センターは宴会や宿泊もを可能にしたからね。
 毎日の様に遊歩道を歩く元気なお年寄り中心のグループが有り、スズメバチだけでなく問題が有れば直ぐに報告してくれるそうだよ、それを受けて遊歩道補修ボランティアなどが動いてくれてる。
 同じことを税金を使ってやってたら大変な額になるだろうし行き届かないことも多いと思う、国民が守る国民の為の国立自然公園となってくれて嬉しいよ。」
「適当に遊歩道を整備したのではなく、急な坂が無いように設計されているのでしょ、だからお年寄りでも負担が少なく自然を楽しめるのだとか。
 ねえ、今のアルトバル国では国民がボランティアで動くことなんてないのでしょ?」
「余裕の有る人が少ないからな。」
「逆に言えば遠江の人達は余裕が有るのよね、でも、王家が動いていなかったら…、その余裕を持て余してたのかしら?」
「かもな、アルトバルの人達もボランティア活動を出来る所まで全体的に引き上げたいのだが、かなり難しそうだ。」
「やはり教育の問題?」
「ああ、大人も子どももね、遠江の人達は社会環境は市民の手によって改善出来ると言う体験をし、更にとなってるだろ、今までそんなことを考えもして来なかった人達にそれを伝えて行くのは簡単なことではないよ。」
「その辺りの教育活動もYouTubeを活用して行くのよね。」
「まあな、ただ、ネット環境が充分に整っていなくて今は閲覧出来ない人が多いんだ。」
「そっか、私達にとっての当たり前のことが…、でも手は考えているのでしょ?」
「勿論さ、アルトバルで得られた利益は貧困対策対策だけでなく色々とアルトバルのために使っていくことになるよ。」
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バトル-228 [高校生バトル-23]

「詩織は遠足どうだった?」
「あちこち見学出来て面白かったです、新システムが始まったバスも快適でした。」
「信号待ちは?」
「バスに合わせて随分先の信号が変わるのは感動ものです、でも救急車が通った時はちゃんと赤信号になって、優先順位が有るのですね。」
「緊急車両の中でも順位が有るからな。
 新型車両には乗れた?」
「はい、市役所へ向かう時に、乗り心地が良くて古いバスとは全然違いました、新型車両はこれから増えて行くのですか?」
「ああ、観光客が増えて売り上げが伸びてるし、新システムの導入で利用者が更に増えそうだからな、台数を増やし、バスの更新時期も前倒しして行くそうだよ。
 古い車両はアルトバルで使って貰う話が出ていてね、日本では道路を走っては行けないレベルのバスが普通に走ってるそうで。」
「中古パソコン、中古バスでも喜んで貰えると言うことですか?」
「今の所はね、経済改革を進め向こうのバス会社が自力で新型車両を導入出来る様にして行きたいが、少し時間が掛かりそうなんだ。」
「大変そう、今後は遠江王国が全面的にバックアップして行くことに?」
「いや、全面的ではなくポイントを押さえ最低限の支援で最大限の効果をと考え動いている、周辺諸国との兼ね合いも有ってね。」
「あっ、そうでした、第三王子諸国歴訪の話は進んでいるのですか?」
「決定した国も有れば交渉中の国も、日程調整は夏のバカンス頃になりそうだよ。」
「市役所の見学中に職員の方からも聞かれました、皆さん気になってるのだと思います。」
「詩織のことを知ってる職員か、詩織も有名になって悪いことは出来なくなったな。」
「有名でなくても悪いことなんてしません。」
「はは、まあ、近い内にそう言った情報も…、バカンスまでには流しておくことにするよ。
 詩織はバカンスの計画は立てられた?」
「それが英語でも調べているのですが情報が少なくて、観光に力を入れるのなら情報発信が必要だと思います。」
「うん、そう言う話しは結構耳にしてる、夏休みに宿泊環境を確認しこちらから発信して行かないとだな。」
「私達が泊まるホテルは問題なさそうですが他のホテルは確認が必要なのですか?」
「そうでもないのだが、スタッフから宿泊施設を増やし観光客を誘致して行く案が出されていてね。」
「ホテルを建てるとなると資金が…。」
「建物にはお金を掛けずにサービスで勝負、と言う案で従業員の教育がポイントになるのだけど、海の見える丘に有る家をリフォームすれば富裕層が長期滞在したくなる環境に出来るとか。
 一般向けでは敢えて素朴な家での宿泊を体験して貰うと言う案が出てた、より自然を感じられるそうで。」
「う~ん、少し微妙な気が…、まさかキャンプ生活レベルではないですよね?」
「そこは、都会暮らしの人でも問題ないだけの設備を整えてと、まあ、キャンプレベルから色々なスタイルを用意しても初期費用は大して掛からないのだから次郎兄さんも試してみようと話してたよ。
 都会の生活に疲れた人が素朴な環境で癒される場、と言うコンセプトでね。」
「成程ね、でも、私は素朴な環境よりホテルが良いかな。」
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バトル-229 [高校生バトル-23]

「市役所の他は何処へ?」
「私達の班は変わり行く街をテーマに工事してる所を回りました。
 リニアの建設現場近くでは英語での解説を一緒に聴かせて貰えたのですよ。」
「理解出来た?」
「はい、知らない単語が出て来ましたが、分かり易く話して下さったのでなんとか、友達の勇者が英語で質問してくれたりもしまして。」
「いいね、そうやって英語を使って行かないとな、チーム妹のメンバー同士で英会話をしていても話題が限られるだろ。」
「ですね、バカンスの時は私も積極的に英語で話しかけたいと思っています。
 でも、英語が話せる人ばかりではないそうで。」
「英語の話せる現地の人達と交流出来る様に、我々の案内をしてくれる人達に頼んでおくよ。
 スタッフからの報告だけでなく、現地の人から直接聞いておきたいことも有るからな。」
「やはり価値観とか違うのでしょうか?」
「と思うんだ、こちらの価値観だけで判断してしまうのは間違いの元だろうね。」
「う~ん、アルトバルではリニアを高架上に作るぐらいなら、中古でも良いからバスが欲しいとか…。」
「綺麗な洋服より兎に角食物をと言う人もいるみたいだ、遠江王国では減ってる筈だけどな。」
「価値観以前の問題ですね、高校生部会の調査では、少なくとも市内の小中学生は食べ物に困らない状態に出来てるそうですが。」
「プライドが邪魔して支援活動を上手く活かせていない人がいると聞いたよ。」
「アルトバルでも同じでしょうか?」
「いや、プライドなんて言ってたら生きて行けないみたいでね。」
「変に気を使わなくて良いのならかえって楽に支援出来るかもです。」
「ただ、恵んで貰うことに慣れ過ぎていると自立への意思が弱くなりかねないし、字の読めない人もいる、上手くサポートして行くには難しい問題が少なからずあるみたいでな。
 雇用の拡大に成功すれば良いのだが、経済面で急激な変化を起こすと今まで安定していた分野が不安定になりかねなくて。
 穏やかに着実に、が理想なのだけど経済活動は人心によって左右されることだから課題は山積みさ、それだけに成功出来たら他への弾みになると、遠江大学経済学部では様々なシミュレーションを考え始めていているよ。」
「本格的な研究になるのですね。」
「ああ、今までそんな研究自体あまりされて来なかったが、アルトバルでならシミュレーションの結果を元にして試してみることも可能でシミュレーションの精度も確認出来そう、勿論社会問題の解決も絡めて検討して行くことになるけどな。」
「アルトバル国政府は協力的なのですか?」
「うん、成功させて小さくても安定した国にしたいと、政府からも遠江大学への参加が有り情報交換してる。」
「入試の無い大学でも研究の目的がはっきりしてると言う事で…、日本の国公立大学などからの参加が増えてると聞きました。」
「面白いよな、大学らしい建物は建設中の研究所ぐらいなのに、参加者がどんどん増えて。
 僕は日本の大学を受験せずに遠江大学に参加、でも先日発表した論文は高く評価して貰えた、もし受験に時間を取られていたら論文を書く余裕は無かったと思うんだ。」
「著名な大学に入学出来たと言う肩書なんてお兄さまには不要です、でも、このままネット上に存在する遠江大学が質を高めて行ったら大学の有り方を考え直すことになるのでしょうね。」
「参加しても日本の大卒資格は得られない、その代わり力を認められれば国内外の優秀な人達との交流が可能になるからな。
 すでに遠江大学を核とした共同研究が国を超えて幾つか始まってるのだけど、それには中高生も参加していてね、大人達は大学生より知識が豊富で熱心だと褒めてるよ。」
「誰でも参加出来る大学だけど、研究室には実力を認められないと入れず見学者にしかなれないのでしたね、早くから認められることは自信にも繋がり…、ネット上での意見交換なら年齢なんて関係ないのかも知れません。」
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バトル-230 [高校生バトル-23]

「遠江大学の人達もアルトバルへ行くのですか?」
「すでに行ってる人もいるよ、夏休みを利用してと言う人が多いみたいだけど。」
「旅費は結構掛かるのですよね。」
「飛行機の乗り継ぎとか有るからな、だから所属大学の研究費を利用する人もいるみたい、小国の経済状態を良くして行こうと言う実験的取り組みには注目が集まり始めてるそうでね、海外のスポンサーが付いてくれる話も出てる。
 そのスポンサーの狙いによって、実験のシミュレーション結果が変わって行きそうだけど。」
「あっ、研究の為に訪れる人が増えたらそれだけでも変わりませんか?」
「その通りなんだ、その辺りが研究者達の悩ましい所でね、でもそれによって成長速度が上がるのであれば悪いことでもなくてさ、まずは遠江大学が関わり始めたことでどう変わって行くのかも確認したいだろ、実験的研究、その最大の目的はアルトバルの成長と経済的安定だからな。」
「小さい国だから出来るのですよね。」
「ああ、上手く行きそうだったら他の小国でも展開して行きたいよ。」
「候補の国とか有るのですか?」
「アルトバルの周辺諸国からだな、大きめの国では一部の地域で始めてみるとか、日本国に於ける遠江王国みたいな感じでさ、独立運動はさせないけどね。」
「日本だから活動を独立運動と呼んでも問題になっていませんが、国によっては大変なことになりそうです。」
「幸い、アルトバルの周辺諸国に政情の不安な国は無いのだが、裕福な国は僅かだからな。
 資源や環境の差、歴史的背景、国家指導者の力量など様々な要因が国家間に於ける貧富の差を生み出して来たんだ。」
「今までは当たり前のことと捉えられて来た貧富の差、でも、遠江王国の王族はそうは考えずに挑戦して行くのですね。」
「ほかって置いたら貧富の差は広がる一方だろ。
 それが社会の本来有るべき姿とは思えない、差が有るのは自然なことだと思うが格差が広がり過ぎてはな。」

 
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