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夏休み-11 [高校生会議-06]

翌日は高原の朝を満喫、散歩したりカフェに立ち寄ったり。
道行く人達はにこやかに声を掛けてくれるが人に取り囲まれるという事は無かった。

「洋子、親衛隊の人達はどうしてます?」
「はい、昨夜は当地の高校生会議メンバーと遅くまで語り合っていたようです。
ここにも副官が出来まして、彼から、ここは岩崎王国の象徴的な土地、全ての住人が親衛隊の様なものですからご安心下さい、と言われました。」
「それで、写真を撮りたがる人もいないのかな。」
「岩崎夫人から、遥香さまに失礼無き様、お達しが出てるそうです。」
「気を使わせてしまったのかしら。」
「遥香さま、ここは甘えさせて頂いてよろしいかと存じます、社長や姫としての職務は大変ですから。」
「そうね、うん、程よく姫扱いして貰えてる、これから夏場はここで過ごす事にしようかしら。」
「えっ? 夏場だけですか?」
「冬は寒そうだもの。」
「はぁ。」
「ねえ、親衛隊隊長として、洋子というのは落ち着かないと思わない? 芸名でもっと強そうなのにしようよ。」
「大した芸も出来ないのに芸名ですか?」
「う~ん、強そうな女性って…、遥香は今更変えられないから和風が良いわね…。
巴御前とか静御前とか…、そうね…、不動静香ってどう? 不動で隊長としての力強さを、静香は陰で支える雰囲気を静で表し、静香で私とのコンビを印象付ける…、悪くないでしょ。」
「遥香さまとコンビなんて恐れ多いです。」
「き~めた、ふふ、誰にも逆らわせないわ。」
「はぁ…、まあ今日の遥香さまが絶好調という事が分かりましたから、その点だけは嬉しいです。
昨夜のお父さまとの話で何か進展が有ったのですか。」
「まあね、そうだ、洋子改め不動静香、喜びの舞とか出来ない?」
「そ、それは遥香さまからの御指示でも…。」
「自分で出来なかったら部下に押し付ける、親衛隊隊長ももう少し味を出して行きましょうよ。
勿論、私が見たいのは静香の舞ですが。」
「そういった事は…、私は親衛隊隊長と言っても武術も出来ませんし。」
「マーチングバンドのドラムメジャーが持つメジャーバトンをアレンジして隊長のアイテムにしようか、それを振り回して、いけー、とか、やれーとか。」
「掛け声が何か違う気がします…。」
「まあ何かの模倣でもオリジナルでも良いわ。」
「はぁ…、あっ、向こうから走って来るのは親衛隊の様です。」
同行して来た親衛隊が現地の高校生と共にジョギングしている様だ。
彼等も私達に気付いた様で速度を上げて近づいたかと思うと整列した。
「おはようございます。」
『おはようございます。』
副官が挨拶をまとめたが、統率が取れていたのはここまで。
現地の高校生とは初対面なので致し方ない。
「遥香さま、実物もお綺麗~。」
「お前、泣いてるのか…。」
「だって…、こんな美しい方に会うの初めてで…。」
「まあ、俺も緊張で足が震えてるが…。」
「皆さん、おはようございます、朝のジョギングですか?」
「はい、親衛隊の結束を深めようと、我々独自のミリタリーケイデンスを考えながらですが。」
「面白いのは出来ましたか?」
「コールアンドレスポンスのリズムが言葉と合いにくくて苦労しています。」
「それなら、親衛隊、鬼隊長の名前を入れてみては如何かしら。
ちなみに、先ほど鬼隊長の芸名を不動静香にしましたからよろしくお願いしますね。」
「遥香さま、隊長は鬼なのですか?」
「違うのですか? 隊長と言えば隊員にとっては鬼の様に恐ろしいものだと理解しておりましたが。」
「我等が隊長はお優しい方です。」
「それは世を忍ぶ仮の姿、実は…。」
「遥香さま冗談が過ぎますよ。」
「ふふ、鬼隊長に怒られてしまったわ。」
「遥香さま、お仕事続きで心配しておりましたがお元気そうで安心しました。
不動静香鬼隊長に叱られる前に私どもは鍛錬に戻ります。」
「はい、皆さん仲良くお願いします。」

親衛隊と別れ岩崎社長宅へ戻る。
洋子改め静香や優子さんをからかっている時は私が楽しんでいると、同行の連中は理解している。
初日二日と大人相手が中心で遊ぶ時間が無かったことを心配してくれてたのだろう。
彼等が今頃、現地の高校生ともそんな話で盛り上がっていてくれると嬉しいのだが。
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夏休み-12 [高校生会議-06]

岩崎社長はこの日の昼食に大学生達を招いた。
男女二名づつ、そのリーダー格が大鹿賢治さんで岩崎社長に企画書を送った人物。
他の三名も企画書を見ているそうだ。
岩崎社長夫妻の他、優子さんと洋子に同席して貰う。
後は撮影担当の親衛隊隊員、会の模様は親衛隊隊員達も映像で見られる様にしてある。
挨拶や洋子の芸名を不動静香にしたという報告の後。

「大鹿さんからの企画書を拝見させて頂きまして、まずは大学近くの支社に実習生の形で係わって頂けたらと考えています。
より早く動きたいという事で有れば、今日の午後、この地の支社に顔を出しますので同行して頂く事も可能です。
大鹿さんの分析ではいささか社員の能力を低く見られていますので、現時点での展開を理解して頂けたらと思いますが、全容を把握するには時間が掛かると思います。
組織を作って頂けるので有れば、まずは中核になって頂く数名の方の人選、その方々との情報共有の形を作る必要が有ります、ただ企画書では大鹿さんがトップに立って情報を整理し指示を出すと考えて下さっていますが…、今回の旅行中、遥香コーポレーションの遥香システム販売部と遥香システム開発部のスタートが決まりどちらも動き始めています、これらは旅行前、企画案すら出てなかった事です。
つまり、こうしている間にも、新規商品のデザインが決まり、製造計画、販売計画が練られているという事です、すでに生産を始めている商品も有ります。
ですから大鹿さんには、バックアップの為に組織を作るというのではなく、学生が遥香コーポレーションの一員として動く手助けをお願いしたいというのが本心です。
細かい作業に関しましては、支社のスタッフに動いて貰いますので今後相談して頂けたら幸いです。
現時点で優先的にお願いしたいのは、お父さまから岩崎学園大学の運営システムと教育システム見直しの要請を頂きましたので、作業に協力して頂ける人材の確保です。
よろしくお願いします。」
「賢治、どうした?」
「おやっさん…、俺…、何か恥知らずな事を…、姫さまがこれ程までのお方とは…。」
「天才だと伝えたつもりだがな。」
「冗談だと思ってました…、こんな美しい天才…。」
「遥香、何か今日は話を早く進めようとしてる様だが。」
「はい、お仕事は早く終わらせましょう、先ほど進行状況を確認させて頂きましたが、ここの支社の方々も遥香システムに馴染むのが早そうです、支社へは気楽にお茶し行く程度で済みますから、鬼隊長が親衛隊を鍛えている所を見学に行けたらと思います。」
「はは、ここは人数こそ少ないが優秀な人達が是非遥香の下で働かせてくれと言って集まった支社だからな。」
「おやっさん、そこまでの人材が集まって来るのは何故ですか?」
「それは、自分の目で見て自分で考える事だ、それが出来て賢治も初めて優秀な人材の仲間入りが出来るのかもしれないね。」
「お仕事の話はこれで一旦お終いにしましょ、さあ、優子、皆さんに歌を聴かせてあげて。」
「あ~ん、遥香さま、歌は苦手なんです~、御存じですよね~。」
「あの音程を外しまくる能力には感服致しましてよ。」
そこへ洋子が。
「遥香さまこそ、皆さんに歌をご披露して差し上げては如何ですか?」
「そうね、静香…、賢治さんは、今日の三人の内の誰とお付き合いされてると思う?」
「ま、待って下さいよ、こいつは男ですし…。」
「この狼狽えよう、怪しゅうございます。」
洋子も悪ふざけに乗って来た、静香という呼びかけにも自然と応えてくれている。
「そうね賢治さんの下へ王子様が、もちろん私の下へもと願って…。

Some day my prince will come♪
Some day we'll meet again♪
And away to his castle we'll go♪
To be happy forever I know♪
…♪」

お姫様関連のレパートリーからアカペラで披露させて頂いたのは、白雪姫から、Some Day My Prince Will Come。
お遊び感覚で歌うと、クラスの皆には喜んで貰えたのだが。
歌い終えると…。

「遥香、多才にも程が有るぞ、歌が上手だと聞いてはいたが…。」
「そちらで固まってらっしゃる大学生の皆さん、如何でしたか?」
「明香さま、素敵過ぎて…、今日呼んで頂いて本当に有難う御座います…。」
「遥香さん、国民の皆さんにも歌声を聴かせて差し上げたらどうかしら。」
「でも、素人ですから。」
「何を言ってるんだ、遥香、CD出すぞ、歌手デビューする必要はない、俺のポケットマネーでだな…、だが、売り出したら儲かってしまう…、チャリティーでも良いか…?
今からならクリスマス商戦に間に合う、売れたらその利益で児童養護施設の子ども達にお年玉という事でどうだ?」
「お父さま、売れますか?」
「あっ、遥香、私をなめるなよ、優子ちゃんの歌では流石に無理だが、遥香のCDなら確実だ。」
「えっ、お父さまは優子の歌を聴いた事有るのですか?」
「まあ、本人も油断してたのだろうが、昨夜な…、優子ちゃん、窓を開けての歌は気を付けた方が良いと思うぞ。」

顔を真っ赤にした優子さんは可愛かった。
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夏休み-13 [高校生会議-06]

その夜は岩崎社長夫人、明香さんと。

「遥香さんの歌声を聴いて、うちの人はさらに親馬鹿状態よね。」
「CDの選曲から編曲、バックミュージシャンの手配、ジャケット写真、前野さんと田中さんから、慌てた様にスケジュール確認の連絡が入りました。」
「私が生んだ子は男の子ばかりだから遥香さんの事が可愛くてしょうがないのよ、ちょっぴり妬けるけど変な浮気じゃないから…、私も遥香さんの大ファンですからね。」
「でも三人のお子さん達のお気持ちは…。」
「今朝、三人とも親衛隊に紛れ込んでたの、それでね、あなた方が支社の視察に行ってる時に聞いたら、ふふ、長男が照れながら、母さん以上に美しい人に初めて会ったって、微妙よね…、でもマザコンというのもどうかと思うし、張り合おうとも思ってないわよ。」
「お母さまには、私では足元にも及ばない魅力が有ります。
少し心配してるのは私がお父さまに良くして頂く事で、皆さんを傷つけてないかと…。」
「大丈夫よ、能力は三人三様、でも器だけは大きい子に育てようとしてきたし、育ってくれてるの。
私達が、児童養護施設出身の子達を積極的に養子としてる事は知ってるでしょ。
それが出来るのも息子達のお陰、彼らなりに学習してくれた結論有っての事なの。
世襲で社長にならない事も理解してるわ、次男は父親に憧れて社長を目指すと話してるけど、それは世襲ではなく自力で、私達が学生時代に起業したから、自分もって考えてるのよ。」
「少し気が楽になりました。」
「あっ、そうよね高校一年生の女の子に色々背負わせてしまって…。」
「それは自分で決めた事ですからご心配なさらないで下さい、壮大なお姫様ごっこの先を考えていますし。」
「それは聞かせて欲しいかな。」
「はい、国家と企業の関係です。
今の大企業は国家を越えて経済活動をしています、小国の国家予算規模を超える企業体も沢山有り、国の経済政策に影響を与える程の…、岩崎王国もその一つな訳ですが、大きな存在になっています。
そんな中で、岩崎関連の人達が、岩崎王国と呼び始めたのは分かる気がするのです。
社員を大切にする姿勢…、国民を大事にする国王に敬意を払いたいという気持ちの表れです。
残念なのはそれを真似する企業体が余り無いという事です。
社員を大切にしてない企業の多さが、例えば少子化を進行させて来たと理解しています。
敢えて、バーチャル国家としての岩崎王国と企業体をダブらせる事で、企業の有り方を世界に問えないかと、お父さま中心にその方向で動いています。
そこに飾り物ではなく、王と血縁関係もないという新しいタイプの姫を登場させる事が出来たら、バーチャル国家を、よりリアルに近づけて見たいです。
天は人の上に人を作らず、と言われても、人は指導者や象徴を欲しがると思いませんか?」
「それは分かる、ふふ、うちの人があなたに夢中な訳も良く分かるわ。」
「私が姫なんて図々しい話ですが。」
「全然図々しくなんかない、世界で一人だけの最高の姫として今まで以上に全力でサポートさせて頂くわね。
でも、色々な意味で無理はしないでね、部下は増やせても、遥香姫は唯一無二の存在なのだから。」
「はい。」
「それで、彼氏とかはどうなの?」
「う~ん、もう少し先の事でしょうか…、中一の時に行った海水浴がトラウマになってまして…、男性の視線を沢山浴びて…、その目つきが…。
それ以来、水着を着るのは体育の時間だけで…、特に仲の良い男の子もいません。」
「男の本能だから仕方ないのよね…。」
「本能ですか…、お母さまはどうでした?」
「そうね、見られて嬉しかった時期も有ったけど、雄太と付き合い始める頃には人目に付く所で水着になる事は余り無かったかな。」
「お父さまとの、きっかけは…?」

そのまま、明香さんと恋の話で盛り上がった。
姫として恋愛をする事は難しい気もしている。
自分でハードルをどんどん上げているとも思う、いつか王子様が現れるのだろうか。
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夏休み-14 [高校生会議-06]

翌日はこの地の観光スポットでの営業用写真撮影が中心となったが、それなりに楽しむ。
夕方からはお祭りに呼ばれた。
ここは歴史が一旦途切れた村、再生してから新たなお祭りを始めている。
今回のお祭りは私の訪問に合わせての事だそうで、大歓迎を受けた。
天気が良かったので屋外ステージでは地元サークルによる演奏などが繰り広げられた、私達は特別席でゆったりと鑑賞させて頂く。
元からのプログラムに加え、洋子が親衛隊に指示を出し、急いで仕上げた踊りも披露された。
拙くは有ったが、二つの地域の高校生が協力して完成させた事に意義が有る。
まあ、隊長の衣装を着た洋子が舞台袖に立つだけで大盛り上がりとなったのだが。
それに対抗心を抱いたのか、歌でなく踊りならばと頑張って飛び入りした優子さんの踊りが変に受けて…、先輩方からサークルへの熱い勧誘を受けていた。
どんなサークルなのかは知る由もないが、彼女は来春から大学生だ。
私はと言うと、裏でお父さまが手を回して歌を歌う事になった。
社長権限でのごり押しだが、喜んでプログラム調整をして下さったそうだ。
伴奏の方とも軽く合わせてある。
テレビ局のカメラも何台か来ているが祭りの取材を口実に私の歌を流すというお父さまの作戦、周りのスタッフは大変だったろう、お母さまが話して下さった通り、親馬鹿全開だ。
若干のプレッシャーはあるが、歌手デビューする訳でも無く、姫の余興なのだから優子さんレベルでなければ問題ないと勝手に決めつけて舞台へ。

「今日はお祭りに呼んで下さって有難う御座います。
楽しいお祭りで旅の良い思い出となりました。
皆さんへのお返しを考えていましたら、親衛隊隊長から歌を歌わせて頂く様にと、偉そうにしている私でも、悲しいことに鬼隊長からの指示には逆らえないのです。
勿論プロでは有りません、申し訳ない気持ちも有るのですが聴いて下さい。」
歌の方は…、

オズの魔法使いから、Over the Rainbow
サウンドオブミュージックから、My Favorite Things
マイフェアレディから、I Could Have Danced All Night

昔の曲を選んだのは幅広い年代層に知られていると考えての事、お父さま指示によるCDにも入れる。
だが、何よりも小さい頃から英語に慣れるためと、親が用意してくれたDVDを見ながら歌い続けて来た曲、自信を持って歌える曲を選んだという訳だ。

歌い終えて大きな拍手と歓声を頂いた。
姫さま風にご挨拶して袖に入ると…。

「姫さま素敵でした、私達の姫さまが美しいだけでなく歌声までも綺麗で、感動で涙が…。」
「遥香さま、会場が収まりません、アンコールとかは無理でしょうか?」
「伴奏の方とは三曲だけです…、そうですね、一曲だけと先にアナウンスして頂けますか。」
「有難う御座います、今まで何度もイベントを開いて来ましたが、ここまで盛り上がるのは初めてなのです。」

アンコール曲に選んだのは、Amazing Grace、アカペラで。
先ほどまでの歓声が完全に消えた静寂の中、自分の声だけが響き渡る。
屋外ステージの空気は新鮮で心が込めやすかった。
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夏休み-15 [高校生会議-06]

翌日は朝の情報番組で全国に私の歌が流れた。
同じ局の違う番組で午後にも流れる予定。

「静香、昨夜はどうでした、私の帰った後。」
「テレビ局の方との話し合いが長引きました。」
「静香は自分の意見、出せたの?」
「はい、遥香さまの負担が大きくならない様に、その為の親衛隊ですから。」
「具体的な進展状況はどう?」
「今日、全国放送で扱って頂いているのは、岩崎社長の御意向というより、テレビ局サイドが他局に先んじで流したいとの思惑からです。
でも、彼等はまだ遥香さまの本当の姿をご存知有りません。
社長は意味深な発言で相手の興味を引きつつ、番組で遥香さまの特集を組む方向へと、私は遥香さまが如何に慕われているかなどをお話しさせて頂きました。」
「静香には、私に遊ばれてるなんて話もして欲しいな、そうしないと綺麗で頭が良くて歌も上手な、つまんないお姫さまになってしまうでしょ。」
「つ、つまんなくないです!」
「実は腹黒いとかも、実際、人の心理を考えて会社の利益に繋げようとしてる訳だからね。」
「でも、遥香さまは私利私欲の為になさってる訳では有りません。」
「アンチは適当に楽しませて差し上げれば良いのよ。」
「アンチですか?」
「マスコミで取り上げられてしまいましたからね、これからは、お褒めの言葉ばかりを目にすると言う訳には行きません、それは静香も同様、ネット上の評価なんて無視しなさいね。」
「でも気になりますし、参考になるご意見が有るかもしれません。」
「参考になる意見は僅かなの、それ以外の無駄な情報が多過ぎるというのが私の結論。
ニュースに対しての書き込みとか見て御覧なさい、国語力がなくてまともに読解出来てない人や内容を読んでない人が平気で批判してるのよ、ニュース事態、質の低いのが目立ちますが。
そういった人達の意見が社会一般の意見だと誤解してる人もいるわ。」
「隊長として、そういった事にも気を配らねばと思っていたのですが。」
「ネットの情報は本部で確認しているから、私達はネットで人の意見を見る必要はないの。
ネットアンケートの結果なんて参考にならないしね。」
「アンケートは意味ないのですか?」
「ネットアンケートなんて、ネットを利用していない人の考えがそのアンケートに反映されていないだけでなく、アンケートに答える気が無い人の意思も反映されていない、そんな片寄ったアンケート結果より、どの商品がどれだけ売れたかの方が私達にとっては重要で、そこから次を判断して行けば良いの。
一番大切なのは購買層の方の意思、うちの商品を買う気もない、サービスを利用する気も無い人の考えを気にする必要は無いのよ。
だからファンクラブからの声を聞くだけで良いの、その為のファンクラブでしょ、他の情報を静香が気にする必要ないわ。」
「あっ、そうですね、ファンクラブの方を大切にします。」

朝の番組は録画した物を皆でゆっくり見直した。

「遥香、Amazing Graceに感動して泣いてる人、結構多かったな。」
「舞台の上からでは気付きませんでした。」
「でも、番組は、歌が中心で遥香さんの事は、岩崎王国の姫との説明ぐらい、簡単すぎでは有りませんか。」
「明香、勿論作戦だよ、少しづつ明かして行くというね。」
「私の腹黒い本性が少しずつ明るみになって行くという事ですね、お父さま。」
「いや腹黒さはもっと後まで隠しておく、美と知性、それと歌で当分引っ張れるだろう、その話題性のパワーが弱まってからだな。」
「ふふ、流石に腹黒さではお父さまに敵いませんわ。」
「この局ではこれまでの展開、これからの展開を放送して貰う、マスコミ関連はもう少し後を考えていたが、あの歌声を聴かされては…、次のイベント、遥香コーポレーション正式スタートの場でも歌ってくれな。
取り敢えず情報番組で小出しにして行く、局の連中は絵的に、すごく欲しがっていたからギャランティーの話を進める様に指示しておいた。
ドキュメンタリー形式の番組で、我らが姫の偉大さを世に知らしめてやってくれ。
遥香は主に録画で歌を中心に、解説したりインタビューに答えるのは家臣の役目にしておこう、遥香が人前で口を開くのは特別な時だけだな。」
「王国の民に対しての告知は遥香さんが好きな様に指示を出してね、そういう体制にして有ります、担当とは会ってくれたかしら。」
「はい、お母さま、事業規模拡大がこの旅行でスピードアップしましたので秘書課を充実させ、組織を見直す様に指示を出しておきました、担当の方もその一部に組み込ませて頂きます。」
「それで、お父さま…。」
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夏休み-16 [高校生会議-06]

「それで、お父さま、王家の紋章や国歌の選定は進んでいますか? マスコミに出る機会が増えれば岩崎王国をもっとアピールして行けると思うのですが。」
「ああ、紋章はプリンセス遥香のロゴも意識した候補が幾つか上がって来ている、出揃った所で遥香の意見も聞かせて欲しい。
王家の紋章が決まった段階で各貴族の紋章のフォーマットを発表する。
デザインはそれぞれの企業で考えて貰い、製作は遥香コーポレーションでという事で進んでいたよな?」
「はい、旗とか色々なアイテムの要望が届いています、全て受注生産になりますのでロスなく…、王国外からの受注は望み薄ですね、他の企業がバーチャル王国に乗って来てくれると面白くなると思いますが。」
「岩崎王国の形がもう少しはっきりしてきたら、取引先企業中心に働きかけてみるつもりだ、ライバル国が有った方が盛り上がるからな。
紋章は進んでいるが、国歌の方は苦労してる様だ、まあ、何曲か出来上がった中から国歌と国民の愛唱歌みたいにしたいと考えている。
今後の展開を考え、英語の曲も作る様に指示しておいた。
正式な国歌を決める前に、完成したものから披露して、国民の皆さんの意見も聞くことになるだろう。
王立合唱団や王立交響楽団の話も進み始めている、今まで支援して来た楽団を格上げという形になるが。
ただ、バーチャル王国という事を上手く理解して貰わないと、王立という表現は誤解されかねない。」
「ですね、でも、誤解する人が出る位のレベルでないと面白く有りません。
商標登録とかで、見落としがなければ法的な問題はないと思うのですが。」
「ああ、弁護士、弁理士に動いて貰ってる。
法的に気を付ける必要が有るのは行政や議員との関係だよ、この村の様に住人の多くが岩崎王国の民だったり、議員がうちの関係者だったり、王国の為ではなく地域社会の為に動いて貰ってるから問題ないが、うっかり気を抜くと誤解されない関係だろ?」
「日本の法律に反してはいけないという事ですね、でもそれなら王国が力を付けて、国に影響を与えるぐらいになれば…、そうね、優子さんには総理大臣をお願いしようかしら。」
「ああ、悪くないな。」
「ちょ、ちょっと待って下さい、岩崎社長まで悪乗りしないで下さいよ~。」
「はは、そんな簡単な事ではないからね、だが高校生会議でも政治の研究をして貰ってるだろ。
企業と政治の有り方は、なくならない不正を考えるだけでも永遠のテーマだからな。」
「はい、社長、岩崎高校生会議では、岩崎王国の一員として日本を良くして行こうと話し合っています。
すでに十四の地方自治体で、私達の応援する地域政党みどりの風が力を握っていて、次は私達の住む所の市長ですが…、社長、国政へ向けてはどの様にお考えなのですか?」
「みどりの風が国政を考える時は政権を握る目途が立った時だよ、野党で動いても費用対効果を考えたら無駄が多い。
今はまだ地域政党として、人を育て政治を研究してる段階なんだ、みどりの風が地方自治でもっと実績を上げ、党勢が拡大した段階で、優子くんを党首に国政に打って出る。」
「ですから、話に私を織り込まないで下さいよ~。」
「悪くないと思うがな、冗談としては。」
「悪い冗談です~。」
「お父さま、問題は、王国とみどりの風との関係ですね。
支援の仕方を法的に間違えさえしなければ、王国の拡大に繋がるとは思いますが。」
「すでに、みどりの風のバックは岩崎王国だと知られている、岩崎王国が私企業で有る以上、面倒な事も多いが、政党のポスターに姫を登場させるぐらいなら問題はなかろう。」
「政党と共に私の知名度も上がって、売り上げに繋がるという事ですね…。
あっ、逆かしら、ポスターに私の情報を一切出さなくても、姫だと思って頂ける状況にしないとだめですね。」
「なあに、すぐ史上最高の姫として認知されるさ。
静香隊長から提案の有った、ファンクラブ入会時に王国外の人は、そのまま岩崎王国の国民に登録される制度も決定した、岩崎本部では優待などの検討を始めている。
立場は一般社員と若干異なるが、やはりトラブルに見舞われた人には支援の手を差し伸べる事も、まだ表には出せないが検討している。
登録料の一部を保険料とすれば全く無茶な話でも無いだろう。」
「そして選挙の時は、みどりの風に、となる訳ですね。」
「それなら、ファンクラブ関係なく、直接、王国に国民登録という事も有りですね。」
「優子くん、それは却下だ、遥香姫に忠誠を誓わぬ者は国民ではないからな。」
「当たり前です、遥香姫親衛隊隊長として私が許しません。」
「ご、御免なさい…。」

洋子は不動静香となってさらにパワーアップした様だ。
この日の午後、社長夫妻や多くの国民に見送られこの地を後にした。
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夏休み-17 [高校生会議-06]

車で駅まで送って貰った後は、のんびりとローカル線の旅を楽しむ。

「遥香さま、今回は岩崎社長との時間が随分有りましたが、私は社長ってもっとお忙しいのかと思っていました。」
「優子さん、トップが忙しい企業は危ないのです、小さい会社ならいざ知らず、岩崎王国のトップが娘とのんびり出来ない様では多くの国民が将来に不安を感じますよ。
お父さまの周りには有能な部下が沢山います、その方々にお任せしての余裕です。
業績が落ち気味の企業に改善チームを派遣するぐらいの事は、お父さまが指示するまでも有りません。
お父さまは並みの社長がゴルフに行く様な時間を、大学生との時間に充てたり、岩崎王国関連の仕事に充てておられます、それは明日に向けての作業、現状維持にお父さまは必要ないのです。」
「そう言われてみれば…、でも遥香さまは、この旅行で随分事が進展したそうで、帰られてからは社長として、お忙しい毎日となりそうですね。」
「静香、どう?」
「有り得ません、管理職の方々は一つ一つの指示をしっかりこなし、更に保険を掛ける事まで考える様な方々です。
遥香システムを見ていると、発生したトラブルが順調に解決されて行くのが分かります。
写真撮影やテレビ番組向けも、関係部署がコントロールに入ってます…、もし遥香さまがお疲れになるスケジュールが組まれる様なら、秘書課の連中はおやつ抜きです。」
「うっ、恐ろしい様なダイエット効果が有りそうな…。
そう言う、静香隊長のスケジュールはどうなの?」
「勿論許される最大限の時間働きつつ、二学期の学習に向けてしっかり予習をしています。
充実感ばかりの毎日、でも体調の自己管理は隊長の務めでもあります。」
「隊長の体調管理ね…。」
「優子さんの方はどうなのです?」
「高校生会議へ課題を頂いたから二年生のフォローをしないとね、メインのサポートスタッフが遥香コーポレーションに移籍するとあって、調整の手伝いも必要になるのかな。」
「そうですね、部署によっては出張の機会が増えます。
代わりに、私達のエリアは社員増強に入っていますので、新たなサポートスタッフ募集も考えて下さい。」
「分かりました相談してみます。」
「今回の旅行、優子さん的に何か収穫は有りましたか?」
「今まで高校生会議の違う支部の方と話す機会が余りなかったので参考になりました。
私達のスケジュールに合わせて、遠方より会いに来て下さった方も見えまして、同じ理念の下に活動していてもそれぞれの活動に個性が有って面白いです。
皆さんからは遥香さまの地元という事で随分羨ましがられてしまいましたが。」
「他支部でも実習は活発みたいですか?」
「いえ、バイトを禁止している高校も有りますから。
それと、私達の地区はサポートスタッフに社員が多いのですが、大学生がサポートの中心だと実習現場の確保が簡単には行かない様です。」
「分かりました、他支部へのサポート体制は岩崎の本部とも相談しておきます。
プリンセス遥香の展開ではワンランク上のサービスを高校生の実習を引き受けながら実現したいと考えています。
ファミレス実習へ向けての研修では、ワンランク上という目標に対して、ずいぶん良い感触を得ています。
すでに、実習を経験した人達はお客様からも好評で、九月の改装後から平日夕方はホールを高校生で回しても問題なさそうです。
プリンセス遥香の今後の展開に高校生が関わる事は双方にとってプラスになります。
モデルケースとして記録していますので十七支部でも生かして下さい、担当は静香です。」
「それも隊長としての職務なのですか?」
「いえいえ、隊長なんて世を忍ぶ仮の姿、その真実の姿は恐ろしくて私の口からはとても…。」
「はぁ…。」
「冗談はさておいて、これから王国外の高校生にも高校生会議に参加して貰う、そのテストケースとしての第十七支部、準備は進んでいますか?」
「はい、まずはスタッフになってくれる人を募集し登録、研修が進んでから岩崎関連への高卒就職希望者、問題が無ければ大学卒業後に岩崎関連への就職を希望している人へと対象を広げて行く予定です。」
「運営体制を整えながら拡大という事で、無理が無い訳ですね、その方々にも実習で稼いで頂きたいものです。」
「稼いで欲しいのですか?」
「はい、家計に於ける可処分所得となる訳ですから…、出来ればご自身を高める為に使って頂きたいですが、趣味でも遊びでも構わないでしょう。
人がお金を使わないと経済が回りません、倹約して貯蓄に回す人ばかりでは活気のない状態になってしまいます。」
「高校生会議ではお金に関しても考えていますが…、遥香さまは貧困の問題に関してどの様にお考えですか?」
「個別に対応するしかないでしょうが、経済活動が活発で有れば自治体の税収も増えます。
財政に余裕が有れば福祉も充実できると思いませんか?」
「あっ、税収を増やすという視点…、私には欠けていました。」
「お金に余裕の有る人が、余裕の無い人を支えるシステムをもっと考える必要は有りますね。」

真面目な話もしたが、旅の終わりは親衛隊のおふざけに付き合ったり、記念写真を私が撮ってみたり。
姫が映って無くては意味が無いとブーイングを受けたが、皆楽しそうだった。
全員が私に忠誠を誓ってくれている…、喜んで貰えているのならお姫さまごっこが続いても良いのかもしれない。
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夏休み-18 [高校生会議-06]

旅行から帰って、のんびり過ごしている。
有名デザイナーに会ったりとか、遥香システムを通して気付いた事などの指示を出したりとか、仕事はしているがスケジュールはゆったりと。

遥香コーポレーションは正式な創立に向けて大変な状況では有る。
事業規模の拡大見通しは夏休み前に比べ桁違いに大きくなった。
私からの大きな指示は、設定した期日に間に合わなくて良いから品質やサービスを落とさない様に、という一点に絞り、後は各担当に任せてある。
大学生の実習も始まっていて、大鹿さんにもシステムへのアクセス権を持って貰った。
実習希望者の取りまとめをお願いして有るが、その増える早さで彼の力が分かる。
仕事時間は各自の都合に合わせて貰うので作業時間の短い人もいるが、それを人数でカバー出来る勢いだ。
一旦大鹿さんの下で短期間の研修を受けた後、手薄な部署に配属されて行く予定。
支社勤務希望者が多かったが、現地調査への協力もお願いした。
プリンセス遥香を日本中で展開すべく既存の店舗を改装して行く計画も、大学生の力で早める事が出来そうだ。
彼等にとっては王国標準となる遥香システムに触れる機会でも有る、その事が知れ渡ると実習希望者は一気に増えたそうだ。
事業規模拡大に向けて研修も大変で、当分落ち着く事はないだろう。

夏休みも終わりに近づいた頃、杉浦社長と田中さんが来てくれた。

「遥香さま、遥香システム開発部とも調整しまして、次の運用先をこのエリアでと考えておりますが如何でしょうか?」
「杉浦社長、確認済です、今夜長老会議との席を設けましたので、そこで決めて下さい。
う~ん、順番はジャンケンになるのかしら。」
「はは、販売部の仕事が減りましたね、狭いエリアで複数運用して行くのはシステム管理上効率が良いです。
開発部は、すでに十社程度なら同時に着手出来ます、ジャンケンの必要はないでしょう。」
「それは残念、長老同士の醜い争いを見たかったのですが。」
「えっ、それより、遥香システムで確認していると本社は色々大変そうですが。」
「かなりの前倒しは社員の意思によるものです。
メインスタッフは多少の混乱を楽しんでいる様な連中ですから心配していませんし、そのお陰で色々見えて参考になっています。
私からの焦らなくて良いとの指示に対しても、受け止め方は様々。
結局、予定の期日に間に合わせている人は仕事内容も良いです。
モチベーションの高さが作業効率を上げ、質も上げてるのだと思います。」
「確かにそうですね、システム開発部の連中は皆モチベーションが高くて、新規採用された社員も引っ張られて良い仕事をと考えている様です。
まあ、そんな人でなければ採用されないのでしょうが。」
「お父さまは、岩崎王国全社のみならず王国外企業や大学などでの運用も考えておられます、それを考えると人はまだまだ足りていません、この先は優秀な人ばかりとはならないと思います、それでも核になって下さる方々がしっかりしていれば大丈夫でしょう。」
「うちから、遥香コーポレーションへ転籍、システム営業部所属として調整に当たらせる社員の事は見て頂けたでしょうか。」
「はい、問題は有りません…、それで…、話は変わるのですが、杉浦社長は岩崎高校生会議に関して、どの様にお考えですか?」
「私のところでは、大学生がフォローしていますので直接的な関係はないのですが…。」
「ファミレスをプリンセス遥香チェーンとして、この秋にまず一店舗リニューアルオープンする企画を進めています。
モデルケースとして静香に記録を整理して貰っていますので一度確認して頂けないでしょうか。
ポイントは高校生のうちから仕事について考え、質の高い労働を目指すという事です。
高校生は色々と不慣れですが、まだ素直な時期でも有ります、この年齢の時にきちんと研修を受けて仕事に取り組むという経験は、本人にとっても将来雇う側にとってもプラスになると思うのです。」
「分かりました、確認して勉強させて頂きます。」
「それで、岩崎高校生会議のサポートスタッフに社員の方が参加して頂ける流れを作って頂けないでしょうか。」
「大学生では出来ない事が有るということですね。」
「はい、サポートスタッフはボランテアなので、そこも考え直さなくて行けないのかも知れません。」
「まずは支部のリーダーと連絡を取ってみますが、この件に関して遥香コーポレーションのシステムを利用するのは如何なものでしょうか。」
「岩崎高校生会議でも遥香システムを導入して行きたいと考えています。
まずは第十七支部をメインに、杉浦社長の地元である第一支部、お父さまの本拠地、第三支部の三つの支部でと考えていますがお願い出来ませんか。」
「そうですね、岩崎学園大学への導入と並行して進めて行けると思います。」
「あっ、杉浦社長の会社へはアクセスしていませんが、使い勝手は如何ですか?」
「導入してから間がないのですが、社員達は慣れて来ています、私は各部署の気になる案件を一々報告させる必要が無くなり効率が良くなったと思っています。」
「問題は、虚偽の事実を入力する人が出て来ないかなのですが。」
「その辺りはネットワーク上のシステムだけに頼る事の無い様にと、遥香さまの指示通り指導しています。
一度、特別職『姫』としての権限でうちにもアクセスしてアドバイスを頂けると嬉しいのですがお願い出来ませんか。」
「ふふ、開発プロジェクトの一員として確認作業の為のアクセス権はすでに有ります、杉浦社長の許可を得たという事で、一度ご挨拶させて頂きますね。」
「お願いします。」

早速アクセス。
運用開始後間もないという事で、誤解も生じている。
全体を確認してから、利用者全員宛にご挨拶した後、システム運用に関してのアドバイスを、ついでに疑問点や提案を部署毎に入力しておいた。
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夏休み-19 [高校生会議-06]

内情まで知らない会社の、導入後、間もないシステムにアクセスさせて貰った事はとても参考になった。
システム導入時のマニュアル改訂をすぐに指示。
組織上の問題点にも気付かせて貰えて、これからの自社運営にも役立つと思う。
杉浦社長からは…。

「遥香さま、我が社に遥香姫伝説が生まれ、今後語り継がれると思います。」
「伝説なんて、随分大袈裟ですね。」
「いえ、開発チーム遥香姫との文字を見ただけで、社員達は興奮気味だったそうです。」
「お仕事の邪魔になってしまったのでしょうか?」
「いえ、その後の指示が的確で、システムに馴染めてなかった連中は目から鱗だったようです。
実務に関する疑問や提案をして下さった内容は、私も含め感動するレベルで、遥香さまのお力を見せつけられました。」
「それは、皆さんが慣れないながらも新システムと真面目に向かい合って下さっているからです。
実は社内に答えが有った、でもそれに気付く環境が無かったという事です。」
「ですね、この伝説を引っ提げて遥香システムを売りまくっていきますよ。」
「お願いします、今後に向けて導入時の流れは開発部とも検討させて頂きます。」
「導入した会社のシステムすべてに遥香姫降臨とは行きませんか?」
「岩崎王国内では積極的にやって行きたいですね、知らない会社の内情を知る事は新鮮で楽しかったです。」
「でも、夏休みが終わってしまうと、時間の余裕が無くなってしまいますね。」
「高校は私にとって無駄な時間が多いので、適当に退学して来春より岩崎学園大学へ通う予定です。
九月からもマイペースですよ。」
「飛び級という事ですか?」
「高等学校卒業程度認定試験に合格すれば、お父さまの力で岩崎学園大学に入れます。
卒業を目指す必要は有りませんからマイペースで単位を取得して行き、卒業したら大学院へ進もうかと、優秀な部下のいる社長から始めていますので、下積みで得られない部分を大学の環境を利用して身に着ければと考えています。」
「それは嬉しいです、大学は本校ですか?」
「進学はここに出来る新校舎になります。
でも十月からは本校へしばらく通いますので、杉浦社長の所へも遊びに行きますね。」
「お待ちしております、皆も喜ぶでしょう、そうなると高校生会議の方はどうされますか?」
「高校生を中心に活動していますので高校生会議と呼ばれていますが、実際はサポートの大学生や社会人も含めての組織です。
名誉議長への就任依頼も来ていますので、私としての関わり合い方に変わりは有りません。
遥香コーポレーションで、就職前の人達の力を引き出して活躍して頂こうと考えています。」
「実習を通してですね、しかし…、効率を考えたら実習生というのはロスが多いと思います。」
「目先を考えたらその通りです、でも先々を見通したら先行投資ですね。
岩崎王国に一旦就職した人達はその家族も含め王国の民として大切にする。
でも、それは民が真面目に働いてこそ成り立つ事。
そして次世代が国民としてその力を発揮してくれるかどうかは重要な要素だと考えています。」
「あっ、失礼いたしました、遥香さまの仰る通りです、しっかり先を見据えておられたのですね。
岩崎高校生会議第一支部は私どもでしっかりバックアップさせて頂きます。」
「お願いします。」

杉浦社長が動いてくれれば第一支部の環境も良くなるだろう。
それが別の支部へ広がるには時間が掛かるかもしれないが、高校生会議のレベルが上がれば王国の発展にも良い影響を与えると思う。
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夏休み-20 [高校生会議-06]

夏休み最終日、クラスの友人をファミレスに招待した。
この店は明日からしばらく休業してプリンセス遥香系列店への改装工事を行う。
リニューアルオープン後に向けてのスタッフ研修はすでに進んでいて、この時間も高校生が何人か働いている。
私の進学など杉浦社長に話した内容を彼女達にも話した…。

「遥香さま、大学での専攻はどうされるのですか?」
「今度大学へ行った時に考えてみるわ。
大学のシステムを構築する過程で学内の事が分かると思うの、お父さまからは自分のカリキュラムは自分で決めて良いと言われてる、まずは経営、経済辺りから始めてシステム工学、法学の辺りかな。」
「そんなに色々?」
「もう働いてるもの、急いで卒業する必要ないでしょ。」
「でも、ここに出来る新校舎でそんなに色々な学部の履修が可能なのですか?」
「可能にする為のシステムを構築するの、ここで成功したら日本中に校舎を建てて小規模キャンパスを展開。
有名大学は大都市に集中してるでしょ、でも、システムが良ければ偏差値の高い岩崎学園大学へ地方都市に住んでいても通える様になるのよ。」
「どんなシステムになるのですか?」
「既存の環境でも出来る事だけど…、例えば自分の都合の良い時間に、自分が選択している科目の講義映像をパソコンで閲覧、それに対して自分の考えをレポートにまとめて先生へメールで送るとか。
こういった事の使い勝手を良くして色々リンクさせ、遥香システムと共通のデザインにするつもり。
岩崎学園大学を卒業すれば、そのまま違和感なく遥香システムを使っての仕事が出来る様にしたいわね。」
「遥香コーポレーションで働いてるサポートスタッフの人が、遥香システムはすごいって話してました、私達には経験する機会、無いのですか?」
「岩崎高校生会議にも導入して行くわよ、まずはメインスタッフの人に使って頂きながら不具合の修正となるわね。」
「完成してる訳ではないのですか?」
「それぞれの組織の事情に合わせてカスタマイズする必要が有るの、岩崎高校生会議の場合は全国の支部で使って頂く事を前提にしていて、セキュリティーの問題も有りますからね。」
「父さんの会社でも導入が決まったって聞いたけど、高校生会議とは微妙に違うという事ですか?」
「ええ、そうよ、その違いは使う人によって更に違ったものになって行くの。
大学もそう、小規模キャンパスを幾つか展開していく事になったら、すべてのキャンパスで実験的な取り組みが出来る、大学が何の為に存在してるかとの根本からの見直しもね。」
「遥香さまのお話にはついて行けそうに有りません…。」
「ふふ、これから高校生会議にも情報を流して行くから考えてみてね。」
「はい。」
「さあ私の話はこれくらいにして、今日のメインテーマ、茜が久兼くんと夏休みをどう過ごしたかなんだけど。」
「え~、そんなテーマ聞いてません!」
「そうでしょうね、今、初めて口にしましたから。
優子さんからの情報では彼女の弟である久兼剛太はどうも何人かの女子に狙われている、その中に茜もと。」
「茜、どうなの、夏休み中に進展は有ったの?」
「そもそも、久兼くんの眼中に茜の存在は有るの?」
「茜、何時でも慰めてあげるからね。」
「え~い、うるさい、私だって自分の事は分かってますからね…、久兼くんは優しいし、高校生会議のスタッフとして色々教えてくれてるわ。
でもね…、彼との会話はどうしても遥香さまの事ばかりになってしまって…。」
「それで?」
「それだけよ、彼は女子の友達多いから私もその一人。」
「もっと積極的に行かないと~。」
「そんなんじゃないって!」
「それでもドキドキするような場面も有ったんじゃないの?」
「そ、それは…。」
「ふふ、真っ赤になった茜が可愛いからデザートにしましょ。」

友達とのおふざけは、やはり楽しい。
高校を中退しても接点は有る、息抜きの時間はこれからも持てるだろう。
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