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神沢祐樹-31 [高校生会議2-12]

「祐樹は白川さんの話、どう思う?」
「問題は需要と供給ですが…、自分をその様なビジネスモデルとして考えた事は無かったのでファンクラブの話はよく分かりません。
でも、絵美が話してくれた、得られた利益を貯め込まない事は大切だと思います。
みどりの風が政権を握る前でも、政府は日銀と力を合わせ経済対策をして来たと思います。
その結果、企業の収益が上がっていたのに、岩崎以外の多くの企業がそれを内部留保していました。
その資金を下請けの待遇改善などに充てて居れば消費が拡大し、景気回復がうんと加速したと思うのです。」
「うん、よく学習してるね、真由ちゃんはさっぱり分からないって顔してるけど。」
「はい…。」
「白川さんなら、そんな真由ちゃんにどう説明するかな?」
「そうですね、もちろん将来に備えた貯蓄は必要ですが…。
真由さん、一万円札が二枚あったとします。
一枚は貯金箱へ入れました、使う予定は有りません。
もう一枚には呪いを掛けます、その札を手にした人は必ず二十四時間以内にその一万円札を使うというものです。
さて、貯金箱の一万円札も呪いを掛けられた一万円札も同じ一万円で価値は同じです。
ですが一年後、貯金箱の中に入れられて使われる事のなかった一万円札と、呪いを掛けられ、人の手から手へと渡り多くの商品やサービスを受ける事に使われた一万円札。
この一年を考えた時、同じ一万円だと言い切れるでしょうか。
先ほど祐樹さまが話されたのは、企業が多額のお金を動かさない事で、お金の本当の価値を低くしていたという事なのです。」
「面白いわ、お金は使わなければただの紙切れなのよね。」
「もちろん無駄遣いは駄目だがな。」
「しかし、頼もしいね、祐樹だけでなく白川さんも企業実習や高校生社員を経験するならうちでお願いしたいよ。」
「いや祐樹、多田のところよりうちへ来てくれな、声を掛けたのは私の方が早かった筈、早い者勝ちという事で良いだろ。」
「申し訳ありません、早い者勝ちという事でしたら、祐樹さまは父が先にお誘いさせて頂いております。」
「おっ、白川社長…、親子でとなると強敵が突如現るという感じだな。」
「あなた方は何を焦ってるのです、まだ高校に入学したばかりなのですよ、祐樹くんは。」
「いや、高校生会議の部会でも話題になっていてな、学習に部活に出来れば市民コーラスや市民合唱団でも活躍して欲しいだろ、そうすると時間は限られて来るのだよ。
遥香システムを通してだけではなく、実際に会社へ来てくれれば女性社員の士気が一段と上がる訳で、是非来て欲しいのだよ。」
「絵美、祐樹くんをレンタルしたら結構稼げるんじゃない?」
「はい、千恵さん、でも大切な祐樹さまを安易にレンタルしたくありません。」
「ふふ、祐樹くん、大変そうね。」
「皆さんには困ったものです、でも、今日、岩崎学園大学のスーパー特別推薦の説明を聞いて来ました、目途が立てば余裕が出来ると思っています。」
「もちろん推薦させて貰うからな、今まで私が推薦させて貰った学生達の話を考えると、祐樹なら問題ないだろう。」
「千恵と絵美も同じ様に考えているのですが如何ですか?」
「千恵ちゃんは学力面をクリア出来る力が有れば大丈夫だ、私が推薦するよ。」
「有難う御座います、宜しくお願いします。」
「白川さんの事はまだ良く知らないが、これから部活とか色々活躍してくれそうだね
人物をしっかり見極めた上で推薦させて頂く事になるのかな。
吉松と違って私は利害関係がないからね。」
「そうだな、私は推薦できない、でもそれに値すると感じたら色々手助けさせて頂くからね。
千恵ちゃんは私も推薦するよ。」
「ふふ、私達の義理の息子や娘が増えそうですね。」
「えっ、義理の?」
「推薦させて頂いた皆さんは私達の子どもと考えているのよ。
何か有ったら全力で守らせて頂く、それに値する子達だけ推薦しているのよ。」
「うわっ、千恵、大丈夫? ちょっと重くない?」
「あらっ、真由ちゃんが困った時でも合唱の仲間としてそれなりに守って上げるわよ。」
「う~ん、それなりと全力の違いが…。」
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神沢祐樹-32 [高校生会議2-12]

「みんなもっと食べてね。」
「はい、有難う御座います。」
「でも、よっちゃんは、食べ過ぎない様に気を付けた方が良いかも。」
「あっ、はい、美味しくて…。」
「よっちゃん、入学してみて高校はどうだい?」
「緊張しています、中学の時は成績上位でしたが、各中学から優秀な生徒が集まった高校なので、痩せる思いです。」
「ふふ、思いだけなのでしょ?」
「千恵、まだ始まったばかりだから外見に現れていないだけよ。」
「今のまま、健康的な体型を維持しなさいね。」
「はい、頑張ります。」

「白川さんは経営関係に進学希望という事だが、やはり会社経営を意識してるのかな。」
「はい、岩崎雄太社長に憧れています。」
「起業してみたいとか?」
「はい、ですが起業に拘らず、会社の再生とかも意識しています。」
「お父上の跡を継ぐとかは?」
「それは何となく弊害がある様な気がしています、私には規模が大き過ぎる気がしますし。
父は、祐樹さまの様な方に託したいと話しておりました。」
「はは、祐樹は白川社長と何時お会いしたんだ?」
「一週間前ですが…。」
「松永さん、これは微妙ですな。」
「岩崎社長は常々、他の企業にも頑張って貰わねばと話しておられます。
白川社長を応援せざるを得ないのかも知れませんね。」
「う~ん、二人が同じクラスになって隣りの席と言うのはホントに偶然なのだろうか?」
「え~、隣の席と言うのは教師の陰謀説が出ていますが、流石に同じクラスというのは偶然ですよ。」
「そうなのです、私と祐樹さまは運命の出会いをしてしまったのです。」
「はは、もてる男は大変だな、祐樹はどうなんだ?」
「絵美が運命と言うのならそうなのかも知れません。」
「えらく素直なんだな。」
「彼女は、社会問題にも興味が有り、知的好奇心の塊みたいな子なんです。
それで…。」
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神沢祐樹-33 [高校生会議2-12]

「…、そうか絵美さんは外見だけでなく中身も魅力的なんだね。
そんな子だから千恵ちゃんも応援する気になったんだ。」
「はい、でも絵美は高一で初恋ですよ、遅いと思いませんか、まあそこが可愛くも有るのですが。」
「女子校だとそういうものなのかね。」
「絵美さんは会社経営に興味あるそうだけど、千恵ちゃんはどうなの?」
「私は岩崎高校生会議の一員として、先輩方が設立された会社のお手伝いしながら学ばせて頂ければと考えていました。」
「裏方?」
「多田さん、社長だけで会社は成り立ちませんよね?」
「はは、その通りだ。」
「その…、皆さんに教えて頂きたいのですが、私は高校の先輩方が設立されたという会社に興味が有ります。
でも、今日のイベントでは紹介されていなかったのです。」
「絵美さん、新入生には早いからなんだよ。
メインの会社は遥香コーポレーションがバックについてくれた事も有って、今は持ち株会社みたいな形になったんだけどね。
その下に、小さな会社が幾つも存在しているんだ。
この春、三つの会社は社員の進学を機に解散したが、それも研修の一つになった。
残ってる会社は、これから新入社員の募集を始めるだろう。
今日のイベントでも、実際に会場の一部は高校生社長の会社が担当していた筈だよ。
君等に声が掛かるのは君達が遥香システムをある程度扱える様になってからかな。」
「そういう事ですか。」
「でも、君達で会社を立ち上げるのも有りなんだよ。
部活の延長みたいな感覚で楽しくやって欲しいかな、社会の厳しさを知るのは学校を卒業してからで良いのだから。
まずは遥香システムで岩崎高校生会議の事を良く知る事だね、合唱部は研修を始めたんだろ?」
「はい。」
「何を扱う会社でも構わないが、学校生活や会社実習の合間に余裕を持って出来るレベルでな。
絵美さんは何かやってみたい事は有るのかい?」
「はい、事情が有ってまだ具体的にお話出来ませんが、準備が整ったら相談に乗って頂けますでしょうか?」
「もちろんさ…、なあ吉松、白川氏にも絡んで貰って、今の持ち株会社とは別組織を構築すべきではないか?」
「そうだな…、絵美さん、研修的な部分は高校生会議が協力するが、資本面では先輩方の持ち株会社傘下に入らないというのはどうかな?」
「問題有りませんが、何か理由が有るのですか?」
「競争相手がいる事は良い事なんだ、ねえ松永さん。」
「そうですが…、柿川のアイドルをボーイフレンドにしたのですから、ライバル関係にしてしまうと、絵美さんへの風当たりがさらに強くなりませんか?」
「大丈夫です、祐樹さまを代表取締役社長に、私はその陰に隠れていますから。」
「はは、すでに作戦を練っているのだな。」
「まだ、これからです。」
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神沢祐樹-34 [高校生会議2-12]

「参考までに話しておくと、高校生の実習と言っても、すべて法律に沿った手続きを行い正式な法人となるからね。
もちろん利益に応じて税を納める事になるし、社員を雇えば法に基づいて守っていかねばならない。」
「そういった手続きは難しいのでしょうか?」
「慣れない高校生にとってはね。」
「では、お願い出来る方を探さねばなりませんね。
祐樹さま、心当たりは有りますでしょうか?」
「ああ、大丈夫だと思う、プロに学生の研修込みでお願いするという形を取れると思うよ。」
「そうか…、おい多田、俺達の出番はあまり無さそうだぞ。」
「だな。」
「えっ、どういう事ですか?」
「私が手伝う事になった連中は、まず何もかも自分達でやろうとしたんだ、いや、自分達でというのはマシな方で社長候補が一人でやろうとしがちだったんだ。」
「はは、社長失格だった訳ですね。」
「社長失格というか、リーダー失格だろ、絵美さんもそう思わないか?」
「はい、一人で出来る仕事には限りが有ります。」
「大人が起業を考えても似た様な事なんだ、資金の問題も有るがね。
そうだ、持ち株会社の傘下に入れないとすると資本金の問題が有るな。」
「株式会社にすれば資金調達出来ると思います。
どれぐらいの規模で始めるかは今日両親と相談してみます。」
「そうか…、それなら、ある程度方向性が固まったら声を掛けてくれるか、また食事会を開くから。」
「何か大変なご迷惑をお掛けしてしまいそうですが宜しいのでしょうか?」
「まあ気にするな、俺達の趣味みたいなものなんだ。
問題がなければ見守るだけなのだが、高校生が真面目に取り組んでいる姿を見させて貰うのは楽しくてね、祐樹がらみなら尚更だよ。」
「皆さんも祐樹さまの事がお好きなのですね。」
「そうだな、まだ絵美さんの知らない魅力を沢山持っているんだよ、祐樹は。」
「え~、どうしましょう、私はお友達として大丈夫でしょうか?」
「さあ、どうかね。」
「多田さん、絵美を不安がらせないで下さいよ、絵美、何の問題もないからね。
それより…、会社の話は自分も絵美から聞かされている訳では有りませんが、吉松社長は白川社長と連絡を取り合う事は可能ですか?」
「ああ、すぐに電話する事も出来るよ。」
「それでは、絵美の都合に合わせる形でお願い出来ますか?」
「ああ、了解だ。」
「多田社長、自分達は皆さんと遥香システムを通して情報交換すれば良いと思いますが、新規企画のワークシートは上位者の認証が必要になると聞いています。
どなたにどの様な形でお願いすれば良いのでしょうか?」
「起業実習責任者には私から話を通しておくよ、組織的には久兼くんが社長をやってる持ち株会社と横並びになるかな。」
「それは、なんか恐れ多いのですが。」
「いや、彼のチームはレベルが高いのだが、主力が大学生になったからね。
高校生で目立つ存在が欲しいのだよ。
祐樹がワークシート構築を出来るのなら、すぐにでも連絡を取って承認して貰う事も可能なのだがどうする?」
「お願いします、どんな会社になるにせよ準備は早めに取り掛かりたいですから。」
「分かった、起業実習責任者も君の事は知っている、認証コードは君んちのパソコンへ送らせるよ。」
「お願いします。」

「ねえ祐樹くん、急ぎ過ぎじゃないの?」
「そうかな、遥香システムの実習になる訳だし、今から動き始めればゴールデンウイークが終わる頃までに下準備が終えられるのじゃないかな。」
「千恵さん、祐樹さまは急いでおられる様には見えません。
今すべき事をと考えておられるのだと思います。
話しが進んでおりますので私も自宅に連絡を入れてまいります。」

「祐樹くんは絵美がどんな会社をイメージしているか知っているの?」
「具体的には聞いてないが何となく想像はついているよ、ただ不確かな事を予測で話す訳にはいかないから、少し待っていてくれな。」
「二人が出会ってからまだ二週間も経っていないでしょ、もう絵美の気持ちが分かるの?」
「会社の事は、何をするか未定ながら、自分も取り組んでみたいと考えていたんだ、だから部活はBクラスにしたのさ。
そんな関係で絵美が何を考えているのかはなんとなくね、彼女は千恵と同様、真っ直ぐな子だって感じるし。」
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神沢祐樹-35 [高校生会議2-12]

「おじゃまします。」
「やあ、祐樹くん、いらっしゃい、娘が無理を言って済まなかったね。」
「いえ、白川社長ともお話したかったですから。」
「嬉しい事を言ってくれるね、さ、上がって。」

「今日はどうだった?」
「イベントは雨の割に来場者が多くて先輩方は喜んでいました。」
「それは良かった、吉松社長は自分達の屋外イベントが中止になって残念だったそうだが、君達とゆっくり出来て楽しかったと話してみえたよ。」
「はい祐樹さん、お茶をどうぞ。
それで、会社の話し、絵美からはまだ具体的には聞かされてないのでしょ。」
「はい…、えっと…、自分はその…、どの様にお呼びすれば良いのでしょうか?」
「私の事?」
「ええ。」
「そうね、恵子で良いわよ。」
「では、恵子さん、絵美が考えてるのは、モデル事務所関係では無いのですか?」
「ふふ、絵美、ばれてたみたいね。」
「結論が出るまで公表するのは良くないと思って内緒にしてましたのに。
祐樹さま、高校生起業の事は柿川へ越して来る前から少し考えていたのです、ここでなら有りかなって。
事務所の拠点は東京ですから、祐樹さま達に加わって頂く事を考えている内に繋がりまして…。
お母さま、高校生の会社として、私達のマネジメントを行う会社の設立、考えて下さいましたか?」
「ええ、お好きな様になさい、ねえ、あなた。」
「ああ、吉松社長は、何をする会社かまだ分からないが応援すると話して下さった。
それだけ祐樹くんを信頼しておられるのだろう。
そんな話を年寄り連中にすれば資本金はすぐ集まる、足りない様なら私が出すから安心しなさい、後は祐樹くんのご両親次第ということかな。」
「うちの両親は、自分の可能性を伸ばす場として高校生会議での実習を勧めてくれています。
でも、研究所の一所員に過ぎませんので資金面は難しいです。」
「許可さえして頂ければそっちの心配はいらないよ。」
「実際のところ、資本金はそれ程必要ないかも知れません。
契約に関する事などをレクチャーしながら進めてくれる人の報酬などが確保出来れば、あと…、事務所は自宅でも良いのですよね?」
「ああ、土地が安かったから無駄に広い家を建ててしまった、事務所はうちの二階を使ってくれないか。
遥香システムを使うから事務所はそれ程必要ではないかも知れないが、友達を呼んだりとか好きに使えば良いよ。」
「有難う御座います。」
「社員の目途はどうなんだ?」
「正直言って絞りこむのが…、入社試験をする事になるかも知れません。」
「そうか、まず一次の書類審査を厳しくして幹部候補の募集かな。」
「事業規模をどれぐらいまで拡大して行くかにもよりますよね…。
まあ、具体的な話はこれからという事で、とりあえずは絵美がくつろげると良いのですが。」
「私は大丈夫ですよ。」
「自分ではそう思っていても、慣れない事が毎日続いて緊張の連続だっただろ。
来週はミニコンサートも有るのだから、ゆっくりする時間も大切だよ。
色んな事が始まったばかり、先は長いのだからね。」
「はい…、でも祐樹さま、すぐ帰るなんておっしゃらないで下さいね。」
「はは、そんな心配しないでシャワーでも浴びてラフな服と着替えたら。
それからゆっくり夕食で良いだろ。」
「はい。」
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神沢祐樹-36 [高校生会議2-12]

「絵美は随分素直だったな。」
「ふふ、祐樹さん、絵美は入学してから毎日あなたの事ばかり話しているのですよ、この一週間でぐっと距離が縮まったのね。」
「はい、ですが、彼女は自分に対しても緊張していると感じます。
環境が激変して大変でしょうから、せめて自分に対してぐらいは、少し緊張を緩めて欲しいのですが…。」
「そうね、まだ本人が恋してると実感し始めたばかり、祐樹さんと違って慣れてないのよ。」
「自分も慣れている訳ではないです、一時は女性恐怖症になりかかったぐらいですから…。
まだ、友達付き合いを始めて間がないですが…、ご両親にとっては一人娘のこと、自分の家柄とか色々気になりませんか?」
「気にするのは白川の婆さんぐらいだ、君が気にする必要はないよ。
まだ若いのだから、この先、絵美が振られる事だって有るだろう。
だがそれも青春の一ページさ、親としては初恋の相手と結ばれて欲しいと思っているがね。
まあ、高校卒業までは妊娠しない様に気を付けて欲しいが、実のところ孫の顔は早く見たいんだ。
あの子の爺さん婆さん達にひ孫をみせたいしな。」
「そういう感覚なのですか、自分は妹に彼氏が出来たら、その彼とどう接したら良いか分からないのですが。」
「人それぞれだろうし…、私も正直言って君で無かったら対応は違っていたと思うよ。
君が成人したら、そうだな出来れば友人としてではなく家族として酒を酌み交わしたいね。」
「有難う御座います、そのお言葉にお応え出来るだけの男に成れる様に努力します。」
「頼もしいね、君達の会社は小さく始めるのだろうが、大きくしても構わないからな。」
「あまりプレッシャーをかけないで下さい、でも今日は色々なヒントを頂きましたから考えてみます。」
「失敗しても一億ぐらいの損失なら気にするなよ、それを糧にすれば良いのだからな。
どうだ、高校生社長の会社が資本金十億でスタートとかは。」
「それは…、考えてみます。」
「はは、十億にびびらないのか?」
「子どもの妄想に過ぎませんが、一億有ったら、十億有ったらと考えた事が有ります、現実的に検討してみるのも悪い事ではないと思いまして。」
「うちの社員達に持ちかけると、一様にビビッて逃げ腰になるのだがな。」
「自分は世間知らずですから。」
「しかしな…、企画書に説得力が有れば十億迄動かせる男だと認められたとしたらどうだ?」
「そんな金額より事業内容で認められたいです、経済効果という視点で考えれば、資本金関係なく大きな影響力を発揮されている方は少なく無いです。
十億動かせても僅かな経済効果しか出せないの有れば面白くありません。」
「はは、まいったな。」
「あっ、生意気言ってすいません。」
「いや、うちの社員達は皆真面目なのだが、何か欠けていると感じる。
う~ん、社員だけでない私もかな、忙しくなるだろうが、是非うちで高校生社員を兼任して欲しい、お願い出来ないかな?」
「はい、こちらこそお願いしたいと考えていますが、一通り落ち着くまでに時間が掛かりそうですので…。」
「直ぐにという訳では無いからな。」
「はい、お願いします。」
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神沢祐樹-37 [高校生会議2-12]

「祐樹さま、お待たせしました、食事の用意も整った様です。」
「では祐樹くん、食堂へ行こうか。」

「味はどうかな?」
「美味しいですね、昼はイタリアン、夜は和食、今日は贅沢な一日です。」
「沢山食べてね、高一の男の子がどれぐらい食べるのか知りたいわ。」
「はは、体の成長と運動でそれなりの量は必要です。」
「こうして四人で食卓を囲んでいると家族が増えたみたいで…、ね、お母さま。」
「そうね…、祐樹さんのご家族も一度お招きするか、ご挨拶に伺うかしたいわね、どうかしら?」
「うちへ来て頂いても母がおろおろするばかりだと思います。」
「では、招待させて下さいね。」
「はい、お願いします。」

「ではそろそろ、会社設立に向けて絵美の話を聞かせて貰うとするかな。」
「はい、お父さま、まずは祐樹さまと、お付き合いの有るお店との関係を整理する所から始めて行きたいと思っています。
ポスター写真の依頼を下さった方と相談し継続的な契約を結んだり、祐樹さまが売り上げアップに貢献してこられたお店とも、きちんとした契約をした上で今後の活動をご相談させて頂けたらと思います。
それを、雇用した高校生と共に行ったり、お任せしたりと出来れば岩崎高校生会議の趣旨に沿う事になると思います。」
「そうだな、祐樹くんを上手く演出出来れば大きな利益に繋がるだろう、祐樹くんはどう思う?」
「そうですね、親しい女性の友人が出来ましたから自分のファンは減ると思います。
でも、起業に関する案内の中でしっかりとした方向性を示す事が出来れば、社会貢献に繋がる事業展開が出来るかも知れません。」
「何か考えが有るのかね?」
「はい、自分のファンクラブなんておこがましいのですが、作らせて頂こうと思います。
それを通してグッズ販売をして行きたいのですが、そのグッズは障害の有る方の作業所で作って頂こうと思うのです、一部分だけでも。
グッズなら数量限定での販売とし易く在庫を抱えるリスクが少ないです。
作業所としては安定した仕事が欲しいのですが、出来る作業に制約も有って簡単では有りません。
数量限定グッズなら、調整し易いと思います。」
「なるほど、それなら高校生の企業として好感を得られる、自身のファンクラブで試してからグッズ制作事業を充実させるということか。」
「はい、様々なアーティストに話を持ち掛ける事が可能だと思います、商品の質が良ければ、作業所の環境を良く出来るかと。
簡単な事では無いでしょうが協力して下さる方は少なく無いと思います。」
「そうだな、障害者雇用はうちでも進めているが、障害の程度によって限界が有る。
しかし…、君はそう言った団体の人とも交流が有るのかな?」
「はい、市民コーラスの活動で知り合った関係者の方から財政面の愚痴を聞かされた事が有ります。」
「そういった活動は色々して来たのかね?」
「回数は多くありません、ちなみに今度の子どもの日には歌のお兄さんになる予定です。」
「どんなお兄さんなのか見たいわね、絵美。」
「はい、私は見られないのですか?」
「テレビのローカル番組が取材に来るそうだから、三秒ぐらい映るかも。」
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神沢祐樹-38 [高校生会議2-12]

「…、やはりゴールデンウィークは忙しいのかな。」
「まだ分かりません、今後の予定は明後日以降調整して行く事になります。
部活と市民コーラス、高校生会議に新会社設立が加わりましたので。」
「それなら結構忙しいのじゃないか?」
「いえ、これくらいは余裕を持ってこなせないと。」
「あらっ、学習が抜けていませんでしたか?」
「恵子さん、学習は学校でしていますよ。」
「ふふ、お母さま、祐樹さまは授業中教科書を二冊開いているのですよ。
一冊は三年生のテキストだったりします。
私は真似出来ませんが、きちんと五月のテストを意識して取り組んでいますので安心して下さい。」
「絵美は先輩から頂いた予想問題で、すでに八割取れています、予習の成果が出ていますね。」
「そうか、学習面も問題なさそうだね。」
「はい、今日聞いて来た説明では、二人揃って岩崎学園大学のスーパー特別推薦に合格出来そうです。
それがだめだったとしても、一般推薦か特別推薦で合格出来ると思います。」
「はは、高一の四月でその自信とは、学習は好きなのかな?」
「それ程好きと言う訳では有りません、早めに終わらせておきたいと考えていますので効率を重視しています。」
「なるほどね、君がやりたい事の優先順位は有るのかな。」
「やはり会社設立が第一です、自分を本当の意味で試せるじゃないですか、後はバスケと歌です。」
「分かった、あと一つ訊いておきたいのだが、極力援助を受けずに自力で経営して行きたいと思っているのかな?」
「援助がなければ工夫して小さく、援助して下さる方がみえれば、お力をお借りして拡大して行きたいです。
今描いている事業内容は、この市の活性化と障害の有る方にプラスになる取り組みですから胸を張って援助をお願い出来ます。」
「よし、では資本金一億でスタート、状況に応じて増資という事でどうだ?」
「有難う御座います、宜しくお願いします。」
「祐樹さま、そうとなったら早く形にするため相談したいのですが。」
「そうだね、明日の夕方ではどうかな、明日の昼間は予定が決まっているんだ。」
「今日、この後ではだめなのですか?」
「ああ、絵美は一度ゆっくり休んだ方が良い。」
「分かりました、では明日お待ちしていればよろしいのですね。」
「祐樹さん、明日の晩御飯は肉料理で良いかしら?」
「あっ、何か図々しかったです、御免なさい。」
「良いのよ、全然気にしないで、婿が肩身の狭い思いをする様な環境にはしませんからね、ね、あなた。」
「はは、私は婿養子なんだよ。」
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神沢祐樹-39 [高校生会議2-12]

「ねえ祐樹くん、会社の話は進んだの?」
「ああ千恵、土曜日は助かった、有難うね。
会社の方は資本金一億円、それと当座の活動資金を白川社長が面倒見て下さる事になったよ。」
「い、一億円ってすごくない!?」
「まあね、でも、それを生かせないと意味がないな。」
「昨日少し調べてみたけど、久兼先輩達の持ち株会社はともかく、他は資本金五万円とか多くても三十万円ぐらいだったわ。」
「だろうね、社員が高校生だけなら当然事業規模は大きく出来ないよ。」
「という事は、大人も社員にするの?」
「ああ、正規雇用と学生研修社員になる。
研修社員はランク制にして給料に差をつけるつもりなんだ。
基礎研修を岩崎高校生会議で終了した人に限るけどね。」
「う~ん、いずれは研修を受けるつもりだったけど早目にしようかしら。」
「我が社への就職を考えてくれるのかな?」
「社長、肩をお揉みしましょうか?」
「はは、どんな部署をイメージしてるの?」
「まだイメージ出来ないわ、会社の仕事って…、実際に就職したら何をするのかしら?」
「営業なら、色々な交渉事、経理ならお金の管理、総務なら雑用全般かな。
と、言っても実際にやってみないと分からないよな。」
「だから、早い内に体験、と言うのが高校生会議の方針なのよね。
部活のスケジュールが確定したら、研修に申し込もうかな。」
「まだ確定して無いの?」
「ええ、明日発表よ。」
「バスケ部は六月まで確定したのだけどな。」
「市民コーラスは七月までの予定を次の練習日に発表と聞いてるけど、祐樹くん大丈夫?」
「問題はないが調整は手間だね。」
「スケジュール管理って秘書の仕事なのでしょ?」
「たぶん。」
「じゃあ、私、秘書やろうか?
祐樹くん関連はだいたい分かるし、ちゃんとデートの予定も組み込んで上げるわよ。」
「確かに誰よりも安心かな…、絵美と相談して…、まだ会社は準備中だが、待遇面の希望は考慮するよ。」
「そうね男子バスケ部の方とお近づきになりたいかも。」
「はは、そういう下心は歓迎だよ。」
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神沢祐樹-40 [高校生会議2-12]

「絵美、千恵が完成させてくれたスケジュール管理表は確認した?」
「はい、授業内容に関する事まで整理されているとは思っていませんでした。」
「あれは遥香システム管理に提案した結果なんだ。
学校サイドでもシステムを利用しての授業管理を進めている、そのデータからスケジュール管理シートへ自動で生徒向け情報が送られる様にして貰ったのさ、さすがに仕事が早いね。」
「そうだったのですか、千恵さんが秘書として頑張り過ぎていたらどうしようかと思いました。」
「はは、作業は簡単なんだ、今度君にも教えるよ。」
「お願いします。」
「ただ、社員に知っておいて欲しいスケジュールと知らせなくて良いスケジュールを区別する必要が有るから考えてね。」
「あっ、遥香システムを通して社員の方も私達のスケジュールが分かる様にするのですね。」
「ああ、会社立ち上げスタッフから正規社員に移行したら、今は三人だけの管理一覧に全社員の予定が加わるからね。」
「でも不思議な感じです、こうしている間にも会社設立の準備が進んでいるのが。」
「実際に作業を進めているのは大学生、それを高校生会議のスタッフが監督、そして全国の千人近くが進行を見守っているからな。」
「私達は確認作業だけ、確かに会社設立なんてこの先何度も経験する事ではないでしょうし、もしまた設立となったら、その時も慣れた方にお任せすれば良いのですものね。」
「まあ俺達で作った事業計画は、起業実習責任者の方が褒めて下さった。
ちゃんと自分達の役割は果たせているという事だろ。」
「もっと忙しくなるのかと思っていました。」
「トップに余裕が無い会社は危ないそうだよ。
ただ、君のスケジュールは先週のミニコンサートが盛り上がったから、今後変更になるかも知れないね。」
「まだまだ未熟なのですが。」
「いや、心に届く歌声だったよ。」
「有難う御座います、中学生の頃は歌詞の意味も分からずに、いえ、今でも分かっていなのでしょうが、祐樹さまと出会って…。
私は声量も有りませんし、高音部がきつい曲は歌えません。
でも、ミニコンサート前日のレッスンでは、オペラっぽく歌うよりもリラックスし七割ぐらいの声量で歌った方が高校生受けするとの助言を頂きました。」
「プロのオペラ歌手を目指してる訳では無いから正解だよ、学校の連中が情報発信したみたいで、君の歌を聴きたいという声が広がっているそうだからね。」
「少し恥ずかしいです。」
「でも、それにお応えする機会は作りたいだろ。」
「はい…、ところで祐樹さまのスケジュールでは夜に市民コーラス関連の時間が多いのですね。」
「ああ、でも暫定的な予定だから、部活との関連で変更するかも知れない。」
「私も市民になりましたから、参加する事は出来ないのでしょうか?」
「問題はないが、もう少し落ち着いてからの方が良くないか?」
「祐樹さまと離れて過ごす時間が寂しいのです。」
「そうか…、では土曜日にご両親とも相談してみよう。」
「お願いします。
土曜日は祐樹さまのご家族ともお会い出来るのが楽しみです。」
「はは、優香も楽しみにしてるよ。」
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