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神沢祐樹-31 [高校生会議2-12]

「祐樹は白川さんの話、どう思う?」
「問題は需要と供給ですが…、自分をその様なビジネスモデルとして考えた事は無かったのでファンクラブの話はよく分かりません。
でも、絵美が話してくれた、得られた利益を貯め込まない事は大切だと思います。
みどりの風が政権を握る前でも、政府は日銀と力を合わせ経済対策をして来たと思います。
その結果、企業の収益が上がっていたのに、岩崎以外の多くの企業がそれを内部留保していました。
その資金を下請けの待遇改善などに充てて居れば消費が拡大し、景気回復がうんと加速したと思うのです。」
「うん、よく学習してるね、真由ちゃんはさっぱり分からないって顔してるけど。」
「はい…。」
「白川さんなら、そんな真由ちゃんにどう説明するかな?」
「そうですね、もちろん将来に備えた貯蓄は必要ですが…。
真由さん、一万円札が二枚あったとします。
一枚は貯金箱へ入れました、使う予定は有りません。
もう一枚には呪いを掛けます、その札を手にした人は必ず二十四時間以内にその一万円札を使うというものです。
さて、貯金箱の一万円札も呪いを掛けられた一万円札も同じ一万円で価値は同じです。
ですが一年後、貯金箱の中に入れられて使われる事のなかった一万円札と、呪いを掛けられ、人の手から手へと渡り多くの商品やサービスを受ける事に使われた一万円札。
この一年を考えた時、同じ一万円だと言い切れるでしょうか。
先ほど祐樹さまが話されたのは、企業が多額のお金を動かさない事で、お金の本当の価値を低くしていたという事なのです。」
「面白いわ、お金は使わなければただの紙切れなのよね。」
「もちろん無駄遣いは駄目だがな。」
「しかし、頼もしいね、祐樹だけでなく白川さんも企業実習や高校生社員を経験するならうちでお願いしたいよ。」
「いや祐樹、多田のところよりうちへ来てくれな、声を掛けたのは私の方が早かった筈、早い者勝ちという事で良いだろ。」
「申し訳ありません、早い者勝ちという事でしたら、祐樹さまは父が先にお誘いさせて頂いております。」
「おっ、白川社長…、親子でとなると強敵が突如現るという感じだな。」
「あなた方は何を焦ってるのです、まだ高校に入学したばかりなのですよ、祐樹くんは。」
「いや、高校生会議の部会でも話題になっていてな、学習に部活に出来れば市民コーラスや市民合唱団でも活躍して欲しいだろ、そうすると時間は限られて来るのだよ。
遥香システムを通してだけではなく、実際に会社へ来てくれれば女性社員の士気が一段と上がる訳で、是非来て欲しいのだよ。」
「絵美、祐樹くんをレンタルしたら結構稼げるんじゃない?」
「はい、千恵さん、でも大切な祐樹さまを安易にレンタルしたくありません。」
「ふふ、祐樹くん、大変そうね。」
「皆さんには困ったものです、でも、今日、岩崎学園大学のスーパー特別推薦の説明を聞いて来ました、目途が立てば余裕が出来ると思っています。」
「もちろん推薦させて貰うからな、今まで私が推薦させて貰った学生達の話を考えると、祐樹なら問題ないだろう。」
「千恵と絵美も同じ様に考えているのですが如何ですか?」
「千恵ちゃんは学力面をクリア出来る力が有れば大丈夫だ、私が推薦するよ。」
「有難う御座います、宜しくお願いします。」
「白川さんの事はまだ良く知らないが、これから部活とか色々活躍してくれそうだね
人物をしっかり見極めた上で推薦させて頂く事になるのかな。
吉松と違って私は利害関係がないからね。」
「そうだな、私は推薦できない、でもそれに値すると感じたら色々手助けさせて頂くからね。
千恵ちゃんは私も推薦するよ。」
「ふふ、私達の義理の息子や娘が増えそうですね。」
「えっ、義理の?」
「推薦させて頂いた皆さんは私達の子どもと考えているのよ。
何か有ったら全力で守らせて頂く、それに値する子達だけ推薦しているのよ。」
「うわっ、千恵、大丈夫? ちょっと重くない?」
「あらっ、真由ちゃんが困った時でも合唱の仲間としてそれなりに守って上げるわよ。」
「う~ん、それなりと全力の違いが…。」
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