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二学期-241 [花鈴-25]

「当然学生さん達を巻き込んで行くのよね。」
「勿論、僅かな資金を最大限に活かしての新規事業展開は彼ら抜きでは考えられないわ。」
「なら彼らが動きたくなる事業で無いと。」
「うん…、やはりイベントかしら?」
「実現可能なイベントは出尽くした感が有ると思わない?」
「だよね…、う~ん…、実現不可能と思ってたイベントを見直してみるかな…。」
「著名なアーティストにここの広報大使になって貰うとかでしょ。
 予算的に無理だと聞いたけど。」
「う~ん…、コンテスト形式ならプロモーションビデオの制作費は参加者持ちになるのよね。」
「あっ、悪だくみを思い付いた顔になってる…。」
「この地を舞台にしたプロモーションビデオのコンテストってどうかな?
 参加条件は分野を問わずここでプロモーションビデオを撮影したって分かる作品で有ること。
 賞金は一等百万円とかでさ。」
「アマチュアしか参加してくれ無さそうだけど…。」
「そうかもだけど、私達なら大学生と共にプロの心をくすぐる手段を見つけられると思うわ。」
「そうね、大きな柱が過疎地の再開発なのだから、賞金目当てでは無いプロが協力してくれる可能性はゼロではないかも。
 でも、そんなプロは知り合いにいるの?」
「これから知り合えば良いのよ。」
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二学期-242 [花鈴-25]

 私達が考えたのは、この地で撮影したと分かるプロモーションビデオとYouTube作品のコンテスト。
 企画の発表と共に興味を持ってくれそうな著名人を中心に手当たり次第協力のお願いをしてみる。
 これはダメ元で様子を見ながら範囲を知名度の低い人にまで広げて行く。
 知名度の低い人ならそのままコンテストに参加して貰えば良い。
 この企画は参加者にとっても宣伝効果が期待出来る、と言うか、そのレベルのものにしないと意味が無い。
 YouTubeをやってる人に私達のチャンネルとのコラボ企画を持ち掛けることも考えている。
 それが出来るのも、私達のチャンネル登録者がそれなりの人数になっているからだ。
 大企業の社長である父が畑作業をしていたり、ギフテッドの大賢者が登場したりと幅広い層にアピールして来た小枝子さん達スタッフ、その努力の成果で、父が登場するならばと社員の多くが見てみようと思う訳だ。
 勿論私も小学生の会社会長として注目されている。
 その私が自分のお小遣いを使って企画する映像作品コンテストと発表するのは注目度を上げる為だ。

「花鈴姫、映像作品コンテストは姫のお小遣いだけで開催出来てしまうものなのですか?」
「徳沢さん、私のお小遣いはスポンサー集めの為に使うの。
 私の手持ちだけでは無理だから、まずはスポンサーを集めるのよ。」
「スポンサーが集まると考えての企画スタートなのですか?」
「勿論よ、市長は次の市長選を意識してるから市の共催を前向きに考えてるし、地元の商工会からも良い感触を得てるの。
 この企画でここの注目度を上げられたら安いものね。」
「いまいちピンと来ていません。」
「この地を舞台にした映像作品コンテストなのだから、最低でも制作者はここへ来て僅かかも知れないけどお金を落として行ってくれるでしょ。
 内容は自分の会社をPRするものでも良いのだから、それで賞金を稼げたら一石二鳥。
 コンテストの知名度を上げることに成功したら、入選出来そうにない作品でさえ見て貰える可能性が上がる、エントリーしただけで見て貰える確率が上がるのよ。」
「参加者は多くなるのでしょうか?」
「多くする為に動き始めてるのよ。
 私達のチャンネルとコラボしてくれそうなユーチューバーや著名人にコンタクトを取り始めていてね。
 今は一人が動いてくれるだけでも大きな効果を期待出来る人が中心だから、その分ハードルが高いのだけど。」
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二学期-243 [花鈴-25]

「それならハードルを下げてのスタートでも良いのでは?」
「いやいや、もしかしたら著名人とコラボ出来ると考えた方が楽しいじゃない。
 ダメ元だけど、実現出来たらその効果は、ハードルを下げた人達の何倍にもなるのよ。
 企画に乗り気の大学生達も自分の能力を試してみたいと頑張っているの。
 自分がお近づきになりたいミュージシャンをターゲットにしたりしてね。」
「ただの大学生がアタックしても…。」
「ふふ、ただの大学生でもそのバックに有るのは大企業の社長の姿だけでは無いのよ。
 まだ始まったばかりだけど、カナダで暮らしていたLilyや大賢者と話してみたいと言う話が来始め調整中。
 父との対談企画をシリーズ化したいと言う話に関しては会社でも前向きに検討して貰ってるの。」
「そこまで…、お父上が絡めば失敗は無さそうです。」
「それだって父の会社にもメリットが有ると捉えられているからで有って、娘に甘い社長だからではないのよ。」
「宣伝効果ですか…。」
「徳沢さんは、その辺りの事情に疎過ぎると思うわ。」
「人々がちょっとした宣伝で心を動されてしまうのって残念な気がするのですよ。」
「でも、エントリーの時点で審査をするから嘘は流せないし、宣伝には経済を動かす大きな効果が有ると言う視点を持たないと…、徳沢さんは大企業に向いてないとしても、その辺りの認識はしっかりしてないとダメよ。」
「ですかね、YouTubeで稼ぐことでも抵抗を感じるのです。」
「社会経済を一から学び直す必要が有りそうね。
 お金の流れを作る必要が有るし、ユーチューバーの人達だって努力して稼いでるのよ。
 実際に稼げてる人は、YouTubeで稼ごうと思ってる人達の何%なのかは知らないけど。」
「楽して稼ごうと言う姿勢が自分にはどうしても…。」
「そこまで楽なものでは無いの、私達のチャンネルだって普通の労働に対する対価として妥当な額の収益を得てるのであってそれ以上では無いのよ。」
「結構な額の収益だと聞いていますが?」
「それだけの投資をし努力をした結果なのよ、徳沢さんはその辺りの視野が狭いのよね。」
「えっ?」
「自分の価値基準が絶対だと思ってるでしょ。」
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二学期-244 [花鈴-25]

「それは…、姫に指摘されて考えてはいるのですが…。」
「お金の稼ぎ方なんて人それぞれで、どれが正解なんて無いの。
 一見楽して大金を稼いでる人でも、実は大変苦労してる人がいたり、自身の才能を最大限に活かし実際に楽して稼いでる人もいるでしょうね。
 でも、どう稼いでいても人に迷惑を掛けず、法や公序良俗に反していないのなら問題無いの。
 勿論、法に触れてないからと言ってグレーゾーンの詐欺紛いはダメよ。」
「そうですね…、しかし良く分からない動画で沢山稼げてるユーチューバーは…。」
「テレビ局と同じなの、下らない番組でも見る人がいてスポンサーが付けば成立、そんな番組でも視聴率が良ければ続くでしょ。
 ユーチューバーでも飽きられ、見てくれる人が減ることも有るのよ。
 それ以前に収益化にすら至らない多くの人がいるのだけどね。」
「子どもが楽して稼げると憧れるのは…。」
「芸人だって似た様なものでしょ。
 芸人を名乗っていても本当に稼げてるのは一握りなのだから。
 昔は無かったからと言ってユーチューバーと言う選択肢を否定的に考える必要は無いと思うの。
 勿論、Googleの方針が変わったらどうなるか分からないと言う不安定要素が有るし、人に見て貰える映像を提供し続けて行かないと安定した収入にはならないのだから、それなりに努力する必要が有るのだけど。
 徳沢さんの場合は自分でYouTubeを始めてみて、その大変さを知る必要が有るかも。」
「えっ、自分は経験が無いですし。」
「経験のない人が成功することも有るのよ、努力して。」
「努力ですか…。」
「小枝子さんだって始めは素人で苦労したのよ。
 徳沢さんも苦労してみたら、ユーチューバーの大変さが分かるかも。」
「う~ん、ネタが有りません。」
「でしょ、ネタを探すだけで大変だと思わない?」
「言われてみれば…。」
「実際に始められないのなら、シミュレーションしイメージしてみる?
 そしたらユーチューバーに対する見方が変わるかもよ。」
「はい…。」
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二学期-245 [花鈴-25]

 徳沢さんは乗り気では無かったが、ここでの活動記録として映像を残したいと思う学生がいて、シミュレーションだけで終わらせずYouTubeチャンネルをスタートさせることに。
 収益化は大変だから、それはあまり意識せずコンテストへの参加を目指してくれることになった。
 竹林の再生など今までやって来たことを整理し動画にするのでネタに困ることは無い。
 小枝子さんはそれをサポートしつつ自身のチャンネルで紹介してくれる。
 彼女にとっては一つのネタ、徳沢さん達が失敗したところで問題はないそうだ。

「失敗しても問題ないと言い切ってしまえる所が小枝子さんの強みだよな。」
「成功した方がメリットは大きくなるのだろうけど、徳沢さんたちのチームがYouTubeで失敗しても大勢に影響は無さそうだものね。
 お兄ちゃんは徳沢さん達の挑戦、どう思ってるの?」
「鍵を握ってるのは片岡さんだよ。
 本人は意識してないみたいだけど美人で性格が良いと評判なんだ。
 彼女の魅力を引き出せたら、YouTubeチャンネルとして普通に成功出来ると思うよ。」
「へ~、お兄ちゃんたら片岡さんに惚れたの?」
「まあな、俺のことを子ども扱いしなかったんだ。
 話してて頭の良い人だと感じてるし。」
「頭の良さか…、ここに関係してる大学生達は皆、頭の良い人ばかりだと思うのだけど。」
「大学入試に関係する偏差値的にはそうなのだろうけど、それだけで人は判断出来ないだろ?」
「そうね、頭の固い人もいるし。」
「徳沢氏の視野は広げられそうなのか?」
「どうかしら、育って来た環境によるものだと簡単では無いでしょ。
 でも、周りの大学生は一流大学だけ有って能力の高い人が多いから影響を受けてるかも。」
「一流大学に入学するとそう言うメリットは有るのだろうな。
 彼らと話していると話題がうちの中学生とは全く違い参考になる事が多いんだ。」
「お兄ちゃんは偏差値の高い大学を目指さないと話していたけど気が変わった?」
「いや、暫くはここに来る大学生と交流出来るからそれで充分だと思ってる。
 大学入試に大きな労力を掛けたくないからな。」
「将来学歴がハンディになることはないの?」
「さあね、でも自分を高め続けていれば関係ないさ。
 牧野富太郎って著名な植物学者がいたのだけど学歴に関係ない人でね。
 当時の小学校を中退したのだけど、十五歳の時、その小学校の臨時教員になった、今では考えられないだろ。」
「それだけ高い資質を持っていたのね。」
「調べてみると良いよ、日本の植物学の父だからな。」
「うん。」
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二学期-246 [花鈴-25]

「えっと…、牧野富太郎について教えて下さい。」
『牧野富太郎(1862年5月22日 - 1957年1月18日)は、日本の植物学者です。彼は高知県高岡郡佐川町出身で、位階は従三位です。彼は「日本の植物学の父」と呼ばれ、日本各地に牧野の名前を冠した顕彰施設が存在します。
牧野富太郎は、多数の新種を発見し、命名も行った近代植物分類学の権威であり、その研究成果は50万点もの標本や観察記録、そして『牧野日本植物図鑑』に代表される多数の著作として残っています。彼は旧制小学校中退でありながら理学博士の学位を取得しました。誕生日である4月24日は「植物学の日」に制定されました。』
「Wikipediaからの情報か…。
 お兄ちゃん、小学校中退で理学博士の学位を取得なんて今では無理よね。」
「無理だろうな、そもそも今の小学校を中退するって…、不登校でも卒業出来るからな。」
「そうなんだ、じゃあ、大賢者が学校に全く通わず数学に打ち込んだ場合、学位を取れると思う?」
「ルール上は、学術上価値のある研究を修め論文または著書を公刊した者、学術上または教育上、功績があると認められた者が取れることになってるから、それだけの実績を上げれば良いのだろうけど、大学関係に所属してないと色々難しいかも。
 牧野富太郎は東京大学に出入りしていたんだ。
 誰もが認めるレベルの研究実績を世に知らしめるなんて簡単なことではないだろ?」
「う~ん、大学とは関係なく、優れた能力を示した人に権威の有る称号が与えられるシステムってどうかな?」
「能力的に秀でた人がその活動をよりスムーズにする為の肩書ってことか?」
「うん、学歴以上に重みの有る肩書を力の有る人が取得出来るシステムが存在したらって。」
「まともに運用されれば良いだろうけど、変なお金が動きそうだな。」
「う~ん…、判断基準が曖昧だと…、とは言え明確な判断基準って難しいか…。」
「花鈴が判断する重みの有る肩書を生み出すしかないと思うぞ。」
「出来るかしら?」
「そこは親父の名を利用してだな…。
 今は大きな実績が無くても、能力的に優れていると判断した人に適当な称号を与え注目度を上げる。
 そんな形で注目された人達が成果を上げ続けたら、その称号を持つ意味がどんどん高まって行くだろう。」
「そうね、考えてみる価値は有りそうだわ。
 孫正義育英財団とかを参考にすれば良いのよね?」
「だな、その財団生の人数以上に優秀な子がいると思うんだ。
 まだ、日の目を見ていない、もしかしたら学校に馴染めなくて不登校になってる子達がな。」
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二学期-247 [花鈴-25]

「でも、そんな肩書を定着させる為には、私自身の社会的評価を思いっ切り上げる必要が有るのよね?」
「まあ、そうだな、がんばれ、花鈴。」
「もう! お兄ちゃんたら他人事だと思って。」
「適度に親父の力を借りれば良い。
 孫正義育英財団の財団生は既に財団生と言う肩書を持って活動しているが、今の花鈴では財団は設立出来ない。
 でも金銭的な支援に代わる応援は出来るだろ、YouTubeチャンネルを通して。」
「そうね、実際大賢者は孫正義育英財団とは無関係だけど、YouTubeチャンネルで紹介してるから注目されて来てる。
 そこに肩書…、お兄ちゃん、具体的に肩書の名称、何か思い付かない?」
「大賢者を意識しての事なのだから、賢者、若き賢者とかを仮称にすれば良いんじゃないか。
 何なら賢者見習いからスタートするとか。」
「そうね…。
 そうするにしても、お父さんがトップの方が良くないかな?」
「いや、社長としての親父は簡単に超えられるものでは無いが、時間が掛かっても、これからの信者を増やす可能性は花鈴の方が上だと思うんだ、大会社の社長がトップなのは孫正義育英財団に任せて置けば良い。
 今なら、可愛い小学生と言うことが大きな武器にもなる。
 ここに来ている大学生達は花鈴の言いなりになってるのだろ?」
「う~ん…、それは否定出来ないわね、皆さん協力的で。」
「彼らは花鈴の企画に参加出来ることを喜んでいるんだ。
 既に花鈴によってコントロールされている訳で。」
「そこまでは…、まあ、お願いすればほとんどの事は聞いてくれるかしら…。
 お兄ちゃんと考えた人の心を動かすテクニックが上手く行ってるから。」
「小学五年生の掌の上、そこで踊る大学生達に更なる喜びを与えても良いと思うぞ。」
「はは、他人には聞かせられない発言ね。」
「彼らにも花鈴姫から称号を授与して上げるのさ。
 お金の掛からない行為が、どれだけの効果をもたらすのかに、興味が有るんだ。」
「称号の授与か、お遊びの発展形としてなら簡単に出来るけど…。」
「効果はゼロではないだろ?」
「う~ん…、大学生達に称号の授与…、お兄ちゃんの企みを詳しく教えてよ。」
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二学期-248 [花鈴-25]

「ゲームのレベルアップと同じこと、現実社会でだって昇進は嬉しいことなんだ。
 花鈴姫から授与される称号、彼らは既にそれを喜びと感じられるだけ花鈴と絡んで来てると思ってさ。」
「小学生なら嬉しいだろうけど、大学生でも喜ぶと思う?」
「まあ、全員では無いがかなりの人達はお遊びの延長として喜んでくれるし、これから姫として更に尊重してくれる気がする。
 現実社会で姫と言う存在と接することは無いだろ。
 でも花鈴は姫として多くの人に認められてる。
 それは大社長の娘だからと言うことだけでなく指導力を含めてのこと。
 社員の大人達が、一生花鈴姫について行きますなんて話してるのだからな。」
「それは冗談交じりにでしょ?」
「いや、企業買収によって株式会社花鈴の社員になった人達は、待遇が随分改善されたと喜んでた。
 花鈴としては本来のレベルにしただけのことでも、彼らにとっては大きなことなんだ。
 実の所は田中社長の力が大きいのだけど、株式会社花鈴だから彼らは会長である花鈴に感謝してるのさ。」
「お父さんは、そんなことも考えて株式会社花鈴にしたのかな?」
「それは分からないけど、花鈴をシンボルとする会社なら人に優しい会社で有り続けると感じたよ。
 実際そうだろ?」
「ええ、ブラック企業の会長になんてなりたくないもの。
 でも、色々な裏技を使わなくては黒字に出来なくて、ひとえに田中社長の手腕なのよ。」
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二学期-249 [花鈴-25]

 兄の考えは私をバーチャル国家の姫とし、大学生を始め私達の仲間に国民となってもらうことから始まる。
 これから知り合って行く能力的に優れた人達も、始めは国家の賢者と言う称号授与から。
 仲間達にもその資質に応じて称号を授与して行く。
 YouTubeチャンネルでアピールする程度のバーチャル国家、簡単なお遊び感覚でスタート。
 大賢者の様なギフテッドの人達の活動に対して直接金銭的な支援は出来なくても、必要で有ればYouTubeチャンネルでアピール、支援を呼びかけるぐらいの事は出来る。
 何時かはバーチャル国家の賢者と言う肩書を世間に浸透させ、一目置かれる存在したいものだ。
 それを大賢者に話したら…。

「へ~、面白いかも、で、国家の名称は?」
「そこが問題なの。
 親しみ易いのが良いけど、バーチャル国家の賢者と言う肩書には重みが欲しいでしょ。」
「確かにふざけた国名ではダメだな…、英語表記も必要だ。
 でも、そもそも国名ってどんな感じで決まるのだろう?」
「そうね、調べてみるわ…。」

「花鈴姫、どうだった?」
「へ~、ってのが色々有ったわ。
 でも一番は、日本がジャパンと呼ばれることになった経緯。
 マルコ ポーロが東方見聞録の中で日本の事をジパングと書いたのが由来との説が有ってね。」
「マルコ ポーロか、社会科の資料に有ったな、それで?」
「マルコさん、実は日本に来てなくて、中国人から日本のことを聞いて東方見聞録を書いたのだとか。」
「へ~。」
「それで当時の中国の漢音と言う読み方では日本をじっぽんと発音したらしいの。
 ほら、日と言う漢字は一日の長とか、じつとも読むし、本も一本の様にぽんとも読むでしょ。
 だからじっぽん、それが元になってジャパンになったって説が有るのよ。」
「じっぽん、ジパング、Japanってことか、どうしてJapanなんだって思ったことは有ったけど調べなかったな…。」
 それからね、アメリカが、イタリア人の探検家アメリゴ・ベスプッチの名前に由来してるのは、まあ、まともだけど、カメルーンはポルトガル人が大量のエビに驚いてリオ・ダス・カマロネス、エビの川と名付け、そのカマロネスが、やがてカメルーンとなったとか。
 ケニアに有るケニア山は標高が高いから赤道直下でも雪が積もり、その山頂がダチョウの頭に見えるから、原住民族のカンバ族の言葉でキーニヤ、ダチョウの山ってのがケニアの呼び名になったといわれてるそうなの。
 イタリアは古いラテン語で牛を意味するビタロスに由来するのだとか。
 イタリア半島南部で多く放牧されていた牛を見てギリシア人が命名したと言う説が有り、統一イタリア王国が1861年に成立したときに国名として復活したとか、国名の由来に関してはその他色々。」
「そっか、ならば花鈴姫のバーチャル国家は、面白い由来が有って語感の良い国名をでっち上げれば良いんだな。」
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二学期-250 [花鈴-25]

 バーチャル国家構想はアッと言う間に仲間内に広がり、直ぐにナイトの称号を希望する人が現れた。
 だがバーチャル国家とは言え、騎士と言う設定の人がどんな仕事をするのか分からないからと保留。
 ただ学生達は名称、称号の意味について考え始め、合宿所のマネージャーに新国家財務大臣の称号を授与するまでに時間は掛からなかった。
 そしてバーチャル国家の正式名称は、色々な案を検討した結果、花鈴姫によって統治されるラブアビス国と。
 ラブアビスの由来はラブアンドピースだが、花鈴姫によって統治される、と付け加えることで重みが増すのだとか。
 これらは私の仲間達が勝手に盛り上がった結果で有り、そこに私の意見は反映されていない。
 そう、兄と私で切っ掛けを作ったお遊びは勝手に動き始めたのだ。

「花鈴、花鈴姫によって統治されるラブアビス国はどうなってる?」
「思ってた以上に盛り上がってるわよ、お父さんにも姫の父親として何か称号を授与しようか?」
「それは嬉しいね、ただ年寄りくさいのは勘弁してくれよ。」
「ふふ、大学生の一部は長老候補になってるのだけどね。
 出来たばかりのバーチャル国家に二十代の長老が誕生するのよ。」
「田中社長は?」
「始めはご迷惑かとも思ったのだけど、大長老として長老達をまとめて行く方向になってね。
 バーチャル国家ラブアビス国の発展の為にと、一番張り切って下さってるかも。
 外に向けて発信するお遊びとして、大いに発展させ活用して行きたいと話しておられたわ。」
「仮想国家は幾つかの観光地が取り組んでたからな。」
「通販事業は株式会社花鈴で執り行うより、ラブアビス国名義の方が顧客を惹きつけらそうでケーキ屋さんも協力してくれることになったの。
 ここで採れたブルーベリーを使った、ラブアビス国オリジナルの商品を検討して下さっていてね。
 ラブアビス国のオリジナルイメージデザインが出来たら積極的に使うとも。」
「そんなデザインはもう発注して有るのか?」
「学生さん達からは、取り敢えず美大生の友人に声を掛けてると聞いてる。
 友達関係で良いのが出て来なかったらプロに相談となるのかな。」
「そうか、例え援助したくなった芸術家の卵の作品で有ってもイメージデザインでは妥協するなよ、売れ行きに大きく影響するからな。」
「うん、そのことは大長老が皆に話してくれたわ。
 自分が良いと思っても大衆受けするデザインで無いと売り上げに影響にするからと。
 いくら良い商品でもパッケージのダサさで売れないことが有るのでしょ?」
「ああ、ただ…、ダサさが受けて売れることも有るから難しいのだけどな。」
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