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第二の故郷運動-1 [復興へ向けて]

「えっ、マイカテゴリーは『復興へ向けて』なんですか?」
「ああ。」
「先生、少し早すぎませんか? まだ復興どころじゃないでしょうに。」
「確かに被災地はそれどころじゃないだろうね、でも色々な意味で今から考えていくべきことじゃないのかな。」
「色々な意味ですか?」
「一つは被災した人達に夢を持ってもらいたいってことがある。」
「夢ですか?」
「津波によってガレキの山と化してしまった町を見て絶望するのは当たり前のことで、特に今回は津波の威力を皆が思い知ってしまったし、原発の問題だってある。
中途半端な復興計画なんて、また津波が来たらと考えるとできないと思うんだ。」
「確かにそうです、現実を考えたら、夢なんて持てなくなってしまいそうですが。」
「だからこそ、今、復興に向けて大胆なことを考える必要が有るのさ、実現が不可能に思えることだって、皆で語り合っていく内に道が開けるかもしれない、最初からあきらめていたら何も始まらないからね。」
「そういうものですか。」
「そして、それには被災地の人の力だけでは無理がある。」
「ですよね、報道を見ていると今日を生きていくのに精一杯って人も少なくないみたいですから。」
「で、まずは第二の故郷運動だ。」

「第二の故郷…、あっ、そう言えば『権じいの村』の中でもそんなことが出てきましたね。」
「うん、元々は人口が都市部に集中する今、地方を活性化させる一つの手段として有効じゃないかと思ってたんだ。
まずは参考までに『権じいの村-4 雪の日に-6』と-7かな…、簡単に言ってしまえば人と人を結びつけるものには地縁血縁などがあるけど、それだけじゃないってこと、精神的な距離についても考えて欲しいってとこだね。
『権じいの村』の中では簡単にしか書いてないけど、学生たちがもともと地縁も血縁もなかった地を、様々な活動を通して自分の第二の故郷とし、震災後の復興に熱心に取り組むって感じかな。」
「う~ん、と、いうことは今回の被災地を、都市部に住む者たちが第二の故郷として支援ということですか?」
「そういう環境を整えたいね。
大きな災害だって自分と無関係であれば、落ち着いてきたらすぐに忘れてしまう人も少なくないと思うんだ。」
「ですよね、自分もそうだと思います。」

「今はね、東北や関東の被災地を応援しましょう、で良いと思う。
でもね落ち着いてきたら、いや、落ち着く前に、もっと個々の被災地を自分と近しいものとしておいて欲しいと思うんだ、今まで全く知らなかった土地でもね。
それも、漠然と岩手県を、というより一つの町とかに絞ってさ。」
「その意味は?」
「より近しいものとするためかな、岩手県に住んでる人を応援します、というのと釜石市の釜石小学校の子たちを支援しますとでは精神的な距離感が違うってことだね。
もちろん県も応援してあげて欲しい訳なんだけど、今回のような広域災害では、ピンポイントの支援ということが有効だと思うんだ。」
「ピンポイントですか?」
「ああ、どこの自治体が、何県を、何市を、何町を支援するといった取り組みがきちんと出来上がればより効率的な支援が出来るかと思う。
被災地に知り合いのいない人でも自分の住む地の自治体がどこを支援するかがはっきりしてれば、そう寄付したお金がどこでどう使われているか分からないよりは、地元の自治体の支援活動が、はっきりと、どこの住民のために行われているか分かっていた方が応援のしがいもあるんじゃないかな。」
「確かにそうですよね。」
「個人レベルでも…、この災害を機に、日本中の人が被災地に第二の故郷を持てたら、血縁にも地縁にもよらない繋がりを深めることができたら、単なる災害からの復興というレベルではなくなると思うんだ。」
「う~ん、夢のような話しですね。」
「まあな、でも…、実現したら、被災者の方々に、単なる復興に留まらない、災害前以上の地域作りという夢を持っていただけるのでは、と考えているのさ。」
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第二の故郷運動-2 [復興へ向けて]

「具体的にはどんな形になるのですか?」
「まずは調査と情報の整理の前準備に始まる。」
「前準備ですか?」
「うん、今回のように広域に渡る災害では、調査も少人数ではできない。
当然関係する団体も多くなるだろう。
でもその団体が自分たちの基準でバラバラに調査したのでは、整理がしにくいし全体を考えたい時に分かりにくいものとなってしまう。
だから、災害の調査本部を設置して、まずは調査項目を整理して、調査結果報告書の書式を決める必要がある。
理想は誰が調査しても概ね同じ報告がなされるという調査体制作りということだ。」
「なるほど、でも今の政府の動きを見てると…、できますかね?」
「色々問題が出てきそうだね。
できれば関西とか中京とかの大学に調査本部を設置して欲しいな。」
「今の関東じゃ落ち着かないでしょうからね。」
「ああ、九州とかでも良いけど現地までの距離を考えるとね。
え~と、もっと具体的な形で形を描いてみようかな。」
「はい。」

「まず、中部以西の大学に災害調査本部を置く。
本部長には大学教授になっていただく。
ここでは、変に政治がからまないことと、大学間の利害関係を超えての決定が望ましい。

作業としては。
・調査内容の確定。
これは、あくまでも復興に向けての調査とするか、記録的な内容も含むかなどによって変わってくる。
・調査員の確保。
ある程度の知識があれば、素人でも学生でも良いと思う。
・調査方法の確立。
調査員の資質によって大きく左右されることない調査マニュアルの作成。
・調査結果報告書のフォーマット(書式)決定。
地図一つにしても、例えば津波によって浸水した地域を何色で表すか、といったことでも統一しておかないと、情報整理の段階で効率の悪いことになってしまう。
・調査日程の調整。
必ずしも同時に行う必要はないと思う。
調査活動が被災者への支援活動に差し障りのない状況でできるようになった地域から進めていけば良い。
・確認と見直し
一回目の調査終了時点で漏れがないかのチェックが必要。
また状況の変化とともに、情報の更新が必要となってくる。

とにかく地図作りが重要だと思う。
被害状況の地図一つにしても、色々な尺度の地図が必要。
一つの地区をじっくり見れるものと、その周辺部との関係を確認できるもの、そして広域を確認できるものといった具合に。
但し精度とスピードの問題がある。
より正確なものが望ましいが、そのために作成まで時間がかかり過ぎてもよくない。
後での修正も視野に入れての作成という考え方もある。」

「なるほど、で、こういった活動は何時頃から?」
「すぐにでも取り掛かって欲しいけど…、予算の問題もあるだろうからね…。」
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第二の故郷運動-3 [復興へ向けて]

「と、いうことは、第二の故郷運動、すぐには動けないということですか?」
「そうだね、ここではきちんとした調査結果に基づいた復興支援、という観点から話し始めたから時間のかかる話しをしてきたけど、被災者に対する緊急支援活動、という観点からなら、すぐにでも色々できるんじゃないかな。」

「例えば?」
「第二の故郷運動の基本的な考え方はね。
そうだな、百の要支援地区があり、百の支援者がいるとする。
こんな場合、今までだったら、百の支援者たちは、百の要支援地区全体を見て考え支援するということが基本だった気がするんだ。
それはそれで良いことなんだけど、第二の故郷運動では、百の中の一つの要支援地区に一の支援者が手を差し伸べるということなんだ。」
「結果は同じじゃないんですか?」
「はたしてそうだろうか?
百に対して手を差し伸べようとするのと、一に対して手を差し伸べようとするのでは、物の見方がずいぶん違ってくると思うのだけどね。」
「う~ん。」

「今回の被災者支援に当てはめてみようか。
燃料や交通事情によって仕方なかった部分もあるかもしれないけど、支援物資が届きにくい避難所もあった、否、今もあるかもしれない。
それは、支援者側が『宮城県の被災地へ』という形で送っていたことにもよると思うんだ。」
「でも今回のような大規模災害では普通のことですよね。」
「その通りだ、情報が限られてもいるからね。
でもね、支援物資が宮城県の○○小学校の避難所へ、となっていたらどうだろう。
少なくともその物資に限っては目的地を持って動いていくから、○○小学校の避難所へ届く確率は高く、届くまでの時間も早くなる可能性があると思うんだ。
ただ、情報不足の初動支援で皆がそうしたら、物資が全く届かない避難所も出てしまう恐れがあるわけだけどね。」

「ですね、でも、今なら漠然と物資を送るのではなく、必要としている地域へ必要としている物資を必要なだけ送ることは、情報がきちんと発信され、整理された形で受け止められ、応えられた上でなら…、そうですね明確な目的地を持って物資が動くのなら、ずいぶん効率が違ってくるかもしれませんね。
中継地でこれはどこへ送ろう、なんて考えなくても良い訳ですし。」
「そう、そして、送り手が、送り先を自分たちの第二の故郷と考えてくれたら、単なる物資援助作業がずいぶん違ったものになってくると思わないかな。」
「心の持ち方が、ってことですね。」
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