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近衛予備隊-61 [高校生バトル-49]

 昼食後はリハーサル、写真を使いながらの説明は何とか形になりつつ有ったが、昨夜アドバイスされた、気持ちを乗せて話すと言うことは難しく魅力的な話し方には程遠いと感じている。
 どうすれば良いのか行き詰り気味の所へ約束通り仕事を終えた彼女が来てくれた。

「どう、形は出来た?」
「一通り出来上がりはしたのですが、気持ちを込めた魅力的な話し方と言うのが出来なくて。」
「難しいものね、まずは一通り見せて貰えるかしら。」

 見てくれる人が居るのと居ないのでは大違いだ。
 シャルロット達の表情も柔らかくなり笑顔も、俺達は彼女に伝えたいと言う思いで話せたと思う。

「良いじゃない、変に作り過ぎるより今のままで良いと思うわよ。」
「誰もいない空間に向かって話すのと、伝える相手がいるのとでは大違いですね。」
「確かにね、明日も今みたいに出来そう?」
「プリンセスの前なのよね…、緊張するだろうな…。」
「プリンセスに会えるのは嬉しい事では無いの?」
「勿論名誉なことでも有り、嬉しいですが…。」
「私はプリンセスと話せると嬉しくてね、とても優しい方で…。
 そうね、プリンセスに村のことを伝えられて嬉しい、そう思って話してみたらどうかしら。
 緊張してる人の話を聞くよりプリンセスも喜ばれると思うわ。」
「成程、ルーシーも今の笑顔なら大丈夫だよ。」
「あれで良いのなら、少し気が楽になったかな。」
「今の感じなら問題ない、変に考え過ぎるとかえって悪くなるから、準備OKと言うことにして食堂でお茶にしましょう。」

 彼女の言葉に従い、俺達は部屋を片付け食堂へ向かった。
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近衛予備隊-62 [高校生バトル-49]

 食堂でお茶を飲みながら。

「明日はリラックスしてプリンセスとの時間を楽しむのよ。」
「はい、でも、近衛隊の人から見てプリンセスはどんなお方なのですか?」
「そうね、普段は普通の女の子だけど、仕事になると指示は的確で尊敬されてる上司なの、でもフレンドリーな方なのよ。」
「写真や動画だけではイメージ出来ないのです。」
「でしょうね、表に出る時はプリンセス詩織としてのイメージを大切にされていて、特殊な王家と言う事情も有るのだけど。」
「ですよね、特殊な国家で国王を中心に貧困を無くし社会的弱者に優しいと学びました。」
「他では真似出来ないでしょうね。」
「隣村の目指しているところでは無いのですか?」
「小規模でなら近い所までは出来るかもだけど、私利私欲の塊が策を練って妨害して来るのよ。」
「そう言うものですか…。」

 そこへ昨夜お世話になった人が…。

「おっ、ジョン、今日は夫人二人を御同伴か?」
「あっ、昨夜は有難うございました、おかげでプレゼンテーションの形が出来上りました。
 えっと、シャルロットとルーシーです。」
「よろしくな、良い機会だからみんなを紹介するよ。」

 閉店前パフォーマンスの準備が有るのでゆっくりは出来なかったが、彼は今日のパフォーマンスに参加する人達を紹介してくれた。
 その後は食堂へ来た近衛隊の人達に紹介されまくる、店の閉店前は外仕事を終えてシャワーを浴びに来た人など、閉店後は店内で働いていた人達と続いたのだが、皆さん俺達が明日プリンセスの昼食会に招かれていることを知っていて、一様に楽しんできてと声を掛けてくれた。
 多くの人達がプリンセスと話すことを楽しい事だと認識していると知り、俺達の緊張感も一気に解けたが、それは皆さんの笑顔が素敵だったことにもよる。
 
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近衛予備隊-63 [高校生バトル-49]

 プリンセス詩織の宮殿は近代的な建物、プリンセスがこの地を離れた後は、その記念館とグッズを扱う店、そして近衛隊が宿泊している部屋はホテルとなる。
 外からは見ていたが中に入るのは初めて。
 行くまでは入るのに戸惑うかと思っていたのだが、正面玄関に立っていたのは昨日紹介して貰った人で何の問題も無かった。
 リハーサルの為、早めに到着することも伝わっていて、直ぐ小ホールに通される。
 準備は終わっていて、お茶を出して貰う。
 一息ついた所で、担当の方々とメアリーにリハーサルを見て頂く。
 暖かい目で見られているので話し易く、一回で合格点を頂いた。
 
「ホントに何でも卒なくこなして可愛気のない子達だわ、今日の本番ぐらいは可愛らしい所を見せて欲しいものね。」
「メアリー、歓迎式典では言われてた凛々しくが出来なかったのですよ。」
「あれで?
 充分凛々しかったわよ、またファンが増えたでしょ?」
「どうですかね…。」

 そこへエミリーが入って来てプリンセスの準備が出来たから謁見の間へと言われた。
 謁見の間へ通される来客も俺達が初めてだそうで何か嬉しい。
 エミリーの後をついて行くと衛兵が趣のある扉を開けてくれた。
 中は少し薄暗かったが、奥の椅子に絶世の美女が座ってることを認識するまで時間は掛からなかった。
 俺は神秘的な光を放つ女神さまを前にどうすれば良いのか分からなくなり、数秒間突っ立ったままに。
 打ち合わせでは三人揃って敬礼をする予定だったのだが、俺は跪くことにした。
 それしか思い浮かばなかったのだ。
 シャルロット達も俺に倣う。
 女神さまは神妙な顔で静かに…。
「よく来て下さいました、この宮殿は如何です?」
 俺に向けられた言葉で俺が返事をしなくてはならないと認識したのだが…。
「は、はい…、え~っと、す、素敵なたたたた建物で…。」
「そんなに緊張しなくて良いのですよ。」
「そ、そう言われましても…。」
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近衛予備隊-64 [高校生バトル-49]

 そこで何故か女神さまは随分違った口調になり…。

「どう、女神さま的演出は?」
「えっ?」
「光り輝く女神さまに見えなかった?」
「め、女神さまそのもので…。」
「凄いでしょ、日本企業のスタッフが仕上げてくれたのよ。」
「えっと…、光って見えるのは…?」
「この衣装を纏ってここに座ってると誰でも、こんな風に見える仕掛けになっていてね。
 コンセプトは女神の奇跡なんだけど、実際は技術力の奇跡なの。」
 そう言って立ち上がり俺達に近づいて来たプリンセスは、光ってこそいないがとても綺麗だった。
「光っていなくても女神さまとしか思えません。」
「ふふ、それだけのインパクトが有ったのね、光って見えるシステムはどう活用して行くか検討中だから暫くは内緒にしておいてね。」
「は、はい。」
「セバスチャン、カーテンを開けて。」
 プリンセスがそう言うとカーテンが静かに開き始めた。
「これは、音声を認識してスイッチが入るシステム、知ってた?」
「いえ。」
「試してみる?」
「は、はい。」
「じゃあ、セバスチャン、と言ってから明かりを消してと命令してみて。」
 言われた通りにしたら照明が消えた。
 シャルロットとルーシーも照明や扇風機で試させて貰う。
「これが最新の技術ですか…。」
「そうね、商品化されてから改良されて反応が良くなったかな、出始めの頃は上手く動いてくれないことも少なからず有ったのよ。」
 俺達が家電で遊んでる間にお茶が運ばれて来た。
「さ、お茶にしましょう。」
 用意されたのは小さなテーブルに四脚の椅子。
 自分の目の前にプリンセスが…。
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近衛予備隊-65 [高校生バトル-49]

 プリンセスとのお茶は始め緊張したが、彼女はプリンセスを名乗ってるだけの普通の人間だと自身のことを話してくれ、俺達への質問は答え易いものばかり、気が付いたら優しいお姉さんと話してると言う感じになっていた。
 緊張が随分解けたところで、エミリーからプレゼンテーションの時間だと告げられホールへ移動。
 プレゼンテーションは問題なく終わり昼食となる。

「ジョン、村を改革して行くことに対して村長はどう考えているの?」
「プリンセス、村長はお年で村の改革について話しても曖昧なことしか口にしませんでした。
 実は最近村人をまとめきれなくなりつつ有りまして…、そもそも村長になった経緯も微妙、選挙で選ばれた村長では無いのです。」
「交代すべきレベルなのね、で、ジョン、私のことは詩織と呼んでくれないかしら。
 企業戦略として勝手に名乗ってるだけのインチキプリンセスなのだから。
 詩織と呼んでくれたらとても嬉しいのだけどどう?」
「全然インチキではないと思いますが、光栄なことです。」
「ルーシーとシャルロットもお願いね。」
「はい。」
「それで、その村長に関して交代の予定は有るの?」
「難しいです、貧乏な村で村長をするメリットはないですから。」
「給料はどうなってるのかしら?」
「特に決まりはなく、村人から贈り物を貰えるとか、そんな程度です。」
「そっか、この村と似た様なものなのね。
 この村の村長もお年だから交代して頂く予定なのだけど、ねえ、ジョンがこの村の村長になって村の合併を進めて行くってどう?」
「えっ、自分がですか?」
「村の業務はうちのスタッフが進めているから、村長としての仕事は合併、もしくは実質的な合併状態を作り出すことと、とても若い村長として目立つこと。
 所属は近衛隊、つまり近衛隊の全面協力が得られるわ。」
「自分が近衛隊の一員ですか?」
「嫌なら無理にとは言わないけど。」
「嫌な訳ないです。」
「村役場は建設中だけど、その隣にジョンが嫌でなければ村長の公邸を建てたいと思ってるのよ。」
「住まいまで用意して下さると言うことですか。」
「但し、公邸だから家族を住まわせるとかは無し、結婚するまでは一人暮らしになるけど、維持管理と身の回りのことはスタッフがやってくれる、勿論シャルロットとルーシーがその役目を担当してくれても構わないわ。」
「そこまでして頂けると言う事は責任重大な任務が有るという事ですね。」
「ええ、この村の代表として広報活動を中心にね、私達が次の村へ移動した後を盛り立てて欲しいの。」
「そんなことは以前から言われていたことですので。」
「返事は急がないからじっくり考えて結論を出してね。」
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近衛予備隊-66 [高校生バトル-49]

 とてつもなく良い話なのでその場でも返事出来たが、即答せず近衛隊の人に相談しよう思ったのは、プリンセスの指示とは言え近衛隊メンバーがどう考えているのか分からないからだ。
 自分の様な子どもから大人になりつつ有る、まだ学ばねばならないことが沢山有る半人前が名誉ある近衛隊の一員と成ることに抵抗感を抱く人が居るかも知れない。
 その後…。

「これまで頑張ってくれたお礼にプレゼントが有るのだけど受け取ってくれる?」

 そう言って三人に渡されたのは小さな包み。
 開ける様に言われ、包みを開くとスマートフォンが出て来た。
 商品として見ていたので知ってはいたが、高価なもので使えるエリアはまだ狭い。

「駅までの道路沿いで使える様にしたから、あなた方の部落でも大丈夫、私の電話番号とメールアドレスは登録済だからね。
 ルーシー達のカラーは二人の双子コーデに合わせて貰ったのよ。」
「こんな高価なもの、頂いてもよろしいのですか?」
「ええ、高価かも知れないけど、私にとっては安いものだから気にしないで、今まで色々なことをして来たからお金は有るの、でも考えてみて、人が生きて行くのに贅沢しても必要な金額は限られるでしょ、必要以上に頂いてるお金は色々な形で使って行かないと経済が回らないのよ。
 こうしてプレゼントすれば店の利益となりメーカーの利益になるでしょ。
 ただ基本的な料金はこちらで負担するけど、一定時間を超えた通話料は給料から引かれるから気をつけてね。
 詳しくは後でメアリーから聞いてくれるかな。」
「はい、有難うございます大切に使わせて頂きます。」

 そこからは雑談レベルの話が続いたのだが…。

「ねえ、ルーシーの足はどんな感じなの?」
「生まれた時から悪くてお医者さんに診て貰ったことも有るのですが治らないと言われたそうです。
 成長の過程で痛むことが有り、その度に治療費の掛かる困った子でした。」
「治療って駅の有る町の診療所?」
「はい、近くにはあそこしか有りませんので。」
「あそこはね…、少し調べたのだけど怪しいのよ、明日もう一度ここへ来られない?」
 ルーシーはエミリーを見た。
「大丈夫よ。」
「ここの診察室に予約を入れておくから午前中にいらしゃい、一度きちんと診て貰いましょう。」

 プリンセスによると、この国の医療制度はかなりいい加減で医学の知識に乏しい人が医者を名乗ってることも有るそうだ。
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近衛予備隊-67 [高校生バトル-49]

 昼食の後も二時間程話し込んでいたのでプリンセスとは随分長い時間一緒にいたことになる。
 その後、俺達は直ぐに帰らず宮殿の休憩室でメアリーからスマートフォンの使い方を教えて貰った。

「基本操作はこれぐらいかな、慣れて来たら応用も教えるけど兎に角注意事項は守ってね。
 使い方を誤ると様々なトラブルが待ち構えていると思って、でも使い方を間違えなければとても便利なアイテムだから使いこなして欲しいわ。」
「ですね、有効に使わなければプリンセスに申し訳ないです。」
「ねえ、ジョンは村長になる話、どう考えてるの?」
「自分にとってとても良い話だと思っています、ただ、自分の様な半人前が名誉有る近衛隊の一員となることに皆さんが反感を覚えないか心配で…。」
「なら、この後、皆にプリンセスから言われたことを伝えて、どう思うか単刀直入に聞いてみたらどうかしら?」
「はい、そうします。」
「そろそろ早番の連中が戻って来る時間だからね。」

 隊員の皆さんと話すのは簡単だった、こちらから声を掛けなくとも自分達を見つけると声を掛けてくれたからだ。
 皆さんにプリンセスからの提案を説明すると、一様に喜んでくれ応援するから仲間になる様にと話してくれ、自分の思っていたことが杞憂だったと分かった。
 皆さんとは何故かそのまま盛り上がり、前祝だと飲み物や食べ物が持ち込まれ始めただけでなく、皆で見られる大きな村の地図、何故か俺達の村まで入ったものを持て来てくれる人もいて、村の整備計画を話してくれた。

「当初の案を見直し、基本的にこの村は公園と商業施設娯楽施設だけにし、今有る寮はホテルにしたいと考えているんだ。
 それだけの需要は生み出せそうだからね。」
「寮は隣村にと言うことですか?」
「ああ、隣村には病院を建設したいし道路沿いには飲食店を増やして行きたいね。」
「プリンセスは合併か合併状態にと話されていたのですが、そういった構想が有ったからなのですね。」
「うん、実はジョンに通訳して貰ってキャンプ場や寮の建設予定地を確保した後、別の通訳を頼んで更に話を進めて来たのだけど、ジョンが間に入ってくれた時ほど進展しなくてね。
 合併を前提にこの村の次期村長を考えた時、候補がジョンしか浮かばなかったんだ。
 ジョンの村からここへ働きに来てる人はそれなりにいるのだけどな。」
「そうでしたか…。」

 その時、ルーシーのスマートフォンが鳴った。
 それはプリンセスからでルーシーに明日の診察時間を伝えるものだったが、途中で代わって貰い…。

「詩織、村長の話し、お受けしたいです、よろしくお願いします。」
「決断してくれて嬉しいわ、では明日、ルーシーの時間に合わせてシャルロットと三人で来てくれる?」
「はい、分かりました。」
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近衛予備隊-68 [高校生バトル-49]

 翌日、俺は店へ寄り村長に関することをフロアマネージャーに伝えてから宮殿へ。
 マネージャーは、すでに連絡を受けていて応援するしフォローするだけでなく、たまにフロアーチェックをするだけで良いからサブフロアマネージャーの肩書は残すと話してくれた。
 宮殿へ着くとエミリーは診察室へ俺とシャルロットは会議室へ案内されたが、自分達の到着を待っていたかの如くプリンセスを含め七人の人が入って来た。
 まず紹介されたのはスティーブ、村造りの総指揮を担う人で昨日、地図を見せながら村の整備計画を教えてくれた人だ。
 メアリーは予備隊の設立に当たり俺達の村との関りが深いということも有り暫く手伝うとのこと。
 他の四名は各部門のリーダーとしてメアリーと共に来ていたそうだが初対面だった。
 プリンセスは…

「このメンバーにルーシーを加えたメンバーで村の整備計画を見直して貰います。
 ジョンは一か月後に村長への就任式を行い、その時点で予備隊から近衛隊の正式メンバーとします。
 予備隊隊長はそれまでの間に引き継いで貰いますが、第三部隊の指揮官として部隊を掌握して下さい、またサブフロアマネージャーの肩書はそのまま残します。
 フロアマネージャーは広い見識をお持ちの方ですので彼から学ぶことはまだまだ有りますからね。
 シャルロットとルーシーには学習を進めて貰い、指導に当たっているエミリーが認めた段階で近衛隊メンバーへの昇格を検討します。
 ジョンからは何か有りますか?」
「はい、村長に、また近衛隊メンバーにと言うお話は身に余る光栄で感謝の言葉しか有りません。
 有難う御座います、そして宜しくお願いします。
 昨日スティーブから教えて貰ったことを元に考えてみたのですか、村の合併に向け、まずは予備隊に動いて貰おうと思います。
 彼らに理解して貰い村人達に伝えて貰う為です。
 この国で村の合併例をネット上で見つけることは出来ませんでしたので、合併が可能なのかどうかは分かりませんが、実質的な合併状態を作り出す第一歩として住民投票を考えました。
 まず、投票に向けて登録をして貰い、登録した人だけが投票出来る形にしたいと思っています。
 本来なら公的機関が戸籍を管理し住民票を管理するそうですが、この辺りは国から見捨てられた土地ですのでそう言ったものが有りません。
 今後は教会に有る資料を基に村人の戸籍管理と住民管理の体制を、第三部隊の幹部に手伝って貰いながら構築して行きたいと思います。」
「大切なことだものね、まずは合併によってどんな利益がもたらされるのか、第三部隊のメンバーが伝え易い様にする必要が有るわね。」
「はい。」
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近衛予備隊-69 [高校生バトル-49]

 そこから村の整備に関する具体的な話になったが、彼らの中で話はすでに進んでおり自分の考えを問われることが多かった。
 俺が気になっていたのは…。

「インフラ整備を隣村でも進めるとして、その費用負担をどの様な形で村人に課して行くのが適切なのか今一つ見えていません。
 会社側の好意に甘えるだけでは良くないですから。」
「現状では、負担出来るだけの収入が無いみたいだな。」
「はい、こちらへ働きに来ている人には余裕が出来つつ有りますが、ここで費用負担を多く求めては労働意欲がそがれてしまうと思うのです。」
「まずは、ジョンの部落を整備して、その使用料をジョンが負担してることにすれば良いんじゃない。」
「自分に負担出来る額なら構いませんが。」
「工事には多額の費用が掛かっても施設は長年使えるもの、利用料金はジョンが無理せず部落全体の分を払える金額にすれば、他の社員でも協力して払える程度になると思うわ。」
「ジョンは少なくとも近衛兵としての給料に村長手当などがついてそれなりの額になるからな。
 足りなければ金儲けの手伝いをするよ。」
「え~っと、副業と言うことですか?」
「いや、本業の範疇でジョンのグッズが売れたり、YouTubeに出たりした時には結果したいでそれなりの報酬が保障されているんだ、権利としてね。」
「沢山稼いで、村のインフラ関連料金を取り敢えずジョンが全部払って恩を売ると言うのも有りじゃないか。」
「具体的な金額が、料金面も収入面も見えてませんので何とも言えませんが。」
「ねえ、プリンセスが料金を建て替えてることにして、お金に余裕が出来た人はプリンセスに返して行くと言う形はどうかしら、誰がいくら返したかは明示するけど返金を強要することなくさ。」
「それならプリンセスに対して感謝の念が強まるし、ジョンが率先して返して行けばそれに倣う人がいるかもな。
 僅かずつでも構わないのだから負担になりにくいだろう。」
「働いて返すと言う選択肢を用意するのはどう?」
「誰にでも出来る様な仕事は有りますか?」
「農地改良工事なら手伝い易いし、その成果を見て自分の所もとなるのではないかな。」
「改良する農地は確保出来てるのですか?」
「そう言った交渉をジョンにお願いしたいのさ、我々では誰に頼めば良いのか皆目見当もつかない。」
「それならうちの農地を出させますよ、うちの集落は第三部隊の幹部が多くて金銭的にも潤って来ています。
 土地を肥し作物もここの気候に合ったものに変えるのですよね?」
「ああ、ここは、駅の辺りより少し高くて気温が低めなのに同じ作物を栽培してるから効率が悪い、もっと高く売れる作物を栽培して、ここで売ることを推奨したいね。」
「話は、簡単に付けられますのでお願いします。」
「やはり、現地の人が居ると話が早いわね、直ぐにでも取り掛かりましょうか。」
「はい、プリンセス。」
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近衛予備隊-70 [高校生バトル-49]

 建設計画は工事の進んでいるキャンプ場整備に続いてその近くに予定していた寮建設に着工、その進捗に関わらず上水道の整備は俺達の部落までを含めてキャンプ場から延伸と言う事になった。
 上水道は飲用と料理用に限定する為、規模を抑え気味に出来るそうだ。
 シャワーなどの施設を充実させる時は、現在川から引いてる水を簡単に濾過して使えば良いとのことで、部落にシャワー室を作る時は趣味で色々作っている人を紹介してくれることに。
 トイレは自分達の給料と当面の水道代などを見てから考える。
 下水処理は個別に浄化槽を設置して行く。
 取り敢えず部落の衛生環境が改善される目途が立ち始めた。

 俺の役目は、村人達へ合併や上水道整備に向けての説明、農場を農地改良試験に提供することなどの調整になるが、まずは予備隊幹部の理解が必要だ。
 現状を整理し準備した上でエミリーとも相談した所、関連することを授業に組み込み自分が皆に説明する時は同席してくれることになった。

「ジョン、エミリーが同席してくれるのなら心強いわね。」
「ああ、俺の口からだけだと村長のことなど誤解されかねないからな。」
「何か色々なことが一気に回り始めたわね。」
「ルーシーは足の手術が決まったから尚更だろ、日程は決まったのか?」
「来週末と言われたわ、必要な物が日本からの船便で届くそうで。」
「町の医者には治らないと言われていたのだよな。」
「ええ、診察室のお医者さんは、多分ここの町医者では知識も技術もないだろうって話してた。
 私みたいな人はこの国に少なからずいるとも。」
「大変な手術なのか?」
「昨日、詳しいことを教えて貰ったのだけど、手術よりその後のリハビリの方が大変みたい。
 今までずっと使って無かった筋肉を使う様になるし体のバランスが変わるそうで。」
「成程、最初に聞いた時は奇跡かと思ったけど、全然そんな感じではないのだな。」
「それでも私にとっては奇跡だわ、そしてプリンセスのお蔭で歩ける様になったと話せば、村人達には奇跡的出来事として広まると思わない?
 そうなれば村の合併にも良い影響が有るのではないかしら。」
「奇跡的なことを利用するのはプリンセスが話してたものな。」
「そうそう、申し訳ないけど術後暫くは宮殿で暮らすことになったの。」
「その方が安心だ、俺とシャルロットは宮殿への出入りが自由にして貰えたから遊びに行くよ。」
「そっか、親衛隊になるのだからその準備も有るのね。」
「プリンセスは俺を色々な人に会わせたいそうだけど。」
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