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近衛予備隊-431 [高校生バトル-86]

「もしかして、社会の重要な役どころ全てに近衛予備隊を配置とか?」
「ええ、リーダー教育の場は他に有りません、中学生でも頑張れば企業の中枢で働くことは可能ですが、真面目に上を目指す子は高校生になります。
 政府機関を始め、あらゆる分野で近衛予備隊がこの国を引っ張る様になるのが今の目標です。」
「その動きに対してクレームとかはないのですか?」
「国中の子には高校生となり近衛予備隊に入隊するチャンスが保障されています。
 先々のことを考えたら自然な流れなのですよ。
 その足を引っ張ろうと言う輩は居ますが、大統領親衛隊の活躍で残りは僅かになっています。」
「刑務所送りで?」
「ええ、残っているのは法に触れることに対して注意深く振舞ってる連中ですが、それだけにその活動は鈍くなっています。
 大統領親衛隊は法改正してでも、そんな連中を一掃したいと話していますが、根絶やしにしてしまうより、多少残しておいた方が健全な社会だと言い聞かせています。」
「独裁者らしからぬ発言ですね。」
「彼らからのメッセージは、国政の参考になることも有るのですよ、必死になって我々の粗捜しをしてくれていますので。
 国民全員が大人しくなってしまったら、国民の不満が分からなくなってしまい兼ねません。
 国政に満足していたら少しぐらいのことは我慢するのでしょうが、そんな我慢を積み重ねさせる訳には行かないのです。」
「可能な限り国民の不満を取り除いておきたいと?」
「実際は予算の関係も有り充分には出来てないので、まあ努力目標と言ったところです。」
「以前と比べると随分生活環境が改善されてると聞きましたが、まだ課題が残っているのですね。」
「ええ、以前は気にもしていなかった未舗装の道路でも、隣町で綺麗に舗装された道路を目にすれば、とても気になり自分達の村へ通じる道も舗装して欲しいとなるのです。
 気持ちは分かるのですが予算には限りが有りましてね。」
「王国エリアとそれ以外とではかなり差が有るみたいです。」
「王国エリアは観光を意識し、会社が費用負担して開発して来ました。
 然程広く有りませんから可能だったのですが共和国の国土は広く、税収には限りが有るのです。」
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近衛予備隊-432 [高校生バトル-86]

「国の財政は良くなってると聞きましたが。」
「それでも過去の借金が残っていましてね。
 先代の大統領は何とか誤魔化そうとしたのですが国際社会は甘くなかったそうです。
 今は詩織さまのお蔭で景気が良くなり、無駄遣いさえしなければなんとかなりそうと言うレベルにまで、近衛予備隊が頑張ってくれた成果です。」
「そこも若い力なのですか?」
「ええ、大変な作業に多くの近衛予備隊が関わってくれています。
 国政の現場も彼らがリーダーに成り始めたことで変わりつつ有るのですよ、民間企業に勤める仲間と連絡を取り合い相談していますからね。」
「日本では法的な問題が発生しそうです。」
「お金が絡むからですよね、彼らは密室で悪だくみをしている訳では有りません。
 情報をオープンにして、他のメンバーが検証出来る体制にしています。
 実際、全く無関係だったメンバーからの指摘で方向性が変わったことも有ります。
 そこにお金が絡むことは無く、予備隊メンバーは詩織さまに恥じない活動をと動いてくれています。」
「詩織さまへの忠誠心有ってのことなのですね。」
「ええ、この国で詩織さまへの忠誠心を持って働いてる人は大勢いますが、彼らは特に真面目です。」
「真面目過ぎて、生活を切り詰め社会の為に、とかならないと良いのですが。」
「そのバランスも学習していますよ。
 そもそも近衛予備隊は社会改革のシンボルでも有るのです、シンボルが惨めな恰好をしていることは許されませんので、何らかのミスで収入が途絶えたメンバーには周りの隊員が手を差し伸べています。
 彼らは自分達がこの国の改革を押し進める象徴で有ることに誇りを持っていまして、富裕層は目指していませんが、上流階級を形成しようとしているのです。
 単に近衛予備隊と言う肩書だけで無く、仕事で実績を上げてそれなりに稼ぎ、それなりに消費することの出来るエリート集団を想定しています。」
「う~ん、今は良いですが将来的には国民の中にわだかまりが出て来ないでしょうか。」
「エリート集団が尊敬に値する活動を続けてくれれば問題ないと思っています。
 社会的地位の高かった人達が刑務所送りになった記憶が薄れない様に教育していますので。」

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近衛予備隊-433 [高校生バトル-86]

「反面教師ですか、エリート集団が不正に走らなければ理想だと思いますが、日本でも汚職が無くならないのですよ。
 頭の悪い連中なら兎も角、それなりの地位に上り詰めた連中が犯罪だと理解した上で贈収賄だとか、捕まる姿を想像出来ないみたいで。」
「我が国は、かつて不正行為が当たり前の国でしたから、頑張ってもその名残はぬぐえ切れていないのです。
 大学でも不正の起こりにくいシステムを研究して貰っていますが、過去の事例を検討して行くと完全に無くすのはかなり難しいのだとか。
 それで見せしめ的に処刑する案が出ていて検討しています。」
「随分乱暴な気がしますが…。」
「病気で余命幾ばくもない何人かを処刑するだけで大きな手間が省けないかと。
 近い内に死にそうなら、死刑にしても大して違わないでは有りませんか。
 生かしておくのにもお金が掛かりますから。」
「人権団体が騒ぎませんか?」
「我が国では犯罪者に人権は無いと考えられていますので、他国の団体が騒いだところで関係ないです、むしろ以前なら死刑になってた連中を大勢生かしたままにしているぐらいですからね。」
「元気な受刑者は山奥での労働なのですね。」
「安価な労働力となっています。」
「山奥での重労働とは死にたくなる様な状況なのですよね。」
「そこまでひどい重労働では有りませんよ、体を動かし働くことで精神状態が改善されたと言う報告が有るぐらい、模範囚にはそれなりのご褒美も有りますし。
 刑期を終えて出所する囚人には仕事の斡旋や職業訓練を行っているのですよ。」
「やはり肉体労働になるのですよね?」
「本人の希望やスキルによります。
 スキルの無い連中は取り敢えず肉体労働になりますが、それに見合った給料が支払われますので喜ばれています。」
「受刑者の人権は守られているのですね。
 むしろ日本よりも…、日本の受刑者は出所後に何のフォローも受けられない人が多く、それが再犯率の高さに繋がっているのです。」
「詩織さまから、ただ罰を与えるだけでは犯罪は減らない、そう指摘され皆で考えて来ました。
 以前は犯罪が多過ぎましたので文字通り激減させることに成功はしていますが、大学で研究している人達は全く満足していなくて様々な角度から更なる検討をしてくれています。」
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近衛予備隊-434 [高校生バトル-86]

「大学生が検討ですか…、ここの大学に入るには王立高等学校に入学しそれなりの実績を上げるか、留学して来るかしか無いと聞きましたが、ある意味ハードルが高いですよね。」
「留学生は大学の推薦が有れば簡単な試験だけで学籍を得られます。
 また、大きな実績の有る研究者が希望して下されば審査だけで比較的簡単に学籍を得られます。
 工学部で研究している教授には学籍が有るのですよ。」
「教授が学生でも有ると?」
「そこに大したメリットは無いのですが、共に学び共に研究するのが大学のモットー、その意識を持って学生と接して行きたいと言う教授側からの提案だったのです。」
「大学教授と言ってもピンキリですから、彼らのプライドがそうさせたとか…。
 工学部の研究職には充分な報酬を?」
「勿論です、工学部は会社の研究施設でも有りますから。
 佐伯学長は宮殿の敷地を拡げ、工学部の施設をそこに建てて行くことを考えているのですよ。」
「わざわざ敷地を拡げてまで宮殿内に建てる意味は有るのですか?」
「一つは宮殿をより立派にすること、観光の目玉なので外観に拘ります。
 一つはそこで研究する人の権威づけ、清掃担当者でも宮殿内で働いていることで一目置かれているぐらいなので、研究者の存在をより国民に印象付ける狙いが有るのです。
 形式上は女王が認めた研究者ですからね。」
「工学部の研究者は実績を上げているのですか?」
「ええ、発電や送電関連でこの国の実情に合わせた設備を開発してくれました。
 高校生が考えた簡易発電機の実用性を高める手伝いもしてくれています。
 他に工場のシステムなど実用的な研究をして貰っていますが、一つのテーマは化石燃料からの脱却です。」
「あっ、オリジナルの電動自転車はその成果なのですね。
 全くペダルをこがなくても走れるしペダルをこいで充電も、非常時はその電気を色々使える様にして有ってなかなかな物だと思いました。」
「長い坂道を下る時は充電することがブレーキ代わりになりスピードが上り過ぎることを防げます。
 技術面は日本の関連企業に手伝って貰いましたが、量産し輸出を目論んでいるのですよ。
 今はデータを取って改良を試みています。」
「バッテリースタンドではバッテリーを簡単に交換して貰えますので楽でした。
 多くのバッテリースタンドは自前の小規模発電所で発電し充電しているのですね。」
「ええ、電気自動車の普及をイメージした準備段階でも有ります。
 自動車の場合、バッテリーを交換するスタイルにはならなさそうなので難しいですが、幾つかのバッテリースタンドでは電気自動車の充電を出来る様にして有り、少しずつ導入されている電気自動車に対応しています。」
「化石燃料を使わない自動車が普及すれば、エネルギー事情は安定するのですね?」
「簡単なことでは有りませんが、観光客に向けてのアピールにもなります。
 まずは王国内でくさい排気ガスを出す車両をなくすことが目標なのです。」
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近衛予備隊-435 [高校生バトル-86]

 遠江大学の彼とは随分話し込んでしまった。
 基本遠江大学はインターネットを利用した情報交換の場で有るのだが、直接会って話すと、また違う気付きが有る。

「遠江大学の人はどうだったの?」
「色々教えて貰ったし、こちらも色々話した、彼はここの学校教育システムは間違っていないと話してくれたよ、シャルロットは他国と違うシステムだからと心配していたが、他国には真似出来ないシステムだから誇って良いそうだよ。
 子どもが伸び伸びと学習してるだけでなく、職業実習を通して社会を知る。
 日本の学校でも職場体験は有るそうだけど、短時間のことなので本当に大変なことまでは経験出来ないそうだ。」
「子ども達が職場で戦力になってると聞くものね。
 学校の管理下に置かれてるから昔みたいに低賃金でハードな仕事ということはないし。」
「厳しかったら、子どもが情報を広め実習希望者がいなくなるだろうと思っていたが、その前に高校生の実習生が注意してるそうだ。
 今回はその高校生に遠江大学教育学部への参加要請も有ってね。」
「遠江大学では既に学ばせて貰ってるでしょ?」
「教育学部としては、こちらの実情をもっと知りたいそうで、今まであまり関わって来なかったローティーンの子達の声を直接聞きたいそうだ。」
「子ども達にとって視野を広げるチャンスになるのかしら?」
「ああ、気楽に質問出来る環境を整えているので、そこを利用して欲しいと。
 特に日本語学習してる子の利用を期待してるそうだ。」
「研究材料になるのかしら?」
「だろうな、だから何も気にせず活用すれば良い、高校の学籍番号で登録出来る様にしてくれるそうだから、今までは難しいだろうとアクセスしていなかった子達も試し易くなる。」
「遠江大学自体がネット上で成長してるものね、我が国はこれまで随分お世話になっているのだから子ども達には研究材料になって貰いましょう。
 子ども達に取ってもプラスになることは間違いないのだから。
 うちの高校生達はみんな遠江大学の学生になれるってことでしょ?」
「ああ、そこで必要なことを学び、興味の有ることを趣味にすれば良い、大学として日本で認められていないなんてことは全く関係ないのだからな。」
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近衛予備隊-436 [高校生バトル-86]

「遠江大学の教育学部が動いて、と言うことは今までの大学システムとは違うのかしら?」
「ああ、今まではあくまでも大学生をイメージしたシステムだったが、日本の中高生が学ぶレベルの講義をネットで受講出来るそうだ。」
「構築するのは大変そうだけど。」
「彼らには蓄積されたノウハウが有るからそれ程大変なことでは無いそうだよ、ただ、うちの高校は自分に必要なことを中心に学習しているから、どう使うかは自分で判断する必要が有る。
 まあ、それは今までやって来たことだが…、理数系はこちらで整理してより学習し易くしたいかな。」
「教育学部数学研究室にお願いする?」
「亮二室長に相談だね、数学教育を考えてる学生達にカリキュラムを組んで貰うのも有りだと思う。
 日本で展開している高校生バトルの英語版も充実させて行くそうだから、自分の力が計れるし日本の高校生と交流する機会が出来るかも知れない。」
「高校生にとっては一つの目標になり励みになるわね、助け合いながら競うことはここと同じなのでしょ。」
「はは、向こうが本家だよ。
 ただ、日本の学生もここの学校教育システムに興味を持ってるそうでね。
 その辺りの話題で交流が進むことになるのだろうな。」
「今まで私達が使って来た遠江大学のシステムへはどうなるの?」
「高校生向けのシステムには総合バトルと称したテストも有る、その成績優秀者が希望すれば今までの実績に関係なく、大学のメインシステムへのアクセス権を得られることも想定しているそうだ。」
「なら何の問題もないわね。
 ただ、日本の高校生にバトルで負けまくるのはどうかしら。」
「勝負に拘り過ぎる必要はないさ、ここでは十七歳にもなれば仕事がメインになってる子も多い、そんなハンディが有るが、その辺りの事情を日本の生徒に教えて欲しいとも考えてるそうだよ。」
「日本の高校生か、日本人スタッフや留学生から多少話は聞いてはいるけど…。」
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近衛予備隊-437 [高校生バトル-86]

 王立高等学校では遠江大学教育学部からの申し出を受け、基本カリキュラムの見直しを始めた。
 遠江大学が用意してくれた講義の確認も始まったが、ネットで閲覧出来る講義は整理されていて、そこから生徒たちは自分の判断で選び、学習に役立て始めている、ただ、若干の不満も。

「ジョン、高校生達は遠江大学の組んだ講義に満足していないと聞いたけどどうなの?」
「ええ、必要としてる知識に差が有る様です。
 詩織は漠然と三角関数を学んでいたのでは無いですか?」
「そうね、特に学習する必要性は無く、数学の学習範囲だったから取り組んだと言う感じかしら。」
「うちで三角関数に取り組む子は、測量をマスターしたいのです。
 その実践的な所を中心に学びたいのですよ。」
「そうだったわね、遠江大学のは大学入試問題を起点として構築されてるから、ここの高校生には合わないのかも…、電気関係もそうでしょ?」
「ええ、実際に電気関連で働くことを考えたら物足らないみたいです。」
「実務に関する学習は日本より進んでいるのだと、遠江大学の関係者に気付かせる必要が有るわね。」
「担当者に説明させましょうか?」
「単に説明するのでは面白くないし、ここの子を舐めてる輩もいそうだから、こちらの大学で問題を作ったり講義映像を作成するのはどう?」
「それは可能です。」
「遠江大学で組んだものに、ここの子達が作成したものを加えて行きましょう。
 ジョン、遠江大学に対して何時までも受け身のままでは行けないのよ。
 遠江大学から提示されたものに対し、問題意識を持てる所まで子ども達は成長してるのだからね。」
「そうですね、詩織の提案から始まったここの学校教育システムも彼らが参考にしたいと言ってくれる様になりましたし。
 生徒達にはこれまで以上に、受け身ではなく自分から取り組む学習を実践して貰いましょう。」
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近衛予備隊-438 [高校生バトル-86]

「高校のレベルアップが上手く行ったら次は中学生ね。」
「ええ、小学生のまま義務教育を終える子と違い、それなりの能力は有ります。
 学習意欲は高校生に劣りますが、職場実習で同い年の小学生をフォローしてるとも聞きます、高校生より安く雇えるので中学生を積極的に雇おうとしてる会社も出て来てるそうです。」
「小学生のまま義務教育期間を終える子達はどうなの?」
「農場や牧場などの下働きを続ける子が多いです。
 昔ほどの低賃金は禁止していますが、贅沢は出来ないでしょう。」
「生活に困らない程度なの?」
「衣食に困らない額を受け取っていることになっていますが、雇用主や家庭環境よっては生活困窮者レベルに成り兼ねませんので、学校には給食を食べ続けられる環境を維持する様に指示しています。」
「その人数が増えたら、給食頼りで生活する人ばかりになってしまいそうね。」
「増えても構わないのですが、自発的に中学を目指す子が多くなっています。
 学習に取り組む気持ちの無かった子には、小学生のまま義務教育を終えた子達の生活ぶりを見せていますので、中学生に成ろうとしない子は多く無いです。」
「中学生にならなかった子には農作業の道しかないの?」
「いえ、大学で検討して貰った結果、人数は少ないのですが、手先の器用な子を中心に手作り特製グッズの制作などで働いて貰っています。
 器用でなくても出来る仕事を作り出せたら良いのですが難しいそうです、中学まで進んだ子の仕事を取る訳には行きませんので。」
「中学生の就職状況はどうなの?」
「パソコンに慣れてる子や英語で接客出来る子は殆ど問題ないみたいです。
 今、中学で学んでいる子達は、就職した先輩達の実情が分かっていますので、自分の将来を意識して学習に取り組んでいると聞いています。
 中学がスタートした頃は、その辺りの意識が低かったのですよ。」
「彼らにとっては良く分からない状態で始まった義務教育だったのでしょう。
 そこから先輩達の姿を参考に出来る様になり、自分にとって何が必要なのかを考えるまでになったのね。」
「中学生の質が上がれば、高校生を雇いたくても雇えなかった会社が雇おうとするでしょう、遠江大学からの高校生向けプログラムが落ち着いたら、詩織の言う通り次は中学生です。」
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近衛予備隊-439 [高校生バトル-86]

「教育環境はジョンの子ども時代より数段良くなり更に改善されて行くのね。」
「はい、現場では試行錯誤の連続だと思いますが、学校制度は整いつつ有ります。
 家庭が安定している中学生の中には職業訓練をしっかり受けてから就職する子も出て来まして、より条件の良い企業に就職しています。」
「程良い格差が適度な競争を生み出すぐらいが調度良いのかしら。」
「先々を考えると色々難しいです。
 一応大学生には十年後、五十年後、百年後の我が国を見据え、国としての施策を検討して貰ってはいるのですが、先進国の跡を追うのが正解なのか分からないと言われまして。」
「そうね、何より大切なのは国民が幸せに暮らせることなのだけど、色々な意味で幸せを見失ってる人が経済的に豊かな国にも大勢居るからね。
 一度先進国を無視して、理想の社会を考えてみてはどうかしら?」
「ですね、学生達にはそう伝えて置きます。
 しかし、国には他国との関係が有り、我が国は観光への依存度が高いので国際社会の変化によって経済状態がどうなるか分かりません。
 貿易も日本が色々買ってくれなくなったら、輸出入のバランスが取れなくなります。」
「内需だけで国を回すのは難しいのね。」
「遅れていたインフラ整備に予算を掛けられたのは観光客のお蔭ですが、生活水準の上がった国民は輸入品を当たり前の様に買っていますので。」
「今時自国内の経済活動だけって国は無いだろうけど、海外との取引が無い国に発展は見込めないわ。
 その辺りは大統領の仕事として、今後の問題は衛生環境が良くなったことによる人口増加かしら?」
「はい、それは学生達も考えています。
 社会が複雑になった先進国では子どもの死亡率が下がった後、出生率も下がるみたいですが、今の我が国は先進国では無く…、国にとって適正な人口が分かりません。
 ただ、無策で人口が増え続ければ当然の様に貧困層が増えるとはイメージ出来ています。」
「子どもは産めるだけ産むみたいな感じなのでしょ?」
「ええ、ごく自然な流れです。」
「本能のままなのね、避妊の考えは広まりそうにないの?」
「学校では教えていますが、一番避妊して欲しい貧困層には難しいと思います。
 様々な教育から一番遠い所にいますので。」
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近衛予備隊-440 [高校生バトル-86]

「大人に対しては義務教育みたいな訳に行かないものね。」
「大人でも学びたい人は学校で受け入れているのですが、学ぶ気の無い大人に強制しても成果は見えません。
 義務教育の成果ですら彼らに理解されるまでには時間が掛かりそうなのです。
 教育のメリットに気付く様になれば少しは理解が進むのでしょうが、細々と暮らしている人達は今の生活に満足してるのかも知れません。」
「でも、子ども達は満足してないのでしょ。」
「意欲の有る子は親に関係なく学校へ通いますが、のんびり過ごしたい子は小学生のまま義務教育を終え、親と一緒に貧乏生活を楽しむのですかね。」
「それで納得してるのなら貧困対策をしても…、普通に稼いでる人から反対されてるのでしょ?」
「その辺りは貧困対策の内容が知られる様になり弱まっています。
 事情を調べた上で仕事の斡旋をメインにしていますから。
 ハンディを抱えている人に対しては生活補助をしていますが、可能な限り、出来る仕事を作ってでも働いて貰う様に進めています。
 のんびり暮らしたい人には短時間の労働ですが、衛生面を考慮した最低限の暮らしを自力で、を目標としています。」
「国家改革が進んで最低限の暮らしも変化したのでしょうね。」
「ええ、衛生的な暮らしを国民の義務と考えて貰っています。
 そこが進まないと伝染病を減らせませんので。」
「蚊や蠅、鼠は減らせたの?」
「王国内はそれらが繁殖する環境を無くしていますので、殺虫剤の消費量も減っています。
 貧困エリアでは学校が中心になって環境改善を図っているのですが、衛生面に無頓着な人ばかりなので難しそうです。」
「そのままだと衛生面の意識改革が進んだ人達との分断が起きそうね。」
「義務教育を受けた子ども達が変えてくれると良いのですが…。」
「期待出来ないの?」
「子どもは親の背中を見ているのですよ。」
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