SSブログ
高校生バトル-39 ブログトップ

バトル-381 [高校生バトル-39]

「詩織、元気そうで安心したよ、ここでの暮らしはどうだ?」
「遠江王国との違いは外の暑さとスコールですが、室内は程よい冷房が効いてますので不快な思いをすることは有りません。」
「なかなかの豪邸だな。」
「これでもチーム詩織のメンバーや近衛隊の人数を考えたら全然狭いでです。」
「入り切らなかったメンバーは村民と暮らしてるのか?」
「ええ、村民の宿舎もそれなりに快適だそうです。
 何と言ってもトイレが気に入られましてね。
 日本で会社改革の第一歩は清潔なトイレだと聞かされていましたが、こちらでも衛生面を含めその重要さを実感しています。
 この国は首都でも公衆トイレの汚さがひどいと聞いていましたが、私が来る前、ここを見学に来られた富裕層の方は、その場で日本のトイレを発注されたそうです、代理店になっておいて正解でした。
 トイレの改修を受注するとその付帯工事も有り、それなりの売り上げになるのです。」
「近衛隊のアイドル路線だけでなく地道に稼いでると言う事か。」
「良い雇用の場になりそうですので、今は社員研修を進めています。
 この村を中心に富裕層のトイレ事情を改善して行けば、中流の人達もトイレの改修を目指すかも知れません、初期費用は掛かってもランニングコストが高額な訳では有りませんので。」
「一つの目標として売りまくると?」
「はい、水質の問題が有りませんのでヨーロッパの先進国より普及するかも知れません。
 衛生面の事も有りますので、近衛隊のメンバーは自分の出身地でも広めたいと話しています。」
「メンバーの多くはアジア圏の出身者だろ、上下水道の普及率はどうなのだろうな?」
「都市部はそれなりに普及していても地方では普通に川の水や井戸水みたいですね、それも綺麗な水ばかりでは無いので遠江王国を流れる清流の話をしたら羨ましがられました。」
「海水を淡水にする装置を使ってる地域も有るのだよな。」
「そんな地域でも水資源をより有効活用出来る道を探ってはいるのですがハードルは高そうです。
 私達がそんな地に滞在するのは涼しくなってからの予定ですが。」
「だったな、秋からの滞在地は気候を考慮、詩織にとっては結構我儘なスケジュールだもんな。」
「ここまでは政治的な意味合いが有り、夏場でも暑いエリアにせざるを得ませんでしたので良いではないですか。」
「長期計画を見ると秋からは気候の良い土地と時期を選びきったと感じたのだが。」
「お兄さま方が遊びにいらっしゃることを考えたら、その方が良くないですか?」
「まあ、そうだが詩織はコタツが好きだったよな?」
「暖炉の有る部屋にコタツを置いて欲しいとは言えません、寒い地域は夏に、暑い地域は冬の滞在が原則です。」
nice!(11)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

バトル-382 [高校生バトル-39]

「それより、遠江大学がいよいよ本格的に拡大し始めましたね。」
「ああ、高校生バトルを通して社会について考えて来た人達の参加が加速してる。
 最近は大学受験に時間を使うより日本の大卒資格は考えないか通信教育で取れば良いと考える高校生もいるんだ、雅にバトルで負けてる連中だけでなくね。
 彼らの実力は高校生バトルの結果を見れば一目瞭然、だから研究室参加を認められる高校生が増えていて、遠江大学は高校生も含めての拡大さ、より高度な学問に触れるのを大学進学後まで待つ必要はないからな。」
「能力の高い人が学歴の為に時間を取られるシステムからの脱却を目指して始まったのですよね、近衛隊の日本人青年もそんな人で、チーム詩織メンバー並みに私達の考えを理解し後押しを考えて下さっています。
 ただ、学歴に拘らなかったことが先々彼らにとって不利益とならない様に考えて行きたいです。」
「だな、手短な所では遠江大学の知名度を上げ、近衛隊に活躍して貰うと言った所か。」
「ですね、隊員達は経済活動だけに囚われず文化芸能など幅広く考え、心豊かな社会の構築を目指しているのですよ。」
「その気持ちがYouTubeチャンネルに表れ、活動を見た人達が近衛隊への入隊を希望するケースが増えているのかな。」
「はい、給与条件を提示していますので日本人には微妙かと思っていたのですが、衣食住にお金が掛かりませんので全然問題ないそうです、確かに日本では狭い住居にお金が掛かり過ぎです。」
「だな、それで隊員たちは何にお金を使っているのだ?」
「私服を買ったり、たまには高級料理をと言う人もいますが、多くは家族への仕送りか除隊後に自国で活動する資金として貯蓄や投資をしている様です。
 同じ額の給料でも国によって随分差が出ることをみんなで話し合ったりしているのですよ。」
「同じ一ドルでも祖国で使うとなったら大きく違うのだろうな。」
「食事さえままならない人と私達でも一ドルの価値は大きく違います、ただ…。」
「ただ?」
「最近個人的にお金を使う機会が全く無いのです、普段着で撮影することも有りますので私服もスタイリスト任せになってしまい、自分で買う事が無くなりまして。」
「衣食住、全て人任せなのか?」
「料理をすることは有りますが、しなくても問題無いです、欲しい物は既に購入済みで…。」
「足りて無いのは恋人ぐらいか?」
「ですね…。」
nice!(9)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

バトル-383 [高校生バトル-39]

「詩織の悩みはそれだけなのか?」
「悩みと言う程ではないです、今の状況から更に上を目指すとしたら、暫くそう言った話は封印ですね。」
「それで良いのか、詩織が無理をしてるのであれば今の役職から降りても良いと思うのだが。」
「今は毎日が充実していますので問題ないです。
 姫扱いから女神に寄りつつ有りますが、そんな経験はなかなか出来ることでは無いと思いません?」
「確かに稀有だとは思う。」
「いずれ化けの皮が剥がされ、ただの人になるでしょう。
 でも、私が遠江大学での研究テーマに選んだのは人の心理、そこに宗教を絡めることで面白い論文が書けそうなのです。」
「確かに面白いテーマかもな、だがもう少し女の子としての楽しみを見つけることを考えて良いと思うぞ。」
「女の子としての楽しみでは有りませんが、各国から集まってくれた近衛隊のメンバーと話し合うのはとても楽しいです。
 同じ宗教を信仰している人でも宗派によって考え方が異なっていることも有ります。
 他社を蹴落としてでも売り上げを伸ばすと言う自由主義社会の企業では当たり前のことと、宗教上の教えとの整合性をみんなで考えてみたりするのが私にとっては娯楽なのですよ。」
「多国籍で宗教も異なる男女だから、半端なく多様な考えを聞くことが出来そうだな。」
「はい、時には意見の対立も有ります。
 ただ、皆さんは私達の考えに賛同して下さっている方々ですので、語り合っている内に信仰に関する考え方がまとまって来まして。
 日本では神道と仏教が共存して来たと話すと一様に驚かれるのですが、そこから自身の信仰している宗教とは異なる教えが有っても良いのではないかと言う方向になっているのです。
 多国籍の近衛隊が一つに成れる教えとして、私達の考えをまとめ直し宗教や国境を越えた一つの拠り所に出来ないかと。」
「既存の宗教を尊重しつつと言うことだよな?」
「はい、近衛兵達は互いに他者の宗教を尊重しています。
 新たな教えと彼らの宗教では矛盾する教義が存在するかも知れませんが、私達の考えは現代社会を科学的に考察して作り上げて来たものではないですか。
 勿論、富める国と途上国の差も有りますので簡単に受け入れられない人も少なくないとは思います。
 それでも、これから更に拡大して行く近衛隊の理念として広く伝えて行く事はプラスになるのではと考えています。」
「社会的弱者に手を差し伸べて行くと言う考えに反対する宗教は少ないだろうからな。
 そうなると、詩織は女神さまと言うより教祖さまか。」
nice!(11)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

バトル-384 [高校生バトル-39]

「教祖が指導する宗教とは少し違った方向に進めたいとは思っています。
 ただ微妙なのは偶像崇拝と言いますか、その辺りをどうするかで。
 私の価値観に偶像崇拝は無いのですが、例えば神社へお参りに行くと言う行為を考えると、単に神様にお願いするだけでなく、そこで自分自身の決意を確認してる人もいるでしょうし、単なる神頼みと言う行為だとしてもそこには人の想いが有る。
 漠然とした存在の神に対することで有れば、わざわざ神社へ行かなくても出来るのですが、神社と言う存在に受け止めて貰える、そこに大きな価値が有るのと思うのです。」
「そうだな、初詣は信仰心に関係のない単なるイベント感覚でも、これからの一年を考えたりもする。
 人それぞれ信仰心の厚さが違うだろうし、宗教によってその辺りの感覚も違うとは思うが。」
「あまり商業主義的な宗教団体を模倣したくは無いのですが、何かしらの偶像やアイテムが有った方が伝え易いしグッズの売り上げで我々の活動を支えられたら、より活動を広げられませんか。」
「みんなの意見はどう?」
「既存の宗教団体の中には怪しげなのも有りますので、純粋に科学的考察から生まれた教え、社会環境をより良くして行く為のものとして差別化を図りたいとか。
 また、宗教を超え国境を越えて広げるのは難しいですので、近衛隊だけのものとしても良いのではないかと言う意見も有りました。」
「我々は多くの手助けを得ながらも自らの経済活動によって活動を成立させて来たのだが、その辺りの理解はどうなんだ?」
「近衛兵の多くは理解出来ています、ただ、宗教と言うスタンスで語り合った為に違和感を感じているのではないでしょうか。
 私達の価値観をどれだけ人に伝えられるか自信がないと言う人もいまして。」
「宣教師をイメージしたのかもな。
 それでも、お守り的な何の効果も無いアイテムを売るのは有りだな。
 詩織のグッズが売れまくってる背景には、詩織を女神の如く慕う人々の詩織に対する信仰心の様なものが有ると思わないか?」
「その辺りのことは全く分からないのです、色々褒められて育ちはしましたが、私は普通の女の子ですので。」
「どこが普通だかな、可愛かった少女が美しくなり聡明さを増しているんだ、正しいことで有れば詩織の一言で多くの人が動く、そんな女の子が普通な訳ないだろ。」
nice!(11)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

バトル-385 [高校生バトル-39]

「雅は今日の夕食後近衛兵の人達と話が弾んでたね。」
「うん、詩織の妹分として興味を持たれたみたい、詩織の弱点とか色々聞かれたのよ。」
「弱点か…、どう応えたんだ?」
「優しいのだけど現実主義者だから、その狭間を突かれると多分困るだろうと、でもそんな質問をする嫌な人は今までいなかったから実際はどうなのか分からないとね、なかなかの回答でしょ。
 今まで組織のトップとして困ったオジサンとも対峙して来たけど、ここには困ったオジサンがいなくて安心したとも。」
「はは、そこまで気を使わなくても詩織を守り詩織の活動を手助けするのが近衛隊だから大丈夫だと思うよ。」
「でも、新しく採用された人もいるでしょ。
 お兄さまはどんなことを話してたの?」
「宗教関係の話を聞かせて貰ったよ、そこから新たなグッズ開発に繋げる可能性を考えていてね。」
「宗教に関係するグッズって壺とかでしょ、安物の壺でもご利益が有ると言われると高額で買う人がいるのだとか。
 でも小物の方が扱い易いから安物のガラスを使ったネックレスとかにした方が良くない?」
「いやいや、詐欺的な商売を考えてる訳ではなく、利益率は常識の範囲内だ。
 ただ、最近の報告では、詩織のグッズに対するリクエストに長く大切に持っていられる物を欲しがる人が多いと有ってね、実際の所を聞いてみたんだ。」
「皆さんは何て?」
「近衛隊ではお金を使う機会が少ないので、プリンセス詩織のグッズなら一つぐらいは良い物を手に入れておきたいとか。
 詩織に憧れて入隊した人ばかりだが、皆さん近衛隊の一員になれたことを誇りに思っていて、普段は想像してたよりうんと普通の女の子なのに、話し合いの場やリーダーとして指示を出す時とかは全く違い…、まあ敬愛してるなど様々な誉め言葉を聞かせて貰ったよ。」
「拡大を続ける巨大組織のトップだものね。」
nice!(9)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

バトル-386 [高校生バトル-39]

「宗教を意識したグッズを売り出すと言う事は宗教団体を設立するの?」
「宗教団体にはしたくないが我々の主張を広げて行きたいだろ、まずは英語の本からだな。」
「詩織の名前で出版したら売れそうね。
 日本で出版したのを手直しして翻訳するのなら、そんなに手間は掛からないのかな。」
「ただ、詩織とチーム詩織ばかりに負担を掛ける訳には行かない、我々義兄弟姉妹も協力して何冊か出せたらと思うんだ、同じ内容でも表現や切り口変え色々な形で説明して行くと言うことでさ。」
「私も?」
「書きたかったらどうぞ、内容は一応相談かな、我々の出版物に矛盾点が有っては読んだ人を戸惑わせることになる、チェックはみんなでしたいね。」
「う~ん…、私は児童向けを検討してみようかな。」
「あっ、それは必要だな、絵本から始めて対象年齢に配慮しつつ…、親が子どもに読ませたい内容に出来ると良いね。」
「私達の組織が拡大して来た話は面白いと思うの、その中心が詩織ならノンフィクションでも楽しいでしょ。
 タイトルは、お姫さまとなった少女は女神さまと呼ばれ始めた、とかにして、詩織を中心に私達の歴史を語って行くの。」
「ふむ、子ども向けでなくても面白いのが出来るかもな。」
「色んな本を出して良いと思うけど、私達の理念を凝縮した聖書の様な一冊は必要よね。
 聖書よりはうんと分かり易くする必要が有るけど。」
「昔話を伝えたい訳では無いからな。
 良いのが出来たら、各地の人に我々の活動を理解して貰う教科書にすることも可能だね。」
「うん、詩織次第で大儲け出来るかも。」
「ただ、社会学的考察から生まれた、人間社会を考える書になるのだから、宗教ではなく神とは無縁と強調するのか、さりげなく詩織を神格化して活動の象徴とするのかが問題になるかな。」
「詩織は神格化しなくても活動の象徴でしょ、神格化は賛同してくれる人達が勝手に進めてくれそうな気がするわ、こちらとしては、それっぽいグッズの販売をして行けば良いと思う。」
「う~ん、そんな感じで行くか…。」
nice!(11)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

バトル-387 [高校生バトル-39]

「お兄さま、近衛兵達が詩織にしてた朝の挨拶見ました?」
「ああ、何種類か有るみたいだが、彼らがプリンセスを崇めていることは充分過ぎる程伝わって来たな。」
「特に決まりが有る訳でなく、一人が自国の流儀に従い神へ祈る時のポーズで挨拶したのが切っ掛けだそうよ。
 それを見て自国の礼儀で最大限の忠誠を表す人が現れたり、そこから特別そう言ったものを持たない人が誰かのを真似し始めてと広がり、新規入隊者もそれに倣っているのだとか。」
「雅だってお姫さまなのに普通の挨拶だったな。」
「それを言ったらお兄さまは第三王子でしょ。
 あれを見て、近衛兵は詩織の信者だと確信したわ、彼らの考えをもっと聞いてみたいわね。」
「明日の夜は希望者だけのディスカッションだそうだ、雅も参加してみるか?」
「そうね、予定を少し変更して。
 多国籍軍だけに癖の有る英語を話す人が少なからずいるから、英語力を高める良い機会になるかも。」
「確かにヒアリングの力が鍛えられそうだな。
 詩織は随分慣れたみたいで良く分からない英語に対して普通に答えていたよ。」
「それは英語じゃなかったのかも、日常的に使う単語はどの言語でも数が限られていると話してて。」
「詩織のいる場では原則英語か日本語なのだろ。」
「そうだけど、詩織は隊員たちの母国語を学習する時間を取っているのよ。」
「それって何か国語になるんだ?」
「さあね、でも隊員との語学学習の時間は貴重だとか、そんな場で彼らの本音を聞けたりするのだとか。」
「成程、しかし難しいよな、互いに母国語ではない言語での意思疎通、ここまではエリート中心だから何とかなってるが、これからはな。
 増えつつ有る海外支社でも言葉の行き違いは普通に起きてるそうだよ。」
「そう考えると、本を出版するにしても英語だけではだめかもね、英語版の売れ行きを見ながらでも検討して行く必要が有るかな。
 面倒な話だけど、どの人も尊重して行くのだったら無視出来ないわよね、順番は詩織の信者が大勢使ってる言語からかな、それなら利益も出せそうでしょ。」
「だな、詩織がただの綺麗な女の子ではないと言う事は知られ始めてるが、これからの活動を考えたら、まだまだ不十分だ、言語を選んで進めて行きたいね。」
「YouTubeも字幕は多言語だけど、英語以外の音声でも制作したいわ、ハードルが高くても。
 何とか近衛兵からキャストを選んでとかして挑戦出来ないかしら。」
「母国語の作品なら、字幕とは印象が格段に違うだろうからな。
 普通に吹き替え版を制作するにしてもクオリティを考えたら難しいが、チャレンジしたいものだね。」
nice!(10)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

バトル-388 [高校生バトル-39]

「それにしても言語の種類が多過ぎるのよね。」
「だよな、人に伝わりにくい方言も有るから、それを含めるととんでもない数になる。
 方言の数だけ文化が有り、価値観にも微妙な相違が有るのではないかな。」
「う~ん…、いっそのこと登場人物が何も話さない映像でどこまで伝えられるかに挑戦してみる?」
「あっ、無声映画か…。」
「無声映画?」
「えっと…、二つの取り組みが有って良いと思う。
 一つは言葉のない、映像と音楽だけでの勝負。
 もう一つは、映像に対して各言語で解説と言うか…。
 映画が作られ始めた頃は映像だけで音声は無かった、送られて来た映像に合わせて弁士が面白可笑しく語って聞かせていたみたいでさ。
 弁士の力量で面白さが変わったと思うし、弁士によって言葉のニュアンスが違うものになっていたと推測出来るが、映像がしっかりしていれば伝えたいことは伝わると思うんだ。
 我々だけで多くの言語に対して完成された映像作品を提供することは無理だが、セリフ抜きの映像作品を用意し、後は各言語の弁士にお任せして完成させて貰うと言う形ならどうかな。
 配信は映像作品に弁士の声を合わせた形にすれば良いだろ。」
「吹き替え版を作るのとは違うのね。」
「ああ、吹き替え版を制作するより、うんと安く上げられる、特に使ってる人の少ない言語の場合はメリットが大きくなる。」
「今はそんなのを見ないから逆に新鮮かもね。
 実験的な作品でもYouTubeなら気軽に発表出来るから提案してみるわ。
 そうだ、日本語の方言で試してみたら面白くない?
 方言は少し離れただけでも微妙に違うそうだから、漠然とした関西弁とかにはせず、ピンポイントで土地を指定した方言のを複数、同時に発表してみるの。
 実際にマイナーな言語バージョンを制作する時は近衛兵に相談してみようかな。」
「彼らに相談するのは英語版のサンプルが出来てからとしても、試してみる価値は有ると思うよ。」
「制作に関わりたい人の顔は浮かんでるし、費用は私のお小遣いで済むから、後でメールを送っておくわね。」
nice!(12)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

バトル-389 [高校生バトル-39]

「詩織、近衛隊のデスカッションは何時もあんな感じなのか?」
「私が参加している時は私に対する質問が中心になりがちです。
 彼らは株式会社SHIORIの支社がどうやって企業再生を成功させているのかに興味が有りますので、お兄さまと雅との対話に区切りがついた後は、いつも通りの感じでした。」
「詩織教授の講義を受けている感じだったな。」
「講義と言う程のものでは有りません。
 私が参加していない時は喧嘩にならない様、隊長や副隊長が気を遣うレベルで熱く語り合っているそうです。
 意見が割れた時などは、後で私に報告してくれますので、私が参加している時に調整しています、放置して置くと対立が深まりかねませんので。」
「間に入って難しいことは無いのか?」
「起こりそうな対立は予測していますし、私にはチーム詩織での経験が有ります。
 多くは私達の判断基準に当て嵌めれば答えが出ることで、彼ら向けのテキストを読み直して貰い解説すれば納得してくれます。」
「そこで納得出来なければ雅の近衛兵としては失格か、彼らの役目は普通の近衛兵とは違うものな…。
 雅が、我々にとっての聖書みたいな本を出したいと言っているのだが、そのテキストを手直しして使えば良いのかな?」
「そうですね、初めから最大限の完成度を目指さず、改訂版を出して行く前提で宜しければ、電子書籍化に時間は掛かりません。
 紙の本は装丁を良くした方が売れると思いますので、デザインや製本に時間が掛かると思います。」
「だな、表紙を開くとプリンセス詩織の肖像が微笑んでいるとか凝りたいとこだ。」
「そこにも私ですか?」
「巨大組織のトップだからな、その組織の教義を解いて行く本にするんだ。
 問題はプリンセスっぽくするか女神っぽくするか。」
「どこが違うのです?」
「プリンセスなら愛らしく、女神なら神々しくかな、一度女神っぽい衣装を用意してみたいと言う声も有ってね。」
「私は構いませんが、化けの皮が剥がれた時にどうなっても知りませんよ。」
「いや、天皇は現人神とされているが象徴天皇と言う事でかなりの制約を受けておられる、それに比べたら詩織は自由な経済活動をしながら社会的弱者の味方として慕われている。
 もしそれが苦痛になったら、宮殿とか神殿に籠ったことにして自由にしたら良いんだ、その為には普段から神々しい衣装を身にまとい、その印象を強く持たせる必要が有る。
 そうしておけば、髪型を変え衣装を変えるだけでバレにくくなると思うんだ。」
「成程、理屈は分かりましたが、動きづらい衣装にはしないで下さいね。」
nice!(11)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

バトル-390 [高校生バトル-39]

「詩織、今日はゆっくり村を案内して貰ったが結構な広さだね。」
「ここは産業が育つことが無かった地域なので土地は格安、広めに確保出来ました。
 ただ、インフラ整備はすべて自前で行いましたので初期投資はそれなりに掛かっています。」
「初期投資分ぐらいは直ぐに回収出来るのだろ、観光客で賑わっていたから。」
「まだ何とも言えません、私の滞在期間中は近衛がイベントを企画運営していますが、私達が次の地へ移動した後、この家が記念館的なものとしてどの程度機能し、各施設がどの程度の観光客を呼び込めるのか読み切れていないのです。」
「そうか、それでも村には農地や作業所が有り村人達の生活に問題は無いのだよな。」
「はい、元々の村人は僅かで、後は各地から集まった低所得者層が中心、衣食住を保証する代わり賃金は低く抑えていまして、こちらが養える人数を意識しています。」
「賃金が低くて労働意欲に影響していないのか?」
「衣食住に掛かっている経費を伝えていますし、寮はこの国の中流世帯が暮らしてる住居より快適、指導に当たってるスタッフと同じレベルの部屋ですので不満は言えないと思います。
 額は抑えめにしていますが真面目に働いてる人にボーナスを支給していますので皆さん熱心に働いて下さっています。」
「アメばかりで鞭はないの?」
「こちらでは用意していませんが、村人は大きなミスをすると反省の言葉をのべ、クビにしないで欲しいと懇願するそうです。」
「詩織は低賃金だと思っていても、彼らにとっては厚待遇な訳だ。
 今はほとんどが独身者と聞いたが、この先は?」
「どんどん結婚して貰って村の人口を増やして行きたいです、男女比に開きが出ない様に採用して来ましたので。
 子どもが生まれたら、次世代をどう育てて行くかと言う研究が始まると思います。」
「教育水準の低さが貧困を招きもする、この村の生活水準を守って行くのは大変そうだが、それを長期スパンで考え次世代へとか…。」
「資本主義の自由競争下で稼いで行きますが、実態は共産主義に近い形の村になって行くのかも知れません。
 株式会社SHIORIの社員として平等な村人によって構成される自治組織が、独り歩き出来るまでに時間は掛かると思いますが。」
nice!(11)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー
高校生バトル-39 ブログトップ