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近衛予備隊-51 [高校生バトル-48]

 店で働く様になってから色々な人と接することになり、改めて予備隊のみんなは分かり易いと感じている、改めて、と言うのはフロアマネージャーと話す様になり始めた頃に、こんな会話が有ったからだ。

「予備隊の子達はみんな素直だね。」
「そうですか、自分には比較する対象がなくて良く分かりません。」
「はは、ジョンは例外かも知れないな、でも君は彼らが何を考えているのか、話を聞かなくても分かるみたいだが?」
「まあ、ずっと一緒でしたから。」
「なるほど、でもジョンの様に他の子の考えが分かる子は少ないのではないかな。」
「言われてみれば、そうかも知れません。」
「ジョンはみんなの気持ちが分かるみたいだが、その能力はどうやって身に着けたのだ?」
「あまり考えたこと有りません。」
「どうだ自己分析をしてみないか、隊員の中には自分のことしか考えられない子もいるだろ、どうして君と彼は違うのか。」
「う~ん…、親からは要領が良いと言われていまして…。
 兄弟や親戚が多いのですが、その中でより楽に生活する為、彼らの気持ちを考えることを自然にしていたのかも知れません、その結果、大人に怒られることもなくて…。」
「人の心を読んで来たのだと思うが、それを人に話した事は?」
「そんな話をしたら…、嫌がられませんか?」
「そこまで分かってるのなら安心だな、私はそれで失敗したことが有ってね、無自覚に相手の心を読み取っていた内容を口にしてしまって、それ以来怖がられてしまったんだ。」
「そうでしたか、でも、女の子にはさり気に少しだけ話して上げると、自分のことを分かってくれてると喜んでくれませんでしたか?」
「私は若い頃、君とは違って要領が悪くてね、失敗を糧に成長したとは思っているのだが。
 まあ、君はその才能を今後、接客などでも活かして行けると良いね、子ども程分かり易くないかも知れないが、見てればそれなりに分かるものだよ、まずは人物の観察からかな。」
「分かりました、そう言う気持ちで、ここの大人達とも向き合ってみます。」

 こんな話を思い出したのはエミリーの授業による。
 客の心理を考えることから始まった彼女の話は、皆にとって耳慣れない単語が出て来る度に意味を知る必要が有り、エミリーをイラつかせはしたが、客の心理を考えた店作りと言うテーマは興味深く面白かった。
 フロアマネージャーからも簡単に教えられて来たことだが、更に踏み込んだ話もして貰えた。
 客が棚に置かれた商品を見て何を考えどう判断するかは、売り場のレイアウト、商品の置き方などが関係し商品の売り上げに影響する。
 直ぐには理解出来ないメンバーもいたが、そんな彼らに授業の意図を説明出来たのはフロアマネージャーから色々教えられて来たからだ。
 授業を受けてから店内の確認作業を始めてみると、店内レイアウトなどに関する指示書の意味が分かっただけでなく、自分が指示した幾つかは間違ってなかったと思えて嬉しかった。
 勿論、修正すべき点も幾つか出て来て皆で相談することになったのだが、店のオープン前はお金持ちの客が何をどう考えるかなんて知る由もなく、自分が短期間で多くを学んだのだと言うことに気付かされもした。
 フロアマネージャーには改めて感謝と尊敬の念が増し、これからの修正作業は彼に喜んで貰えるものにしたいと思う。
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近衛予備隊-52 [高校生バトル-48]

「ジョン、エミリーの授業は初日からハードだったね。」
「まあ、ルーシーには耳慣れない単語が多かったかもな、俺はフロアマネージャーから教えられて来たことの確認が出来て楽しかったけど。」
「そっか、レイアウト変更などの案は完成したら、マネージャーにも見て貰うのね。」
「彼の承認を得られれば実際に商品の見せ方を変更し、ポップを入れ替える、その結果が思わしくなかったとしても、今なら許されるそうでね。」
「そんな話になってるの?」
「俺達の案が実際にどんな結果となるのか、彼も見てみたいそうでね、来週末に発売開始となる商品のポップ制作も俺達が担当するそうだよ。」
「ポップは本部から送られて来るものだと思ってたわ。」
「本部ではここの事情まで分からないだろ、実際、本部が売れると思ってたのに売れてない商品も有るんだ、指示書通りに陳列して有ってもね。
 言語表示も、どの言語を目立たせるかは検討し直すべきだとマネージャーが話してた。
 国外からの来客者数が予想より多いそうで英語表記を充実させるべきなのだけど、マナーに問題の有る人達に対しては母国語でアピールすべきだとか。」
「マナーって、国や民族によって違うのでしょ?」
「基本的な所は同じだよ、ただ旅の恥は掻き捨てと言うことわざが有ったり、犯罪扱いされなければ気にしない人も存在する。
 本部の人達は、資料を見て準備しフォローしてくれているのだけど、この国、この店に来たことが無いから、そんな人達のことまでは分からず限界が有るのさ。」
「本部に頼り切っていてはダメってことなのね。」
「ああ、マナー意識の向上に関して、マネージャーはプリンセス詩織の写真付き啓発ポスターを制作して何とかして行きたいと考えているんだ。
 他のことでも、近衛隊の到着で余裕が出来たから、今後は本部ともバランスの取れた作業配分を考えていて、今まで完成した物が送られて来たポップでも、これからはポップのデータをこちらでダウンロードし修正を加えた後プリントアウトして利用することになる、でも、そんな作業を近衛隊にお願いしたくは無いだろ。」
「そうね、でも、そのレベルでパソコンを扱える大人は限られているから私達が担当するしかないわね。」
「学習と仕事で必然的に時間が足りなくなりそうだけどルーシーは大丈夫?」
「う~ん、エミリーは耳慣れない単語を結構使っていたから、少し不安かも。」
「でもね、知らない単語でも一旦覚えてしまえば思考速度が上がるんだ、俺はマネージャーにそう教えられて重点的に学習したから、今日の話は問題なく理解出来たのさ。」
「ねえ、私達はそこから始めないとついて行けないって、ジョンからエミリーに伝えてくれない?」
「そうだな、後でメールを送っておくよ。」
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近衛予備隊-53 [高校生バトル-48]

 メールを送ったからかどうかは分からないが、翌日の授業には英語を教えてくれる近衛隊の隊員がエミリーの助手として来てくれた。
 ただ、それによって授業の進行は一気に早くなり、エミリーの話を聞いてるのは授業開始から僅かの内に俺だけとなった。
 他のメンバーは英単語の意味を調べ助手の説明を受けることに専念している。
 一時間ほどの授業を終え…。

「フロアマネージャーがあなたをサブにした理由が良く分かったわ。」
「エミリー、それで今後の方針は固まったのですか?」
「ええ、私はここに滞在中、兎に角ジョンに教えられるだけのことを教えて行く、他の人達にはその知識を吸収出来るだけの基礎から学んで貰い、私の講義内容を彼らに教えるのはあなたの役目ってどう?」
「メンバーに教えることで自分の理解度が高まると言うことですね。」
「効率的だと思うのだけど、あなたにとって今のペースはどうだった?」
「丁度良いです、今以上にペースアップするのであれば予習のヒントを事前に教えて頂く必要が有ります。」
「考えておくわ、取り敢えず休憩した後の課題は村の改革について、今考えてることを一時間でまとめられるかしら?」
「大きな視点で書き始め時間が有ったら詳細に踏み込んで行けば良いですか?」
「詳細まで踏み込まなくて良いから、まとめる中でメンバーに確認して欲しいワードとかピックアップし、それを助手に伝えながらにしてくれる。」
「今までに書いた物を利用するのは有りですか?」
「すでに文章にしたものが有るのなら、それをプリンセスに見て頂くつもりで見直し完成度を高められる?」
「はい、取り組んでみます。」

 一時間を使って今までに書いて来た案をまとめ直した。
 ほとんどシャルロットと相談しながら書いた案だから、その過程で彼女が戸惑った単語をピックアップしながらだ。
 それをエミリーのパソコンと共有…。

「あら、それなりの量が有るのね、しっかり読ませて貰うわ。
 この後、サブマネージャーとしての仕事と昼食を済ませてからの課題は、この村とあなた達の村を合併させた場合の問題点について、今まで合併と言う考えが無かったのなら、完成度は気にしないで良いわ、どう、村の合併は非現実的だと思う?」
「そう言う選択肢を考えたことは無かったですが、メリットは互いの村に有りそうですね。
 法的な問題まで調べた方が良いですか?」
「そうね、具体的に話を進めて行くことを想定して取り組んでみようか。」

 正直言って合併と言うことは全く考えて無かったことで、そもそも可能なのだろうかと思ったが、取り敢えず考え、調べてみることにした。
 ただ、法的な問題と言うワードに対するエミリーの反応は微妙、何となくネットで調べても簡単には出て来ないのではと勝手に判断、後回しにして、村の合併と言うことの可能性を考えてみることにした。
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近衛予備隊-54 [高校生バトル-48]

 村が合併するとどうなるのかは全く分からない。
 希望的なこととしては、プリンセス詩織の滞在に合わせ、大きく様変わりした隣村と一つになることで、俺達の村も上下水道を完備して貰え道路が綺麗になると言ったことになるが、その資金は会社次第。
 観光産業に力を入れて行く計画が有り娯楽施設が今後予定通りに増えて行くのなら、総合公園として使い易く店から近い土地を従業員の寮にするのは惜しいとも思える。
 隣村をバックアップして行く存在としての村造りは考えていたが、隣村としてではなく村の一部となったら…、そのメリットとデメリットは…。
 今まで調べた中では地方自治と言うワードが微妙に引っ掛かっている。
 他国では、村に予算が有り公共工事が行われ…、でもその原資は税金、貧乏な俺の村が多額の税金を納めてる訳も無く、当然公共工事などと言うものを見た事は無い、道路の補修は村人が行っていて…。
 その作業に関しては村長が調整していると聞いているが、村長は選挙で選ばれた訳でも無く。
 たまに不公平だと文句を言う人が現れトラブルになることは最近知った。
 唐突に提示された合併と言うテーマに対して、考えが行き詰り気味なので、視点を変えてみることに。
 この発想もフロアマネージャーに教えられたことだ。
 どうしてエミリーはこのテーマを俺に提示したのか…。
 彼女が効率を重視するタイプなのは間違いない、出会って間が無くてもそれぐらいは分かる。
 つまりは、村の改革を進めるには合併が一番と判断して…、深読みし過ぎるのは危険だと教えられてはいるが…。
 この村は会社が大きく関わって見違える様になった、合併すればその影響を俺達の村にも、もたらし易いのかも知れない。
 でも…、今の村長はどう考えるだろう、二つの村はうんと前に違う部族だったから違う村なのだと聞いた事が有る、お年寄りはそんなことにも拘る傾向が…。
 村の合併対して悪い事は何も思い浮かばず、問題は村のお年寄り連中を納得させられるかどうかぐらいかも知れない…。

「ジョン、ぼ~っとしてて良いのか?」

 ひたすら考えてた俺の姿は何もしないで、さぼってる様に見えたみたいだ。
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近衛予備隊-55 [高校生バトル-48]

 村の合併について一応ネットで調べてみたが、あまり参考になるとは思えないものばかりだった。
 元々ネット上に国内情報は少ないし、海外の情報では条件が違い過ぎる。
 エミリーには考えた内容の要点を簡単にまとめて見せてみた。

「これで良いわ。
 ところで、明後日プリンセス詩織との昼食会を組めるのだけど、どう?」
「えっ?」
「元々、学習時間だから他に予定は無いでしょ?」
「も、勿論です…、自分達全員ですか?」
「そう言う感じの会じゃなくてね、シャルロットとルーシーを含めた三人だけのご指名なの、他はメアリーと私。」
「プリンセスが自分達と会って下さるのですか?」
「会わなきゃ一緒に昼食会は出来ないでしょ。」
「冗談じゃないですよね?」
「あら、ジョンって疑ぐり深い性格なの?」
「いえ、素直な良い子です。」
「ふふ、ひょっとして緊張してる?」
「し、しますよ、女神様ですよ、凄く多くの人に敬愛されていて、この村へ来たくてもプリンセスの滞在中は規制が掛かっているぐらいで。」
「そうね、でも彼女はあなた達のことを弟や妹みたいに思いたいのよ、変に緊張してると彼女の気持ちを害するかもね。」
「もしかして、プリンセスの気持ちを害せず昼食会に参加、と言うのが次の課題ですか?」
「そうなるわね、彼女は会いたくない人達とも企業のトップとして会わなくてはいけないのだけど、出来ればあなた達には、彼女自身がまた会いたいと思える存在になって欲しくてね。」
「えっと…、近衛隊の人達がいますよね?」
「全員が彼女より年上だから、変に気を使わせてしまってるところがあるの、前の滞在地には妹分であるプリンセス雅がいらしたのだけど帰国してしまわれてね。
 今ならお断りすることも出来るのだけどどうする?」
「お断りするなんてとんでもないです、お願いですプリンセス詩織と会わせて下さい。」
「ふむ、素直で宜しい。」

 エミリーは直ぐ連絡を入れ明後日の昼食会が確定、シャルロットとルーシーに伝えたら二人とも大喜び、ただ俺達には更なる課題が与えられたので、急に忙しくなった。
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近衛予備隊-56 [高校生バトル-48]

 学習時間を終えた後は店内の見回り、近衛隊の隊員がいることも有ってか従業員たちは真面目に作業していた。
 フロアマネージャーに報告し今日の学習と仕事は終わったのだが、俺はパソコンを立ち上げた。
 まずは、プレゼンテーションについて調べる。
 エミリーから俺達に与えられた課題は、俺達の村を改革する手伝いを会社にお願いすること、その為のプレゼンテーションを明後日の昼食会前に五分から三十分の間で行う。
 このプレゼンテーションと言う言葉は今日初めて耳にしたので最優先で調べる必要が有った。
 綴りだけエミリーに教えて貰っていたので、直ぐに何となくの意味は分かったのだが、調べて行くとプレゼンテーションは奥が深い様だ。
 それなりに調べてみたが今まで経験したことの無いもので難しい。
 お腹がすいて来たことも有り良く分からなかった幾つかの単語をメモし食堂へ。
 話し掛けて来たのは何時も色々教えてくれる事務のお姉さん。

「ジョン、今日はシャルロット達と一緒じゃないの?」
「ええ、彼女達は夕食当番なので先に帰りました。」
「ルーシーも?」
「はい、シャルロットに教えて貰いながら手伝っているのです。
 以前は全然出来なかったのですが、自分に出来ることを増やしたいと挑戦しています。」
「ジョンは彼女の手料理を食べに直ぐ帰るの?」
「いいえ、エミリーから出された課題が難しくて。」
「その割に嬉しそうね。」

 俺はプリンセス詩織との昼食会とプレゼンテーションについて話し随分羨ましがられたが、夕食を奢って貰うことに。

「そっか、あなた達にとってはプレゼンテーションなんて言葉を知らなくても全く問題なかったのね。
 調べてみて理解出来た?」
「自分の考えた企画を相手に認めて貰える様に説明すると言う感じだとは思うのですが、そのテクニックとか有るのですよね。」
「そうね、でも、明後日にと言う事はジョンに多くを求めて無い証拠だから、気楽に考えて良いと思うわよ。」
 そこへ…。
「ジョンを独占して何を話してるの?」
「あん、二人の時間を邪魔しないで、真面目な話をしてるのだから。」
「ジョンに多くを求めて無いって、誰が?」
「エミリーよ、今日話して明後日プレゼンテーションなんて無茶な話でしょ。」
「でも、そこで隊長が見事なプレゼンテーションをしたら面白いんじゃない?」
「そう思うなら邪魔しないでよ。」
「いえいえ、以前はプレゼンテーションする部署にいたのよ、あなたは?」
「それは…、まあ…。」
 話が変な方へそれてしまうのかと思いきや経験者の話が聞けるのなら心強い、と、思った瞬間、彼女は近くに居た近衛隊の隊員に声を掛けた。
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近衛予備隊-57 [高校生バトル-48]

「ねえ、プリンセスが少人数で昼食会を開く部屋にはモニターとか有るの?」
「昼食会?
 あっ、もしかしてこの子がジョンなの、可愛い~。
 第三部隊の隊長は美形だと聞いてたけどここまでとは。
 宮殿で開かれる初めての昼食会の主賓なのよね。
 で、昼食会にモニターが関係するの?」
「昼食会前にプレゼンテーションすることになったのだけど、そのことを今日聞かされたそうでね。」
「プレゼンテーション自体、彼にとっては今まで必要の無かった言葉で、今日初めて聞かされたそうなのです。」
「成程、エミリーは張り切ってたからな、ちょっと待って、あそこで暇そうにしてるのが昼食会に関わってる筈だから呼んで来るわ。」
 連れて来られた人からも容姿に対する賛辞の言葉を頂き…。
「昼食会にしてはスタートが早いと思っていたのだけどそう言うことだったのね。
 モニターもパソコンも直ぐに用意出来るから、そうね、プレゼンテーション仕様のレイアウトにしておけるけど、何なら早めに来て練習しても良いわよ、私達もここでは初めてだから問題が無いか確かめておきたいし。」
「お願いします。」
「プレゼンテーション用のソフトは使ったことないよね?」
「はい、プレゼンテーションと言う単語は今日初めてです、知らない単語は目にする度に調べて来ました。」
「そうやって学習して来たんだ、興味が有るから今度隊長の学習方法を教えてね。」
「はい。」
「隊長は今まで動画や図表などの画像をパソコンからモニターに映し出したことは?」
「そう言った経験でしたら隊員に見せていますので、動画はYouTubeぐらいですが。」
「なら、問題は無さそうね、もし、パソコンに入ってるのが使い慣れたもので無かったら私が手伝うから安心して良いわよ。
「プレゼンテーションの内容はどんなことなの?」
「この村の隣に有る自分達の村の改革を手伝って貰えないかお願いすることです。
 こちらにとってのメリットばかりですから、普通のプレゼンテーションとは少し違うのかも知れません。」
「大丈夫、プリンセスはそんなこと、気にさせれる方ではないからね。
 プリンセスに伝える内容はまとまってるの?」
「はい、エミリーには見て貰いました。」
「私達も見たいよね?」
「ええ、ジョン、パソコンが必要かしら?」
「はい。」
「外部に漏れても問題ない内容かな?」
「え~っと、自分達の案で知らない人に見られても誰かに迷惑を掛けることは有りません、むしろ村人達に見せたいぐらいなのですが、村で英文を読める人は限られていまして。」
「じゃあ、私のノートパソコンを持って来れば良いかしら?」
「はい、エミリーからの指示で社員なら誰でもアクセス出来るパソコンの共有フォルダに入れて有ります。」
「なら私は、あそこの男性隊員に声を掛けて来るわね、彼は地方自治を考えていて村の改革は彼のテーマでもあるの。」
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近衛予備隊-58 [高校生バトル-48]

 思わぬ展開となり、気付けば十人ほどの人が集まっていた。
 結局ノートパソコン四台が立ち上がり、三台で俺達がまとめたものを見て貰い、一台を使って俺は話しながらメモを取っていた。

「良くまとめられてるね、君の村に対する思いが伝わって来るよ。
 これならプレゼンテーションはシンプルで良いかもな。」
「でも、隊長がパソコンを使いこなせてる所はプリンセスにも見て頂いた方が良くない?」
「そうだな、村の現状を示す写真や動画をモニターに映し出すか?」
「ねえ、隊長、村の現状を示す動画って色々有るの?」
「十五分程度のが二本だけです。」
「そっか、プリンセスがすでにご覧になられてる映像だけなのね。」
「図表に表すようなデータはどう?」
「動画を撮影する時に今の記録として何かないかと村長に訊ねたのですが、全くないそうです、本当に無いのかどうかは分かりません。」
「多分本当に無いのだと思うよ、ここの予備調査に入った隊員と話したことが有るのだけど、この辺りでは記録を残す習慣が無いそうで、植民地時代の遺物のようなものしか出て来なかったとか。」
「植民地時代の方が暮らし向きが良かったそうです、クオーターが多いのもその時代の名残だとか。」
「なるほど、ハーフやクオーター、隊長は良いとこどりの見本なのだな。
 図表が使えないのなら写真と言葉だけになるが、まあ、シンプルで初々しい方がプリンセスにとっては新鮮だろう、問題無いと思うよ。」
「確かにそうね。」

 それから具体的な話を交えながらプレゼンテーションのポイントを教えて貰った。
 随分長時間、近衛隊の皆さんは俺に付き合ってくれて、感謝の気持ちしかない。
 送って行くから最終バスの時間を気にする必要は無いと言ってくれ、実際に帰りはわざわざ車で送ってくれた、何のついでもないのに。
 
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近衛予備隊-59 [高校生バトル-48]

 翌日、朝早くに目覚めて外に出たら、シャルロット達が二人で話しをしていた。

「眠れなかったのか?」
「うん、プリンセス詩織に会わせて頂くことを考えてたらね。」
「ジョンが最終バスに乗って無いと思ってたら、近衛隊の人に車で送って貰うなんてビックリしたわ。
 夜に車が部落にって初めてじゃない、店が出来て道路が良くなって無かったら無理だったでしょ。」
「かもな。」
「ジョンが近衛隊の人に送って貰い敬礼する姿は部落の人に何か感じて貰えたかもね。」
 でも、シャルロットと二人で心配してたのよ、プレゼンテーションの準備も有るのから。」
「まあ、色々有ってさ。」

 俺は二人に昨夜の話しをした。

「じゃあプレゼンテーションの準備は進んでいるのね。」
「ああ、村の改革について今まで色々考えて来たが今回は上下水道の整備をお願いしようと思う、一度に沢山お願いするより、この村一番の問題である衛生面の改善に絞った方が良いだろ。」
「そうね、キャンプ場の工事が始まってるし寮建設の話も進みそう、そこでも上下水道の整備をするのだろうから無理なお願いではないよね。」
「村の現状について簡単に五分程度説明させて貰った後、上下水道の必要性について十分ぐらい、合計十五分程度にまとめ、残り時間で質問をして頂こうと考えている。」
「質問の時間はプレゼンテーション時間内に入れるべきなの?」
「俺達がだらだら話す必要は無いと言われたんだ、プリンセス詩織の方が詳しいかも知れなくてね。
 分かってることを長々と聞かされたら苦痛でしかないだろ。」
「そうね。」

 それから少し相談したが、バスの始発時間に合わせ一旦家へ戻りバス停で落ち合う。
 仕事は休みだが作業にはパソコンを使いたい。
 始発は従業員専用だから気軽に乗れる。

「ルーシーは随分バスに慣れたよな。」
「私が慣れたと言うより車椅子の固定作業をしてくれる運転手方がね。
 それより、明日は昼食会と言っても隊服で良いのよね?」
「勿論さ。」
「こんな時、隊の制服が有って良かったわ。」
「よね、店がオープンしたお祝いに給料で買ったルーシーとの双子コーデが一番ましかもだけど、遊びに着て行く様な服装でプリンセスにお会いする訳には行かないし、お祭りの時に着てた服も店に並ぶものを見てたらダサくて。」
「私達にとって一番良い服の筈なのだけど。
 ジョン、使用許可の必要な儀式用の隊服をお願いするの?」
「いや、皆さんの話からするとプリンセスはその様な事は好まれないそうだ。
 服装より問題は課題だぞ。」
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近衛予備隊-60 [高校生バトル-48]

 店の四階、何時も学習に使わせて貰ってる部屋でパソコンを立ち上げる。
 他に誰もいないので、気兼ねなく三台立ち上げ夕べ簡単にまとめたガイド、社員なら誰もがアクセスを許可されてるパソコンに入れて置いたものを二人に見せた。

「そっか、ただ説明するだけでは相手に伝わりにくいのね。」
「だから写真を効果的に使う、確かに言葉の説明だけではイメージしにくいかも。」
「う~ん、時間はないけど、しっかりした台本を作り練習しておかないと…。」

 それから台本の作成を始めた。
 最初と最後を俺が担当しそのまま質問はないかとプリンセスに尋ねる。
 村の現状についてはシャルロットが話し、ルーシーが上下水道敷設のお願いを担当。
 文の下地は有るので作業分担し、二時間程でまとめ上げることが出来た。
 昼食後からリハーサルを始めることにして休憩することに。
 食堂へ行くと、丁度昨夜教えてくれた人が来ていて…。

「ジョン、こんにちわ、準備は…、あっ、今日は第一夫人と第二夫人がご同伴なのね。」
「昨夜は有難うございました、シャルロットとルーシーです。
 ルーシーが冗談で言ってる第二夫人と言うことまで、もう耳に入ってたのですか?」
「あなた方は噂の的だからね。
 第三部隊の隊長はサブフロアマネージャーに抜擢されるぐらい優秀で美形、その彼女たちも接客で活躍してるとか、ここへ来る前から評判を聞いてたの。
 第一部隊や第二部隊と条件が違うとは言え注目せざるを得ないのよ。」
「確かに色々違いますものね。」
「始めはここも、第一部隊と同じ様な年齢の人を集める予定だったのだけど、みんな働きに出てるでしょ、色んな意見が出たのだけど、ここは学校を気にせずこちらで教育出来るから、少し年齢が下でも何とか出来るとなってね。
 あなた達が訓練や学習を始めた頃、メアリーの報告はありきたりの物だったのだけど、しばらくしたら短期間で英語力を中心に信じられない速度で成長してる子達が居ると内容が濃くなり、あなた達の為にパソコン台数を増やしたいアピール。
 彼女は策士だから報告書にはジョンを始め美形の子を揃えて私達の心を揺さぶったのよ。」
「そんなことが有ったのですか。」
「どう、明日の準備は?」
「台本を作り終えた所で、午後から練習します。」
「何時ごろまで?」
「やってみないと分かりませんが、夕方までには終わらせたいと考えています。」
「う~ん、私、今日は早番だったから三時頃には上がりなの、良かったらリハーサルを見せてくれないかな?」
「是非お願いします。」
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