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室長-11 [安藤優-04]

アメリカ視察旅行から二週間後、会議が開かれた。
「今日はお忙しい中お集まり頂きまして有難う御座います、社長特務室室長、安藤優ですよろしくお願いします。
今日初めて顔を合わせるという方もお見えでしょうが、個別の紹介は後ほどという事にして簡単にどんな人達が来て下さっているかだけ紹介させて頂きます。
社長特務室のメンバーの他、秘書室、広報部、中田工業技術担当、高島技研技術担当、桜総合学園制作部番組制作の方々と、新規に特務室入り予定の方々です。
まず、社長特務室の今後の方向性が取締役会で承認されました事を報告させて頂きます。
これにともなって特務室増員となりますが、今日集まって頂いた方々には、その増員のお手伝いをお願いしたいのです。
まずは特務室の今後の展開についてご理解頂きたいと思いますので各担当より簡単に説明させて頂きます。」
「広報担当の加山です、特務室の役割の一つとして社長とその周辺の広報活動を広報部、制作部との連携を今まで以上に密にし効率良くして行きます。
広報部、制作部内に特務室担当を置いて頂くか、特務室への移籍をお願いします。
社長特務室専属となって頂く訳ですが、これとは別に交代で手伝って頂く方も部内にお願いします。
これは専属メンバーがいる事で、より一貫性のある広報活動をしつつ、交代で任に当たって下さる方の違った視点も取り入れたいという考えによるものです、ご理解ご協力お願いします。」
「技術担当の宇野です、特務室の大きな柱として社長、室長から出された技術的提案を傘下の企業に反映させて行く事が有ります、現時点ですでに中田工業さんと高島技研さんに協力を頂いていますが、今後さらに強化して行く事を考えていますので、よろしくお願いします。」
「スケジュール担当の矢崎です、今までは広報活動重視の工場視察が主になっていましたが、宇野が担当するところの技術面も考慮して秘書室、広報部と調整して行きたいと考えております、よろしくお願いします。」
「社内システム担当の池端です、桜根が巨大化した為、企業間の情報交換など充分出来なくなって来ています、同じグループ企業内に自社のプラスになる技術が有っても知らずにロスしてる可能性を極力排除する、大きなシステム構築を目論んでいます、これは国内のみならず海外の企業も視野に入れての事です。
簡単では有りませんがロスを減らせば会社がより良くなって行くと思いますのでよろしくお願いします。」
「では、質疑等有りましたらどうぞ。」
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室長-12 [安藤優-04]

会議を受けて社長特務室の体制強化が進んだ。
新たに加わったメンバーや各社の商品開発関係部署等に置かれた特務室担当が仕事に慣れて来た頃には、すでに幾つもの成果を上げ始めていた、特務室広報部門は金銭的な実績が出る訳ではないが新企画が好評、広報部との役割分担も明確になり効率も良くなった。

そんなある日。
「室長どうかされましたか?」
「矢崎さん、うちの製品で輸出されてないものが結構有りますね、逆に海外の工場で作っているのに輸入されてないものも。」
「そうですね、お互い習慣が違ったり…、輸入されてないの物は桜根傘下に入って日が浅いという事情が有るのかもしれません。」
「でも、もしかしたら売れるかもしれない、試しに…、第一弾は普通に日本で売ってる商品を海外の拠点で試験販売してみましょう、その状況を見ながら第二弾は輸出仕様の商品を検討してみましょうか。
海外で製造している商品は生物以外、一度全部送って貰って試験販売してみましょう。
桜根の宣伝にもなりますからね。
ちょっと大きいプロジェクトになりますから、社長とも相談してプロジェクトチームを、輸出と輸入でまず二チーム立ち上げます、一週間以内にゴーサインを出せると思いますので下準備をお願い出来ますか。」
「分かりました、プロジェクトリーダーの人選まで始めて構いませんか?」
「社長にだけ確認を取りますから、取れたらすぐ進めて下さい。」
「はい。」

特務室からの指示に全社が敏感に反応したのは、それまでの実績のなせる業であろう。
海外では売れそうに無い物まで、違った使い道を考えて試験輸出リストに加えた工場も有る。
海外からは、日本ではなじみのない物も輸入リストに並んだ。
プロジェクトチームは室長の指示通り、余計な事を考えず、ただ売れ残った時の事だけを考えて準備を進めた。
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室長-13 [安藤優-04]

試験輸出入の結果が出始めるまでには二か月ほど掛かったが。
「室長、やりました! 試験輸出の一回目の報告が届きましたよ!」
「どうしたんです、何時も冷静な矢崎さんらしくないですね。」
「思わぬ商品がバカ売れで追加発注が幾つも届いているそうです、もの珍しさだけの可能性も有りますので追加数は抑え気味にしているそうですが、それでもかなりの、しかも不良在庫になりかけてた商品もそれなりに売れて、すでに特務室宛に感謝のメールが届き始めています。」
「では、近い内にプロジェクトチームと商品分析をしたいですね。」
「はい、その様に、報告のデータは日本語ノートパソコンに入れて有りますので確認願います。」
「有難う御座います。」
「これこそが特務室の力なんですね、個別の会社単位ではなかなか出来ないでしょうし、効果的でも有りません、全社に影響力の有る社長特務室が実績の有る室長の指示で動くとこれだけの成果が出せる、私、ちょっと感動してます。」
「特務室の狙いが分かって頂けて嬉しいです。」
「その割に室長は嬉しそうじゃありませんね。」
「まだこれからです、じっくり見極めて本当に海外でビッグヒットになる商品を見つけ出し、もしくは海外向けに手を加えて、桜根を支えてくれる様な商品をもっと出して行きたいのです。」
「室長がそれだけ貪欲であるのならこの会社は安泰ですね。」
「多くの社員を抱えていますから、父の助けをしたいのです。」
「やはり将来はこの会社の社長に?」
「それは分かりません、父も桜根の社長にこだわるなと言ってくれてます、個人経営の会社では有りませんから本来後を継ぐというものではないそうです。」
「でも室長のお力なら社長の息子としてではなく、実力有る経営者として桜根を守って頂けたらと思いますが。」
「有難う御座います、でも、まあ先の事ですしね。」
「あっ、そうでした、未だに室長の若さとお力に納得がいきませんが…。」
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室長-14 [安藤優-04]

優は社長特務室室長として多くの実績を上げていたが、ようやく小学校卒業という年齢、それは大人達にとっては悩ましい事だった。
ある取締役会後の雑談。
「社長特務室はどうなるかと思ったけど、予想をはるかに上回る事績を上げましたな。」
「丸山さんは室長を侮っておられたのでは有りませんか。」
「ですね、的確な指示を出して後は部下に任せる、ご自身が会社に拘束されてる時間は極めて短いのに部下から大いに尊敬されてるそうですよ。」
「でも、遊んでる時でも仕事の事を考えておられそうじゃないですか、室長自身は副社長とか望んでおられないのでしょうか。」
「室長という立場に満足してみえる気もしますが。」
「それより怖いのは、ぽ~んとアメリカの名門大学に飛び級で進学とかを希望されたらどうします?」
「それは有るな、社長も本人任せと話しておられるからね、表向きは小学校卒業だが実質的には高校卒業レベルだそうだ、しかも優秀な成績で、特務室室長やりながら…、バイオリンの腕前も、かなりのものだそうだ。」
「天が二物を与えたか…、いやいや、一芸に秀でる者は多芸に通ずという事なんだろう。」
「室長が今まで我が社に貢献してきた額は有形無形合わせると何十億になるかもだぞ。」
「社長と同じ考え方を持ち、社長と別の視点で見て下さるからな、やはり本社の近くにいて頂きたいな。」
「でも、色々な事に興味をお持ちになられるから…、知的好奇心がここで満たされなくなったらやばくないかしら。」
「彼女とかはともかく友人とかはどうなんだろう。」
「私達とは規格が違い過ぎて想像すらできんが、何とか本社に居て下さる様に出来ないものだろうか。」
「直接聞いてみますか?」
「それで今のお気持ちは分かっても将来的な事は何の保証もないわな。」
「う~ん、誰か良い案無いのか?」
「こんな時、社長か室長なら、すぐに良いアイディアを出して下さるのにな。」
「はは、さすがにな…。」

こんな話し合いがなされていた頃、優は親と離れての海外旅行を計画していた。
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室長-15 [安藤優-04]

優が室長としての立場を固めつつ有る頃から、父とは別行動での出張もこなす様になっていた。
社長でも社長室室長でも良いから来て欲しいという依頼が増え、それに応える形で父と手分けして講演や視察に出かける様になっていたのだ。
行先は優の希望を優先、すでに親から自立し始める年頃になっていたから、優はこんな旅行を楽しんでいた。
今回の海外出張はその延長線上とも言える。

「室長、ヨーロッパ行きの同行スタッフですが、どうしても英語以外が弱くなってしまうのですが。」
「英語が出来れば大丈夫じゃないですか。」
「はい、ただ場合によっては先方とのコミュニケーションを室長にお願いせざるを得なくなる可能性も有りまして。」
「分かりました、下準備でも必要なら相談して下さい、皆さんが不安なら通訳もお願いして下さい。」
「有難う御座います、ヨーロッパとの繋がりはまだ少なくて、アジアやアメリカの時の様に現地スタッフを頼る事も出来ませんから。」
「今回はかつて日本に留学していた人達とも会いますが、彼等は今回の旅をサポートしてくれると言ってくれてます、少しばかり甘えても良いと思いますよ、自分が日本語を教えた人もいますし、新たな業務提携まで視野に入れてる人もいますからね。」
「室長の人脈ですか…、どうやってそんな人脈を作られたのですか?」
「両親の力でしょうね、留学生だけでなく多くの人を家に招いてもてなして来ましたから、父が招いて、母が相談に乗ったりと、自分はホームシックになってる留学生の相手をして来ましたが。」
「そうでしたか。」
「ヨーロッパとの結びつきを強める事が大きな目的ですから、お土産も厳選して下さいね。」
「はい、各地の支社から日本的な物とヨーロッパでも売れそうな物を用意しています、ヨーロッパ統括支社に貨物便一機分を送る手筈も整いました。」
「どうです、輸出入のバランスはとれそうですか?」
「はい、試算の段階では大丈夫です、実際には色々な調整が必要になって来るでしょうが、大きくバランスを崩す事の無い様、室長の指示はスタッフ全員に行き届く様にしています。」
「うん、お互いの利益を守る事が大切だからね。」
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室長-16 [安藤優-04]

相手国の利益を守る事は優の父である株式会社桜根社長、安藤隆二が全社員に強く働きかけてきた事だ。
そしてこの姿勢が海外事業を拡大する要因ともなりヨーロッパでも評価され始めていた。
そして。

「室長、今回は佐々木総理の友人というお立場でも行動されますが、私達はどう動けばよろしいですか?」
「特別な事は必要有りませんが…、そうですね宇野さんは自分の代わりにお酒でも召し上がって頂けませんか。」
「それは室長の頼みと有ってはお断りする訳には行きませんね。」
「商談だけでなく国際交流が目的の一つとなる訳ですが、良い印象を持って頂ければ日本にとってもプラスになります、まあ僅かながらですけどね。」
「はは、僅かばかりにするお気持ちは有りませんよね。」
「いえ、さすがに今回だけで大きな貢献とは行きませんよ、でも長い目で見て、そうですね父がアジア中心に大きな信頼を得た様にと考えています、ただ国によって色々違いますからね、今回はまずその違いを体験できればと考えています、まずは相手を知るという事です。」
「となるとスケジュールはあれで良かったですか?」
「ええ、矢崎さんがバランスの良い日程を組んで下さいました、彼女は本当にこういった事が得意ですね。」
「そう言われてみれば、確かにそうですね、仕事と観光が…、でも室長、フランスでの講演は大丈夫ですか。」
「日本では社員向けでしたが、今回は社員ではなく会社の社長とかが相手で、さすがに考えただけで緊張しますね、でも父の講演を何度も見て来ましたから、まずは真似ようかと思っています。
原稿も練ってフランスの知り合いにも見て貰いましたから…、ただ社長の息子で会社の一部門の長に過ぎないという立場を聴衆の方々がどう受け止めるかはやってみないと分かりませんね。」
「ヨーロッパ統括支社に動いて貰ってはいますが、そもそも統括支社の段階ですからね、フランス支社、パリ支社を置けるレベルにならないと面白く有りません。」
「これからそこを目指す訳ですから宇野さんお願いしますね。」
「はい、まずは技術協力を模索してみます。」
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室長-17 [安藤優-04]

ヨーロッパ旅行、それは優の力を改めて社長特務室のメンバーに見せつける場となった。

「なんかさ…。」
「宇野さんどうかされました?」
「なんか、自分が役立たずに思えて来たよ。」
「ですね、私に出来る事は室長の負担を減らす事ぐらい…、それも充分に出来ているとは思えなくなってきたわ。」
「ここまでイタリア語フランス語ドイツ語だもんな、学生時代第二外国語で履修したドイツ語はほんの少し分かっても、室長がドイツ人と話してるのなんてさっぱり分からない、業務提携の話がどんな風にまとまったのかは室長に教えて貰うまで全然分からないなんてな。」
「これを機に特務室メンバーも見直しかしら。」
「だな、フランス語やドイツ語が解る人とかも…、英語だけでも何とかなると思っていたけど、本格的な提携や桜根子会社を考えたらな。」
「大きな会社なら英語だけで何とかなっても、うちは小さいとことも積極的に繋がって行くから主要言語は押さえておかないとだめみたいね、何時も室長に頼る訳にも行かないし。」
「唯一の救いは日本語を学習してるという人が思っていたより多かったという事ぐらいかしら。」
「やはり日本の企業に興味のある人達が相手だからな、う~ん日本語教室的なのがここで盛んになってくれるよう企画案を出してみようかな。」
「フランスでのスピーチも会場の雰囲気を見てると成功だったみたいよね。」
「雰囲気でしか判断できないなんてな。」
「じゃあ宇野さん、フランス語の学習する?」
「いや~さすがにきついでしょ、英語で苦労してきたぐらいだからさ。」
「言葉の問題だけじゃないのよね、通訳の人が教えてくれたけど新聞やテレビでも取り上げられて、しっかり結果も、当初の目標は確実に達成してるわね。」
「ヨーロッパ統括支社の人も喜んでたな、仕事がやりやすくなるって、始めは上司が子どもだなんてプライドは、とか聞かれたけど、後で謝られたよ、社長特務室と子どもの室長の事が良く分かってなかったそうだ、通信手段が発達しても実際に会って話をする事は大切だな。」
「それが通訳抜きならなおさら効果的って事なのね。」
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室長-18 [安藤優-04]

ヨーロッパから帰国して二週間後、優は初めて取締役会への出席を要請された。
それは社長特務室から出された特務室拡大に関しての説明を求めるという名目。
優が要点のみを簡潔に説明した後。

「室長、今後とも社長特務室を拡大して行くおつもりですか?」
「はい、今の所は桜根に貢献出来ていると思いますし、業務内容は広がっていますから。」
「大きな判断は取締役会に委ねておられますが、このままで問題ないですか。」
「そうですね、一歩遅くなる事も有りますが、自分はまだ経験が浅いですからやむを得ないと思っています。」
「我々は、もっと室長にお任せしても良いのではないかと考えているのですが。」
「どういう事でしょうか?」
「社長特務室の業務の内、技術系を中心に新会社を立ち上げ、そこに移行しては如何でしょうか、これにより今まで取締役会の承認を必要としていた案件も新会社社長の裁量で行って頂ける様になるのですが。」
「え~っと、この事は社長も含めた取締役会の総意ですか?」
「はい。」
「すいません、その形は想定していませんでした、お話の流れからすると自分が社長という事でしょうか。」
「全面的にバックアップさせて頂きます、それこそが桜根の最も得意とする事ですからね、資本金も現時点の特務室がらみでそれなりの規模に出来ます。
大学の研究室と合同で新規事業というご提案も有りましたが、こんな事業規模でしたら室長の判断で簡単に出来る様になります。」
「う~ん、自分を海外留学させない為の、とかではないですよね。」
「えっ、それは考え過ぎですよ、今までの室長の功績を考えたら、何時迄も室長という訳にも行きません、かと言って本社の副社長や取締役というのでは余分な仕事が増えるだけでして、新会社の社長でしたら脇を固めたいという人物は掃いて捨てるほどいますし。」
「分かりました、少しお時間を頂けますか、自分なりに調べ検討させて下さい。」
「はい。」
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室長-19 [安藤優-04]

取締役会の後、優は緊急会議を招集した。

「新会社設立ですか、室長さえよろしければ私は賛成です、今までも取締役会の承認だけのためにワンテンポ遅れた事が有りましたから。」
「室長は、社長として縛られる事を危惧しておられるのですか?」
「う~ん、実は何かピンと来てないのですよ、皆さんの意見を聞かせて貰ってから父と話したいと思いまして。」
「取締役会で社長からのお言葉は?」
「仕事の場では親子じゃないですからね、父とは家に帰って親子に戻ってからです、色々聞けるのは。」
「何も迷う事は有りません、我々が今まで通り全力でサポートします、中学生社長を売りに出来ますよ。」
「ただ…。」
「ただ?」
「やってみたい事が多すぎて、暴走してしまいそうで。」
「そ、そう来ましたか…。」
「良いんじゃないですか、失敗したら取締役が尻拭いしてくれますよ。」
「そうよね、室長、社長は今でも大胆な指示を出されていますが、室長ならもっと大胆な事をやれますよ。」
「どうしてうちのメンバーは皆、お気楽なのかな。」
「そりゃあ室長のご活躍を自分の目で見て来たからですよ。」
「自信を持って社長になって下さい。」
「室長は今まで大きなミスもなく職務をこなしてこられました、でもミスも経験して頂きたいです、それをカバーしていけたら、お父上の様な大社長になれると思います。」
「有難う御座います、ではその方向で父と相談してみます。
え~とまずは、特務室の広報だったり基礎的な部分を残して、技術開発と新規事業で新会社を設立する方向で、まずは現在進行中の作業を元に組織の概要を組み立てて頂けますか。」
「分かりました。」
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室長-20 [安藤優-04]

翌日、優は決意を表明、それを受けて特務室は新会社設立へ向けて動き始めた。
本社からすぐに担当が来て打ち合わせを始めたのは、決定前からすでに準備を進めていたからに他ならない、会社の設立は桜根社員にとっては手慣れたもの、傘下に大小様々な会社を持ち、それらの合併や分社といった事を沢山経験してきたからだ。

「室長、新会社と言ってもまずは社長特務室の延長から始まりますからね。」
「はい、それが一番スムーズに行く形だと思います。」
「資本金なんですが、当初一億で始めます、ただこれまでの室長の実績を、室長になられる前からも含めて計算していまして、その結果次第で十億ぐらいまでは積み上げ可能だと考えています。」
「その根拠は?」
「室長になら十億預けてもきちんと採算を、そうですね少な過ぎて室長が思いっきり動けなかったら我が社の損失になるとも考えての金額です、逆にそれ以上の規模はご自身の才覚で何とかなさると判断させて頂きました。」
「分かりました、自分の様な若輩者をそこまで評価して下さって感謝します。」
「取締役とかの人選はどうされます?」
「まずは新会社設立を発表させて頂いて、そこからどんな声が返って来るかを見てからで如何でしょうか?」
「問題ないです、公式発表は来週の頭でよろしかったでしょうか?」
「はい。」
「発表の流れは私と特務室の矢崎さんとで組みます、決定したら確認をお願いします、特に問題はないと思いますが何か有りましたら遠慮なくどうぞ。」
「有難う御座います。」
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