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夏に向けて-01 [飯山美里-04]

私は飯山雅夫と申します、縁あって山間の町に越してきて働いています。
仕事のメインはこの地の過疎化を食い止める事、簡単な事では有りませんが多くの方々に協力して頂いて少しずつ形を作っている所です。
あっ、社長が帰って来ました。

「ただいま。」
「おかえりなさい、横山社長如何でした?」
「あっさりオーケーが出たよ。」
「じゃあ、あの辺りの土地は自由に使わさせて頂ける事になるのですね。」
「ああ、それで美里ちゃんにお礼を言わないといけないのだが。」
「えっ、美里にですか?」
「例の恰好良くなろうってキャンペーンだよ、美里ちゃん発案で始まってから今では小学校だけでなく広がってる、思ってた以上にね。
最近見かけた光景なんだが、子どもをしかってる人が、そんな事したら恰好悪いだろ、そんなんじゃ美里ちゃんに笑われるぞって、そう言われると子どもが納得した様に親の言う事を聞いてた。」
「私も似た様な光景を見た事が有ります。」
「今日の相手は以前交渉に行った時に、絶対安くは貸さないという感じだったろ。」
「でしたね、ほったらかしの土地なのに、金になるなら一円でも高くみたいな。」
「それが最近になって、周りの人から恰好悪いって言われまくったそうなんだ。
美里ちゃんがここの子ども達の為に動いてくれてる、それなのに大人達が我々の過疎化対策に協力しないなんて恰好悪いとな。」
「う~ん、町で会う人に毎日の様にお礼を言われるそのほとんどが、うちの子が美里ちゃんにお世話になってましてって、私だってこの地の再生の為に懸命に働いてるつもりですがね。」
「最近可愛さに磨きがかかって来て、すっかりアイドルだからな、で、どうかな夏休み中の企画の色々な場面で美里ちゃんにも手伝って貰いたいと考えているのだけど。」
「大丈夫だと思います、すでに学生達メインの企画は手伝う事になってますし。」
「ただ、美里ちゃんに会いたいという声が結構届いていてね、ブログを見た人とか、学生達の間でもリーダーの資質を備えた美少女に関心が集まってるそうなんで、少し忙しくなるかもしれないが。」
「微妙ですね、リーダーの資質を備えた子に興味があるのなら構いませんが、美少女の面だけに興味があるという人はどうでしょう。」
「そんな連中が過疎化に興味を持つきっかけになればという事なんだが。」
「なるほど…、美里と相談してみます。」
「了解して貰えたら、早目にスケジュールの調整を学生や本社の広報部を交えて行いたいと思うけどどうかな。」
「分かりました。」

娘がみなさんから注目されるのは嬉しいですが、心配も有り複雑な気持ちです。
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夏に向けて-02 [飯山美里-04]

娘の変化、成長って、一緒に暮らしているとなかなか気付かないものです。
それだけに気付いた時のインパクトは大きいもので、先日たまたま学校の近くを通りかかった時の事、偶然、娘が小さい子の面倒を見ている光景を目撃しまして。
その表情がですね、何とも優しさに満ち溢れ…、私の前では今まで見せた事のない慈愛に満ちた笑顔と申しましょうか。
我が娘ながらしばし見とれてしまいました。
下級生から慕われているという事は知っていたのですが、自分は娘を過小評価していたかもしれません…。

「父さん、話があるんじゃなっかたの?」
「あ、ああ、今日横山社長から、美里に手伝いを頼んで貰えないかって、夏休にさ。」
「それだったら、もう決まってたよね。」
「いや、もっと色々さ、忙しくなるかもしれないけど、ちゃんとスケジュール調整する事になってる、何でも美里に会いたいという人が大勢いるそうなんだよ。」
「あっ、ブログかな、時々書いてるのが好評なの。」
「ああ、たまに見てる、美里が書いた時だけは反響が桁外れに多いよな、これで写真とかUPしたら大変な事になるかもしれないぞ。」
「百合子さんも母さんも写真UPしようって言ってるけど、なんか恥ずかしいし。」
「そうだな、夏の企画は広報部も絡んでくるから可愛い衣装も用意させる、貯金通帳はあったよな。」
「通帳?」
「うちの仕事を手伝うという事は仕事だと思って欲しい、もちろん給料も出る、沢山貰っても無駄遣いしちゃだめだぞ。」
「ふふ、どこで使えば良いのか分からないわ。」
「だな、服の方はこの地を、恰好良くなろうって変えてくれたお礼だ、ほんとに有難うな、横山社長も感謝しきれないって。」
「それは自分達のためだから…。」
「でも、美里の頑張りが多くの人を動かしたんだ、自信を持って、これからも頼むな。」
「うん。」

私どもの様に移住してきて事業をしていこうという者にとって地元の方との交流は最も大切な事でした。
それを一番に進めてくれた娘には感謝しきれません。
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夏に向けて-03 [飯山美里-04]

今日は夏のスケジュールに関しての会議です。

「横山社長、美里ちゃんなら手伝って貰うというより、来てくれるだけで場が明るくなります、自分が企画してるイベントは比較的年齢層が高いですから、是非とも遊びに来て欲しいですね、参加者の中には美里ちゃんがブログで紹介した所を実際に見てみたいという方もみえるぐらいですから。」
「私の担当は移住を検討している方が対象ですから、はずさないで下さいね、美里ちゃんのいる学校なら転校したくなりますよ。」
「う~ん、我々の企画に学生達の企画、広報部も何か考えてる様だからな、ひとまずここのメンバーは日程と何をして欲しいかの希望を今日中に出して欲しい、先ほど連絡が入って明後日本社から美里ちゃんのチーフマネージャーが打ち合わせに来るそうだ。」
「えっ、チーフということは…。」
「色々考えているのだろうな、みんなにお願いしておきたいことは、人気者の美少女といっても普通の六年生だからね、変な負担を掛けない様にして欲しいってことと…、カメラを持って追っかけ回す様な輩がいたら守って欲しい。」
「当然ですね、うちの子も良くして貰ってますから、毎日の様に美里お姉ちゃんの話をしてますよ。」
「自分も絶対守ります、会う度に困った事有りませんかとか慣れましたかとか気を使って貰ってますから。」
「はは、頼りないと思ったのかな、意外とそうでもないのに。」
「意外は余計ですよ、自分の企画をきっちり決めて、恰好良い所をアピールしますからね。」
「不思議なのよね、大人同士話していても美里ちゃんの話題が出て来るとみんなにこにこして、お父さまのお力ですか?」
「えっ、どうでしょうか、小さい頃から真っ直ぐな子では有りましたが、ここへ来てから急に大人びて、まあ、そういう年齢なのでしょうね、私の目にも眩しいくらいですよ。」
「これから心配も増えそうですね。」
「はい。」
「本当に我が社の宝だからね、可愛い服を着て貰うぐらいしかお礼が思い浮かばないのだが。」
「背が伸びてきたから、ちょっと大人っぽいのも似合いそうよね、う~ん似合うのないか探してみようかしら。」
「悪くはないがスタイリストが付くみたいだよ。」
「そっか、本社サイドも狙ってるんだ、でもアイドル活動とかする事になったら、ここからでは…。」
「そんな事になったら関係者には来て貰う様にしないとな、取材も撮影も何もかもここでやって貰おう。」
「ですね、その方が美里ちゃんの負担も少ないし、この地にとってもメリットが有りますよね。」
「みなさん変に盛り上がり過ぎでは…。」
「飯山さん、何言ってんですか、夢を見ましょうよ、こんなの夢としては小さ過ぎますけど、ここからアイドルを世に送り出して、映画やドラマはここで撮影、レコーディングもここでやりましょう。」
「いいね~。」

ちょっと暴走ぎみの社員達ですが、怖いのはこんなことを本気で考えてるということだったりします。
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夏に向けて-04 [飯山美里-04]

娘のチーフマネージャー田川さんは以前うちに来てくれた事も有り娘とも顔見知りです。

「ねえ、美里ちゃん、将来何になりたいとかあるの?」
「まだ、特にないです、ここに越して来てから色々な人に会う様になって、色んな仕事が有るんだなって感じてますけど。」
「そっか、じゃあさ司会とかの勉強してみない?」
「司会ですか?」
「ええ、アナウンサーとかそのまま能力が生きる仕事も有るけど、そうでなくても司会が出来ると色々な場面で活躍できるのよ。
夏のイベントでも司会の手伝いをしてみて欲しいし、簡単ではないけど今なら下手でも全然問題ないからね、でも今からトレーニングすれば高校生ぐらいにはかなりのレベルになると思うのよ。」
「でもどうやって練習するのですか?」
「ネットを利用してね、一つの実験的取り組みでも有るけど、ここで暮らしながら基礎から練習というシステムを考えてる人がいるの。
田舎暮らしの人がこういった勉強をしようと思うと、まず都会に出てとなるじゃない。
でも田舎に住んでいても学習出来る…、まあネットの回線に問題が有る場合は何ともならないけど、そんなシステムが有ったら田舎暮らしの人の可能性が広がると思わない?」
「そうですね、考えたことなかったですけど。」
「まあ、通信教育の可能性を探るって事ね、トレーニングはマイペースで構わないけどやってみない?」
「う~ん、父さんどうかな?」
「美里次第だけど、やってみたいと思ったら、ぜひ挑戦して欲しい、田川さんの言われる通り司会進行が出来ると色々役に立つと思うよ。」
「でも通信教育って高いのでしょ?」
「そんな心配は要りませんよ、こちらがお願いしてる事なんだから、ただもし良かったらなんだけど、テレビに出てくれると嬉しいけど。」
「えっ、私そんな…。」
「ここの宣伝をしたい訳、それでね情報番組に定期的に出て、今の天気を伝えたりこんなことが有ります、有りました、なんて事を小学六年生らしく話して欲しいの。」
「トレーニングして、すぐ本番ってことですか?」
「ええ、最初は下手な方が良いかな、そこから美里ちゃんがだんだん上達して行く姿を見てる人達が楽しむ、さらに可愛い女の子が美人のお姉さんに育って行く所もね。」
「うわ~、なんか恥ずかしいな…。」
「これは誰でも良い訳じゃないのよ、美里ちゃんが一番適任なの。」
「父さん…、私がやったら、ここの過疎化を止める事に役立つのかな?」
「ああ、私からも頼むよ、私の娘をもっと多くの人に自慢したいしね。」
「どう、挑戦してみない。」
「田川さん、どきどきするけど…、やってみたいです、ここの素敵な人達も紹介できますよね。」
「ええ、もちろん。」

娘は田川さんの話をきちんと受け止めて真面目に考えてくれました。
テレビに出るというのは親として心配も増えますが、良い経験になると思います。
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夏に向けて-05 [飯山美里-04]

娘が承諾してからすぐに色々な事が動き始めました、いえ、その前から随分動いていたというのが本当の所かと思います、テレビ出演がすぐ決定しましたから。
私どもの間では、過疎化を食い止めるには、都会暮らしの人が積極的にこの問題に係わって行かないと難しいという結論に至っておりまして、その結論を真摯に受け止め動いて下さる方々が、形はボランテアだったり仕事の延長だったり様々ですが、大勢いらっしゃるのです。
娘も私の仕事がそんな方々に支えられてのものだという事を理解していて真面目に協力してくれています。

「父さん、テレビでレポートする時のサンプルなんだけど。」
「サンプル?」
「えっと、台本っていうのかな、ビデオ撮影して先生に見ていただくけど、ここの事知らない人が書いたみたいなの。」
「まあ、有り得る事だな。」
「でもさ、それで練習というのは気持ちが入りにくくて…、自分で書き直したのではだめかな。」
「全然問題ないさ、いや、むしろ美里の言葉の方が良いかもしれない、サンプルと違うとか言って来る人がいたら父さんが説明するよ。」
「うん、じゃあ後でビデオ、撮って、ほんとは自分で撮りたいけどまだ…。」
「何、遠慮してんだ、そこまで自分でやって恰好良いとこ見せようなんて事は考えなくて良いんだよ。
これから美里は色々な人と接して行く事になるが、その人達にはそれぞれの役割が有るんだ、中には美里の世話をして下さる方もな、でも美里は遠慮する必要はない、それぞれが自分の仕事として美里に接してくれる、それに対して恰好の悪い思いあがった様な対応さえしなければ大丈夫なのさ。
美里は美里の仕事をきちんとすれば良いんだよ。
まっ、父さんの今の役割は、可愛い自慢の娘の練習風景をビデオに納めるって事だな。」
「ふふ、分かったわ、もう一度練習してから着替えて来るわね。」

娘は、まず人前に立つ時の基礎だけでもという形で練習を始めています、夏休みまで日が有りませんから。
教材は大人向けの普通の物プラス本当に基礎の基礎からの説明が分かり易くまとめてある、おそらく娘のために特別に作った様な物が届きました。
紙と映像を上手く組み合わせて有ります。
教材を参考にして練習したらビデオで撮影して送る、後は必要に応じてメールでの指導、音声による指導、画像による指導、必要が有ればテレビ電話で指導を受けるという形、質問が有ればメールで教えを請う事も可能です。
通信教育のレベルが上がれば、田舎暮らしのハンディを少なく出来るかもしれません。
色々な可能性を考えながらの実験的取り組みです。
娘が良いサンプルとなってくれると良いのですが。
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夏に向けて-06 [飯山美里-04]

送った動画に対して私にもメールが届きました。
予想以上に出来が良いとのこと、そのままテレビ局のディレクターに見せたら美里の担当時間を長くする方向で話が進んでいる、チーム美里のスタイリストが可愛さに興奮気味で…、えっチーム美里? そ、そういうレベルで話が進んでいたようです。

「父さん、田川さんからメールで沢山褒めて貰ったよ。」
「ああ、私にもメールが有った、良かったな、あっ、今度の土曜日は大丈夫だったか?」
「うん、移住を検討してみえる神山さんとの光景も撮影するんでしょ。」
「何時も通り出来るか?」
「何時もより、にこにこしちゃうかも。」
「はは、また美里のファンが増えそうだな。」
「どうかな~。」
「先生からはメール来たのか?」
「うん、先生も沢山褒めてくれて、下さって、少しアドバイスをいただいたわ。
少しだけ聞き取りにくい所が有るから、口の形とか気を付けてって、DVDで確認する所を教えていただいた、後で見て練習する。」
「大丈夫か、他にやりたいこと有ったら…、急いでる訳じゃないからな。」
「楽しいから大丈夫、宿題とかは学校で済ませてあるからね。」
「あっ、有難うな、皆の宿題とか見てあげてるんだろ。」
「大したことないよ、授業後は六年生のクラスで宿題する子が増えたけど。」
「先生より分かり易いと評判なんだってな。」
「五年生の先生は算数苦手みたいなの。」
「はは、美里の将来は先生か?」
「まだ分からないわ、話し方の先生はアナウンサーを目指すか女優を目指すかで指導のポイントが変わるって、そう言われてもまだ先のことよね。」
「えっ、女優…、心の準備が…。」
「何言ってるの、そんなの簡単になれるものじゃないでしょ。」
「だよな。」

田川さんのメールには今後のカリキュラムを検討し直したいと有りましたが、どうやら娘の可能性を高く評価していただいている様です。
しかし親としましては…、まあどんな道に進もうが幸せな人生を歩んで欲しいと願うのみですが。
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夏に向けて-07 [飯山美里-04]

土曜日、夕方の情報番組、夏休みが始まる頃から娘がレポーターとして参加する番組のスタッフとチーム美里のメンバー、総勢三十名近くがやって来ました。

「おお、写真で見てたよりうんと可愛いね。」
「やっぱり大人っぽい服にして正解だったわ。」
「美里ちゃん、髪はこんなんでどう?」
「こんなおしゃれにした事なかったから何か照れくさいです。」
「似合ってるよ、今日は頼むね、台本の方はどう?」
「一通り覚えたつもりですけど。」
「初めてだから緊張もするだろうけど、下手でも全然大丈夫だからね、小学生が上手だったら大人達の立場がないだろ。」
「ふふ、わざと下手にやった方が良いですか?」
「はは、その必要はないよ、始めはこの施設の紹介からだけど準備は良い?」
「ええ、大丈夫です。」

撮影が始まりました。
この地の説明、過疎の話、我が社の話、移住、転校について、恰好良くキャンペーン、夏のイベントについてなど、盛り沢山な内容ですが、編集して番組では複数回に分けて放送される予定です。
地元の人にインタビューしたり、友達にも出て貰ってる為かあまり緊張してない様で順調に進んでいます。
最後は我が家が撮影現場です。

「美里ちゃん今日は楽だったよ。」
「そうですか。」
「NGを出してないでしょ、初仕事とは思えない、台本も全部頭に入ってるだけでなく自分の言葉にしてるんだね。」
「ええ、先生からそうした方が話し易いから、問題のない範囲で直しなさいって。」
「それを実行出来てしまう君は素晴らしいよ、場合によってはおバカキャラも考えていたけど、素敵な女性路線で行こう、普段はお転婆だったりするの?」
「ふふ、それは友達に任せて有ります。」
「う~ん、一つ番宣向けの絵が欲しいけど…、どこか背景に良い場所有るかな。」
「ここの森ではどうですか、父達が大変な思いをして綺麗にしてきたのですが、これからもっと綺麗にして行こうって、森林浴したくなる様な森への、夢の途中なんです。」
「そうか、ここに移住して荒れてた森を少しずつ手入れしてか、夕日の感じも悪くないな、ちょっと川の向こうに立ってくれるかな、表情は静かな笑みで。」
「はい。」

森に溶け込む少女、その神秘的な映像はすぐ番組宣伝で使われる事になりました。
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夏に向けて-08 [飯山美里-04]

撮影の翌週から私どもの周りは急に慌ただしくなりました。
多くのイベントを開催する夏休みが近づいている事だけでなく、娘がらみのスケジュールが随分変更になった事が有ります。
何でも娘の映像を見た局の上層部が強く推したいとの事で番組を制作が決定です。
この地がよりアピールされる事は嬉しいのですが忙しく成り過ぎないかと娘が少し心配です。

「美里、仕事が増えたけど大丈夫か?」
「多分ね、体調管理に気を付ける様に田川さんにも言われたけど、普段の姿を撮影する時はカメラを忘れてリラックスしてて良いから、ふふ、父さんに写して貰ってると思えば良いんだって。」
「私がここへ来てから美里たちを撮影したものも全部渡してある、冬のシーンを加工して使うかもしれないそうだ。
ドラマ仕立てでもここの紹介をして貰える事になって、こちらは嬉しいが美里の負担が心配だよ。」
「ちょっと面白そうだし、女優さんを目指すかどうか考えるチャンスかな。」
「そうか、まあ経験のない素人だから皆さん色々考えて下さるだろうが。」
「来て下さる方の宿泊とかは大丈夫なの?」
「何とかな、宿には限りが有るし予定外だから、うちと横山さんのとこにも泊まって頂く様にお願いした、そしたらかえって喜んで貰えたよ、うちに泊まる女性スタッフが家での様子を撮影するそうだ。」
「気が抜けなくなるのかな?」
「普段通りで大丈夫だよ、泊まる回数もそんなに多くないから心配ないさ。
まあ食事の時に台本が有るかもしれないが。」
「あっ、父さん達も映るんだ。」
「はは、ほんの少しだけさエキストラってことだな、しかも声はプロの声優さんにお願いするかもしれないそうだ。」
「へ~。」
「父さんも仕事が有るからずっとはついていられないが、そんな時は母さんが見てるからな。」
「うん、でも大丈夫だと思うから心配しないで、この前の撮影で少し自信がついたから。
でも夕方の生放送の時は来て欲しいかも。」
「もちろんだ、テレビの録画をきっちりセットして見に行くよ。」
「父さん達のイベントはどうなの?」
「ああ、しっかり準備を進めている、イベントの風景も撮影して頂いて夕方の番組でも流して頂けそうだからね、この機会に過疎の問題を皆さんに考えて頂かないとな。」
「うん、私も頑張るね。」

実際のところイベントの準備は想定外の作業が増えた事も有り大変です。
でも頑張ってくれる娘の為にも成功させて今後へのはずみとしたい所です。
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夏に向けて-09 [飯山美里-04]

町の人達も動いて下さっています。

「飯山さん、美里ちゃんの生放送楽しみよねぇ~。」
「ええ、本人以上に私がどきどきしてますよ。」
「どこで撮影するの?」
「まだ決まってなくて、当日の天気とかにもよりますし。」
「どこで撮影しても良い様に皆で草むしりや掃除をしてますけど、前もって分かっていればね。」
「はい、決まり次第お知らせします、一回目は町の人にも見て頂きたいですし。」
「撮影の人に差し入れとかどうかしら?」
「すでに色々有りまして。」
「そ~お、でも私等の美里ちゃんをね、綺麗に撮ってくれるとは思うけど。」
「はは、それよりふれあいイベントの準備は大丈夫ですか?」
「もちろん完璧よ、美里ちゃんばかりに頼ってられないからね、ここをもっと良い町にするって美里ちゃんが頑張ってるのに私等が動かなかったら恰好悪いでしょ。」
「有難う御座います。」
「お礼を言うのはこっちよ、町が明るくなったのよね、爺さん婆さん連中も美里ちゃんの話題で盛り上がってるからね、うちの孫が世話になったとか昨日見かけたとか、飯山さんがうらやましいわ~一緒に暮らしてるなんて、家でもあんな感じなの?」
「ええ、手の掛からない子で家の手伝いも良くしてくれますよ。」
「無理させちゃだめよ、自分の事は後回しにしちゃう子だから。」
「はい、気を付けます。」

ほんとに気を付けなければいけないと思っています。
根が真面目な子なので、それが裏目に出て前の学校では上手く行かなかった面も有ります。
真面目だという事をからかわれたのかもしれません。
幸い、ここでは人気者になりましたし、周りも良い子ばかりみたいなので、少なくとも小学生の間は大丈夫かと思っています。
後はテレビに出る事がマイナスにならなければ…、いえ、きっとこの夏、貴重な経験をして成長してくれるでしょう。
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夏に向けて-10 [飯山美里-04]

娘がテレビに出ても大した反響はないかもしれません、普通の女の子ですから。
でも…。

「美里、ネットはよく使ってるか?」
「うん、メールのやりとりはしなきゃだめでしょ、ブログの反響も気になるし。」
「これからテレビに出る様になると美里の事をネット上に色々書く人が出て来ると思うんだ。」
「う~ん、そうなる様に頑張らないとね。」
「ただな、その中には悪意が有ったり、何も考えずに批判する人も存在するという事を覚えておいて欲しい。」
「えっ?」
「ネットで自分の意見を自由に発表出来る事を利用してな、分かり易く言えば人の悪口を書き込む事を楽しんでる人もいる、美里のデビューで気になって少し芸能ニュースに対する書き込みとか見てみたけどひどいものなんだ。
最悪なのは、そのニュースをきちんと読解出来てない状態で的外れな批判とか、タイトルだけ見て内容を読まずに批判してる様なのも有った。」
「間違ってますよ、とか教えてあげる事は?」
「それが無駄なのがネットの世界だと思って欲しい。」
「私は?」
「基本、その類は見ないで欲しい、多分美里の事を褒めて下さる方も多いと思うが、お褒めの言葉はブログだけで充分だろう、ブログの書き込みはきちんと管理されてるからね。」
「まだ有名人になった訳でもないのに心配し過ぎじゃない?」
「そうであって欲しいけど、世の中の人が皆、ここの人達みたいに心優しい訳じゃあないんだ、どうしても色々見たくなったら父さんとか母さんとかと一緒に、とにかく一人で見ないで欲しいんだ。」
「う、うん、よく分かんないけど。」
「田川さんは、美里を、この地域限定では有るが間違いなく大きな注目を集める存在にすると、父さん達の取り組みの為にも絶対人気者にする、その為の企画も幾つか検討しているが、その成功の為には美里が楽しく取り組んでくれる事が一番大切な事だと話して下さった。
兎に角無理しないで、疲れた時は早目に話してくれな、疲れた美里の姿なんて誰も見たくないからね。」
「うん、気をつける。」

娘は元気で楽しく過ごして欲しい、それだけです。
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