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Barcarolle-1 [F組~淳一と亜美]

「さ、淳一さんどうぞ。」
「おじゃまし…、はは、女の子の部屋なんて初めてでなんか緊張するな~。」
「ふふ、そんなに特別でもないわよ。
今日はゆっくりしてってね。」
「ああ。」
「う~ん、確かに淳一さんの部屋とは、雰囲気違うかしらね。」
「ピアノもあるし…、チェロ、持ってくれば良かったのかな。」
「ふふ、そうね、でも大きいから持ち運びは大変そう。」
「まあコントラバスに比べれば楽ではあるけど。」
「はは、確かに…。
そうそう、この前の私たちの演奏、髙尾さんが録音してくれてて、淳一さんもいただいた?」
「うん。」
「初めて録音聴いた時、私じゃないって思ったわ。
父さんや母さんも、初めは私たちの演奏って信じてくれなかったしね。」
「へ~、前はそれほどでもなかったってこと?」
「うん、でもね、その後でこのピアノ弾いてたら二人ともびっくりしてたし、この前のレッスンでは、先生が急に上達したって、褒めて下さったりして。」
「よかった、じゃあ、あの時の様な演奏がまた出来そうなんだね。」
「うん、淳一さんとなら。」
「はは。」
「でもCD作るのなら他の曲も決めなくてはいけないのよね?」
「そうだね、う~ん、俺、まだ亜美のことよく知らないから…、はは、本棚も女の子って感じで俺の部屋とはずいぶん違う、え~っと、亜美の好きなのは…?
色々教えて欲しいかな。」
「う、うん、そうだ、パソコン立ち上げるね。
「ねえ、淳一さんはアリアって知ってる?」
「アリア? え~っと、オペラとかの曲の?」
「そっか…、アニメのアリアは知らない?」
「ぜんぜん。」
「確かに女の子向け…、かも、男の子は知らなくても当たり前かな。
でも、私のお気に入りなの。」
「うん。」
「え~っと…。
ちょっと聴いてみて。」
「YouTubeなんだ。」



「へ~、アカペラか…。
これ、アニメの挿入歌ってこと?」
「ええ。」
「レベル高いね。」
「でしょ。
「お話しの中ではちょっとドジっ子なんだけど歌はめちゃうまいって、アテナさんなの。
ただね…、歌ってる河井英里さんは43歳で亡くなってしまって…、アテナさん役、声優の川上とも子さんも41歳で亡くなってしまってね…。」
「そうなんだ…。
えっと、ボッコロール? 発音がよくわかんないけど。」
「ええ、Barcarolle。」
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Barcarolle-2 [F組~淳一と亜美]

「私もね、Barcarolleの意味が全然わかんなくて…。
でね、検索してて偶然見付けたのがこれなの。」



「あっ、これがホフマンの舟歌か。
題は知ってたけど、聴いたことなかった。
Barcarolleって舟歌なんだ。」
「どう?」
「こんなにきれいな曲だったとはね…。
舟歌っていうと、中学の音楽の時間に聴いた最上川舟歌のイメージがあったからなぁ。」
「あっ、淳一さんは東北地方の民謡って感じのを聴いたの?」
「うん。」
「男性合唱に編曲されたのも聴いてみる?」
「男性合唱?」
「うん、うちの父さん学生時代、合唱団に所属しててね。
私がBarcarolleを調べたら舟歌だった、なんて話をしてたら学生時代の録音を持ち出してきて聴かせてくれたの。
これはお父さんの合唱団ではないのだけどね。



「へ~、ちょっとびっくりだね。
そうか、舟歌と言っても色々あるんだ。」
「うん、ショパンやチャイコフスキーのもあって、今は父さんからのリクエストでチャイコフスキーのを練習中。」
「俺も聴いてみたいな。」
「うん、もう少し完成したらね。」
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Spiegel Im Spiegel [F組~淳一と亜美]

コンコン

「あっ、母さんかな?
どうぞ。」
「ふふ、おじゃまでしょうけど、おやつ持ってきたわよ。」
「有難うございます。」
「あれっ? 母さんいつもとちょっと違うんじゃない?」
「そりゃ、娘の彼氏の前ですからね。」
「へ~。」
「ふふ、あっちには娘の彼氏の訪問に、とまどって、そわそわして、おいお前、ちょっと様子を見てこい、なんて言ってる人もいますけどね。」
「もう、父さんたら…。」
「でもね、私たち、淳一さんと亜美の演奏聴かさせてもらったし、淳一さんがテストで学年五位だったってことも聞いてるから…、さっきもきちんと挨拶してくださったし。
でね、居間で落ち着かないでいる人は、真面目そうな子で、何も突っ込めないのも、気持ちのやり場がないもんだなぁ~って。
ふふ、もう、花嫁の父の心境みたいなのよ。」
「…。」
「じ、自分はまだ亜美さんのこと全然知らないのですが、ほんとにまだ…。
でも、亜美さんにふさわしい男になりたいと思っています。」
「はは、亜美が淳一さんにふさわしいだけの女になれるかどうかの方が問題よね。」
「もう、母さんたら、私、がんばるって決めたんだから。」
「はいはい、淳一さん、いたらない娘ですがよろしくね。」
「いえ、こちらこそ…。」
「で、向こうでいじけてる人からのリクエストでね。」
「は、はい?」
「CD出すなら、ちょっと微妙に難しいかもしれないけど、ピアノとチェロならどうだろうって。
あっ、パソコン立ち上がっているならお聞かせした方が早いわね。」



「なんか、力が抜けるわね…。」
「確かに、う~ん、こういう曲って難しそうだな…。」
「でも、雪乃さまと盛次さまで演奏したら…。」
「うん、また違った味わいを表現できる気もする。」
「亜美、雪乃さまと盛次さまって?」
「淳一さんのひいお婆さまと、ひいお爺さまなんだけど、淳一さんちのピアノが雪乃さまでチェロが盛次さまなの。」
「う~ん、あの録音聴いてなかったら笑いとばすとこだったけど、私も二人の生演奏聴きたくなってきた。」
「収録の日にはぜひうちに来てください、両親も喜ぶと思いますので。」
「は、はい。」
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Carla Maffioletti [F組~淳一と亜美]

「じゃ、淳一さんゆっくりしていって下さいね。」
「はい、有難うございます。」
「母さん、おやつ有難う。」

「Spiegel Im Spiegelって不思議な曲だな、なんかずっと続いてもおかしくないような…。
難しそうだけど、挑戦してみる?」
「ええ。」
「亜美の家でこんな曲に出会えるとは思ってもいなかった。」
「私も父さんがこんな曲聴いてたなんてぜんぜん知らなかったわ。」
「そうなんだ。」
「でも、そう何か不思議なのよね。」
「何が?」
「曲との出会い、淳一さんがうちに来なかったら、私もSpiegel Im Spiegelに出会えなかったかもしれないし。
ほら、さっきの…。
アリアが好きだったから、河井英里さんの歌うBarcarolleに出会ってね。
そのBarcarolle調べてたらホフマンの舟歌に出会って。
いいな~って感じたから、調べてみて色々な舟歌に出会えた。
「うん。」
「それだけでなくてね、ホフマンの舟歌を歌ってたCarla Maffioletti、ソプラノの方の人。
ふふ、この人も、私のお気に入りなの。」



「あれっ?
同じ人?」
「Carla Maffiolettiってあるから同じ人なんじゃないかしら。
なんか元気が出るでしょ。」
「うん。」
「でね…。」



「えっ?」
「同じ人とは思えないでしょ。
私も初めて聴いた時は同じ人だと気づかなくてね、でも名前見るとCarla Maffiolettiだから…、いまだに信じ切れてないけど。」
「はは、確かに、それにしても、すごいね…。」
「でしょ。
偶然、出会ったCarla Maffiolettiだけど、私の大好きな歌手になったの。」
「出会いか…。
う~ん、俺たちのCDさ、白鳥みたいなみんなが知ってる親しみやすい曲を並べてって考えてたけど、色々挑戦するのも有りなのかな?」
「うん、色々やってみたい。
美咲さまも、私たちの白鳥の後の即興変奏曲、良かったって言ってくれたし。」
「選曲が大変になるのかな?」
「ふふ、色々即興で演奏して良いのを残すって感覚も有りって、髙尾さん話してみえなかったかしら。」
「そうだったな…。」
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