SSブログ
高校生バトル-88 ブログトップ

近衛予備隊-451 [高校生バトル-88]

 千年王国の建国から一年、バーチャル千年王国の拡大が早く進んだのは著名ミュージシャンの働きによる所が大きい。
 彼らは、多くの国に広げられた我々のマーケットが、その収益を各店舗の周辺に投資しているだけでなく、ストリートチルドレンに住まいと衣食を用意し教育を、大きい子には教育と仕事を与えていることを知り積極的に協力してくれている。
 そのお陰で名称を千年王国マーケットへと統一した各地の店舗に併設する形で展開している子どもの為の施設は少しずつ充実して来た。
 バーチャル千年王国の収益はその多くを各国の子どもの為に充てられているのだ。

「詩織、感謝のメッセージは毎日膨大な量が届いていますがご覧になっていますか?」
「時間の無駄だから殆ど見て無いわ、でも、学長が学生の実習として構築させた気になるメッセージ選別プログラムで拾い上げられた中から、見て欲しいと言われたものだけは見てるわよ。
 それも似た様な内容は今後見せる必要が無いとか、こういった内容は見せて欲しいとか、AIでは無く人間に私の評価基準を教えているから随分整理されたものをね。」
「AIだけに任せているより効率的なのですか?」
「ええ、本当に私が知りたい情報は僅かだからね。
 ジョン、沢山の千年女王宛てのメッセージは公開してると聞いたけど、全部なの?」
「いえ、内容の薄いものまで公開しても閲覧の邪魔になるだけですから。」
「脅迫状も届いているのでしょ?」
「それはしっかり公開しています、公開することによって情報を得られることも有りますので。
 勿論、千年王国の活動を面白く思っていない連中ですから、そのメールから出来る限りの情報を探っています。
 たまたま探り当てることに成功したサイトは監視対象、研究材料としていますが、その気になったら何時でも攻撃出来る体制を整えてあると佐伯学長から聞きました。」
「物騒なメッセージを公開して問題はないのかしら。」
「千年女王を崇拝する人達への注意喚起と考えています。
 今の所実害は出ていませんが、千年王国マーケットがテロの対象になる可能性は否定出来ませんので。」
「折角多くの人の協力を得て充実して来てる学校が攻撃されたら悲しいわね。」
「バーチャル千年王国は軍隊や警察組織を持っていませんし、リアル千年王国の国軍は災害救援活動以外、外国の領土で活動することは有りませんので、その国の政府と国際社会に対して平和的に活動している千年王国マーケットが謂れなき攻撃を受けたとアピールするぐらいしか出来ません。」
「現状では仕方ないのね。」
「ただ、どれだけの効果が有るかは分かりませんが、彼らには多くを敵に回すことになると警告しています、バーチャル千年王国に対してメッセージを送るには、王国への登録が必要ですので登録時のメールアドレスへ警告文を送っています。」
「反応はあるの?」
「ほとんど無いのですが、そんな連中でも調べてみると普通に王国の有料コンテンツを使っていますので、個人情報はそれなりに手に入れています。
 王国への登録規約に従って罰を与えることは可能なのです。」
「我々の脅威にはならなさそうな人ばかりとか?」
「ええ、今の所は。」
nice!(12)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

近衛予備隊-452 [高校生バトル-88]

「まだ特に罰は与えていないのね。」
「ええ、今の所は頭の悪そうな愉快犯ばかりですので、タイミングを見計らって一気に叩きます。
 彼らを見せしめのスケープゴートにすれば、バーチャル千年王国も落ち着くと考えています。
 今後はそれぞれの国の法律と照らし合わせて脅迫罪などを適用して貰うことになるでしょう。」
「我々に協力的ではない国の場合も?」
「リアル千年王国の法に基き少なくとも友好国への旅行は出来なくなります、後は登録時に本人が了承した規約に沿ってとなります。」
「国籍やパスポート同様、リアル千年王国を前面に押し出して行くのね。
 海外在住のまま千年王国の国籍を取得する人は増えたの?」
「ええ、二重国籍が認められている国の人達は、詩織さまに忠誠を誓った上でリアル千年王国の国籍を取得しパスポートを手に入れています。
 国民は毎月万単位で増えているのですよ。」
「二重国籍を認めていない国の人達は残念な気持ちになっているのかしら?」
「思い切って今までの国籍を放棄し千年王国の民となる人もいます。」
「バーチャルで国民になるのは軽い気持ちで大丈夫だろうけど、国籍変更にはそれなりの覚悟が必要でしょ、彼らにメリットは有るの?」
「メリットは少ないかも知れませんがデメリットも少ないと考えられてのこと。
 千年王国のパスポートではビザの取得が難しい国が有ると言うことぐらいでしょうか。
 他は国籍に関わらず居住国の法律に縛られますので。」
「言われてみればそうね、バーチャル国家でパスポートとか難しいことを考えるより早いとは聞いていたけど。
 タリート共和国が千年王国タリート自治州になっても、国民の生活はあまり変わって無いのと同じなのね。」
「タリートが変わるのはこれからですよ、既存の学校を単位制に変更し、職業実習を大きく取り入れ始めていますし、農地改革などは時間の掛かる作業です。
 各国で国籍変更した人達は、大使館に集まり新たな学校の設立を考えていましてね。」
「学校?」
「自国の学校制度に不満が有って千年王国の国民になった人達は、我が国の教育制度をお手本にインターナショナルスクールの設立を試みているのです。
 学歴を考えたら子どもが不利益を被るかも知れないのですが。」
「日本の場合、真面目な子なら自分で学習し高卒認定試験を通れば良いのだけど、他国の事情は分からないわね。」
「学歴を気にせず、自分の子どもには自国の教育制度下で無駄な時間を過ごさせたくないと考えた人達が教育の理想をと動き始めたそうです。
 目標は近衛予備隊の支部を自国に設立することだとか。」
nice!(12)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

近衛予備隊-453 [高校生バトル-88]

「私達の理念が広がって行くのは嬉しいわね。
 各国の大使館や領事館は上手く機能してるの?」
「それぞれが駐在している国と交渉し領事館を増やしつつ有ります。
 以前は大使館すら少なく、それも貧弱でしたが、千年王国となり国籍を取得する人が増え始めてからは領事館を千年王国マーケットの近くに開き、そこにインターナショナルスクールを併設と言う形を目論んでいます。
 すでに千年王国マーケットを中心とした一帯がそのエリアで一番栄えた土地となり、地元の人達から周辺地を含めて千年王国と呼ばれている所も有るのですよ。」
「その国の愛国者と揉めなければ良いのだけど。」
「ですね、ただ、今まで手に入りにくかった物がマーケットで買える様になり、マーケット関係で雇用の場が増えてることで喜ばれていると聞いています。
 そのままバーチャル千年王国の延長ぐらいに思って貰えていれば良いのですが、千年王国があちこちに領土を広げていると思われたら少し心配です。」
「そうね、千年王国の自治領になる話が一つ進んでいるのでしょ。
 独立国として存続させるより千年王国の統治下に入った方が経済的に安定させられるだろうと。
 マーケットの展開から近衛隊が力を発揮した国で、詩織の信者が多いことも有り既に我々の会社がそれなりの影響力を持っている小国です。
 極めて平和的なのですが他国は侵略と捉えるかも知れません。」
「それに対して第三国からの武力攻撃とか有ると思う?」
「武力による侵略では有りませんので大義名分は立ちません、自治領になる話も我が国の経済改革やタリート自治州での展開を知った上での話、国民は千年女王の下で国の改革を進めたいと願っているのですから。
 武力攻撃が有るとすれば宗教上の教義を理由にしたテロぐらいでしょう。」
「私が女神となったことで様々なことが早く進んだ一方、異教徒の神を認めない連中には面白くない思いをさせているのでしょうね。
 バーチャル女王への移行を早めてはどう?」
「様々な意見が出ていますが、千年女王は若くて美しいままが理想だとは思います。
 ただ、バーチャル女王への移行はタイミングが難しいです。」
「そうね、CGを駆使することで私がカメラの前に立つことは減っているけど…、暫くしたら本人が撮影現場に立つことは無くなったとアナウンスするのはどうかしら?」
「詩織が不利益を被らなければ良いのですが。」
「企業のトップとしての仕事は殆どリモートにして来たし、対外的に私が姿を現わす必要の無い形が出来たから問題無いでしょう。
 私の仕事もバーチャル女王がしてることにするつもりだったし。」
「大企業のトップがバーチャルで問題無いのですか?」
「勿論リアルな人間が仕事をするのだけど、企業の象徴はバーチャルでも構わないでしょ。」
nice!(11)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

近衛予備隊-454 [高校生バトル-88]

「CM上のバーチャル社長と言うことですか?」
「ええ、千年女王の姿を前面に出して行くのだけど、千年女王が行っている社長の役割は実質的に会社幹部組織が担っていると公表してね。
 その上で今まで以上にバーチャル千年王国を我が社の販売戦略に取り入れて行こうかと。」
「リアルな部分を変に隠したりはしないのですね。」
「法律上の社長はバーチャルには出来ないわ、バーチャルでも正直で有るべきでしょ。
 そんな流れから社員達もバーチャル千年王国の一員になって貰えたら楽しいと思わない?」
「はい、ですが、それには副社長たちも同意を?」
「ええ、彼らからの希望でも有ったの、バーチャル千年王国を一年見て来て問題無いと判断、これからは日本で展開してる店にも、千年王国の名称を使って行きたいとね。
 社名も株式会社千年王国に変更する方向で進めているのよ。
 リアルな千年王国と混同される恐れは有るのだけど。」
「千年王国マーケットの展開は我が社が行っているのですから違和感はないですし、リアル千年王国で進められて来た経済改革は、大きな投資をしてくれた会社あってのものですから問題ないです。
 それに同じ千年女王がトップなのですから。」
「会社は千年王国グループとして更なる拡大を目指す、バラバラの名称で展開して来たチェーン店も千年王国チェーン遠江飯店みたいにして統一感を出して行くことにしてね。」
「その宣伝をバーチャル千年女王が?」
「ええ、暫くはリアルな私に似せたCGやアニメーションなど様々な千年女王の登場が予定されているのだけど、そこから絞り込んで行き、場面に合わせた姿での登場になるそうよ。」
「永遠の三十二歳?」
「そんな設定で多くの人達が競い合ってCG制作に取り組んでるわ、もっとバージョンアップして行こうとね。」
「リアルな詩織はもう映像としても出ないのですか?」
「三十二歳に見られる内はたまに出演するつもりよ、CGやアニメーションに混じってね。
 それが気付かれるかどうか、その評価が高いか低いかを見ながら、千年女王完全バーチャル化のタイミングを探りたいと考えていてね。」
「詩織は全然変わらないから、ずっと出続けることになるかも知れませんよ。」
「どうかしら、会社の方はそんな感じなのだけど、リアル千年王国はどんな感じなの?」
nice!(11)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

近衛予備隊-455 [高校生バトル-88]

「リアル千年王国は千年女王をシンボルに、実務的な部分は王子と王女を中心とした組織で国政を進めていますが、まだまだリーダー不足を感じています。
 効率が悪いだけで大きな問題になっていないのが救いですが。」
「問題は起きて無いの?」
「それなりに問題は発生していますが、皆で解決しようと頑張ってるといった感じです。
 移住者は増えていますが、国は王国になる前と大して変わっていません。」
「移住者は千年王国の国籍を取得してるのかしら?」
「ええ、国籍取得の条件は緩いですし、彼らもよそ者扱いや仲間外れは嫌でしょう。
 普段の生活に国籍は関係ないのですが、千年王国の国籍を取得する人の存在から、国家と国民の関係が我々の研究テーマになっています。
 母国で暮らしながら他国の国籍を取得する行為に反発する声が出てもいますので。」
「予想以上に?」
「いえ、概ね予想の範囲内です、こちらとしては母国と平和国家で有る千年王国の国籍を持って貰うことで平和な世界を意識して欲しいとアピールしています。」
「難民でなく、自発的に母国を離れて暮らす人は今までにもいたのよね、そのまま帰化と言う人も、実際に縛られるのは居住国の法律なのだから国籍を気にし過ぎる必要はないのにね。
 世界各国の人口総数と地球上に暮らす総人口に差が出ても大して問題にはならないでしょ。」
「ですね、かつての我が国の様に戸籍すら怪しい国はまだ幾らでもあります。」
「反発してる人達にとっては、単に気持ちの問題なのかしら?」
「愛国心の裏返しなのでしょうが、千年女王の存在は大きいと思います。
 自国の政治や宗教に嫌気が差していた所に、跡継ぎ問題で揉めることの無い美しき千年女王、その理念が千年続くと考えたら女王に対して忠誠を誓いたくなっても不思議ではない、それだけに恐れを感じる人もいるのでしょう。
 感じ方は人それぞれで、世界が一つになれない理由だと思います。」
nice!(12)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

近衛予備隊-456 [高校生バトル-88]

「世界をもう少し良くしたいと考え動いて来たけど、難しい問題が多過ぎて少ししか進まなかったわ、世界を一つに何て千年経っても有り得ないどころか、その前に地球がどうなってしまうのか分からないのよね。」
「それでも詩織の理念に沿って千年王国が拡大しているのですから間違ってないと思います。
 千年王国マーケットチェーンは地元の経済発展を考えた展開を進めているからか、今の所撤退を考えなくてはならない様な店舗はないと聞いています。
 国によっては他の商店と品揃えが大きく異なることから外国気分を味わえる小さな千年王国と、正式な領土では有りませんが、マーケットが増えるに従い少しずつ国が広がっている様なものです。」
「そこにバーチャル千年王国サイトの影響は?」
「具体的な話は聞いていませんが有ると思います、バーチャルな国民は三億人を超えましたが、バーチャル国民として登録されたプリペイドカードで買い物をすれば特典を付けてる店舗も有ります。」
「事情が有ってカードオンリーに出来ない国が有るのよね。
 レジの手間やコストが掛かる分を価格に転嫁してるけど、細かい所は店長の裁量任せで。」
「その辺りがどうなっているのか気になったことが有って少し調べて貰ったのですが、意外だったのは他店との価格競争があまり起きてないことです。
 日本では他店より安いことを売りに競争してると聞いていましたので。」
「今は他店と地理的に距離を置いた展開がメインだから店が考える適正価格で良いのよ。
 店舗が増えると競合する店との兼ね合いを考えなくてはならなくなるけど、基本的に値引きせず高くて売れない商品は終売、それに変えて競合店で扱っていない商品を並べる様に指示して有るわ。
 競合店を潰す為に店舗展開してる訳ではないのだから。
 ドミナント戦略で一気に千年王国マーケット増やし、エリアを千年王国にしてしまうなんて話が進んでる所もあるのだけど、集中出店の目的は配送の効率化がメイン。
 既存の店を吸収合併することになるかもだけど、その店の関係者に喜んで貰える条件を提示することになってるの。
 人口の割に店が少なくて買い物が不便なエリアなら多くの人に喜んで貰えそうでしょ。」
「喜んで貰いながら、千年王国を拡大出来たら嬉しいです。」

nice!(11)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

近衛予備隊-457 [高校生バトル-88]

 千年王国マーケットは世界中に拡大しつつある。
 勿論国によって規模や事情は異なるが、農場や工場の整備を共に進めることで雇用の場を生み出すスタイルは同じ、農産物を加工した商品が輸出され他国のマーケットで売られることも多い。
 そんな商品は物珍しさから多く売れることも有るが、そのまま定番商品になることもあり、国を超えてマーケット同士の結びつきを強めていると言う。
 教育活動もそれぞれの事情に沿って。
 高校生や大学生をバイトとして雇い、仕事を教える中で詩織さまの教えを伝えたり、マーケットでの仕事を通してその子達のスキルアップを考えている。
 バーチャル千年王国の国民としてバイトに応募して来る子が多く、学校卒業後、正式に就職する前提の子は特に真面目に働いてくれるそうだ。
 そんな子達は、リアルでも千年王国の一員になれたことに感謝していると聞く。
 国籍に関係なく千年女王に忠誠を誓う国民なのだ。
 特に近隣諸国は詩織さまが小鳥と戯れ始めるずっと前からのファンが多く、各国との軋轢を生じさせないか心配したものだが、気付けば各国の要人達もバーチャル千年王国の国民になっていて、共に歩もうと話してくれた。
 そんな国々では千年王国マーケットの展開が特に早く、既存の店を吸収合併する形で勢いよく広がり経済の活性化に貢献、商店の近代化は人々の生活を変えつつ有る。

 そんな状況でも、我らが千年女王は満足していない。
 国民に向けてのメッセージは王国の記念日に発することが多いのだが、女王は必ず、自身に落ち度が無いにも関わらず不幸な状態になってる人達を減らす努力を続けて欲しいと訴えている。
 勿論、ただ女王が訴えているだけでなくその為の予算は、国の政治を任されている我々が確保。
 周辺諸国の政治家たちも、その言葉を真摯に受け止め予算を増額する様になって来ている。
 バーチャル千年王国が存在することで、千年女王の言葉が我が国だけに向けられているものではないと彼らは認識しているのだ。
 そんな彼らには、千年王国の王子王女の称号を授けることも。
nice!(11)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

近衛予備隊-458 [高校生バトル-88]

 千年王国の王子王女は、主に王国騎士団から選ばれ今では十七人になっているが、それぞれが指導的立場となって国を動かしている。
 近衛予備隊時代から真面目に努力して来たメンバーなので尊敬されているし、誰も不正蓄財などを考えない。
 そんな称号を他国の指導者に与えることに対し名誉だけとは言え反対意見も有ったが、千年王国の王子王女の称号を授かって不法行為をしたら、おそらく称号を持たなかった時より厳しく弾圧されるだろうということで話を進めている。
 千年女王から贈られる称号は名誉勲章的なもので有っても得難いもので重みが有るのだ。
 ただ、真摯に自国の改革に取り組んでいる指導者からは、名誉勲章的な王子王女の称号ではなく、正式な千年王国の王子にして欲しいとも。
 直ぐには無理でもいずれは自国を千年王国の自治領にと考えてるそうだ。
 それに対し詩織さまは、自治領になるのが千年後になっても構わないから王子に加えようとと積極的で、他国のリーダーが王家の一員として加わることに前向き。
 実現すれば、当然彼の国と我が国との結びつきは今まで以上に強く成り、その先に見えるのは、このエリアが一つになり弱小国家の集まりが国際社会の中で存在感を増して行く姿だ、何十年掛かるか分からないことだが千年女王なら出来る、いや、千年女王にしか出来ないことだと思う。
 詩織は数年前まで夢を見ている様な理想だと話していたが、今は国の頂点に立つ女王が理想を追わずに国は何処へ向かうだろうと話す。
nice!(13)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

近衛予備隊-459 [高校生バトル-88]

 理想の社会を作り出すには難しい問題が多い。
 我が国の様に遅れていた国はそれがシンプルで、中には問題視されて来なかった様なことも有ると思うが、そもそも様々な価値観を持つ人によって社会が形成されてる以上、全ての人にとっての理想社会は成り立たないと思う。
 貧困生活を送っていても、それに満足し楽しく暮らしいるのなら彼にとって理想社会だが、お金は有っても社会に対して不満だらけの人にとっては理想と程遠い社会だろう。
 それでも我々は、より多くの人が幸福に暮らせる社会を模索している。
 紛争の起きている所へは調停の申し入れをし、時には紛争解決に向けて資金的援助を行うこともして来た。
 とことん頭の悪い連中は未だにいがみ合っているが、我々の妥協案を受け入れた地域では経済の建て直しが始まっている。
 千年女王となられた詩織さまの下、千年王国は国際社会に対して影響力を持つ国となったのだ。

「ジョン、このエリアは随分平和になったわね。」
「ああ、宗教がらみの内戦は残っているが、国家間の問題は双方が千年女王による調停案を受け入れてくれ、不毛な領土問題が、両国に利益をもたらす共同開発事業になったからな。」
「千年女王が絡まなかったら治まらなかったのよね。」
「互いに譲ったら負けと言う感覚みたいだったからな。
 二国間の揉め事に対して第三国が仲介役として入っても、裏が有るのではとその仲介案を受け入れられなかったりしたそうだ。」
「千年女王の言葉だから受け入れられたのかしら?」
「だと思う、千年女王は他国の国民からも尊敬されているからな。
 特に領土問題なんて、そんな存在でも出て来ない限り永遠に揉め続けるのさ。」
「女神さまの存在か…。
 詩織さまが、世界中の人から神として千年女王として尊敬される存在になれば、もっとましな世界になるのかしら?」
「と思うが、残念ながら目立つ活躍をしたことで、敵を増やしたみたいなんだ。」
「宗教家とか?」
「政治家もね、でも、バーチャル千年王国の国民は増え続けているのだから、今は静観していれば良いと思うよ。」
nice!(11)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

近衛予備隊-460 [高校生バトル-88]

 千年王国は大いなる実験で有り挑戦でも有る。
 リアルな王国とバーチャルな王国、そして世界中に広がりつつ有る千年王国マーケットを始めとした商業施設とそれに付随する生産施設、それら全てをひっくるめての千年王国は、千年女王の描く理想を基準に動いている。
 全てが順調に進んでいる訳ではないが、世界経済や政治に影響力を持ち始めているのは間違いない。

「いよいよ千年女王祭が始まるのね。」
「詩織さまにとっては大きな区切りとなるのですが、大丈夫ですか?」
「大丈夫も何も女王としての表舞台から引退出来るのだから肩の荷が下りるわ、たまに日本へ帰る以外は宮殿に籠り、来客を持て成すことを考えなくて良いのだからね。」
「リアルな千年女王はその存在を消し、詩織さまは王家の一員としてバーチャル千年女王の一部となるのですから不思議な感覚です。」
「今までも国政に関しては摂政で有るジョン王子に任せていたのだから大して違わないわよ。
 これからの千年女王は千年王国王家が動かすのだから、本当の意味で千年先を見据え国家元首がバーチャルな存在になっても正常に機能するのか見極めたいわね。」
「自分達王子王女は責任の重さを語り合っています。
 自分は大統領を経験していますが、千年王国の広がりはそれとはまた違った意味を持っていますので。」
「そうね、二重国籍になってる人が多いとは言え二億人が千年王国の国籍を持ち、バーチャル千年王国の登録者は十億人。
 各国の政治家は先々のことを恐れ、学者は今後の分析を進めてるみたいだけど。」
「弾圧したくても、単にネットで会員登録してるのと変わらないのだから何も出来ないのですよ、でも先のことは分からないです。」

 そして千年女王祭の当日、大群衆に見守れながら詩織さまは新たな千年女王の誕生を宣言。
 それを祝福するかの如く集まった鳥達と戯れる。

 えっ、そのまま鳥と共に空中へ…。
 そんな演出は聞いてない。

 こうして詩織さまは女神さまとしての存在感をしっかり残し表舞台から姿を消したのだ。
nice!(10)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー
高校生バトル-88 ブログトップ