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新学期-361 [花鈴-37]

 四月になり転校生を迎え学校はそれなりに忙しくなったが、店は順調なのでYouTube向けの動画撮影などをする余裕は有る。
 テレビCMに出演する話が進み始めて、ギャラを何に投資するか何てことも意識し始めた。
 大学生の合宿所は暫く静かだったが基本的な単位を取り終えた四年生が新体制を組み活気が戻りつつあり、その一人、里中さんは…。

「姫、転校生にギフテッドの持ち主がいると聞きましたが如何です?」
「小学六年生にして様々な資格を有している資格マニアでね、帰国子女でも無いのに英検一級なのよ。
 今は気象予報士の資格取得に向けて頑張ってるそうだけど、国家資格でも比較的簡単なものは幾つか取得済。
 学校の学習が簡単過ぎて取り組み始めたそうだけど、試験合格と言う形で結果が出るから楽しいのだとか。」
「へ~、自分は農家を営む為に必要な資格を取りましたが、今は危険物取扱者の試験を視野に入れています。
 ガソリンスタンドの存続が危ぶまれていますので、場合によっては引き継いで欲しいと言われてまして。」
「転校生の藤川さんはガソリンスタンドで働ける資格を取ったと言ってたわ。
 そんなに難しく無いそうだから、社員皆で取ってガソリンスタンドを買収しても良いわね。」
「ガソリンスタンドは維持にお金が掛かるみたいですが、ガソリンのみならず灯油の販売もしていますので、電気自動車の普及が進みガソリン需要が減少しても簡単には無くせないのです。
 しかし…、予算は有るのですか?」
「微妙では有るけど、本当に必要なら存続させないと駄目でしょ。
 電気自動車向けのスポットや、水素ステーション、プロパンガスの販売とかも一括的に取り扱えれば皆さんに喜んで頂けるのでは?」
「ですね、田中社長とも相談です。
 危険物取扱者資格を複数の社員が持っていれば安心ですから。」
「まずは幾らぐらい掛かるのか見積もりを出して貰いましょう。」
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新学期-362 [花鈴-37]

 車が無いと不便極まりない田舎にとってガソリンスタンドは重要な存在なのだが、過疎化に加え低燃費の車が増えただけでなく、四十年以上経過した地下タンクについては改修か取り換えが必要になり、その費用負担が重荷になっての廃業と言うケースもある様だ。

「姫、ガソリンスタンドの買収計画は進みましたか?」
「里中さんも気になっているんだ。」
「勿論です、車の燃料だけでなく農機具の燃料も必要、それを遠くまで買いに行かなくてはならなくなったら、その分、時間とガソリンを多く使うことになります。
 ただでさえガソリン価格が高騰しているのですから。」
「うちの家族会議でも話題にしたのだけど、折角移住して来てくれた人達に不便な思いはさせられないと父が話してくれてね。
 思い切った初期投資を考えると私のお小遣いだけでは、とても足りなさそうだから、設備を父の会社で作って貰い、運営を我が社が担うみたいな方向になってるの。」
「それは心強いですが、思い切った初期投資と言うと?」
「電気自動車の充電をしてる間に、買い物や飲食出来る環境は必要でしょ。
 プロパンガスや水素を扱うにしても狭い所に危険物を集め過ぎるのもどうかと思うのよ。
 それぞれが近くに有った方が便利と言う訳でも無いのだから。」
「ですね、水素ステーションを造るとして、その需要は伸びそうなのですか?」
「まだ微妙だけど、災害時や停電時の発電燃料にも使えるのだから、これから可能性を広げて行きたいかも。
 ガスに関しては、ここは都市ガスでは無くプロパンばかりだから、今供給してくれてる会社と相談。
 どんと大きく運んで貰い、それを我が社で各家庭へとかの検討を始めて貰ってるの。
 何にしても危険物取扱者の資格を色々取って貰う方向で動き始めているから、具体的な話が出て来たら協力、お願いね。」
「分かりました、資格取得に向けての学習をより効率良く出来る様に考えておきます。」
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新学期-363 [花鈴-37]

 里中さんと相談した上で、転校して来た資格マニア、藤川さんから助言を貰えないかと…。

「藤川さんは、今まで資格試験に向けての学習で何かコツとか掴んだの?」
「そうね、ひたすら暗記では無く、危険物取扱者とかなら実際の現場を思い浮かべる様にしてる。
 だから、姫達がガソリンスタンドの経営を始めるのなら直ぐにでも働けるわよ。
 資格が有っても実際には使いものにならない人には成りたくないと思っていてね。」
「うんうん、英検何級とかを取得していても、いざ英語でとなったら全く話せない大学生もいたわ。
 ガソリンスタンドを中心としたエネルギーステーションをそれなりの物に出来れば様々なメリットが有ると考えているのだけど、社員に資格を取って貰うと言う負担を掛けることになるから、少しでも負担を軽く出来ないかと考えていてさ。」
「少し聞いたけど面白そうよね、そこで私の経験を活かせるのかな?」
「お願い出来る?
 ギャラは相談になるけど。」
「仕事としてなのよね?」
「勿論。」
「自分の力を活かせるのなら、こちらからお願いしたいぐらいよ。
 色々資格は取得したけれど、小学生ではそれを活かすチャンスが無かったから。
 ギャラなんていらないぐらいだけど、それではダメなのだと絵梨に教えられたわ。」
「絵梨とはどう?」
「絵梨も姫もYouTubeで見てた以上でワクワクが止まらないの、ピーマンの会にも誘って貰えて。
 皆、前の学校では友達が少なかったのでしょ?
 私も同じなの、危険物取扱者の話が出来る小学生なんて周りにいなかったからね。」
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新学期-364 [花鈴-37]

「結局大人と接する時間が長かったとか?」
「うん、資格を取ることは私にとってのゲームだから、同じ資格を目指す人と仲良くなることもあるわ。」
「成程、ここへの移住で、そんな人達とは直接会えなくなってもネットで交流?」
「勿論よ、元々直接会って話した人なんて極僅か。
 でも、ここへ来てくれるのなら会っても良いと伝えれば、ここの宣伝になるかな?」
「有難う、でも、直接会うのは大人を交え慎重にね、悪人は良い人を装うのが上手だから油断してはダメよ。」
「うん、気を付ける、悪人で無くても自分の利益の為に私達を利用しようする人がいるのでしょ?」
「ええ、利用されるにしても、こちらにとってもプラスにならないと面白くないわ。
 資格マニアの小学生としてテレビに出た時はどうだったの?」
「う~ん…、全部お母さん任せだったから…。」
「ギャラは?」
「全然分かんない。」
「今後テレビに出る機会が有るのなら、うちとマネジメント契約と言う形も有りなのだけど、どう?
 まあ、その前にピーマンの会の一員と成ったから、YouTubeチャンネルに出演する機会が有ると思う、そんな時はギャラが発生するのよ。
 だから株式会社花鈴とマネジメント契約を結んで欲しいのだけど。」
「お母さんは姫のお父さんの会社で働き始めて…。」
「それとは別、藤川さん自身との契約、勿論お母さまの了解を得てのことよ。」
「自分で稼げるのは魅力的だわ、資格を取るのにも色々とお金が掛かって…。
 うちは親が離婚したでしょ。
 それでお金の事が気になり始めていて…。」
「そうだったわね、普通に暮らして行くのに問題は無いと思うけど、思い切って難しい資格に挑戦となったら資金も必要だと思うわ、お母さまに話を通すけど、藤川さん、良い?」
「勿論、それと私のことは美礼って呼び捨てにしてくれたら嬉しいかも。」
「オッケイ、美礼、YouTubeを通して共に稼ぐ仲間となってね。
 う~ん、美礼ちゃんから学ぶ危険物取扱者試験なんてチャンネルを開設しようか。
 今までに取得した資格の中で人気の有るのを中心に動画を作成して行くのも有りなのだけど。」
「私が説明して、お金になるものなの?」
「小学生の美礼が説明するから面白く出来るのよ。
 演出を上手くやらないと駄目なのだけど、そこは手慣れたスタッフがいるからね。」
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新学期-365 [花鈴-37]

 私達は既にYouTubeで様々なチャンネルを展開していて、それが新店舗の売り上げに大きく貢献しているのは間違いない。
 Lilyを中心に全て英語で行われるカナダ英語の特徴を紹介するチャンネル、大賢者が高校数学を解説するチャンネルも更新頻度が少ない割に見て貰えているのだが、そこでも店の紹介をして来た。
 英語や数学を扱うチャンネルでも、小学生がメインなので難しく成り過ぎず親しみ易いと評判で。
 元々のメインチャンネルでは、この地を英語で紹介する番組も作成、コメント欄に英語が並んでいるのを見ると嬉しくなる。

「演出?」
「単に必要な情報だけを伝えられても面白くはならないでしょ。
 私達のチャンネルがお金を稼げてるのは、動画を色々考えて編集してるからなの。」
「そっか、他のYouTubeチャンネルより楽しいとは感じてたけど…。」
「それとね、単独でLily中心のチャンネルを運営していても見て貰える確率は決して高くはないのだけど、複数のチャンネルを持っている私達は色んなチャンネルに出てるでしょ。
 だからカナダ英語に興味の無かった人でも、小学生の私がどの程度の英語力なんだろうと見て下さったりとね。
 数学のチャンネルを見た人が英語のチャンネルも見てくれるし、その逆も、勿論メインチャンネルからもね。」
「数学チャンネルを見た人がメインチャンネルにたどり着くことも有るのね。」
「ええ、店に行くとお客さんから声を掛けられることが多いのだけど、皆さん、私達のYouTubeチャンネルを見て下さってる方ばかりなのよ。」
「海外の方からも?」
「勿論よ、私に会えると思っていなかったからラッキーと一緒に写真、それだけでなくビジネスの話を持ち掛けて来る人もいてね。
 内容によっては社員に丸投げだけど、面白そうなのも幾つか有ってさ。」
「姫は、そんなのを楽しんでるんだ。」
「大きな声では言えないのだけど、今、特別な才能を持つ子どもに興味の有る大富豪とメールでやり取りしているの。」
「へ~。」
「彼からは、この辺りの管理されて無い山とか全部買い取って自然公園に、その一角、景色の良い所に別荘を建てて暮らしたいなんて話が出ててね。」
「えっ?」
「そんな話の切っ掛けがLilyのチャンネルだったりするのよ。」
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新学期-366 [花鈴-37]

「へ、へ~、何か大き過ぎる話で良く分からないのだけど。」
「それが、そんなに大きな話でも無いのよ。
 山を持っていても、そこから利益を得られてた時代は終わっていて、負の遺産を子に遺したくないと手放したい人も少なからずいてね。
 でも買ってくれる人どころかタダでもいらない人ばかり、怖いのは水源地を第三国の人に買われてしまうことなのだけど。」
「山を放置すると土石流の危険性が増加する、その辺りのことは?」
「分かっているのね、そこも意識してるから大富豪との話を進めてるの。
 契約条件を間違えない様にね。」
「契約出来そうなの?」
「ええ、我が社が大富豪の望み通りこの地の自然景観を維持しつつ彼の別荘を設計し建設。
 その提案の中には私の案も含まれてるのよ。」
「どんな?」
「別荘の敷地は送電線の鉄塔など人工物が目に入らないことを大前提に安全と景観を重視した場所。
 愛犬を連れて散歩する為の遊歩道には季節を感じられる植物を自然な形で見られる様にと。」
「移植したりして?」
「極力現状のままにするけど一部はね、手を加える事によって数が減りつつ有る植物を保護出来ないかとか、まあ、そんな事に対して理解の有る人で金額を問題にする人ではないのよ。」
「大富豪か…。」
「会って見る?
 私の友達だと紹介するけど。」
「英語で話すことに?」
「自信が無かったら通訳を用意しても良いわよ。」
「う~ん…、当たって砕けてみたいかも。」
「ふふ、美礼なら気に入って頂けると思うわ。
 慣れない英語でグイグイ話し掛けた絵梨のことを凄く気に入って下さった人で、前向きな若者達を力の限り応援して行きたいと話して下さってね。
 実際、今までにも様々な社会貢献を世界規模でなさっていらして。」
「日本のお金持ちとは規模が違うとか?」
「なのよね、うちのお父さんだってそれなりの金額を動かせるのだけど、額の桁が大違いなの。」
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新学期-367 [花鈴-37]

「そんな人がどうして?」
「高い才能を持つ子ども達への支援を考えておられて来たのだけど、ここは周りの子に馴染めなかったギフテッドの持ち主を積極的に受け入れて行こうとしているでしょ。
 彼自身、孤独な子ども時代を経験したそうで、気に掛けて下さってね。」
「へ~。」
「英語圏を中心に、ここへの留学なんて話も出ていて、彼の別荘近くに、そんな留学生向けの宿舎を建てる計画も有るの。」
「国際交流が出来るのね。」
「ええ、私は彼の財団から紹介された人とネット上での交流を開始、一番下は六歳で上は二十六歳、様々な分野のエキスパート達なのだけど、彼らに社会学の視点から助言して欲しいと言われたのよ。」
「社会学?」
「人間社会、全てのことを研究対象にしている学問分野なのだけど、周りの人と接することに戸惑いを感じてた人達に、社会の中でよりスムーズに生きて行く為のヒントをね。」
「助言してるの?」
「まあね、得意分野では誰にも負けない人達でも、他人との付き合い方が分からなかったりするのよ。」
「それはとても良く分かるわ、同い年でも幼過ぎる子と何を話して良いのか分からなかったもの。
 姫はどうしてたの?」
「保護者目線かな。
 算数を教えて上げたりしながら観察者に徹するって感じでね。
 社会集団のことや人を観察することを、小学校に入学してから教えらて来たの。
 美礼も同級生と友達になるのは不可能だと感じたのでしょ?」
「うんうん、ここに転校して来て初めて同級生の友達が出来た、絵梨とは気が合うのよ。」
「でしょうね、絵梨は私の親友第一号でも有るから、これからよろしくね。」
「うん。」
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新学期-368 [花鈴-37]

 中学校にもギフテッドの人が転校して来たのだが、彼は大学生達のサポートが前提。
 通信制の高校を選択した兄もサポートメンバーに加わっている。

「ねえ、中一の転校生はどう?」
「特別な部分と一般的な活動の調整を進めてる段階かな。
 歳は花鈴達の方が近いのだから友達になって上げて欲しい。
 ピーマンの会へ導けないかな?」
「そうね、今、中学校にはギフテッドと言える人は一人だけだから。
 でも、歳下の私達と上手く行くのかしら?」
「実際に花鈴達と付き合ってみないと分からないが…。
 まあ礼儀正しい子では有る。」
「つまりは何を隠してるのか分からないってことね?」
「ああ、でも家族での移住を決断させたのは、花鈴の存在だと話してくれたよ。
 将来は株式会社花鈴の社員と言う選択肢も考えてるそうで。」
「将来何て言わずに、取り敢えず我が社の社員ってのは?」
「有りだと思う、中学生が企業に就職してはならない何て法律が有るのかどうか知らないけど、稼いでる中学生はいるからな。」
「能力的には?」
「興味を持ったことを突き詰めるタイプ。
 過疎地の再生に興味を持って貰える様に色々説明してるが、株式会社の会長としての花鈴とは友達になりたいと話してたよ。」
「へ~。」
「花鈴だけでなく、ここには今まで出会ったことのない子が何人もいる、でも小学校と中学校が少し離れてるから残念だとも。」
「少しか…、距離の問題は無く気持ち的なことよね。」
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新学期-369 [花鈴-37]

 株式会社花鈴に興味が有るのならと会う事にしたのは中学一年生の谷川昴さん。

「谷川さんは株式会社花鈴に興味が有るそうだけど。」
「谷川くんで良いよ、歳もそんなに違わないのだから、慣れたら昴で構わない。」
「そうね、私のことは花鈴で良いわ。」
「いやいや、そこは姫さまでしょ。
 中学の子達も姫さまと呼んでるし、町の人達も。
 YouTubeチャンネルで感じてた以上に姫さまなんだなって感じててね。」
「まあ、良いけど。」
「株式会社花鈴のことはYouTubeを通して知ったのだけど、子どもでもしっかり働いていて憧れたんだ。
 人より高い能力を持っていても、それを活かす場が無かったら面白くないでしょ。
 その点、株式会社花鈴なら自分を活かしてくれそうな気がしてね。」
「ええ、取り敢えず中学生社員なんて道を考えてるだけど、どう?
 転職は自由だから。」
「話が早いな、僕は何をしたら良い?」
「得意分野は?」
「芸術分野もそこそこ出来るけど、小さい頃から打ち込んで来た天才には歯が立たない、それ以外ならテーマを決めて貰って学習すれば何とかなると考えてる。」
「じゃあまずはYouTubeチャンネルを立ち上げて自分の給料以上を稼いで貰おうかな。」
「自分の給料以上?」
「会社の資金を使ってチャンネルを運営してるのだから、自分の給料分だけ稼げば良い訳では無いの。
 特に我が社は過疎地の活性化を目的としてるから、給料の何十倍も稼いでここに投資する手伝いをして欲しいの。」
「成程、お小遣いをここに投資してるとYouTubeで話してたのはそんな感覚なんだね。
 自分はお金に困ってる訳では無いから給料とか考えて無かったけど、絵梨さんがお金は大切だと話してたのを思い出したよ。」
「子どもでも社会の一員として働きその対価を得、それを自分や周りの人の為に使うと言う経済活動を行って良いの。
 既に充分な能力が備わっているのなら。」
「うん、お兄さんが通信制の高校を選択したのは、変に拘束されずに自分の力を試したいからだと聞いたよ。
 自分も同じなんだ。
 資格マニアの話も聴いてるから、必要な資格を取る事に何の抵抗も無いからね。」
「では、社長に紹介するね。
 その後ご両親を交えて社員と契約について相談。
 早ければ来月から、谷川くんのYouTubeチャンネルを立ち上げるってことで良いかしら?」
「即断即決か、普通の子ばかりの中学で少し残念な気持ちになってたけど、何かワクワクして来た。
 姫さま、これからよろしくお願いします。」
「こちらこそ、でも親しい人達は姫さまでは無く、姫、だからね。」
「承知しました、姫。」
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新学期-370 [花鈴-37]

「それでYouTubeチャンネルのテーマなのだけど、まずは谷川くんの視点から私達の活動を見直すってどうかしら?」
「うん、姫達の番組を見て来たからある程度は把握出来てるつもりだけど、実際の現場に立ってみての感想とかを話して行けば、視聴者の理解が更に深まるってことだね。
 う~ん、姫達のチャンネルとは少し雰囲気を変えた演出を考えるべきかな?」
「ええ、批判的になっても構わないし…、個人的には鋭い突っ込み、何てのを期待しているのだけど。」
「六年生達は優しくて大人しいからか…、でも、そんなに突っ込める要素は思い当たらないよ。
 YouTubeのコメント欄を見ても好意的なものばかりでしょ?」
「そこに落とし穴が無いかが心配なの。
 考え方の似通った人達が集まって事を進めてるから気付きにくいことが有りはしないかと。」
「そっか、自分も似通った人の一人かもだけど、自分のテーマとして粗捜しを念頭に置くよ。」
「お願いします。
 谷川くんは社会学的な判断が出来そうだけど、意識してる?」
「うん、姫が社会学の話しをしてるのを見て興味を持った。
 社会は人の心理で動いているのだけど、ちょっとしたことが大きな影響を及ぼすことが有るとか。
 何でも有りで掴み所の無い社会学だけど、そこが面白いと思う」
「更に私達は社会学的実験をしているからね。」
「実験?」
「株式会社花鈴で行ってることは実験的なことばかりなの。」
「あっ、言われてみれば確かに…。
 僕も実験のテーマを提案出来るぐらいにはなりたいな。」
「それには、まずここの社会を知ることからね。」
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