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二学期-231 [花鈴-24]

 私達は二学期になってから、チャットGPTやMicrosoft Edgeの検索エンジンであるMicrosoft Bing、それに付随する形でMicrosoftが提供する人工知能チャットボットで遊んでいたが、そればかりしていた訳では無い。
 我らが兎沢小学校が特別な教育実験校として本格スタートを始めたからだ。
 国立大学の教育学部には付属の小学校が有る。
 だが、そこでなされているのは一般的な児童に対する教育についての研究が基本。
 ギフテッドの子など特殊な事例に対する研究は遅れていて、大賢者のお父さんをがっかりさせるレベルなのだとか。
 大勢の子の人生を考えるべきでは有るのだが、父は、千人の凡人と一人の天才、どちらが世の中をより良く出来るのかは分からないけど、一人の天才児が社会の為に働こうと考えるかどうか判断する場面を想像して欲しいと学生達に話した。
 ギフテッドが故に不登校になる、日本の現実を踏まえての発言だ。
 高い能力を持った子が日本の教育制度にがっかりし、社会の為に働こうと思わなかったら、それによる損失がとてつもなく大きなものになる可能性があるとも。
 多くの真面目な労働者によって支えられている社会だが、その極一部、高い能力を持った人達が様々な発明をし社会を発展させて来た一面も有る。
 だが教育の現場は能力の高過ぎる子を持て余してしまう余裕のない教師によって運営されていて…。
 そんな現状を理解しているのか、ギフテッド関連の研究にやって来た学生達は大賢者の経験談を熱心に聞いていた。

「だから、お父さんの出した結論は彼らには僕にとってプラスになる教育を出来る余裕も能力もないってことなのです。
 実際、ここに来ても教師から教えられることより花鈴姫が用意してくれた刺激の方が何倍も自分を成長させてくれている気がしていまして。」
「どんな刺激なのかしら?」
「姫は自分とは分野の違う高能力者ですからね、社会学的視点で大学生のことも観察対象、研究素材としているのですよ。」
「えっ?」

 そんな話は学生にしないでって言って有るのに、話してしまう所が大賢者の幼さなさなのよね。
 これからやりにくくなりそう…。
 ただでさえ、初めての人とは距離感が掴みにくいのに。
 学生さん達が私の観察対象だと言うことに対して、どんな反応をするかには興味が有るのだけど…。
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二学期-232 [花鈴-24]

 彼らが大賢者の発言をどう受け止めたのかは分からないが、学生達からの私に対する注目度が上がってしまったのは間違いない。
 絵梨の書く文章が子どもらしくないと言うことは既に知られていたことだが、私のことは特別な能力も無く、親の力で会社の会長をやってるぐらいに受け止められていると思っていたが…。

「姫さま、私も花鈴姫とお呼びしてよろしいですよね?」
「えっ?」
「YouTubeチャンネルでは花鈴姫か姫さまじゃないですか。
 徳沢さんを僕としてる、愛らしいだけでなく聡明な姫さま、私もお近づきになりたいのです。」
「えっと…。」
「初対面の人は敵か味方か分からなくて苦手なのでしたね。
 私はYouTubeチャンネルを見て姫さまに憧れていましたから扱いは徳沢さんレベルでOK、研究の合間には姫さまの為に働かさせて下さい。」
「有難う御座います。
 でも、映像編集者が面白がって徳沢さんを僕が如く編集しているだけで主従関係では無いのですよ。
 姫と呼ばれるのはニックネームの様なもので。」
「でも、そこに尊敬の念を感じていました、姫さまは私達のことを観察対象にして下さっているそうですが、私も姫さまのことを沢山知りたいです、色々教えて下さいますか?」
「研究対象として?」
「それは否定出来ないです、そもそもギフテッドの子なんて身近にいませんでしたので。」
「私は大賢者と違ってギフテッドでは無いのですが…。」
「夏休みをここで過ごした学生達は、小学五年生の姫さまから社会学について沢山教えられたと話していました。
 社会の一員として社会とどう関わって行くのかを、姫さまと出会うまで考えたことも無かった人ばかりだったとか。」
「ええ、皆さん学力的には優秀な方ばかりでしたが、人と社会との関係と言う大切なことに関して考察されたことの無い方々で、大学入試に関係が無いと社会の一員として重要なことでさえ、ないがしろにされている事実を知りました。
 大学入試の為に暗記していること以上に大切な情報は幾らでも有るのです。」
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二学期-233 [花鈴-24]

「はい、高校の学習は大学入試に向けてが絶対で視野の狭いものでしたが、それに気付かせてくれたのは大学の講義では無く、姫さまの登場するYouTubeチャンネルでした。
 姫さまの、社会学的に考えて高校生までに学習しておかなくてはならないことが、学校教育の現場で欠けているのは学歴社会の弊害だとか…。
 特に印象的だったのは、大人として成長した自分の姿をイメージして学べているのか、と言う言葉です。
 高校時代の自分は大人になった自分なんて考えたことも無くて。」
「子ども時代は大人になる為の学習期間だと思うのです。
 ところが、大学入試に向けて学力を高める期間だと勘違いされている方が多い様で。」
「はい、定期テストで上位に入り模試で結果を出すことが私にとって高校時代の最重要課題だったのですが、就職してから本当に必要なこと、学び考えておくべきことは他にも有ると教えられました。
 高校生時代は暗記に多くの時間を費やし、自分で考える、ことを疎かにしていたとも思っています。
 数学でさえ、考えて解くより過去問を沢山暗記して対応する癖になっていたのは学習塾での指導に影響されて、今はそんな学習塾にも大きな疑問を抱いています。
 ただ、学校と違い個別指導は効率的でしたので、この兎沢小学校の取り組みは良いと思っています。」
「大学生になって沢山考える様になったのですね?」
「ええ、もっと広い視野を持ちたいと考えています。
 受け身の学習では無く、自分から探求していく学習を学生の内に沢山したいと。」
「素敵です。」
「姫さまとYouTubeチャンネルで出会えて無かったら、真面目だけどつまらない人間のまま学生時代を過ごしていたと思います。
 私、佐々木茜は姫さまと共に素敵な大人を目指したいのです。」
「少し大げさですよ、でも、学校改革は自分で考える人にしか進められないと思っています。
 自分では何も考えられず、慣例に支配されてる大人には無理ですね。
 ところで、私は素敵な大人になれそうですか?」
「勿論です、既に素敵な姫さまなのですから。」
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二学期-234 [花鈴-24]

 二学期になってから研究の為にやって来た学生との交流が深まるにつれ、YouTubeチャンネルを通して主張して来たことが好意的に受け止められていることが分かり嬉しく安心もした。
 佐々木茜さんだけでなく、他の学生にもだ。
 そんな話を父に…。

「私が学生さん達を観察対象にしてることが知られたのに彼らは好意的でね、少し意外だったわ。」
「YouTubeチャンネルでの花鈴は素適な女の子だからな。」
「編集の結果、徳沢さんを僕にしてると受け止められているのに?」
「まあ、徳沢くんがそんな状況を喜んでいると見て取れるからな。
 実際、花鈴の指導の下、彼はこの地に馴染みつつ有ると感じているよ、消防団の人達にも可愛がって貰ってるみたいだろ。」
「彼は真面目なの、でも二学期になってやって来た人達も真面目な人ばかりだと感じるわ。」
「国立大学に合格するには真面目さが必要、そして彼らの研究テーマは真面目なものだからな。
 彼らを観察して何か発見は有ったのか?」
「そうね、小さな発見は色々と。」
「例えば?」
「学校教育の現状に対して、その問題点を掘り下げることは出来るのだけど、それを改革して行くことまでは考えられない、それは自分達の役割では無いと思っている人がいるの。」
「彼らに、そこまでの権限は無いからな。」
「五年生の私が改革したいと考えてるのに?」
「花鈴とは違う教育を受けて来た子達なのさ。」
「確かに、大学入試を最終目標として、高校までの子ども時代を過ごして来たと話してくれた人がいたけど…。
 同じ大学生でも、余裕の有った人と無かった人では人として大きな差を感じるのよね。」
「だろうな、人には能力差が有るからな。
 昔の友人に真面目だったから公立の進学校に推薦で入学出来た奴がいたのだが、高校の定期テストでは何時もクラスで下から二番目ぐらいだったとか、一番下の子は学校を休みがちだと笑ってたな。」
「それでも、その高校を卒業したと言う肩書はその後の人生にプラスになるのよね?」
「本人の意識次第だろうな。
 学習能力は低いが学習に対して真面目に取り組んでた奴が、無理なく入れた高校では学年でトップクラス、大学は自分に合った所へ推薦で入学出来たからな。」
「そっか…、どちらが良いとかは言えないけど、真面目な人が損をしない社会で有って欲しいと思うわ。」
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二学期-235 [花鈴-24]

「真面目な学生達は花梨を手伝ってくれそうなのか?」
「ええ、低学年の子達に対する個別指導は今まで以上に充実させられそうよ。
 勿論、教え過ぎないことに気を付けて貰いながらね。
 始めは何でも教えれば良いと考えていた人がいたけれど、それは子どもが自分で発見する喜びを奪っているのだと気付いてくれたの。
 子どもが自分で発見する機会を作るのは難しいのだけど、大切なことでしょ。」
「ああ、花鈴の様に色々気付ける子ばかりではないからな。」
「そこを導いて行くのが教師本来の役目なのよね。
 二年生の担任は考えもしてないけど。」
「その先生と学生との関係は?」
「表面的には互いに良好な関係を装っているかな。
 でも、教師は学生からの質問に応えきれてないと感じるし、それは学生さん達も思っているみたい。」
「現役の教師として、学生を指導する立場でもあるのだろ?」
「自分より偏差値がかなり高い学生と対峙することに臆しているみたいなのよ。
 教師にも色んな人がいるってことね。」
「自信を持って教壇に立っている人では無いのだな。
 教員不足が進んでるから、今後も質は落ちて行きそうだが…。」
「富国強兵がらみで教育に力を入れてた明治時代とは違うのよね。
 目先のことしか考えない政策により、国を支える筈の若者が結婚や子育てを諦め、少子化を早めただけでなく、将来この国を支える子ども達の教育環境を疎かにし、一票を投じてくれるお年寄りばかりを大切にして来た政治家は、社会問題を起こした宗教団体でさえ選挙の為には大切にし…。
 本当の意味でこの国の将来を見据えられてる政治家っているのかしら?」
「だよなって、花鈴は何時の間にそんなことまで学習したのだ?」
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二学期-236 [花鈴-24]

「何時の間にって、私にはパソコンと言うツールが有るのよ。
 疑問に思ったことを調べた結果から、行きついた結論を学生さん達に話したら彼らも考え込んでいたけど、凄く間違っていることはないみたいなの。」
「選挙の一票、それによって歪められてる民主主義と言われて花鈴はどう考える?」
「選挙に勝つ為ならってことでしょ、出来もしないことをしっかり調べもしないで党の方針とし、それが国民に受けたから政権を握ったは良いけど、結局、公約を殆ど果たせなかった政党が有ったとか。
 民主主義の理想は国民全員が国家社会の将来を見据えて一票を投じることなのだけど、それだけの判断能力が無い人にも一票が有る人気投票、そこに私利私欲が絡むのだから、選挙を前提とした民主主義には限界が有るのよね。」
「そこまで理解してるのなら、この先どうすれば良いと思う?」
「私達で政権を握り独裁国家にするとか?」
「はは、過激だな。」
「独裁国家は国民に受け入れられて誕生するのだから、その後を間違えないシステムを構築すれば良いのよ、お父さんが総理大臣になったら、もう少しバランスの取れた良い国に成ると思うのだけどな。」
「そんな簡単な話では無いのだぞ。」
「うん、だいたい総理大臣の娘って窮屈そうだし。」
「でも、小さな会社の会長職ならば余裕ってことか?」
「社長がしっかりしてますからね。
 会長はどっしりと構えて…、う~ん、それには体重が少し足りないかも。」
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二学期-237 [花鈴-24]

「株式会社花鈴の方は問題ないのだな?」
「そうね、問題が起きても解決出来てるみたい、田中社長は小さな問題にもきちんと向き合う姿勢を変えて無いから社員も安心して報告や提案をしてるみたいなの。
 正直言ってレベルの低い提案も有るのだけど、それを無視しないことで社員の信頼を得ていると思う。
 提案を却下するにしても、提案した人が納得出来る様にして…、社長って大変なのね。」
「まあな、社長によりけりでは有るのだが、株式会社花鈴の社長は田中さんが適任だと思ったんだ。」
「違う選択肢も有ったの?」
「ああ、若手に任せるとかな。
 だが若手では、この地の顔役達と上手く行かないと思ってね。」
「田中社長のバランス感覚は間違いないのよね、もっと大きな会社の社長でも大丈夫だと思うのだけど。
 小さな子会社の社長で良かったの?」
「株式会社花鈴、今は小さくてもこれから業務拡大して行く会社、本当に自分の力を試してみたいと思う人にとっては形が出来上がっている会社より面白い素材なんだよ。
 そもそも、彼が過疎地への移住に前向きだったのは子どものことも有るが、可能性を考えてのことだったからな。」
「そんな話、聞いて無かったな。」
「都会での事業展開は条件さえ整っていれば彼にとって難しいことでは無いんだ。
 でも、ここには様々な困難が待ち受けているし、大学生が絡むと言う不確定要素も有る。
 暫く前、食事を共にした時は、仕事が楽しくてしょうがないと話してたよ。」
「へ~、大変な仕事を押し付けられて落ち込んでいるのかと思ってた。」
「どうして?」
「表情がね…。」
「はは、そう言えば花鈴姫には会社が何時も大変だと思って貰える様に頑張っていますと話してたな。」
「えっ、あれは演技だったの?」
「かもな。」
「う~ん…、それを追及したら私は器の小さな会長になりそうだわ。
 どっしりと構える軽量会長としてはスルーすべきか…。」
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二学期-238 [花鈴-24]

 それまではあまり気にして無かった田中社長のプライベートを知りたいと思ったので、彼の息子で有るひろっちに聞いてみることに。

「ひろっちのお父さんは家ではどんななの?」
「どうと言われましても…。
 自分的には普通に暮らしてるとしか…。」
「う~ん、そうよね誰かと比較する訳では無いから…。
 厳しいとか優しいとかは?」
「普段は優しいけど問題を起こせば叱られる、自分が叱られることは有りませんが妹は普通に叱られていますよ。」
「ひろっちは叱られる様なことをしないんだ。」
「それは姫もでしょ。
 姫があの大社長から叱られる姿は想像出来ません。」
「そうね父も兄も私に甘いから、駄目な人間にならない様に気を付けて来たの。
 それはそれで自分で判断する必要が有って小さい頃は楽で無かった気がするわ。」
「自分は兄として妹の面倒を見る立場ですから…、その辺りで判断基準が形成されたと思っています。」
「成程、私に弟か妹がいたら、また違ったことになっていたのかな。」
「姫は低学年の子の面倒を見ていますから、それが姫を素敵にしているのかも。」
「はは、照れるなぁ~。
 ひろっちも素敵よ、そのひろっちから見た田中社長はどうなのかしら?」
「社長として働いてる姿は恰好良いと思っています。
 社員さんに指示を出したり、社員さんの話を聞く姿は頼もしくて。」
「家では恰好悪いの?」
「酔っぱらってだらしなく寝てる時も有りますからね。
 でも、それが普通では無いのですか?」
「普通か…。」
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二学期-239 [花鈴-24]

 考えてみると家族の普通って微妙だと思う。
 何故なら他の家族のことは表面的にしか知ることが出来無いからだ。
 自分としては普通な事が、一般的にはとても特殊だという可能性も有る。
 実際、私の父は大会社の社長な訳で、そんな立ち場の人は世の中に多くは無い。
 更に言えば、本社を過疎地に移転させた人は僅かだ。

「ねえ、絵梨、自分の家では当たり前で普通のことが、他の人の目には特別だったり異常だと言う可能性が気になってるのだけど。」
「う~ん、人それぞれなのだから有りうることかもね。
 都会暮らししている人達からしたら、私達みたいに過疎地へ移住した家族なんて理解出来ないかもよ。」
「そっか、確かにそうよね。」
「どうして、そんな話を?」
「田中社長の日常を知りたくなって、ひろっちに聞いたのだけど、彼からしたら普通のお父さんでさ。
 私の目には個性的な人に見えてるのだけど。」
「うちの両親だって他の人からみたら特殊でしょ、でも私的には普通の親で…、面白い視点かもね。」
「だから疑問を感じることも有る我が家の当たり前を調べてみたいかなって。」
「纐纈家ではどんな当たり前が有るの?」
「ハグして貰うこと、五年生なったのにね、普段他所では見かけないから普通のことでは無いかもと思い始めてさ。」
「ハグって、抱擁のこと?」
「うん。」
「うちでは無いな、うちの両親が弟達のことを私に任せっきりにしていることは姫も知ってるでしょ。」
「うん、それをお小遣い増額要求のネタにしてることもね。」
「はは、でも大社長が姫とのスキンシップをそこまでしているとは意外だったわ。」
「絵梨の感覚ではそうなんだ。」
「私の場合両親からのそう言ったスキンシップは弟が生まれて以来記憶に無いから全然分からないのだけどね。」
「それで寂しく無かったの?」
「全然、弟の面倒を見始めた頃は大人になった気がしてたから。
 弟の面倒を見るイコール大人、大人な私を子ども扱いするなって感覚がずっと続いてるかな。」
「そっか、何歳の頃からなの?」
「そうね、五歳ぐらいかしら、子ども扱いされるのが嫌なのは。」
「その性格に付け込まれ小枝子さんに利用されて来たのね。」
「そうかも知れないけど、私としては嬉しかったのだから問題ないわよ、お小遣いだってしっかり貰ってるし。」
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二学期-240 [花鈴-24]

「絵梨の場合、お小遣いと言うより労働に対する対価だわ。」
「まあね、大人と同様、必要なお金は働いて稼いでいるのよ。
 それは姫もでしょ?」
「私の場合、親に養って貰ってるからお金がそんなに必要な訳では無いの。
 だからこそ今は、その使い道を真剣に考えていてね。
 会長としての報酬をより有効に使って行きたいじゃない。」
「投資とか?」
「絵梨は自分への投資として本を買ったりパソコンを買ったりして来たのよね。」
「そればかりでは無いけど基本はね。」
「私の場合、その部分もお父さんが出してくれてるから、会社の為に使えるの。
 それなら、自分の出した資金が活用されて利益を生み出したと実感したいと思ってさ。」
「そんなこと考えてたんだ。
 具体的にお金はどう動くものなの?」
「会社が新規に発行する株式を私が買うと言う形、会社はその資金を使ってお金儲けする訳。」
「普通の小学生はそんなことを真剣に考えないだろうな。」
「今は小さな会社だけど、大きくすることが出来たら、そのままこの地の活性化に繋がるでしょ。
 それはここの人だけでなく学生さん達も期待してる事なのよ。」
「今までに出てる温室とかの構想に投資するのなら考える必要は無いと思うのだけど。」
「そっちは資金の目途が付き始めてるし、私の資金では細やか過ぎてね。
 私の少ない資金を最大限に活かせて目立つ投資をしたいのよ。
 それが広告塔としての会長の役割と考えていてさ。」
「真面目に考えていたんだ。」
「当たり前でしょ。」
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