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二学期-234 [花鈴-24]

 二学期になってから研究の為にやって来た学生との交流が深まるにつれ、YouTubeチャンネルを通して主張して来たことが好意的に受け止められていることが分かり嬉しく安心もした。
 佐々木茜さんだけでなく、他の学生にもだ。
 そんな話を父に…。

「私が学生さん達を観察対象にしてることが知られたのに彼らは好意的でね、少し意外だったわ。」
「YouTubeチャンネルでの花鈴は素適な女の子だからな。」
「編集の結果、徳沢さんを僕にしてると受け止められているのに?」
「まあ、徳沢くんがそんな状況を喜んでいると見て取れるからな。
 実際、花鈴の指導の下、彼はこの地に馴染みつつ有ると感じているよ、消防団の人達にも可愛がって貰ってるみたいだろ。」
「彼は真面目なの、でも二学期になってやって来た人達も真面目な人ばかりだと感じるわ。」
「国立大学に合格するには真面目さが必要、そして彼らの研究テーマは真面目なものだからな。
 彼らを観察して何か発見は有ったのか?」
「そうね、小さな発見は色々と。」
「例えば?」
「学校教育の現状に対して、その問題点を掘り下げることは出来るのだけど、それを改革して行くことまでは考えられない、それは自分達の役割では無いと思っている人がいるの。」
「彼らに、そこまでの権限は無いからな。」
「五年生の私が改革したいと考えてるのに?」
「花鈴とは違う教育を受けて来た子達なのさ。」
「確かに、大学入試を最終目標として、高校までの子ども時代を過ごして来たと話してくれた人がいたけど…。
 同じ大学生でも、余裕の有った人と無かった人では人として大きな差を感じるのよね。」
「だろうな、人には能力差が有るからな。
 昔の友人に真面目だったから公立の進学校に推薦で入学出来た奴がいたのだが、高校の定期テストでは何時もクラスで下から二番目ぐらいだったとか、一番下の子は学校を休みがちだと笑ってたな。」
「それでも、その高校を卒業したと言う肩書はその後の人生にプラスになるのよね?」
「本人の意識次第だろうな。
 学習能力は低いが学習に対して真面目に取り組んでた奴が、無理なく入れた高校では学年でトップクラス、大学は自分に合った所へ推薦で入学出来たからな。」
「そっか…、どちらが良いとかは言えないけど、真面目な人が損をしない社会で有って欲しいと思うわ。」
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