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夏休み-161 [花鈴-17]

「チャレンジってどんなこと?」
「調べてみたら過疎地の活性化に成功している例が有ってね、まずはそれを真似するとこから。
 真似すると言っても商品をパクるのでは無くシステムをね。」
「どんな風に成功?」
「地元の特産品を材料とした人気商品の開発に成功してるのだけど、使ってる材料は形が悪くて売れないトマト、売れないからお金を出して処分していたものを買上げて商品の原料にしてるの。
 農家が喜んでくれ、開発した商品がバカ売れなのだけど、製造に携わっているのは田舎だからパートの仕事が無くて残念な思いをして来た人達、空いてた時間に出来る仕事を喜んでるのよ。
 それを真似、ここならではの商品を開発出来ないかと考えていてね。
 凄く売れなくてもそこそこ黒字に出来れば良いの。」
「ヒット商品を出せれば大勢の人が嬉しくなるんだ。」
「うん、子どもが大きくなってお金が掛かる頃は、子どもに手が掛からなくなって空き時間が増えるの、親としてはその時間を有効に使いたいのよ。」
「そっか、うちの親は適当にやってるけど。」
「大賢者のご両親はご自身の才覚で要領良く稼いでいそうだけど、そういう人は一部なのよ。
 大賢者もそろそろお金儲けに付いて考えてみて良いと思う、自分で稼げば欲しい物を買い易くなるわよ。」
「う~ん、欲しい物は色々有るけど自分で稼いで買うことは考えてなかった。
 花鈴姫は仕事をしてるから好きな物が買える訳だ。」
「親が甘いから自分で稼がなくても買って貰えるのだけど、会長としての報酬で買い物をするのは大人になった気分が味わえ、なかなかのものなのよ。」
「へ~、何を買ってるの?」
「そうね、プレゼントが多いかしら。」
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夏休み-162 [花鈴-17]

「自分の物では無くプレゼントするものを買うんだ。」
「自分のは両親が買ってくれるからね。
 誰に何を贈ったら喜んで貰えるかを考えるのが楽しいのよ。」
「あっ、誕生日プレゼントで貰った筆記用具セットは使い易くて助かってる、改めて有難うね。」
「ふふ、大学生が使ってる様な物の方が大賢者には合ってると思ったの。
 喜んで貰えて嬉しいわ。」
「大人にもプレゼント?」
「ええ、受け取って貰い易い様に、店で売れそうかどうかを知りたいから使った感想を教えてね、と添えてね。」
「喜んで貰えてる?」
「勿論!
 ネットショッピングには無縁の人達だから便利グッズを知らないのよ。
 ちょっとしたプレゼントを喜んでくれ今まで以上に手伝ってくれたりしてるわ。
 プレゼントにはそれなりの効果が有るの。」
「成程、それで花鈴姫の人気は高まるばかりなのか。」
「高価な物で無くてもその人が喜んでくれそうな物を選んでいるからね。
 高価な物でも必要が無くて持て余してしまう物を貰ったら、しまっておく場所に困るし処分しづらいでしょ。」
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夏休み-163 [花鈴-17]

「良く分からないけどそうなのだろうな。
 プレゼントに掛けたお金の元は取れてる訳だ。」
「そんなつもりでは無く日頃のお礼なのだけど、結果的にはね。」
「そう言えば花鈴姫に頂いた作業着だと自慢してた社員さんがいたな。」
「あれはそのままユニフォームとして定着しそうだったから、会社として追加支給することにしたの。
 皆が色違いだけどお揃いになり、全く違う作業をしてる人達とも連帯感が芽生え始めたと好評なのよ。」
「連帯感か、ユニフォームにはそんな効果が有るんだ。」
「でも、ダサいユニフォームを押し付けたら逆に反発されたかもでしょ。」
「プレゼントしてその感触を確かめた上でユニフォームにしたのか?」
「まあ、そんなとこね。」
「そこまでのことを姫が考えているとはね。」
「そこが楽しいのよ。」
「会社の会長って良く分かってないのだけど、楽しんでやってるんだ。」
「勿論、皆さん小学五年生の私に気を遣ってくれるから大変なことは無いの。
 大変なことは田中社長が処理してくれるからね。」
「ひろっちの所は親子で姫に尽くしてるんだ。
 彼は僕的存在で満足してるのかな?」
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夏休み-164 [花鈴-17]

「ひろっちは僕なんかではないわよ。
 確かに何時も私のことを気遣ってくれるけど、私に命令されて動いているのでは無く自分で考えて動いているのだから、僕とは全然違うと思うわ。」
「花鈴姫のことが好きなのかな?」
「少なくとも嫌いでは無いのでしょうね。」
「そこから恋愛に発展する可能性はどう?」
「微妙かな、ひろっちのことは好きだけど恋愛感情とは違う気がしてる、その辺りのことはまだ良く分かってないから今後のことは全く分からないけど。」
「そうなんだ、姫の初恋ってまだなのか?」
「それも微妙ね、憧れ好きになった人はいても恋心と言えるのかどうかは…。」
「そっか。」
「大賢者には恋心を抱く女の子がいるの?」
「姫のことは好きだけど恋心かと言われると良く分からない、絵梨やLilyのことも好きだからな。」
「ふふ、結婚しても浮気するタイプなのね。」
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夏休み-165 [花鈴-17]

「別に友達なんだから浮気とは関係ないと思うのだけど。」
「かもね、でも大きくなって異性とお付き合いする様になると色々有るみたいよ。
 修羅場がどうとか話してた人がいてね。
 大賢者は私達親しい女の子が他の男子と楽し気にしてると気分を害したりする?」
「あっ、その辺りが恋愛感情の有無に関係するのか。
 そうだな、仲間外れ的な状況で無ければ気にならないかも。」
「まだ恋心は芽生えてないのね。」
「姫はどうなんだ?」
「本に出て来る恋愛に憧れたりはするけど、まだ花より団子かしら。
 私の基準はお兄ちゃんで、お兄ちゃんに勝てるレベルの人に出会えて無いから。」
「成程、姫と付き合うのはハードルが高いんだ。」
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夏休み-166 [花鈴-17]

「同じ親に育てられてるから価値観が似てるのよ。
 大賢者の価値観も理解出来るけどね。」
「価値観か、ここに来てから花鈴姫達に影響されて変わった気がする。
 来るまでは同年代で能力の高い子とは接したことが無くて同年代は幼いと感じてたのに、姫と話してると自分の方が幼いのでは感じることが有るからな。」
「興味の有る分野が違っていたからでしょ。
 論理的に考えると言う点は同じなのよ。
 私の場合、論理的に考えられない人と上手く接する方法を論理的に考えていると言えば良いのかな。」
「そこだよ、色々な人達と接していると変数が多過ぎて整理し切れなくなる時が有るのだけど、姫は敵と認定した人以外とは良好な人間関係を築いてしまう、可愛い女の子と言う武器が有るとは言え簡単なこととは思えないんだ。」
「ふふ、そこには簡単なコツが有るのよ。」
「コツ?」
「基本、相手の話を聞いてあげるのだけど、こちらから適度に質問をするの。
 自分の話に興味を持って聞いてくれる人のことを悪く思う人なんていると思う?」
「だよな、姫は僕のことも知ろうとしてくれたから色々話せて嬉しかったけど、お姉さんだなって感じてたのはそんな所だったのかも。
 そんなことは黙っていても良いことなのに普通に教えてくれる、姫は大人だよ。」
「少しずるいのだけどね。」
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夏休み-167 [花鈴-17]

「少しじゃないよ、何時も姫のペースで事が進んでいて気が付いたら乗せられてる。
 ピーマンの会が良い例だな。」
「ピーマンも食べてみたらそれ程嫌な物では無かったでしょ?」
「まあそうなんだけど、何か洗脳された気がして。」
「好き嫌い何て気分の問題、子どもには合わない食べ物も有るけどね。」
「はは、そんな感じで誤魔化されてしまって、姫はかなりずるいと思うよ。
 大人達は気付いてないのかな?」
「気付いても微笑ましいレベルだから問題無いのよ。
「大人達の姫に対する態度は…。
 姫さまが実在したらあんな感じなのかな。」
「皆さん、私達のお姫様ごっこに付き合って下さってるのよ。」
「う~ん、かも知れないけど、花鈴姫に対する尊敬の念を感じることが有るのだよな~。」
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夏休み-168 [花鈴-17]

「それは私にでは無く社長である父に対してのものなの。
 大人達は私を通して父を意識してるのよ。」
「良く分からないけど、それだけ偉大な社長と言うことかな。」
「企業の在り方に関して書いた本がそれなりに売れていて、その印税をここの活性化資金に充ててるからね。
 本社移転の関係でここの工務店は安定した収入が見込める様になったし。
 どんなに立派な大社長でも地元の利益に繋がることをしていなかったら尊敬されてないと思うわ。」
「地元に利益をもたらしているから尊敬されてるんだ。
 でも、それは姫もだろ、姫の会社はお年寄り達の生活に直結しているのだから。」
「それが出来るのも父の後ろ盾が有ってのことなのよ。
 誰も小学五年生が自力で活動してるとは思ってないの。」
「そっか、それで姫はどの程度自分の判断で指示を出したりしてるのかな?」
「指示はそんなに出して無いわよ、社長がいるからね。
 社長と相談することは有るけど、私は社長のお手伝いをしてる程度なの。」
「それでも着実にファンを増やしているよな。」
「絵梨のお陰でね、初対面の人にでも気軽に声を掛けられる心臓の強さは私にないのよ。」

「はっくしょん。」
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夏休み-169 [花鈴-17]

「噂話は本人のいない所でしてよ。」
「絵梨、早かったのね、YouTube向けの撮影はどうだったの?」
「お父さんがキャンプの様子を沢山撮影しているでしょ、暫くはそちらをメインにするから私の特別な出番は少な目ですぐ済んだの。
 今夜はキャンプを締めくくるファイヤーストームになるからお父さん達はその撮影準備を始めたわ。」
「今夜の話題は?」
「今までの私達や大学生の活動を振り返りつつ今後の活動について、その辺りは姫に仕切って貰いたいそうよ。」
「そうね、私達の店がオープンするまでに時間が有る様な無い様な感じだから、方向性はしっかりしておかないとね。
 秋の観光シーズンにしっかり稼いで、冬場のビニールハウス栽培に備えたいのよ。」
「源さんが冬場の暇つぶしにと提案してたけど何を栽培するの?」
「今度の冬は教えて貰いながら色々試してみたいわね、そこから幾つか選んで来季以降の方針を固めて行く、集客に繋げられそうだったら、ビニールハウスでは無く植物園に有る様な温室を建てたくもあるの。
 温室内にカフェとか寒がりな花好きが来てくれそうじゃない?」
「野菜じゃないんだ?」
「花はお腹を満たしてくれないけど、心を満たしてくれるでしょ。」
「温室なら南国の果物を栽培して欲しいけど。」
「それも考えてるわ、一年を通して楽しめる植物を中心とした公園にしたいからね。」
「姫はここを大きな公園にするつもりなのか?」
「ええ、大賢者は過疎地と言われてるここ全体が大きな公園となったら面白いと思わない?」
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夏休み-170 [花鈴-17]

「面白いとは思うけど…。」
「各地で行われて来た過疎化対策を調べてみたのだけど、お茶を濁す程度のが多くて結果が出せて無いのよ、予算とか色々問題が有るのだろうけど、中途半端なのばかりでね。
 馬鹿げたシンボルを作ることに多額の予算をつぎ込んだ自治体が有るけど、リピーターを生み出せないシンボルに価値は無いのよ。」
「公園にでもしないと過疎化が進んでしまうと言うことなのかな?」
「まあ、そうなんだけど様々な形で自然を味わえる公園に、そしてその維持管理に一般の観光客も加わることの出来る公園にしたいのよね。」
「観光客に働いて貰うの?」
「うん、仕事として毎日するのは大変でも、たまの農作業体験ならやってみたい人はいると思うのよ。
 月に一度来て第二の故郷にしてくれるのも良いわね。」
「第二の故郷か。」
「観光であちこちに行くのは楽しいかもしれないけど、一か所を重点的に訪れるスタイルを提案して行きたいと思ってるの。
 普段住んでる土地以外に愛着の湧く土地が有るのも良いでしょ。」
「大勢の人がリピーターになってくれる作戦の一つなのか…。」
「その為にも一年を通しエリアのどこかで花が見頃です、としたいのよ。
 温室が実現出来たら可能でしょ。
 ビニールハウスでは野菜や果物も楽しんで貰いたいわ。」
「花鈴姫が話すと簡単そうに思えて来るけど簡単では無いのだろ?」
「ええ、勿論お金が掛かる話だからね。」
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