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近衛予備隊-171 [高校生バトル-60]

「シャルロット、村での職業訓練って職種が限られているよな。」
「ええ、村に必要な人材育成と考えては来たけど、この際プログラマー養成スクールだけでなく、もっと色々な職業訓練の場を用意出来たら良いかもね、社員教育では限界が有るのよ。」
「養成するとしたら、どんな職種が思い浮かぶ?」
「そうね、移住して来て貰ったのは理容師美容師とかでしょ…、電気関係を始めとした技術者にも来て貰ったものの技術レベルが低く、日本人スタッフが作業を教えるのに苦労したと聞いてるわ。」
「技術力に差が有るからな、国の教育水準が低いのは俺達が頑張った所で何ともならない、それでも足りてない技術者を村で育成して行くことは考えるべきだと思う。」
「教育は将来に向けての投資でも有るのよね、予算面の問題をクリア出来れば良いのだけど。」
「高校生バトル関連で職業訓練プログラムは色々有ると聞いてるが、どれも日本語ばかりだとか。」
「英語版を作るか、他で探すか、う~ん、英訳学習してる人の実習として割安に出来ないかしら。」
「それは良いかも、ただ、実際の技術を身に着けるとなると教材だけでは足りない、映像による学習だけでは不充分なことも有るだろ。」
「教師の育成も考えないとダメなのね、まずは教師を養成してくれるレベルの教師が必要か…。
 ねえ、学習能力って遺伝的なものなのか経験によって身に付くものなのか微妙だと思わない?」
「同じ学習機会を得ても、それを活かせる人と活かせない人が居るものな、どちらの要素も関係するとは思うが、俺達に出来るのはより良い経験の場を創り出すことかな、子ども達への教育から職業訓練までを通して見直す必要は有るかも知れないが。」
「直ぐには無理でも、今まで取り組んで来なかった職種に関する訓練プログラムに関する調査と共に進めて行くべきかもね。」
「日本では教育が一つの産業となっているそうだから、そう言う視点からも教育の可能性を探って行きたいものだな。」
「日本と違って親が子の教育にお金を掛けられないから難しくないかしら、将来に対する投資と考える人が少ないだけでなく、そもそも生活に余裕が無くて。」
「そうだな…。」
「どれだけの技術を身に着けるか、学習や訓練にどれだけの時間と費用が掛かるのかがポイントになりそうね、でも技術の習得がそのまま就職に繋がるのであれば先行投資のハードルは低くなるわ。」
「どんな技術者が必要とされているのかを調査し、雇用する側と雇用される側との調整を考える必要が有るな。」
「ええ、でも、まずはプログラマー養成スクールなのよね。」
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近衛予備隊-172 [高校生バトル-60]

 村にプログラマーになれるだけの資質を持った人がどれだけいるのか分からないが、そもそもプログラマーと言う職業の存在すら知らない人ばかりだと思う。
 そう考えると時間は掛かっても子ども達に興味を持たせ取り組ませるしか、プリンセス詩織を喜ばせる方法はないと思える。
 その子ども達の能力は…、英語学習一つをとっても個人差は大きいが英語が得意だからと言ってプログラマーとしての資質が有るとは思えない。
 シャルロット達とは、プログラマー養成スクールとして立ち上げるのはハードルが高いが、パソコンを扱える人は増やして行きたいと言うことでパソコンスクール的なものを、まずは今までの社員教育からパソコン関連を切り離し、子どものパソコン学習を充実させる取り組みと合わせて立ち上げる形を検討している。
 プリンセス詩織の意見を聞いてから関連する部署の担当者に考えて貰おうと思っていたのだが、その前に…。
 遠江王国王家の夕食会に招かれた時、話の流れからプリンセス雅が…。

「新しく学校を始めるんだ、年齢に関係なく始めるのなら、パソコンだけに拘る必要はないのよね?」
「ですが、規模や予算を考えると始めから手広くとは出来ません。」
「それでも英語スクールを併設するぐらいは簡単でしょ?」
「英語ですか、子ども達は学校で学習していますが…。」
「対象を日本人にするの、英語でのコミュニケーション学習の一環としてパソコンスクールの生徒にパソコン操作を教えて貰うってどう?
 彼らにとっては漠然と英会話の練習するよりスキルアップに繋がるし、村に滞在して貰うことで村が潤うでしょ。
 教えるのはパソコン操作で無くても良いわ、実践的英会話が目的なのだから。」
「しかし、英語を話せると言っても英語を母国語としてる人は僅かなのです…。」
「それで良いのよ、英語を母国語としない人が、多少の間違いを気にせず話しているのを実体験することは、文法を気にし過ぎる日本人にとってプラスになると思うの。」
「そう言うものなのですか…。」
「うん、雅の発想は悪くないと思う。
 短期海外留学するお金に余裕の有る人達は半分観光だから、校長をジョンにして宣伝したら儲かると思うよ。」
「村人との交流を重視して行けば村人達の視野を広げることにも繋がるわね。」
「語学学習は用意された例文を読んでいても意味が無いからな、詩織、向こうの社員達は趣味のサークルとかやってないのか?」
「家を建てるとか…、ジョン、新しいキャンプ場用地の開拓も手伝って貰ったら?」
「えっ、さすがに…、語学学習では無く単なる労働になってしまいます。」
「共に汗してキャンプ場を作る、そうね、参加者には第二の故郷を自分達の手で開拓しようと、アマンダの写真を使って募集すればそれなりに応募が有るかもよ。」
「現場にアマンダがいなかったら詐欺になりませんか?」
「大丈夫、宣伝何てそんなものだから。」
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近衛予備隊-173 [高校生バトル-60]

「なあ、いっそのこと発想を変えて総合学校ってどうだ?」
「総合学校?」
「入学条件は英語と算数の能力ぐらいにして、学習意欲が有れば年齢制限無し。
 何をどう学ぶかを自由に考え、就職に向けてのスキルアップを図る。
 勿論、芸術や文化を学ぶことも重視したいかな。」
「一定のカリキュラムを設けないと言うことですか?」
「生徒は一人一人違う、全員が自分に合った学習目的、学習方法を考えたら必然的にバラバラになるだろう。
 学習環境が整っていれば自力でスキルアップ出来る子もいるだろうし、技術を身に着けるにはマンツーマン教育が必要かも知れない。」
「そんな学校、日本では絶対無理だけど向こうの村でなら可能なのかな、ジョンはどう思う?」
「そうですね、近衛予備隊はプリンセス詩織の指導によって、それに近い形になっています。
 まずは、近衛予備隊を総合学校の核とし、そこから少しずつ拡大して行くので有れば無理なく専門教育や高等教育に進められるかも知れません。
 プログラマーの養成もその一環としてなら、後は生徒の能力次第です。」
「成程、近衛予備隊は自分の希望する進路に応じた学習をしていたのだったね。
 それなら、思ったより簡単に実現出来そうだな。」
「三郎兄さま、言い出したからには費用面の援助をしてあげて下さいね。」
「はは、雅に言われなくても、子ども達が大きく成ったら留学させたくなる様な学校にしたいかな。」
「それは良い、早速現地視察に行って来よう、行きたいとは思っていたのだが、なかなかタイミングが合わなかったからな。」
「次郎兄さまも乗り気なのですね。
 これで立派な校舎を建てられるわ、留学生向けの寮も。」
「では、第二王子さまご一行の為に宿泊の手筈を整えます。」
「ルーシーは気が早いね。」
「いや、良いじゃないか、三人が帰る時に一緒でも。」
「私も帰るのですが。」
「詩織は向こうがすっかり気に入ってしまったのだな。」
「それはもう、寒くないし、衛生面の改善を進めた結果蚊や蠅を見ることも無くなって来ました、のんびり出来る庭園も有りますからね。」
「詩織の為の庭園って随分贅沢だよな。」
「プリンセス詩織はそれだけのことを国や村の為にして下さいましたので、まだ足りないぐらいだと思っています。」
「シャルロット、大統領は観光の為に、詩織を女王とし村を遠江みたいな王国にすることを考えているのでしょ。」
「はい、ですが遠江王国とは違い本当に名前だけの王国を考えていらっしゃる様です。
 一応、名称変更をプラスに出来ないかと検討はして貰っているのですが…。」
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近衛予備隊-174 [高校生バトル-60]

 俺としてはプログラマー養成スクールより総合学校の方が気楽だ、プログラマー養成はどう考えてもハードルが高過ぎる。
 その資質を持った人を総合学校に入って来た人の中から探してみたとしても難しいだろう。
 それに引き換え総合学校の発想は近衛予備隊の延長線上に有り、予備隊を拡大して行けば良い。
 先輩が後輩を指導する形を定着させたので教員の人数も抑え気味に出来る、そもそも学習に取り組む姿勢が出来ている子に必要以上の指導は必要ないのだ。
 そんなことを考えている時に出て来た王国の話は大統領からの提案、但し観光施設の名称を変える程度のことみたいで、俺はあまり興味が無かった。
 プリンセス詩織が、日本には王国を名乗るテーマパークや遊園地が幾つか有ると話し、大統領もそんな感覚なのだろうと話していたからだ。
 すでに村のことは広く知れ渡っていて、今更名称を変更してどれだけの効果を得られるかは疑問だが、それでも少しばかりの経済効果なら生み出せるかもと検討はして貰っていた。
 だが王家の人達は…。

「我が国が独立国としての承認を宣言すれば、国際的に認知して貰える可能性は有る。
 観光客は増やしたいのだろ。」
「はい、雇用の場はまだ必要ですので。」
「土地に余裕は有るのかな?」
「かなり余裕が有ります、管理されてない荒れた土地ばかりですが防災や衛生を考えたら人工林にすべきで、その一部だけでも観光に活かせるので有れば話しを進め易くなります。」
「植物の管理は難しいのかな?」
「住居や畑の周りは遠江大学の方々に助言を頂き、利用価値の無い植物を除去し利用可能な木や草と入れ替える作業に取り組んでいます。
 荒れ地をどんな林にして行くのかは今後の研究課題となりますが、バイオ燃料を視野に手の掛からない大規模農場にすることも検討して貰っています、ただ遠江王国の山林程では有りませんが傾斜地が多いので微妙です。」
「そうだな、傾斜地なら根のしっかりした植物を植えたい所だが…、平地より何かと作業効率が落ちるし…。」
「果物の栽培はどうかしら?」
「遠江大学の方から提案を頂きまして、村の気候に適した物がないか試して貰っています。
 国の中では気温が低めなエリアなので果実は無理だと思われていたのですが、日本の気候で育つ美味しい果物なら栽培出来るかも知れないと、気候に合わせた品種改良も視野に入れて研究して頂いてます。」
「それに成功したら大きいわね。」
「はい、村では何の知識もないまま土地に合わない作物を細々と作っていましたが、農地改良を進め栽培する作物を変えてから、村の生活は一気に良くなりました。
 子ども達にも学問の重要性が伝わっていると思います。」
「知識、学問の成果か、子ども達にとってもインパクトが有ったでしょうね。」
「だろうな、日本では学問の重要性を感じられない子どもが少なからずいて残念だよ。」
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近衛予備隊-175 [高校生バトル-60]

 村の話で盛り上がる王家の人達だったが…。

「詩織、それなら独立国として王国を名乗っても恥ずかしくないだけの経済状況になりつつ有るのだね。」
「ええ、もう新規の借入れをしなくても、今までの借入を返済しながらマーケットの全国展開を進めて行けるだけの体制が整っています。
 治安が悪かった頃、強盗の標的に成り易かったからか商店の絶対数が足りてないみたいで、マーケットを出店しても競合する店舗が極めて少ないです。
 地域によって差は有りますが、当初思っていたより購買意欲は高く、予想以上に売り上げを伸ばしている店舗ばかりですからスタッフも強気になっています。」
「治安が良くなってお金が回り始めたのかな?」
「みたいです。」
「ならば安心して小さな国の女王になれば良いが、王家が女王一人では心許ないと言うか女王としての公務が大変だろ?」
「大統領との兼ね合いで、村をどの程度国らしく出来るのか分かりませんが、将来は大統領にと言われている村長がいますので彼を王族にしようと思っています。
 国王を世襲にする気は有りませんので、彼には将来大統領か国王に、国を乗っ取り王国として統一するのも有りですね。」
「ほー、大きく出たな。」
「マーケットを足掛かりとすれば有り得ない話ではないのです。
 マーケットで買い物をするのが国民ならマーケットで販売する商品を作ったり運んだりするのも国民な訳で、国中で我が社の関係者が増え続けています。
 独占禁止法は有りませんので他国の企業が気付く頃には我が社が絶大な力を手にしているかも知れません。
 余力の出来始めた工場では輸出向けの商品製造も始めまして、全体の伸びしろはかなり有ります。
 マーケットとそれに関係する工場や農場が増えたことで、生活改善出来た人がかなりいるのです。」
「詩織は奇跡を起こし、神の如き存在になってるのだから難しくないかもな、ジョンも会社のシンボルとして知名度が上がっているのだろ。」
「我らが女神さまは、なかなか素敵な構想をお持ちの様だけど、ジョンは村長としてどう考えてるの?」
「どうと言われましても…、王族にと言う話は今始めて聞かされましたので…。」
「シャルロットは?」
「ジョンが優れた指導者で有ることは多くの方々が認めて下さってるところです。
 ただ…、共和制の国から王国と言うのは…。」
「共和制の国でも結局、君主に代わる人物を選挙で選んでいる様なことだろ。
 遠江王国は王国を名乗っているが、日本国の法律に基づいてなされた市長選挙に当選した親父が王様を兼任しているだけなのだよ。」
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近衛予備隊-176 [高校生バトル-60]

「立憲君主制が広がり国王の権力は憲法によって制限される様になったと学習しましたが…。」
「遠江王国の国王は日本の法律に基づく市長としての権限を持っているから、ある意味日本の天皇より政治的な力が強いと言うか、天皇は政治的な発言を認められていないのだけどね。」
「そして親父は天皇と同じ様に尊敬されているのだよ。」
「ええ、社会的弱者の救済に尽力されただけでなく、地方都市の大改革を成功させたからですね。」
「なあシャルロット、それは私一人の力で出来たことだと思うかい?」
「王さま、やはり皆さんのお力有ってのことなのですね。」
「ここにいるメンバーの働きは大きかったが、多くの国民が我々の考えに賛同してくれ動いてくれたことが大きいのだよ。
 私達は組織と言うものをずっと考えていてね、君たちはどうかな?」
「近衛予備隊に入隊してから度々考える機会を与えられて来ました。」
「どんなことを考えた?」
「そうですね、組織の中で自分の役割とかリーダーのこととかです。」
「ジョンは理想的な組織について考えたこと有る?」
「はい、組織によって異なるとは思いますが、会社組織の場合は指揮系統がしっかりしていて、各自の担当業務が明確なのは当然として、それに縛られ過ぎない柔軟性を持った組織は強いと思います。」
「成程、村では実現出来ているのかな?」
「リーダークラスは組織論を学ぶ過程でそう言ったことに触れて来ましたので、それがマーケットの店舗拡大にも繋がっていると思っています。
 ただ、一般の社員達にはそこまでの社員教育はまだ出来ていません。
 会社と社員の関係、地域社会と個人の関係など優先して教育すべき課題が多いのです。」
「そう言ったことも進行中なのだな。
 ルーシーは組織内に於ける自分の立場から、ジョンと言う村長をどう見てる?」
「えっと、色々な想いが有って簡単には話せませんが…、英語学習が進みパソコンを利用させて貰える様になってから、彼の学習スピードには誰もついて行けなくなりました、店での実習が始まってからは、ずっと大人以上の働きをしています。
 日本人スタッフの方々は冗談っぽく将来は大統領だと口にしますが、実は本心ではないかと。
 先ほどプリンセス詩織も、将来は大統領か国王にと話されていましたので、私はそのサポートをしっかり出来る様に学び経験を積みたいと考えています。」
「ジョンは詩織の言う通り、大統領にも国王にもなれる器なのかな?」
「はい、この若さで大人達に頼られている村長ですから。」
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近衛予備隊-177 [高校生バトル-60]

「ジョン、村を小さな王国にするだけでなく国を王国にすると言う考えはどう思う?」
「そう言った展開は考えたこと無かったです、王さまはそこにメリットが有ると考えておられるのですか?」
「結局は人次第だけどね、裏切り者や私利私欲に走る者が王国の中枢にいたらメリットどころかデメリットが生じるだろう。
 だがそんな輩を王家に入れないシステムと世襲によらない王室を確立出来たらどうだろう。
 国の指導者を選挙で選ぶ民主主義では、人気だけが先行して実力の伴わない人物がリーダーになってもおかしくない。
 だが国王が、優秀な人物で構成される王家一族や家臣と共に政治を行えば、選挙ばかりに気を取られて本来の政治をおろそかにしている政治家とは全く違う、国民の為の政治が出来ると思わないか?」
「はい、民主主義の欠点について近衛隊のメンバーと話し合ったことが有りますので分かります。
 世襲についてはあまり考えたことが無かったのですが、国王と言えば普通、世襲ですよね?」
「子が親の跡を継ぐのは人間社会では極めて普通のこと、それが国王であろうとね。
 優秀な遺伝的資質が期待出来るだけでなく、親の作り出した環境を含めて引き継ぐことになり効率が良く、跡継ぎとして適切な教育を施し易いからな。
 ただ、時には親の思い通りにならない子もいるだろ。」
「能力的、人間的に問題の有る人が組織にとって重要なポストを、血縁だけを理由に受け継ぐと組織は一気に弱体化するかも知れません。」
「だよな、本人が自身の無能さを自覚していて、有能な部下に多くを任せることが出来れば、かえって良くなる場合も有るのだろうが。
 何にしても政治を世襲のリーダー任せにする体制はリスクが大き過ぎる。
 民主主義と言う観点も有ったのだろうが、各王国に立憲君主制が広がったのは自然な流れだったと思うよ。
 だが、その大前提になっていたのは王家の血筋だろ、私達はそれに拘らない新たな王政と言うものを考えていてね。」
「プリンセス詩織は王さまと全く血縁関係に無いと聞いています、プリンセス雅は血縁関係こそないものの養子として家族になられたそうですが。」
「だがそんなことには関係なく、二人とも王家の一員としてその役目をしっかりこなしてくれている。
 勿論、王家の一員と言う立場が無かったとしても、それなりの成果を上げるだけの実力が有ったからだが、肩書と言うのは時に有益なのだよ。
 始めての人に対して、人は肩書で判断することも有るし、人々の信頼によって得られた肩書の価値は高いものだろ。」
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近衛予備隊-178 [高校生バトル-60]

「肩書と言えば、王家の方々は貴族と言った肩書でも良かったのでは有りませんか?」
「ジョンは私達が義兄弟姉妹の契りを結んでいることは知ってるかな?」
「はい、村に於ける男尊女卑のことが話題になった時にプリンセス詩織から…、あっ、王家と言う呼び方は義兄弟姉妹の契り、その延長と言うことでしたか…。」
「ああ、その通りなのだが、王家の中に序列は必要ないと言う意思表示でも有る。
 遠江王国の国王は世襲ではないから、王位継承権の順位を付ける必要はないだろ。」
「そうですね、しかし、王家の皆さんは優秀な方ばかりで、実のお子さんが次期国王となっても問題は無いと思うのですが。」
「可能性はゼロではないよ、ただね、長男は王様をやってるより技術者のまとめ役、次男は自分が表に出るより裏で暗躍したいタイプ、長女と三男は遠江王国より日本国の改革を考えていてね。
 次女はタレントとして自分の才能を伸ばして行きたいと考えてるし、四男は政治経済に興味が無くて義兄弟姉妹の一員ですらないんだ。」
「そうでしたか、では時期国王の候補者は?」
「以前は詩織を考えていたのだが、遠江王国の枠に収まり切らない存在になってしまったからな。
 でも我々と志を同じくする者は少なからずいるし、王国を任せられる人物も幾人か存在する。
 彼らを王家に迎え入れることになるが、遠江王国だけを活躍の場とは考えていないので、誰が次期国王になるのかはこれから検討して行くことになるのだよ。」
「ホントに血の繋がりの無い人が次期国王になるのですね。」
「ああ、遠江王国ぐらい安定していると国王なんて誰でも良いのだけどな。」
「でもね、ジョン、私達は対外的により良い社会の構築に向けた情報を発信し続けようと考えてるの。
 国王はその象徴でも有るから誰でも良いとはならないのよ。」
「ですよね、選挙によって、まずは市長として選ばれるが有りますし。
 その辺りは、村が王国になりプリンセス詩織が女王になる時も同様にと考えているのですか?」
「法律が違うし、今は大統領次第だから何とも言えないけど、基本的に遠江王国同様、王家による継続的な政治形態を目指したいかな。」
「大統領次第ですか、でもどうして大統領は村を王国にと思ったのでしょう?」
「勿論、アドバイザーとして送り込んで有る近衛の助言よ。
 うちは納税額が多いだけでなく、雇用状況の改善を通して、しっかり国に貢献してるでしょ。
 それを更に伸ばすにはと大統領から尋ねられ、観光のシンボルとして村を王国にすれば、毎月の様に王国絡みのお祭りを開き海外からの観光客を呼び寄せることが可能だと答えたの。
 私をもっと利用しなさいってとこね。」
「そうだったのですか、しかし、忙しくなっても構わないのですか?」
「私は忙しくなんてならないわよ、王家にジョン達が入ってくれればね。」
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近衛予備隊-179 [高校生バトル-60]

「もし自分が王家の一員となったら何をすれば良いのです?」
「村長としての職務はそのまま、ただ肩書は村長から大臣に変更して…。」
「詩織、総理大臣なのか?」
「う~ん、どうしよう…、総理大臣では面白みに欠けるわね。」
「いっそ左大臣にでもしといたら、太政大臣では説明が面倒だけど、左大臣なら女王様の左側を守るとか適当な意味付けをしておけば良いし、英語にした時も分かり易いでしょ。」
「相変わらず雅はいい加減なのね…、でも悪くはないかも、右大臣には近衛隊隊長が適任かな。」
「詩織、決定なのか?」
「ええ、何をする人なのか良く分からない名称なのに、言葉としては難しくないでしょ。
 日本文化に興味の有る人は面白いと思うだろうし。」
「ジョンが左大臣となったら今まで通りの村長だけでは済まないですよね?」
「そうね、シャルロットはジョンとの結婚、何時頃にするつもりなの?」
「村が落ち着いたらと相談していたのですが…、先延ばしになりそうです…。」
「先延ばしと言うより日程を決めましょう。
 流れとしては、まず建国祭、王国を立ち上げると宣言してのお祭りで一稼ぎでしょ。
 次は女王への即位式を祭りとして盛り上げて一稼ぎ、王家にはジョンの他、近衛隊から二人を入れて、う~ん、式や祭りの名称は後で考えるとして、ジョンが絡めば一稼ぎ出来るわよね。
 王家の一員として左大臣を務めるジョンが婚約するお祝いで一稼ぎして置いて、二人の成婚を大々的に国を挙げて祝い一稼ぎ、その後は子どもが誕生する度のお祝いになるわね。」
「ちょっと~、詩織は稼ぐことしか考えてないの?」
「雅、村、じゃなかった国全体のデザインを変えて行く予算が必要なのよ、近隣諸国には無い街並みを持つ王国、観光地としての国を確立させたいからね。」
「しかし、自分達の結婚でそこまで稼げますか?」
「記念硬貨をはじめ記念グッズを売り出せば日本で売れるのよ、様々な情報を流して行くことでね。」
「情報ですか…。」
「婚約の式典に向けて衣装を用意しました、その衣装は日本の有名デザイナーが担当し、と言ったことをまめに流して行くの。
 ロイヤルウエディングに対する憧れは強いから注目度は抜群、ネタに困ってるマスコミも大喜びで取り上げてくれるでしょう。」
「歴史も伝統も無い王家で勝手にプリンスを名乗る程度で大丈夫なのですか?」
「容姿端麗なプリンスが、容姿端麗な姫を迎えるのだから、その出自はどうでも良いのよ。
 王子さまはお姫さまと結婚し末永く幸せに暮らしましたとさ、ってお伽噺を見せて上げれば喜ぶ人は沢山いるのだからね。」
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近衛予備隊-180 [高校生バトル-60]

「お伽噺か、村をお伽噺の舞台にする為に稼ぐと言うことなのかな?」
「村だけで無く国全体をね。」
「はは、詩織は本気で国を乗っ取るつもりなのか?」
「政治経済を立て直し国王による実験的政治を試してみたいと思わない?」
「それが可能なら面白そうだが、策は有るのか?」
「マーケットの展開は店舗だけでなく農場や工場をセットにしてるでしょ。
 国内販売だけでなく輸出を伸ばすため近衛隊メンバーには周辺諸国の調査をして貰っていてね、うちの系列店だけでなく、今まで取引の無かった商社とも関係を作り、売れ筋を探りながら輸出額を伸ばして行くつもりなの。
 会社の規模を拡大しながら、その給与水準を上げて行けば、国で一番の財閥に出来そうでね。」
「出来るのか?」
「治安が悪かったらマフィアのボスだけど、治安が良くなりかけたタイミングで一早く動いていたでしょ、失業率の高い段階で初期投資をし工場を建て、農地改革を始めているから、その見返りは大きく、そこからの税収が伸びたことで大統領も益々協力的でね。」
「経済を回してくれる大企業が存在してなかったのかな?」
「ええ、海外資本が安心して投資出来る環境では無かったこともあってね。
 それなりの財閥となったら、そのトップは国王に等しい。
 後はその力を使って国の政治を動かす地位を確保すれば良いのだけど、ジョンなら人気が有るから反発する人は少ないと思うの。」
「詩織もだろ。」
「まあね、でも国籍のことが有るから、村レベルで王国の女王を名乗る程度にしておきたいわ。
 どちらも王家を中心としたメンバーが国を動かして行くことになるのだけど。」
「民主主義的な選挙を経ない指導者だが、より民衆のことを考える指導者ということか?」
「ええ、選挙で選ばれた人が国民の代表として正しい国政を行えるとは限らないでしょ。」
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