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姫-01 [高校生会議-13]

私は姫と呼ばれる立場で生まれて来た訳ではない。
アンチからの、勝手に姫を名乗っているという批判は至極当然の事だと思う。
だが、こちらとしては遥香コーポレーションの経営戦略、みどりの風の選挙に向けての戦略が有る、勿論キサワイ王国との関係から岩崎王国の経営戦略も意識せざるを得ない。
アンチの方々には申し訳ないが、姫としてレベルアップを図る事となった。

「遥香さま、パレードお疲れさまでした。」
「多くの方が集まって下さり遥香姫生誕祭はかなり盛り上がってるわね。」
「ええ、遥香さまの御姿を一般庶民が目に出来る機会は少ないですから、パレードには市の人口を軽く越える人が集まったそうです、一か所の映像を簡単に編集したものが届いていますが、ご覧になりますか?」
「見たいわ、パレードの一員だと他の方の姿は分かりませんもの。」
「では…。」

「先頭は高校生なのね、これだけの人数が揃って親衛隊の制服を着てると壮観ね、男女入り混じってるのが良いわ。」
「ほとんどの人は岩崎高校生会議バイト実習の給料で買ったそうです、それが誇らしげな表情に現れていますね。
足並みを敢えて揃えない事にしたのは、軍をイメージさせない為だそうです。」
「ええ、悪くないわ…、あっ、マーチングバンド…、音だけは聞こえていた、私も間近で見たかったなぁ~。」
「では、応援旅行の時には訪問先でマーチングバンドを…、DVD向けの演出も考えて準備して貰います。」
「そうね、私の歌だけでなく色々盛り込むのも有りね。」
「ここからキッズ隊ですね、岩崎王国旗を振ったり各自趣向を凝らして遥香さまの誕生日を祝ってくれてます。」
「小学生向けの制服も可愛く仕上がったわね、みんな手を振って楽しそう。」
「子ども向けの親衛隊制服は着易さからも人気で、学校の制服の様になってるそうです。」
「う~ん、制服じゃない子がいじめられたりしなければ良いのだけど…。」
「制服を着るには人としての誓いを、教育の一環として遥香さまが提案された事は多くの家庭で実践されています。
親衛隊の制服を着て弱い者いじめをする事は子ども達の間でも許されないルールだと教師をしている従弟が話していました。」
「嬉しいわ、私の大切な人達が平和で心豊かに暮らして下さるのが何よりだものね。」
「は、遥香さま…。」
「聡美、どうしたの?」
「い、いえ、普段は冗談交じりに腹黒いとか話されてもやはり私の姫さま、心の美しさが溢れてしまうのですね。」
「は、恥ずかしくなる事言わないで…、キッズ隊の次が私よね。」
「もう間もなくかと…、お車は暑かったりしませんでしたか?」
「扇風機が回っていたからそれ程でも…、う~ん、思ってたより風の効果が有ったと思わない?」
「はい、扇風機は演出家が用意したのですが…、風を感じさせる涼し気な様子が素敵で…、今後も使って行きたいですね。
歩く速さのオープンカーは、日よけが有っても暑いと思います、応援旅行でもパレードを組み込みますが、それまでに暑さ対策を更に充実させます。」
「屋外の行事は天候に左右されるし難しいわね、夕方にすると夕立が有ったりしそうで。」
「撮影の為として時間は柔軟にしようと考えています。
多くの人を動かしますので、色々な状況を想定して準備を進めています。」
「見に来て下さった方が倒れられる様な状況では困りますものね。」
「生遥香さまに沿道の人達は熱狂的ですね、姫さま度アップと考えてのパレードでしたが、流石に本拠地だけあってという事でしょうか。
応援旅行先でも歓迎されるとは思いますが王国の弱い地域、場合によっては隣の県から動員をかける事も考えるべきでしょうか?」
「それはやめておきましょう、人が少なければ純粋に撮影の為として…、撮影が楽になるわ。
パレード以外の場でアピールして、そうね王国の力が弱い地域でも遥香コーポレーションの力で産業を盛り上げる事が出来ないか検討して貰いましょうか、衆議院選挙には間に合わなくても参議院選挙までに足場だけでも固めておきたいわ。」
「分かりました、その方向で進めさせて頂きます。」
「メイド隊は随分集まったのね。」
「はい、現時点で予定していた人数に達しています、ただ、裏方に回って貰ってる人もいますので、編成はまだ流動的です。」
「メイド隊の次からパフォーマンスか…。」
「市内のサークル中心に参加したいという団体をほとんど出しました、まさに全市を上げてのお祭り騒ぎ、マスコミも大騒ぎです。」
「経済効果は思っていた以上になりそうね。」
「はい、高校生会議が出した模擬店は何処も完売、遥香コーポレーション関連の店はパレード終了後どこも満席です。
記念グッズは海外からも注文が殺到、数量限定としなかった商品は製造が追いつかなくなりそうです、強気で多目に用意したつもりでしたが…。」
「う~ん、怖いのは不良在庫を抱えてしまう事、製造体制は見直すとしても、機会を作って私から御免なさいしておくわ。」
「いえ、遥香さまの生誕祭ですから、遥香さまが謝るというのは筋違いです、今回は私からきちんと謝らせて頂きます。」
「そうね、側近として…、聡美のグッズも出してみようか?」
「ですから、製造が追いつかないのです~!」
「ふふ、でもこれなら三百人を引き連れての旅行費用は大丈夫そうね。」
「生誕祭で稼がなくても、もう資金は充分有ります、遥香さまはそんな心配をなさらないで下さい、遥香さまを最高の姫として演出して行く予算は岩崎王国のどこからでも引き出せます、それ以前にご自身で確保されてしまいますから家臣として物足らないと、長老会議の皆さんは側近の私に不満をぶつけて来るぐらいなのですよ。」
「私に贅沢をして欲しいということなの?」
「はい、明日のパーティーで皆さんのお気持ちを聞いてあげて下さい。」
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姫-02 [高校生会議-13]

遥香姫生誕祭は一大イベントになった。
私の誕生日を岩崎王国国民の祝日にしたいと真面目に提案した人もいたが国王の誕生日との兼ね合いも有るからと却下されたそうだ。
それでも姫として私をもっとアピールして行きたいと考えた人は少なからずいて、各地で祝賀行事が開かれる事となった。
そのメインがパレードで有り祝賀パーティー。

「遥香さま、このパーティー、著名人の方も多数来て下さっていますがどの様な基準で選ばれたのですか?」
「桜、選んだのはお母さまなの、遥香姫親衛隊の隊員で充分な社会的成功を収めてみえる方、私を利用してどうこう考える様な人は招待していないそうよ。」
「そのまま遥香さまの応援をして下さる方々ということですか。」
「ええ、私のオリジナル曲に携わって下さる方は、その印税収入を福祉関係に寄付して下さるわ。」
「遥香さまに歌って頂くオリジナル曲に係われる…、お金の問題では無いのかな。
誕生日プレゼントも大量に届きましたね。」
「ええ、子ども達からの可愛らしいプレゼントはDVDの映像で使わせて頂きます、キサワイ王家からの国を象徴する品もね。
私から国民の皆さんにおねだりさせて頂いたものは、そのまま寄付、一部は売る事になりますが、プレゼント受付の段階でアナウンスさせて頂きましたのでご理解頂けるでしょう。」
「遥香さまの力で世の為に役立てて頂きたいという物が集まり…、余裕の有る人から生活に困窮しておられる方へ物やお金が流れるのですね。
整理の方は岩崎高校生会議メンバーにメイド隊や警護隊が加わるという事で、準備は出来てるそうです。
その風景はニュース番組でも流しますから、遥香さまが多くの国民に愛されている事が伝わりますよ。
あっ、そろそろお時間です。」

桜の進行で会は進められた、来賓の挨拶、歌や踊りはバランス良く並べられ、一流ミュージシャンの演奏に会場が盛り上がる。
このパーティー風景はネットで生中継。
各地の祝賀行事会場でも見て頂いている筈だ。
一部はテレビの情報番組でも流される予定。
来場者は全員ドレスアップ、その中でも静香と聡美は一際目立っている。
静香はまた身長が伸びた、華やかな衣装を身にまとってはいるがクールに会場内を見回している。
その親衛隊隊長としての態度が、男性のみならず女性の視線を集めている。
聡美は可愛らしい笑顔を振りまきながら社長達と談笑中、これで遥香コーポレーションの売り上げはまた伸びるだろう。
私の下へは数人ずつ挨拶に、その方々の話に頷き微笑むのが私の役目。
ホール担当はメイド隊と警備隊から美形を中心に選んだ。
彼等は単なる接客だけでなく、客の話から情報収集という役目も担う。
岩崎本部の情報収集センターとも連絡を取り合い、主に私の周辺で情報を集め整理し今後の活動に役立てる、非合法な事はしない岩崎王国のささやかなスパイ組織、と言ってもどの商品が気に入られたかを探るなど平和的な活動。
それでも、彼等の多くはこの役目が随分気に入ったそうで、静かに盛り上がっていると聞いた。
単なるホール係というよりは、確実にモチベーションが上がっているのだろう。
もちろん警備の仕事もしっかりこなしている。
パーティー参加者や運営スタッフはすべて把握されていて、開始前に許可なく入り込もうとした雑誌記者を不法侵入で警察へ引き渡すという作業も、彼等が迅速に行ってくれたそうだ。

パーティーの締めくくりはお父さまの挨拶、その中で…。

「愛する娘への贈り物は居城です、秋には一期工事を終え来春までには庭園も含め完成の予定。
遥香のプライベートエリアへ入る事は出来ませんが、ホールなどは一般の方々にも利用して頂ける様になります。
今まで岩崎王国として賓客をおもてなしする施設が有りませんでしたが、城の完成後は王国を象徴する施設になります。
映画の舞台となる予定も有りますが、遥香姫の居城として周辺整備もして行きます。
この地の新たな名所にすべく、複数のプロジェクトが立ち上がっていますのでよろしくお願いします。」

そう、お父さまとお母さまから、私への誕生日プレゼントはお城。
建設中という事は知っていたが、この日教えられた敷地の外周が十キロを越えるという、その規模は思いもしていなかった。
私の為だけの施設ではないとは言え、住むのは私なのだ。
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姫-03 [高校生会議-13]

遥香姫生誕祭はそれなりのインパクトを世間に与える事に成功した。

「遥香さま、やはりお城をプレゼントされたというのは大きかったです、テレビ関係が現地取材に押しかけていますよ。」
「ふふ、おかげでようやく私のお家の事が少し分かりましたわ。
カメラは中には入れて貰えなかったそうで、実際の建物の事は分かりませんでしたが、前野さんは中に入られた事有るのですか?」
「いいえ、漠然とあの辺りに建つのかなと考えていたぐらいです。」
「話題としてはパレードやパーティーに大物ミュージシャンが来て下さった事をもっと取り上げて頂けると思っていましたが…。」
「皇室と岩崎王家との比較が多くなりましたね…。」
「微妙よね、皇室とはあまり比べて欲しくないわ、反発が大きくならないと良いのだけれど。」
「今の所、批判的な声は僅かです、岩崎王国がして来た事、しようとしてる事は着実に日本国民にも届いていると思います。
遥香さまを姫として尊敬する声も多く寄せられています。
ただ、それだけに少数で有っても反対勢力の動きが怖いです。」
「私が暗殺されるだけなら良いけど、テロとかで周りの人が犠牲になったら嫌よね。」
「そ、そんな恐ろしい事言わないで下さい。
企業体が一国家の如く振る舞ったらどうなるか、社会学的な実証実験と、かねてより話されていた中のマイナスの側面、遥香さまが予測されていた事ですが…、岩崎王国が実践してきた結果はプラスの面が大きいのに、それを理解出来ない人が少数であっても存在し、遥香さまに要らぬ心労をと考えると残念でなりません。」
「仕方ないわ、政治に関わらなければ、それほどの反発も受けなかったでしょうが、それも覚悟の上です。」
「解散が遅くなればそれだけみどりの風にとって有利になるとはいえ、遥香さまは早く党首から降りて頂きたいのが本心です。」
「岩山さんは力のある方ですが、知名度的にはまだ不足していると思います、党首討論で支持率を上げる事に成功しましたから、その勢いに乗って、もう少し党首としてみどりの風の為に動いておきたいです。」
「はい、それは承知しておりますが…、八月からは毎月岩崎王国の力が弱いエリアへ訪問、くれぐれも無理はなさらぬ様、お願いします。」
「大丈夫よ、まだ若いから、それよりメイド隊と警護隊の先行隊から報告は来てますか?」
「はい、党の県支部と相談しながら、遥香さま訪問時のスケジュール調整、警備体制の準備をしつつ政治情勢経済情勢を把握しようと欲張っていたので第二陣の派遣を早めたとの事です。
報告を受けて第三陣の人選を検討してるそうで、遥香さま訪問の頃には四十人ぐらいが現地で動いていると思います。」
「仕事も遊びも頑張って欲しいわね、何組ぐらいカップルが成立するかしら。」
「チームは遥香さまの指示通り、相性の良さそうな男女二名ずつにしてるとは聞いています。」
「社内恋愛推奨ですからね、う~ん、前野さん達の結婚には間に合わなかったけど、お城で結婚式というのも有りよね。」
「そうですね、人気が出るかもしれません。」
「前野さんは式の準備、大丈夫なの?」
「はい、遥香さまの旅行日程が私達の結婚式に配慮して決められてしまった事が心苦しいですが。」
「ふふ、イメージ戦略の一つよ、側近の結婚式を大切にするとアピール、腹黒い考えなのだから、気にしないでね。」
「あ、有難う御座います、式でも遥香さまにお誓いさせて頂く形を快く受けて下さって、奈津美もすごく喜んでいます。
アイディアを出してくれた聡美にも感謝です。」
「披露宴の事情は少し複雑な気分ですが。」
「いえ、ほんとに披露宴まで列席願うのは心苦しいです、疲労する宴が披露宴でも有ります。
でも主役は花嫁にしてあげたかったですから、遥香さまが列席されては花嫁が霞んでしまいます。」
「そうね中三の時、親戚の結婚披露宴でやらかしたなぁ~、綺麗な服着て嬉しかったから、ついお姫さまモード、そしたら花嫁より沢山写真を撮られていたそうで、今にして思えば花嫁さんに悪い事したわ。」
「はは、十七歳になられて益々美しくなられました、今ならほとんどが遥香さまの写真になってしまいますよ、遥香姫生誕祭のDVDは何時頃完成ですか?」
「八月の旅行前後になりそう、DVDの宣伝と旅行のアピールを同時に行えると思うわ。」
「楽しみにしてます。」
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姫-04 [高校生会議-13]

遥香姫生誕祭のDVDは、映像が撮り終わっているいう安心感で歌の録音に力を入れた。

「録音だけなら、ゲストの方とは別に録音して後はお任せで済むのですが、彼等は機会が有れば同じステージに立ちたいと話しています、遥香さま、如何ですか?」
「そうですね…、録音風景をDVDの宣伝映像として使えるかも知れませんね。」
「では遥香さまの録音予定に合わせて呼び寄せます。」

人気アーティストが都合を合わせて来てくれた。
普段接する事のない方々との時間は楽しかった。
そして、彼等はその時の模様をDVD発売に合わせ、自身のラジオ番組で語って下さった。

「え~、御存じの方も多いと思いますが、間もなく発売される遥香さまのDVDに俺達はゲスト参加させて頂きました~!」
「え~、ご一緒に歌われたりとかしたのですか?」
「もちのろん。」
「うらやまし~、私は直接お会いした事無いのですが、実際どんな方でしたか?」
「めっちゃくちゃお綺麗、でもお付きの人に聞いたらほぼスッピンなんだって、もうテレビとかで見るよりも全然、相方があれだけ緊張して歌ってるの初めて見たかも。」
「そういうお前だってミスりまくってたよな。
ネット上では作られた姫とか軽い気持ちで批判してる奴もいるらしいけど、オーラが半端じゃないんだよ、遥香さまは、この業界長くやって来たけどマジでひれ伏したくなったのは初めてだ。」
「へ~、映像でも美しさが伝わって来ますが。」
「実物全然違うしね、そして遥香さまは外見だけじゃないんだな、録音の合間に側近の人から声を掛けられると、俺達が耳にしても問題ない内容の場合は、即座に指示を出してみえてね、その瞬間は姫ではなく社長、これがまた恰好良くてひれ伏したくなるんだよなぁ~。」
「え~、女王様に踏まれたい的な?」
「ま、マジでやめてくれ、遥香さまはそんな存在じゃないから。」
「神に対する冒涜的発言だぞ!」
「え~、お二方とも普段は結構下ネタも混ぜてるじゃないですか~。」
「遥香さまの事が分かって無いね、君は、作業の合間に耳にするスタッフの雑談はほぼすべてが遥香さまに関する事なんだ、俺達だってキャリアがありそこそこ有名人の部類だろ、でもあの現場では…、ファンですと声を掛けてくれた子でさえ遥香さまばかり見ているんだ。
でも、それが嬉しかったりしてな、はは、遥香さまにお会いした事のない君には理解出来ないだろうが。」
「姫さまとして振る舞っておられる映像は対外的に作られたものだとネット上で広まってますよね。」
「はは、姫さまモードと社長モードの時は若干違うけど、自然なんだな、俺達は結構長時間ご一緒させて頂いたのだけど、ずっとお姫さまだった。」
「冗談を話される時もな、生まれながらではない姫かもしれないが、岩崎王国の姫として自然に振る舞っておられる、俺達には理解できないお覚悟がお有りではないかな。」
「お二方とも遥香姫にメロメロという事ですか?」
「メロメロって表現は古過ぎだぞ、まあ、次のCDは遥香さまに捧げる曲になるけどね。」
「遥香姫親衛隊メンバーとして頑張らないとな。」
「うわ~、遥香さまを利用して金儲けを企んでるのですか~。」
「どうしてそうなる?」
「売れなかったら恥ずかしいけど、俺達の取り分は岩崎高校生会議の運営費に充てて貰う事にしたんだ、君と違って余裕が有るからね。」
「私だって、バッグを買わなかったら余裕がありました~。」
「計画性のなさが…。」
「あっ、そうそう遥香さまは来週から九州旅行、次のDVDの撮影の為なんだけど、ラジオをお聴きの皆さん、すごい旅行だから注目して下さいね。」
「同行させて頂きたかったよな。」
「ああ、でも秋にはスケジュールを合わせて一緒のステージに立たせて頂けそうなのです、楽しみにしていてくださいね~。」
「まあ、俺らが楽しみなんだけど。」
「良い年したおっさん二人が十七歳の少女に…。」
「はい、アウト、デレクターさん来週からこの人いらないです。」
「遥香姫親衛隊隊長にお願いして、親衛隊から派遣して頂いて下さい。」

そのままフリーの女性アナは契約を打ち切られ、こちらから暫定的に桜を送り込む事となった。
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姫-05 [高校生会議-13]

ラジオ番組でも告知して貰った九州旅行は大がかりなものだ。
車で送って頂いた新幹線の駅で私を出迎えたのは総勢三百人ほどのメイド隊と警備隊。
全員プリンセス遥香の秋向け衣装を身にまとう、おなじ服を着ている人もいるが組み合わせを変え、コーディネートのサンプルに。
情報を公開していたので大勢のマスコミや見物人が集まった。
私が歩く先は隊員達が流れるように通路を確保し、貸し切りの車両に乗り込むまでしっかり誘導してくれた。
ゆっくり乗り込んだ車中では…。

「遥香さま、駅でのパフォーマンスは如何でしたか。」
「静香、スムーズで良かったわ、全員のフォメーションに無駄が無かったわね。
通路確保要員の間隔が心配だったそうだけど、悪くなかったと思うわ。」
「ガードを固め過ぎて遥香さまの御姿を見送りの方から隠してはいけないですし、気楽に近寄る事が出来てはガードの意味が有りません、遥香さまが問題を感じられなかったのでしたら、その旨警護隊長に伝えておきますがよろしいですか?」
「ええ、大丈夫よ、マスコミは多かったの?」
「はい、宣伝効果も大きいと思います、降車時も同様になると思いますがJRとも調整して有りますのでご安心下さい。」
「ふふ、駅員さんにとっては、こんな団体、ご迷惑でしょうね。」
「そんな事ないですよ、駅員さんも遥香姫親衛隊のメンバーですから。
旅行中利用するすべての駅には親衛隊メンバーがいて遥香さまの到着を楽しみにされてるそうです。
各県警も同様で混乱が起きない様に配慮して下さると聞いています。」
「遥香さまは、まだご自身がどれ程慕われているかご理解されていないようですね。」
「聡美…、そう言われてもね…。」
「それより、ラジオ放送は聞かれましたか?」
「ええ録音したものを聞かせて貰ったわ、暫定的に桜が放送局へ行ってるのでしょ。」
「はい、今回は桜が出ます、次からはトークの出来る美人をメイド隊や高校生会議から選んで送り込もうと相談しています。」
「ラジオだから美人に拘る必要はなくないの?」
「中年男性二人を喜ばせる為ですよ、彼等のお陰で違う展開が期待出来そうになりましたからね。」
「聞いてないな~。」
「ここの所お忙しそうでしたから、今日は列車の旅でゆっくりお話しできると思いまして。」
「それで?」
「ラジオ放送以降、大物ミュージシャンからの問い合わせが幾つか来ています、ギャラは要らないから遥香さまと共演したいという方も。」
「お母さまの判断は仰ぎましたか?」
「はい、影響力が大きいので岩崎本部で調査してから遥香さまと相談したいとの事です、リストはこちらです。」
「う~ん、どなたも有名な方ばかりね…、でもどうして私となの?」
「皆さん親衛隊の隊員ですよ、ご自身のスキルを利用して遥香さまと直接お会いしたいというのが本心だと、はっきり話された方もお見えだそうです。」
「聡美はどう思う?」
「明香さまがゴーサインを出された方からコラボで良いと思います、国内のみならずアジアで名の通ってる方も見えて、マイナスの要素は少ないです。」
「では、お母さまからの連絡を待ちましょう、今後制作するCDやDVDの内容を再検討する事になるのかな、でも、それぞれにファンをお持ちな訳でプラスの要素は大きいわね。」
「はい、今まで遥香さまの事をスルーしていた人が興味を抱いて下さるきっかけになると嬉しいです、遥香さまの詞に曲を付けて頂くのも有りではないですか。」
「そうね、色々教えて頂けると嬉しいわ。」
「契約上の問題が有りそうな気もしますが、遥香さまの下に大物が集まる構図が実現出来たら、遥香さまの姫度が更にアップします、同時に日本の名曲を海外に紹介する機会にもなりますね。」
「姫度はもう充分じゃないかしら。」
「まだまだです、遥香さまは世界中の人に姫として認知して頂きます。」

大袈裟だが聡美の話は私達の目標…。
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姫-06 [高校生会議-13]

人はヒーローを求めていると思う。
憧れの存在、自分に出来ない事をしてくれる人、時に政治家がヒーローとなり、独裁者がその位置に座る事も有っただろう。
作られた姫である私を世紀のヒロインにしたいと話したのは岩崎社長だ。
これには、さすがに抵抗した。
それでも姫のレベルアップを実行に移したのは、私達が日本国内だけでなく世界を見据えているから。
シンボルとして…、私の利用価値は自分でも分かっている、遥香コーポレーションの売り上げを見れば一目瞭然。
旅行に大勢のスタッフを同行させられるだけの経済的基盤も確立出来ている。
勿論、派手な演出はもろ刃の剣、日本国内ではアンチを増やすと思う、だが世界展開への足掛かりになるのなら、経営者として反対し切れなかった私がいる。
一日目の目的地で盛大な歓迎を受けた後、ホテルに落ち着いて…。

「遥香さま、王国の影響力が弱いエリアと聞いてましたが、大歓迎でしたね。
同行の三百人が少なく感じる程の親衛隊が集まってくれ、制服姿が揃い壮観でした。
DVDの映像としてもインパクトが有ると思います。」
「静香、ここには生誕祭の後から先乗りスタッフが入って色々動いてくれてたのよ。
旅行の準備だけでなく、うちの工場建設や赤字企業の買収話とかも進めていてね、本格的な話はこれからだけど好条件の職場が出来る可能性に皆さんの期待が高まりつつ有るのよ。
高校生会議メンバーに遥香システムの使い方を教えたりもしていて、そう言った事の成果の現れなの。」
「うちは、生産能力を高めないと追いつかないですものね。」
「ええ、でね、彼等はそんな作業をしながら、密かに情報操作もしてくれたの。」
「えっ、何か怪しいですね。」
「大丈夫よ、デマじゃないし、ただ岩崎王国の事が好きになる様な情報をさりげなく流しているだけ、口コミレベルね。」
「えっ、口コミですか?」
「私達の旅行準備に来た人達がこんな事を話してたって形で伝わって行く、現場スタッフからはかなり効果的だとの報告を受けてるわ、マスコミ関係が注目してるという事情も有るでしょ。」
「それでも、口コミが効果的とは意外です。」
「マスコミからではなく自分の知り合いから直接聞いてるのよ、話が伝わる途中でおかしくなっても、好意的に受け止めた情報は好意的に伝わる確率が高いみたい。
数十人のスタッフがここで生活する中、自然に広めるという形をとってくれた、誰も愚痴を言わずに私達の活動を褒め讃えてくれたのよ。」
「あっ、自分の所属する企業に対しての愚痴…、岩崎の強さはそれが少ない事だと聞きました…。
人に優しいと宣伝してる企業の下請けなのに、そこで働く人の生活は苦しい、そんな事はあってはならないと岩崎社長が仰っていて…。」
「うん、今まで岩崎王国のイメージはここでは特に無かったの、みどりの風に対してもね、それを私達の旅行に合わせ、良いものとして作ってくれたのよ。」
「先乗りスタッフの皆さんは好意的に受け止められているのですね。」
「ええ、私達は良いスタッフに恵まれているわ。
更に、この辺りの平均賃金はかなり低いそうだから、王国標準の給料で募集すれば優秀な人が応募して下さるのではないかしら。」
「工場建設となれば並行して商業施設もオープン、質の良い王国製品を中心に適正価格で販売、従業員となり王国の一員となった人達はその意味を理解して下さる筈だから、利益率の高い商売が成立という今までのパターンですね。」
「ええ、調査結果では、高級品の購入層はそれなりに見えるそうなの。
仮店舗をオープンさせ販売しているプリンセス遥香の商品が、親衛隊の制服だけでなく売れてる事でも分かるわ。
九州は店舗展開が遅れていたでしょ、これからは一県に複数店舗を目指し攻めに入るわよ。」
「プリンセス遥香が目立てば、当然みどりの風にも目が行く訳ですね、でも、もう少し候補者を応援して上げても良いのでは有りませんか。」
「私に頼り過ぎではだめなの、ご自身の力で当選して頂かないとね、でも私とのツーショットポスターが盗まれまくってるとニュースにはなった訳で、それなりに目立っているでしょ。
後は本人とスタッフの力量、知名度的にまだ弱いから衆議院選挙ではさすがに落選かも知れないけど、来年の参議院選挙までにはまだ時間が有りますからね。」

今回はみどりの風をあまりクローズアップしていない、今押せば引かれるとの判断。
党首はさりげなく…、まあ心理戦、駆け引きという事だ。
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姫-07 [高校生会議-13]

昼間は撮影中心、夜はパーティー中心の旅行では有るが、移動時も沿道に人が集まり手を振ってくれた。
撮影に参加してくれたエキストラは合計十万人を越えたそうだ。
各地の観光協会が、交通に支障の無いよう様場所を確保してくれたお陰でも有る。
この人数は運よく台風に会わなかったことが大きい、幾つかは雨天中止になる事も想定していた。
十万人のエキストラは大きな宣伝になるだろう。
そして、見方を変えれば十万着の制服が売れDVDが沢山売れるという事でもある。
裏方が頑張って長時間拘束とならない様に配慮しつつ、皆さんが私の姿を間近で見られる様、工夫してくれた。
撮影のトラブルで私の事を嫌いになってしまってはマイナスでしかない。

「遥香さま、お疲れ様でした、これで撮影予定すべて終了です。」
「お疲れ様、エキストラの方々は如何でしたか?」
「今回も撮影の合間に遥香さまが姿を現して下さった事で大感激してました。
人数が多いので遠くからしかお目に掛かれないと思ってた人も多かった様です。」
「大勢の場面は、アップも少なくて撮影は割と簡単でしたからね、エキストラで来て下さった方々は私にとって大切な人です、まあ、にっこりするぐらいしかお返しは出来ませんでしたが。」
「それだけで満足して頂けた様です、昨日までのエキストラも未だ興奮が収まらないとSNS上では盛り上がったままです、こちらでアップしている公式画像に対する反応もすごく良くて、海外からのメッセージも多数届いています、来月の旅行でも同様の撮影イベントが開かれるのなら、来日して参加したいという書き込みも有りました。」
「う~ん、次回はゲストを交えながらも同様の規模に、でもその次からは形を変えます、早目の告知が必要ですね。」
「分かりました、その様に指示しておきます。」
「分散して作業に当たって貰ってるメイド隊や警備隊の動きはどう?」
「先乗り連中と一気に作業を進めています。
岩崎の九州統括と各県支社長が遥香コーポレーションを支えて下さっていますので問題ないでしょう。
遥香コーポレーションとしては九州支社が立ち上がったばかりです、転勤希望者と現地採用で回るまでメイド隊、警備隊を残す予定ですが、進行が予想より早いので、応援期間は短く出来そうです。
順次引き上げて、先乗り隊も年内には全員引継ぎを終えて引き上げる事が出来そうです。」
「有給も上手に使って貰ってね。」
「ええ、遥香さまの意向は伝わっています、引き上げる前に思い思いのグループで観光を計画しています、先乗りの中には遥香さま到着の日に入籍を済ませ、ここでの作業に区切りがついたら九州各地を回る新婚旅行を計画中のカップルもいます、電撃結婚には驚かされました。」
「嬉しいわね、お祝いの希望は聞いた?」
「はは、パーティー時にちゃっかり遥香さまとのスリーショットをお願いしてた奴らです。
それだけで充分だって話してました。」
「私の規定に沿ってもっとおねだりしてくれても良いのにな。」
「いえ、遥香さまのお陰で出会い、結婚出来たのだから、遥香さまとの写真が最高の記念。
家族や友人への報告も、その写真付きにしたと話してました。」
「お役に立てたのなら嬉しいわね。
九州は思わぬ成果も含め良い雰囲気、問題は来月の東北か…。」
「はい、九州支社程の展開は難しいと思います、先乗りからの報告も九州と比べると勢いが無いので、その分、岩崎高校生会議中心に教育とみどりの風に力を入れる様、指示を出しました。」
「エキストラが集まらなければ手を打ちますよ。」
「人数的には大丈夫だと思います、ただ県外からの申し込みが多くて雨天中止になると、がっかり感が強くなりそうです。」
「そうね…、親衛隊の制服を買って頂いた方だものね、九州と同規模になったら合計十万人…、各地の市民会館とか押さえておきましょうか、平日なら空きばかりと聞いています。
天気が良かったら休憩所として利用して頂いても良いでしょう。
雨だったら一時間程度のステージを組んで交代で見て頂く事で何とかならないかしら。」
「分かりました、調査して天候に関わらず有効利用出来る様に検討して貰います。」
「親衛隊の皆さんは岩崎王国の宝ですからね。」

東北旅行期間も大学生にとっては夏休み、忍が構築中の大学生ネットワークを通せばエキストラは集められると踏んでいたが、その前に東北を応援しようと動いて下さった方が少なくなかった様だ。
撮影が中止になれば私も時間が空く、埋め合わせのステージとなった場合でも、それなりのものを組める心強いスタッフがいる。
登録だけの人を含めれば遥香姫親衛隊の会員は数百万人規模となっている、時間とお金を使って応援してくれる人達を大切にして更に拡大していけば、そのまま売り上げにも選挙にも良い影響を与えるだろう。
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姫-08 [高校生会議-13]

九州旅行から帰ってしばらくのんびりさせて貰った。
時間に余裕は持たせて有ったが撮影とパーティーが続いて疲れない訳がない。

「遥香さま、疲れは取れましたか?」
「ええ、気分転換に論文を書いてる、桜の方はどう?」
「ラジオの方が盛り上がっていまして、番組内容が以前とは全く変わり遥香さま情報がメインの番組になりそうです、しばらくは私か聡美に出て欲しいと、私達はテレビで顔が知られているという事で…、静香や忍はトークが苦手ですからラジオ向きでは有りません。」
「そうね、他で持ってた暫定担当はもう引き継いだのでしょ?」
「はい、今は見守る状態になっています、キサワイ王国との交渉は岩崎王国外交担当大臣指示の下、外交担当部がきっちり進めてくれています。」
「引き継ぐまでに素敵な彼氏は見つからなかったの?」
「いえ、今は王国にとって遥香さまにとって大事な時です、浮ついた気持ちにはなれません。」
「そんな事言ってたらだめよ、桜、この先ずっと大事な時が続くのだから。
ちゃんと素敵な男性と出会って、気になる人が出来ましたとか教えてくれなきゃ。」
「遥香さま…。」
「私の理想は話したでしょ、当分無理そうだからせめて桜の恋ばなを楽しみたいの。」
「遥香さまに合う人が世界中に果たして何人いるのか…。」
「それで、キサワイ王国とはどうなの?」
「基本合意に達していますので、後は調印式などイベント日程の調整です。
先方の観光宣伝を優先してあげたいのですが、岩崎社長や遥香さまの訪問日程、アサリダ国王来日のタイミングなどを検討しているところです。
遥香さまのCDやDVDの発売日も考慮したいですし、岩山さんにも目立って頂きたいと。」
「のんびりしてると解散総選挙になってしまうという事は大丈夫?」
「はい、スタッフ一同理解しています、ただ解散決定を受けて遥香さまが党から離れられる予定です、早めに岩山夫妻がキサワイ王国へ赴いて友好条約に調印さえして頂ければ、後は制約が少ないと考えています。」
「そうね、そこだけは迅速に進めて頂きましょう。
その後は、適度な間隔でイベントが続くと良いわね。」
「はい、ただ旅行も有りますので、遥香さまが忙しくなり過ぎないか心配です。」
「副社長達が頑張ってくれてるから大丈夫よ、九州旅行は少し欲張り過ぎて疲れたけど、次からはゆったりとしたスケジュールに出来そうだから安心して。
後は貴族制度が上手く行くかどうかね。」
「王国に対して大きな貢献をした人、審査を通れば爵位をお金で買えるシステム、予備調査の結果がそろそろ見られるという事でしたが。」
「聡美、どう?」
「はい、先ほど閲覧可能になり、今、目を通しています、爵位を希望されていた方々からは概ね高評価を頂いています。
貧困家庭を支援して王国の一員へ迎え入れるプログラム、そこへの資金援助がベースですので、お金で爵位を買ったというイメージが弱められたのが良かったみたいです。
具体的な支援金額、支援方法などの提案も届いています。
安定した印税収入の有る方は継続的な支援を考えておられます。
兎に角ナイトの称号が欲しいという方も何人かおられますね。」
「ベースの約束事を決めた後は、各個人と調整する事になるのかしら。」
「はい、人それですのでそうするしかないでしょう。
遥香さまがご旅行の際は同行させて頂きたいという方もおられます、著名人が同行なら遥香さまの姫度が更に上がると思います。」
「金額的には幾らぐらい集まりそう?」
「現時点では二億ぐらいですが、岩崎王国の爵位を得れば遥香さまとの相乗効果により自身のCDやDVDの売り上げが伸び、更に寄付出来ると考えておられる方が多いです。
爵位の条件として爵位を私利私欲の為に利用しないとさせて頂きましたが、きちんと受け止めて頂けています、寄付金はかなり伸びるのではないでしょうか。」
「個別の調整は誰がトップに?」
「明香さまが責任を持たれるそうです、岩崎本家メンバーが主に動きますが、こちらの意向も尊重したいと、その窓口は私で構いませんか?」
「ええ、早めに正式発表出来るようにプレッシャーを掛けられる?」
「はい、貴族候補の何人かとは連絡を取り合っていますから。」
「外交でも貴族の力をお借りする事が出来たら楽しいでしょ。」
「そうですね、外交日程を彼等に知らせても問題ないですか?」
「むしろ知って頂いた方が全体の動きが活発になるのでは無いかしら、問題が起きた時は私の方でフォローします。」
「分かりました、プログラム毎に交代で参加して頂ける体制を作る事も、岩崎本家へ提案しておきます。」
「ふふ、でも本家のスタッフをいじめちゃだめよ。」
「そんなことしませんよ。」
「そうかしら、聡美さんはとてつもなく可愛らしい笑顔で、とんでもないプレッシャーをかけて来ると聞いた事が有りますが。」
「桜ったらひどいな~、ちゃんと相手の力量を考えて無理の無い範囲にしてますよ~。
その証拠に私の出してる指示は、目標として提示した日時より、かなり早く完了しています。」
「そうよ、桜、聡美はメールや電話で済む事でも敢えてテレビ電話で伝えたりしてるの。
聡美から笑顔でお願いされると、少しでも早く正確に完了させなきゃって、自分で自分にプレッシャーをかけてしまうのよ。
可愛い女の子に恰好の良いとこを見せたくなるのは当たり前の事でしょ。」
「う~ん、聡美も遥香さまも部下の心を…。」
「桜もテレビ電話を上手に使わなきゃ、チーム遥香のお色気担当なのだから武器は有効に使うのよ。」
「は、はい…。」
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姫-09 [高校生会議-13]

キサワイ王国との友好条約締結調印式は私達が東北旅行をしている時に行われた。
当然旅先へも取材が、その取材には聡美が応じている。

「今回の調印式に岩山さんというのは、やはり選挙対策ですか?」
「この程度のことが選挙に影響するのでしょうか?」
「目立ちましたからね、影響が有るだろうと考えての事ではなかったのですか?」
「岩山はチーム遥香の仲間ですが、選挙を考えた場合、みどりの風が圧勝した市長選と選挙区が被っています、今更選挙対策の必要が有るとは思えません。」
「いえ、次期党首という事で岩山氏個人と言うより、みどりの風にとって大きいのではないですか?」
「そうですか? すでに遥香さまより党の方針は明確に示させて頂いております。
現在審議中の内容に対する意見、政策を見て頂ければ、岩山がサインする光景を捉えてどうこうというレベルではないと思いますが、まだ衆議院選挙が何時行われるのかも分かりませんですし。」
「選挙対策で無いのでしたら岩山氏を代表に選ばれた理由をお聞かせ願えませんか?」
「チーム遥香のメンバーの中で一番、時間に余裕が有ったからです。」
「えっ? 暇だったという事ですか?」
「はい、遥香さまの様にDVDの為の撮影も有りません、みどりの風関係者はそれぞれ政策を研究したり、選挙に向けての準備をしたりと動いています、岩崎王国の関係者も王国の更なる発展に向けて日夜努力しています。
岩山はそんな状況にあって、じっくり全体を見る、というスタンスです。
党のトップに余裕が無ければ…。
岩山には攻撃的なだけで中身のない党首になって欲しくない、と考えているのは私だけでは有りません。
遥香さまは自分で忙し気に動き回る様な人物を後継に選んだりしません。
結果、調印式はチーム遥香の中でも一番暇そうな岩山という事になりました、サインして来るだけですからね。」
「はあ。」
「まあ、党首となり選挙となったら大変でしょう、その前に奥さんとのんびりして来なさいと、遥香さまからの愛情有る御指示なのですよ。」

何本かの取材に対し、聡美はこんな調子で応じた。
そんな姿を見て…。

「前野君、聡美は政治家向きだよな。」
「ですね、適当にはぐらかしつつ伝えたいポイントは押さえてる、素質だけでなく遥香さまの影響も大きいのでしょうか、杉浦さんのご指導も良かったのでしょうね。」
「私は大した事してないよ、まだ高校卒業して半年にもならない未成年、遥香さまの側近になって無かったら無駄な研修を受けさせられて力を発揮出来るまで時間が掛かったろうな。」
「能力を伸ばす環境という事を考えさせられました、遥香さまはどの程度聡美の能力を見抜いてらしたのですか?」
「彼女は積極的なの、だから色々な先輩から助言を受けた。
それを消化し切れるだけの能力を感じた時点でチーム遥香にと考えたの。
私の一言に対する反応の良さは誰にも負けない、何をすべきかの判断が早い、急ぎ過ぎてミスしても自分でカバー出来る、でも一番は私と同じ腹黒さを持ってる事ね。
知らない内に彼女の子分になってた…、ふふ、自分が子分になってる事にさえ気付いてない人も沢山いるわね。」
「リーダーとしての資質ですね、やはりこれから築く貴族社会で目立って貰いますか?」
「本人次第ね、彼女にとって無理の無い様に、前野さんお願いしますね。」
「分かりました、状況によってはブレーキを掛けさせて頂きます。
出来れば第二の姫といったポジションに置きたいですが、本人は遥香さまの側近という立場をとても気に入っているようですので。」
「はは、前野君、あの子はしばらくやりたい様にやらせてやろう。」
「そうですね、彼女が壁にぶつかるまではそれがベストかもしれません。」
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姫-10 [高校生会議-13]

キサワイ王国へは一月に岩崎社長夫妻と共に訪問する事が決まった。
すでに先乗り部隊は現地支社員と共に動いているが、総人口三百万人ほどの国、つまり茨木県の総人口程度。
現地からは、岩崎王国の力で国民の生活レベルを向上させ安定させる事は難しくないとの報告が届いている。
今までの調査結果から日本の過疎地を立て直すよりも簡単だと判断したという。
国王の後ろ盾も有る訳だが…。

「利害関係の把握はきっちり出来ているのかしら、桜の感覚ではどう?」
「私も長期の滞在という訳では有りませんでしたので、先乗り部隊とは別ルートで調べている所です。
ただ、私が心配しているのは、いきなり所得が増えた労働者の一部がギャンブルに走ってしまう事です、各国の支社が抱えている問題で、そのまま犯罪に繋がったケースも報告されています。
まずは、まともな娯楽施設を充実させる様に提案しておきました。」
「お金の使い方まで気を配らないとだめなのね。」
「ええ、それだけに教育組織としての岩崎高校生会議の存在が重要です。
先乗り部隊の連中もそう感じて高校生会議への遥香システム導入を早めるそうです。
まずは大学生中心に構築を始め、そこに学力の高い高校生を加えて行く、サポートは支社の社員と共にボランティアの形で、遥香姫親衛隊実働部隊も同じシステム内で編成して、遥香さま訪問の際に動いて貰う予定だそうです。」
「結局名称は岩崎高校生会議で通すの?」
「はい、今後の海外展開を考えた時、世界共通のIWASAKI KOUKOUSEI KAIGIとし、岩崎王国を支える世界的な組織に成長させて行こうという方向で進んでいます。」
「そうね、言語や宗教などの問題が無ければ数カ国で一つのシステムという事も有りよね。
高校生という名称を使う意味は幾らでも理由をでっち上げる事が出来るものね。」
「ええ、まずは若者達の意識改革となりますが、現地支社の活躍がすでに知られている状況での、友好条約締結とあって、かなり好感度を持たれている様です。
現地で画策しているのは、一気に岩崎王国の国民を増やす事、岩崎王国の国民になっても二重国籍となる訳では有りませんから。」
「メリットは?」
「遥香さまから国民に向けてのメッセージとして、愛ある行いを勧めて頂ければ教育的効果が大きいのではないかと。」
「姫度は上げようとしてる…、でも影響力はどうかしら。」
「昨日連絡を取った先乗りスタッフは、遥香さまの訪問決定後、一気に遥香さま関連グッズの売り上げが伸びたと話していました。
キサワイ王国から遥香姫親衛隊へ登録する人も増えています。」
「う~ん、キサワイ王国のシステムへはもう日本からでも参加出来るの?」
「はい、行政関連で組み始めたシステムへはアクセス出来ませんが、支社で構築しているシステムと高校生会議へのアクセスは問題有りません、まだ内容は薄いですが。」
「一度、様子を見ておくわ…、それと…、キサワイ王国の後に訪問させて頂く二か国でもシステム構築は進んでいるのよね?」
「はい、支社では導入済みで、高校生会議への展開も間もなく始まります。」
「国民の方は岩崎王国をどう捉えていらっしゃるのかしら。」
両国とも、遥香さま訪問決定を受けて盛り上がっています、映像が届いていますのでそれをご覧頂ければ熱気が分かりますよ。」
「もう少し状況を把握しておく必要が有るわね、CDやDVDの制作に時間を取られていて…。
一区切りついたところだから、久しぶりにみんなでチェックをしましょうか。」
「お願いします、海外から遥香姫親衛隊に登録してくれる人達も、遥香さまという姫に憧れています、その気持ちを大切にして、さらに盛り上げたいです。
えっと…、明後日、二時間ぐらいの間、余裕の有るチーム遥香メンバー全員で三か国の現状観察という事でよろしいですか?」
「そうね、桜の方で仕切ってくれる?」
「勿論です、では準備に入らさせて頂きます。」

日本の一企業体がバーチャルで作り出した岩崎王国の姫である私。
岩崎王国はリアルな国に囚われる必要はない。
現実の国境を越えた姫という存在を私達は演出しようとしている。
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