SSブログ
高校生バトル-68 ブログトップ

近衛予備隊-251 [高校生バトル-68]

 俺は電力供給の安定化、義務教育の推進とこの国にとって大きな問題と向き合っているが、近衛隊の助力により何とか進められている。
 だが、そこに大統領選挙が近づきつつ有り…。

「ジョン、大統領の支持母体は後継としてジョンを認める声明を出したわね、後は税制などの改革案を国民が受け入れてくれるかどうかだけど。」
「詩織はどう思います?」
「対立候補として名が挙がってる人達に大した実績はないし、乱暴だけど実績を上げた大統領、その後は丁寧な改革を行えるジョンが理想、まあ、なんとかなるでしょ。」
「詩織や近衛隊がバックに付いてくれてますからね。
 ただ、我々の想いが国民に伝わるかどうか、マーケットの展開で生活が改善された人達は支持してくれると思いますが。」
「教育制度の充実が問題になりそうね、お金を掛ける必要が有るのだけど、掛け過ぎると反発が強まる、その辺りのバランスを取らないと。
 マーケット展開は総合的考えれば国にとってプラスになると判断して貰える材料でしょ。」
「ただ、詩織の力で大統領になれたと思われては先々動きにくくなるかも知れません。」
「そうね、興味を持たれていることは間違いないのだから、今一度YouTubeチャンネルを利用して国民に説明してみてはどう?」
「国政は多岐に渡り、長くなりそうですが…。」
「考えを整理することにもなるでしょ、ネットを利用した選挙運動は法的に問題無いのだから、閲覧出来る環境に有る人が限られているにしても無駄にはならないと思うわ。
 しっかり説明し、はっきり意思表示をする、今はジョン王子が王家の広告塔として前面に出ているのだから理解してくれる人は多いと思うの。
 人気だけなら既に当選確実でしょ。」
「どうでしょう、戸籍を作り住民登録をしてくれたマーケット関連の人達は自分に一票を投じてくれると思うのですが。」
「ここの開発を始めた頃は投票権の有る人が殆どいなかったのよね。
 大統領選挙は意識してなかったけど、住民登録を進めて来たのは正解だったわ。」
「戸籍上の生年月日が何年頃のお祭りの日とか外国の人に笑われそうな例が結構有り、読み書きの出来ない人は親の名前さえ曖昧でした。
 取り敢えず自分の名前だけでも書ける様にと教えていた村役場時代が懐かしいです。」
「マーケット展開などで生活環境を向上させた人達は味方してくれると思うから、比較的裕福な層を狙ってYouTubeチャンネルでアピール出来たら得票数は伸びると思うわ、更に伸ばしたかったら…、歌でも歌う?」
nice!(11)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

近衛予備隊-252 [高校生バトル-68]

 さすがに歌でのアピールは選挙運動としてどうかと思ったのでパスしたがYouTubeチャンネルを利用しての政策説明には積極的に取り組んでいる。
 その中では、全国展開しているマーケットを活用しての経済管理で緩やかに経済を成長させ国民の生活レベルを上げて行く話もした。
 詩織さまに言わせると、政府が民間企業と癒着なんて考えられないことで、元々政治に関係なく経済発展を考えて活動していたそうだ。
 だが、政府と国の基幹企業になりつつ有る我々の会社が手を組めば、そのスピードを上げることが可能になる。
 現大統領との関係が良好だったことが会社にとって追い風になっていたのは間違いないのだから。
 ただ、共和国が我々のグループとそれ以外の二つに分かれかねないと言う懸念は有る。
 独裁政治を行い我々のグループに一本化出来れば良いのだが、その選択肢は考えられない。
 もっともマーケットを客として利用する人は増え続け、国民に向けて発行したプリペイドカードは全人口の七割に達している。
 客としてのみ我々のグループに属している人も少なからず居る訳だ。

「選挙運動にはマーケットも利用するの?」
「いや、どの店舗にも女王陛下と共に俺の写真が飾られているから、それで充分だろ、買い物に行く度、目にしてたら親近感が湧くと思わないか?」
「そうね、知名度は抜群、問題は若さだけなのよね。」
「若いから良いと言う人と、若いから大統領には相応しくないと言う人がいるのだよな。」
「YouTubeのコメント欄には、若くても国を任せられるとか、詩織さまに育てられ不正とは無縁、若いから清らかで戒厳令前の政治家たちとは違ってお金に汚くないとか書かれていたわよ。」
「批判的な声は?」
「論理的な批判は見てないわ、無視して良い低俗なコメントは有ったけど。
 真面目な内容なのに視聴回数が伸びてるから、チャンネルの利益で選挙費用は賄えそうね。」
「視聴回数は伸びても選挙権のない人ばかりではな、海外からのアクセスが結構有るのだろ?」
「ええ、日本からの応援メッセージは多いけど、それも外交の強みと捉えれば良いと思うのよ。」
「外交か、他国から舐められるのではないかと、国政の中でも若さが一番マイナスになりそうなところだな。」
「そうかしら、ジョンを軽んじる発言をしたら、その人のイメージダウンになると思うわ。
 若き大統領候補は注目を集め、YouTubeチャンネルで発信した国政の改革プロセス案は評価されているし、何と言っても抜群の人気、選挙運動なんてしなくても当選しそうな雰囲気でしょ。」
nice!(11)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

近衛予備隊-253 [高校生バトル-68]

「それでも選挙をお祭りにしたいからな。」
「そうね、お祭りと考えれば良いのかな、選挙権のない日本人がジョン目当てに演説会のスケジュールを調べてるそうでね、普段、テレビでしか姿を見られないジョンを直に目にするチャンスだとかで。」
「演説会は無料で参加自由、少しぐらい増えても問題無いだろ。」
「少しじゃなかったらどうする?」
「その可能性が有るのか?」
「選挙に関する情報は随分前に流れたのだけど、ホテルには直ぐに予約が入り始めたそうで、選挙期間中は満室になるのがとても早かったと聞いたわ。
 最近になってホテルの予約客からジョンの演説会スケジュールに関する問い合わせが来てると支配人が教えてくれてね。」
「演説会の会場は広い場所を用意して貰っているが…、一応各演説会の担当者にも伝えておこう、兎に角一か所目では過剰になっても構わないから出来る限りの備えをして臨む、それを踏まえて二か所目以降を考えれば良い。
 グッズ販売は外国人観光客を意識した高級品も多めに用意しないと、一か所目で売れ残っても他で捌けるだろう。」
「ええ、沢山稼いで学校の運営費に回さないと。
 ついでに学校運営への寄付システムも宣伝したいところね。」
「寄付はどうかな、特典映像を見られる様にしたぐらいで寄付してくれると思うか?」
「王家のファン向けに、お金を払うだけの価値有る映像を用意したそうよ。
 映像は定期的に更新して行くから、更新の度に寄付して貰えるぐらいの作品クオリティを維持すると担当者が話してたわ。
 有料の動画だけど視聴料が二ドル以上で決められていないと思って貰えたら良いと思うわよ。」
「成程、そう言う感覚なら宣伝し易いな、演説会でも宣伝するよ。」
「でも、寄付に頼らなくて良いだけの予算を組みたいわね、軍事費を転用する形でなく。」
「まあ、軍事費は減らして良いと考えてる人が多かったから、雇用の場を減らすことなく教育の推進に使えているのは悪く無いと思うが、充分な教育関連予算を組めるだけの国にしないと。
 教育の成果を良い形で示せれば良いのだが。」
「各小隊は農業に関係する知識を、自分達の食料確保をしながら学習することに重きを置くと報告して来てたでしょ。
 大人達が持っていない農業に関する知識を教えて行けば、貧しい農家の生活改善にも繋がるからと。
 それが、まだスタートして間が無いのに、子どもから伝え聞いた親が教えて欲しいとやって来てるそうなの。
 知識のなさが貧困から抜け出せない要因だったのなら、大人に対しても積極的に有用な知識を教えて行くべきよね。」
「国軍の連中も、何が本当に必要なのか分かっているみたいだな。」
「ええ、必要で有用な知識を読み書きの出来ない大人にも伝えて行きたいと締めくくられた報告書が有ったわ。」
「無理なく生きて行ける力を子ども達に持たせることこそが教育の目的だと理解して貰えてるのなら、そろそろ現場の視察に行き、演説のネタを拾って来ても良いかな。」
「少し落ち着いて来たみたいだものね、選挙の応援もお願いしに行かないと。
 どこに行くかの調整をしようか?」
「ああ、頼むよ。」
nice!(13)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

近衛予備隊-254 [高校生バトル-68]

 大統領選挙に向けての演説会を前に、俺達は王国から近い新設校を視察した。

「私達は年少の子を見てたのだけど、遊びの延長みたいな感じで英語学習に取り組んでたわよ。
 校長は観光客が増加してるエリアだから、親にも英語の重要性を説き、読み書きは英語に一本化したそうでね。」
「う~ん、母国語での思考力が未成熟なままだと問題なのだが、そのまま英語を母国語とすれば良いのかな…、一応、幼い子への英語教育はゆっくり行う様に指示して様子を見てみるか。」
「ええ、個人差が有るから簡単には判断出来ないものね。
 校長は私達が一つの案として提示していた、観光客と触れ合う機会を具体化してみたいと話してけどどう?」
「ああ、俺も聞いたが、近くの飲食店を潤わせる意味も有るから試してみて良いと思う。
 試してみないと実際のメリットやデメリットが解らないからな。」
「ジョンは十二歳以上の子達を見て来たのでしょ、そっちはどうだったの?」
「王国に合併される話が出てるエリアだから、その件について色々聞かれてね。
 あの一帯も王国主導でそれなりにインフラ整備を進めて来たからか、子ども達は王国の一員になることに希望を抱いていると感じた。」
「学習に関しては?」
「英語学習をすれば収入の良い仕事に就けると教えられ励んでるみたいだった、つまずいてる子もいたけどね。」
「十二歳になって初めての学校と言うのはどうなのかしら?」
「十二歳ではそれほど抵抗がない様だったが、もっと年長の子達は戸惑いも有ったそうで、まあ、色々話しを聞かせて貰えて良かったと思う。
 十八歳での学校入学を機に住民登録した人は大統領選挙で俺に投票すると言ってくれたよ。」
「今まで戸籍や住民登録はかなり適当だったけど、彼らはどう受け止めているのかしら?」
「細々と生きて行くのが当たり前だと思っていたのが、近くに新しい職場が出来て住人の生活改善が進んでいる、そんな話しを聞いても自分とは無縁だと考えていたのが義務教育の推進で一気に身近になったそうでね、住民登録をしてまともな国民になれたと話してた。
 英語を話せる様になって稼げる仕事に就きたいともね。」
「年齢的には義務でなくても、上の年代にも学校への入学を勧めたのは正解だったのかな。」
「学校へは昼食前後だけだが、働く時間は変えて無いと言ってた、それなりに大変だろうが自分の意思で学習に取り組んでいる、そう言う人達のことは応援して行きたいね。」
nice!(12)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

近衛予備隊-255 [高校生バトル-68]

 新しい学校はメインを給食にしたのが良かったみたいで、義務教育だからと強制されて学校に通って来ている子はいない様で、校長は入学時に戸惑いの有った子達も随分慣れて来たと話していた。
 兄弟が同時に入学した例が多く、兄弟が一緒に英語学習の基礎から取り組むことが良い刺激になっているとも。
 ただ、明らかに女子が少なく、対策の必要性を感じさせられる。
 親としては学校運営の国軍兵士が男性ばかりなのが不安だとは分かっている、だが、税制の簡素化を推進し余剰になる女性税務職員を学校に配属する計画を進められるのは、まだ先のことだ。

「シャルロット、一旦王国騎士団の女子を雑事から解放し、英語教師役に専念して貰うべきかもな。」
「そうね、近衛予備隊では女の子の方が真面目に頑張っているのだから、新設校に通えてない女の子が多いのは残念だわ。
 雑事を国軍の隊員に移管し、王国騎士団の女子が学校に常駐してくれたら、女児の入学が増えるでしょうね。」
「給食担当も慣れて余裕が出て来たと話してたからな。
 農業教育の時間には地域の大人も学びに来てただろ、王国での農業改革を聞いてのことらしいが、学校に女性教師が配属されたら、彼らを通して話は直ぐに広まると思うよ。」
「あのエリアを王国に併合したら農業改革も進めるのよね。」
「そのつもりだが、あそこにだけに力を注ぐ訳には行かない、まずは興味を持ってくれた大人達の教育を進めておかないとな。」
「インフラ整備は王国を中心に拡大して行くのと、マーケットを中心に拡大するのを並行して行っているけど、これからも観光が優先されるのよね。」
「観光だけに頼るのは危ういが、まずは外貨を稼ぐ必要が有る。
 観光で得た資金を利用して安定した産業基盤作りを目指したいが、それには時間は掛かる、しばらくは観光頼りにならざるを得ないな。」
「その辺りのことを子ども達は理解してくれてるのかしら?」
「少なくとも観光業で働くと綺麗な服を着られて給料が良いとは理解しているみたいだったよ。
 国内の観光客と外国からの客ではお金の使い方が違うと言うことも話に聞いてるみたいで、英語学習への励みになってるそうだ。」
「でも、全員が観光業とは行かないでしょ?」
「それでも観光農業が有るからな、観光客が自分で収穫するシステムを説明したら大人達も興味を示してね。」
「難しくないの?」
「簡単ではないから、まずは学校の実習農場を利用して試してみる話をまとめておいた。
 子ども達と共に取り組むことは彼らにとってもプラスになると思うんだ。」
nice!(13)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

近衛予備隊-256 [高校生バトル-68]

 学校の視察中に実習農場を利用して観光農園を試すことを思い付き、考えてみたらリスクが少ないとの結論に至ったので、その場で話を進めたのだが、それは収益を上げられないと考えていた学校でも利益を上げられることに繋がる。
 今まで各学校の農場では自分達が食べる作物を中心に栽培していたが、それとは別に観光客が自分で収穫しその場で食べられる果実の栽培を提案したのだ。
 遠江王国へ旅行した時に自分でちぎって食べたイチゴの味は忘れられない。

 この話は直ぐに広まり、多くの人達が栽培する果実の候補を考えてくれることになったのだが、それに交じって鶏を学校で飼い卵や鶏肉を売る案が出て来た。
 考えてみれば貧しい農家でも鶏を飼うぐらいのことは出来たと思うのだが、飼い始めても卵や鶏肉を継続的に得られる状態にする前に人の胃袋に納まってしまっては効率が悪い。
 それを我慢して先を考えることも学校で教えて行くべきだと考え、雛を配り正しい管理を学習して貰って、まずはどれだけ増やせるかを学校対抗で競わせることにした。

「今まで肉類は一括生産してたけど鶏肉は小隊に任せるのね。」
「いや、給食の食材とは別で考えて貰う、小隊が管理するのでは無く子ども達が育てるのは商品、将来的には生産から販売までを学ぶ材料にしようと思うんだ。
 野菜が必要以上に収穫出来た場合は貧困世帯への援助物資としているが、卵と鶏肉に関してはシンプルレジを用意して学校で販売するかマーケットと交渉してマーケットへ卸す、その利益をどう使うかも子ども達に考えさせたいかな。」
「そっか、農業実習だけでなく商業実習の場を作るのね。」
「勝手に食べてしまう子が多ければ利益が減り学校対抗で負けることになるだろ。
 食べたり死なせてしまった分の補填を自分達でしても良いが、報告はして貰う。
 まあ、金銭的な余裕は無いと思うから、全滅したらゲームオーバーだな。」
「生産や販売の計画を立てることも学べると言うか、教えて行かないとね。」
「ああ、一応校長向けに鶏の飼育と販売に関する案内を作り送って貰う様手配して有る。
 失敗から学ぶことも有るから手助けし過ぎるな、と明記してね。」
「飼育小屋を作る費用とかはどうするの?」
「計画書を出して貰い、それが承認に値する内容だったら俺が新規株式を引き受ける形で資金を出す。
 株主としては安定した経営と配当を期待したい処だな。」
「ふふ、少額過ぎて手間賃の方が高くなりそうだけど、学習と考えたら効果的かもね。
 うちは、学校の数だけ子会社を増やすことになるのかしら?」
「それが理想だな、観光農園へも出資する必要が有るが全部合わせても問題ない額だろ?」
「ええ、大統領選挙に向けての演説会が始まり、グッズの売り上げが伸びてるから余裕でしょう。」
nice!(11)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

近衛予備隊-257 [高校生バトル-68]

 大統領選挙の演説会には毎回大勢の人が集まってくれている。
 その中には選挙権の無い外国人や子どもも多数いるのだが、彼らは俺の登場に歓声を上げてくれ、場の盛り上げに貢献、始めの内、子ども達にも分かる様に話すのは難しいと思ったが、大人でも理解力の低い人も居ると気付き、より分かり易く丁寧に話す様にと心掛ける様になった。
 難しい話を聞きたい大人には質疑の時間を使って政策案を論理的に説明。
 これまで時間を掛けて練り上げて来た政策案は概ね納得して貰えた様だ。
 まあ、話の内容より俺が大統領選挙に立候補したことだけで盛り上がってる人が多く、自分が考えていた以上のお祭り騒ぎになっているのだが…。

「演説会に集まってくれた人数、今回も少なめに発表するの?」
「ああ、演説会に二回目三回目と言う人が少なく無いと聞いてるし、そもそも選挙権の無い人達をカウントして発表するのもどうかと思う、投票前に対立候補たちが諦めてしまっては楽しく無いだろ。」
「こちらとしては発表する人数よりグッズの売り上げの方が重要だものね。」
「今回の売り上げはどうだった?」
「前回より多めに用意したのだけど完売、日本からの観光客はその利益が学校の運営資金になると知り、必要以上に買ってくれてるみたい。
 まあ、無料でジョンの話を直に聞けるのだから入場料代わりと言う気持ちなのかも知れないけどね。」
「人を楽しませる話をしてる訳では無いのだがな。」
「ジョンを見られれば満足なのよ。
 投票前最後の演説会は王国の屋外ステージ、ゲストの登場も有るから有料にしたけどチケットは直ぐに売り切れ、チケットの取れなかった人はYouTubeチャンネルのライブ配信で我慢するしかないと残念そうだったわ。」
「詩織さまが出て下さると発表したからな。
 ここまで詩織さまには一切出て頂かないで選挙運動を進めて来たが、それでも簡単な調査で勝てると出ている、詩織さまを有権者に改めて意識させられたら勝利は間違いないだろう、勿論最後まで気は抜けないのだが。」
nice!(10)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

近衛予備隊-258 [高校生バトル-68]

 大統領選挙投票前最後の演説会には、これまで自分に関わってくれた人達が多数登壇し、近衛予備隊から村長になり近衛隊へ入隊、そして王子へと、自分の歴史を辿る話をしてくれた。
 それに合わせてゲストが曲を演奏してくれたりパフォーマンスを披露してくれたりといった演出には選挙運動の一環とは思えない部分も有ったが、俺達が目指した選挙と言うお祭り騒ぎの締めくくりとしては最高のものになったと思う。
 政策に関わる話としては、王国騎士団の代表が義務教育推進に関する問題点とその解決に至る提案をしてくれただけでなく、会社関係者がそれぞの立場から国民へ向けての提案をしてくれ、その中には予備隊からの花を増やし街を華やかにと言う可愛らしい提案も。
 YouTubeチャンネルを見られない国民が多くどれだけ届いたかは分からないが、大統領に成れたらテレビを利用し国民の意識改革を進めたいと考えている。
 投票日を前に詩織さまと…。

「ジョン、演説会と呼んで良いのか微妙な部分も有ったけど、なかなか良いイベントだったわね。」
「選挙から一番離れていたのは、詩織のパフォーマンスだったと思うのですが。」
「でも、オウム達、面白かったでしょ、フクロウも手懐けているのだけど人前には出せなくてね。」
「しかし…、一体何羽飼っているのです?」
「餌は上げてるけど、カゴに入れてる訳ではないから飼っているかどうかは微妙ね、オウムは遊んでる内に芸を身に付けてくれたのよ。」
「フクロウもですか?」
「彼らは無口なのだけど私の庭に備え付けた特注の巣箱を愛用してくれていてね、ちょっとした芸が出来るのだけど地味なの。
 そんなことより、イベントで王国騎士団や近衛予備隊の子達が頼もしいところを見せてくれたのが嬉しかったわ。」
「はい、王国騎士団は結構忙しいと聞いているのですが、自分の為に調整してくれ開会前にパフォーマンスを披露してくれたのですよ。
 全員が英語を教えていた子達なので感慨深かったです。」
「へ~、義務教育に関する真面目な話をしてる所しか見て無かったけど。」
「映像は編集してYouTubeにアップしますので。」
「それは楽しみだわ、どう、YouTubeチャンネルでは稼げたの?」
「はい、校舎の建設を前倒し出来そうです、グッズの売り上げも好調でしたので。」
「そうなると継続的な運営予算をジョンが大統領として確保出来るかどうかが問題ね。」
「税制をシンプルにするだけで、かなりの余裕が出来ると考えています。
 システムの導入に費用は掛かりますが、直ぐに元は取れるでしょう。
 自分の大統領就任と共に我々の会社関係は給料を上げますが、それに伴いマーケットで利益率が高く消費者にとって魅力的な商品を増やします。」
「お金の回転を良くして税収を増やすのね。」
「観光収入が伸び続けてるのが強みです、カジノはサービスの良さが評価され盛況ですし、常に新しい娯楽施設を建設していて、お話の舞台になってることがホテルの満室状態維持を支えています。
 給料を上げることで他との格差が少し広がりますが社員はまだ増やせます、アビュニス王国の様にほとんどの国民を社員にとは行きませんが、それに近い状態を目指したいです。」
「それには教育を充実させないとね。」
nice!(10)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

近衛予備隊-259 [高校生バトル-68]

 義務教育の必要性を選挙戦を通して訴えて来たのは単に選挙で勝利する為だけでなく国民の意識を変えたいと思ってのこと。
 その効果がどれだけ有ったのかは分からないが、大統領選挙には圧勝した。

「得票率が九割を超えるとはね。
 対立候補は反政府系の人達で始めから勝負は見えてたけど、これなら独裁政治を始められそうだわ。」
「はは、独裁政治を始める前に、まずは予定していた社員の昇給と社内の人事異動、現大統領からの引継ぎだな。」
「近衛隊に政権中枢の仕事を担って貰うのよね、彼らは詩織さまに忠誠を誓っているけど、そう言った仕事に対してどう考えているのかしら?」
「俺が話した隊員は一国の大改革に参加出来ることを楽しみにしてると話していたよ。
 本来なら自国の人を頼るべき所だが人材的に問題が有る、彼らはそんな人材育成も念頭に置いてくれていてね。」
「教育水準の低さか…。
 ジョン、私が大統領就任までにしておくべきことは何か有る?」
「ルーシーと一緒に大統領夫人としての心得を学んでおいて欲しいかな。」
「妃としては特に問題なかったと思うのだけど。」
「今までは共和国内王国の王子で大した権限を持ってなかったが、これからは一国の大統領として他国との交渉も有るだろ、観光客の人数を維持し続ける為にも外交は重要で、当然海外からの賓客に会う回数も増える。
 時にはシャルロットが一人で賓客を接待することにもなると思うんだ。」
「今まではジョンの隣に座ってニコニコしてるだけで良かったけど、これからは違うのね。」
「勿論、スタッフが色々フォローしてくれるが、そのスタッフの教育も考えて欲しいかな。
 子ども達が寂しくならない程度で良いから頼むよ。」
「分かりました大統領閣下。」
nice!(10)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

近衛予備隊-260 [高校生バトル-68]

 大統領になったからと言って凄く忙しくなった訳では無い、我々の中では早い段階で当選確実との分析結果が出ていて、準備を進めて来たからだ。
 前大統領が費用の高さから渋っていた行政システムの改善を始め、税制改革への準備、公務員へ支払う給料を現金から銀行もしくはプリペイドカードへの振り込みへの変更などと一気に進めているが、それらの下地はすでに整っていて粛々と進められている。

「公務員の給料が現金でなくなると、いよいよ紙幣が紙屑になりそうね。」
「ああ、シンプルレジの普及が想定していた以上に早く進んだから安心して紙幣から脱却出来そうだな。
 カードシステムの導入を渋ってた店はこちらが指定した大幅割引期間を過ぎてからの導入となり痛い目を見て頂くことになるが、そんな店は従業員の給料が安過ぎる所ばかり、潰れて貰っても構わない、人々にとって本当に必要な店ならこちらで同様の店を立ち上げて行けば良いのだからな。」
「職業紹介所の報告書では失業率がかなり下がっているのだけど、給料に不満が有って転職を考える人は相変わらず多いのよね。」
「我が社の従業員と比べてしまうのだろうな、給料を上げてみたら電力が安定した地域を中心に家電製品の売り上げがぐっと伸びただろ、そんな製品を見せられたら転職したくもなる、我が社へな。」
「もっと人手が欲しいと言う部門は有るけど能力的な問題が有るのよね、その為の職業訓練校開設にはどの程度の応募が有るのかしら?」
「訓練中も実習として働いて貰うが支払われる額は少ない、先のことまで考えられる大人がどれだけいるかだが、近衛予備隊から入校する子達にはしっかりした目的意識を持つ様に指導して貰っている、彼らが訓練生達を引っ張ってくれるのではないかな。
 電力会社としてはそれなりの技術を持った人に入社して欲しいからね。」
「社内でも競争が有ると聞いたけど。」
「能力が高く会社に貢献してくれれば昇進も昇給も有る。
 従業員を前の会社から引き継いだ現場のリーダーは、その能力の低さから度々停電しても当たり前だと感じたそうだよ、彼は社員教育を頑張ってはいるが年齢的に難しいと話していてね。
 十七歳前後の近衛予備隊所属、職業訓練校訓練生には期待しかないそうだよ。
 最初に近衛予備隊から実習生として送り込んだ子達は、そのまま就職して各部署のリーダーやサブリーダーになってるからな。」
「えっと…、二十歳ぐらいで給料はベテランより上ってこと?」
「知識も技術も上、ベテランでも会社が導入したシステムについて行けなかったら新人以下でしかないのだよ。」
nice!(12)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー
高校生バトル-68 ブログトップ