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近衛予備隊-256 [高校生バトル-68]

 学校の視察中に実習農場を利用して観光農園を試すことを思い付き、考えてみたらリスクが少ないとの結論に至ったので、その場で話を進めたのだが、それは収益を上げられないと考えていた学校でも利益を上げられることに繋がる。
 今まで各学校の農場では自分達が食べる作物を中心に栽培していたが、それとは別に観光客が自分で収穫しその場で食べられる果実の栽培を提案したのだ。
 遠江王国へ旅行した時に自分でちぎって食べたイチゴの味は忘れられない。

 この話は直ぐに広まり、多くの人達が栽培する果実の候補を考えてくれることになったのだが、それに交じって鶏を学校で飼い卵や鶏肉を売る案が出て来た。
 考えてみれば貧しい農家でも鶏を飼うぐらいのことは出来たと思うのだが、飼い始めても卵や鶏肉を継続的に得られる状態にする前に人の胃袋に納まってしまっては効率が悪い。
 それを我慢して先を考えることも学校で教えて行くべきだと考え、雛を配り正しい管理を学習して貰って、まずはどれだけ増やせるかを学校対抗で競わせることにした。

「今まで肉類は一括生産してたけど鶏肉は小隊に任せるのね。」
「いや、給食の食材とは別で考えて貰う、小隊が管理するのでは無く子ども達が育てるのは商品、将来的には生産から販売までを学ぶ材料にしようと思うんだ。
 野菜が必要以上に収穫出来た場合は貧困世帯への援助物資としているが、卵と鶏肉に関してはシンプルレジを用意して学校で販売するかマーケットと交渉してマーケットへ卸す、その利益をどう使うかも子ども達に考えさせたいかな。」
「そっか、農業実習だけでなく商業実習の場を作るのね。」
「勝手に食べてしまう子が多ければ利益が減り学校対抗で負けることになるだろ。
 食べたり死なせてしまった分の補填を自分達でしても良いが、報告はして貰う。
 まあ、金銭的な余裕は無いと思うから、全滅したらゲームオーバーだな。」
「生産や販売の計画を立てることも学べると言うか、教えて行かないとね。」
「ああ、一応校長向けに鶏の飼育と販売に関する案内を作り送って貰う様手配して有る。
 失敗から学ぶことも有るから手助けし過ぎるな、と明記してね。」
「飼育小屋を作る費用とかはどうするの?」
「計画書を出して貰い、それが承認に値する内容だったら俺が新規株式を引き受ける形で資金を出す。
 株主としては安定した経営と配当を期待したい処だな。」
「ふふ、少額過ぎて手間賃の方が高くなりそうだけど、学習と考えたら効果的かもね。
 うちは、学校の数だけ子会社を増やすことになるのかしら?」
「それが理想だな、観光農園へも出資する必要が有るが全部合わせても問題ない額だろ?」
「ええ、大統領選挙に向けての演説会が始まり、グッズの売り上げが伸びてるから余裕でしょう。」
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