SSブログ
高校生バトル-26 ブログトップ

バトル-251 [高校生バトル-26]

「お兄さま、昨日会った私と同い年の人はお兄さまの会社で雇うのですか?」
「今、法的なこととか調べて貰ってるけど、今日の夕方スタッフが会いに行くことになってる、通訳では無くここで雇った社員を連れてね。」
「社員の方が通訳より信頼出来るとか?」
「ああ、これまでの研修や実際に仕事を手伝って貰って一番信頼出来そうな人に頼むと話してた。
 もし、雇ったらそのまま指導を担当して貰うことにもなるからな。」
「一番信頼出来そうってことは、まだまだ信頼し切れてないのね。」
「その辺りの助言を色々受けたそうだよ、日本人の感覚で安易に信頼してしまうと裏切られかねないのだとか。
 給料が実力に応じてアップすると言うことは店長候補の給料で証明して有るから大丈夫だとは思うのだけど、日本人同士でさえ思わぬすれ違いが生じたりするだろ。」
「そうね、ここの連中には随分話して理解して貰えたと思ってたことがそれほどでもなかったり…、説明したから納得して貰えたと考えてはダメなのよね。」
「それでも、雅はみんなから尊敬されてると感じたぞ。」
「一応遠江王国のプリンセスですからね、詩織ほど気を使って無いから人気は詩織の方が上なのだけど。」
「へ~、そうなんだ。」
「帰国後、チーム詩織を結成して友達との交流を続けてことは知ってるでしょ、私も直接のやり取りは面倒そうだから、チーム詩織の一員になることにしたの。
 詩織の別人格と言うか、チーム詩織はバーチャル空間に多重人格者の詩織を作り出すみたいな流れになりそうなのだけどね。」
「そんな風に動いてるのか、それがどうなって行くのかは楽しみだな。
 詩織と言う人格を複数の人間で構成すると考えれば良いのだろ?」
「あくまでもネット上のことで実際に会って話す人は詩織オリジナルの人格と向かい合うのだけど、先々起こりかねない弊害や誤解も楽しめたらとね。
 まあ、チーム詩織メンバーは厳選されるだろうから、私がI love youとか書かなければ大きな問題にはならないと思うわ。」
「雅ならやりかねないな。」
「よほど詩織の彼氏として相応しそうな人が現れない限りしないわよ。
 でも、そんな人が現れたとしても、詩織からは絶対行きそうにないでしょ。」
「だからと言って…。」
「どうなるか楽しみなの、あ~、早く詩織に良い人現れないかな。」
「やり過ぎるなよ。」
「大丈夫よ、詩織のことはそれなりに分かってるから。」
nice!(10)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

バトル-252 [高校生バトル-26]

「三郎、中学生に相当する年齢の子達をここで雇って、法的な問題はないのか?」
「ここの義務教育は十二歳までだから大丈夫、貧困層で中学に通う子はいないそうだよ。
 そして残念ながら、家族の為に働らいて稼ぎたいと思ってる子ども達を、まともな条件で雇う人はいないのが実情でさ、そのまま大人になっても割の良い仕事には就けなくて貧困から抜け出しにくい構造になっているみたいなんだ。」
「差別も有るのだったな。」
「うん、その辺りの改革が一番難しいかもだけど、ここのスタッフは彼らからここの言葉を教えて貰い、英語か日本語を教えて行くことを考え始めてる、始めはパシリからだって笑ってたけど親代わりとなって教育して行くと話してくれたよ、今回雇った三人は弟や妹の為に沢山稼ぎたいと言ってる子達でね、親を事故で無くした子もいるんだ。」
「そうか、日本でなら公的機関が守って行くような境遇の子たちなのだな。」
「ここの公的機関は貧困問題に興味がないでしょ、僕らの力で彼らの生活を急激に良くする事は可能でも、それをしてしまうと他の子とのバランスが取れない、だからじっくり取り組みながら人数を増やして行こうと考えているんだ。」
「上手く行きそうなのか?」
「研修の初日に立ち会ったのだけど、三人とも真剣な目をしていて、覚えたてのたどたどしい日本語で自己紹介をしてくれたよ。
「僕の新しい弟と妹…、と言うより自分の子どもだと思って支援して行きたいと思ってるんだ。」
「そうだな、ここの日本人スタッフなら三郎と同じ感覚で接してくれると思う。
 私から少しぐらいのプレゼントをしても構わないよな?」
「そうだね、遠江王家からとして衣類を贈ろうか、一般的な人達と同じ衣服を身に着けることが貧困層から脱却する第一歩になると思うんだ。」
「では兄弟の分も含めて用意して貰おうか?」
「そうだね、スタッフと相談してみるよ。」

nice!(9)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

バトル-253 [高校生バトル-26]

「お兄さま、王家からのプレゼントがこんな質素な服では、受け取った人ががっかりしないかしら。」
「いや、これぐらいで無いと色々とね、質が良すぎると自分で着るより売ることを考えかねないし、周りの目を意識したら今はこの程度で丁度良いんだよ。」
「こんな程度で良ければ私のお小遣いで、そうだユニフォームでも作って上げようかな。」
「う~ん、今後ユニフォームをどうして行くかは検討しているのだけど微妙な問題が有ってね。」
「微妙?」
「我が社の話は方針も含めて広まりつつ有るから、うちのユニフォームを着てると、それだけで貧困層の人だと思われかねないだろ、恰好の良いものにしても。」
「でも、仕事が他の人に対して誇れるもので有ったら胸を張って着てくれるのではないかしら。」
「そうだな、そう思って貰える様にして行かないとここでの成功はないかもな。」
「ユニフォームと言っても、ここではTシャツに半ズボンでしょ、帰国前に彼らの気持ちを聞いておこうか?」
「頼めるか、大人が聞くより雅達になら本心を明かしてくれそうな気がしてね。」
「でも、彼らが貧富の差をどう捉えてるのかは分からないのよね、富裕層の友達に通訳して貰ってどの程度のことを聞き出せるのかは微妙だわ。
 それでも良ければ、入社してからの研修に対する感想や今後の希望を聞いてみるけど。
 そうね、話をスムーズに進めるにはやはりプレゼントかしら、お兄さまは何が良いと思う?」
「そうだな…、兄弟で分け合えるお菓子なら間違いないと思うよ、ちょっとしたものでも凄く喜ぶそうだから。」
「そっか…、手作りのお菓子ってどうかな、友達連中は嫌がるかもだけど敢えてみんなで一緒に作ってみるとか。
 作業しながら話を引き出して貰うのも悪くないでしょ。」
「それは良いね、どうせなら売りものに出来るぐらいのお菓子を作れないかな?
 それなら研修の一環に出来るのだが。」
「売り物か…、ここで手に入る材料を使って簡単に美味しく…、地元の人向けに安価な物と観光客向けの利益率を高めに設定出来るものとを考えたいわね。」
「ここで手に入らない物でも、少量なら明後日日本を旅立つ人にお願いすれば日程的に充分間に合うと思う、観光客向けを考えるのなら材料の制約は極力減らしたいだろ?」
「そうね、今から案を募集し相談してみる、ここで手に入る食材としては…、お兄さまの畑では何が採れるの?」
「うちの畑でお菓子に使えそうなのは芋とか…。」
「どんな芋?」
「結構な種類を試してるから、お勧めを問い合わせてみるよ、ちょっと待っててな。」
nice!(7)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

バトル-254 [高校生バトル-26]

「雅はここの子達とお菓子造りをして、どうだった?」
「思ってたより盛り上がって楽しかったのだけど、慣れない器具で火力調節が難しくてね、それなりに美味しかったけど、商品として完成させるのはサポートしてくれたスタッフに委ねることにしたの。」
「ここのエリート階級と最下層の間でトラブルは起きなかったのか?」
「事前に詩織が中心となって身分差別の問題を話し合っておいたから、私達の前では発言に気を付けてたみたい、社員になった子達とのコミュニケーションも普通に手伝ってくれたわ。
 みんなで作業したのが良かったみたいで、失敗して大笑いしたり、試食を楽しんだり。
 社員になった子達は真面目に話してくれ、問題点はスタッフに伝えておいたわよ。
 結構欲張りで英語も日本語も話せる様になりたいと言ってたの。」
「そうか…、まあ、スタッフとやりとりするぐらいなら、両方に取り組める環境を整えておいても良いのかな。」
「彼らの能力は掴めてる?
 言葉の問題も有って良く分からなかったのだけど。」
「能力についてスタッフからは三者三様だと聞いてるが、自分達の生活を良くしたいと言う意欲の強い子達で、それが雇用に繋がったと聞いてる。」
「だから真剣だったのね。」
「自分の力で弟や妹を中学に通わせたいと考えてる子もいるそうだよ。」
「そう言う環境なのか…、でも中学に通わせるより職業訓練校を立ち上げて実践的なトレーニングをした方が効率的だと思うけど。」
「かもな、その辺りの所は今後の検討課題だが…。」
「農作業を手伝いながら、英語や接客を学んだりとか、詩織が帰国後も三人と連絡が取れる様にスタッフと相談してたから、チーム詩織でもサポートして行けると思うわよ。
 まずは彼らの英語力アップが前提になるけどね。」
「それにはパソコンを使い易い環境にしないと…。
 でも、それを整えられたら彼らの語学力が一気に向上する可能性は有るよな。」
「勿論よ、チームとは言え詩織とコミュニケーションを取り続けられるのだから、必死になって学習に取り組むと思うわ。」
「そんな感じだったのか?」
「ここで詩織の容姿は超絶美少女と感じられてるみたい、ぼ~っと見とれてる男子がいたりしてね、更に頼れるお姉さん、年上の男子でもそんな感じで接してたのよ。」
「へ~、雅はどうなんだ?」
「まあ、適度に姫らしくしてて、面倒なことはせずに詩織のサポートをして来たから、私が何となく考えてた位置に落ち着いたかな。」
「対人関係は自分好みに構築出来たと言うことか?」
「うん、マイペース、マイペース。」
nice!(9)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

バトル-255 [高校生バトル-26]

「詩織、チーム詩織は上手く機能しそうなのか?」
「そうですね、皆さんチームの目的を理解してくれてますので、雅さえ暴走しなければ大丈夫だと思っています。」
「雅をチームに入れないという選択肢もあったのだろ?」
「それは無いですね、雅が暴走したとしても、それにメンバーが振り回されるだけのこと、その結果がチームにとってプラスになる可能性は低くないと考えています。
 真面目な人ばかりですので、少しイレギュラーな存在は不可欠だと思いませんか?」
「そこまで考えているのなら安心だが、全員が詩織として動いて行くのか?」
「いえ、本名は明かしませんがメンバーは脳みそナンバーで区別出来る形にし個人では無いと理解して貰い易くします、それぞれの脳がどんなやり取りをしているのかをメンバー全員が閲覧出来る状態にしチェック機能を持たせ、私も脳みそナンバーゼロとしてやり取りに参加するつもりです。
 私は必ずしも私達の考えが一致していなくても良いと考えていまして、まずはアルトバルで出会った人達との交流をチームメンバーが、私の分身、私の脳みその一部として始めたらどうなって行くのか、それを楽しみたいですね。」
「チーム詩織と言う言わばバーチャルな人格で、個人を装いつつ多人数で構成される脳…、意見の相違だって…、でも一人の人間だって考えがまとまらないことも有るかのかな…。」
「ですね、バーチャルな存在の詩織が私を離れて成長して行く可能性も有ると思いません?」
「うん、実に面白い実験だと思うよ、組織論的に考えられるし、心理面でも、考えの近いメンバーが集まってるとは言え、そこでバーチャルな人格が形成されたら、その人格が迷うことも起きてくるよな。」
「はい、但し、そんな場面での決定は多数決では無く私の判断と言うことになりました。
 多数決の欠点は今までも話し合われてきましたので。」
「その分、詩織の負担が大きくなるのだろ?」
「元々私一人の力では大したことが出来ないと、みんなに相談し、始めたことです。
 会社組織をいちいち多数決で動かしてたら問題が多いのと同じ事ですよ。
 私達は人間なのだから判断を誤ることも有る、それでも複数の脳で構成されていればそのリスクが軽減されるのではと、脳みそナンバー03が話していました。」
「そうだよな、会社でも多くのスタッフが前向きな意見を沢山出してくれ組織の力と考えられる、社長として話す内容にはスタッフの考えが大きく反映されてるのだから、バーチャルの詩織とリアルな詩織がいても大して問題は起きないのかもな。」
「多少のトラブルは楽しみたいと思っているのですよ。」
「はは、余裕なんだね。」
nice!(11)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

バトル-256 [高校生バトル-26]

「父さん、市議会の本会議、定例会は問題なく進んでいるみたいだね。」
「ああ、マスコミは市長の長期不在を問題視し批判していたが、議員は身内で味方だからな。
 アルトバルにいる間も普通に仕事をこなしていたし副市長達も抜かりなくやってくれてた、一番批判的だった週刊誌は批判してたことすら完全に忘れてるみたいだね。
 それより、帰国して一か月になるがアルトバル支社はどうなってる?」
「スタッフからは子ども達の語学力が向上してるとの報告が有ったよ、後から雇った連中は普段使う機会の多い英会話だけに特化してトレーニングしてるからか会話に慣れるのが凄く早かったそうでね。」
「書くことは二の次か?」
「うん、幼児が言葉を覚える時に文字なんて意識して無いでしょ。
 日本の英語教育は文字に拘り過ぎていたから、学習しても使えない英語で終わってしまっていたのではないかって。
 まずは日常的によく使う表現を使える様にする、それから読み書きに進むと言うステップを考えてるそうだよ。
 ただ、詩織とのコミュニケーションはどうしてもメールが中心になるから、最初に雇った三人は必死なのだとか、特別にパソコンを使える環境にして貰ってるのだけど日本語も覚えたいそうでね、三人にとってのスーパーアイドル詩織ともっとメール交換したいと、仕事を覚えながら頑張ってるそうだよ。」
「雅もスーパーアイドルなのか?」
「二人とも可愛いのだけど容姿に対する感覚が日本と少し違うみたいでね、仲良くなった子達にとっては詩織が優しく頼れるお姉さんとして接したことも有るのだろうけど、それとは関係なく詩織関連グッズの売れ行きが好調でさ。
 写真やポスターの売り上げが雅とは一桁違うんだ、日本では知名度的にも雅の方が上なのだけど。」
「そう言うものなのか、美少女は万国共通かと思っていたよ。」
「次のアルトバル周辺諸国歴訪の時にも詩織には活躍して貰わないとね。」
「長期間学校を休むことになるが大丈夫なのか?」
「その辺りは春子姉さんが動いてくれてる、高校進学には問題の無い成績を維持し続けてきたから推薦入試で済む、詩織を不合格にしたら高校にとって損失でしかないでしょ。」
「だな、チーム妹のリーダーになり一段と頼もしくなった。
 年齢に関係なく環境や立場によって人は大きく成長すると言う見本だな。」
「アルトバルの大人達相手でも物怖じすることなく話してたね、相手の方が美少女相手で緊張してたぐらいに。
 次の旅では更に色々な人との交流を体験して貰おうと考えているんだ。」
「本人はどう考えているのかな?」
「色々な形で自分のスキルを上げる、学校だけが学習の場ではないことをお父さんと再確認したと話してたよ、学歴ではなく人として勝負出来る大人を目指すそうでね。」
「親譲りで理数系も得意なのだろ、将来を考えたら迷ってしまいそうだな。」
「それを意識していたからチーム詩織を試してみようと決意したみたい。
 一人の人間に出来ることの限界を越えられないかって。」
「そうか…、我々は出来る限りの支援を、詩織にとって負担にならない形を考えながらして行きたいものだな。」
「勿論だよ、詩織がどんなリーダーに成長して行くのか楽しみでしかないからね。」
nice!(11)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

バトル-257 [高校生バトル-26]

「お兄さま、遠江王国秋の祭典には海外からもお客さんが来るって聞いたけど、どんな人たちなの?」
「アルトバルからは雅達の友人の一部が家族揃って来日…、う~ん、来日に対して来遠みたいな言葉を作って定着させる必要が有るのかな…。」
「そんな話は少し聞いてたけど確定したのね。」
「ああ、他には遠江王国との国交を考え始めてる国からの視察団とか、アルトバルが式典を通して単に目立っただけでなく、うちが支社を置き経済の活性化を図ってることに興味を持ったみたいでね。」
「遠江王国を国として承認する二か国目になりそうなの?」
「その可能性は有るみたいだ、支社には周辺諸国の政府関係者から問い合わせが有り、マスコミの取材も受けているからな。」
「国交を樹立したらメリットが有ると考えられているのかしら?」
「それぞれに思惑はあるだろう、日本からの観光客がアルトバルばかりに集中してしまったら面白くないだろうし、我が社の先行投資額も知れ渡ってるみたいだからな。」
「それなりの額になってるけど、他の国にまで投資して行く余力は有るの?」
「すでにアイテムの売り上げが伸びてるし、YouTubeでもアルトバルに関するコンテンツの視聴者数が増えてるだろ、世界に対して遠江王国の理念を伝える為なら多少借り入れてだって支社を増やして行きたい、その事業展開を成功させる為に周辺諸国を歴訪するのだからな。」
「日本国の一部である小さな国が世界に対して影響力を発揮出来たら面白いのだけど簡単なことではないのよね。」
「まあな、だが、すでに大きく注目されていることは間違いない、昨日も雅達に取材依頼が来ていただろ。」
「うん、海外からは詩織に、日本国内からのは私がメインなのだけど二人セットで受けて行くことにしたわ、互いにフォローし合えるからね。
 今は二人で芸人の様な定番のネタを持てないかと検討してるのよ、有ったら楽でしょ。」
「お決まりのセリフってことか…、そうだな…、自分も伝えたいことを端的に表している言葉を一つ決めて多用するのも有りなのかな。」
「お兄さまは一つに絞れそうにないよね、でも色々な表現を使うよりは、伝いたいそれぞれを同じ表現で繰り返した方が伝わり易いと思うわよ。」
「そうだな、一部の人からは毎回同じことを言ってるとの批判を受けるかも知れないが、多くの人に伝えて行くことを考えたら、分かり易いフレーズを繰り返し使って行くべきだな。
 真面目な話だけでなく、雅達と一緒にインタビューを受けることも有るのだから、軽いネタも一緒に用意しておくか?」
「そうね…、でもアメリカンジョークが日本人に伝わりにくいみたいなことが有りそうでしょ、アルトバルの連中に手伝って貰うべきかもね。」
「そうだな、彼らだって詩織にはすべって欲しくないだろう。」
nice!(9)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

バトル-258 [高校生バトル-26]

「三郎、アルトバルの時とは違い次の旅は一か国に付き五日程度でしょ、スケジュールはきつくならない様に組めたの?」
「うん、母さんが心配しなくて良いように一か国で四つだけのプログラムにして貰い、その内の一回は四人で出席するけど、後の三回は僕が真子と二人だけ、詩織と一緒に、雅と、と言う形での出席にして、残りの二人は休養を取れる様にしたんだ。」
「三郎が女の子をとっかえひっかえしてると思われないかしら。」
「かもね、後、アルトバルのエリートが交代で同行、ガードしながら案内してくれることになってるし、アルトバル支社の社員も周辺諸国に支社を立ち上げて行くことを前提とした調査を兼ね、交代でサポートに来てくれるから安心してよ。」
「支社の皆さんは忙しくないの?」
「スタート時と違って現地社員に任せられることが増えたから大丈夫さ、休暇も兼ねてるのだけど、雅達のお供を是非ともしたいそうでね、皆さん妹達の大ファンなんだ。」
「詩織は向こうでの人気が高まってるって聞いたけど。」
「あのエリアでは、僕らの事がアルトバル切っ掛けで知れ渡りYouTubeを見てくれる人が随分増え、グッズも売れてるのだけど、アルトバル支社の売り上げに一番貢献してるのは詩織なんだ。
 他のエリアでは詩織と雅の人気はそんなに差が無いのに、あのエリアの人達は男女問わずみんな詩織のファンでさ。」
「確かに大人っぽくなって綺麗な子だけど、そこまでとわね…。」
「向こうからは色々リクエストが来てるから、詩織と相談中だよ。」
「どんなリクエスト?」
「ポスターや写真集、水着姿NGだと伝えたら逆に水着姿にはなって欲しくないと言われたとか。
 それとCD、YouTube動画を見た人達からもっと歌を聴きたいと言う声が幾つも届いてさ。」
「その気持ちは分かるわ、本格的なトレーニングを始めた頃とは全然違うものね、天は二物を与えずと言うけれど、彼女の場合は一芸に秀でるものは多芸に通ずの典型だわ。」
「能力の高い子が努力した結果だと言うことも上手く伝えられて、それが詩織の人気を押し上げてるみたい、スタッフは演出を意識していたそうだけど、変に作った虚像ではないからやり易かったと話してた。」
「ただの虚像ではボロが出かねないものね、今度の旅行でグッズの売り上げが更に伸びるのかしら。」
「四つの国でステージに立つのだけどすでにその全てが満席、有料のネット配信もチケットの先行販売が好調なんだ。」
「もしかして次の支社を立ち上げる予算はそこから?」
「うん、当初の計画より前倒し出来そうで、どの国を優先させるかは旅をしながら検討することになると思う。
 有料のネット配信は旅行後も定期的に行って行くからね。
 ライブは会場の設営などに手間が掛かり入場者数が限られるけど、配信なら桁が違うでしょ。
 チケット単価を抑え気味にすればかなりの人数が視聴してくれることは、遠江王国秋の祭典での配信で確認出来たからね。」
「支社の一つや二つ簡単に立ち上げられるとか?」
「勿論さ、小さく始めて可能性を探るスタイルを変えるつもりはないから。」
nice!(12)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

バトル-259 [高校生バトル-26]

「お兄さま、この国はアルトバルと文化的に近いのですね。」
「地理的に近いし植民地時代の宗主国が同じだからな、でも国の規模は随分違うだろ。」
「ここにも支社を設立するのですか?」
「うん、アルトバルとの相乗効果を考えたら外せないと思ってる、政府の遠江王国に対する関心度は低いが住民には詩織のファンが多いからな。」
「なんかビックリです、ミュージカルに出させて頂いたのは楽しそうだと思ったからで、自分にファンが出来るとは意識していませんでした、それが…。」
「このエリアで美少女コンテストを開いたら、詩織は間違いなくグランプリだと聞いたよ。」
「遠江王国でも容姿を褒められることは有りましたが…、でも人としての部分を見て頂ける様になりたいです。」
「人気度がどんどん上がってるのは容姿だけでなく、ミュージカルやチーム妹さくらチャンネルでも活躍してるからさ。
 詩織のことをもっと知りたくなり日本語チャンネルを字幕頼りに見まくってる人が少なからずいるみたいでね。
 プリンセス詩織のおかげで我が社の売り上げは右肩上がりなんだ。」
「お兄さまの会社に貢献出来ているのなら嬉しいですが、私はプリンセスと言う訳でもないのに…。」
「義兄弟姉妹と言う発想や王家が雅達を養子にした経緯も知られている。
 詩織は王家の義妹なのだからプリンセスで問題ない、歓迎してくれた人たちの熱狂ぶりは見ただろ。」
「自分に大勢のファンがいると言うことには戸惑しか有りません、嬉しい様な恥ずかしい様な…。」
「すっかり我々のシンボル、広告塔となってるがこのままで構わないか?」
「お兄さまのお役に立てているのでしたら…。」
「極力、詩織の負担にならない様にと指示してるし、プリンセスのイメージを高めて行く為にも詩織に合わない演出がなされることは無いと思う。
 今は超絶美少女としての人気だが、今後は詩織の知的な部分を全面的に出して行く、チーム詩織も今後の展開次第では表に出して良いと考えているのだがどうかな?」
「そうですね、チーム詩織は私の姿をした別人格、私でない人達が創り上げた別人格として独り歩きしてくれたら面白いと思っています。
 う~ん、演じると言う作業をチームで出来たら…、映像には私しか映らないとしても文章や話す内容の文案でしたらチームで。
 ただ写真や映像を見て私のファンになって下さった方にとって、私は虚像なのでしょうね…。」
「虚像だとしても大切な存在で有ることは間違いないだろう、詩織関連グッズが売れまくってるのだからな。」
nice!(13)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

バトル-260 [高校生バトル-26]

「お兄さま、今日のお仕事は如何でした?」
「特に問題は無かったが、アルトバル国が遠江王国を国として認めたことの意味を分かってない人がいてね、政府高官でも、アルトバル国が遠江王国の話題に乗っかることで自国をPRをし経済活動の活性化を考えたと、チーム妹の中学生でさえ理解してる事に気付けてなかったんだ。」
「能力的な問題でしょうか?」
「そう思うよ、ここでは能力の高さで出世するのではなくコネとか色々な要素が絡んでいるらしい、そんな組織に優秀な人は魅力を感じないだろ。」
「改革して行くことは考えられないのですか?」
「よほど強い指導者が現れないと難しいと思う、役所の不正は当たり前のことになってるそうだよ。」
「ここで、支社を立ち上げるには賄賂が必要に?」
「多分な、ただ賄賂と言っても、その辺りのことは法的にも緩いみたいでね、賄賂を贈って利益を確保出来るのなら効率的かもしれない。」
「賄賂イコール犯罪と言うことでは無いと?」
「みたいだな、ただ欲張り過ぎると叩かれるみたいだから、うちは賄賂を誰に幾ら贈ったかを全て公開しながら事業展開をして行くことになるかも知れない。
 その結果として雇用拡大に成功すれば、喜ばれこそすれ批判の対象にはならないと言うのがこれまで調査して来た結果なんだ。
 ただどこに落とし穴が有るか分からないから支社の立ち上げまで調査は継続して行くけどね。」
「社員が逮捕されるとかになっては…。」
「給料が安いから、袖の下も通常収入の一部と考えられている、公務員に対するチップみたいなものだと割り切って考えてる人が多いみたいだよ、日本での贈収賄とは意味が違うと言うことだな。」
「国家予算に余裕がないのでしょうか?」
「ああ、国民性なのか現状に妥協していて上昇志向が弱いとスタッフが話していた。
 将来に対するビジョンが見えなくてね、政府が国民の生活を良くして行きたいとか考えていないから、この国の貧困層の生活環境はひどいままなのだろう。」
「そうでしたか、私達は貧民街は危ないから近づいては行けないと言われました。」
「そんな貧民街でも餓死することなく生きているのだからと問題視してないみたい、近付かなければ良いぐらいの考えなのだろう。」
「そこに一石を投じて行くのは大変そうですね。」
「難しいだろうな、衣食足りて礼節を知る、それをここの貧民街に関しても意識しているが、そこに至る過程は…。
 まずはプランテーションを立ち上げ彼らを雇って行くとこから始めてみたいと考えているのだけど、教育面の問題も有り、長時間掛けてじっくりやって行くしかなさそうだな。」
「ここの富裕層もアルトバルと同じですか?」
「そうだな、価値観は似た様なものだと感じた、ただ、詩織が同行していないことに対して、雅が詩織には休息が必要だと説明しているのに、雅の機嫌が悪くなるぐらい残念がられてね、その辺りはアルトバルの人達の方がうんと紳士的、この国の政府高官よりアルトバルのエリート中高生の方が上だよ。」
「馬鹿な人達ですね、雅とも仲良くなっておけばこの先色々プラスになるのに。」
「だよな、民度の低さが経済成長を阻んで来たのだろう。」
nice!(10)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー
高校生バトル-26 ブログトップ