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バトル-252 [高校生バトル-26]

「三郎、中学生に相当する年齢の子達をここで雇って、法的な問題はないのか?」
「ここの義務教育は十二歳までだから大丈夫、貧困層で中学に通う子はいないそうだよ。
 そして残念ながら、家族の為に働らいて稼ぎたいと思ってる子ども達を、まともな条件で雇う人はいないのが実情でさ、そのまま大人になっても割の良い仕事には就けなくて貧困から抜け出しにくい構造になっているみたいなんだ。」
「差別も有るのだったな。」
「うん、その辺りの改革が一番難しいかもだけど、ここのスタッフは彼らからここの言葉を教えて貰い、英語か日本語を教えて行くことを考え始めてる、始めはパシリからだって笑ってたけど親代わりとなって教育して行くと話してくれたよ、今回雇った三人は弟や妹の為に沢山稼ぎたいと言ってる子達でね、親を事故で無くした子もいるんだ。」
「そうか、日本でなら公的機関が守って行くような境遇の子たちなのだな。」
「ここの公的機関は貧困問題に興味がないでしょ、僕らの力で彼らの生活を急激に良くする事は可能でも、それをしてしまうと他の子とのバランスが取れない、だからじっくり取り組みながら人数を増やして行こうと考えているんだ。」
「上手く行きそうなのか?」
「研修の初日に立ち会ったのだけど、三人とも真剣な目をしていて、覚えたてのたどたどしい日本語で自己紹介をしてくれたよ。
「僕の新しい弟と妹…、と言うより自分の子どもだと思って支援して行きたいと思ってるんだ。」
「そうだな、ここの日本人スタッフなら三郎と同じ感覚で接してくれると思う。
 私から少しぐらいのプレゼントをしても構わないよな?」
「そうだね、遠江王家からとして衣類を贈ろうか、一般的な人達と同じ衣服を身に着けることが貧困層から脱却する第一歩になると思うんだ。」
「では兄弟の分も含めて用意して貰おうか?」
「そうだね、スタッフと相談してみるよ。」

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