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正月-271 [花鈴-28]

 本の話を、正月に合わせ遊びに来てくれた親戚達に話した所、皆が買うし宣伝すると言ってくれた。
 考えてみると赤字になることは無いのかも知れない。
 かなりの冊数をまとめ買いし知り合いに配りそうな叔父がいるし、マスコミと繋がりの有る叔母も。
 その叔母はクリスマスパーティーが本を出版する話で盛り上がるチームなら、色々な形で応援したいと話してくれた。
 パーティーと言えばバカ騒ぎしか考えられない若者が少くないそうで。
 絵梨には一緒に行った初詣の時に話した。

「姫の本か、面白そうだわ。」
「いえ、私の本では無く私達の本、チームで作り上げるものにするの。
 絵梨には副編集長と言う話が有るのよ。」
「副編集長か、何をするのかな?」
「山川編集長からは目次の案が説明付きで届いていてね、まずはそれを見て絵梨の意見を聞かせて貰えたらと思ってる。」
「女子大生とは違った視点からと言うことなのね。
 ちょっとワクワクが止まらないのだけど。」
「大勢で作るから取り分は多くならないわよ。」
「そんなことより、実際に販売される本に関われることの方が重要だわ。
 勿論、売れる本を目指すけど。」
「出版までの裏話はYouTubeチャンネルで公開と考えているから、小枝子さんにも伝えて置いてね。」
「うん、分かった、小学生が中心となって本を出すのなら話題性も有る。
 私の書いた文章も使ってくれるのでしょ?」
「勿論よ、編集長にもどんどん自分の意見をぶつけてくれたら面白くなるしね。」
「副編集長になったら編集長の指示で動くとかではないの?」
「それでは良い物にならない、編集長とぶつかり合うぐらいの副編集長でないと、絵梨を副編集長に推した人ががっかりすると思うな~。」
「そっ、そうか…。」

 女子大生VS女子小学生のバトルが燃え上がればYouTubeチャンネルの視聴者を喜ばせることが出来る。
 そんな大変なことの出来る小学生は絵梨しかいないのだ。
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正月-272 [花鈴-28]

 山川編集長の案を絵梨に見せたところ…。

「真面目にまとまり過ぎてると思う、どこかに小学生が中心になってる本なんだぞって感じの内容が有っても良くない?」
「言われてみればそうね、小学生で無くても書ける内容ばかりでは面白みが無いわ。
 でも、絵梨が思う小学生らしさってどんな感じなの?」
「絶対実現出来なさそうなことを堂々と書く。
 その後でどんな条件が揃えば、それが実現出来るのかを検証するってどう?」
「夢を描くってことね、この地では実現出来なさそうだけど、実現出来たら盛り上がるだろうってイベントとか…。」
「イベントなら、スーパーアイドルを呼んでの大規模フェスなんてのを企画したいわね。」
「うん、人を大勢集める会場は用意出来なくてもネット配信…、ライブビューイングも有りかな。
 本物を目の前で見ることは出来ないけど、物理的な障害はクリア出来るし、人気の有るミュージシャンなら…。
 直接生で見られる観客を数十人程度に抑える代わりに高額チケット、ライブビューイングでは自然の中で歌うミュージシャンの姿を楽しんで貰うとか。」
「問題は…。」
「絵梨のイチオシが出てくれるかどうかね。」
「彼でなくても、過疎地の為にと泣きつけば興味を示してくれる人はいると思うわ。」
「私が泣きつけば良いのかしら?」
「出来るかどうかは分からいけど、姫が動いたら実現出来そうな気がして来た。
 ダメ元で大人達に話してみない?」
「絶対実現出来そうにないことだけど、検証結果は明るいと絵梨副編集長は思ってるのね。」
「私は子どもだから無限の可能性が有ると育てられて来たし、姫が動いたら大学生達が必死になって実現させようとしてくれそうだもの。」
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正月-273 [花鈴-28]

 大学生の合宿所で開かれた新年会ではクリスマス同様、本を出版する話で盛り上がった。

「姫、本のネタとして大規模フェスにチャレンジするのですか?」
「実現出来たら面白いでしょ。」
「ここは交通の便が悪いし、多くの人を集められる場所も無いと思うのだけど。」
「ここまで来て貰う人は少数でも、ライブビューイングで多くの人に見て貰えば良いのよ。
 自然の中に小さな会場を設営し、高額チケットで少数の観客に見て頂く。
 演奏はミュージックビデオを意識して貰い、生のミュージックビデオをライブビューイングやネット配信で見て頂く感覚。
 チケットの不正転売が起こらないと言うメリットも有るわね。」
「姫の話を聞いてると有りかもと思えて来るけど簡単なことでは無いよな。」
「ええ、まずはフェスに参加してくれるミュージシャンを見つけないと、それが最大の難関なの。」
「大規模フェスの前に、一人若しくは一組のミュージシャンでイベントが開催出来るか試してみてはどうかしら、それだってハードルはかなり高そうだけど。」
「そこなのよね、OKしてくれるミュージシャンを見つけられるかどうか…。」
「それなりに売れてる人で無いとライブビューイングでの集客なんて出来ないものね。
 本のネタとして失敗しても良いからと取り組んでみるか、別のネタを探すかになるのかな。」
「成否は別として著名なミュージシャンとコンタクトを取れるのかどうか、例え結果がマネージャー止まりだったとしても、ワクワクドキドキな企画だわ、私はダメ元で良いから取り組んでみたい。
 芸能界は私達にとって別世界だけど、そこに近付けるかも知れないでしょ。」
「それには、まず企画だな。
 芸能事務所とかを動かせるだけの企画を俺達で作れるのか?」
「そこまでのものを作れるかどうかは分からないけど、チャレンジすることは自分達のスキルアップに繋がると思うわ。
 就職先の業務と直接関係していなくてもね。」
「そうよ、失敗しても誰も不幸にしないし、その失敗の課程を本で紹介すれば良いだけのこと。」
「成功してしまって大変なことになる可能性は?」
「そうなったらスタッフをやりたいって奴は幾らでもいるだろ、ここの竹林再生とは根本的に違うのだから。」
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正月-274 [花鈴-28]

「言われてみればそうだな、学生にも人気の有るバンドが乗ってくれたら、金を払ってでも手伝わさせて欲しいと思う奴がいてもおかしくない。
 竹林再生なんて地味過ぎる作業とは違うからな。」
「例えば人気バンドと交渉するとして、イベントを成功させられるだけの体制を示す必要が有るだろ、実現出来るかどうか分からない段階でそれは可能なのか?」
「本のネタとして、では弱いわね。」
「駄目ならアマチュアバンドで小さくやってみるとか?」
「それなら、アマチュアミュージシャンのコンクール的なものを企画してみてはどうだろう?」
「面白いが、それで稼げるかどうかが問題だな、姫はトータルで一円でも黒字になるのなら問題ないと話してたけど、赤字に成り兼ねない。」
「姫、姫が関係してるYouTubeチャンネルで少しづつその下地を作って行くことは出来ませんか?」
「そうね、企画がしっかりしていて…、と言うか、アマチュアバンドとのコラボから始める手も有るかな、我が社のイベント部門として、人気バンドと交渉するのと並行してアマチュアバンドにチャンスを、みたいな企画…。
 う~ん、まずは、アマチュアバンドの楽曲を私達のYouTubeチャンネルで使用する所から始めたらどうかしら?
 で、メジャーを目指していて応援したく様なアマチュアミュージシャンに知り合いはいるの?」
「知り合いでは無いけど密かに応援してるバンドなら…。」
「問題は私達がどの程度動けるかよね。
 それぞれに事情が有るでしょ?」
「そこは学園祭のノリで良いんじゃね?
 竹林再生には絶対興味を示さない奴らを動かせば良いのだよ。」
「金銭面は?」
「金に目が眩んでブラックバイトに手を出す奴ばかりではないと思う。」
「姫の会社のイベント部門としてそれなりに安定した状態を作り出すことに成功出来たらなんて夢物語なのかな?」
「例え失敗したとしても、その過程を楽しんで貰えるだけの動画作品を作れたら可能性は有ると思うわ。
 逆に言えば、それぐらいの動画を作成出来るだけの力が無かったら不安なのだけど。」
「姫、学園祭のノリで有ったとしても、参加者の資質が問われると言うことですね?」
「ええ、勿論よ。」
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正月-275 [花鈴-28]

「そんな活動を通して過疎地のことに全く興味のない連中を巻き込んで行けたら面白いかもね。」
「面白過ぎるが、大きな労力を必要としそうだな。」
「そこは人数で勝負したいが、そうなると組織がでかくなる。
 この合宿所に関わる人数とはレベルの違う組織を構築する必要が有るだろう。
 ここのメンバーは既に様々な活動をしているから、新たに組織を構築してくれそうなリーダーを見つける所からのスタートになるのかな。」
「だな、でも、組織論は姫の本でも取り上げて良い事だろ。
 要所要所で姫の考えを聞きたいし。」
「そうよね、巨大な組織のトップを父に持ち、その教育を受けて来た姫は私達とは違った視点を持っているもの。」
「全部ひっくるめ、来年の大学祭でアピールする前提で二年生の後輩に話を持ち掛けてみるのも有りじゃない?」
「有りだな、ただ、一年生でも大学祭を経験し、大学に慣れた頃だと思うから問題ないと思うぞ。」
「誰か心当たりは有る?」
「無くはないが…、まずは広く呼び掛けてみたいかな。
 そっちは、大学祭実行委員会の奴に相談してみるよ。
 姫、来年の大学祭の日は予定を空けて置いて下さいね。」
「大学祭って真面目な話も出来るの?」
「姫なら集客力が有ります、注目を集めつつ有る姫が、どんな話をするのか興味を持って集まった連中に、姫の活動を教えてあげれば良いのです。
 それまでに本の話が進んでいれば、その宣伝をしても構わないですし、夢のイベント実現に向けても。
 勿論この地の再生に関する話もです。」
「う~ん…、予算面はどう考えれば良いのかしら?」
「大学祭で金儲けを企む奴らとは方向性が違います。
 姫はゲストとして参加してくれれば良いのです。」
「姫がゲストなら大学側も喜ぶと思うわ。
 姫と絵梨は聡明な美少女コンビとしてYouTubeチャンネルを通してファンが増えてるでしょ。
 うちの教授も興味深々で姫のことをよく聞いて来るのよ。」
「何て答えてるのかしら?」
「勿論、真実をありのままに。」
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正月-276 [花鈴-28]

「話はあまり盛らないでよ。」
「大丈夫です、姫は盛る必要の無いスーパー小学生なのですから。
 でもスーパー小学生の称号を使えるのは後一年と三か月弱、その間に実績を上げスーパー中学生になって欲しいです。」
「姫、芸能界からのお誘いは無いのですか?」
「来てるけど、ここから東京へ通うのは大変でしょ、東京へ移住何てことしたら多くの人を裏切ることになるし。」
「本当に姫を輝かせたいのだったら、こっちへ来いだよな。
 すでに輝いてる存在だから目を付けたのだろうけど。」
「姫の場合、テレビに一回出るより、YouTubeの動画を一本配信する方が儲かるのでは?」
「かも知れないけど、様々な要素が絡み合っているから単純な比較は出来ないの。
 直接入るお金はYouTubeの方が多くても、テレビの場合は間接的な効果が期待出来るのよ。
 私のプロフィール紹介だけでお父さんの会社のPRになったりとかね。」
「そう言うものなの?」
「君は甘いね、姫のプロフィールが紹介されるだけで、父君が社長を務める会社の企業イメージがアップするのさ、テレビCMより効果的かもな。」
「実際に番組出演した時は反響が大きかったと聞いてるわ、姫、売り上げにも影響が有ったのでしょ?」
「ええ、でも諸刃の剣なの、私が悪い印象を視聴者に与えてしまったら売り上げを落とすでしょ。
 テレビCMに出てる人達は色々な責任を背負わされているのよ、だからギャラが良いのだけど。」
「そうなんだ、今まで考えた事も無かった。」
「だろうな、お前さんは美味しいお菓子のことしか考えて来なかったのだろ?」
「失礼ね、体重の事だって考えているわよ。」
「えっと…。」
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正月-277 [花鈴-28]

「本を出す話からイベントの話が出て来たのだけど、姫としてはそれぞれ何時頃までにとか目標は有るの?」
「その辺りの目標設定はもう少し動き始めてからになるかな。
 まだ、誰がどの程度動き、その結果どう進展して行くのか分からないでしょ。
 イベントの話がなかなか進まなかったとしても、その状況を本に入れることは可能なのだから問題は無いと思うわ。」
「イベントは本のネタとしてだけでは終わらせたくないな。
 俺達にとってビッグなことだろ、それを成功に導いた一員となれたら、一生忘れない思い出として残ると思うんだ。
 姫のおかげで充実した学生生活を送れているけど、更に、と欲が出て来てさ。
 高校生の頃は何となく大企業への就職をイメージしてたけど、今は面白い仕事、やりがいの有る仕事をしたいと思う様になったんだ。」
「そうね、大企業に就職したら大切にされ過ぎ、やりがいの有る仕事が出来なくて退職なんてパターンが有るみたいだもの。
 私も金銭的に豊かな生活だけを目標にした就職活動だけはしたくないと思い始めてるの。」
「姫、株式会社花鈴の社員募集はどうなっているのです?」
「仕事が増える度に募集して来たけど、今は特に募集して無いかな。
 イベントの話が本格的に進んだら募集再開かしら。」
「そうなりますね、今は余力が有り自分で仕事を作り出してるぐらい、君達も株式会社花鈴に利益をもたらす仕事を創出すれば雇って貰えるのではないかな。」
「先輩は良いですよね、学生社員として大学卒業のうんと前から雇って貰えてて。」
「いいぞ~、やりがいの有る仕事、その過程で学ぶ必要が有れば大学と相談出来る、卒業後も大学は利用させて貰うつもりだがね。」
「姫、学生社員に問題はないのですか?」
「まだ実験的なことだから、それも探ってる段階です。
 ただ、彼の様に大学三年生終了時点で充分な単位を取り終えている人には、その余力を活かして欲しいと思っています。」
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正月-278 [花鈴-28]

「余力か、有る様な無い様な…、自分の時間をどう使って行くか…。」
「自分はここに来るまでゲームに費やす時間が長めだったけど、今は充実した時間を過ごせてるからか、それ程ゲームをしたいと思わなくなったよ。
 勿論ゲームをするのは楽しいけど、竹林が綺麗になって行く充実感は別の喜びが有るからな。」
「私も仮設店舗での販売を通して色々学べたし、楽しかったわ。
 だから余力を作って色んな企画に参加したいと思ってるのよ。
 まあ今まで順調に単位を取って来ているから、次の秋学期定期試験をクリア出来れば余裕なのだけどね。」
「定期試験に関して余裕のない奴はいるか?
 真面目な集団とは言え、躓き気味の科目が有ってもおかしくない、その辺りは協力し合っても良いと思うんだ。」
「私は合宿所に来てから随分教えて貰っていて皆に感謝してるの、定期試験で結果を出さないと申し訳ないから、この新年会が終わったら、きっちり準備して試験に臨むつもり。
 でも息抜きに仕事はするからね。」
「はは、仕事が息抜きか、確かに頭ばかり使ってると体を動かしたくなるよな。」
「仕事にしろ学習にしろ、取り組み方、取り組む姿勢によって全く違うものになるのよね。
 させられるのと自分から進んで向き合って行くのとでは全く違うでしょ。」
「ここでは誰も、させられる様な仕事や学習をしていないものな。
 自分の意思でここに来て自分の意思で働いたり研究をしている、こんな感じの所に就職したいと思うよ。」
「なら簡単、株式会社花鈴を更に盛り立てて雇って貰い自分達の力で大きくして行く。
 会長が姫なら可能でしょ?」
「ああ、姫はどう思う?」
「子どもらしい事を言うなら、私達には無限の可能性が有ると思ってる。
 ネット社会になって過疎地に住まなくても過疎地の為に働けるし、その逆もね。
 株式会社花鈴は収益面でまだ充分とは言えないけど、買収した企業の従業員待遇は随分改善出来てるの。
 イベントは賭けみたいな所も有るけど、成功すれば資金に余裕が出来ると考えていて、そこから…、例えば株式会社花鈴の子会社として皆さんが起業するなんて事も有りだと思っているのです。」
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正月-279 [花鈴-28]

「起業か、考えた事なかったな。」
「野心家で無いと無難に就職を考えるものね。」
「でも就職した先で、新たな事業を起こす様に指示されたとしたらどうだ?
 会社員として起業、株式会社花鈴の社員としてならリスクは無いよな。」
「姫、こんな感覚で良いの?」
「ええ、私は恵まれた環境に有るから株式会社の会長をやってるけど、新たな事業にトライしたいと考えても資金面などのハードルが越えられない人は多いと思うの。
 子会社の社長とは言え大きな利益を出すことに成功したら、報酬はそれなりに増える。
 そんなチャンスを提供するのが恵まれた環境に有る私の義務とも考えていてね。
 勿論、成功する見込みの無い様な事業計画にお金を出すことは出来ないけど。」
「ですよね…。」
「大企業に就職出来たとしても…、上司の顔色を伺いつつ地道に働くよりは面白そうだよな。」
「姫はどんな構想をお持ちなのですか?」
「春にオープンさせる店の一角を利用しての起業でも良いし、全く違った分野での起業でも構わないから、皆に成功を感じさせる企画で有ればってとこね。
 まずは一件だけでスタート、資金は私のお小遣いで…、五百万ぐらいが限度だけど、それ以上の初期資金が必要でも皆が成功を確信出来る企画で有れば資金調達を考えても良いわよ。」
「初期投資を短期間で回収出来れば良いのですよね?」
「理想はね。
 短期間で回収出来たら、次の事業資金に回せ、それが社会の活性化に繋がるでしょ。
 起業して成功するのは簡単なことでは無さそうだけど。」
「株式会社花鈴は順調に見えますが。」
「会長や社長だけで無く優秀な人が社員にいるのですよ、ね、姫。」
「ええ、違う現場なら何十億円とかを動かせる人が、地味な作業をしています。」
「それは微妙な気もしますが…。」
「何十億を動かす仕事より、我が社での地道な作業の方が充実感を得られると話しておられましてね。
 働く意味を報酬の金額だけで語るべきでは無いのだとか。」
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正月-280 [花鈴-28]

「働く意味ですか…。」
「詐欺集団はただお金が欲しくて働いてるのよね、人に迷惑を掛けてるなんて考えもしないで。」
「だな、詐欺で無くても、それに近いことをしてる企業は存在するし、ブラック企業も。
 そう考えると、例え給料が悪くても人に喜んで貰える仕事をしたいと思う。
 ここの竹林作業はボランティアだけど、綺麗になって行く竹林の姿に感謝され、色々考えさせられたよ。」
「姫は、その辺りをボランティアでは無く普通に収益を上げられる仕事にと考えているのでしょ?」
「ええ、でも、竹林の再生は筍や竹の販売を軌道に乗せられても割が合わないと思うの。
 だからボランティア頼りにせざるを得なかったのだけど、そこから仲間の輪が広がった。
 その価値はお金に代えられないと思いませんか?」
「まさしく価値観が絡む訳だ。
 俺達の活動を理解出来ない奴もいるからな。」
「私達はこれから社会人として自立して行く必要が有るのだけど、どう自立して行くかなのよね。
 お金の為だけに働くなんて残念だわ。」
「でも、お金は必要なんだよな、自立して行くには。」
「良い形で自立したいよな。
 それで、起業の案を持ってる奴はいるのか?」
「起業か…、人に使われるのは嫌だからと起業したけど失敗して借金を作った叔父さんがいたりするが…。」
「株式会社花鈴の子会社として起業資金を用意して貰う代わりに、事業計画を精査して貰うことになるのだから失敗しにくいと言うことでしょ、姫?」
「ええ、起業の計画がいい加減だったら勿論認められないけど、良い企画だったら皆で支えることが出来るわ。」
「仲間がすることなら喜んで応援したいね。」
「中学生の頃は小さなカフェの店長何てのを夢見たことが有ったな…。」
「色々考えたのか?」
「当時はね、今考えると自分の趣味に走り過ぎていて難しいと思う。
 でも…、可能性として、もっと現実的な店を考えてみたいかも、中学生の頃にぼんやり考えてたのは利益とか度外視したものだったのよ。」
「カフェか…、国道沿いにお洒落な店が有れば嬉しいかもだけど、ここに来るのはお年寄りが中心で後は家族連れ、若者向けの店は難しいかもな。」
「お年寄りでも入り易いお洒落カフェは難しいのかしら?」
「そうだな、外装を古民家とか昔のイメージにして、提供するメニューに工夫を凝らせば、後は如何に情報発信して行くかだけな気がするぞ。」
「有かな…。」
「良かったら、その話を進めてみてくれませんか。
 実現出来なくてもその過程を映像で記録、それを編集すればそれなりに見て頂けると思うのです。」
「姫、企画を進めて行くだけの資金は心配いらないと言うことですか?」
「ええ。」
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