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バトル-241 [高校生バトル-25]

「お兄さま、遠江大学にアルトバルやこのエリアの歴史文化に関する研究室を立ち上げてみてはどうかな?」
「悪くはないが、雅、どうしてだ?」
「仲良くなった人が留学先として遠江王国を考えたいと言い始めてね。
 それならまずは誰でも参加出来る遠江大学からが良いと思うのだけど、参加してもほとんどの中高生は研究状況を閲覧しながらの自主的な研究に限られてしまうでしょ。
 でもアルトバルに関する研究なら、彼らこそが主体的な研究員に成れると思ってさ。」
「そうだな、我々にとっても彼らの考えに触れる機会を増やせると言うメリットが有るね。」
「彼らは自分達の歴史文化に対して興味がないのか、その辺りの知識が乏しいのよ、植民地時代が有ったのだから、その時の宗主国との関係は無視出来ないと思うのだけど。」
「街に当時の名残が有っても、若者は意識していないと言うことか。
 今後アルトバル支社や周辺諸国に立ち上げる支社にとっても、そう言った研究は必要だよな。
 彼らを取り込んで研究して行く意義は大きそうだが、彼らは遠江大学の特殊性を理解出来ているのだろうか?」
「卒業が無く大卒資格の得られない大学だとは強調しておいたけど、まだ一般的な大学のことも良く分かってないみたい、兄が隣国の大学へ進学したと言う人でもね。」
「中学生なら仕方ないか、彼らと遠江大学関係者との交流はどうなってる?」
「まだこれからよ、今までは貧困問題関連の人が中心で、富裕層の子弟に対する教育、その改革を考える人達は到着して間がないもの。
 貧困層と違って帰国してからでも連絡が取りあえるからと優先順位を下げたでしょ。」
「そうだったな、雅達が先に仲良くなり両者の間を取り持つと言う作戦は上手く行きそうか?」
「多分ね、私達とも面識の有るスタッフだから、ここからが意識改革の本格スタート、アルトバルの改革に向けて足掛かり作りが始まるのよ。」
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バトル-242 [高校生バトル-25]

「雅、雅達が交流してる人達にも動画に出て貰うのだろ。」
「勿論よ、アルトバルを紹介する動画を制作中ですからね。
 これまで録画して来たものと、これから撮影する台本に沿ったものを編集して日本語チャンネルと英語チャンネルへ、それとは別に本格的な観光案内を制作して、アルトバル国の公式サイトに上げる方向で調整してるの。
 アルトバル国が遠江王国を国として認め国交を結ぶと言う式典に合わせて行われるお祭りで、彼らは民族衣装姿を披露してくれることになってるのよ。」
「雅達も着物姿を披露するのだよな。」
「暑いから撮影は屋内のみ、屋外での撮影は浴衣姿だけど、ここでは水着の上に浴衣と言うパターンを提案してみようかって。
 観光客向けにと考えているのだけど、海辺で浴衣を脱ぎ始めたらちょっとエッチで、お兄さまも嬉しいでしょ。」
「雅達の水着姿は撮影NGだからな。」
「はいはい、見せるのはお兄さまだけにしておきます。
 でも浴衣をリゾートウエアとして流行らせられたら、新しい文化として面白くない?」
「浴衣姿と水着のギャップは確かにな、浴衣は送って貰うのか?」
「ええ、売れ残ってるのを安くまとめ買い、次の船便で届くことになってるの、問題は上手く着て貰えるかだけど何とかなるよね。」
「う~ん、それなりに練習しないと作り帯だとしても上手に着こなせないと思うが…。」
「そこが良いのよ、着るのに少しハードルが有ることが逆にファンを生み出すことになりそうな気がしてさ、ここで着方を覚えたと言うことがリゾート地での思い出にもなるでしょ。」
「そうだな、ただ受け身だけの観光では無く、体験型の観光を企画して行きたいとは考えている。
 初めは下手でも、着方を覚えたらまた着てみたいと思うかもな。
 お土産としての販売も視野に、ここで浴衣を作るか。」
「そうね、日本的な図柄だけでなく大胆に、アルトバルのイメージに合わせたデザインが有って良いかも、ここのデザイナーにお願いする?」
「デザイナーの需要はあまり無さそうだから、デザインを本業にしてる人がいるのかさえ微妙だと思う、日本からの観光客も意識しているのだから、まずは日本のデザイナーに発注すれば良いだろう。
 温泉旅館で使われている様な簡単な物も含めてバリエーションを考えてみよう。
 観光地価格で利益率を高めに設定出来るし、日本で売れ残った商品を冬に販売と言うのも可能だ。
 ここで定着させるまでが問題だが。」
「そうね日本人観光客が違和感を覚えるのか親しみを覚えるのか…、まずは浴衣が届いたらここの連中に着せてみて、その反応にもよるのだけど。」
「始めは物珍しさから興味を持っても…、本格的に取り組むのなら一工夫必要だろうな。」
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バトル-243 [高校生バトル-25]

「次郎兄さん、船便で届いた浴衣はアンテナショップにも置けるぐらいの数だった?」
「ああ、雅達の要請だからと頑張って売れ残りを集めたのだろう。
 でも売れ行きが悪かったら行商、頑張ってくれな。」
「それは大丈夫だと思うよ、雅と詩織が浴衣の着付け教室を開くし、チーム妹で着付け方法を解説する動画を作成してるからね。
 可愛く着こなしている姿を見たらみんな欲しくなるさ。」
「かもな、二人は早速どれを誰に試着させるか相談してたよ。」
「他はどんな商品が積んであったの?」
「観光客向けのグッズが中心だな、今まで土産ものとして売られてきた商品とは質の違いで差別化を図ろうと制作して貰ったのがお祭りに間に合った。
 日本人観光客がメイドインジャパンの商品を買うかどうかは微妙だけど、ここに来る前カナダのお土産として貰ったのはメイドインチャイナだったから、あまり気にしないのかも。
 後はアンテナショップで売れ行きが良かった物と新たに試してみる商品、ここのスタッフはお祭りで一気に売り捌くつもりなのだろう。」
「何が売れるかお楽しみ、とは聞いてるけど、売れなかったら不良在庫だよね。」
「アンテナショップの店員は商売上手だからひどい事にはならないだろう、彼は給料面で優遇してるのか?」
「うん、新店舗の店長候補としてそれなりにね、でも売るのは上手くても管理業務は任せられそうになくて、当面は日本人スタッフが管理を担当し彼には名物店長になって貰うと聞いてる。」
「経理スタッフも見つかっていないのか?」
「隣国で働いてる妹を呼び戻すから雇って欲しいと言う話が有って確認して貰ってるのだけど、特別なスキルを持たない社員とは給与条件に差を付けざるを得なくて…。」
「揉めるかも知れないってことなのか?」
「試行錯誤だから多少揉めることは覚悟の上だけど、多少で済まなかった場合も検討しないとダメなのだとか。
 女性は低く見られてるでしょ。」
「そうだな、富裕層ではそれほどでもないみたいだが、転職して給料が下がるのは本人も嫌だろうし難しい所だな。」
「一応大きく揉めたとしても、力の有る女性をその能力に見合った給料で雇って行くと言う方針を示す意味で、前向きにとお願いしておいたよ。」
「ここでの意識改革はそんな所にも気を配って行く必要が有るのだな…。」
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バトル-244 [高校生バトル-25]

「お祭りの露店を気楽に見て回るのは難しそうなのね。」
「雅は王家の一員としてここでも有名人になったからな。
 社員一同に警護されての撮影だけになってしまうが、それを楽しんでるフリだけで我慢してくれよ。」
「遠江王国フェスタと言うことで夏祭りをイメージした屋台も出すのでしょ、何が売れるのかこの目で見たかったな。」
「確かに自分で確認しておきたい所では有るな、アンテナショップの役目も果たして貰うのだから。」
「売れ筋を見極め、建設中の店舗で通年販売するのよね。]
「ここには今まで無かったタイプの店にするからな。」
「ねえ、あの店舗の建設資材って日本からの船便で運んだと聞いたわ、割高ではなかったの?」
「ここでは思うような材料が手に入らないんだ、近くの国で集める手間を考えたら大したことないし、日本である程度造り上げて有るから、ここでの作業が簡単で早いだけでなく、デザイン面で他の建物との違いを強調することが出来、宣伝効果も見込めるんだ。」
「そっか、一軒だけ浮きそうだと思ってたけど、それを狙ってるのね。
 でも、他の商店から売り上げを奪ってしまうことにはならないかしら?」
「商品のラインナップが大きく違うから大丈夫だろう。
 基本、うちで扱うのは観光客向けになるからな。
 あそこは観光の中心地として再開発して行くつもりでさ。
 周辺の商店も様子を見ながら少しずつ建て替えて行く話を進めているんだ。
 どう言う契約を交わして行くかは検討中だけど、商店主にとって悪くならない様に配慮しつつ、あの一帯をショッピングセンターの様な形にして集客を目指して行く予定、隣国からでも遊びに来たくなる様な規模を目指してね。
 ここにはショッピングモールみたいな大規模店がないから狙い目なんだ、地元の店と競合するのではなく、彼らを取り込むことで彼らの利益も上げて行くのなら問題が起きにくいだろ、観光PRに力を入れて全体の来客を拡大して行く計画も有るのだから。」
「彼らにとっては外国の資本に荒らされる様な感覚にはならないのかしら?」
「初期投資は少しずつの回収に止め、利益はここに投資と言う形を崩さなければ軋轢は生まれにくいと思ってる、経済活動を活性化させるきっかけだからな。」
「そうね、土産物屋は有っても観光客がショッピングを楽しめる所は少ないものね、客が増えれば雇用の拡大にも繋がるのかな?」
「ああ、今建ててる店で働く人も研修中だからね。」
「研修か…。」
「レジ打ちから店内のシステムまで、ここの人達にとっては慣れないものばかりでさ。」
「そうね、レジ一つにしても旧式で輸入品に何故バーコードがついてるのかさえ知らさそうだわ。」
「まあ、観光客を呼び込めないと初期投資の回収もままならないのだけどな。」
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バトル-245 [高校生バトル-25]

「記念式典はどうにか問題なく終えられたわね。」
「春子姉さん、問題は明日のステージだよ、観客は僕らの演奏を聴くために海外から来てくれた人ばかり、この国に外貨をもたらしてくれた人たちをがっかりさせる訳には行かないだろ。」
「大丈夫、第三王子夫妻の姿を生で見られるだけでも来た甲斐が有ったと思って貰えるわよ、真子には多少ミスした方がライブ感が出るのだから、思い切ってと話しておいたわ。」
「ああ、聞いたよ、それでも…。」
「詩織と雅はすっかり仕上がっているのだから大丈夫よ。」
「うん、色々忙しいだろうに歌唱力がぐっと上がったな、先生も良かったのだろうけど、先生は二人の素直さを褒めてた。
 指導されたまま素直に歌おうとする気持ちが大切だとか。」
「三郎達もそうだったのでしょ。」
「う~ん、そう言われてみればそうだったかな。」
「技術面は先生に言われるがまま、表現は自分達でも考える、先生の指導方針は貴方達に合ってたと思うの、私は邪念が邪魔して歌は今一だったけど。」
「明日のピアノは頼むよ、ずっと春子姉さんのピアノで歌って来たのだから。」
「あっ、私にプレッシャーを与えようとしても無駄よ。
 どうせ私のピアノなんて誰も聴いて無いだろうぐらいの感覚で気楽に伴奏してるのだから。」
「姉さんの特技みたいなものか、その割に評判が良いのだからずるいよ。」
「評判が良いと言ってもプロでも無いのにと言う言葉が添えられる、だから気楽なの。」
「僕等もプロの音楽家と言う意識は弱いのだけど、音楽でかなり稼がせて貰ってるから、今更プロでは有りませんとは言えなくて…。」
「立派なプロじゃない、アメリカからプロの音楽関係者がわざわざ聴きに来てくれるぐらいの。」
「姉さんは僕にプレッシャーを掛けたいのかな?」
「三郎はプレッシャーが強いほど結果を出すでしょ、明日の観客はきっと満足して帰るわよ。」
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バトル-246 [高校生バトル-25]

「雅、ぼ~っとして、大丈夫?」
「うん、昨日のステージの余韻と言うか、凄く盛り上がったよね。
 YouTubeチャンネル向けの演奏ではお客さんがいないし、遠江王国で舞台に立った時も盛り上がりはしたけど昨日は熱気が違ったわ。」
「僕らのステージの為に飛行機や船で来てくれた人たちだからな。」
「YouTube中心の活動でも熱心なファンを作れてたのね。」
「そうだな、一本一本の映像を丁寧に作ることで質の高いコンテンツにしているだろ、昨日話した人はテレビを見てるより楽しくて、すっかり遠江王国のファンになり日本語のチャンネルもチェックしてるのだとか、日本語講座チャンネルを開設する予定だと話したら喜んでたよ。」
「日本語講座は様々なシチュエーションで基礎から応用まで、本数が少ない内は物足りないかもだけど講座を通して遠江王国や日本を知って貰おうとスタッフは張り切ってるみたい。
 動画インデックスのホームページは複数の言語で閲覧出来る様に、一郎兄さまのスタッフが動いてくれてるから見易いのが出来ると思うわ。」
「多くの人が関わるとなると、それぞれへの報酬が気になる所だが大丈夫なのかな?」
「運営スタッフがその辺りの契約内容を提示し、利益はアルトバルを中心としたこのエリアの教育を充実させる活動へと言う方向で納得して貰えてるみたい。
 詩織の提案に反対する人はいないのよ。
 元々お金儲けの為に講座動画を作成しようと考えてる人は少ないからね。」
「少ないと言うことは居るのだな。」
「高校生部会にはね、そう言う純粋な気持ちで良い動画を作成してくれるのならプラスになるでしょ。
 欲が先行して内容が伴わない可能性も有るのだけど。」
「結果は数字に表れるからな。
 チーム妹の企画は進んでるのか?」
「うん、メンバーの中には日本語教育を自分の仕事にして行きたいと考えてた人がいて、その人中心に言葉を教えることを学習するチームが立ち上がったの。
 YouTubeコンテンツは評判を見ながら撮り直して行くことを前提に、週一更新でスタートさせることが決まってね、考え過ぎるよりまず始めてみて試行錯誤とことで。」
「そうだな、ニーズに応えながらが一番良いだろう、そのニーズを聞くには完成度が低くても始めてみないとな。」
「そんなことも詩織が中心になって進めているのか?」
「中心と言うより、私と詩織は報告を受けて思ったことを伝えてる、少しだけど実際に日本語を教えてる立場からのアドバイスをね。
 詩織が運営面の実務的なことにまで口を挟むべきでは無いでしょ。」
「そうだな、そこまで考えてるのなら安心だが、バカンスは楽しめてるのか?」
「ええ、毎日が新鮮、大きなイベントが終わったから、帰国までの日々はのんびりとアルトバル国中を案内して貰うつもりよ、撮影チームに同行して貰ってね。」
「観光案内向け?」
「それも有るけど、YouTubeチャンネルを充実させる為の企画も考えてるの。」
「へ~、どんな?」
「それは内緒よ。」
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バトル-247 [高校生バトル-25]

「父さん、市長が長期間市を離れても問題は起きてないみたいだね。」
「ああ、副市長や市の幹部がしっかりやってくれてる。
 ネット環境に問題が無かったから市長室がアルトバルに移動しただけのことで、思っていた以上に仕事はスムーズだよ。
 台風が接近した時は緊張したが何事も無かったからな。
 市長の長期海外滞在について批判も有るが、普通に働いてると言うことはテレビ局の取材で理解して貰えただろう。」
「思ってたより日本からの取材が多かったね。」
「それは批判のおかげかもな、理由は兎も角我々の活動を伝えてくれるのは有難いことだよ。
 三郎も観光客を呼び込みたいのだろ。」
「うん、今は遠江王国関連行事の影響も有って宿泊施設は満室だけど、この先は分からないし、我が社でも一般観光客が利用し易い価格帯のホテルを建てて運営して行くからね。」
「建設費は銀行からの借入になるのか?」
「大きなホテルではなく小規模でスタートするからその必要は無いと思う。」
「小規模だと効率的にどうなんだ?」
「単にお金儲けだけが目的なら非効率かも知れないけど、ここで従業員を雇い入れ研修をしながらと考えてるからね。
 従業員の質を向上させつつ観光客の呼び込みを進め、問題が無ければ増築して行くことを前提に設計して貰ってる。」
「観光客が増えれば良いが、そう言えば雅達は今後のYouTube展開を成功させ、ここに遠江王家物語の聖地を作り出すと言ってたな。」
「あっ、僕に内緒にしてたのはそれだったのか。」
「はは、三郎と一緒に出掛ける機会が少なくて残念そうだったぞ。」
「まあ、大きなイベントが終わったからこれからはね、彼女の友人達と会わなくてはいけないし、どこを聖地にして行くのかも教えて貰わないね。
 ストーリーはどうするのかな?」
「ストーリーを考えて貰う為の参考映像と言う意味合いも有るそうだ、ストーリーが完成したらそのまま使える映像とも考えて撮影しておくそうだが。」
「人物は後で合成するか…、編集で何とでもなるかな、多くの登録者を裏切らない作品に出来れば良いのだけど。」
「登録者が増えて、グッズの売り上げはどうなんだ?」
「順調に伸びてるよ、遠江王国とアルトバル国、国交樹立記念グッズもね、記念グッズを発売出来るイベントは今後も開いて行きたいよ。」
「利益を出し易いのか?」
「うん、お金に余裕の有る人達は記念ならと必要のないものでも買ってくれるでしょ、それによって経済が回るからね。
 安く手に入る手作りの民芸品を少しアレンジして高級感を出した記念グッズが結構売れていてね、そのまま貧困層の生活改善に繋げられそうなんだ。」
「なるほど…、物の価値は微妙だからな。」
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バトル-248 [高校生バトル-25]

「詩織、社会問題に関しては詩織が彼らに教えたのか?
 思ってたより話がスムーズだったよ。」
「ええ、私達と話せるのなら話の内容は難しくても構わないそうで、日本語を教えるだけでなく社会と個人の関係などを話をして来た成果です。
 ただ、英語で彼らの知らない単語を説明するのには苦労しました。」
「だろうな、それでも苦労した分だけ詩織の英語力が向上したのではないのか?」
「そうですね、英語で考えてる時間が長くなりましたし、電子辞書を使う回数がぐっと減りました。」
「うん、ここで雇用した人達も英語は理解出来ても仕事で使う単語は通じないことが結構有ってね、自分も単語を英語で説明することで英語力が鍛えられたと思う、言葉は使うことが一番の上達法だよな。」
「はい、特にここはイギリスでの表現が主流ですので戸惑うことも有りまして、色々な国の人が話す英語と接してみたいと思っています。」
「先日会って支援を申し出てくれた人の英語は癖が強くて苦労したよ、あれは方言だったのかな。」
「ふふ、雅は日本語を教える時、敢えて遠州弁を使ったりしてるのですよ。」
「えっ?」
「まあ、他県の人が聞いても分かりそうな範囲にしてるそうですが、遠州なまりの日本語を話すアルトバル人は雅の弟子だと分かる様にするのだとか。」
「雅らしい発想だな、詩織は東京育ちで方言に対する思いは有るのか?」
「あまりないです、遠江への移住がもっと早かったら遠州弁に染まっていたのかも知れませんが家で遠州弁を使う人はいませんので。
 言語は使うことで身について行くのですから、彼らが日本へ留学したら方言に関する雅の教育成果はすぐに消えてしまいますよね。」
「留学先が遠江王国だったら分からないぞ。」
「でも、海外からの留学生を受け入れそうな学校は有りますか?
 高校生の日本国内留学は受け入れていますが。」
「う~ん、遠江王国の公用語は敢えて日本語と英語にしたのだから、国としても留学生を受け入れて行く体制を…、今後の課題として考えて行くべきだな。」
「英語を公用語にした割には使われていないですものね。」
「それでも英語表記を街中に増やしたことが学生の英語力アップに繋がってとは聞いてるよ、詩織には関係のないレベルの話だけどな。」
「そうでもないです、英語表記を目にした時は英語で理解し判断する様にしていますので。」
「そのまま買い物も英語でしてみたら?」
「英語の苦手な店員さんに嫌がられそうで出来ません。」
「そっか…、でも、海外からの観光客を意識してる店の店員はトレーニングしたいかもだぞ。」
「それなら、その辺りのことが分かる表示が必要です。」
「確かにそうだな、チーム妹発で提案してくれないか、直ぐにそれを受け止める形で検討委員会を立ち上げて貰うから。」
「分かりました、中学生からの提案と言うことにしておきたいのですね。」
「ああ、高校生部会の連中、詩織からの提案に対する反応は異常に早いからな。」
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バトル-249 [高校生バトル-25]

「詩織はここの言語を学習してるだろ、少しは会話出来る様になったのか?」
「手も使えば買い物ぐらいは出来ます。」
「そうか、言葉だけがコミュニケーションツールではないものな。
 もっと学習して極めて行く?」
「先々使う機会が有ればですけど…。」
「周りの国々でも通じるだろ、周辺諸国歴訪の旅には付き合ってくれないの?」
「学校が有りますよ。」
「休めば良いじゃないか、高校受験に問題はないのだろ。」
「そうですね、遠江王国の高校なら、でも父が何と言うか分かりません。」
「大丈夫さ、ここでも生きた学習が色々出来てるだろ、学校で学べないことが学べ体験出来る機会なのだからさ。」
「真子姉さまと二人では心細いのですか?」
「そうではないが、あちこちから妹達にも来て欲しいとオファーが有ってな。」
 才能有る美少女に憧れるのは日本人だけではないんだ。」
「雅は?」
「さっき話したら喜んでた、学校に対するこだわりがないし、学習に関しては学校へ行く必要のないレベルだからな。
 詩織も高校生バトルでは高校一年生レベルで結構上位だろ。」
「中学三年としてはですが。
 もし、周辺諸国歴訪の旅に同行させて頂けるとしたら、私は何をすれば良いのですか?」
「社会の中で貧困状態にある子ども達をどう引き上げて行くか、それによって社会がどう変わって行くかのビジョンを、ここの人達に伝えた様に話して欲しいかな。
 ここでも充分注目されたと思っているが、次はもっと注目されそうでね、僕らの演出を考えてるのは次郎兄さんだけでなく各国にいて、詩織のスピーチを見た人達が是非にとリクエストして来たのさ。」
「目新しい話は出来ないですよ。」
「同じ話で良いさ、美少女が人の心を動かす話をする、そこがポイントだな。
 むさくるしいオジサンが同じことを話しても人の心には届きにくいが詩織は一回のスピーチでファンを一気に増やした、それは詩織のスピーチが分かり易く人の心に届くものだったからなんだ、自信を持って良いと思うよ。
 英語でのスピーチは随分時間を掛けて準備したのだろ?」
「はい、良い経験になりました。」
「息子と付き合わせたいと考えてる輩もいるが、そこは地理的な問題も有る、適当にあしらって構わないがメールのやり取りをして教育しても良いからな。」
「教育ですか、確かにここの学校では社会学系のことが軽視されてるみたいですので…。
 チームを組んで対応しても良いですよね。」
「そうだな、ボーイフレンドが増えたら一人で対応するのは大変だろう、相手にもチーム詩織だと明かしておけば問題は起きにくい…、のかな…。」
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バトル-250 [高校生バトル-25]

「春子姉さん、今日は詩織達の友達に通訳して貰って貧困層の子ども達と話して来たのだけどね、やはり姉さんが通訳を通して聞いてた話とは違っていたよ。」
「若い子は正直に訳してくれたと言う事かしら?」
「だと思う、雅達が少し分かる様になったから誤魔化せないでしょ。
 雅と同い年の子は仕事がきつい割に収入が少ないとか教えてくれてね。」
「そっか、通訳を通しての調査では通訳に上手くかわされてる感が有ったのだけど、それで、そう言った子達に対して何らかの対応をして行くの?」
「直ぐにここのスタッフと相談を始めてね、一応英語の学習をしながら事務所の雑用を担当して貰う方向で、まずは三名ほどで始められないかと。
 彼らの日当を肉体労働で貰ってる額の倍にした所で大した金額ではないから、英語を教え職業訓練をしながらと言う形を考えてる。」
「三名ぐらいなら余裕と言うことなのね、職業訓練としては何をメインにするの?」
「観光客相手のサービス全般を学んで欲しいとは思ってるのだけど、それぞれの資質が分からないから農業改革関連の仕事も並行して学んで貰おうと思ってる。
 観光客向けにと試してる果物や野菜が上手く行きそうでさ。」
「ここの気候に合うものが見つかったのね。」
「土壌改良の結果でも有るんだ、ここの人達は農業に関する知識がなく、痩せた土地で栽培してるから収穫量が少なくてね。」
「隣国からの食糧輸入に貴重な外貨を使ってる現状は改善出来るのかしら?」
「多分ね、これから農場規模を拡大しつつ農家の人を雇用して行く方向で動き始めてるんだ。」
「プランテーション?」
「それに近いかな、でも栽培する作物は種類を多くして天災などによる不作のリスクを軽減し八百屋の品揃えを充実させて行こうと考えてる。」
「輸出は考えてないの?」
「まず儲けを考えられる観光客向けから。
 一通りの環境を整えられたら日本人シェフを招き、ここの人達に調理の修行をして貰うと言う案も出ていてね。
 質の良い、日本人観光客向けの料理を用意出来れば、他の国からの観光客にも喜んで貰えるだろ。」
「そうね、長期滞在と言うことも有るけど、結局自分達で料理した方が口に合うもの。
 日本レベルの食文化を定着させられたらリピーターも増えるでしょう。」
「雅と詩織、二人で作ったカレーが好評だったからね、ルーは市販のを使ったのだけど。」
「ここの料理って香辛料の使い方が日本人向きでは無いと思ってたけど、彼らにも合っていなかったのかしら?」
「はは、それは無いと思うけどアンテナショップで日本式の料理を試してみることにしたんだ。
 新店舗のオープンに向けて、お祭りで好評だったたこ焼きとかと一緒にね。」
「う~ん、ここの食文化が一気に変わりそうな気がするわ。」
「出来ればそうしたい、今までここには無かった美味しい物を食べる為に仕事を頑張ってくれたら、経済活動が活発になると思わない?」
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