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近衛予備隊-421 [高校生バトル-85]

 日本から遠江大学教育学部の関係者が王宮を訪れ会食する予定が有ったので、佐伯学長との話は色々参考になると思っていたのだが…。

「大統領、我々は学校の運営にとても興味が有り、王立大学の教育学部と交流して来たのですが、遊びも兼ねて見学させて貰いに来たのです。」
「そうでしたか、遠江大学の皆さんにはとてもお世話になっていまして感謝し切れないです。」
「いえ、我々としては子どもを評価しない学校がどうなのかが気になっていまして、教育の在り方を研究させて頂いてます。」
「まだ完成された学校制度だとは思っていませんので、参考になるのかどうか。
 詩織さまの指示に沿って整えられた制度ですが、日本の教育制度とは随分違うと聞いています。」
「ええ、日本人は評価したがる人種なのか、小学生に対してもテストをし点数を付けて優劣を示してるのです。」
「子どもを評価して何か意味が有るのですか?」
「高得点の子やその親が優越感に浸れるのですが、その程度でしょうか。
 ここの試験は次に進む権利を得るための試験で有り、子ども達が競い合うゲーム的要素が加えられ学習意欲を掻き立てるもの。
 それ以外にテストは行われず教師は子ども達を評価しない、する必要が無いのですよね。
 日本の小学校では教師が多忙だと話題になっているのですが、彼らは子どもと向き合う時間より、子ども達のテスト結果を評価したり雑事に追われている時間が多いのです。
 評価をしても、頭の良い子は内容の薄い授業に退屈し、理解力の弱い子は授業について行けず退屈している状況に変わりはないのですけどね。
 実際にここでの授業風景などを見させて頂きましたが、細かく分けられた進級試験を通った子で構成されるクラスは理解力が同程度の子で構成されていますので教師も全員を退屈させない授業が出来、しかも授業形式の時間は短く、自学自習能力を身に着けさせることを目的とした自習時間を充分に取った上で、それが教師や先輩に質問出来る形にして有ることの意味は大きいと思います。」
「自分が近衛予備隊に入隊してから、基本的には変わっていないのですが。」
「近衛予備隊が高等学校となり生徒を増やし続けてると聞いていますが、それはこの自由な学習システム有ってのことだと思います。
 十一歳ぐらいの子が日本では十四歳ぐらいで学習する内容に普通に取り組んでいますし、十五歳の子が基礎計算練習に取り組んでいても何の違和感がない。
 日本の教育に関わってる連中の馬鹿さ加減を改めて感じました。」
「それは…。」
「日本の十五歳は基礎計算が怪しくても数学の授業を受けさせられるのです、勿論理解出来ません。
 全く理解出来ない授業を受けさせられ、寝てたら怒られるのです。」
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近衛予備隊-422 [高校生バトル-85]

「寝てるのなら周りに迷惑を掛けないので問題ないと思うのですが。」
「実際、無理して起きてた所で身に付くことは無いので問題ないのですが、つまらない自分の授業を聞かせたがる教師が少なく無いのです。」
「無理強いをしつつテストして評価してるのですか?」
「入学試験の時に、その評価が影響しますので。
 ここの様に小学生が規定の単位を取り希望したら中学生になれるとか、高校生が更に上のレベルで学びたい、研究したいと思ったら大学生になれるという制度では無いのですよ。
 高校受験だけは同じかと思っていたのですが、人物審査に重きを置いていると知りまして。」
「日本の高校では面接をしないのですか?」
「形式的にしている学校が多いです、ただ、こことは違い高校生イコール、エリートではないのです。
 人間的に多少問題が有っても学力試験で点を取れれば高校に合格、また、学力に問題が有る子を受け入れてくれる高校も有ります。」
「高校の基準が違うのですね。」
「ええ、大学進学を目指す子向けの高校や、取り敢えず高校卒業の資格を得ることだけを目標にする高校など様々で、ここのシステムを見させて頂いて改めて考えさせれています。
 日本の名門大学に入学するだけの学力が無くても、ここの高校生は人としての総合力が高いと噂では聞いていたのですが、ここに来て彼らと接し、それを実感させられました。
 私が接した子達は、この国を豊かにするためにとか、詩織さまの国を恥ずかしい国にしたくないとか、働きながら学んでる子が多いみたいですし。」
「実習を経て職に就く、そこでどんな知識が必要なのかを知り、高校サイドに更なる学習の手助けを求めて来る子もいます。
 それが新たな選択科目として高校生に提示されたり、それを大学で学べる環境を整えたり、そんな形で高校や大学は成長しているのです。
 もっとも、大学は趣味的な学部が多いのですが。」
「趣味の延長でも、そこからイベントに繋げ大学の運営費を稼いだりしてると聞きました。
 日本の学生にもイベントで稼ぐ子は居ますが、ほとんどが私利私欲の為。
 大学に合格する為の学習をして来ても、人としての総合力を養う学習とは無縁なので社会の為にと言う意識が弱いのです。」
「豊かな国で育った子と貧しい国で育った子の差でしょうね。
 ここは心の貧しい大人の多い国ですが、高校生達はエリート意識を持って頑張ってくれています。」
「その象徴が近衛予備隊の隊服なのでしょうか?」
「ええ、隊服を着るのに相応しく無い子は能力が高くても高校生になれないシステムになっています。
 勿論、試験の為に自分を取り繕って合格する子もいますが、そんな子でも高校生になり先輩からの指導を仲間と共に受ける内に、隊服の似合う高校生になって行くのです。」
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近衛予備隊-423 [高校生バトル-85]

「隊服の似合う、ですか…、それも教育の成果なのですね。
 私達遠江大学教育学部のメンバーは、日本の教育システムが現代社会にそぐわない様々な欠陥を抱えていると考えています。
 教育の問題だけでなく社会の問題でも有るのですが、詩織さまのここでの取り組みは我々をあざ笑うかの如く、理想を形にされていると感じました。」
「理想とまでは言えません、自分は詩織さまの助言を受けて今の学校制度を作っていますが、先進国の制度とは比べられないレベルだと思っています、特に理数系が伸び悩んでいまして。」
「いえ、子ども一人一人が、それぞれの力量に応じて成長出来る環境を作り出しているのですから問題ないです。
 理数系は先進国の子でも苦手な子は少なく無いのですよ。」
「そうですか、小学校の教員達は試行錯誤を続けているのですが。」
「試行錯誤はとても重要なことだと思っています。
 型に嵌った学校制度では試行錯誤の余地は限られてしまいますが、子ども相手の教育現場は試行錯誤の連続になるのが本来の姿ではないかと。
 ここの小学校の強みは、試行錯誤出来る教員に有るのかも知れません。
 笑えない話なのですが、ボケ易い職業に教師が含まれるという説が有りまして、その根拠は毎年同じことを同じ様に教えてるからだとか。
 真偽の程は分かりませんが、実際にそんな授業をしている教師もいるのです。」
「長年教師を続けていると、そうなってしまうのも仕方ないかも知れません、一応我々の小学校は高校生の実習生を含め若い世代で回して行けたらと考えています。
 年長者は別の角度から子ども達を見たり、全く違う仕事に就いて貰うのも有りだと考えていまして。
 我が国で義務教育が始まるまでにも私立の学校は有ったのですが、そこで教えていたのは子どもの目に魅力的とは映らないお年寄りが多かったのです。
 それが義務教育の学校が安定し始めた頃に私立学校から転校する子が一気に増えた理由の一つで。」
「そうでしたか、日本の私立学校の中には公立学校を定年退職した人を積極的に雇ってる所も有りますが、先生がお爺さんばかりだと嘆いてる生徒がいました。
 調べてみると教え方も古くて…。
 今は試行錯誤しながら懸命に子ども達と向き合ってる教師でも三十年もしたら分からないですものね、若い世代で回して行くと言うのは正解だと思います。
 日本の教育システムには、どんな問題が有るのですか?」
「我々が一番問題視しているのは、学力ばかりが重視されていることです。
 本来、一人一人の子が、その能力をその子なりに伸ばし、社会に出て自力で生きて行ける力を身に付ける手助けをするのが教育だと思うのですが、取り敢えずレベルの高い学校へ進学出来れば、その先に優良企業への就職が有ると考えてる親もいまして。
 それが上手く行けば良いのですが、様々な失敗が待ち受けています。
 挫折を経験して来なかった子ほど脆く、時には精神を病んでしまうことも有るのです。」
「う~ん…、良く分かりませんが、色々自由なうちの子達は幸せなのでしょうか?」
「はい、今回彼らと接して、それを痛感しました。
 子ども達は何時も元気で楽しそうでしたから。」
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近衛予備隊-424 [高校生バトル-85]

「子どもは友達と遊んでいれば何でもないことでも楽しいのではないのですか?」
「ですが、遊びの時間だけでなく学習の時間も楽しそうで、教師たちの試行錯誤の結果なのかも知れませんが、時間配分や学習方法に工夫がなされていると感じました。
 自習時間の後半に子ども同士教え合っている姿が微笑ましくて、小学校でもライバルと協力しながら学び競い合うと教えているのですね。」
「近衛予備隊出身の教員にとって、その様な指導は当たり前のことで、競い合ってはいますが子ども達は目標を先に置いている筈です。」
「日本には学習課題をクリアしたら先に進めると言う発想がないのです。
 与えられた課題に対するテストは行われますが、その理解度や点数に関係なく次へ進むのが一般的で、学校へ一年通ったら進級し卒業となります。
 私が見学させて貰った小学校が成功してると感じたのは、子ども達の多くが自ら先へ進もうと考えていたからで、彼らにそう思わせてる教師の力量も高いのでしょう。」
「彼らは教師が教える技術を高めるより、子ども達がゲーム感覚で学習に取り組み、もっと上を目指したいと思える環境を整えることの方が効率的だと考えています。
 パソコンを使える環境をもっと充実させたいのですが、少しハングリーな環境も必要だと現場から言われましてね、彼らなりの予算を無理に組まなくても良いという優しさでも有るのですが。」
「パソコンを利用した学習に憧れてる子が、パソコンを利用する権利を得るために学習を頑張ると言う構図は悪くないです。
 小学校では交代で使うぐらいが調度良いのでしょう、もっと自由に使いたい子は高校を目指して頑張るのですね。」
「ええ、高校では自分達で稼いだお金を使ってパソコンを手に入れる子もいますので助かっています。
 古いパソコンも使われていますが、タイピングの練習やワープロ機能を使うだけなら問題はなく、パソコンの維持管理も彼らにとっては学習の一環、日本から中古パソコンを寄付して貰えなかったら、パソコン学習はここまで進みませんでした。」
「パソコン学習に力を入れてるのですね。」
「勿論です、国際社会でも通用するレベルの子を増やして行かないと国力は上がりません。」
「それで、佐伯学長はシステムエンジニアの育成に力を入れておられるのですね。」
「彼は単純に会社でシステムエンジニアが足りなくなると考えてるだけかも知れませんが、観光産業で何とか立て直した国の経済を今後も伸ばして行くとなると、力の有る技術者育成は不可欠だと考えています。
 子ども達は高校生になって初めてシステムエンジニアやプログラマーと言う職業の存在を知ります。
 そこから、それらの職業を目指して貰うには、シンボルにも成る立派な建物を建て、力を入れていると感じさせる必要が有ったのです。」
「あの綺麗なオフィスにはそんな背景が有ったのですか…。」
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近衛予備隊-425 [高校生バトル-85]

「宮殿エリア内に建てられたものには大人も子どもも興味が有り、あの目立つ建物は何かと尋ねると会社の情報システム部門だと教えられます。
 大人でもコンピューター関連について知らない人は多いので、更に詳しい説明を求める人もいるのだとか、シンボルにはそんな意味合いも有るのです。」
「成程、少なくとも自分とは違った次元の仕事をしている人達がいると理解して貰うのですね。
 ですが、子ども達は良く分からないシステムエンジニアより、近衛予備隊に憧れてるみたいです。」
「それには隊服に対する憧れが有ります、その隊服も有る意味シンボルなのですが、勿論予備隊のメンバーがそれだけの働きをしてくれているからです。」
「十代で有りながら災害時にも活躍してると聞きましたが。」
「ええ、国軍の幹部と連絡を取り合いながら、時には国軍を動かすことも有ります、メインは国軍のサポートですが。」
「近衛隊は動かないのですか?」
「詩織近衛隊は詩織さまの指示を受けて会社の国際展開を担うのが本来の任務です。
 その過程で近衛予備隊の指導に取り組んでくれましたが、今はこの国の雑事から手を引き我が社の貿易部門に専念、全く役割が違うのです。
 大きな目標はこのエリア全体の経済的な底上げですから一国の災害に関わることは有りません。」
「そうでしたか、私にとって近衛隊は謎の組織でしたので。」
「初期は各国の民衆に受け入れて貰う為にパフォーマンスを行っていましたが、このエリアでは詩織さまの近衛隊として知名度が上がりましたのでその必要は無くなっています。
 小規模なパフォーマンスは趣味の範囲で続けられていますが、本業は経済活動の活性化、各国で成果を上げていますので、詩織さまの人気を高めることに貢献しています。」
「そんな活躍をしてる近衛隊に、近衛予備隊から入隊する子もいるのですか?」
「ええ、多くは無いですが実習で近衛隊のサポートをし、そこで認められた子が入隊しています。」
「そんなエリートはさぞかし鼻が高いのでしょうね。」
「いえ、近衛隊に入隊した子は近衛隊に就職したと考えていまして、休みの日には近衛予備隊の隊服を着て予備隊のプログラムに参加しています。
 彼らは永遠に近衛予備隊の隊員で有り続けたいと考えているのですよ。」
「そう言うものなのですか…。」
「近衛隊と近衛予備隊は詩織さまに忠誠を誓うことは同じですが、隊の根本的な目的が違います。
 近衛隊に入隊した子達より優秀な子は幾らでもいますので、変なエリートは意識はないのです。」
「名誉なことでは有るのですよね?」
「どうでしょう、普通に就職すれば直ぐに管理職が見えて来ますが、近衛隊では新兵に過ぎません。
 新兵でも仕事を通して学べる内容は確実多いので、近衛隊で体験したことを近衛予備隊メンバーに伝えてくれてはいますが。」
「何か良い子ばかりなのですね、そうでは無い子はいないのですか?」
「初期メンバーにはそれなりにいましたが、入隊条件を高めて来ましたので今は少ないです。
 たまに道を外れる子もいるのですが、頭の悪い子では有りませんので仲間に助けられ、それなりに立ち直り働いていると聞いています。」
「近衛予備隊の絆は強いと感じてはいましたが…、それはどの様に培われたものなのでしょう?」
「彼らは素直で真っすぐなのです、十二歳で入隊試験を受けられることにしたのは、その素直さを大切にしたいと言う意味も有ったのです。
 それで問題は有りませんでしたので、王立高等学校になってからも変えていません。
 学習に真面目に取り組んで来た素直な子達を、素敵な先輩達が導くのです。」
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近衛予備隊-426 [高校生バトル-85]

「意識の高い子達が詩織さまに忠誠を誓い、大統領に守られていると優しい組織になるのですね。
 日本にも意識の高い子は居ますが、環境が彼らを残念な気持ちにさせてると思います。」
「椙山亮二には会いましたか?」
「ええ、日本の教育環境では彼の可能性を伸ばすどころか潰しかねなかったでしょう。
 彼の父親とも話をしたのですが同意見でした。」
「今の所、彼の様な存在は我が国で報告されていないのですが、この国には現れないのでしょうか?」
「私は色々な人の話から、大統領はとても特別な才能をお持ちでしたので詩織さまに見出されたのだと確信していますよ。」
「そこまで特別だとは思っていませんでしたが、言われてみれば亮二とは違う才能が、う~ん…、もしかすると高い能力の持ち主が埋もれているのかも知れません、見出される環境がなく教育が充実していなかったら、高い才能が活かされないままになってしまいそうです。
 自分は近衛予備隊が無かったら山猿のままでした。
 貧乏なまま町へ働きに出ても大した生活は送れなかったと思います。
 詩織さまが国を改革して下さったとしても…、それこそ底辺で埋もれていたでしょう。」
「大統領程の才能が有れば何らかの分野で頭角を現されたのではないですか?」
「いえ、近衛予備隊で学ばなかったら、ただの労働者になっていたかと、自己アピールの仕方一つを取っても予備隊で学んだことですから。」
「大統領の資質を持つ人がどれぐらい居るのか分かりませんが、その資質を持っていても学習する機会がなかったら、学習する機会が有っても、大統領になれるのは一国に一人ですものね。」
「たまたま詩織さまがここを拠点に選び、たまたま自分達の村で近衛予備隊の募集をした、考えてみると自分が大統領になれたのは、限りなく偶然の産物なのだと改めて思います。」
「そこまで偶然でなくとも、今の教育環境を維持していれば、実力を発揮し活躍している近衛予備隊隊員に続く子も育って行きそうですね。
 ただ、才能を見出す視点を、学校の教員達は持っているのでしょうか?」
「基本的には分かっていると思いますが、より柔軟な視点で子どもの長所を見つける様に話しておきます、子ども達に自信を持たせるのも教師の役目ですので。」
「ですね、子どもの才能に気付き、それを輝かせる、それが例え小さな才能で目立つことは無いレベルで有ったとしても、教師にはそんな意識を持って貰いたいのですが、日本では残念ながら。」
「子どもと接していればそれなり気付けるのでは有りませんか?」
「真面目な教師もいますが、評価や雑事に時間を取られ、子どもとあまり接してない教師は少なくないのです、教員の数も理想には程遠いので、子ども同士の大きなトラブルに気付けないのです。」
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近衛予備隊-427 [高校生バトル-85]

「子ども同士のトラブルとは喧嘩ですか?」
「喧嘩と言えるのかどうか、大統領はどんな喧嘩を思い浮かべます?」
「口喧嘩か殴り合いですね。
 一応殴り合う時は相手に怪我をさせない様にと大人から教えられていますが、やり過ぎてしまう子もいます。
 子ども同士のことですから、相手に重傷を負わせない限りあまり問題になりませんが、今は喧嘩自体減っている様です。
 社会改革が進み国民に余裕が出来たことで大人の喧嘩が減りましたので。」
「そう言うものですか、自分の子ども時代には殴り合いの喧嘩をしたことも見たことも有りませんでしたのでイメージしにくいのですが。」
「随分平和な学校だったのですね。」
「とんでもないです、陰湿ないじめが日常的に行われていました。
 直接的な暴力を伴わなくても、いじめによって不登校になる子がいたのです。」
「子どものトラブルとして、いじめの話は日本人スタッフから聞くのですが今一つイメージ出来ません。」
「ここでは、人をいじめて自分が優位者だと悦に入る子は学校にいませんものね。
 喧嘩することは有っても、学習の場に様々な年齢の子がいるので大きい子がなだめたりするのだとか、元は給食目当てで通って来てた子達でも随分変わったと聞きました。」
「義務教育のスタート時には、罰として給食抜きにされる乱暴な子がいたそうですが、王国騎士団が上手く導いてくれたのです。
 少なくとも学校での子ども達は大人しいのですよ。」
「学校以外では違うのですか?」
「学校にいる時ほど大人しくはないでしょうが、窃盗で捕まる子は大幅に減りました。
 貧乏な子達が窃盗団を作ったりしていましたが、空腹が満たされれば必要ないのです。」
「それで給食を重視しているのですね。」
「親から与えられる食事より美味しいものを、が給食事業担当者のモットーで、その成果が平和な学校なのです。」
「しかし…、子どもが窃盗団を作る様な環境だったのですね…。」
「ええ、そんな子達は有る意味運命共同体でしたから、環境を変えたらまとめて真面目に学習に取り組む様になったという話も聞いています、グループのリーダー次第なのでしょうが。」
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近衛予備隊-428 [高校生バトル-85]

「子どもの集団もリーダー次第で良くも悪くもなるのですね。
 やはり歳の違う子で構成されているのでしょうか?」
「地域で構成され兄弟もいますので普通のことです。
 好ましくない集団も有る訳ですが、それなりに社会集団の約束事を身に付ける側面があり、リーダーによっては生きて行く為の窃盗はしても、それ以外は真面目な子達だったという例も報告されています。」
「そう言った集団で子ども達は社会性を身に付けるのですか…。
 日本では子ども達の社会構造に問題が有りまして、学校では同じ年齢の子でクラスを構成し、学校生活の殆どをそのクラスで行いますが、遊ぶのも同じ年齢の子が中心になっています、ある意味歪んだ社会になっているのです。
 かつては有った地域の子ども社会が都市部では崩壊してしまいまして。」
「それは変えられないのですか。」
「ここの様な子ども社会を知らず、意識さえしていない教員もいます。
 異年齢の子と交流するメリットを理解している人は少なからずいるのですが、学校での管理を考えたら手間が掛かります。
 子どもを取り巻く環境は大きく変化して来ましたが、良くなったとは言い切れないのです。」
「そうですか、我が国は発展途上ですので今は良くなりつつ有る段階ですが、先のことも考えておくべきなのですね。」
「今の制度のままで問題なく進んで欲しいです、教師がずっと試行錯誤していてくれれば…。
 しかし、ここの単位制学習はもっと大変だと思っていましたが、意外と余裕が有るのに驚きました。
 試験に合格すれば、上の学習へ進められる。
 それを細かく行うのは大変だと思っていたのです。」
「試験は行っていますが、その合否だけが子どもに対する評価。
 学習環境を整え教師が教えもしますが、学ぶのは子ども自身なので手間は掛からないのです。」
「近衛予備隊からの教育実習生が子どもの相手をするだけでなく、子ども同士が教え合っていて、教員の役目は見守ることなのですね。」
「学校によって異なりますが、ここは教育実習生の人数が多いので、子ども達の単位に関する管理も彼らが担っています。
 それぞれの学習に対して、どんなアドバイスが必要なのかも考えてくれているのですよ。」
「それが実習生にとっての学習なのですね。
 高校生と言っても歳の近い小学生、年上も普通にいるのでやりにくくないかと思っていたのですが、誰も気にしてないみたいで。」
「人間的に問題が有れば教育実習生にはなれません。
 十三歳でも十五歳の子とも良好な人間関係を築ける子が学習に関するアドバイスをしているのです。  
 教師役の子でも、遊ぶ時は年上の指示に従っているのですよ。」
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近衛予備隊-429 [高校生バトル-85]

「近衛予備隊の子達は色々な意味で大人ですよね。
 教育実習生になるまでに受けて来た学習の成果なのでしょうか。」
「新兵でも先輩達が災害時に活躍していることを知っていますし、ほとんどの子は自分達もその場に立つことを想定して入隊して来ます。
 予備隊に入隊することは、その覚悟も有ってのことなので、十三歳でも大人扱いされます。
 大人扱いされる場で我儘は言えませんし、言おうとも思わないでしょう。
 高校生に成りたての子達は、子どもから大人へ至る入り口の年齢ですが、大人扱いされることで成長します。
 試験時に自分を取り繕い誤魔化して合格した子は、その辺りで苦労するのですが、ほとんどの子は名誉ある近衛予備隊の一員、大人の一員だと自覚しているのです。」
「その辺りの考えがしっかりしていない子は学力的に問題無くても不合格になるのですね。」
「ええ、不合格になった子は中学生に成りますが、近衛予備隊に対する憧れの強い子は何故不合格になったのかを考え再度挑戦します。
 高校には十八歳まで受験資格が有りますので。」
「日本人の私は時々混乱してしまいます、十七歳の新兵を十五歳の先輩が指導することも有るのですよね。」
「国軍の先輩は新兵に対して厳しいですが、予備隊の先輩は新しい友達が出来たぐらいに考えていますので、新しい仲間が無理なく学習や実習に臨める様にサポートしてくれます。」
「卒業がないから十八歳でも問題無いと。」
「ええ、十八歳で新兵になる様な子は中学でそれなりに学習していますので、得意な分野を高校の先輩に教えることも出来ます、子ども同士教え合い高め合うのが近衛予備隊の精神ですので。」
「高校でトラブルは無いのですか?」
「勿論子どもの集団ですからトラブルは起きますが、そのトラブルに対してどう対処するのがベストなのかを考えるのも学習の一部、トラブルの分析をしたい子は少なくないのです。
 ただ、高校ではそれほどトラブルは起きないので、小中学校のトラブルに目を光らせています。」
「そこで人間関係を学ぶと考えればよろしいのですか?」
「ええ、そのまま職場で活かしていますよ。」
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近衛予備隊-430 [高校生バトル-85]

「年長者は働いている人が多い様ですが、彼らは仕事と学習のバランスをどう考えているのでしょう?」
「近衛予備隊として必須の教科をこなせば、後は各自のペースで仕事に必要な知識を中心に学んでいまして、その辺りは本人の自由なのです。
 ただ、彼らは互いに色々相談していましてね。
 仕事が忙しくなれば人手が欲しい、職場が新たに導入した機械について学ぶ必要が有るとか、今まで頑張って来たからそろそろ彼女を作って結婚したいとか。」
「相談出来る仲間がいるのは良いことですね。
 単なる学習の場ではないことが分かります。」
「仕事に関しては、労働環境の改善を目指して法律を作ったのですが、長時間労働が発覚することも有りまして、そう言った労働環境の改善も彼らからの報告が頼りなのです。
 景気が良くなり稼げると踏んだ連中が好き勝手しない様に。」
「報告は多いのですか?」
「大統領親衛隊に窓口を設けていますが、結構来ているみたいです。
 担当者は、暫く見せしめ的に摘発して行くと話していました。」
「見せしめですか…。」
「自分は独裁者ですからね、稼げる様になって舞い上がり社員のことを考えられなくなってる連中には、山奥の刑務所で働いて貰います。」
「社長などの取締役を刑務所送りに?」
「そうなるでしょう、その隙を突いて近衛予備隊のメンバーが会社の主導権を握ることを考えているので、相談する必要が有るのです。」
「えっ、そこまで?」
「稼げてる会社は近衛予備隊からの優秀な人材を得てる所ばかりです。
 パソコンの導入に際して自分達が学習するより手っ取り早かったのですよ。
 それに感謝して法律を守り従業員を大切にしている会社も多いのですが、欲に目が眩み従業員の人権を考えられなくなってる人達には表舞台から退いて貰います。
 若くて誠実、会社の内情に精通している予備隊の仲間が経営すれば社員も安心でしょう。」
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