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近衛予備隊-423 [高校生バトル-85]

「隊服の似合う、ですか…、それも教育の成果なのですね。
 私達遠江大学教育学部のメンバーは、日本の教育システムが現代社会にそぐわない様々な欠陥を抱えていると考えています。
 教育の問題だけでなく社会の問題でも有るのですが、詩織さまのここでの取り組みは我々をあざ笑うかの如く、理想を形にされていると感じました。」
「理想とまでは言えません、自分は詩織さまの助言を受けて今の学校制度を作っていますが、先進国の制度とは比べられないレベルだと思っています、特に理数系が伸び悩んでいまして。」
「いえ、子ども一人一人が、それぞれの力量に応じて成長出来る環境を作り出しているのですから問題ないです。
 理数系は先進国の子でも苦手な子は少なく無いのですよ。」
「そうですか、小学校の教員達は試行錯誤を続けているのですが。」
「試行錯誤はとても重要なことだと思っています。
 型に嵌った学校制度では試行錯誤の余地は限られてしまいますが、子ども相手の教育現場は試行錯誤の連続になるのが本来の姿ではないかと。
 ここの小学校の強みは、試行錯誤出来る教員に有るのかも知れません。
 笑えない話なのですが、ボケ易い職業に教師が含まれるという説が有りまして、その根拠は毎年同じことを同じ様に教えてるからだとか。
 真偽の程は分かりませんが、実際にそんな授業をしている教師もいるのです。」
「長年教師を続けていると、そうなってしまうのも仕方ないかも知れません、一応我々の小学校は高校生の実習生を含め若い世代で回して行けたらと考えています。
 年長者は別の角度から子ども達を見たり、全く違う仕事に就いて貰うのも有りだと考えていまして。
 我が国で義務教育が始まるまでにも私立の学校は有ったのですが、そこで教えていたのは子どもの目に魅力的とは映らないお年寄りが多かったのです。
 それが義務教育の学校が安定し始めた頃に私立学校から転校する子が一気に増えた理由の一つで。」
「そうでしたか、日本の私立学校の中には公立学校を定年退職した人を積極的に雇ってる所も有りますが、先生がお爺さんばかりだと嘆いてる生徒がいました。
 調べてみると教え方も古くて…。
 今は試行錯誤しながら懸命に子ども達と向き合ってる教師でも三十年もしたら分からないですものね、若い世代で回して行くと言うのは正解だと思います。
 日本の教育システムには、どんな問題が有るのですか?」
「我々が一番問題視しているのは、学力ばかりが重視されていることです。
 本来、一人一人の子が、その能力をその子なりに伸ばし、社会に出て自力で生きて行ける力を身に付ける手助けをするのが教育だと思うのですが、取り敢えずレベルの高い学校へ進学出来れば、その先に優良企業への就職が有ると考えてる親もいまして。
 それが上手く行けば良いのですが、様々な失敗が待ち受けています。
 挫折を経験して来なかった子ほど脆く、時には精神を病んでしまうことも有るのです。」
「う~ん…、良く分かりませんが、色々自由なうちの子達は幸せなのでしょうか?」
「はい、今回彼らと接して、それを痛感しました。
 子ども達は何時も元気で楽しそうでしたから。」
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