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近衛予備隊-371 [高校生バトル-80]

 企業経営に関する学習に対して今まで力を入れて来たのは、我々の子会社でも経営陣の弱さを感じて来たからだ。
 企業体を急拡大して行く過程で労働者を雇うのに苦労は無かったが、経営を任せられる人材を集めきれたとは言えず、近衛予備隊の実習生の方が安心感が有るからと交代して貰ったことも。
 経営を任せられる人材がいれば買収したい中小企業は山ほど有り、会社経営を学ぶ高校生には少なくとも企業の管理職を目指して欲しいと話して来た。
 そんな流れから、彼らが会社経営を学ぶ簡易発電機製造販売会社が立ち上がった。
 詩織さまは彼らの事業計画に問題は無いと資本金を用意して下さったのだが。

「ジョン、簡易発電装置の生産台数が当初の予定より増え過ぎていると思うのだけど、作業に当たってる子達は大丈夫なの?」
「作業に当たってるのは十四歳前後の希望者のみ、計画的に交代しながら作業に当たっていますので特に問題ないかと、彼らは王宮の敷地内に入れるだけでも嬉しいのですよ。
 電気の知識を学び、発電装置の組み立てを体験、三週間のプログラムになっていますが、国境なき合唱団の一員として歌って行く子もいます。」
「彼らにとって作業は難しく無いのかしら?」
「装置の主要部品は輸入品、組み立て工程は簡素なのですよ。
 もう少し国産で賄えることが出来たらとは思うのですが。」
「黒字になってるのだから無理しなくても良いわね。」
「ええ、でも経営陣は大学とも相談しながら部品の国産化を少しずつでも進めて行きたいと話しています、質を下げない国産化にはほど遠いのですが。」
「色々考えているのね、高校生の経営陣は自分達の将来について、どう考えてるのかしら?」
「共和国が王国になっても、それを支える存在になりたいと話してくれています。
 この国の改革が進んだのは詩織さまの力による所だと彼らは理解していまして。」
「王国にする話は進み始めてるの?」
「今の体制に不満が有るのは随分弱体化した反政府組織の連中ぐらいです。
 大統領で有る自分が王子なのだから既に王国みたいなものだと、王国標準のインフラを望んでる国民が王国の一員になりたいと言い始めたのに火が付きそうな雰囲気なのです。」
「で、どうするの?」
「海外からの観光客が我が国を潤してくれているのは詩織の存在です。
 共和国が詩織を女王とする王国になったとしてもなんの問題も有りません。」
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近衛予備隊-372 [高校生バトル-80]

「王国になった所で大きく変わる訳では無いのでしょ?」
「ええ、国民がもっと盛り上がるまで待っても良いと考えています。
 その間に経済発展を進め、一家に一台電気自動車を持てるぐらいにしたいですね。」
「発電は大丈夫なの?」
「電灯を灯すだけの簡易発電だけでなく、電気自動車の充電が出来るレベルのものにも取り組みたいと新会社の幹部は考えていまして。
 独立した発電機が沢山有れば、災害時にも全面停電とはならないので一石二鳥なのです。
 電気自動車は輸入になりますが、発電機は輸出したいとも。」
「需要は有りそうね。」
「風力発電も水力発電も風車や水車の回る姿が観光客に喜んで貰えていますし、余剰電力を使った動くモニュメントも好評です。
 イルミネーションもクリスマスシーズンから各地で始めます。」
「観光客の心を揺さぶり続けるのか。」
「ホテルの稼働率を高いままにしておきたいですので。」
「経営陣の高校生や大学生達もそこまで考えているのかしら。」
「はい、発電装置の組み立てを体験した子に対して、会社目線からの継続的なアドバイスも始まっています。
 単なる営利企業では無く社会に貢献する企業が彼らの目標、詩織さまの考えは彼らにしっかり受け継がれていますよ。」
「それなら経営者の若返りは進みそうね。」
「ええ、近衛予備隊や王国騎士団のメンバーは次々と会社の要職に就いています。
 パソコンを使えない様な人達には退場して頂くしかないのですが、惨めな思いをさせない配慮は忘れていません。」
「今までの国立学校を小学校とし中学校を併設して行く案はどうなってるの?」
「ここの小中学校をモデルに検討して貰っています。
 王立高等学校に入学出来るだけの力が無くても中学生として学び、就職先を選べる様になって欲しいです。」
「中学生になるかどうかは本人次第だったかしら。」
「ええ、パソコンを中心により高度な学習を受ける権利を得られる代わりに、真面目に学習する義務が生じます。」
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近衛予備隊-373 [高校生バトル-80]

 『国をより豊かにするために。』
 頑張ってくれてる高校生に労いの言葉を掛けると返って来るのは何時もそんな言葉だ。
 多くを学び働いてくれる彼らは改革の原動力となっている。

「高校生達の学習や仕事への取組みは心強いわね。」
「近衛予備隊時代からのものですが、詩織に対する想いが支えているのですよ。」
「初期の子達は兎も角、今の高校生に対しては何もしてないわ。
 それより先輩が社会で活躍している姿が彼らの目標になっているのではないかしら。
 若くても企業の重要なポストに就けるのは彼らにとって魅力的でしょ。」
「確かに四十代の管理職より近衛予備隊で学んだ二十代の方が優秀だと言うことを証明してくれました、それだけ有能な人材が不足していますからね。
 実習先の企業から高給を提示され正式に働き始める子は多いです。」
「学習との兼ね合いはどうしてるの?」
「パソコン関連の事務作業を短時間でこなし、会社の改善点を考えてる子が多いです。
 彼らは情報交換し学ぶべきことが有れば仕事として学んでいます。
 彼らを教えられる人は会社にはいませんので。」
「高校はそこでも機能しているの?」
「ええ、生徒達が学習の一環として就職した先輩のサポートを行っています。
 実習には何社も行けませんが、先輩からの情報は多く届いていますので生徒にとってプラスに。
 先輩からの情報を精査し先輩が必要としている情報を整理して返しています。
 そんなやり取りから、実習に来て欲しいと乞われ、就職前提で実習に行く子もいます。」
「それが国中に広がると良いわね。」
「ええ、高校生達は実習に行く時、近衛予備隊の一員として行くのですよ。
 我らが近衛予備隊は『国をより豊かにするために。』と頑張ってくれているのです。
 高校生の殆どは災害時に救援隊として派遣される近衛予備隊に登録していますが、それを誇りに思っています。」
「優秀な子達に危険な作業をさせたくないのだけど。」
「ですが、若くても意識が高いと知られているからこそ、大人達のリーダーにもなれてるみたいです。
 パソコン関連の作業など、年上の社員に出来ないことをしながら指示を出してるのですよ。」
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近衛予備隊-374 [高校生バトル-80]

「年上の社員に出来ないこと?」
「ここ数年で会社の環境は一気に変わりましたからね。
 我が社の影響で経理事務にパソコンが導入された所が多いのですが、操作は簡単でも英語の出来ない人にとってはハードルが高いのです。
 そこを近衛予備隊の実習生が教えたりもしたのですが、実習生に頼るかそのまま就職して貰った方が早いと考える経営者が多かった訳で。
 就職した隊員は様々な改善を提案をし社内全般の効率化を図りながら、我が社との繋がりを作って売り上げを伸ばして来ましたので、年上の社員は部下にならざるを得なかったのです。」
「まともな教育を受けて来なかった人達なのね。」
「ええ、そんな彼らが子どもには英語教育が必要だと考えてくれたお陰で、学校で英語を選択する子が増えました。」
「未だに英語が必要ないと考える親はいるのかしら?」
「まだ昔ながらの農業から抜け出さない人もいますので完全には無理です。
 農業でも改革に取り組んでいる人達は、肥料や機械の名称に英語しか無いことに気付いていますが。
 まあ、英語で学んでいない子の割合が減りましたので、来年辺りから学校は英語のみにして行こうと考えています、既に英語は義務教育に組み込んでいますので。」
「国の文化を残そうと言った動きはないの?」
「他国に誇れる程の文化は有りません。
 言語はマイナーでパソコンには対応していませんし、当然自動翻訳機にも。
 国民が誇れるのは詩織の居城が我が国に有り、今も拡大し続けていることぐらいなのですよ。」
「少し寂しいわね。」
「でも、高校生達は新しい文化を創り出して行こうと考えています。
 観光客に異国文化を味わって貰うとかで。」
「独創的な文化は創れそうなの?」
「観光客相手なら上手下手より独創性や面白さが重要、歌やダンスをもっともらしいストーリー付きで紹介して行く練習をしています、彼らにとっては皆で鳥のダンスを踊るのが楽しみなのですよ。」
「鳥のダンス?」
「ええ、詩織が鳥と戯れる映像を見ながら創作しているそうです。
 まもなく発表されますので見て上げて下さい。」
「ええ、楽しみにしてると伝えてくれる?」
「はい。」
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近衛予備隊-375 [高校生バトル-80]

「高校生達は色々考えているのね。
 高校は生徒の増加に伴い拠点を増やしているけど、それによってレベルが落ちないかと心配していたのよ。」
「これから小学校と中学校にして行く国立学校のレベルは年々上がっています。
 特に高校を目指している子達には活躍している先輩達の姿が見えていますし、王立騎士団や王立大学と目標が増えました。
 入学試験の面接では親に言われて受験したと話す子もいるのですが、王立高等学校に入学出来た子達は先輩との語らいの中で目標を見出して行く子が殆どで、国をより豊かにするために自分が何をしたら良いのか、それによって自分の将来がどうなって行くのかを考えています。
 受け身の姿勢では何も得られないと教えられ、彼らは自ら学ぶことの意味を考えます。
 怠惰に暮らす自由も与えれているのですが、ほとんどの子は仲間と協力しながら競い合っているのです。」
「ほとんどと言うことは脱落する子も?」
「脱落と言いますか、親元を離れた解放感からか自分の興味有ることだけに没頭してる子が何人かいると聞いています、他者に危害を加えると言ったことはしていませんので、問題ないと判断されていますが。」
「う~ん…、そんな子達がエキスパートになる可能性だってあるわね。」
「はい、高校に入れるだけの能力を持っている子達ですので、その可能性は有ります。」
「近衛予備隊が発足した頃は日本との学力格差が大きいと認識していたのだけど、今は十八歳ともなれば学力と言うより総合力でここの子達の方が勝っていると感じるわ、自分が高校生だった頃を思い出してみてもね。」
「詩織は高校生の頃から随分活躍されていたのですよね?」
「まあね、それだけに大学進学ばかりを意識してる子達に疑問を抱き、普通には大学進学せず、日本では大学と認められていない遠江大学で学ぶことにしたのよ。
 王立大学は遠江大学を上手く活用出来てるかしら?」
「はい、学生の為に講師マッチングシステムを開発して頂いて運用が始まっています。
 特にシステムエンジニアを養成するコースは、ここの講師だけでは不足気味で学生を増やせなかったので。」
「どんなシステムなの?」
「学生は登録されている講師にメールやテレビ電話で質問することが出来ます。
 但し大学から与えられたポイントを使って講師の指導を受ける形になっていまして、ポイントが無くなったら指導を受けられません。
 敢えて一人の学生が講師を頼れる回数や時間に限度を設けたのです。
 学生達はシステムがスタートすると自主的に集まり講師に質問をする内容についてミーティングを行う様になりました、そこで教え合いながら講師に何を教えて貰うかを相談しています。
 沢山教えたいと思っている講師は大勢いるのですが学生が受け身になっては行けませんので。」
「制限が有ることで工夫してるのね、そのミーティングは学生達にとって充実した学びの場となっていそうね。
 でも、ネットを利用してのやり取りだけで充分なの?」
「システムエンジニア養成に関しては問題有りません。
 学生が見ているのと同じ画面を見ながらのアドバイスです。
 他の分野がどうなって行くのかはこれからですが、遠江大学の人達の中にはこちらに住まわれている方もいますし、長期休暇の度に来てる人も、そんな方々の中から講師をお願いすることも考えています。」
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近衛予備隊-376 [高校生バトル-80]

 大学で運用を始めた講師マッチングシステムは理数系の高校生にも広げて行けそうだ。
 遠江大学で講師を募集した所、様々な分野から様々な理由での応募が沢山来ている、教える側も自らのスキルを上げたいと考えている様で、初期の報酬額が低くても構わない人ばかり。
 講師として人気が出れば、学生が使う単位時間や回数当たりのポイントが高くなり、そのまま報酬アップになるが、システムエンジニアでは応募者が多くあまり期待して欲しくないとアナウンスしている。
 その背景には自社で雇うエンジニアを自分達で育てたいと言う目論見が有る様で相談の必要が有りそうだと担当者から聞いた。
 どこに就職しようがこの国に住んでいてくれれば嬉しいが、我が国の国民が活躍してくれるので有れば日本に移住してくれても構わないと思っている…。

「ジョン、遠江のコンピューターシステム部門から王立大学システムエンジニア養成コースの教育環境を精査したいとの話が来てるわよ。」
「詩織さまが会社関係はストップしていた筈だが。」
「それは大学が大学として機能して行くかを見極める期間だったからでしょ、遠江大学と共に進めて来た講師マッチングシステムによってこの国に足らなかった理数系の講師を何とか出来たと判断しての申し出、詩織さまのお父さまから直々の話だからね。」
「えっ、そうなのか…、日本に行った時は娘がちっとも帰って来ないと嘆いておられたな。
 それで具体的な話も来てるのか?」
「彼は会社の責任ある立場を退いたそうで、システムエンジニアを養成して来た人達を引き連れて来て学習環境のチェックから始めたいそうよ。」
「そうか…、もう、お願いしても良い所まで来たのだな。
 彼の判断を訊けたら大学関係者も今後の方針を立て易くなるだろう。
 こちらに来られるとなると住居の手配をしないと、しかし女王陛下の父君なのだから…。」
「詩織さまに話したら、詩織さまの庭から近い所に建ててる小屋が彼の為の住居になるそうで、ご夫婦で住まわれるそうよ。」
「あそこは農機具の小屋にでもするのかと思っていたよ、もっと広い家を用意出来ただろ?」
「広いと掃除が大変なのだとか、色々持ち込むから使用人はいらないそうでね、広い庭を楽しみにしてるのだとか、部下の方々の部屋も手配済だったわ。」
「詩織さまは知っておられたのなら教えて下さっても良いのにな。」
「遠江関連で決定前のことは絶対話されて来なかったでしょ。」
「そうだな…、今回は身内の話でも有るし、で、自分達は詩織さまの父上のことを何とお呼びすれば良いんだ?」
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近衛予備隊-377 [高校生バトル-80]

 詩織さまの父上が我が国を訪れるのは初めて、遠江王家の一員として歓迎会などを開きたかったが、暫く人前には出たくないとのこと。
 その滞在は特に隠されている訳ではないが特別な形での公表はせず、詩織さまの庭の片隅に建つ、宮殿エリア内で一番小さな住居での生活を始められた。
 同行して来たスタッフは詩織さまの指示で宮殿内の長期滞在客用の広めの部屋へ、パソコン関連の機器を置く部屋は何時の間にか用意されていた。

「佐伯さん、一週間滞在して不都合なことは有りませんか?」
「ああ、有難う快適に暮らさせて貰っているよ。
 空港では暑いと感じたが宮殿エリアは程よいね、顔が知られる前にとあちこち散策しているが遠江王国に負けず劣らず綺麗だな。」
「自分が遠江王国へ行った時に、綺麗な街並みを維持出来るかどうかは住民によると知りました。
 住民の意識改革が必要でしたが、観光客にとって魅力的な街にすることが自分達にとっての利益に繋がるとの理解が進み、観光客が汚すことは有っても住民が汚すことは殆ど無くなりました。」
「私がここへ来た理由、詩織はあまり話してないみたいだが。」
「総合学校で細々と養成して来たプログラマーと大学でスタートしたシステムエンジニア養成の辺りを見直して下さると聞いています。」
「まあそうなのだが、我が社のコンピューターシステム部門は人材さえいれば拡大出来るんだ。
 その人材をここで育てられたらと思い、講師マッチングシステムを構築したのも、遠江大学が募集した講師達もうちのメンバーなんだ。」
「大学が大学として落ち着くまで会社には関与させないと、詩織さまは話しておられましたが。」
「それは金銭面のことだよ、但し講師達には暫く我が社の関係者だとは分からない様に絡んで欲しいと話していたけどね。
 制限を付けたことで出番が回って来ない連中は残念がってたが、白羽の矢が当たった連中はしっかり学習した上での質問に答えるのは楽しいと話してたよ。」
「あえて公表されなかったのは何故です?」
「いずれ知られることでは有るが、学生達に変な先入観を持って貰いたくなくてね。
 詩織が言うには、女王の父親で有る私がコンピューターシステム部門の重役だと知られていたそうで、始めから自分が表立って関わったら学生達は余計なことを考えてしまいかねないと思ったのだよ。」
「それで暫くは講師マッチングシステムを利用してということだったのですか。」
「ああ、取締役を退任してからは、自分も講師として教えながら王立大学のことを考えていたんだ。
 大学のシステムもレベルアップしたいとね。」
「これからは王立大学に力を注いで下さると言うことですか?」
「そのつもりだよ。」
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近衛予備隊-378 [高校生バトル-80]

「取り敢えず大学としての体裁を整えてる段階でそれぞれ試行錯誤をしているのですが、それにも助言を下さるのですか?」
「私は大学を卒業してないから何とも言えないが、この国にとって必要性が有って立ち上げられた大学だと言うことは理解しているし、他国の大学を真似する必要が無いこともね。
 日本の大学は就職の為に卒業資格を得ることがメインになっているが、王立大学に卒業はないのだろ?」
「はい、就職してからも国の最高学府に籍を置き続けることで、大学を利用して欲しいですし、後輩の面倒も見て貰いたいと考えています。
 大学生達は高校時代から先輩に導かれて成長し後輩にとっては良き先輩でしたので、今でも年齢に関係なく活発に交流、教育学部生は教育実習をしている高校生達と頻繁に情報交換をしています。」
「詩織は実験的教育と言っているが、成果は教えられる側だけでなく実習で教えてる高校生にも出ているそうだね。」
「はい、子ども達は若い実習生と直ぐに仲良く成ります、高校生は教育実習を通して自分に自信に持つようになると聞いています。
 教育実習がスムーズに進むよう子ども達も含め多くの人が協力してのことですが。」
「うん、『教える』を選択した高校生の映像を見せて貰ったが全然無理していないと感じたよ。
 やはり子ども達が年齢でなく到達度で分けられているから楽みたいだな。
 学習の部分で無駄が無いし、子ども達はテストで競い合ってるから短時間の授業でも自習をしっかりして結果が出せる。
 否、長いだけの授業には意味が無いだろう。」
「今後小学生と中学生に分け、中学生にはハイレベルな学習へと考えているのですが、理数系の教育は本格的に取り組み始めたばかりですので、小学生の算数からシステムエンジニアレベルまで繋げられるかどうか、現場の教員達も手探りの状態です。」
「まあ、その辺りのことも学生達と探らせて貰うよ。
 多様な職種が有るが、そのどれを選んでも普通に暮らせる社会を考えてると、詩織から聞かされているからな。」
「はい、国全体のバランスを取って行くことはなかなか難しいですが、貧困層を可能な限り減らして行きたいと考えています。」
「この国では我が社の力が圧倒的に強い、だからこそ我々には大きな責任が有るのだろ?」
「会社のトップが女王で、自分も大統領ですからね。
 でも、逆に言えば、我が社の意のままに国を動かせるのです。
 アビュニス王国は小国ですから既に会社と国が一体化しつつあるのですが、この共和国でもそれなりに。」
「反政府組織はどうなんだ?」
「かなり弱体化していまして、うちのマーケットで働いてる人もいますよ。」
「大丈夫なのか?」
「本人はマーケットで働きながら情報収集しているつもりですが、大統領親衛隊が密かに監視しています。」
「監視も大変だろ?」
「身分を隠してマーケットの店長をやってくれていますが、対観光客の売り上げを伸ばすことに成功していますので給料はアップ、ダブルワークで増え過ぎた収入を使って最新の監視装置を趣味として導入とか、頭の悪い反政府組織を相手に楽しんでる様です。」
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近衛予備隊-379 [高校生バトル-80]

「詩織がここを拠点に決めた頃は治安が悪くて随分心配したものだよ。
 この辺りは比較的安全だと聞かされていてもね。」
「前大統領が思い切った改革に踏み込んで下さらなかったら、今も治安の悪い貧しい国のままだったと思います。」
「独裁的な大統領だったと聞くが。」
「大きな改革には独裁者が必要なのだと感じました。
 政府や国軍、警察とあらゆる公的組織で不正蓄財が行われていたのですから。
 彼が乱暴に改革してくれた国政ですが、自分の役目は国民の不満を少しでも減らせるよう丁寧に手直しして行くことです。」
「その過程で教育を重視して来たのだね。」
「はい、初期の近衛予備隊隊員からは、どんな子でも指導によって成長するのだと気付かされました。
 その後入隊基準を上げて来たのですが入隊者は増え続け、高校と名を変え拠点を増やしても学習に取り組む彼らの意識は変わっていません。
 彼らは詩織さまを女神と崇め、自分達はその女神さまに守られている子どもなのだからと言った、宗教的な価値観が出来上がり、人としてどうあるべきかを考えながら高校生活を送っているのです。」
「自分の娘が女神になったのには驚いたが、存在だけで子ども達を導いているのなら何も言えないな。
 特別な宗教教育はしてないのだろ?」
「そうですね、他者の政治的宗教的信条はそれが自分の思う所とは違っていても、余程攻撃されない限り尊重する様に話しています、それぐらいでしょうか。」
「そこに気を付けていれば争いにはならないものな。」
「我らが女神さまは、ご本人が役に立たないとおっしゃられている、鳥を呼び寄せる奇跡を起こされたのですが、本当に彼女が起こした奇跡は前大統領を巻き込んでの大改革、それが会社の全面協力の下に成し遂げられていることも彼らは理解しています。」
「大学ではそんな分野の研究もされているのか?」
「今は鳥類の研究以外、実利的な分野だけになっていますので特には。
 生活に役立たない研究をしてこそ大学だと、詩織さま話されますが、まだそこまでの余裕が無いのです。」
「それで良いと思うよ、鳥類の研究だって観光客を呼び寄せる効果が有るのだろ?」
「ええ、詩織さまが鳥と戯れる映像で随分稼がせて貰っていますが、ここで普通に見られる鳥を観察しようと来て下さる方が増えています。
 鳥類研究室からの情報を調べ、双眼鏡やカメラを片手に。」
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近衛予備隊-380 [高校生バトル-80]

「鳥類研究室はどんな感じで運営を?」
「餌が貰える訳でも無いのに詩織さまの所に集まって来る鳥達、それに興味を持たれた海外の大学教授達が集まって開いた研究室を大学生が手伝っていると言った所です。
 学生達は鳥を通してこの国の自然を知って貰う活動にも取り組んでいます。」
「学生達はレポート提出とかしてるのかな?」
「そう言われてみれば、学生らしいことはしていないかも知れません。
 鳥類研究室は学生にとって趣味の範疇で、たまに詩織さまの姿を見られたらラッキーなのだとか。」
「卒業がないのなら学生を評価する必要もないと?」
「ええ、日本の大学では進級する為に試験をパスする必要が有るそうですが、そもそも学年と言う概念が有りませんので。」
「それだと学習に目標が無くて向上心を得られにくいのではないか?」
「向上心の有る子しか大学生にしていませんが、何を学んだのか対外的に分かり易くする為の資格試験を考えています。」
「成程、それを大学卒業資格の代わりにして企業が採用時の判断基準にするのだな。」
「ええ、鳥類に関する知識は資格と言うより名誉有る称号になりそうですが、今はどんな資格を用意しどんな資格試験を行うか検討している段階、ついでに裁判官任用試験なども見直しています。
 ただ、遅れている医学分野が一つの課題になっています。」
「医師の養成か…、ハードルが高そうだ。」
「はい、この国で信頼出来る医師は海外から来て下さっている方だけです。
 自国民で医者を名乗ってる人達は、知識も技術も怪しくて。」
「何か策を考えてるか?」
「医療実習生は医師の手伝いをしながら学んでいますが、学ぶべきことが多過ぎる様です。
 協力して下さっている医師の皆さんからは、早めに専門分野を決めることを検討しても良いのではとのアドバイスを頂いています。」
「医師になるには体全体のことを全部理解していないと駄目だから難しいと聞いたことが有る。」
「確かにそうなのですが、骨折の治療が出来ない歯医者がいても良いのだと。
 偏りそうですが、一つの症状から考えられる疾患を全て把握して行くと言った学習の積み重ねも有りだそうです。」
「う~ん、発熱から推測される疾患を全部把握するだけでも大変そうだが。」
「はい、取り敢えず発熱担当補助医などの資格を考えています。」
「すでに大学の学生は医学を学び始めているのだな。」
「いえ、医療実習生は高校生で、早い子で十三歳ぐらいから取り組んでいます。
 スタートは看護実習生と同じレベルですが、本人に能力が有り医者になろうと言う意思の有る子が医師から学んでいます、大学云々の話は彼らにとって意味は無く、既に医師の指導の下、患者を診ている子もいます。」
「十代でか?」
「ええ。」
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