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近衛予備隊-379 [高校生バトル-80]

「詩織がここを拠点に決めた頃は治安が悪くて随分心配したものだよ。
 この辺りは比較的安全だと聞かされていてもね。」
「前大統領が思い切った改革に踏み込んで下さらなかったら、今も治安の悪い貧しい国のままだったと思います。」
「独裁的な大統領だったと聞くが。」
「大きな改革には独裁者が必要なのだと感じました。
 政府や国軍、警察とあらゆる公的組織で不正蓄財が行われていたのですから。
 彼が乱暴に改革してくれた国政ですが、自分の役目は国民の不満を少しでも減らせるよう丁寧に手直しして行くことです。」
「その過程で教育を重視して来たのだね。」
「はい、初期の近衛予備隊隊員からは、どんな子でも指導によって成長するのだと気付かされました。
 その後入隊基準を上げて来たのですが入隊者は増え続け、高校と名を変え拠点を増やしても学習に取り組む彼らの意識は変わっていません。
 彼らは詩織さまを女神と崇め、自分達はその女神さまに守られている子どもなのだからと言った、宗教的な価値観が出来上がり、人としてどうあるべきかを考えながら高校生活を送っているのです。」
「自分の娘が女神になったのには驚いたが、存在だけで子ども達を導いているのなら何も言えないな。
 特別な宗教教育はしてないのだろ?」
「そうですね、他者の政治的宗教的信条はそれが自分の思う所とは違っていても、余程攻撃されない限り尊重する様に話しています、それぐらいでしょうか。」
「そこに気を付けていれば争いにはならないものな。」
「我らが女神さまは、ご本人が役に立たないとおっしゃられている、鳥を呼び寄せる奇跡を起こされたのですが、本当に彼女が起こした奇跡は前大統領を巻き込んでの大改革、それが会社の全面協力の下に成し遂げられていることも彼らは理解しています。」
「大学ではそんな分野の研究もされているのか?」
「今は鳥類の研究以外、実利的な分野だけになっていますので特には。
 生活に役立たない研究をしてこそ大学だと、詩織さま話されますが、まだそこまでの余裕が無いのです。」
「それで良いと思うよ、鳥類の研究だって観光客を呼び寄せる効果が有るのだろ?」
「ええ、詩織さまが鳥と戯れる映像で随分稼がせて貰っていますが、ここで普通に見られる鳥を観察しようと来て下さる方が増えています。
 鳥類研究室からの情報を調べ、双眼鏡やカメラを片手に。」
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