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神沢祐樹-41 [高校生会議2-13]

「お邪魔します。」
「いらっしゃい、良く来て下さいました、さあ、どうぞお上がり下さい…。」

「…、うちは一人っ子ですが、三人のお子さんというのは如何ですか?」
「そうですね、一樹は祐樹ほど社交的では無いのですが人から頼られるタイプです、祐樹は小さい頃から色んな人に可愛がられて、優しい子なんですよ。
優香は、甘やかしたくなるところをぐっとこらえて…。
ホントに三人三様で、優香が祐樹に何時も以上に甘える時は体調が悪い時、一樹は体調を崩しても隠そうとする、祐樹は自力で何とかしようと試みるといった感じです。」
「なるほど、兄弟の仲はよろしいそうですね。」
「はい、手の掛からない子達で…。」

「…、では、祐樹くんにもまだ見せていなかったのですが、新会社の事務所を見て頂けますか。」
「はい。」
「二階へどうぞ…。」

「結構広いのですね。」
「使い道を決めずに取り敢えず作っておいた部屋の内装が終わりました。
机などは自分達で選んで貰います。」
「私のオフィスより良いです、おい祐樹、代わってくれないか?」
「はは、親父にこの眺望は必要ないだろ。」
「さあ、次はこちらへ…。」

「ここは?」
「社長室さ、君の。」
「うちのリビングより広いです。」
「そっちの部屋が寝室だよ。」
「えっ、寝室?」
「仕事が遅くなったらそのまま寝られる様にね。」
「祐兄、ベッドおっきいよ。」
「こんな環境で…、息子が居着いてしまわないか心配です。」
「是非とも居着いて頂きたいものです。
娘は可愛いですが、息子も欲しかったのですよ。」
「はぁ~、昔から…、祐樹は次男だから養子にという話が結構来ていまして。」
「娘婿が理想ですが、最悪娘と兄妹という事でも。」
「娘さんと出会ってまだ一か月も経っていないと思いますが…。」
「はは、娘はぞっこんです、それより私は人を見る目で事業を拡大して来た自負が有りますよ。
資本金を一億用意しますが、しっかり結果を出してくれると思っています。」
「祐樹はどうなんだ?」
「自分を試してみたいからね、自分の周りの社長さんや店のオーナー、店長さん達が応援してくれるからそんなに心配していない。
絵美は…、今まで出会った女の子達とは違うものを持っていて…。」
「お父さん、絵美さんは素敵な人なのよ、初めは祐兄を取られてしまうと思って複雑だったけど、私は応援するわ。」
「そうか…、って、待てよ普通は逆じゃないのか、何か花嫁の父みたいな心境に…。」
「まあ、具体的な話は先の事ですから。」
「そ、そうですよね…。」
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神沢祐樹-42 [高校生会議2-13]

「絵美、食事を取りながら会社の進展を皆さんに聞かせてくれるかな。」
「はい、お父さま。
法人立ち上げ作業は高校生会議の起業実習部が進めて下さっています。
私達は、遥香システムを通して確認していますが特に問題は有りません。
社員の雇用に関しては岩崎標準に合わせます。
岩崎グループ内移籍転職制度の枠内に入れて頂く事になりましたので、幹部社員の確保は問題無さそうです。
実際の業務としましては、飲食店を幾つか経営しておられる方と、ポスター及び新店舗開店時のイベントに、社長と私が出る話を進めています。
これをきっかけとして、柿川ローカルの歌手などを集めた芸能事務所を立ち上げます。
アマチュアの方にはセミプロとなって頂き、今までは自分達で企画運営していたライブなどを会社がバックアップして行く、社長の話では集客力の有るバンドは少なくないとの事です、そんな方々が活躍する場を充実させて行きます。
また、サークルの発表会運営を請け負ったり、イベントを企画出来ないかと検討をしています。
より芸能活動が活発な柿川市を目指しつつ、柿川から全国へとアピールして行きたいです。

こういった構想と並行して考えているのは、ハンディをお持ちの方が通われている作業所を支援する為の商品開発です。
地元の作業所では作業量が安定していないそうですので、弊社の発注によりその調整が出来ればと考えています。
商品としては芸能人のファン向けグッズを想定していますが、こちらに関しては岩崎高校生会議の障害者雇用チームが動き始めて下さっています。
まずは地元の作業所で作れる商品の検討ですが、ハンディの程度や状態によって可能な作業が随分違います、在宅での仕事も想定し、職種に拘らず、可能な事から始められたらと考えています。」
「絵美さん、それはボランティア的な活動になるのかな?」
「会社としては、作業所を優遇する形をイメージしていますが、きちんと利益をあげて行きたいと考えています。」
「ふむ、それで祐樹は資本金をどう活用して行くつもりなんだ?」
「まずはイベントとグッズ製作の資金、それと当座の人件費。
イベントでグッズ販売して行けば有る程度の利益を確保出来るとは考えているけど、いきなり大きな売り上げは見込めない、資金が上手く回り始めるまでが勝負かな。
でも、遥香コーポレーションの下請けに成れそうだからね。」
「そんな話もあるのか。」
「知り合いのお姉さんに話したら話が進んでね、障害者雇用は進めていても、もう一歩踏み込む所までは考えが及んでなかったそうで、協力したいと話してくれた。
それと、遥香コーポレーションではこれから男性向けの商品にも力を入れて行くそうで…、まあそういう事だよ。」
「なるほどな。」
「後、検討に入って貰っているのは、療養中の人のリハビリ用にグッズを作るキットを販売し、その完成後にこちらで買い取って販売というシステムが出来ないかという取り組み。
リハビリの種類にもよるだろうけど、自分が完成させた物が売れたらリハビリ中の励みになると思ってね。
岩崎総合病院の人も検討して下さっているんだよ、ベッドで長時間過ごす人の為になるかもって。」
「そうか…、そういう話だと例え赤字になってもやるべきなのかな。」
「いや、最初はもちろんマイナスからだけど、工夫して黒字にして広げて行きたいと思う、衛生面の問題とかハードルは高いけどね。」
「病院か…、看護師のお姉さんがらみということなんだな…。」
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神沢祐樹-43 [高校生会議2-13]

「祐樹くんの人脈の広さには驚かされるね。」
「はは…、私もです…。」
「白川社長、うちのお父さんは祐兄の事、あまり分かってないのですよ。
祐兄…、兄は皆さんのお話に耳を傾けるのが上手で、兄に話し掛ける人達は自然と笑顔になるのです。」
「あっ、それは分かるな。」
「でもお陰で私は不幸なのですよ。」
「えっ? どうして?」
「二人の兄と比べたら周りの男の子達が見劣りして、私に彼氏が出来なかったら兄たちのせいです。」
「はは、でも優香ちゃんはチャーミングだから大丈夫だよ、ステージでの活動にも参加するのだろ。」
「歌はだめですから、司会とかできれば…、でも素人ですから。」
「それに関しては遥香コーポレーションと交渉を始めているんだ。
遥香コーポレーションが持っているモデルなどのレッスン環境を、一般に広げる形で共同経営出来ないかね、話がまとまれば、そこでレッスンを受けさせて貰う事が出来る。
優香は面接試験に合格だから費用は会社が持つ、ご両親の承諾が必要だけどね。
その代わり働いてくれな。」
「知らない内に合格してたんだ、それで、芸能事務所に所属って事になるの?」
「ああ、モデルと司会だ。」
「お父さん、いいかな?」
「好きになさい、私は社長さんを信頼しているから。」
「祐兄、良いって。」
「それでは、正式な契約書は近い内に用意するからね、俺のと一緒に。」
「祐兄も事務所に所属するの?」
「ああ、モデルとしてデビューする俺は社長である俺には逆らえないのさ。」
「給料を沢山貰うつもりなのね。」
「しっかりとした利益を上げられたらな、そのお金は福祉系で利益率の低い部門の拡大に充てたいが、当分先の事だよ。」
「そんな話も進めていたとはね、祐樹くん、早いね。」
「岩崎高校生会議がバックアップしてくれていますから。
でも逆に、周りの皆さんが話をどんどん進めて下さっていますので、白川社長、自分は早めに高校生社員となって視野を広げておかないとまずいかも知れません。」
「ふむ、いたって冷静に考えているのだな。
では連休明けに指示を出すよ、それで、どんな研修を受けたいかな?」
「まだ高校生会議の基礎研修が済んでいませんが。」
「大丈夫だ、基礎研修の内容を把握している担当を付けるから。」
「それでしたら、出来れば会社組織の全体像を大きく把握したいです。」
「うん、必要な事だな、夏休みまでは本社中心に見て貰って、まあ授業後に会社見学ぐらいの感覚で始めてくれたら良い。
夏休みには各地の営業所や工場などから選んで、半分遊び、半分研修というのはどうだい?」
「お願いします。」
「ふふ、私のお勧めは北海道か長野ですよ、祐樹さま。」
「行ってみたいね。」
「絵美も行くつもりなのか?」
「もちろんです、お父さま、意地悪な事おっしゃらないで下さい。」
「まあ、行く先々で女性社員の誘惑に会いそうだから…。」
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神沢祐樹-44 [高校生会議2-13]

「今日は、ご馳走様でした。」
「いえ、今後とも家族ぐるみでお付き合いさせて頂けたらと思います、一樹くんも次は彼女と一緒に来てくれるかな。」
「はい、お願いします、彼女も来たがっていましたので。」
「今度はバスケの話も聞かせてくれな。」
「はい、弟の自慢話も良いですか?」
「もちろんさ。」
「では、失礼します。」

「祐樹、すごく惚れられたな、白川家に。」
「うん、色々と微妙な気分ではあるけどね、兄貴の目から見てどう思う?」
「確かに絵美さんは、お前の言う通り、良い個性を持ってると感じた。
女の子を避け気味にしていた祐樹が、突然デートしていたとの情報には驚いたが、今日会ってみて納得したよ。」
「でもね、彼女は男の子と付き合った経験が無いなんてレベルじゃなく、男の子と話した回数が極端に少なかったんだ。
これから色んな人と接する様になると気持ちが変わるかもしれないだろ。」
「はは、乙女の恋心を打ちのめし尽くして来た男とは思えない発言だな。」
「俺にとっては初恋みたいなものだから…。」
「そうか、あれだけ騒がれていると恋心も芽生えないものなのか。」
「兄貴みたいに中一で彼女作ってと出来なかったのは、今思えばそういう人が居なかったからだよ、一人に絞りづらい雰囲気が有ったしね。」
「まあ大丈夫だとは思うが、たまに遊びに行って弟が如何に良い男か自慢してやるよ。
もしお前以上の男がいたとしたら、そいつには間違いなく彼女がいるだろうから心配しなくて良いのさ。」
「はは、同じ事を多田社長にも言われたよ。」
「多田社長ね、結構大きい会社の社長なんだろ?」
「うん、近い内に岩崎雄太社長に会わせたいと話して下さった。」
「しかし、祐樹が社長って、初めはピンと来なかったが、遥香システム見てると皆さん熱心で、社長ってこういう存在なのかと理解出来た気がする。
やはり皆さんに協力して頂ける事は意識していたのか?」
「うん、多少はね、でなければ無理でしょ。
でも基本は兄貴が教えてくれたリーダー論だよ。」
「俺としては中学のバスケ部が上手く回ればという程度だったのだがな。」
「結局は人の心理とか考える訳だから同じでしょ。」
「大人達の心理も読んでいるのか?」
「まあ、何となく無意識に色々なバランスを取る癖は有って…。
人の和を崩す様なことは優香が嫌がると分かっているからね。」
「恰好の悪い事はしたくないという思いがお前を成長させたな。」
「そういう兄貴だって…。
結婚とか将来の話はしてるんでしょ?」
「まあな、女の子はそういう話が好きなんだ。」
「で、どうするの?」
「まあ、就職してからの話し、まだまだ先の事だな。
あっ、祐樹はもうお金の心配は要らないんだろ、白川家の跡取りとなるのなら十八で結婚も有りだな。」
「う~ん、兄貴は冗談半分で言ってるつもりだろうけど、白川社長はそれをマジで考えていそうなんだ…。」
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神沢祐樹-45 [高校生会議2-13]

「白川社長は、娘が祐樹にぞっこんと言いつつ実はご本人が、と感じたな。」
「嬉しいけどね、人に惚れられる事は社長の資質として大切な事だと多田社長が話して下さったんだ。」
「そうだな、バスケ部のレギュラー陣も祐樹を歓迎するってさ、市大会の決勝を決めた伝説の逆転ロングシュートはみんな知っているからな。」
「はは、大袈裟だよね、たまたま入っただけなのに。」
「でも試合形式の練習では、スリーポイント成功率の高さに記録担当マネージャーが興奮していたぞ
スケジュールが合えば祐樹を是非公式戦にもって。」
「すべてにおいて先輩方に劣るでしょ、遠くから狙うしかないじゃないか。
でも対外試合で通用するのかな?」
「速攻の起点となってだな、取り敢えずパスを受けたらゴールを狙うんだ。
入らなくてもリバウンド勝負に持ち込めるだろ。
試合の流れを見ながらだが、祐樹を投入したら相手はビビると思うぞ。
何処からでもゴールを狙って来る、しかも入る確率が高いからリズムを崩すだろうな。
さらに観客の応援に熱が入り、こちらは有利になる。」
「でも、試合に出たい先輩方は快く思わないのじゃないかな。」
「大丈夫さ、うちの連中はプロを目指すとか考えていない、楽しく面白く勝つがモット―なんだ。
対外試合とは別に校内リーグが有るから、ある意味試合には全員出られるしな。
もう直ぐチーム分けの話をするよ。」
「Bクラスも?」
「ああ、実力が無くても練習時間が短くても構わない、一年から三年でチームを作るんだ。
レギュラーチームのマネージャーや女子部からの参加もあって、そっちで満足している連中も多いのさ。」
「そっか、練習でも試合形式重視だから不満は出にくいのかな。」
「まあ、うちに入学出来るレベルの奴らだから物分かりがいいのさ、それで、高校の練習はどうだ?」
「自分達は中学の時とあまり変わらないって感じているけど、他の中学出身者は驚いていたよ、中身が濃いってね。」
「まあ、だらだらやっていたのだろうな。
体格的に劣る祐樹達の北中が市大会で優勝した意味を、中学の部活関係者にも理解して貰う様にコーチ達は話を進めているそうだから、中学も変わって行くだろう。」
「はは、後輩達は周りが強くなって大変だろうね。」
「だが全体のレベルが上がる事は悪くないだろ。」
「うん、間違った指導で体を痛める様な事が有っては行けないしね。」
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神沢祐樹-46 [高校生会議2-13]

「ねえ、祐兄、帰り道は一兄と何話してたの?」
「バスケ部の事だよ。」
「そっか、ねえ、部活の時は一兄の事をなんて呼んでるの、神沢先輩? 一樹先輩?」
「う~ん、今まで呼ぶ機会が無かったな…、優香は、どう呼んだら良いと思う?」
「お兄さまとか。」
「はは、絶対無理だな。」
「ねえ、絵美さんとはこのまま…。」
「そうだな、先の事は分からないが、今はこのまま仲良くして行きたいと思っているよ。」
「誰にでも優しい祐兄だけど、絵美さんに対しては他の人とは少し違うものね、妹としては複雑だけど。」
「また三人で遊びに行こうな。」
「それは絵美さんに悪いかも。」
「大丈夫だろう、彼女とはこの一か月間毎日会ってるし、これからは向こうの部屋も使う事になる…。」
「なんかな、大切なお兄さまが十六で花婿にって感じで、もやもやした複雑な心境はお父さんも同じなのかな。」
「別にすぐ結婚と言う訳ではないし。」
「そうだけど…、でも絵美さんの事はお姉さまと呼んだ方が良いのかな?」
「たぶん、喜ぶだろう。」
「う~ん、祐兄達が優しいから今までお姉ちゃんが欲しいとか思ってなかった…、でもモデルをする様な綺麗なお姉さまだから良いかな…。
ねえ、私にもモデルの話が出たけど、大丈夫?」
「大丈夫さ、しばらくは写真だけだから、基本は絵美に教えて貰うと良いよ。」
「うん、でもさ、遥香コーポレーションとはライバル関係かと思ってた。」
「はは、ライバルなんておこがましいよ、それにね、遥香コーポレーションは遥香さまの名の下に全国展開だけど、こっちはローカルから、まず柿川に東京とは違った文化を栄えさせたいんだ。
その為の商品は遥香コーポレーションも相談に乗ってくれる。
優香がプリンセス遥香の衣装を身に纏ってポーズを取る事も視野に入れているんだよ。」
「柿川に拘るのね。」
「ああ、元々ここは東京一極集中に疑問を持たれた岩崎雄太社長が指示を出し、安い土地を活用して開発して来ただろ。」
「えっと、過疎とか過密の問題に対する挑戦ね。」
「ああ、その成果は出ているが、更に文化面を発展させようと考えているんだ。
それには、優香の魅力が必要なのさ。」
「祐兄にそんなこと言われたら、もう…、でも絵美さんがいるのだから、あんましその手で女の子を誘惑しちゃだめよ。」
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神沢祐樹-47 [高校生会議2-13]

「ねえ、芸能事務所には他にも誰か誘ってるの?」
「ああ、高校生会議の遥香システムを通して趣旨説明を読んで貰ってるよ。」
「反響は?」
「バンドをやってる人から、バックアップして貰えるのならばライブの回数が増やせます、とか来ている。
何時も黒字にはしているけど準備やチケットを捌くのが結構大変で、本業との関係上回数を増やせなかったそうだよ。
あくまでも趣味だから赤字にならず、楽器とかの購入資金が増えれば嬉しいそうだ。」
「そんな感じで会社は儲かるの?」
「それなりに大丈夫だと思うが、充分な利益を出せるかどうかはグッズ販売に掛かっている。
バンドに関係なく欲しくなるオリジナルグッズが上手く作れて、お客さんに買って貰えたらね。
構想としては、幾つかのバンドを大きなグループとしてまとめ、個性的なグッズと共に統一感の有る衣服とかも販売して行きたいと考えているよ。
バンドフェスティバルみたいなのを開催出来れば、そのお客さん達の衣装が…、そうだな柿川スタイルみたいな感じになる様にね。」
「そんなの大変でしょ、お客さん達が乗ってくれなきゃ成り立たないし。」
「それでも、仕掛けてみたいという人はいるんだよ。
まあ、一つの挑戦だね、柿川市民に受け入れて貰えるデザインが作れるかどうか。
だめだったら、企画に係わった連中が着るだけで終わりになるかも。」
「デザインだけの問題ではないでしょ?」
「ああ、どうアピールして行くか、優香がその服を着て舞台に立つ、それを見て自分も着てみたいと思うか思わないかはモデルの人気にも左右されるだろうな。」
「そんな、私に責任を負わせる様な事言わないでよ。」
「はは、俺達の兄妹ファッションはそれなりに注目されて来たのだろ。」
「うん、まあね…。」
「優香に自分を重ねた人が多かったんじゃないのか?」
「でも…、それは祐兄の人気有っての事でしょ、絵美さんとの事が知れ渡って…、どうかしら?」
「優香も柿川市では有名人だぞ。」
「祐兄のおまけとしてね。」
「そうでもない、クラスの男子に優香ファンが何人かいるからな。」
「へ~。」
「アピールの仕方としては、事務所所属の音楽関係者同士で競い合ったり協力したり、そんな活動を優香が紹介すれば、すぐ拡散するだろ。
ダンスグループとコラボしたりゲストにモデル登場も有り、すべて事務所関係者で固めれば相乗効果が見込めるだけでなくコストを低く抑えられる訳さ。」
「実現出来そうな気はするけど、祐兄は色々な事を考えていて、時間的に大変じゃないの?」
「なに、ちょっとした思い付きを遥香システムで公表すると、後は皆さんが膨らませて形を整えて下さるのさ。
我が社に協力的な人は多くてね、社長がきっかけを示せば、後は指示しなくても話がどんどん進んでしまうんだ。」
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神沢祐樹-48 [高校生会議2-13]

「祐兄は明日もお出かけ?」
「ああ、イベントの打ち合わせと練習だよ。」
「子どもの日のイベントね、私も行きたいな~。」
「俺の担当は小学五 六年生の部、おこちゃまの優香だけど中二だから、だめなんだよな~。」
「私が行けなくなった年から祐兄がメインなんだもん…。」
「でも今年はテレビ局が取材に来るそうだよ。
ローカルニュースで少し流れるのじゃないかな、主役は子ども達だから俺は映らないかもしれないが。」
「う~ん…、テレビ局の人に祐兄ファンはいないのかしら、そしたら祐兄を沢山映して下さいってお願いするのに。」
「さすがにそれは無理だろう、でも、これから事務所の活動が活発になって行けば、優香にだってテレビ出演の機会が有るかもしれないよ。」
「色々練習しないと行けないのね。」
「優香は滑舌が良いしトーク力が有るから大丈夫さ。」
「学芸会の劇では主役をやらせて貰いはしたけど…。」
「はは、隣で見てたおじさんが、アイドル名乗ってる子よりうんと上手だって褒めてたな。
優香には色々な可能性が有ると思うよ。」
「それより何時放送されるとかは明日分かるの?」
「どうなんだろう、イベントチーフにでも聞いてみるよ。」
「事務所には市民コーラスの方も?」
「うん、趣旨だけは伝えさせて貰う、まあ今まで通りのボランティア活動はそのままだけどね。
ただ、柿川は合唱が盛んだから、ハイレベルな歌声を聴きたいという需要は有るんだ。」
「そうよね、祐兄が舞台に立つ時は何時も満席だもの。」
「だから、お店と契約してゴスペルを披露するとか、そんな需要を掘り起こす事も出来ると思ってる、まあ色々試す事になるだろう。」
「絵美さんは歌がお上手だって話だけど、演奏会を開いたりとかは?」
「ちゃんと声楽を基礎から学んでいるからね。
まだ形は決まってないけど、取り敢えず市民コーラスの一員になる方向で、明日一緒に行ってチームリーダーに紹介する予定だよ。」
「お誘いしたの?」
「いや、市民になったのだから、参加してみたいそうだ。」
「ふ~ん、まあ絵美さんの気持ちは分かるわ、少しでも長く祐兄と一緒にいたいんだろうな。」
「はは。」
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神沢祐樹-49 [高校生会議2-13]

「こんにちは。」
「おお、祐樹くん、子どもの日のイベント頼むね。」
「はい、頑張ります、でも、大北さんはこのイベントには係わっていらっしゃらなかったと思いますが。」
「はは、無関係ではあるが市民コーラスの幹部として、話題のカップルに会っておかなくては行けないだろ。」
「意外と暇なんですね。」
「暇でなくとも、祐樹の顔が見たくなるさ、で、そちらが?」
「白川絵美と申します、宜しくお願い致します。」
「噂以上の美人だな、美男美女のカップルは人の夢を打ち砕くのか、はたまた、おとぎ話を想像させるのか興味が有る所なのだが。」
「絵美は外見だけでは無いですよ。」
「これだよ、さらりとそんな台詞、言えそうで言えないよな、で本題なのだが。」
「は、はい。」
「高校生会議に参加しているメンバー達が騒ぎ始めてな。」
「お騒がせしております。」
「一通り教えて貰ったよ、で、勝算はどうなんだ? 柿川の更なる活性化に向けての。」
「騒いで頂けているのは、皆さんに盛り上げたいというお気持ちが有るという事です。
そのお気持ちが有れば、広がるのではないでしょうか。」
「なるほど、その通りだな、なあチーフはどう思う?」
「ふふ、四月になってから私の周りは祐樹くんの噂で持ち切りなのですよ。
優香ちゃん情報のフォロワーは更に増えてるし、千恵ちゃんが立ち上げた、祐樹くん達を生温かく見守る会のブログもかなりのアクセス数。
家庭での出来事は優香ちゃん、学校での出来事は千恵ちゃんがって感じだけど、この所は会社設立の話も伝えてくれていましてね。
千恵ちゃんは秘書見習いとして質問にも応じて、我らがアイドルを皆で盛り立てて行こうって雰囲気、それが何か楽しいのですよ。」
「やはり市民コーラスとしても協力すべきかな?」
「ほかって置いても、みんな勝手に協力しちゃいますよ、ね、祐樹くん。」
「その様です、セミプロとなれば発表のチャンスが増える事になります、まだ会社が正式に立ち上がっていないのに打診が来始めています。」
「社長ともなると色々大変そうだな。」
「いえ、気付いたら、正社員が固まるまでの繋ぎボランティア社員という方々が、起業実習責任者の承認を得て組織を構築し動き始めています。
自分のする事は、報告を受け必要が有れば少し指示を出させて頂くくらいなのです。」
「そうか…、多田社長から、他の高校生起業とはレベルが違うとは聞いていたが…、まあ応援したくなる内容だからな。」
「遥香システムが有るから、とても動きが早くて、また遥香システムが有るから自分も把握出来てるという感じです。」
「動いている連中にとっては遊びみたいな事なんだろう。
そういう事なら、私は静かに見守らせて頂くよ。」
「お願いします。」
「この後は?」
「児童合唱団の子達と本番に向けての練習です。」
「あっ、今日はテレビ局の取材が入ってるの、カメラは気にしないでね。」
「はい。」
「それと担当の方が、練習後に祐樹くんと話がしたいって、良いかしら?」
「構いませんよ、発声練習が終わったみたいですから行きますね。」
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神沢祐樹-50 [高校生会議2-13]

「あっ、祐兄ちゃんだ~!」
「祐兄ちゃ~ん!」
「あっ、その人が祐兄ちゃんの恋人?」
「はは。」
「白川絵美と申します、宜しくお願い致します。」
「うわ~、お嬢様だ!」
「お嬢さまだ~!」
「き、綺麗な人ね…。」
「おい耕太、何、赤くなってんだよ。」
「赤くなってない!」
「ふふ、隼人ったら、口を空けて見とれてる。」
「えっ、あっ、僕、こんな綺麗なお姉さん、初めて見た。」
「う~ん、私が祐兄ちゃんのお嫁さんになる筈なんだけど。」
「それは、小夜の、夢の中でのお話でしょ。
少し複雑だけど、祐兄ちゃんとはお似合いよね。」
「はは、それで曲の方は大丈夫なのか?」
「あっ、誤魔化した。」
「ごまかした。」
「何だ、俺にどうしろと?」
「お二人の出会いとか。」
「はぁ~、お前らな~、時間が限られてるんだ、一曲目始めるぞ。」
「はぁ~い。」
「じゃあ絵美はみんなに合わせる形で入ってくれるか。」
「はい。」
「ピアノはさっちゃんだね、宜しくな。
ペースはピアノに合わせる事、絵美も歌うが初見なので細かい所は許してやってくれ。
発声練習で声が出てるのは分かってる、力まずに軽く歌ってな。」
「はぁ~い。」
「では…。」

「…、うん、みんなしっかり練習して来たね、上手だったよ。
じゃあ、今度は、絵美が楽譜と全く違う歌をかぶせるから、変につられたりしないで、それと雰囲気が変わるから、力まない事をさっき以上に注意してな、児童合唱団六年生代表の力が問われると思ってくれ。」
「はい。」
「では…。」

「…、みんなどうだった?」
「すごい、楽譜にないメロディーなのに…。」
「絵美さんってプロなのですか?」
「まだプロではないよ、で、本番でも絵美を入れて良いかな?」
「良いけど、どうしてあんなにしっくり?」
「和音を意識してるからさ。」
「あっ、そうか、楽譜にはない音でも和音の一部なんだ。」
「その分和音に厚みが出ただろ、少しずらして歌っていた所も、きちんと計算してるのさ。」
「他のみんなはどう?」
「一緒に歌って欲しい。」
「歌いなれた曲がすごく素敵な曲になったものね。」
「お願いします。」
「絵美、オーデション合格だそうだ。」
「はい。」
「ねえ、別の曲でも良いから、祐兄ちゃんとのデュエットとかも入れてよ。」
「そうだな、それでもみんなが主役なんだからしっかり歌ってくれな。」
「うん、任せといて。」
「じゃあ、次は…。」
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