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岩崎高校生会議-21 [高校生会議-19]

東南アジアで大地震が起きた事を知ったのは、とある秋の日の朝食時。
侍女が教えてくれたが、詳しい情報はまだ届いていないとの事だった。
しばらくして桜が…。

「遥香さま、大地震の事はお聞きになりましたか?」
「ええ、状況はどうなの?」
「はい、被災地は岩崎王国が規模を拡大して来た国です。
現地支社長から、かなりの被害が出ている様だとの連絡があったそうです。
彼は岩崎本部へ対策室立ち上げを要請しました。」
「情報共有は?」
「岩崎高校生会議の国際ネットワークに仮の対策室ワークシートが出来ている筈です。」
「通信は大丈夫なのね。」
「はい衛星回線に問題はなく、現地支社は耐震設計で自家発電も出来ます。」
「仮の対策室にアクセスしてみようか。」
「そうですね…。」

「近くに住む社員が家族と共に避難か…。
社屋近辺は岩崎関連の建物が多いため耐震化が進んでいて被害は少ない。
古い市街地では大きな被害が出てると子どもを連れて避難して来た人が話している、死者も出ているそうだ。
これから避難して来る人が増えると予想されるので社員は医療品や食料の準備を始めた。
文章を見てるだけでは冷静な様ね。」
「あっ、隣国の高校生会議が支援体制を整え始めたと書き込んでいます…。
隣国の軍関係も、政府関係で問題が無ければすぐ支援に行ける様に準備中。
岩崎王国の国民の中に、この国のエリートクラスがいる事で動く安くなると良いですね。」
「両国の政府関係者はコンタクト取れてるのかしら。」
「大丈夫そうです、被災国の高官が衛星回線を使った電話で近隣国へ援助要請をしたと報告してくれました。」
「情報は入って来てるけど、これから混乱が予想されるわね、桜、情報整理担当を早めに置いて組織を早めに構築したいわね。」
「はい、今、指示を出しました。」
「有難う、現地の初動は被害の少なかったエリアの人と近隣国にお任せだものね、近隣諸国の支社が必要になりそうな物資を用意してくれるでしょう。
えっと~私は…、費用面に不安が有れば私の方で援助させて頂きます、今は遠くから見守らさせて頂くことしか出来ませんが…、簡単にしておかないとね。」
「遥香さまはネットワークシステムに御降臨ですか…。」
「ええ、何も出来ないからせめて費用負担ぐらいはね…。」
「あっ、遥香コーポレーション関連の工場長から…、被害は出ていますが耐震設計のお陰で周囲の建物に比べたら軽微、近くの住人が避難して来ているそうです。
大人達は近所の火災に対応中、病院が手一杯で軽症者中心に受け入れを始めたと有ります。」
「頑張って欲しいわね、あっ、停電していないエリアの王国国民達が岩崎高校生会議現地支部のシステムに情報を上げ始めたみたい、由香里さん、システム開発部に連絡をとって、国際ネットワークと情報共有出来る様にリンクして貰って下さい。
非常時を想定して準備はして有るの、すぐにお願い。」
「はい。」
「遥香さま、現地支社の社員からメッセージが来てます。」
「どんな?」
「遥香さまが私共を見守っていて下さると知り、怯えていた子ども達が落ち着き、母親達と遥香さまのお写真に祈りを捧げています。
私達は岩崎王国の一員として、真面目に災害と向き合って行きます。
これからも私共を見守って頂けたらと思います、お願い致します。
支社に避難している全員を代表して、我等が女神、遥香姫に。」
「えっ…。」
「遥香さま…、神様って…、実在するかどうか怪しい存在で云わばバーチャルではないですか。
でも遥香さまは、お願いしたら叶えてくれるリアルな神様ですよね。
ボーダーレス教の信者達は結構真面目に信仰しているのかもしれません。」
「私は神様じゃないってば…、でも…、励ます事は出来るのかしら…。」
「短い書き込みだけでも喜んで頂けたのですから。」
「桜、現地のラジオ事情を調べて貰って、後、被害の大きそうなエリアで使われている言語も。
復興初期段階で私に出来る事をするわ。」
「かしこまりました。」
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岩崎高校生会議-22 [高校生会議-19]

地震の被害は大きかった。
岩崎関連の従業員には普段通りの給料を約束した上で被災者の救援活動に当たって貰っている。
この国では岩崎王国の国民が増えていて、政府にも軍にも多数在籍。
公的な支援センターの長には、現地岩崎高校生会議のリーダーが就任した。
遥香システムで独立したネットワークを構築、仮サイトから移行、という作業が素早く行われ機能している事から、一部の反対を押し切って岩崎が組織管理をする事となった。
被災国の高校生会議メンバー全員にネットワークへのアクセス権を与えようとしたが、亡くなってしまった人が少なからずいて、改めて被害の大きさを実感させられる。
高校生会議が情報収集と整理をしつつ、支援計画を立て、軍やボランティアが動く。
周辺国の岩崎王国国民もバックアップで協力してくれた。
私は…。

「桜、国民の皆さんが少なからず亡くなったのは辛いわね…。」
「はい…、ですが、遥香さまの鎮魂歌は現地の言葉なだけに心に滲みると、ラジオで何度も流されているそうです、お葬式の場でも…、きっとお気持ちは届いていると思います。」

現地の言語による鎮魂歌の録音には少し苦労した。
始めて接する言語、アカペラでの録音、大災害を思い出すのか私の歌声に涙ぐむスタッフ。
それでも短時間で一曲完成させ、現地のラジオ局で流して貰うと共にネット配信を始める。
続けて十曲程録音した。
それらはラジオやテレビで流されただけでなく、被災地への応援に向かう人達がダウンロードして持ち込んでくれた。

「私の写真の入ったロケットを握りしめて亡くなっていた女の子の話とか幾つも届いて…、ボーダーレス教の信者だったのかしら…。」
「…、お辛いでしょうが…、頑張って生きている方の支えに…。」
「そうだったわね…、しばらく鎮魂歌のCD録音とDVD制作に没頭するわ。」
「お願いします、バーチャル王国の真の姫、リアル女神、遥香さま。」

鎮魂歌を集めたアルバムとDVDは採算が取れると判断した多くの言語で制作して行った。
英語と日本語から始め、フランス語ドイツ語と、曲を多少入れ替えながら発売、利益は被災地の復興に充てる予定。
DVDは私が祈る姿を中心にした。
私が神に祈るただの人間だとアピールしたつもりだったのだが、試写の段階で、映像に向かって跪き涙する人が続出したそうで…、色々想像できる演出の成果では有ったが、複雑な気持ちになる。
復興の励みになる、そんな元気な曲も頑張って出して行かないと、いよいよ神様になってしまいそうだ…。
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岩崎高校生会議-23 [高校生会議-19]

震災直後の混乱が落ち着き始めた、と言っても不自由な生活を強いられている人が多く存在する段階で被災者支援センターは次のステップへの移行を考えていた。

「遥香さま、復興チームのスタートが決定したそうです。」
「早すぎるとの反対は、解決したのね。」
「亡くなられた方々への鎮魂の気持ちを忘れずに、生きている人達の明日を大切にしましょう、との遥香さまのお言葉に納得して頂けた様です。
岩崎関連の工場や商店は、すでに動き始めていますし。」
「経済活動が回復して行かないとね、復興チームの動きはどうなりそう?」
「地方自治体、国、岩崎が力を合わせて行く事で合意出来ましたから、準備して来た事を実行に移して行きます。
災害は悲しい出来事ですが、その反面、町を作り直し発展させるチャンスでも有る。
それを如何に理解して貰うかに掛かっていると思います。」
「受け入れ難い人もいるのでしょうね。」
「はい、それで…、遥香さまには、このまま復興のシンボルになって頂きたいと多くの人が望んでいます。」
「う~ん…。」
「震災前も、遥香さまは彼の地で憧れの存在だったそうです、遥香さま関連グッズの売り上げを調べてみましたが、人口比で考えるとかなり高かったです。
震災後の早い段階で遥香さまの鎮魂歌が流れ始めた、それは家族を失った方々の心に届いただけでなく、過酷な状況で働く軍関係者やボランティアの心を慰める所となり、女神さまの思いに沿って自分達は働いているのだと自分に言い聞かせていた人も。
彼等は遥香さまが物心両面で支え救って下さる方だと信じています。
すでに被災者にとって心の拠り所となっているのです。
避難所では毎朝、遥香さまの鎮魂歌が流されて死者に対する祈りを、救援ボランテイアや軍隊の人は作業の前後に鎮魂歌を聞きながら遥香さまのお写真に跪いているそうです。」
「彼等の神様とかはいないの?」
「いますが…、苦しい時に救いの手を差し伸べてくれた女神さま、歌声やお写真で励まされただけでなく、食料や生活必需品を分けてくださるリアル女神様に勝てる要素は少ないと思いませんか。」
「はぁ…、それで復興のシンボルとは?」
「復興となると利害関係が生じます。
道路の狭さが被害を拡大したのに、元通りの区画で再建するなんて愚の骨頂じゃないですか。
ですが区画整理をするには、土地の買い上げ借り上げ、転居などの調整という微妙な作業が必要になります。
予備調査で、欲に目が眩んで足を引っ張ってくれそうな人物はピックアップ済だそうですが、限りある予算を有効に活用して行くためには、多くの協力的な人の心を掴む事が第一です。
欲張りな人を少数派にして追い込むには、遥香さまの御威光が有効なのです。」
「自分の立場を客観的に考えるとその考えは否定出来ないのよね…。
ここまで来ると…、ほんとは普通の女の子なの、と話して大勢の人をがっかりさせる事も出来ないわね…、子ども達が安心して暮らせる環境を取り戻して貰わないと…。
私からお願いしても良いかしら、遥香姫として現地へ行って鎮魂歌を歌いたい、でも、復興の妨げになる状況では行けない。
社会が落ち着いて、私の訪問が復興の妨げにならないと判断出来たら、鎮魂歌と明日への希望の歌を届けに行きたいと。」
「お願いします、その様に発表すれば復興への励みとなるでしょう。」
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岩崎高校生会議-24 [高校生会議-19]

復興チームはすぐさま株式会社を立ち上げた、と言っても現地支社をそのまま岩崎の新会社として独立させたに過ぎない。
これから株式を発行していくが寄付に近い、一番被害の大きかったエリアの復興資金に投資の形で充てる。
他地区は岩崎の支社が分担して復興に協力。
敢えて株式による資金集めという形にしたのは、寄付に甘えるのではなく、例え少額で有っても株主に配当を出せるところまで再建して行くという目標の提示だ。
自立心や主体性を復興に携わる人達に持って頂こうと考え提案した。
私は新会社の会長となり復興のシンボルとしての役目を果たすつもりだ。

「遥香さま、新社長は、震災救援活動で皆の先頭に立ちリーダーシップを発揮しれくれた現地人社員に決まりました。
非常時にこそ、人の資質が表に出るとは、支社長の弁です。」
「判断力が問われるものね、一度テレビ電話でお話ししたいわ。」
「すぐに手配しましょうか?」
「いえ、お忙しいでしょうから、少し落ち着いてからにしましょう。」
「あっ、そうですね…、ですが…、社長に余裕の無い企業は伸びません、余裕が出来たら遥香さまとの対談をセッティングさせて頂くと伝えましょう、必死になって余裕を作ると思いませんか?」
「ふふ、何か矛盾を感じるわね、でも良いわ、それで行きましょう。」
「先日、提示した、遥香さまの被災地ご訪問に関して、岩崎高校生会議復興チームは一年後を目標として計画を立て始めました。」
「ではその頃を目途に近隣諸国も含めての歴訪を計画しましょうか。」
「計画通りに進むかどうかは不透明ですが…。」
「進行状況に応じて、ヘリで現地入りして一時間で首都へ戻るのか、被災地に一週間滞在するか変わる、でも一年後に行く事を決定しておいて構わないでしょ。」
「分かりました、復興チームにもその様に伝え、スケジュールを組ませて頂きます。」
「世界各国の高校生会議支部が協力してくれているのでしょ、何とかなるわよ。」
「ですね、現地スタッフが現況調査のデータを入力すると、パリのスタッフがそれを整理し地図で確認出来る様に。
そのデータや写真から農業に関するアドバイスを数カ国のスタッフが相談し、農機を送る事を検討中。
現地の軍隊が瓦礫の除去まで担当してくれる事になったのは、地震をきっかけに被災国とその周辺国の政府高官、軍の上層部が意見交換できる場を作った事が大きいです。
全員岩崎高校生会議のメンバー、元々は遥香姫親衛隊として岩崎王国の国民になったという大臣や軍のトップも参加して下さって、被災国の軍隊が瓦礫の除去に力を注いでいるからと言って、隙をついて攻撃するなんて有り得ない、万が一他国の攻撃を受ける様なら周辺諸国が力を合わせて守る。
自分達の国に何か有っても、ボーダーレス教団の女神、プリンセス遥香が救いの手を差し伸べて下さるだろうと、皆さん国境を越えて協力し合うという教義のままに…、すっかり信者ですよ。」
「各国が友好条約を見直し、二国間や多国間の条約を見直すのなら、私の城に集まるのも有りと提案してみましょうか。」
「そうですね…、世界中の高校生会議へ発信してみましょう、どの程度の反応が有るか見たいです、ボーダーレス教の最大の目標は世界平和ですから。」
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岩崎高校生会議-25 [高校生会議-19]

岩崎社長とも相談し、世界中の岩崎高校生会議支部へ発信したのは、世界がより平和で有る為にと、国際平和会議開催の提案、岩崎国王名義による。
岩崎の国民だけで開くが、出来ればリアルな国の代表という形で集まる事を望んだ。

「桜、平和会議の趣旨は伝わっているのかしら。」
「岩崎王国が仲立ちをして二国間の領土問題を解決した事は知れ渡っています。
一企業体を国家として認める国が三カ国、それに続きたいが法的な問題で悩んでいそうな国が数カ国存在していると認識しています。
岩崎国王からの発信には、戸惑いつつも新たな枠組み作りを模索する動きがみられます。」
「二国間の問題解決は良い先例になったわね。」
「はい、まだ数カ国ですが、それなりの地位に有る人が参加を表明しています、王族や大臣が関係している支部は早いですね。
まずは、国際ネットワークで意見交換をした後、このお城で会議となりそうです。」
「参加して下さる方の国内に、反対する人はいないかしら?」
「私的な会議ですから大丈夫だと思いますが…、国によっては動きにくいかもしれません。」
「簡単には行かないでしょうね…、ねえ、私主催のパーティーの方は進んでる?」
「はい、そちらは盛り上がっています、百名限定の一回目、ネットオークション形式での参加者募集には、海外セレブの代理人も多数参加しているようで、今の最高額は一億三千万、最低額である百人目は七千万です。
被災地の新会社へ株式購入という形での寄付という気持ちも有るでしょう。
でも、遥香さまにどうしてもお会いしたいという気持ちから、少しずつ値を上げるという面倒な事を避けた人達が一億以上を付けている様で、一回目は総額百億を軽く超える資金が集まりそうです。
億まで出せないという方々は二回目以降を狙ってみえるようですから、まだ資金は集りそうですね。」
「三回ぐらいで二百億、集める事が出来そうなのね。」
「一回目の参加者がどれだけ満足されたかによると思います。」
「そうね、姫パワー全開で頑張って被災地復興の資金を集めるわ。」
「岩崎国王から、今後王国の顔となる貴族を紹介する様にとの指示が届いていますが。」
「ふふ、素敵なお兄さまやお姉さま方が私の負担を減らす為に来て下さるのよ。
ドレスアップして華を添えて頂くの、おもてなしはお客様のデータをバックアップスタッフが用意、必要に応じて話題を提供出来る様にね。
貴族たちはダンスの特訓中だけど、貴族にもホールスタッフにもプロ級の人がいると聞いているわ、当然音楽家も一流よ。」
「それは楽しみです、お客様方に喜んで頂けるでしょう。」
「喜んで頂かないとね、一億払って下さるのですから。」
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岩崎高校生会議-26 [高校生会議-19]

震災からの復興作業は順調に進んでいる様だ。
碁盤目状の道路整備がインフラ整備と並行して行われている。
道路舗装が済む前に着工したのは弱者向けの総合ホーム。
お年寄りと震災孤児、母子家庭や父子家庭が協力して生活する場となる。
運営母体はボーダーレス教団にした。
すでに職員は雇用済で今は仮設テントでお年寄りや子ども達の面倒を見ながら研修を受けて貰っている。
建設関係や仮設テントにオープンした店で働くのは全員新会社で雇用した人達。
人件費の内、何割かは店の売り上げとして回収し始めているが、しばらくはパーティーで稼がないと追いつきそうにない。

「桜、被災地の雇用状況はどう?」
「少し無理して仕事を作り何とか失業者はなくせそうです、賃金はあの国の平均を少し下回っていますが、状況が状況なだけに納得して貰っています、まだ支援物資も残っていますので。」
「住宅の建設は進んでいるの?」
「はい、内装なしの状態で住み始めていますから、一軒当たりの工期が短いです。
一戸建てに住む人は、土地代も含め掛かった費用に一割加えた金額をこれから分割で払って行くと理解しています。
安く仕上げる為に、内装工事は休みの日に自分でやるという人が多いそうです。
入居を急いでいるのは、仮設テントから出る事によって自分達の家族が落ち着くだけでなく、残っている人達が仮設テントを広く使える様にして上げたいと考えての事。
集合住宅も建設を急いでいますが、欠陥住宅になっては意味が有りませんので時間が掛かります。」
「皆さんの仕事ぶりはどうなの?」
「真面目だと聞いています、巨額の支援を受けて町の復興をしているという自覚が有るそうですが、皆さんボーダーレス教の信者となって、教祖からの教えを守っています。
被災しても人心が大きく荒れていないのは、ボーダーレス教の教えが広がりつつある成果と考えています。」
「思わぬ形で広がったわね。」
「はい、周辺諸国でも遥香さまの鎮魂歌をラジオで聞いて、岩崎とは全く関係ない人が信者になっているそうです。」
「それなら、国際平和会議のエリア会議も上手く行くかしら。」
「震災時に援助した四か国と被災国ですね、五か国の関係者を城に招待する事は確定しましたか?」
「ほぼね、今は日時と各国からどの立場の人が参加するかで調整中よ。
外務大臣が岩崎高校生会議の一員という事で問題ないと思っていたら、首相や大統領の参加を検討する動きが有ってね。
代表の人数は一か国二十人ぐらいでも構わないと伝えてあるのだけど、岩崎王国の国民だけで開きたいという人もいるの。」
「岩崎王家に忠誠を誓った人ばかりなら話が楽ですからね。」
「しばらく様子を見て決まらなかったら、こちらで判断するわ。」
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岩崎高校生会議-27 [高校生会議-19]

エリア会議は、王国国民でなかった大統領らの参加希望者が遥香姫親衛隊の隊員となり岩崎王国の一員となる事であっさり決着した。
実は大統領の妻が前から親衛隊の一員だったという様なパターンばかりで、五カ国とも簡単に解決したそうだ。
奥様方はすでに会議の日をワクワクしながら待ち望んでいるとも聞いている。
会議を前に岩崎高校生会議国際ネットワーク上にエリア会議のワークシートが作られた。
各国の首脳が意見交換できる場は震災後に作られていたが、五か国のエリート達による国際問題に関する共同研究の場が出来た事の意味は大きい。

「桜、エリア会議のワークシートは見てくれてる?」
「はい、とても活発ですね、五か国の経済水準を今より高めた状態で平均化、通貨統合、犯罪抑止など、難しい課題でも色々な可能性を探り合っていて…。
今までは思ってはいても口にする機会すらなかった事が、国境を越えた遥香システムを通して提案できる事が嬉しくて、遥香さまに感謝の祈りを捧げている人もいます。」
「今までは、他国の事情なんて分からなかったのでしょうね。」
「はい、今回特徴的なのは軍事に関する事です、震災後五か国の関係が余程良くなっていないと難しいレベルの意見交換をしています。」
「エリア会議で皆さんに集まって頂くのが楽しみね。」
「はい。」
「桜は通貨統合、どう思う?」
「ドル立ての貿易を統合された通貨にすれば五か国間での取引が安定するのではないでしょうか。」
「そうね、岩崎としても可能性を探る様に指示を出しておいて。」
「はい、岩崎王国の通貨を考える動きも有ります、紙幣は発行せず仮想通貨をオリジナルで運用、他の通貨との交換レートが問題ですが。」
「岩崎がほとんどの株式を上場していないという事はプラスになるわね。
岩崎王国が海外展開での利益を現地での再投資に充てる事によって拡大が止まらなくなっているという事も。」
「ですね、安定的に発展している王国の通貨なら安心感が有ります、上場していないという事で、業績に関係ない要因で株価が下がる事が有りませんし。
岩崎の株式を保有している企業も人も、今は受け取った配当を岩崎に再投資しています。」
「岩崎高校生会議の存在も大きいでしょ、如何に人件費を抑えるかを考える様な企業ばかりの中で、お父さまは各企業のトップ達に高校生会議を通して一般の若者達の将来を考えさせた。
結論は人件費を抑えていては消費が拡大しない、国の活気が失われるだけ、充分な給料を払えるだけの企業作りには高校生時代からの効率的な教育が必要。」
「はい、高校三年間適当に卒業できるだけの点数を取って来ただけの生徒と、遥香システムを通して実際の仕事に触れて来た生徒とでは雲泥の差です。
岩崎高校生会議が世界展開して各国の首脳まで参加するとは思いもしませんでしたが。」
「そうね、私も世界中の高校生が繋がれたら素敵かな、というぐらいにしか考えてなかったわ。
でも、大きなネットワークが色々な形で広がって行くと、可能性はまだまだ広がりそうね。」
「エリア会議が成功すれば…、まず一歩です。」
「ええ。」
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岩崎高校生会議-28 [高校生会議-19]

私の城でのエリア会議には五か国の他、岩崎王国をすでに国として認めている三カ国からの代表も参加した。
その立ち合いの下、五カ国が岩崎王国を正式な国として承認。
準備を進めて来た友好条約の内容を確認して行く。
条約の中で岩崎王国はリアル八カ国友好の象徴と位置付けられる。
軍事、通商を中心にまとめられた友好条約は翌日発表の予定。
この九か国の枠組みは岩崎国際同盟と名付けられる事も決定した。
参加各国に対して経済的貢献をして来た事が認められた形だ。
これを機にエリア会議のネットワークシステムは岩崎国際同盟に名を変える。
予定していた友好条約に関する確認作業が終わった後も前向きな討論が続いた。

「桜、会議は終始和やかな雰囲気だったわね。」
「はい、内容はほとんど調整済でしたし、バーチャル王国のリアル女神、遥香さまに見守られていては自然と笑顔になります。
発言に対し、遥香さまに笑顔で頷いて頂だけた大統領は嬉しさを隠しきれていませんでした。
皆さん、岩崎国際同盟の可能性に対して気持ちが高ぶっていらした様ですし。」
「参加国が増える事を想定しての条約、岩崎の支社が頑張ってる小国中心に動きが有ると予測してるのよね。」
「検討中の国は明日の友好条約発表を見て動くと思います。
新通貨の話も議論を深めた上でスタートとなりそうで、注目を集めると思います。
国は違えど同じ女神さまをお慕いする仲間同士と、話された方がみえましたが、その仲間に加わりたい人も多いでしょう。」
「女神扱いは誤算だったな、女神という表記は一切禁止して遥香姫で通してる筈なのに…、桜、ボーダーレス教は、所謂先進国でどの程度広がってると思う?」
「分かりにくいですね、日本でも教団グッズは売れていますが、信仰心関係なくおしゃれグッズとして売れてるだけかも知れません。
岩崎国際同盟の国民達とは信仰心のレベルがかなり違うと思います。」
「欧米諸国ではどうかしら?」
「日本よりは…、教団のグッズでもキリスト教のアイテムに寄せたものが売れたりしています…。
一度詳しく調べさせましょうか?」
「そうね、熱心に布教活動をする必要はないけど、ボーダーレス教が広まれば岩崎国際同盟の国にとってもプラスになるでしょ。」
「はい、色々な意味で…、リクエストに応じての信徒向け衣装が売れ始めているといった経済面だけでなく、国境を越えてという意味など。」
「先進国で広がれば、私はただの姫に戻れないかしら。」
「姫と女神の中間がベストではないかと思いますが…。」
「冷静に考えればその結論に行きつくのよね、でも女神扱いは…、神様に失礼な気がしてね…。」
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岩崎高校生会議-29 [高校生会議-19]

岩崎国際同盟発足の発表は多くの人を驚かせた。
バーチャル王国がリアル国家友好の象徴になる、勿論先例はない。
情報を知っていた岩崎王国の関係者は落ち着いていたが、支社長達は今後の展開に頭を悩ませている。
自分の担当する国が岩崎国際同盟に参加してくれたらプラスになるが、国家を動かすには多くのハードルが存在する。

そんなタイミングで、一本のハリウッド映画が公開された。
男女に襲い掛かる悲劇と喜劇が、海中都市建設現場や砂漠に広がりつつあるニューシティ、大震災から復興しつつ有る町などを舞台に繰り広げられる。
私は岩崎王国の遥香姫として登場、ボーダーレス教団も登場する。
その映画を見て…。

「ボーダーレス教団の弱者向け総合ホームが一つのシンボルとして描かれていたわね。」
「一人の子を多くの大人が見守り育てる、子どもが老人から学ぶ環境、震災によって傷ついた人達が女神さまに守られて生きているという部分はフィクションでは有りませんでした。
朝は、遥香さまの鎮魂歌を聴きながら祈りを捧げ、希望の歌を口ずさみながら学校へという姿は現地支社が送ってくれた映像とダブリます、彼等の衣装が可愛かったですね。」
「教団から支給したのでしょ、他では普通に売れてるみたいだから、これからまた売り上げが伸びそうね。
あそこの工場で生産しているから、利益はそのまま復興資金に回せるわ。
各地の支社長達はこの映画をきっかけに岩崎国際同盟参加への機運が高まればと考えているの、今後、岩崎は同盟国重視になるでしょ。」
「今後は支社の再編とかも有るのでしょうか?」
「お父さまは、岩崎に協力的でない国の岩崎支社の規模を縮小して、単なる輸出先にしようと考え始めているの、そうなったら支社長は売る事に専念かしらね。」
「それはそれで王国にとってプラスですね、その国の富をどれだけ吸い上げる事が出来るか…、利益は協力的な国への投資に回せます。」
「ええ、協力して岩崎王国を拡大し教育や医療などの充実にも力を注ぐ国と、岩崎の商品やサービスに対してひたすらお金を支払って頂く国に別れて行くでしょうね。
勿論、中間的な国も出て来るでしょうが。
人材の配置も変えて王国拡大の速度を上げる事に成るでしょう。
支社長会議のネットワークで調整しているから…、そうね桜もアクセスしておいて、今からアクセス出来る様にするわね。」
「はい、お願いします。」
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岩崎高校生会議-30 [高校生会議-19]

岩崎国際同盟発足を受けて岩崎王国は海外支社の体制を徐々に変更している。
利益はその国への再投資に回すという原則は、各国の国情と岩崎への協力姿勢などから判断し見直された。

「大震災がきっかけで岩崎国際同盟が発足、このタイミングで支社長会議のネットワーク完成度が上がった事は大きいですね。」
「そうね、国同士の繋がりが強くなった段階で、支社間の横の繋がりが強化されたとも言える、岩崎の海外展開が大きく変わるわね。」
「生産、販売体制がより効率的になりつつ有ると感じましたが、同盟に参加しそうにない国でも、拡大速度を落としはするものの継続的に活動して行くのですね。」
「ええ、岩崎王国の印象を悪くしてはだめでしょ、岩崎を正式な国と認めて下さら無くても友好的な国は多い、重要なマーケットでも有るわ。」
「そうですね、政府は岩崎王国に無関心でも、国民がボーダーレス教団グッズを沢山購入している国が有りました。」
「ふふ、そんな国では岩崎高校生会議が政党みどりの風をこっそり立ち上げ、政権政党を目指そうとしてるわよ。」
「すぐには無理でも何年後かには同盟の一員となる可能性が有るのですね。」
「ええ、支社の対応は国ごとに違いが有って単純じゃないのよ、高校生会議が活発かどうか、ボーダーレス教が広まってるかどうかだけでなく、治安や政情も考慮しないといけないでしょ。
だから岩崎国際同盟だけに拘っていては駄目でね、幾つかの王家からは、新たな枠組みを応援するとの言葉を頂いてるわ、彼等は国連とは違った国際平和会議の開催に興味が有るの。
準備チームは経済的視野からの国際平和を考えていて、そうね経済問題を現場レベルで検討しているという感じかしら、その結果を推進して行くためには、先進国も名を連ねる様な国際機関が必要になるのよ。」
「既存の組織では動きにくいですね、友好国が多く参加して下されば、実の有るものに成りそうですが、岩崎王国を正規の国と認めていない国への働きかけはどうしますか?」
「日本その他の友好国が提案するという形でスタートすることになるでしょうね、岩崎を前面に出す必要はないのよ。
実際のネットワーク運営は担当してもね。」
「あっ、日本が主導権を握る事も可能…、岩山総理の国際的な立場が強くなるかも知れません。」
「でしょ、総理は大変だから、せめて岩崎の友好国と日本がより仲良く出来る様、お手伝いさせて頂くのよ。」
「はい…、リアルで日本人だという事を忘れかけていました。」
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