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みどりの風-01 [高校生会議-11]

チーム遥香の合宿から帰って真っ先にお会いしたのは岩山さん。

「遥香さま、お会い出来て…、こ、光栄です。」
「岩山さん、楽になさって下さい、高校生会議のシステムでは的確な指摘をされていて、前野の推薦が間違っていないと確信しました。」
「あ、有難う御座います…。」
「岩山さんの目から見て、みどりの風はどうですか?」
「そ、そうですね、まだすべてを把握出来た訳では有りませんが、政権を取るべき政党だと思います。
政権与党は官僚無くして、まともに動けないでしょう、野党は論理的思考能力に欠けています、対案も出せずに与党の案に反対するしか能がない連中です。
全体的に議員の技量力量が低過ぎるのが今の国会かと思います、能力の高い人が国会議員を目指さない、目指せない状況を打破していく必要が有ります。」
「ですよね、能力でなく前任者の子どもだからという理由で擁立とか、人脈とかが関係しているのでしょう、一旦断ち切らないと政治は良くならないと思います、岩山さん、みどりの風にお力を貸して下さいますか?」
「も、勿論です、全力で取り組ませて頂きます。」
「チーム遥香の仲間としてもお願いしたいのですが。」
「自分みたいなのが仲間などとは恐れ多いです…。」
「ふふ、岩山さんが私の後ろに立っていて下さったら安心できるなぁ~、聡美、そう思わない?」
「親衛隊の男の子達がかすみますね、岩山さんちょっと筋肉を強調して下さい。」
「えっ、こうですか?」
「おお~、本当に屈強な男性が遥香姫をお守りする、こんな絵が欲しかったのです。
遥香さま、すぐさま衣装の発注ですね、岩山さん後で採寸をお願いします。」
「は、はあ。」
「前野さんグッジョブです、素敵な方を見つけて下さって、うん、遥香さまの右斜め後方は岩山さんにお任せしましょう。」
「聡美、はしゃぎ過ぎてるとひねり潰されますよ。」
「そんな…、優しく潰して下さいね岩山さん。」
「はぁ…。」
「前野と聡美はチーム遥香担当副社長でも有ります、何でも相談して下さいね、私もシステムを通して見守っていますが、人に任せられない仕事が増えてしまって…、ねえ聡美、岩山さんもDVDに出て頂くってどう?」
「良いですね~、鎧姿で剣を持ち遥香姫をお守りする、絶対絵に成ります、岩山さん良いでしょ?」
「は、はい…、演技とかは出来ませんが…。」
「立ってカメラを睨みつけるだけで良いですよ。」
「曲が問題かしら。」
「では簡単に写真撮影をしてそれに合う曲をリクエストして貰います、岩山さん、お時間は取らせませんからご協力お願いしますね。」
「分かりました。」
「岩山さんは、みどりの風党本部長とチーム遥香特別職『騎士』を兼任という事で良いわね。」
「有難う御座います、光栄です。」
「では、今後の事は、聡美お願いね。」
「はい。」
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みどりの風-02 [高校生会議-11]

岩山さんが本部長に就いた事でみどりの風の組織は急速に固まりつつある。

「元々は地域政党、エリア毎に活動していた事もあってか、まとまりに欠けていたのが、岩山さん中心に一気に固まり始めたという感じね。」
「はい、幹部候補達も喜んでいます、国政政党となるタイミングで党首を選出する予定ですから、それまでは動きにくい一面も有りました、彼は中立の立場で事を進めていますから反発も少ない様です。」
「ふふ、前野さんの作戦通りという事なのね、バックが落ち着いて少し安心したわ。」
「それでも、これから党関連の日程が詰まっています、しばらく会社関連は聡美に任せ私もトラブルが無い様に岩山の補佐に入らせて頂こうかと思います。」
「ええ、ここでのミスは大きいです、私も動きますから、指示をお願いしますね。」
「そんな…、指示なんて恐れ多いです、遥香さまが党の会議に参加して下さるだけでも大きな影響をが有ります。」
「少し福祉関連政策に口を挟まさせて頂いただけですよ。」
「いえ、その遥香さまからの提案をきっかけに、もう一度見直そうとなって、学生を含む党員が高校生会議のシステム上で政策に関する共同研究を始めました。
正式な党首のいない今、いえ、党首が決まったとしても、遥香さま中心に党が結束して行くという形は好ましいと思っています。」
「う~ん…、私の場合は天皇の様な法的な縛りが無いのよね…、勿論言葉は選びますが。」
「岩崎王国の理念に基づく政党が遥香さまのご指導の下で、力をつけたら面白い事になると思います。」
「やるしかないのね、明日の会議で幹部の力量を計りましょうか、私の右に岩山さん左に前野さんに座って頂いて…。
今日の夕食は岩山さんと…、そうね、奥さんもお呼び出来ないかしら、前野さんの彼女にも会っておきたいわ、五人で会食ってどう?」
「有難う御座います、すぐ連絡を取ります。」

その夜は楽しかった、岩山さんの奥さんも前野さんの彼女も素敵な女性だ。
大きな岩山さんは小柄な奥さんに頭が上がらない様で可愛らしい一面を見せてくれ、前野さん達は婚約した事を打ち明けてくれた。
私からは今後の局面を二人の力を借りて乗り越えたいと話させて貰ったが、彼女達も協力を申し出てくれた。
私としてはチーム遥香の男性メンバーがプライベートも充実してる事に安心出来て嬉しかった。
本人を通してだけでは掴めない事も有るので。
話は明日の会議に及び、大きな決断の下打ち合わせをした。
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みどりの風-03 [高校生会議-11]

みどりの風の会議。
議題は事前に絞られているが、その中でも、党首をどうするかが大きな問題。

「知名度と能力の問題ですね、党員に対しては公正な選挙によって選ばれた党首としたい、しかし地域間で認識に差が有るというのも事実、幹部候補は優秀な方ばかりだが知名度が高い訳では有りません。」
「誰がベストなのか判断出来るだけの交流が進んでいないのも問題だね、市長選に合わせてタイミング良く決めたいが互いの力量を見極めてからにしたいと…、あっ、岩山さん、どうぞ。」
「一旦、遥香さまを党首に迎え、世間の注目を集めている間に、幹部候補の方々で組織固めをする、という事で如何でしょう。
影の内閣を立ち上げ、高校生会議のシステムに上がって来ている政策を論議しながら人物を見極める、その模様は誰でも閲覧出来る状態にします。
皆さんの意見を聞いた上で、最終的には幹部の話し合いで党首を決め、遥香さまが任命という形にすれば時間的な問題は解決出来ると思います。」
「う~ん、遥香さまは如何ですか?」
「そうですね、地域政党の代表は名前だけのものでしたが、これからは強いリーダーシップを発揮して頂かないと前へ進めません。
真面目な方ばかりなので、互いに遠慮されてるとは思いますが、幹部の総意でリーダーを決めるべきだと思います。
その為の繋ぎと話題提供と言う事で有れば、喜んで引き受けましょう。
党首選定の過程は私から国民の皆さんに、なぜ選挙で決めないかの理由も含めてお話しさせて頂きます。」
「ならば、ここは、遥香さまにお願いするのがベストかもしれない。」
「反対意見は?」
「…。」
「遥香さま、お願いします。」
「はい、では、残りの議題を片づけましょう、進行は、前野、お願い。」
「はい。」

前野さんが議事を進行し一通りの課題をまとめて…。
「懸案事項が概ね片付きましたので当初の予定通り、市長選の公示前日に国会議員の方々の入党を発表させて頂きます、市長選の注目度は高くないですが、地域政党に二十人を越す国会議員が入り、その党首が遥香さまという事で世間の注目を集めると思います。
今日の会議映像もそのままサイトに上げますので、すぐに知れ渡ると思いますが、正式な発表は来週という事です。
皆さんは、これから岩崎高校生会議のシステムを利用して組織固めをお願いします。
まだ不慣れな方は学生アシスタントを増員しましたので協力して貰って下さい。
議員の方々はお忙しいと思いますが、正式入党後一気にバックアップ体制を整えさせて頂きますのでよろしくお願いします。
岩山からは?」
「ああ、皆さんが遥香システムを使いこなせる様になれば必要なくなるのですが、しばらくは定例会という事で会議を開いて行きます、私は極力党本部にいる様にしますので、調整が必要な事が有りましたら声を掛けて下さい。
遥香システムの講習も随時行う様手配して有ります、利用してスキルアップをお願いします。」
「では他に連絡事項とかなければ、今日の会議はこれぐらいで終わりにしましょう。」

今まで直接党に係わっていなかった前野さんが仕切ったが、その手際の良さに反発は無かった。
残念ながら現役の議員は能力が高いという訳でもなく、幹部候補も優秀では有るが物足りなさを感じる。
それは普段から優秀な部下と共に仕事をしてきたからかもしれない。
物足りない部分は、岩山さんや前野さんと働く中で減って行くと思う。
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みどりの風-04 [高校生会議-11]

その夜はまた岩山さん達と五人で食事。
前野さんが…。

「結局小者の船頭が大勢いるという感じでしたね。」
「そうね、映像を見せて頂いたけど、遥香さまや岩山さんの足元にも及ばないという感じでしたわ。」
「でも彼等の優秀さは伝わって来ました、幹部スタッフが充分に力を発揮出来る環境を作る事が出来れば強い組織になると思います、問題はトップリーダーですね。」
「岩山さん、奥さんはこう話してますが如何です?」
「やるしか無いですか…、政治の世界に強い興味は有りませんでしたが、今まで幹部候補達の動きを見てきて…、政権を取るという気概が上滑りな人や、現実と捉えていない人が多くて、これから大きくなる組織のトップとしては物足りなさを感じていました、セクションリーダーとしての素質は充分有る方々なのですが。
遥香さまが昨夜話しておられた通り、政権を握れない野党では国を変える事が出来ません。
道を踏み外していたらヤクザの大親分になっていただろうと言われている自分ですが、私が総理大臣を目指しても良いのでしょうか?」
「道を踏み外さなかったのですからね…、あっ、過去にバレるとやばい事とかしましたか?」
「う~ん、少しだけ…、でも相手は許してくれていますから。」
「ふふ、奥さまが顔を赤らめる様な事なのですね、前野さんどう?」
「今の所、浮気の痕跡は発見されていません、経歴等に詐称の余地もなく、部下から慕われる存在で根っからの親分肌、若くして部長職に迄上り詰めた実力、自分は初めから総理大臣候補のつもりで推薦させて頂きました。」
「奥さまは如何です?」
「少し緊張していますが…、ヤクザの大親分になるよりは…、すごく真っ直ぐな人なんです。」
「では、方向性は固まったわね、まずは私が党首になって盛り上げるとして、岩山さんに引き継ぐタイミングはどうします?」
「それはまだ様子見で良いと思います、解散総選挙の話が出始めてからでも遅く有りません、それまでに本部長として党をまとめ上げて行きます、遥香さまの姫パワーで、党員を増やして下さい。
ただ…、遥香さま、前野はこのまま党の要員にして頂けないでしょうか?」
「そうね、すごく真っ直ぐな岩山さんに対して、抜け目なく人を動かす前野さんは良いコンビかも知れません、私の側近として動いて頂くつもりでしたが、前野さんは如何です?」
「メインの側近は聡美に任せましょう、でも岩山の補佐になってもチーム遥香の一員である事に変わりは有りません、チーム遥香のオフィスで仕事させて下さい。
ひとまず、寄せ集め集団みどりの風の組織を強固にするまでは党に力を注ぎます。」
「それでは、形式上、党本部の岩山さん、高校生会議の前野さんとしましょう、高校生会議の資金は頑張って稼ぎますからね。」
「有難う御座います、ひとまず党首の座を目指す話しはここだけの話としておいて下さい。
問題は、次回の衆議院選挙に向けて党のイメージアップですね、地域政党として活動してなかった地域ではほぼ無名ですから。」
「岩山、そこは遥香さまにおすがりするのさ、国政政党になっての初代党首が絶世の美少女姫というだけでも大注目、党の方向性をしっかり把握しておられるから実は最も党首に相応しいのかもしれない、だが、まだ選挙権すらないし、今以上の大きな責任を負って頂くのは心苦しい、ナイトとしてしっかりお守りしてくれよ。」
「勿論だ、俺達夫婦は遥香さまに忠誠を誓った遥香姫親衛隊の一員でも有るからな。」
「遥香さま、チーム遥香のオフィスはまだ事務員を置いてないそうですが、私を転籍させて頂けないでしょうか?」
「あっ、そうね奈津美さんなら…、前野さん、私は構いませんよ。」
「う~ん、自分の彼女をというのは職権乱用の様な気もして躊躇していました。
極秘情報も扱いますので遥香さまの御世話をどうさせて頂くか決めかねていたのです、雑事は聡美がやってくれていますが、何時までも副社長にやらせて置く訳には行きません。」
「そういう事でしたら私も、下の子も幼稚園に入りましたし、義父母が面倒を見たがっていますので、今日も遥香さまとの会食と話したら喜んで留守番を引き受けて下さいました。
私にも遥香さまの御世話をさせて下さい。」
「お願いします、守秘義務の他に一つだけ条件を付けさせて頂きますがよろしいですか?」
「はい。」
「常にお子さん第一でお願いします、お母さんが疲れてしまってはお子さんにも影響しますからね。」
「分かりました、心しておきます、私の事は涼葉と呼び捨てにして下さい。」
「はい、では、前野さんお願いね。」
「承知しました、良い機会だから、奈津美は転籍手続きの流れを覚えてくれな。」
「はい、ところで遥香さま、岩山さんは騎士として遥香さまのDVDに登場なさると聞いていました、党首候補は前からイメージされてたのですか?」
「ええ、党首とならなくてもチーム遥香の一員として活躍して下さる方だと感じましたから、絵的にも面白いですし。
う~ん、ストーリーを考えますから、涼葉も出て下さいませんか、夫婦仲が良い事は今後のイメージ戦略にプラスになるのです。」
「えっ、全くの素人ですが…。」
「私の歌が中心でセリフは有りませんし、後姿の一瞬だけでも構いません、ただし名前は出させて頂きます。
岩山さんはDVD登場で、騎士として全国にアピール、選挙が近づいたら改めてDVDで夫婦共演という過去を思い出して貰って、イメージ戦略に繋げます。
こういったネタはこれから沢山作っておきたいので涼葉にも協力をお願いしたいです。
騎士さまは、ちょっと涼葉に頭が上がらない感じが良いですから、今まで通りで。」
「分かりました、不自然にならない様気を付けます。」
「党に関係なく、チーム遥香の一員として岩山さんにスポットライトを当てるというスタンスで、ご夫妻での食事風景とか撮影させて下さい、衣装はプリンセス遥香で用意させます、メイク担当も付けますが普段からナチュラルメイクを心掛けて下さい。
岩山さんは、私の後ろに立つ時は誰をも寄せ付けさせぬ厳しい目線、涼葉さんとのシーンではすべてを受け入れる優しさをイメージ、まあ普段通りを心掛けて下さい。」
「はい…。」
「なあ岩山、ここんとこ毎日がみどりの風にとって記念すべき日の様に感じてるのだがな。」
「成功の度合いによって、記念すべき、の意味が大きく違って来る、将来、穏やかな気持ちで今の日々を振り返る事が出来る様に、愛する妻と敬愛する遥香姫の為にも気合いを入れ直すよ。」
「カメラが回って無いのが惜しいセリフね。」
「では私の方で文章に残しておきます。」
「奈津美さん、お願いします。」
「はい、日記を始めます。」
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みどりの風-05 [高校生会議-11]

私の大学生生活は変わった形で始まった。
ここでの新入生は私だけ、上級生は二百名程が、遥香システムを利用した学習のテストを兼ねて、実習の為に本校から移って来ている。
彼等の役割はみどりの風の組織固めがメイン、遥香システム利用講習の講師役もいれば、党の雑務を手伝っている者もいる。
しばらく本校で人の調整をしていた桜がチーム桜のオフィスへ来て…。

「遥香さま、履修科目は政治と法律関係を中心に組まれたのですね、経営経済関連を中心にされるかと思っていました。」
「桜、経済関連は去年随分学習したでしょ、もう直ぐ党首になりますから、今は形だけでも政治を中心にしておかないとだめなのよ。」
「急に、お忙しくなられましたが時間的には大丈夫ですか?」
「大丈夫よ、スケジュール上びっしり埋まっているように見えても、余裕を持たせて有るの、奈津美さんには研修の一環として関係部署との連絡を密にとって貰っていて本を読む時間は確保出来ているわ。」
「それでも…、大学関係は先延ばしに出来ますが、来週には党首に就任、CDレコーディング、DVD撮影、当然テレビ番組出演の機会も増えますし。」
「話題性の強みで取材関係はこちらに来て頂きますからね、東京へ呼びつける様なメディアを相手にしなくても良いレベルで取材依頼が来ているわ、党首就任後は記者会見を定期的に開いて対応、他で独自取材を受けるかどうかは条件を吟味してとなるわ、岩崎の本部にも協力して貰っているから大丈夫よ。」
「でも、遥香さまが党首として記者から質問の矢面に立たされるのかと思うと気が気では有りません。」
「そうね、私も少し緊張してるわ、でもそれを乗り越えることが出来たら、みどりの風にとっては有利な状況を作り出せるとも考えているの。」
「遥香さまを支える、チーム遥香新メンバー候補を早く決定したいのですが、極秘事項を扱いますので安易に決める事が出来ません、もう少しお時間を頂けるでしょうか?」
「大丈夫、仕事面は聡美が、オフィスの雑務は涼葉さんと奈津美さんがしっかりこなして下さっていますからね。
大学へはチーム遥香新メンバー候補と出会うべく顔を出してるのよ。」
「政治や法学関係ならこのオフィスにいても履修可能ですものね、あっ、サークルからのお誘いは有りましたか?」
「ええ、条件付きで幾つか籍を置く事に…、バドミントンサークルは時間を作って極力参加したいと思ってるの、他は年に一度だけでも良いからとか、システムを通してのみの参加とかね。」
「遥香さまに失礼な勧誘は無かったでしょうか…。」
「大丈夫よ、エリート候補生が守ってくれたわ。」
「彼等がお役に立って良かったです、如何ですかその中からチーム遥香新メンバー候補というのは。」
「学生からはタイミング的に難しいの、フォローの体制が今は作れないでしょ、少し落ち着いてからね。
でも田中副社長から連絡が有って、前野さんの事情も有るからとチーム遥香メンバー入りを受けて下さったわ、支社も遥香システム関連などで暇ではないのだけれど、しばらくこちらで暮らして下さるの。」
「単身赴任という事ですか?」
「とりあえず一週間滞在して党の状況を確認してから判断されるわ、調整が簡単に済みそうなら、その後は支社で、こちらに長期間滞在する必要が有ると判断された場合は家族で引っ越すそうよ、単身赴任は原則禁止ですからね。」
「田中副社長にはどの様な作業を担当して頂くのですか?」
「場合によっては党のフォロー、学生も含め全体的に教育を担当して頂く事になりそう、ある程度落ち着いたら、チーム遥香メンバー候補への教育もお願い出来るでしょう。」
「う~ん、落ち着くのは何時かしら…。」
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みどりの風-06 [高校生会議-11]

国政政党としてのみどりの風スタート会見には多くのマスコミが集まった。
会場の市民会館は関係者と記者やカメラマンで満席。
進行は前山さん、挨拶の後…。

「それではここまでの経緯を党本部長、岩山武より説明させて頂きます。」
岩山さんは、地域政党みどりの風発足からの流れを語る。
特別な話はない、調べれば誰でも知る事の出来るレベルの話を簡単に済ませた後。
「地域政党として地域を盛り上げようとしても、国政の壁に阻まれる事が有ります。
地域間格差などの諸問題も地域政党では限界が有ります、そこで…。」
このタイミングで、前の方がざわつき笑い声も漏れた。
「そこの方々、この後遥香さまが登壇なされます、その場で今の様な失態が有れば御社は今後記者会見への出席をお断りさせて頂きますが、何か反論は有りますか?」
「いえ、申し訳ありません、当方のミスです。」
「分かりました、我々は緊張感を持って国政政党を立ち上げます、それは現役の国会議員の方々の参加を頂いての事です、所属政党から離党してという大きな判断に基づくもので決して軽い物では有りません、多くの必死の思いがあって今日の日を迎えたと、会場の皆様方にもご理解頂けたらと思います。
今回党勢が充分に固まってない状況で発表させて頂くのは市長選など今後のスケジュールを見越しての事、遥香さまにご無理をお願いせざるを得ない状況にしてしまったのは家臣の不甲斐なさによるもの、せめてこの会場に集まった方々は遥香さまに失礼無き様お願いします。」
しばらく岩山さんの話が有った後、私の出番。

「本日はお忙しい中有難う御座います…。」
まあ無難に党の方針などをお話しさせて頂いた後、支持率の低下した党から鞍替えして下った方や無所属から入党して下さった方の紹介や挨拶を仕切った。
そして記者からの質問に応える時間となる。
「遥香さまは、党首として靖国問題をどう考えておられますか?」
いきなり靖国問題をぶつけて来るところはこの記者の人格を疑ったが…。
「この国を支えて来られた方々を慰霊する気持ちは大切ですので今のまま続けて下されば良いと思います。
ただこの世に生を受け亡くなられた方々は、戦争で亡くなられた日本の方だけでは有りません、外国の方、大災害の犠牲者、また戦争や大災害の犠牲者でなくとも、不本意に命を落とされた方は少なく有りません。
地球上に生命が誕生して以来、数えきれない生命が地球上に存在して来ました、その膨大な生と死の上に今の日本は存在しています。
靖国の様な少人数を神道に基づいて慰霊という事ではなく、世界中で有史以来亡くなられたすべての方に思いをはせる、宗教を越えて先人に感謝する施設、本当は皆さんの心の中に有れば良いのですがシンボルが無いと忘れてしまいますので、そんな施設を設けたいと考えております。」

「周辺諸国との外交に関してのお考えは?」
「国家という存在は自国の利益を優先せざるを得ません、ですから我が国も時に強い意志を示す必要が有ると思います。
ただ、互いに協力し合えればそれに越した事は有りません。
岩崎ではまだ小規模ですが、経済的に関係の有る相手国の利益を考えての交流を広げつつ有ります、そういった活動をさらに広げ、日本が国際社会の中で信頼される国で有る様努力して行きたいです。」

「遥香さまは彼氏とかいらっしゃるのですか?」
「次回の会見から事前に質問内容を確認させて頂きます、内容によっては質問をお断りさせて頂きますが、どの様な質問内容を拒否させて頂いたかは公表して下さって構いません、但し、それが偽りの情報で有った場合はそれなりの対応をさせて頂きます。
政党の記者会見でそれに全く関係のない質問をして下さったあなたの会社の社名を、もう一度宣伝する機会を差し上げます、どうぞ。」
「あっ、その、失礼しました…。」

「遥香さまは年齢的に国会議員になる事は出来ませんが、それでも党首となられたのは、どのようなお考えが有っての事ですか?」
「従業員に優しい企業体の一員として私も社長職を務めさせて頂いております、社会福祉活動にもささやかながら貢献させて頂いております、ですが一企業体としては限界が有ります、そして地域政党では限界が有ります。
私共が国政を目指すとなった時、準備に時間が掛かかると気付かされました。
ですが充分な準備を終えてからスタートという事では非常に効率が悪いです。
そこで、関係者の中で比較的知名度の高い私が表に出てスタートさせ、一気に組織固めをし次回の国政選挙までに党首を交代するという形にさせて頂きました。
みどりの風から立候補して頂く方の知名度は決して高く有りません、能力が高くてもです。
私の役割はそんな候補者を皆さんに知って頂くお手伝いをさせて頂く事だと考えています。」

「党首交代のタイミングは党首選なども含め何時頃とお考えですか?」
「次の党首は私と同様、選挙によらず話し合いで決定します。
党員による選挙の場合、候補者の事をほとんど知らない人達による投票となりますので、必ずしもふさわしい人が選ばれるとは限りません。
これからの組織固めで、誰が党首に相応しいかは自ずと見えて来る、そう確信しております。
こういう状況ですので、党首交代の時期は様子を見ながらとなります。」

他にも幾つかの質問に答えたが、思ったほど手厳しい質問はなかった。
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みどりの風-07 [高校生会議-11]

会見終了後。

「遥香さま、本当にお疲れ様でした、記者会見のお手本を見せて頂いた気分で今後の参考にさせて頂きます。」
「岩山さんも上手く立ち回って下さいましたから、次の党首だと気付いて頂けたでしょう。」
「どうですかね、頭の悪そうな記者がいましたから、まあそのお陰で次回からは質問をコントロールし易くなりますが。」
「でも、コントロールし過ぎては面白くなくなりますからね。」
「今回の反応次第ですか、まあ、まともな事をしていてもアンチは出てきますが。」
「これからしばらくは入党して下さった国会議員の話題と市長選挙がメインですが…、他党がどう動くかは微妙ですね。」
「はい、連立の申し込みが有るかも知れません、政党支持率も気になります。」
「次回の記者会見への申し込みは如何ですか?」
「次回も市民会館が必要な状況です、マスコミ優先ですが一般の方にも入って頂ける形を考えて市民会館を使い続けるというのも良いかも知れません。」
「そうですね、市民会館は平日昼間の利用率が低いですから使って上げましょう、来月からは立候補予定者の紹介がメインになります、客席が賑わっていた方が良いですね。」
「毎回党首として三十分程度の質疑は大丈夫ですか?」
「ええ、もう少し骨の有る質問が出ても問題ないです、記者本人の人格を疑う様な質問は失笑しそうで困りましたが。」
「ですね、三流の記者も来ていたのでしょう、今日の来場者はすべて岩崎の本部でチェックしてくれるそうですから、その結果を見て今後の対応を決めたいと思います。」
そこへ、前野さん。
「記者達には概ね好感を得られた様です、まあ、遥香さまの質疑応答を見て偉そうなことを言えるとは思えませんが。」
「だが、これからは、遥香さまを利用して自分を売り込もうとする輩も現れるだろうから気を付けないとな。」
「ふふ、大丈夫よ、まずはオフィスへ戻って反響を確認しましょう。」
「はい、今日から警備を強化しましたので、少し不便をお掛けするかも知れません、ご理解の程お願いします。」
「う~ん…、岩山さんの後ろに隠れていれば大丈夫そうだけど、前山さん、それも含めた覚悟の上で党首になりました…、元々インドア派ですから大丈夫ですよ。」
「はは、では移動しましょう。」
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みどりの風-08 [高校生会議-11]

チーム遥香のオフイスにはチームメンバーが集まっていた。

「あらっ、杉浦さん早かったのですね。」
「お疲れさまでした、遥香さま、生中継を拝見させて頂きましたが、改めて忠誠を誓わさせて頂きたくなりました。」
「杉浦さんには遥香システム関連で随分無理なお願いをして来ました、短期間での拡充有難う御座います。」
「いえ、利用する側の資質も有りますが、大学や高校生会議での実績により更なる可能性が見えて来たと、私の後継者は話していました。
私自身の能力はこれから衰えて行くのでしょうが、それでも遥香さまからチーム遥香に必要だと言って頂けた事が嬉しくて…。」
「ふふ、簡単には引退させて上げませんからね、御意見番として私達を見守っていて下さい。」
「はい。」
「桜、岩崎本部で整理して貰ってるテレビ番組映像はどう?」
「まずは生中継で流してくれた局が、会見のまとめをしている映像から出します。」

『驚きましたね、お飾りかと思っていた遥香さまが、落ち着いた中にも力強く党の方針を話しておられて、キャンキャン騒ぐだけのどこかの党首とは雲泥の差です。』
『高校を一年で中退、大学に入学された事の裏を疑う報道も有りましたが、どんな質問にも的確に、何も見ないでお応えしている姿は失言議員達に見せたいですね。
本物の天才が政治に係わるとどうなるのか、これから目が離せません。』
『ええ、遥香さまの美しさに質問する側が臆していたかも知れませんが、あれだけの受け答え、被選挙権どころか選挙権すら無いというのは残念です、国会で取り上げられている内容に対しても与党が正しいものは正しい、違うという事にはしっかり対案を示されておられました。
調べさせて頂いたところ、党の方向性はしっかり出来ていまして、今は立候補予定者に対する教育が最重要課題の様です…。』

「まあ、当然の反応だな、桜、批判的な報道は無いのか?」
「今の所は特にないそうです、前野さん、問題は国会議員の副党首達が今後どう振る舞うかだと思います。」
「教育をして優秀な側近を付けて有るから大丈夫だとは思うが、足を引っ張らないでくれと祈るのみだな。」
「前野君、そんなレベルなのかね?」
「杉浦さん、うちの会社だったら課長にもなれない様な人がいるのです、遥香システムの基礎がなかなか理解出来ない人も…、それでも選挙で当選してしまうシステムに疑問を感じています。」
「人気投票の弊害か…、今は数の論理で党にとって重要な人材では有っても…、難しいところだな。」
「副党首は元々みどりの風推薦で当選し無所属で活動して来た人です、能力は低く無いものの、組織運営が得意かというとそうでもなくて。
国会も有りますから、私と岩山、交代で東京へと考えています。」
「お主等の目に叶うだけの人物が不足しているという事なんだな…、少し引き抜きを打診してみようか、遥香さまの為なら動くと思うぞ。」
「お願いします、でも、その会社に負担が掛かり過ぎとまずいのですが…。」
「はは、少しずつ上を抜いて行かないと、下の連中にチャンスが回らないだろ、企業に於いても新陳代謝は必要なのさ、一人抜けたぐらいで揺るぐ組織なら、根本的な改革が必要だがな。」
「は、はい確かにその通りです。」
「次期党首は岩山君が適任だと思うが、その周りはどんな状況なんだ?」
「理論派、軍師タイプの人が多いと感じています。」
「分かった、では大臣候補を…、遥香さま、何人かに打診したいと思いますがよろしいでしょうか?」
「お願いします、第一目標は衆議院で過半数を取る事ですが、まだ充分な人数が集まっていません、杉浦さんの人脈で紹介して頂けたら嬉しいです。」
「チーム遥香の名を出せば簡単な事ですよ、私利私欲を考える様な奴は紹介しませんから安心して下さい、他のダブルワーク社長社員にも声を掛けます、そこからも直接引き抜いてやりますよ。」
「そうですね、皆さん余裕が有りそうです、刺激を与えて差し上げて下さい。」
「党首は東京へ行かなくて大丈夫ですか?」
「タイミングを見計らい、CDとDVDの宣伝を兼ねて行って来ます、あちこちご挨拶に伺う必要も有りますから、六月位を予定しています。」
「それまで他の党の動きを見る訳ですね、さ~て遥香姫の御機嫌伺に誰が来て誰が来ないか楽しみな訳だ。」
「ふふ、プライドを捨てて小娘に会いに来ますかね?」
「いや、ただ遥香さまに会いたくて、やって来るかもしれない、岩山君、前野君お主等が東京へという時は儂が姫さまをお守りさせて頂くよ。」
「はい、お願いします。」
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みどりの風-09 [高校生会議-11]

市長選は簡単に済ませた。
騒音をまき散らす事無く静かに事を運べたのは、有権者の70%ぐらいが何らかの形で岩崎に関係しているからだ、社員とその家族だけでなく、従業員相手で成り立っている店も少なくない。
ここは遥香姫親衛隊の本拠地でも有る。
市長候補は市民に顔を覚えて貰うべく動いたが、お金を掛けない選挙を心掛けてくれた。
予想以上に圧勝出来たのは与党議員のおかげも有る。

「高い投票率で圧勝、現職市長が千票そこそこしか取れなかったのは、あの方のお陰も有るな。」
「ええ、みどりの風について聞かれ、まともに答える事が出来ないのに遥香さまを小娘呼ばわり、ご老人の発言に反発する声が政党支持率にも大きく影響しています、ラッキーでしたね岩山さん。」
「タイミングが良かったな、まるでうちの応援をしてくれた様なものだ、桜、市長選担当有難うな。」
「いえ、担当と言っても大した事はしていません、負ける要素がない選挙戦は喜びも少ないです、国政選挙では大きな喜びを味わいたいですね。」
「それにはPR材料が多く必要だ、岩崎の海外展開は重要なアピールポイントになると思うが大丈夫か?」
「はい、五月の終わり頃から現地視察へ行きます、カメラクルーにも同行して貰って、ふふ、私のサービスショットも楽しみにしてて下さいね、チーム遥香のお色気担当ですから。
色々撮り溜めて…、遥香さまの負担を減らせるかは微妙ですが。」
「はは、海外でも岩崎王国のプリンセス遥香が政党の党首になったと話題になっている様だ。
その辺りも確認して来てくれな。」
「はい、各国の従業員からも熱いメッセージが届いています。」

「桜、海外でも従業員が増えているわね。」
「はい、遥香さま、国外を合計すると二万人を越えています、ただ利益は原則その国での再投資、岩崎にとってメリットはない気もします。」
「ふふ、桜はまだまだ甘いわね、目先の利益ではなく世界中で岩崎の資産が増えているのよ、その国の人に感謝されながらね。
施設だけでなく従業員の皆さんも岩崎王国の宝なのよ。」
「あっ、私は表面しか見てなかったのか…。」
「資料を見れば初期投資が順調に回収されている事が分かるわ、岩崎流の会社運営は従業員にプリンセス遥香の商品を買うだけの余裕を与えていて資金が上手く回っている証拠、これなら現地にプリンセス遥香関連の工場を建てても大丈夫そう、聡美からも口頭で提案が有ったわ。
でも実際に現地を見ないとね、桜、そう言った視点でも見て来てね。」
「はい、分かりました、視察は現地スタッフも協力して下さいます、現地の生の声を聞いてきます。
手土産に遥香さまのCDをと考えていますが間に合いますか?」
「そうねフライングになるかもしれないけど、担当に頼んでみたらどうかしら、工場に一枚とかなら何とかなるかもよ。」
「高校生会議の資金稼ぎでも有ります、しっかり宣伝して来ます。」
「ええ、今は投資の時期で資金は必要ですからね、岩崎王国が目立てば回収出来るという事は?」
「はい、理解出来てるつもりです、しかし政党を維持するにはお金が掛かりますね。」
「そうね、さらに私利私欲に走る人がいれば、不正も起こるでしょう、みどりの風でもおかしなことが起きない様に管理して貰っているとはいえ絶対とは言えないのよ。」
「欲望に忠実な方が寄って来ない事を祈るしか無いのですね。」
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みどりの風-10 [高校生会議-11]

五月中旬、地元にいるチーム遥香メンバーが集まった。
日頃からシステム上で情報交換はしているが実際に会って話す事も大切だ、CDの録音やDVDの撮影、党首としての記者会見、テレビ番組出演と時間をとられ、私自身が情報を確認しきれていないという事情も有る。
今日は新メンバーも三人来て下って…。

「遥香さま、杉浦さんは精力的に動いて下さって、選挙区も考慮しながら人を集めて下さっています。」
「ふふ、飲み過ぎない様に釘を刺しておきましたわ、毎日の様に飲み会をされているそうですからね、前野さん、それで組織の穴は埋まりそう?」
「どうでしょうか、穴が多過ぎます。」
「そうね…。
ところで富永さんは杉浦さんからどの様に口説かれたのですか?」
「はは、口説かれたも何もチーム遥香の一員になれたら名誉なこと、即答しました。
いや~遥香さまは本当にお綺麗で…、私は五十年生きてますから美人も沢山見て来ました、でも全くレベルが違いますね、高貴な美しさと申しましょうか、お会い出来て私はもう死んでも良いくらいです。」
「だめですよ、死ぬのは国の為に沢山働いてからにして下さい。」
「はは、そうですね、私は総務として岩山氏の下に入らさせて頂く事になりました。
遥香システムのおかげで引継ぎが簡単に済みましたので、残る問題はここに住むか東京に住むかぐらいです。」
「東京には宿舎を確保して有ります、今は応援の学生が優雅に暮らしていますが、チーム遥香優先となっていますので何時でも追い出し可能です、まあ追い出すと言っても一人暮らしが他の学生との共同生活になるだけですから安心して下さい。」
「遥香さま、こちらの佐藤さんには財務を、斎藤さんには法務をお願いしようと思います。」
「よろしくお願いします、岩山さん、党幹部は後からリーダーが合流する事に対しての反応は如何ですか?」
「総務、財務、法務の担当者は喜んでサポートさせて頂くと話してくれました。
彼等も政治家としての経験が有る訳では有りませんし、まだ若いです、これから色々学んで貰えば良いと考えています、他の部署も似た様なものです。」
「富永さんたちの選挙区は調整済なの?」
「はい勿論です、他の候補者達も事情を考慮し調整を進めています。」
「では皆さん、次の記者会見で立候補予定を発表しても構いませんか?」
「はい、三人とも腹を括っております、遥香さま宜しくお願い致します。
高校生会議のシステムを精査させて頂きましたが、かなり充実した物になっていて安心していますから。」
「ええ、一通りの基礎は出来ました、後は運用しながら内容を更に充実させて行くという段階です、ただ、これからは意見の対立も増えると思います、セクションリーダーの手に負えなくなった時は大臣候補の皆さんで判断をお願いしますね。」
「はい、心得ております、今の所は解散総選挙が有るとしても秋以降が有力です。
みどりの風の政党支持率が上がり過ぎると、与党が焦って解散という可能性も無くは有りませんが、確率は高く有りません、我々の準備期間は充分有ると考えています。」
「そうですね、向こうも準備期間が必要です、夏までに立候補予定者を揃え、当選後の役割分担に沿って準備して行きましょう、岩山さん、現役の国会議員はそれまでにスキルアップを図って頂く手筈でしたが如何です?」
「手こずっている人もいますが、意識改革は進んでいます、副党首も少し慣れて来た様でまとめ役をこなしてくれています。」
「当面の問題は何か有りますか?」
「立候補予定者のトークスキル…、遥香さまの記者会見を見て自信を失いかけている連中がいます。
遥香さまと自分を比べるなとは話しているのですが、自分で頭が良いと思っていた奴ほど衝撃が大きかった様です。」
「それは…。」
「記憶力だけが頭の良さではないとか、色々気付いて考えて始めている事は良い傾向だと思っています。」
「そうか、その辺りが小者感を漂わせていたのだな、己を知って成長するかどうかは本人次第、岩山、選挙までに逃げだす奴がいそうだという事か?」
「ああ、だがそれはそれで良いとは思う、早めに逃げてくれた方が影響が小さくて済む、ただその代わりがな。」
「優秀な人材を集めるのは大変ね…、お父さまはみどりの風に関して、社員からの転籍をあまりされなくて…、お父さまにおねだりして大臣や副大臣候補を岩崎王国から引き抜いて頂こうかしら。」
「はは、おねだりですか…。」
「有りだな、岩崎社長は遥香さまに対して親馬鹿全開、杉浦さんによる引き抜きもご存知の筈、グループ全体の業績に問題の無い今、新陳代謝を考えての更なる引き抜きに対して反対されないと思う、岩山、遥香さまにおねだりして頂こう。」
「確かに杉浦さんにだけ頼っていては前に進めないか…、遥香さま如何です?」
「ふふ、順調に行ったら日本の大臣が岩崎王国出身者ばかりになって楽しそうね、反発も有るでしょうがそこは岩山さんの力でお願いね。」
「はい、色々やらかして辞任して行く様な輩は大臣にしたく有りません、岩崎王国へは岩崎社長の理念に賛同した優秀な人材が集まって来ています、そこから政治の分野に引き抜いても王国は揺るぎません。」
「うん、今日あたり電話が掛かって来そうだから、おねだりしておくわね。」
「う~ん、遥香さまのおねだり次第で日本の政治が変わるかもしれないって…、遥香さまは正真正銘お姫さまで有らせれる訳ですね。」
「富永さん何を今更、遥香姫親衛隊の人数は猛烈な勢いで増えているのですよ、それが党の支持率にも繋がっています、その現実に対して与党が気づく前に党勢を固めますからお願いしますね。」
「は、はい、分かりました。」
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