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みどりの風-04 [高校生会議-11]

その夜はまた岩山さん達と五人で食事。
前野さんが…。

「結局小者の船頭が大勢いるという感じでしたね。」
「そうね、映像を見せて頂いたけど、遥香さまや岩山さんの足元にも及ばないという感じでしたわ。」
「でも彼等の優秀さは伝わって来ました、幹部スタッフが充分に力を発揮出来る環境を作る事が出来れば強い組織になると思います、問題はトップリーダーですね。」
「岩山さん、奥さんはこう話してますが如何です?」
「やるしか無いですか…、政治の世界に強い興味は有りませんでしたが、今まで幹部候補達の動きを見てきて…、政権を取るという気概が上滑りな人や、現実と捉えていない人が多くて、これから大きくなる組織のトップとしては物足りなさを感じていました、セクションリーダーとしての素質は充分有る方々なのですが。
遥香さまが昨夜話しておられた通り、政権を握れない野党では国を変える事が出来ません。
道を踏み外していたらヤクザの大親分になっていただろうと言われている自分ですが、私が総理大臣を目指しても良いのでしょうか?」
「道を踏み外さなかったのですからね…、あっ、過去にバレるとやばい事とかしましたか?」
「う~ん、少しだけ…、でも相手は許してくれていますから。」
「ふふ、奥さまが顔を赤らめる様な事なのですね、前野さんどう?」
「今の所、浮気の痕跡は発見されていません、経歴等に詐称の余地もなく、部下から慕われる存在で根っからの親分肌、若くして部長職に迄上り詰めた実力、自分は初めから総理大臣候補のつもりで推薦させて頂きました。」
「奥さまは如何です?」
「少し緊張していますが…、ヤクザの大親分になるよりは…、すごく真っ直ぐな人なんです。」
「では、方向性は固まったわね、まずは私が党首になって盛り上げるとして、岩山さんに引き継ぐタイミングはどうします?」
「それはまだ様子見で良いと思います、解散総選挙の話が出始めてからでも遅く有りません、それまでに本部長として党をまとめ上げて行きます、遥香さまの姫パワーで、党員を増やして下さい。
ただ…、遥香さま、前野はこのまま党の要員にして頂けないでしょうか?」
「そうね、すごく真っ直ぐな岩山さんに対して、抜け目なく人を動かす前野さんは良いコンビかも知れません、私の側近として動いて頂くつもりでしたが、前野さんは如何です?」
「メインの側近は聡美に任せましょう、でも岩山の補佐になってもチーム遥香の一員である事に変わりは有りません、チーム遥香のオフィスで仕事させて下さい。
ひとまず、寄せ集め集団みどりの風の組織を強固にするまでは党に力を注ぎます。」
「それでは、形式上、党本部の岩山さん、高校生会議の前野さんとしましょう、高校生会議の資金は頑張って稼ぎますからね。」
「有難う御座います、ひとまず党首の座を目指す話しはここだけの話としておいて下さい。
問題は、次回の衆議院選挙に向けて党のイメージアップですね、地域政党として活動してなかった地域ではほぼ無名ですから。」
「岩山、そこは遥香さまにおすがりするのさ、国政政党になっての初代党首が絶世の美少女姫というだけでも大注目、党の方向性をしっかり把握しておられるから実は最も党首に相応しいのかもしれない、だが、まだ選挙権すらないし、今以上の大きな責任を負って頂くのは心苦しい、ナイトとしてしっかりお守りしてくれよ。」
「勿論だ、俺達夫婦は遥香さまに忠誠を誓った遥香姫親衛隊の一員でも有るからな。」
「遥香さま、チーム遥香のオフィスはまだ事務員を置いてないそうですが、私を転籍させて頂けないでしょうか?」
「あっ、そうね奈津美さんなら…、前野さん、私は構いませんよ。」
「う~ん、自分の彼女をというのは職権乱用の様な気もして躊躇していました。
極秘情報も扱いますので遥香さまの御世話をどうさせて頂くか決めかねていたのです、雑事は聡美がやってくれていますが、何時までも副社長にやらせて置く訳には行きません。」
「そういう事でしたら私も、下の子も幼稚園に入りましたし、義父母が面倒を見たがっていますので、今日も遥香さまとの会食と話したら喜んで留守番を引き受けて下さいました。
私にも遥香さまの御世話をさせて下さい。」
「お願いします、守秘義務の他に一つだけ条件を付けさせて頂きますがよろしいですか?」
「はい。」
「常にお子さん第一でお願いします、お母さんが疲れてしまってはお子さんにも影響しますからね。」
「分かりました、心しておきます、私の事は涼葉と呼び捨てにして下さい。」
「はい、では、前野さんお願いね。」
「承知しました、良い機会だから、奈津美は転籍手続きの流れを覚えてくれな。」
「はい、ところで遥香さま、岩山さんは騎士として遥香さまのDVDに登場なさると聞いていました、党首候補は前からイメージされてたのですか?」
「ええ、党首とならなくてもチーム遥香の一員として活躍して下さる方だと感じましたから、絵的にも面白いですし。
う~ん、ストーリーを考えますから、涼葉も出て下さいませんか、夫婦仲が良い事は今後のイメージ戦略にプラスになるのです。」
「えっ、全くの素人ですが…。」
「私の歌が中心でセリフは有りませんし、後姿の一瞬だけでも構いません、ただし名前は出させて頂きます。
岩山さんはDVD登場で、騎士として全国にアピール、選挙が近づいたら改めてDVDで夫婦共演という過去を思い出して貰って、イメージ戦略に繋げます。
こういったネタはこれから沢山作っておきたいので涼葉にも協力をお願いしたいです。
騎士さまは、ちょっと涼葉に頭が上がらない感じが良いですから、今まで通りで。」
「分かりました、不自然にならない様気を付けます。」
「党に関係なく、チーム遥香の一員として岩山さんにスポットライトを当てるというスタンスで、ご夫妻での食事風景とか撮影させて下さい、衣装はプリンセス遥香で用意させます、メイク担当も付けますが普段からナチュラルメイクを心掛けて下さい。
岩山さんは、私の後ろに立つ時は誰をも寄せ付けさせぬ厳しい目線、涼葉さんとのシーンではすべてを受け入れる優しさをイメージ、まあ普段通りを心掛けて下さい。」
「はい…。」
「なあ岩山、ここんとこ毎日がみどりの風にとって記念すべき日の様に感じてるのだがな。」
「成功の度合いによって、記念すべき、の意味が大きく違って来る、将来、穏やかな気持ちで今の日々を振り返る事が出来る様に、愛する妻と敬愛する遥香姫の為にも気合いを入れ直すよ。」
「カメラが回って無いのが惜しいセリフね。」
「では私の方で文章に残しておきます。」
「奈津美さん、お願いします。」
「はい、日記を始めます。」
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