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近衛予備隊-241 [高校生バトル-67]

 英語教員養成専門学校の設立が勢い良く進んでいるのは、学生から学費を徴収し実習として子どもの相手をさせるという言わば一石二鳥の展開を面白がった近衛隊メンバーの力だと思う。
 その中心となってくれてる日本人メンバーは…。

「日本人は馬鹿だから英語に関して文法に拘り過ぎ、偏った教育をして来たのですよ、対話する時に必要なハートを無視して、だから高校入試に合格しても英語を話せない人ばかりだったのです。
 さすがに留学して来る連中はそれなりに話せるとは思いますが、知らない人と英語で対話した経験は多く無いと思います。
 ですから色々な人と英語で会話出来る環境を用意するだけでも、彼らにとって貴重な経験の場となりますので、学費を控えめにする必要はなく、むしろ高めの方が学校の有難味が高まります。
 実際、学生が子ども達相手に自由な授業が出来る環境なんて日本では簡単に作れませんからね。」
「どうしてです?」
「何かと制約が多いのですよ、でもここは自由、近衛予備隊がどの様に英語学習に取り組んでいるかを知れば留学生達も納得するでしょう。」
「う~ん、自分達で考えた学習カリキュラムで正解なのかどうか分からなかったのですが。」
「大正解ですよ、先輩に導かれる形で会話に慣れ、英語の本を読み手紙やメールを書きながら力を付けて行く。
 先輩達は多くを教えようとせず質問には答える、それも極力英語で伝えようと。
 最初は普段の生活で良く使う会話から入っているので、直ぐに慣れることが出来る。
 店での実習では実際に英語での接客も体験。
 英語を学ぶ環境としては最高だと思います。」
「留学生の一期生として十名が来週やって来ますが問題無いのですね。」
「ええ、施設がまだ整っていないので王宮暮らし、逆にラッキーな人達です。
 今回は費用が高めのプランを提示したにも関わらず申し込んで来た連中ですから金銭的に余裕の有る人達、ただ、ジョンやシャルロットのファンばかりですので、昼食を共にするぐらいのサービスはお願い出来ませんか?」
「いや、こちらがお願いしたいよ、話を聞いて今後の参考にしたいからな。」
「王子との会食費用は彼らに出させますので、店のご希望が有ればどうぞ。」
「そこは彼らに任せる、店を選ぶために何件も試食して貰った方が良いだろ?」
「ではその様に、彼らにはお金を沢山使って貰い、満足して帰って欲しいです。」
「近衛予備隊を対象とする今回は兎も角、今まで学校に通って無かった貧困層の子を相手にするのはどうなのかな?」
「一応段階を踏んで探りながらと考えていますが、義務教育に関しては近衛一同重要課題だと受け止めていますので協力して取り組んで行きます。
 この共和国を我らが手中に収め更なる改革を押し進める第一歩ですから。
 ジョン、是非大統領になって引っ張って下さいね。」
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近衛予備隊-242 [高校生バトル-67]

 留学生達は近衛予備隊の指導を無難にこなしている様だ。
 もっとも予備隊メンバーは英語力と人柄を重視した入隊試験をクリアした子達で、問題が起こるとは思えない、ただ留学生が教育実習をどう感じているのかには興味が有り、彼らとの会食の場では…。

「実際に学習指導を体験されて如何でしたか?」
「私は少し甘く見ていました、予備隊に入隊して半年と言う子達を担当したのですが、まだ多くの単語を覚えている訳ではないのに英語での会話に積極的、自分の方がついて行けなくなりそうで、日常的に英語を使おうとする姿勢は見習わなくてはならないと思いました。」
「自分は理科を英語で教えると言う機会を貰い苦労しましたが、新鮮で良い経験になりました。
 ここに来て一か月ですが、今まで日本で十年以上学習して来た、その何倍もの学習をさせて貰えていると感じています。」
「そう感じられた理由を教えて頂けますか?」
「英語を学習するのと実際に使うことの差です。
 英語は学習するものではなく使うものだと、そんな当たり前のことにようやく気付けたと言いますか…。」
「確かに日本では日本語だけで生活出来ますものね、自分にとって日本への旅行は良い日本語学習の機会となりました。」
「ジョン王子、近衛予備隊の子達はとても素敵です、私がホームシックになったら慰めてくれる子がいて、恋の悩みを打ち明けてくれる子も、それをまだ学習途中の英語で懸命に。
 近衛予備隊名誉隊員の称号何てことを考えてくれた子もいるのですよ。」
「予備隊のメンバーは良い子ばかりですからね、ただ、これからここの学校、義務教育を進める為に新設する学校では、全く違った困難が待ち受けています。
 良い子ばかりでは有りませんし、能力的にも。
 実習を続けて下さる方には、ここの小学校で英語の授業を体験して頂きますが、その差に気を付けて取り組んで欲しいです。」
「はい、サポートしてくれる予備隊の子からも言われました。
 予備隊の子達が特別であって、これから取り組む子達が普通なのだと理解しています、自分が通った日本の学校でも色々な子がいましたので。」
「サポートメンバーとの打ち合わせは進んでいますか?」
「ええ、十四歳でも実際に英語を教えているそうで、彼女から色々教えて貰っています。
 いざとなったら通訳をしてくれるそうですが頼り過ぎずに頑張りたいです。」
「私は当初の予定を延長して貰ったのですが、直ぐにスケジュールを組み直して下さって感謝しています、予備隊の子とは仲良く準備させて貰っていまして、如何に楽しい授業にするかが大切だと教えられました。
 私は日本で挫折を味わい、気分を変えたいと思って応募したのですが、今はずっと予備隊の子達と共に学び働きたいと思っています。」
「有難う御座います、よろしかったら担当者に伝えますが。」
「はい、お願いします。」
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近衛予備隊-243 [高校生バトル-67]

「近衛隊の方には大変お世話になっています。
 私達は寮が未完成だからと宮殿に泊めて頂いてますが、多国籍で有る近衛の方々との交流は学ぶことが多く、我々に続く留学生達も彼らから学び、この国の教育に貢献してくれたらと思います。
 勿論自分もお役に立ちたいです。」
「国軍の方が義務教育推進に向けて動いておられると聞いていますが、それも近衛隊が指揮しているのですか?」
「いえ、近衛隊にも担当者はいますが、基本的に国軍が訓練の一環として進めています。」
「私は軍隊と教育の関係が今一つ理解し切れていないのですが、訓練なのですか?」
「我が国は他国からの侵略を想定していません、侵略して来そうな国は見当たりませんし我らが女王陛下は周辺諸国の人達にも愛されていますので、その王宮の有る我が国を攻撃して来るなんて考えられないのです。
 ですが軍隊は必要です、軍の役割は武力紛争に対応することだけでなく災害時の救助活動、そして雇用の場を確保する意味合いも有ります。
 災害時に軍が組織だって動けなかったら救える者を救えず、守れた筈の者を守れなかったと成り兼ねません。」
「義務教育の場を整えていくことが、組織として動く訓練でも有るのですね。」
「ええ、今は軍の編成を義務教育推進に合わせて大きく変えている最中ですが、災害時の活動も意識していますし警察だけでは対処し切れない犯罪もイメージしています。
 軍事訓練の時間を大幅に減らしたのは、数年前の戒厳令以降、組織改編を行い国軍が土木工事に力を注ぎ始めてからのことなのですが、土木工事が学校の給食事業に置き換わっても組織だって効率良く作業出来、災害時の対応も意識出来るかどうかが国軍に問われているところなのです。」
「給食事業は簡単では無いと言うことですね?」
「勿論です、食材の確保と輸送、調理、それらが予定通りに行かなくても対応する必要が有ります。
 また今まで自分達の食事を作って来た隊員でも子ども向けは慣れていないでしょうし、栄養バランスを考えた食事を提供することが彼らに与えられた任務、平均寿命を延ばしたいですからね。」
「それで給食が義務教育の柱に…、でも学習面の指導は大丈夫なのですか?」
「日本の方から見れば低水準で有ったとしても、ひとまず簡単な読み書きが出来、足し算引き算が出来ればと考えています。
 そこから先は本人次第、義務教育制度の第一段階はバランスの取れた給食を食べられる様にすることと、学びのスタートを全ての子ども達に提供し成長のチャンスを与えることなのです。
 そこから先は本人次第ですね。」
「上手く導かれないと学習に取り組めない子もいると思うのですが。」
「そんな子にまで向き合える教師は少ないと思います、今は子ども達の中からリーダーとしての素質の有る子を見つけ出し近衛予備隊へ、その子達が育ち始めたら第二段階へとなるのでしょうが、学校制度を充実させるだけでも時間が掛かります。
 予算の確保という難しい問題も有りますので。」
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近衛予備隊-244 [高校生バトル-67]

「そう言うことでしたか、自分が育って来た教育環境とは大きく異なるので良く分かりませんが、義務教育の無かった環境から充分な予算のないまま教育制度を拡充して行くのは簡単なことではないのですね。」
「ええ、教育の遅れが様々な弊害をもたらして来たのですが、それを理解していない親も少なく無いのです、労働力を学校に取られると考える人がいるぐらいで。
 貧困層は給食を用意しなかったら親も子も学校に興味を示さないでしょう。」
「でも、予備隊の子達はとても恵まれていると感じています。
 彼らは大学入試を考える必要が無く、ローティーンの子でも店での実習を楽しそうにやっていたり、自信を持って小学生に教えていたり、そのまま自立して行くのですね。
 正直、自分が高校入試や大学入試に励んでたのが本当に意味の有る事だったのか疑問に思い始めているぐらいです。
 ジョン王子は大学に通った訳でも無いのに、政治経済に詳しく電力会社の社長としても活躍されています。
 店のフロアマネージャーから実践的な指導を受けながら近衛隊の一員となり学習を深めたそうですが、そこには無駄が無かったと思うのです。
 勿論、英語だけでなく日本語もマスター出来る才能をお持ちだったからでしょうが。」
「そうですね、近衛予備隊第三部隊に入隊出来た子は恵まれています。
 但し、その環境を手に入れる為に彼らは努力して来ました。
 十二歳以上を対象に年二回入隊試験を行っていますが、遠くから四時間かけて試験を受けに来る子がいます、一度不合格になっても学習し直し再度受験する子も。
 第三部隊は初期段階で子ども達が憧れる隊に出来た為、優秀な子が集まって来ているのですよ。」
「他にも優秀な子が通う学校は有るのですよね?」
「ええ、高校が有りますが学費が高くて普通の子は入学出来ません。
 そんな高校の出身者達が戒厳令の切っ掛けにもなった不正蓄財をしていたのですけどね。
 最近では高校に入れる子が第三部隊への入隊を希望する様になって来ました。」
「その影響で不合格になる裕福でない家庭の子がいたら可哀そうです。」
「いえ、合格者数は決めていませんので影響は無いです、合格ラインを超えた全員を受け入れていますので。」
「う~ん、私達が経験して来た入学試験は学校の都合による人数で切られていまして…。
 でも、合格者が多過ぎて困ることは無いのですか?」
「先輩が導くことになっていますし、義務教育が始まったら彼らには教師としての役割を担って貰う予定、教師は国軍からの希望者だけでは足りないのです。
 特に初期段階は困難な作業が待ち構えていると思うのですが、彼らは教育の重要性を理解した上で、例え困難でも取り組もうとしているのです。」
「日本では高校生ぐらいの子達ですよね…。」
「何か悔しい様な羨ましい様な…、自分が大学受験に取り組んだのとは全く違う経験、彼らは困難な仕事に自分の意思で取り組もうとしている…。」
「凄いですね、私なんて彼らと比べたらお子ちゃまレベルかも。」
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近衛予備隊-245 [高校生バトル-67]

「彼らは予備隊を卒業したら近衛隊に入隊するのですか?」
「それは近衛隊の性格上難しいのですが、まずは義務教育の推進を担う王国騎士団として活動して貰うことになっています。」
「騎士団ですか…。」
「馬には乗らないし、単に恰好良いからとの理由で決まったのですが、これから架空のお話にも登場しますので。」
「なるほど、それにしても彼らは本当に素敵な子ばかりで驚いています。」
「素直な子達が、最初に教えられたことを守って来た結果です。」
「どの様な教えなのですか?」
「入隊して来たら、まず先輩を交えて人に好かれる素敵な人について語り合って貰います。
 そこで出て来た人物像と、先輩たちが描いた素敵な人の条件やどんな行動をすれば尊敬されるか、と言ったことを自分なりに把握してから、全員に演技を始めて貰います。」
「演技ですか…。」
「恰好良い近衛予備隊第三部隊の一員を演じるのです。
 始めの内はなかなか演じきれないのですが、先輩から恰好悪いぞと注意されたり恰好良いねと褒められたり、それを仲間同士でも行っている内に、見られていると意識し始め、しばらくすると演じてたことが自然と身に付き始め、誰が見ても恰好良い振舞が出来る第三部隊の一員へと成長して行くのです。」
「演じていたことが本物になる、一人で取り組むのは難しくても素敵な先輩に見守られ皆で取り組めば出来てしまうのですね。」
「自分の容姿に劣等感を抱いていた子でも、人として自信を持ち変わって行きます。」
「その延長で王国騎士団も当然恰好良い人の集団に、予備隊の最高責任者はジョン王子ですから、王国騎士団もジョン王子の直属になるのですね。」
「ええ、勿論彼らは女王陛下に忠誠を誓っていますが義務教育の推進は自分が中心です。
 王国騎士団は、共和国内に散らばり教育制度を国軍と共に拡充して行きますが、各地のマーケットやその関連施設を見守る役目も担ってくれることになっています。
 彼らから送られて来る各地の情報にも期待しているのですよ。」
「ですが、王子としての公務や電力会社の社長など多忙ですよね?」
「信頼出来る部下と、優秀な近衛隊の支えが有りますから大したことは有りません、プリンセス シェリルには、のんびりし過ぎてると思われてるぐらいなのです、彼女はこちらのスケジュールまで把握していましてね。」
「プリンセスは何と?」
「暇なのだからアビュニス王国に来て欲しいと、王家主催のイベントを開きたいそうですが、女王陛下は宮殿から出たがらない人なので、その代わりにと言うことですね。」
「妹みたいなプリンセスなのですから行ってあげてはどうです?」
「行こうとは思っているのですが、まもなく正式スタートする王国騎士団が大切なのです。
 特に予定が無い時は彼らとの学習に充てていまして、のんびりしてる訳ではないのですよ。
 彼らにはこれから経験を積んで貰い、将来は国の幹部となって欲しいと考えていましてね。」
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近衛予備隊-246 [高校生バトル-67]

「大統領を意識してのことなのですね。」
「誰が大統領になるにしても、国に優秀な人材は必要です。
 治安が悪くなっていたのも人材育成に問題が有ったからで。
 今後この国の高等教育は詩織さまとも相談し、えっと、日本で中学高校に当たる部分を近衛予備隊が、大学に相当する部分を王国騎士団が、それぞれ年齢に関係なく実践的な仕事をしながら学んで貰うことにしました。」
「仕事と学業の両立は大変そうですが。」
「いえ、仕事して行く上で必要性を感じたことを中心に学んで貰いますので。
 電力関係で実習を行ってるメンバーは一回の実習だけで学ぶべきことの多さを感じ、実習の時間を少なくしていますが、学習したことを現場にフィードバックし安全確保や作業効率アップの実績を上げています、会社としても彼が無理なく学習に取り組める様にサポートしているのですよ。
 近い将来、電力会社の実務部門を任せることも視野に入れていますので。
「任せると言うのは管理職ですか?」
「ええ、今の会社は重要な役どころを近衛隊や日本からの応援に頼っていますが、それを大人に教えて行くより早いですからね。」
「管理職候補だと言うことは本人も知っているのですか?」
「そういったことはあまり気にしていないと思います、自分達の手で共和国中の電力を安定させたいと考えていますので。」
「若い人が明日の国家を考える若い国なのですね、大人達が若者の未来を奪って来た日本とは大違いです。」
「どういうことです?」
「日本の企業はひたすら人件費の抑制を考えて来ましてね。
 その為まともな職に就ける人が制限され貧富の差が拡大して行ったのです。
 商品価格を抑えることで競争力を得ると称して人件費を抑えたら、全体の購買力が落ちて経済が上向かないのに、そこまで考えられないのですよ。
 そんな企業には就職したくないと思い、自分は色々模索中なのです。」
「日本へ旅行した時に少し聞きましたが、日本では貧困層でも、ここで考えたら余程良い暮らしをしていそうで、良く分からなかったのですが。」
「人口が多く色々な人がいますので何とも言えませんが…、先の見えない年老いた国に思えて。
 でも、そんな中、遠江王国の独自な活動が注目されています。
 その姫で有る詩織さまが女王になられた国を見てみたいと言う思いも有って今回のプログラムに応募させて頂いたのです。」
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近衛予備隊-247 [高校生バトル-67]

 彼らの留学に対する思いは様々だったが、皆、来て良かったと話してくれ日本に帰りたくないと。

 その後、実際に留学期間延長の申し出が有っただけでなく、二期生以降の受け入れに関する業務を十人でチームを組みボランティアで手伝いたいと申し出てくれた。
 四か月間の実習後に帰国する人も帰国後は日本の募集窓口で経験者として手伝ってくれる方向だが、そう言った話は王国国立小学校での実習を経験しながらのことで…。

「ジョン王子、見に来て下さったのですね、自分達の授業は如何でしたか?」
「子ども達の笑顔が印象的でした、教材は日本から取り寄せて下さったとか。」
「取り寄せたと言うより、日本の友人達にここでの生活やこれからの想いを伝えたら送ってくれたのです、皆、来たいと言ってるのですが、調べてみたらホテルが満室続きで簡単には取れないのですね。」
「ええ、ただ、伸二の友人なら何とかしますよ。」
「いえ、無理なお願いはしたく有りません。」
「ホテルは無理をしなくても予定が早めに分かっていれば大丈夫なのですよ。
 宮殿の宿泊施設には余裕が有りまして、ホテルの常連客にお願いすれば喜んでホテルから宮殿の部屋に代わってくれるのです、詩織さまに認められた方限定なのですが。」
「ホテルに空きを作ることが出来るのですか…。」
「勿論前もって分かっていないと出来ません。
 急用でどうしてもと言う方には国軍のテントで泊まって頂くことも有ります、テントでも結構快適なのですよ。」
「軍隊のテントですか、自分も利用してみたいですが友人達も興味を持つかも知れません、日本では経験出来ないことですから。」
「お洒落なテントでは有りませんが。」
「その代わり実用性重視なのですよね。」
「ええ、新設の学校はスタート時にテントを教室代わりにする所が多いです。
 天気が良ければ屋外での学習となりますが、雨の日は給食のことも有りますので。」
「やはり校舎建設までは難しいのですね。」
「学校までの距離が遠くては通う気にならないので数が多目になりまして。
 既存の学校と調整が出来れば、新たに校舎を建てる必要の無い所が結構有るのですが、貧困層の子が差別されていることも有り王国騎士団は苦労しているのです。」
「差別問題は難しいでしょうね…。」
「それでも子ども達が通いたくなる環境を整えたいのです、給食だけが楽しみでは寂しいですから。」
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近衛予備隊-248 [高校生バトル-67]

「そう言う状況だと王国騎士団の人はストレスが溜まりそうですね、困難な仕事に携わっていても良い人で有り続けなくてはならないので尚更です。」
「そこはそれぞれがバランスを考えているのですよ、恰好良い近衛予備隊第三部隊の一員を演じ始める時にバランス感覚についても教えられていますし趣味を持つことが推奨されています。」
「バランス感覚と趣味ですか。」
「過労死などの悪い例を教えて貰いましたから。
 一人で抱え込み過ぎないことが後輩を育てることにも繋がっているのです。
 趣味は単に本人の気分転換だけでなく、消費の拡大に繋がるとも教えられました。
 最低限の衣食住だけでは経済は動かないのだそうで、日本では景気が悪い時でも趣味にお金を掛ける人が大勢いると聞きましたが。」
「言われてみれば…、趣味と言いますか娯楽は経済にとって重要だと思います。
 沢山給料を貰ってる人達が無趣味で遊びにお金を使わなかったとしたら犯罪行為に等しいですね。」
「ここではもっぱら海外からの旅行者が娯楽を通して我が王国を潤してくれているのですが、国民が娯楽に掛けるお金は少し増えた程度なのです、金銭的な余裕は出来つつ有る筈なのですがギャンブルと酒ぐらいでは寂しいですね。」
「子ども達はどうなのです?」
「子ども達の遊びにお金は掛かりません。」
「遊びをスポーツにするのはどうでしょう、競い合う中で道具に興味を持つことになれば消費拡大に繋がります。
 子どものかけっこを陸上競技にして行くのです。
 それを通して学ぶことも有るでしょう、競い合うのは学習や仕事ばかりではないのですよ、競技を楽しみながら競い合うことで身に付くことも有ると思います。」
「スポーツですか…、給食以外の楽しみになると良いですね、新たな学校用地には広場のスペースを取る様にしていますのでそこで出来るスポーツ、何かお勧めは有りますか?」
「そうですね…、比較的少ない道具で出来るフットサルとかどうでしょう。
 子ども達は遊びでボールを蹴っていますが正しいルールを教え、審判のいる試合をすれば意識が変わると思います。」
「フットサルなら難しくなさそうです。」
「そう言えば観光客とも子ども達が英語で触れ合うプランが有りましたが、観光客と混成チームを組んでフットサルの試合とか如何です。
 観光客との触れ合いを通して子ども達が英語に興味を持つ切っ掛けになるかも知れません。
 観光客にしてみれば、旅先での体験として面白いと思うのです、ウエアは旅行の記念になるデザインのものを販売、靴はレンタル出来ると良いですね。
 審判は警官か国軍の兵士にお願いするとか。」
「成程、試してみる価値は有りそうです。
 子ども達にとっては遊びの延長から世界が広がることになりますものね。」
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近衛予備隊-249 [高校生バトル-67]

 伸二の助言を受け、王国ではフットサルのコートを整備し始めている。
 調査の結果充分な収益が見込めると判断、国際大会を視野に入れた屋内コートも近い内に着工する。
 また、新設された学校の校長には栄養のバランスが取れた給食と読み書き算数を義務とするが他は自分達の裁量で決めて良いと伝えて有ったが、スポーツや趣味の時間を設けることを推奨すると加えた。
 校長には国軍の小隊長が就任したが、各校の裁量に任せる部分を多くしたので大変だとは思う。
 ただ、それぞれの地域で事情が異なるので変にこちらから指示を出すことは避けたかったのだ。
 その結果…。

「ジョン、各小隊からの報告を見てると全く統一感が無いわね。」
「それぞれ地域の事情を考慮し易くするために、こちらからの指示は最低限にしたからな。
 それでも大人を教育対象に含めたりと、どの小隊も考えてくれてると思うよ。」
「そうね、親子で入学は想定外だったけど考えてみると良い判断だわ、親でも読み書き出来ない人がいるのだから、親子で学習すれば学習効率が上りそうだもの。」
「他の小隊はその報告を見ながら今後の方針を考え直すかもな。
 昼食を挟んだ四時間の間に学習だけでなく、食事作りを子ども達に教えながら手伝ってくれる大人もいて、余裕が出来た兵士たちは校舎の建設に集中出来ると喜んでいるそうだよ。」
「給食や校舎建設要員の兵士達も子ども達とボールを蹴ったりしてるみたいね。
 ただ、男性ばかりなのが気になるかな、国軍の女性兵士は僅かでしょ。」
「ああ、大人の女性が入学してくれた所は良いが、給料を払って雇うべきかもな。
 男の子の入学者数は伸びているが女の子は難しいと聞いている。」
「理由は女性差別だけではなさそうね、予算的にはどうなの?」
「各校に二人ぐらいなら何とかなると思うが、現場で働く兵士達の意見も聞いてみないと、暫くは王国騎士団の女の子達に頼るしかないか。」
「人数が充分ではないのよね…。
 ねえ、女性を漠然と雇うのではなく、布を使った民芸品を子どもに教えながら作って貰うってどうかな、出来たものを売れば給料の足しになるでしょ。」
「そうだな、興味を持つ女の子もいるだろうし、そこで技術を身に付けてくれれば、将来うちでも雇い易くなるだろう、土産物では手作りが人気だからな。」
「近衛隊に諮った後、各小隊と相談で良い?」
「ああ、頼むよ。」
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近衛予備隊-250 [高校生バトル-67]

 俺達が進めている学校の難しさは、そこで収益が発生しないことだ。
 学校で育った子達が社会に貢献するまでには時間が掛かる。
 既存の学校は親から学費を徴収するか慈善団体の運営で成り立っているのだが、我々が新設した学校には国費が投入されている。
 
「多くは無いものの税金を使っての学校運営に批判的な声が出ているわね。」
「ああ、詩織さまが経済を活性化して下さった結果として増えた税収を原資にしているのにな。
 そう言う心の狭い大人にしない為にも教育は必要だ、うちのマーケット関連事業に乗りそこなっている、先のことを考えられない連中なのだろうが。」
「そんな人達に大統領選出馬に合わせて提案する税制改正は、どう受け止められるのかしら。」
「大胆に簡素化し税務職員を大幅に減らす、税務関連職から学校の教師になって貰うことをメインに組織の見直し、税の個人負担は減らすが、まあ、批判は出るだろうな。」
「マーケット関連で給料が増えつつ有るのに、税負担が少し減るのだから文句はないと思うのだけど。」
「そのマーケット関連では無い人達だよ、我々と手を組んだ企業や商店は経理システムによって税務関係の作業がすでに簡素化されているだろ。
 様々なメリットが有るのにシステム導入への投資をためらっている人達にとって、税制改革は手間でしかないのさ。」
「現金取引なんて時代遅れなのにね。
 うちが買収した銀行は現金取引に対して手数料を考えているのでしょ。」
「ああ、現金取引したい人は他の銀行を利用して貰えば良いのさ、うちが扱う現金はプリペイドカードでの入出金時のみ、今まで入金機を通った紙幣から偽札は見つかってないからな。」
「入金機を通らない偽札が結構見つかっているのよね。
 警察の事情聴取の話が広まりクレジットカードの使用や銀行口座からプリペイドカードへ入金する観光客が増えてると聞いたけど。
 高いお金を掛けて偽造されにくい紙幣を発行するより現金取引をやめてしまえば良いのにね。」
「まあ、そうも行かない事情が有るのだろうが、アビュニス王国はまもなく現金の使えない国になるそうだよ。
 一部の反対は有ったものの新しい王国の特色として前面に打ち出して行くとかで。」
「シンプルレジが行き渡ったのね。」
「ああ、その記念に近衛予備隊か王国騎士団のメンバーを招いてのイベントを開きたいと打診が有ったよ。」
「派遣するの?」
「王国騎士団は子どもを学校へ行かせたくない親との交渉などで疲れているだろうから、気分転換になればと思うのだがどうだろう?」
「そうね、仕事として行って貰い楽しんで来て貰えたら嬉しいわね。」
「義務教育の拡充にはまだ問題が多いからな。」
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