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新学期-391 [花鈴-40]

「株式会社花鈴では有り得ない事?」
「勿論よ、業者に仕事を発注する時も絶対値切らない、不当な高値を吹っかけて来る業者がいたら断ることになるけど、そんな業者とは出会って無いのよ
 うちが買収した事業所は全て労働環境の改善を行い、喜んで貰えてる。
 喜んで働いて貰えることで効率が良く、人件費が増えても結果として増収に繋がってるの。」
「そっか、私が資格を取った業種、その労働環境を調べたことが有ったのだけど、必ずしも満足出来るものではないと感じてね。」
「就職を意識していたとか?」
「随分先の話になるけど一応って感じ。」
「結構考えてるんだ。
 うちとの契約を小学生社員とするのも有りなのだけど。」
「絵梨は小学生社員だったね、私の契約とは違うのな?」
「美礼が手にするお金が少しだけ減る代わりに社員としての優遇を受けられることになるの。
 どちらを選んでも大差なくて…、子どもを保護する法律も有るからね。」
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新学期-392 [花鈴-40]

「そんな知識を必要とする資格って有るのかしら?」
「えっと…、労務士とか社労士かしら詳しくは分からないのだけど。」
「それが直ぐ出て来る姫は流石だと思う。
 労務士と社労士のことは調べてみるね。
 その資格を取ることが出来たら、姫の会社で知識を活かせるかもでしょ。
 資格を活かしたいし、活かせる資格を取りたいと考えてるのよ。」
「そっか、でも美礼が自分の才能を活かして行くので有れば起業と言う選択肢も有るのよ。」
「起業か…、ちょっと大変そうかな、姫と組んでの起業なら有りかもだけど…。」
「う~ん…、私の名前で会社を立ち上げたけど田中社長に丸投げしたから出来たことで…。
 事業所の買収とかには関わっているけどね。」
「私も会社の経営に関わってみたいとは思うのだけど、うんと年上の人に指示を出すなんて出来ないと思うの。」
「私の場合、指示では無く提案だから問題なく動いてるのよ。
 その提案を受け止めてくれる大人が我が社には沢山いる、美礼が良かったら、我が社の小学生社員になって欲しいかな。
 社員が資格を取得することを後押しする制度も有るから損はさせないわ。
 今取り組んで貰ってる仕事を小学生社員として続けて貰うだけのことで、美礼にとって悪い様にはしないから。」
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新学期-393 [花鈴-40]

「絵梨に聞いたけど、小学生社員に対して今度取材が入るのよね?」
「ええ、それまでに決断してくれたら絵梨は心強いかも。」
「絵梨にはYouTubeでの実績が有るけど…。」
「美礼だって動き始めてるじゃない。
 美礼と学ぶ危険物取扱者試験の宣伝もしたいかな。」
「そっか、チャンネルを立ち上げてから、ある程度の視聴者を獲得するまでが勝負だと聞いてる。
 取材と言うことは宣伝してくれると言うことでも有るのね。」
「ええ、店、オープン時のテレビを見たと言う方が今も結構いらしてね、テレビ番組の宣伝効果は間違いなく有るの。
 普通にYouTubeチャンネルの情報も伝えてくれたから、放送後登録者数が増えたのよ。」
「うん、私としても折角始めたチャンネルなのだから登録者を増やしたいわ。
 対象者が限られるから多くは見込めないだろうけどね。」
「危険物取扱者試験に興味の無い人が一回だけでも見てみようと思ってくれたら大成功。
 そこで、美礼の能力に魅かれる人が増えれば面白くなるかもよ。」
「どういうこと?」
「高い能力を持つ小学生に対しては、その分野に興味の無かった人も注目するものなの。
 そこから先は美礼次第だけど。」
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新学期-394 [花鈴-40]

「そう言われても…。」
「ポイントはトークが上手いかどうかなのだけど、美礼なら大丈夫。
 YouTubeチャンネル一本目を見たけど、幾つかの注意点を気に掛ける様にすれば視聴者に不快感を抱かせることは無くなるの。」
「やはり今のままではダメってことなのね。
 具体的には?」
「テレビ番組のMCを真似れば良いのよ。
 NGワードに気を付けることは台本を練れば改善出来る。
 照れ笑いみたいなのはマイナスの印象しか無いから、笑顔でも笑わない方が良いかな。
 後は、絵梨との掛け合いをスムーズに。
 慣れれば自然とスムーズになって行くと思うけど。」
「もっと面白いことを言わないと駄目よね?」
「面白さは有るに越したことはないけど、小学生が真面目な話をすることに意味が有るのだから、気にし過ぎる必要は無いの、変にアドリブを考えるより、台本を作り込んで台本通りが一番よ。」
「そっか、台本は適当にして、その場の雰囲気でとか考えたけど、えっと…、役者になったつもりで台本を気に掛けた方が良いのね。」
「うん、目指せ女優、目指せMCと取り組んだら、テレビ局からオファーが来るかも。」
「う~ん、そう言う道は考えて無かったけど面白そうだわ。
 まずは台本作りからかな。」
「私は協力するし絵梨も手伝ってくれると思うわよ。」
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新学期-395 [花鈴-40]

 美礼の手伝いを大学生にも振った所、興味を持ってくれる人がいて台本作りは順調に進んでいるのだが、その大学生達は教育に関する研究で苦労しているみたいだ。
 大賢者や美礼と言ったギフテッドの子と普通の子達、その両方に気を配らなくてならない。

「丸田さん、教育実習は如何です?」
「思っていた以上に特殊だと感じています。
 ギフテッドの子だけでなく授業とは関係なく学習を進めている子がいますから…。
 でも、その子達の学習効率を考えたら悪くないです、一般の小学校ではクラスで学力が偏らない様な学級編成なので、学力の高い子が時間を持て余し、学力の低い子はついて行けません。」
「いじめが起きそうだとは?」
「姫は人気者ですから問題ないと思いますが、他の子達は微妙ですね。
 絵梨さんは強いので跳ね返しているみたいですが美礼さんは嫉まれているみたいで…。」
「そんな場面を目撃?」
「ええ、どう対応すべきかを合宿所メンバーと検討しています。
 美礼さんは学力的には小学校へ通う必要の無い子だと判断していますが、小学校は学力を伸ばすことだけを目的としてる場では有りません。」
「私が命令すればとも思うのだけど、それは違うと思っていまして…。
 大学生の研究を邪魔することにもなりますし。」
「姫さまと言う特殊な存在も、また私達の研究課題となっています。
 教師以上に信頼されてる小学六年生なんて全く想定していませんでしたから。
 勿論、姫さまのことを知った上でここに来たのですけど。」
「わざわざこんな田舎での教育実習を選んだのは?」
「姫さまのことをもっと知りたかったからです。
 今年度から兎沢小学校では常に教育実習生を受け入れて下さることに成りましたので、姫さま効果で希望者が多いのですよ。
 ギフテッドの子が複数通う小学校と言う特殊性が将来役に立つのかは微妙だとは感じましたが、姫さまの教え方からは学ぶべきものが多いと先輩に教えられまして。」
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新学期-396 [花鈴-40]

「一人一人個性が有って違うのにまとめて教える学校環境には無理が有るし、間違った平等意識が無駄な学習環境を生み出しているのよ。」
「ですね、姫さまから個別のクエストを指示されてた二年生は、まさにゲーム感覚で学習に取り組んでいました。
 でも個別にプログラムを用意するって大変では無いのですか?」
「昨年度やってたことを進化させただけです。
 一人一人の能力や好み、性格を把握していれば、そこまで大変な作業では無いのです、算数だけですから。」
「成程、普通の小学校では皆が同じ所を学習していますが、ここでは理解したら先へ進むことが出来る。
 本当の意味で能力を伸ばす教育環境だと感じました。
 ただ、それが優越感や劣等感を刺激、それを嫌って一般の公立小学校では行えないみたいです。」
「そんなの同じテストを受けていれば普通に感じることでは?
 優越感や劣等感とどう向き合って行くかを考えた方が建設的だと思いません?」
「言われてみればそうですね、いじめが無くならないのは人間の本能が関係してると聞いたことが有りますが…。」
「他者より優位に立つことで集団内で自分の地位を上げる。
 様々な場面でより上の立場で有りたいと考えた人達が人間社会を進化させて来たのですよ。
 逆に言えば優越感や劣等感を否定してしまったら、人から向上心を奪うことにも成り兼ねません。
 過度の競争社会は良くないですが、人は競争の中で成長するのです。
 心の弱い子には、無理しなくて良いんだよ、と言ってあげますが、元気な子には競争する機会が多く必要なのです。」
「運動会の有り方が変化したと聞いていますが…。」
「勝つ喜びだけでなく、負けることを知る、自分の能力を知る、それが運動会の目的だと考えています。
 挫折を知らずに大人になると、少しの挫折で大きなダメージを受けるそうですね。」
「あっ、そんなことを聞いたことが有ります…。
 姫さまと話していると今の公立小学校が心配に。」
「多くの子はそれなりに逞しいから大丈夫ですよ、まあ無駄の多い授業を受けさせられて能力を伸ばす機会を奪われている子が少なくないのは残念ですが。」
「無駄の多い授業ですか…。」
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新学期-397 [花鈴-40]

「何か思うことでも?」
「私が教育実習に取り組むに当たっては、そこまで考えられていませんでした。
 極一般的な授業をイメージしていましたので、姫さまの言われる無駄の多い授業しか考えていなかったのです。」
「それでも公立学校の教員を目指すのなら、そんな授業をすることが必要。
 社会制度を大きく変えるのは簡単なことではなくて。
 私立小学校の教員を目指すのなら違った道が有るかも知れません。」
「う~ん、私立小学校は地元に少なくて…。」
「本当にやりたい教育を考えるのなら塾と言う選択肢も有ります。
 どこかの塾で経験を積み、自信が持てたら独立とか。」
「ですね…、公立学校の労働条件を知ってから迷ってはいたのですが塾講師は考えていませんでした。
 姫さま、一度調べてみます。
 それでも教員資格を持ってれば有利になるでしょうから、この教育実習をしっかりこなしたいと思います、アドバイス、有難う御座いました。」
「大したことでは無いです。
 一般的な授業形式が合ってる子もいるでしょう。
 無駄な授業時間とどう向き合うかを考えて成長する子だっているのですから。」
「姫さまみたいにですか?」
「沢山のアドバイスを頂いた結果ですけどね。」
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新学期-398 [花鈴-40]

「どの様なアドバイスを?」
「社会学的視点から、人の心理を考えることとか…、先生から言われたことの裏側に有る思惑を分析してみたり、幼い頃、私が感じた不満に対して様々な立場からの考察とか。
 そんな経験を通して視野が広がったことは間違いないです。」
「低学年の頃からなのですね?」
「ええ、私もそれなりに無駄な授業を受けて来ましたので、両親が必要だと感じたのでしょう。」
「姫さまはギフテッドの持ち主で有ることを前面に出しておられませんね?」
「私にとっては特別なことでは無いのです、それなりに自覚はしていますが。」
「これからスタートする実験的な店の企画も姫さまの発案だと聞いています。」
「案は出しましたが、成功する確率は高くないのですよ。
 社員が頑張って成功に繋げてくれるとは思っていますが。」
「システムは固まったのですか?」
「ええ、一時間単位で店長が変わる可能性も有り、お客さんにとっては迷惑かもです。
 でも、それを承知の人しか来店しないだろうと。」
「詳しく知りたいです。」
「自分の店を持ちたいと思ってる人は少なからず居ても、実際に店を持つのはハードルが高いです。
 そんな人達が店長を体験出来る店、起業を考えてる人の後押しをしたくて提案しました。」
「メインは飲食店だと聞きましたが?」
「同じフロアに飲食店と雑貨屋を併設、そのどちらも一時間単位の契約、宣伝に自信が有れば自分の売りたい物を一時間だけ店に並べて販売と言う形も有り。
 行列の出来る様な商材を持っている人なら最大限に活かせると想定しています。
 全く未知数、新しく売り出したい商材の場合は難しいとは思っていますが、実験的な店自体が認知されれば、そんな人達にもチャンスを提供出来ると考えているのです。」
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新学期-399 [花鈴-40]

「チャンスですか。」
「その為には起業を目指す人達に協力し合って貰う必要が有り、その辺りの人間関係を上手く構築出来るかどうかが鍵になります。
 一つの店舗を複数の店長で運営して行くのですから。」
「しかし、一口に飲食店と言っても様々で設備的な問題は無いのですか?」
「有るでしょうね、ですがそこを工夫して乗り越えられる人でないと、起業して成功なんて無理だと思いません?
 様々な工夫を出来る人でないと例え起業出来たとしても、直ぐに倒産してしまいます。
 得られた環境を最大限に活かせる人が成功出来ると確信しての事業化なのです。
 一時間単位と言っても当然入れ替え時間が有りますし、週に三日とか、一週間単位や一か月単位も視野に入れていますが、出来れば毎日何かしらの店が営業している状態にまで店長を増やしたいと考えていまして。」
「姫さまにはアイディアが有るのですね?」
「誰もが思い付く様なレベルですが、起業を志す人達がここで出会って協力関係を築いて下さればと、具体的な話はこれからになりますが、場所は私達の店の隣で決定しました。」
「それならお客さんが立ち寄ってくれるかもです。
 趣味の物とか不用品の販売も有りなのですか?」
「起業を考えてる人だけで枠を埋め切れるかどうかは微妙なので法的に問題無ければ何でも有り。
 不用品販売は古物商許可を必要としないレベルに限るのですが、私達の店はその許可を得ていますので、持て余してはいても売れそうな品が有るのでしたら、店に相談してみて下さい。」
「はい、亡くなった伯父が趣味で集めていた物の処分を伯母が悩んでいまして、一度話してみます。」
「物にもよりますが、販売コストを考えると捨ててしまった方がマシと言うことも有るみたいですよ。
 一万円で売れても輸送費が五万円掛かるとか、重たいものでは普通に有る話です。
 大きな庭石なんて動かすだけでも大変、貰いものの庭石でも自宅の庭へ据え付けるのに何十万も掛かったりします。」
「でしょうね…、伯父のコレクションは軽い物でマニアなら高値で買い取ってくれる可能性が有るみたいですが、そこの手間を考えると微妙なのだとか。」
「我が社ではネットオークション事業も展開していますので一度相談してみて下さい。
 今はこの地の古民家を中心に、残されてる樹木や庭石を、輸送費で利益を得ることを前提に話を進めていますが、オークションの商品が増えることに越したことは有りませんので。」
「あっ、YouTubeチャンネルでも宣伝していましたね、伯父のコレクションを出品するとしたら宣伝して頂けるのでしょうか?」
「勿論です、宣伝費は頂きますが。」
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新学期-400 [花鈴-40]

「宣伝費が掛かるのですか…。」
「?
 SNSが発達した背景を理解していないのですか?」
「えっ?
 そんなこと考えたことも有りませんでしたが。」
「我が社がYouTubeチャンネル関連で稼げてるのもその宣伝効果を期待してる企業が有るからです。
 欲しいと思う人に情報が伝わらなければ、幾ら良いコレクションで有っても売れません。
 特にオークションの場合はその商品に興味の有る人をより多く集めることで落札価格の上昇を計るのことが出来るのです。
 宣伝料金を落札価格の何%と言う形にして頂ければ担当スタッフに力が入ると思いますからお勧めですよ。」
「教育学部なのでそう言ったことに疎いのですが…。」
「それは間違っています。
 教育者が経済を分かっていないと、子ども達の育て方を間違えてしまうと思いませんか?
 今は子どもでも、いずれ大人になり働く、その時に正しい知識を身に着けていなかったらどうでしょう。
 ブラックバイトに手を染める大学生は、学力が高かったとしても必要な教育を受けて来なかったことになります。
 自分が詐欺をする側になることの意味を考えもしない大学生が逮捕されているのではないでしょうか。
 教師は子ども達の将来を考えるべきだと思うのですが、そんな教師はどれぐらい居るのでしょう。
 算数などの教科を教えることだけが学校教育の役割ではない筈です。」
「確かに…、道徳の時間は有っても…。」
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