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猫又組-01 [化け猫亭-16]

「藤沢組長、お久しぶりですね。」
「あっ、どうもご無沙汰していまして。」
「猫又組は忙しいのかな?」
「まあ、そうですね、やりたい事が多くて引きこもりがちです。」
「部下には任せられないの?」
「勿論任せていますが、監視システムなどは自分でも改良したいと考えていまして。」
「化け猫亭を中心とした監視エリアを広げているのだったね。」
「はい、監視カメラは当初考えていた程の密度でなくとも、それなりに有効だと分かりましたので一気に広げました。
当初は点を繋いだ面でと考えていたのですが、場所によっては一つの点でもかなり有効だと実証されています。」
「数を増やす予算は大丈夫なのか?」
「そうですね、費用は嵩みますが、これまでの成果を考えたら躊躇出来ません。」
「どんな成果?」
「ムショ暮らしをしていた連中は、要監視対象者として登録して有ります。
今までの実績から、出所者を黒猫組でスカウトし更生させていると関係機関が認めてくれて、情報収集が楽になったのですよ。
おかげで、出所の翌日に軽犯罪を犯した奴を発見したりとかしています。」
「そのまま、ムショに送り返すのか…。」
「いえ、ケースによりますが黒猫組に動いて貰ってます、ほかっておいたら、もっと大きな犯罪を犯しかねない連中ですが、黒猫組の力で更生させる事が出来れば再犯率が下がります。」
「監視のレベルが上がってるのかな?」
「はい、もし世間に知られたら、この監視システムを受け入れがたいと思う人は少なく無いでしょう。
今は、加奈お嬢さまに見守られ救いの手を差し伸べられるシステム、だと認知して貰えるだけの実績を上げて行きたいです。」
「そうだな、安川さんの活動を含めると、受け入れた出所者は、すでに三百人を超えている、そこから再度罪を犯させない為にも必要なんだよな。」
「はい、安川さんの所で自信を付け、黒猫組でリーダーをやってる人もいますし白猫組の一員として頑張ってる人もいますが、全員が更生プログラムを正しく終了と考えては危険です。」
「そうだな、比較的軽微な犯罪者を対象にしているとはいえ、大変そうだ。」
「はい、それで我々から、黒猫組の下部組織としてはと提案をさせて頂きました。」
「う~ん、その方が安心なのかな。」
「安川さん達は、虎猫組とする方向で検討しておられます。」
「それで、彼等の負担は減るのかな?」
「どうでしょう、出所者達の親代わりは続けられるそうですので。」
「組長は?」
「黒猫組の幹部が兼任する事になりそうです。
黒猫組の幹部はなかなかの逸材揃いですからね、高い能力を持ちながら一度はドロップアウトした連中、時には大人の事情を無視して進める、真っ直ぐな藤井組長に惚れこんで盛り立てています。」
「うん、彼らが組織再編を推し進めた結果、組は増えてるそうだね。」
「はい、白猫組傘下の桜組、桜さんのサポートがメイン、チューリップ組は保育関連、桜桃組は社会福祉法人猫桜会のサポート、高校生が主体の子猫組は、その傘下に高校生を組長とし幼児までを組員に抱える組を幾つも誕生させています。
猫又組は、これらすべてを見守っているのですよ。」
「子ども達に縦社会を経験させてるのかな?」
「ええ、シングルマザーの子も児童養護施設の子も、そして少年院を経験した子も、自然に出来たグループを元にしていますが、高校生達は猫桜会の一員として自分達の役割を考えていてくれます。」
「男子寮の子達もか?」
「はい、学校が終わったら、子ども達と遊んだり勉強を見てやったり、それから一緒に夕食、男の子達とお風呂に入ってから男子寮へ帰ってる高校生が結構います。
彼らは、きちんと子ども達の事情を把握していますから、スタッフも助かっています。」
「子猫組傘下の組か…、組名はやはり可愛らしいのか?」
「熱血漢組とか、男魂組何てのが黒猫組誕生をきっかけに出来ていまして、子猫組より先なんです。」
「はは、男の子だけなのか?」
「ええ、一番の掟が女の子を守り女の子に優しくなのです、今は、うさぎ組やリス組の子達と仲良くやってます。」
「はは、微笑ましいね。」
「それだけでなく、学校でいじめられていた子を守っていましてね、組長達が中学や小学校と連絡を取ったりもしているのですよ、勿論大人達も見守っていますが、高校生達が学校に乗り込む方が子ども達も嬉しいみたいで、教師に言えない事でも組長には話せるし聞いてくれます。
いじめられてた子を彼等が調べたら、家庭にも問題が有るという事が何件か有りまして、CAT'S TAIL STAFFも絡んでフォローしています。
今は、いじめられてた子も寮やシェアハウスへ遊びに来て食事を共に取り入浴してから帰宅とか、一旦親から離し、寮で面倒を見ている子もいまして、社会福祉法人猫桜会を立ち上げて良かったと思っています。」
「そうか…、頼もしいな、藤沢組長は猫又組を通して見守っていてくれるのだね。」
「はい、猫又組として子ども達の成長に協力して行かないと、小夜に怒られます。」
「君の所はカカア殿下になりそうだな。」
「そうでも無いですよ、まあ、気紛れなとこは有りますが、彼女なりに筋を通していますので。」
「はは、猫田組組長を名乗るからには、筋を通すという事なのかな。」
「結構甘えて来るのですよ、基本、猫科の生き物ですから。」
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猫又組-02 [化け猫亭-16]

「おっ、藤沢くん来てたのか、珍しいね、私も話に混ぜて貰って良いかな?」
「あっ、沢井社長、自分は構いません。」
「勿論私もだ、なあ沢井の所は猫又組の監視システムを導入するのだろ?」
「ああ、小夜さんとこの担当者に提案して貰って、防犯だけでなく工場のラインにも導入する事にしたよ。」
「それは…、従業員を監視するのに反発はないのか?」
「いや、従業員を監視するのでなく、製造工程や検品で不良品を出さないためなんだ。」
「藤沢組長、新しい技術の導入?」
「いえ、今まで有った技術を沢井さんの工場で生かす事を考えたのです、小夜の部下から猫又組に相談が有りましてね。
検品要員の高齢化と人手不足の解消が目的で、Optical Character Reader、光学式文字読み取り装置を検品作業に応用したのです。
後は、ライン上でトラブルの起き易い個所を監視し、改善策を考える参考にします。」
「中井、通常と違う状況になったら瞬時に警告、今までのセンサーと組み合わせれば、大きなトラブルになる前に解決出来、かなり効率が良くなりそうなんだ、しばらく運用した結果は教えるよ。」
「そういう応用なら…、藤沢組長、うちも相談に乗ってくれるか?」
「はい、沢井さんの所で良い感触を得ています、増員をしていますので、中井さんの工場にもすぐ対応出来ます。」
「増員か…、猫又組という名称でも人は応募して来るものなのか?」
「小夜がさりげに宣伝していますからね、力に応じた給料を払っていますし、猫桜会の印象は女神さまのおかげでとても良いです。
猫桜会猫又組のサイトに募集案内を出すだけで、就職希望者が集まります、能力給制度は優れた人にとって魅力の様ですが、そこまでの力が無い人でもそれなりの給料を貰える会社だと認識されています。」
「必ずしも優秀な人材だけを求めている訳ではないのだよな。」
「はい、ですが猫桜会の理念を理解し賛同出来る人だけです。」
「その判断は?」
「組長達の話をビデオで見せて、その見ている表情からAIと社員で判断しています。
最近はAIと社員の判断が一致して来ているのですよ。」
「精度はどうなんだ?」
「その後の面接で判断の正しさが証明されて来ましたので、一部の人は面接をせずに不採用にしても良さそうです。」
「そうか…、NGになるのはどれぐらいなんだ?」
「一割程度で、総じて能力が低いです、犯罪予備軍になりそうな人は黒猫組を紹介しています。」
「そういう人もチェックしているのか?」
「はい、履歴だけで一目瞭然の人もいます。
今の黒猫組は職種も色々有りますので、やめたくなったら転職では無く転属を考える様にと指導しています、誰にでも出来る仕事、スキルアップ出来たり、やりがいを感じられる仕事など、意識的に職種を増やし人を受け入れ易くと、藤井組長始め黒猫組の幹部は尊敬出来ますよ。」
「猫又組でも、ハンディの有る人を積極的に受け入れているのだろ?」
「どうですかね…、社会的にはそう思われていても、自分は普通の社員としか見ていませんので。」
「中には制約の多い人もいるのだろ。」
「働き方は人それぞれで良いと思っています、入院したけど暇過ぎるから仕事したいという人もいます、そんな人でも貴重な戦力なんです、労働時間が短くても。」
「そうか、でも、病院でネットは使えないだろ?」
「ネットだけがデータ移動の手段では有りませんし、彼の担当医は退屈な毎日を過ごさせるより精神的に良いからと協力的です。」
「医師とも相談してるのか?」
「うちの営業は、監視システムを医療現場にも売り込んでいまして、看護師の負担を減らせそうなのです、その時に情報交換もして貰ってます。」
「成程、夜間に様態が急変しても対応出来そうだな。」
「家族の承諾を得た場合のみ監視という形で進めていますが、若い女性でも命の危険よりは、と利用が進んでいます。」
「色々応用が効くという事だね。」
「それなら…。」
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猫又組-03 [化け猫亭-16]

「藤沢くん、跡継ぎ企画の方はどうなの?」
「はい、地味に進めています。」
「勝算は?」
「勿論有ります、事業主の高齢化によって良い店が終わってしまうのは残念、三毛猫組もエリア再生として店舗リニューアルを進めていますので、効率が悪い様ですが、敢えて三毛猫、黒猫、白猫、猫又から担当を出しそれぞれの視点で案を出し合っています。」
「うん、確かに効率は悪そうだな。」
「でも、方針が決まったら早いのですよ、リニューアルは猫田組の会社に依頼、従業員が必要なら黒猫白猫から、三毛猫が店舗運営を担当し、猫又はそれらをサポートします。
猫桜会の傘下で店を続ける、もしくは再生する事に同意するオーナーが増えていまして、その気持ちにしっかり応えられる体制を整えて行きます。
猫桜会の傘下に入りリニューアルを終えた飲食店はまだ七店舗ですが、どの店も売り上げを伸ばしています。
猫田組系列の全店舗と同様に守って行きますよ。」
「人材面に問題はないのか?」
「そうですね、簡単には店舗運営のエキスパートを送り込めませんので、そこをサポートするシステムを構築しています、一人のエキスパートが何店舗を担当出来るかは、システムに掛かっています。」
「そのエキスパートは?」
「小夜が育てて来た人達です、小夜の会社も猫田組を名乗る方向で。」
「猫又組の組員もそうだが、普通の会社で働いてると考えてる人が多いのだろ、彼らは黒猫組をどう捉えているのかな?」
「組織を特別な目では見ていないと思います、まあ、加奈お嬢さまを始め桜さんや小夜のファンのみならず、藤井組長や黒猫組の幹部に憧れている者は少なくないです。
今、ポスターやグッズを色々企画しています。」
「良く分からないが…、グッズ?」
「野性的な黒猫組をアピールしたり、女神さまの愛を振りまく猫桜会をイメージする形でのポスター、グッズは、その…、組員達からの提案なのです、欲しいから作って、という感じで。」
「需要は有るという事か?」
「はい、猫又組で煽りますから売れますよ、試しに作った商品は黒猫組が運営している店舗で売れてましてね。」
「藤井組長がテレビに出てたからか…。」
「これから更に黒猫組をアピールして行きますよ、ハードな恰好良さを強調しながら、女を泣かせちゃいけないぜ、をキャッチコピーとして、ムショ帰りもいるが社会の為の組織だという事をアピールしていきます。」
「情報を流すのは我々の得意分野ですからグッズも売れます、それと並行して薬物依存の恐ろしさを若者に伝えて行きます。」
「やくざ組織の体でやってるから若者の興味を引き易いのか…、小夜ちゃんは、そこまで考えていたのかな。」
「はい、ちょっと悪い人に憧れる若者は一定数いますが、そこから落ちて行く人を減らす為の、やくざっぽい組織が猫田組で有り、メインの黒猫組なのです。」
「そうか…。」
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猫又組-04 [化け猫亭-16]

「薬物関係も監視システムで何とかならないのか?」
「まだ微妙ですね、今は、黒猫組所属の県警OBに、法律を気にしながら警察との良い形を模索して貰っていますが、効率的な連携は難しそうです。
それでも、何件かの販売ルートを調査中しています。
繁華街で明らかに薬物中毒的行動を取った連中は、特別監視対象として監視カメラに写る度にピックアップしています、まあ、そこからはお話し出来無いのですが。」
「あ、ああ、その辺りは警察に出来ない事なのかな?」
「ええ、警察にまともな監視体制は有りませんし、情報収集能力と…。」
「法的な限界か…、猫又組の組員達は自分がグレーゾーンの仕事をしていると知っているのか?」
「はい、勿論です、監視チームのメンバーは違法性を理解した上で、警察に出来ない事をして犯罪を減らして行こうと考えています。
チームの存在が世に出てしまった時は自分が責任を取りますが、犯罪を減らす為の行為を裁判官がどう判断するか見てみたいですね。」
「危険性は?」
「猫又組の仕事はオフィスや自宅のみです、今の所、こちらの動きに気付いている監視対象者はいません、彼らに近づくのは黒猫組ですが、同じ人物が近付く事の無い様にしています、例え監視カメラの設置という作業で有ったとしても。」
「そうか、でも最後は警察に委ねるのだな。」
「状況によります、薬物中毒に至ってなければ…、警察も大変でしょうから。」
「黒猫組へ?」
「ええ、そういう人物には、そっち系の情報が入り易いかも知れません、一から教育し直す必要は有りますが、まあ、薬物をやめられそうな人のみ保護するという感覚ですので、対象者は出て来ないかも知れません、後は県警OBから情報を流して貰って警察にお任せですね。」
「無理しないでくれな。」
「はい。」
「あっ、本間の登場か、女の子達は嬉しそうだな…。」
「すいません、今日は本間と約束が有りまして。」
「そうか、色々な話、有難うな、仕事の事は部下に指示しておくよ。」
「お願いします、では失礼します。」

「藤沢組長お待たせ。」
「いや、こちらが早く来過ぎたんだ。
でさ、山猫組組員が世に出したら思いっきりやばいソフトを暇つぶしで開発してね。」
「やばいのか…。」
「スマホに入れとけば、その利用履歴すべてを遠くから確認出来るだけでなく、通話が始まったら自動で録音も可能なんだ、勿論GPS機能も。」
「そ、それは…、面白い、完全にブラックじゃないか。」
「だから、遠隔操作でアンインストールする機能もついている、と言っても、むやみにインストール出来ないだろ、今は特定の人物を狙ってインストールさせる手段を検討中なんだ。」
「動作テストは?」
「こっそりやっているが、そろそろ監視対象者のスマホでも試してみたくなってね。」
「なら…、まずは監視対象の黒猫組組員からか…、適当な理由をでっちあげてインストールさせるかな…、そうだ、メールにエッチな画像を添付してそこからとかはどうだ?」
「それなら簡単だ、動画にしておいて見終わる頃にインストール完了で良いだろう、念の為映像を途中でキャンセル出来ない様にしておくかな。」
「組内の監視対象者は十三名、全員喜んで見るだろう、問題は監視を安心して任せられる人物だな。」
「この件に関しては山猫組に任せる、問題行動を発見したらすぐに報告して貰うという形でね。」
「安心なのかな、山猫組の全貌を把握しているのは猫田組長だけなんだろ。」
「はは、小夜の遊びでも有るからね、でも他人の秘密を盗み見ても、それを研究に役立てる様な人物、勿論口の堅い人を監視者に選んでいるそうだ、監視対象者の近くにいる人より冷静に監視出来ると思わないか?」
「そうだな…、そのプログラムは対象者一人に対して監視者一人に限定出来るのか?」
「その辺りの設定は調整出来る、私のスマホは小夜だけが監視出来る状態だが、複数にする事も可能なんだ。」
「はは、藤沢は猫田組長に監視されていたいのか?」
「何の問題も無いと安心していて欲しいのさ、まあ、本気を出せば色々誤魔化せるが、必要ないからね。」
「成程…。」
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猫又組-05 [化け猫亭-16]

「なあ、猫田組長は、最近忙しくしてる様だがどうなんだ?」
「ああ、藤井くんの負担を減らしたいと動いている、小夜なりに黒猫組を背負わせた事を気にしているみたいだ。」
「そうか…、藤井は軟弱では無いが、猫田組長のアシストは効果的、だが、藤沢的には良いのか?」
「良いも何も、彼は俺にとってもお主にとっても義兄弟だろ、小夜も同じ気持ちだよ、桜さんだって、人前では照れ隠しみたいに離婚の話とかしてるが、本当に好き過ぎるみたいだろ…、子どもが出来たらどうなるのか早く見たいものだよ、お主の方はどうなんだ?」
「離婚に対して手間の掛からない契約を交わしての婚約を考えている、相手は多少の浮気は許すから結婚して欲しいと言っててね。」
「良い子なのか?」
「知性派美人だよ、彼女を俺の秘書にしてから仕事が楽になってね、色々気付いてくれるんだ。」
「黒猫組には面倒な奴もいるが、彼女は大丈夫なのか?」
「社会問題と真剣に向き合ってるという組の内情を理解しているよ、若頭の妻として贅沢したい訳じゃないんだ。
まあ組員達は色々やらかしてくれるから、県警OBの組員を増員した、まあ、今後の問題は薬物関係だな。」
「やはり薬物中毒からの更生施設を作るのか?」
「うん、農作業させながらと考えて、実際に活動している団体と連絡を取らせている。」
「やはり塀で囲うのか?」
「いや、GPSを付けて、逃げたければどうぞと考えていたのだが…、スマホを持たせれば良いのだよな。」
「そうか、中毒だと薬物を求める、逃げた奴を監視していれば麻薬の販売ルートを見つける事が出来そうだな、だが…、スマホを売って薬物の代金に充てたりしないか?」
「確かにその可能性は有るが、そんな奴からスマホを買う奴ってどうだ、監視対象になりそうだろ?」
「そうだな、何にしても試してみないと分からない。
良いサンプルになりそうなのはいるのか?」
「出所する薬物使用犯を何人か組に入れるかな、全員にスマホを持たせて更生施設を作らせてみよう、過疎地に物件は確保済なんだ。」
「そのまま農業に励めば良し、逃げても良し、という事か。」
「全員で逃げたらサンプルが増えるし、販売ルートを一つ消せる、そいつらは薬物使用でまた塀の中へ戻せるだろう。」
「そんな様子が、たまたま防犯カメラに写ってましたと公開しながら若者が薬物に近付かない様にして行けば良いのだな。」
「ああ、薬物に関してはその方向で動くよ、で、白猫組の組員に旦那のDVから逃れて来てる人がいてね。」
「分かった、その旦那を監視する体制を作れば良いのだな。」
「資金はうちからも出す、経理上の名目は猫田組長と相談しておくから。」
「今の所は心配ないよ。」
「でも、監視システムを全国へ広げて行く事を考えたら、維持費だけでも馬鹿にならないだろ。」
「確かにそうだが、店舗への設置は維持管理を含めて料金を頂いてるからな。
店舗以外への設置は難しいが、猫桜会が全国展開して行けば、そまま監視システム網が広がるのさ、各エリア毎で監視していても監視対象者は全国で共有出来る、無断で設置するカメラの費用も賄えるのさ。
そろそろ猫田組で警備会社を立ち上げる話もしている、一般の店舗でも監視カメラを増やして行きながら監視網を広げられるだろう。」
「それなら安心だが、ばれないように小型化は進んでいるのか?」
「そんなのは使ってないだけで、とっくに出来てるよ、店舗のカメラは犯罪抑止効果を狙って普通の防犯カメラと同じなんだ。」
「成程…。」
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猫又組-06 [化け猫亭-16]

「なあ本間、しばらく前に店で暴れたという奴はどうなった、暴力団関係だったのだろ?」
「あのチンピラは逮捕されたよ、防犯カメラにしては画質が良いと警察官に言われたそうだが、防犯だけが目的ではなく顧客の管理にも使ってるからと理解して貰えたみたいだ。
しかし流石だな、誰かが大声を上げると監視カメラの画質が上がり、一台のカメラは大声を上げた主が中心になる様に向きを変える、なかなかのシステムだ。」
「まあ、酔っ払いが暴れそうな店だからな、あの映像は動画サイトで地味に稼いでいるが、今後は大丈夫か?」
「どうだろう、奴等は猫田組を図りかねてちょっかいを出して来たのだと思うのだが。」
「逮捕者を出すリスクは考えなかったのかな。」
「そうだな、頭の悪そうなチンピラらしい、器物損壊と傷害で、執行猶予は分からないが刑期は短いだろう。」
「映像ではかなり派手だったが。」
「怪我した奴は最低限のダメージで最大限の怪我を演出したと話してた、入店時から気にしていて何時でも被害者になれる様に準備していたそうだよ、暴力団や酔っ払いが暴れる事は想定済みでね。」
「だからあの映像になったのか。」
「本人は喜んでいた、客を守る姿からの映像がしっかり被害者になっていて、民事裁判を起こす事無く慰謝料を貰えたからね。
他の店でも酔っ払い同士の喧嘩を止める時に怪我して慰謝料を稼いだ奴がいるんだ。」
「あくまでも被害者なんだな。」
「ああ、で、化け猫亭を監視してた奴等はどうなってる?」
「盗撮目的の奴等も含めて撤退したみたいだ、なんの成果も上げられていないと思う、奴等は監視対象で有り続けるのだが。」
「指定暴力団の組員は監視対象にしているのだよな?」
「ああ、かなり進んではいるのだが、地方の小さな末端組織までは難しいんだ。」
「そうか、逆に末端組織が何で利益を得ているのか気にならないか。」
「う~ん、一つぐらい乗っ取って実態を解明するか。」
「出来るのか?」
「組長が高齢になってとか、付け入る隙の有りそうな組を探るとか。」
「ネットを使ってなかったら、流石の猫又組でも介入出来ないだろ?」
「だな…、逆に本家の方をハッキングした方が面白いかな。」
「やるのか?」
「そうだな…、多少時間は掛かるだろうが、アメリカのチームに話を持ちかけてみるか。
資金の流れが解明されればダメージを与え易いだろ。」
「何時の間にそんなチームを、山猫組なのか…。」
「うん、小夜が留学の支援をした連中なんだ、まあ支援団体を立ち上げて表向きはそこに寄付、納税額を減らす意味も有ってね。」
「そろそろ、黒猫組でも寄付とか考えないと行けないのかな。」
「そうだな、薬物中毒患者支援団体を立ち上げて、そこに寄付とかどうだ?」
「あっ、その手が有ったのか。」
「それで…、グレーやブラックな内容、藤井くんはどの程度把握してるんだ?」
「基本全部伝えている、警察に出来ない事をする為には資金が必要だと理解してるよ。
真っ直ぐな男だが、今までの社会ルールが絶対に正しいとは思って無い、俺達と同じさ。」
「なら安心か、早く酒を酌み交わせる歳になって欲しいものだな。
有名に成って来たから安易に誘えないだろ。」
「ああ、酒も煙草もやらない組長、まあ、煙草を二十歳過ぎから吸い始めるのは馬鹿だと思うが。」
「だろうな、好奇心から中高生が手にするのは分かるが…、薬物への興味も煙草程度なのかな。」
「かも知れない、藤沢、兎に角、薬物が手に入る状況を何とかしようぜ。」
「勿論だ、その為なら、泥を被る覚悟は出来てるよ。」
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猫又組-07 [化け猫亭-16]

「藤沢は、薬物関連が暴力団の資金源になってると思うか?」
「そこが掴み切れてないんだ、暴力団の資金源は一見合法なのも少なくないだろ。
闇カジノは二件見つけて警察に動いて貰ったが、店を構えない薬物の様な案件は、うまく隠しているのか別の組織なのか、それとも組織とも言えない販売網なのか、まだ分からない、まあ、簡単に分かるのなら警察がすでに押さえているとは思うが…。
販売ルートを探っていても、まだ大物までは行きつけないんだ。」
「小者を逮捕させていくしか無いのかな。」
「組事務所のハッキングに成功すれば分かって来るのだろうが…、意外ときちんと納税してる優良企業なのかも知れないぞ。」
「それは無いでしょ、ブラック企業だと思うよ、でなきゃ分裂とか無いだろ。」
「はは、そうだな、今、資金源を減らす事が出来れば効果的だ、合法的に商売やってるとこにも仕掛けるべきかな。」
「まあ、普通の商売敵として顧客を取った時に、奴等がどう出るかで実態が分かるのかも、人選が難しくなるが。」
「完全に堅気で始めるか、前科者だけで始めるか、中途半端にしない方が良いだろうな。」
「まずは両方試して相手の出方を伺うかな、今まで事業展開して来た延長なら不自然ではないだろう。」
「分かった、その時は監視体制を強化するから予定は早めに頼む。」
「ああ、武闘派の中には、対暴力団なら怪我しても死んでも構わないと真面目な顔をして話す奴が何人かいてね、死なれては困るが、彼らの雄姿を記録して公開したい、勿論正当防衛としてね。」
「指定暴力団でも無い黒猫組に抗争を仕掛けて来る事は有るかな?」
「可能性は否定出来ない、すでに安心して飲める店を展開している事で、向こうの売り上げは落ちている筈なんだ。」
「ならば、組事務所へのハッキングだけでなく色々攻撃方法を考えてみるべきだな、やりたそうな連中でチームを組ませるよ。
結局、警察の力では暴力団の資金源を絶てないだろ、暴力団組織をサイバーテロの標的にして、それがどこまで出来て、今のネット社会がどれだけ危険なのか検証してみるのは悪くない、表には出せないが。」
「こちらの事がばれたりしないのか?」
「海外から迷惑メールが届いたりするじゃないか、その辺りを利用してやるよ、こちらの事を突き止める奴が向こうにいたらスカウトだな。」
「随分お気楽で。」
「猫又組にも山猫組にも、その手の事が得意なホワイトハッカーは何人もいてね、スマホ向けのブラックなソフトを開発した人だけではないんだ、対象が暴力団なら喜んで協力してくれるよ。」
「正義の味方気取りなのか?」
「まあ、必要悪とでも考えてくれ、暴力団組織を弱体化させるだけでなく、そこから抜ける連中を黒猫組で受け入れて行くのだろ、その受け入れ態勢はどうなんだ?」
「まあ、計画は進んでいる、猫田組長から聞いているのだろ。」
「前科者を含む、猫桜会系で社員組員合わせて十数万の大企業が目標…、毎日どこかでトラブルが発生しそうだな。」
「猫又組のシステムが有れば運営はスムーズなんだよな?」
「人間同士の諍いまでは面倒みきれないよ。」
「多少のトラブルが有るのが健全だと思う、その解決でストレスを発散させてる奴もいるからな。
犯罪は無くしたいがゼロには出来ない、でも、真面目に生活している人の身に無慈悲な不幸が襲い掛かる事はな。」
「ああ、極力減らして行こう。」

「あっ、迎えが来た、そろそろ失礼する、うちでのホームパーティーには彼女も連れて来いよ。」
「ああ、藤井も楽しみにしてる、松尾さんや加奈お嬢さまとも会えるのだろ。」
「そうだな、俺もみんなと会うのは久しぶりなんだ。」
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猫又組-08 [化け猫亭-16]

「藤沢さん今日はお招きいただきまして有難う御座います。」
「いえ、松尾さん、お忙しい中有難う御座います、猫桜会の主要メンバーが揃って嬉しいです。」
「しかし、猫又組の監視システムはすごいですね、試験運用だけで万引き犯を何人も捕まえたと報告が上がって来ています。
セキュリティ会社を設立して下さったら、全面的に今の会社から切り替えますよ。」
「有難う御座います、設立準備はしていますので作業を早めます、かなりの規模ですから順次切り替えで宜しいですか?」
「問題ないです。」
「一気に監視網を広げられますので、まあ、犯罪者達は防犯カメラの存在を改めて認識するでしょう。」
「藤沢さん、人が気付かない様な小型の監視カメラは有りませんか?」
「有りますが、どの様な使い方を想定されているのです?」
「金庫を開けた時に開けた人物を撮影するとか。」
「なるほど、需要が有るのですね、犯罪抑止ではなく、一部の社員しか知らないという形にして犯人を見つけるのですね。」
「ええ、盗難なのかミスなのか、犯人が内部なのか外部なのか良く分からない事例が有りまして、幸い額は少なかったのですが…、今後の防犯対策全般を見直して貰えませんか。」
「分かりました、早急にチームを組んで対応させて頂きます。
グループ会社の方は相変わらず順調そうですね。」
「猫桜会の一員とした効果が顕著に表れている会社が幾つか有りますし、赤字になりそうなとこは他社から応援が入り立て直すというシステムが上手く機能しています。」
「グループ内の結束が強いのですね…、松尾さんは事業成功の要因をどう捉えられているのです?」
「人件費をケチるな、福利厚生をしっかりしろ、に尽きますね、良い人材を確保し、良い仕事をして貰う、その結果が大きな利益に繋がっています、業績の良い会社ではハンディキャッパーを積極的に受け入れていますが、それが出来るのも基盤がしっかりしてるからです。
猫又組も好調なのでは有りませんか?」
「ええ、うちも同じ方向性です、能力給を充実させた結果、うちの稼ぎ頭は車椅子生活の半引きこもりだったりします。」
「その方は稼いだお金を何に使っているのです?」
「自宅にエレベーターを設置しました、白猫組の家政婦を雇っていまして、面白そうな新規事業が有れば出資するとも話しています。」
「将来を見据えてですか?」
「はい、小夜の部下が助言をしています、お金を上手に使いつつ老後に備えるという事を社員達は真面目に考えています。」
「ライフプランですね、福利厚生の一環としてうちでも助言の窓口を作ろうかな、猫田組に依頼すれば良いのですね。」
「はい、小夜は業務を拡大して、猫桜会傘下に入る人を更に増やして行こうと画策しています、仕事を増やす事に意欲的です。」
「猫又組もかなり大きくなったと聞いていますが。」
「松尾さんのレベルから見れば小企業ですが、猫桜会の通販部門は順調ですし、会社の運営システム、監視システムなども売り上げを伸ばしています。」
「コンピューターのセキュリティ関係はどうです?」
「攻撃手段を見つける方に重点を置いていまして、今のセキュリティでどれだけの情報を盗めるとか、猫桜会関係の社長から依頼を受けて試したりしています。」
「結果は?」
「認証システムを充実させていればかなり安全ですが絶対では無いです、検証チームはえげつない方法まで使って、極秘事項にまでたどり着きました、その方法はお話し出来ないのですが。
一応、その会社のセキュリティーは合格ライン、でも油断は禁物という事です。」
「山猫組が大きく関係していそうですね。」
「はい。」
「それなら、うちも一通り見て貰えないかな、外部に依頼するより安心だと思っているので。」
「分かりました、うちは加奈お嬢さまの信者が多いですので大丈夫だと思います、もし不正行為など見つけてしまっても外部には漏らさない者に当たらせます。」
「いや、不正行為が表沙汰になるぐらいの事は覚悟している…、不正は発見したいが、それすらをも守るセキュリティが必要だとは複雑な心境ですが。」
「ですよね、コンピューター関連のセキュリティに関わらず、不正を見抜くシステムは研究中なのですが、会社の規模が大きくなると難しそうで。」
「うちは中小企業の集合体、トップに持ち株会社という形ですので、会社の数は多いのですが一つ一つはさほど大きくないのです。」
「では本部企業にセキュリティー関連を集約し全社を効率良くチェックするという形は如何でしょう、データ管理システムは統一されていますので可能です。」
「では、小夜さんの所にも協力して貰って、組織改革を考えます、調子の良い時に足場固めをしておきたいですからね。」
「分かりました、猫田組のコンサルタント部門と猫又組で事に当たらせて頂きます。
「しかし、一度にこれだけの依頼を頂けるとは想定していませんでした、でも何とかします、優先順位を付け着実に。」
「了解した、社員教育の時間も必要でしょうからね、それでも、黒猫組以外の猫桜会はクリーンな状態にしておきたいのですよ。」
「ですね、ただ、猫又組が黒猫に近い事はご理解をお願いします。」
「あっ、冷静に考えたら…、黒猫組以上に危ないのですね。」
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猫又組-09 [化け猫亭-16]

「藤沢さん、お世話になっています。」
「藤井くんとは久しぶりだね、どうだい、新婚生活は。」
「まだまだ…、子どもが生まれないと落ち着かないのでしょうか。」
「はは、まあ、桜さんなりに必死だからね。」
「愛され過ぎていて、逆に飽きられた時とかが怖いですよ。」
「この前会った時は、そんな事も頭では分かってると話してたが、小夜みたいに気紛れじゃないのだろ。」
「はい、本当に真面目で…、ですが猫田組長の気紛れは、マゾ系の組員を喜ばせる為ですよね、自分や本間の前では…、藤沢さんとはどんな感じなのです?」
「はは、甘えたくなると気紛れになるかな。」
「桜とは真逆ですね、甘えたくなると、ひたすら気を遣いながら世話をしてくれるのです。」
「それに応えてるのか?」
「少しじらすと、我慢しきれなくなりそうで、でも、そんな姿がいじらしくて。」
「はは、歳の差は問題なさそうだね、結婚を急いだがどうだった?」
「入籍前は、早過ぎるとか色々聞かされました、母も高校中退の自分と差が有り過ぎると心配していましたが、父は、頭の良い人でないと自分とはやって行けないだろうし、変に同棲するよりきちんと結婚した方が組織の長として、この先プラスになるだろうと賛成してくれました。
黒猫組の理解者で幹部連中を家に招いたりしています、桜さんの事を紹介する前に情報を得ていたみたいです、今は才色兼備の嫁を自慢したくてしょうがないといったところでしょうか。
母も、自分が中退してから落ち着かない状態だったのですが、最近は良く笑う様になりました。」
「実家には頻繁に帰っているの?」
「近いですから、まあ、回数は桜の方が多いです。」
「結婚は正解だったのかな?」
「先の事は分かりませんが今は、自分の後ろに桜が立っていてくれるだけで、私がただのガキじゃないって分かるじゃないですか、猫田組長の友人な訳ですし。」
「この前の番組では小夜も侍らせていたよな。」
「違いますよ、あれは猫田組長の気紛れ…、と言うより義兄弟として、自分は義弟として守られています。
笑えますよね、自分達はただの仲良しグループみたいなものなのに、猫桜会に於ける順位とか邪推する記事が出て。」
「あれはあれで面白いだろ、次は本間メインとかどうだ?」
「あっ、良いですね、猫田組の実質ナンバーワンとして、彼等の披露宴に合わせればご祝儀が増えるかも知れません。」
「婚約とか話してたが、もう決まったのか?」
「組長の命には逆らえません、相手はホントに良い人で自分が背中を押したのですよ、彼女は黒猫組若頭の妻として、若頭が浮気しても組を裏切らないと誓ってくれました。」
「それって…。」
「大きな間違いが起こって、本間が黒猫組を裏切る様な事が有っても自分は彼女を守ります。」
「桜さんも同じ気持ち?」
「勿論です、自分達は仲間を守る意味も考えて結婚しました、組長が独身だったら頼りにくい人もいるじゃないですか、まあ、まだお酒の飲める年齢では無いのが弱点ですが、ファミリーの一員を守って行くのは組長の義務です。」
「そうだな…、私も腹を括っているが、組員達に猫桜会というファミリーの一員としての自覚をもっと持たせる事を考えてみるよ。」
「無理をさせてる方々に何か有ったら黒猫組としても全力で支援させて頂きます。」
「ああ、猫又組も猫桜会全体の為に頑張る、それが日本の為になるのだからな。」
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猫又組-10 [化け猫亭-16]

「今日はお忙しい中、お集まり下さいまして有難う御座います。
猫桜会の中心メンバーが大勢集まって下さり本当に嬉しいです、ホスト役の藤沢さんに感謝ですね。
まずは、その藤沢さんからお願いします。」
「はい、加奈お嬢さま、私からは警備サービス会社設立を報告させて頂きます。
これまで運用してきた監視システムですが、AIによる判断精度が上がりまして、万引き犯発見等にかなり有効で有ると言い切れるレベルになりました。
勿論、監視システム網を広げる為にも必要と考えての事です。
皆さんご存じの監視システムに加え、工場の検品システムなども売り込んで行きます。
企業として確実に拡大して行く戦略を練っていますので宜しくお願いします。」
「現金輸送とかガードマンも業務内容に入れるのですか?」
「はい、猫桜会内部だけでもかなりの需要が有り、外部に委託するより安全なシステムを構築して行きます、また、特殊技能を持った前科者達に防犯対策を考えて貰うという取り組みも進めています。
さすがに、元窃盗犯を現金輸送の業務に就かせる事はあり得ませんが。」
「アタックする側と防御する側、両方が分かる人という事ですね、ネット関連のセキュリティーも請け負うのですか?」
「はい、その方向で動いています、ただ…、悪意有る連中も日々研究をしていますので、正直言って完全には防げないと考えています、企業内に潜むスパイもいますので。
勿論、社員が怪しいと感じた人物は監視対象に加えて行きます。」
「グレーゾーンの作業をしてくれている組員達も新会社に?」
「状況を見ながら判断して行きますが、新会社はクリーンな状態で運営して行きたいです、汚れ仕事は猫又組ですね。」
「名称は?」
「皆さんが許して下されば、猫桜総合セキュリティーサービスにしたいです、組織的には化け猫組メンバーの企業と同列で如何でしょう。」
「そうですね、猫田組傘下というよりイメージが良いと思います。」
「三毛猫組の店舗も、位置づけが曖昧でしたがそこに入れて良いと思いますね、佐藤さん、如何ですか?」
「はい、確かに加奈お嬢さまの直下が理想だと思います、猫桜会の一員だと大きくアピールしている店も有りますので。」
「黒猫や猫又はこの先何が起こるか分からないです、それを前提とした猫田組ですので。
堅気の皆さんにご迷惑の掛からない体制で行きましょう、堅気の人だけで運営している会社や店も形だけは猫田組、黒猫組から移して行きます。」
「猫田組長がそう仰られるのでしたら、加奈お嬢さま、構いませんよね。」
「はい、ですが、猫田組やその傘下の組に問題が起きた時は私もフォローさせて頂きます、藤井くんはどう?」
「黒猫組は構成員に前科者がいる事を公表しています、今まで傷害事件や窃盗を犯した組員に関しては組長として謝罪して来ました、今の所、その事が組織的に大きなマイナスにはなってないと感じています、社会的に犯罪者の更生を目指す組織だと認知されている様で。
ですが、猫又組は…、藤沢さんは、やばい部門だけを猫又組に残して猫桜会から離すと考えておられるのでは有りませんか?」
「あっ、見抜かれていたのか…。」
「猫桜会としては間違ってないと思います、黒猫組も健全な部門は本体から離して行こうと猫田組長と話していましたので。
で、警察が手ぬるかったら、残した黒猫組は指定暴力団になるかも知れません。」
「さすがにそれは…。」
「指定暴力団から抜けて来た奴等と県警OBが意気投合しましてね、本当に困った奴等で、警察には出来ない手段を使ってでも街を綺麗にして行くと。」
「桜さんはそれで良いのか?」
「やばくなったら離婚を持ち掛けられそうで、それだけは嫌です、でも指定暴力団までの道のりは遠くて、暴力団抗争に発展する前に、こっそり相手を弱体化させれば、いえ、弱体化させて黒猫組を拡大し、日本最大のやくざ風組織に黒猫組をします。」
「その過程で、色々な不幸が起きそうだが…。」
「覚悟しています、最高の幸福に大きな反動が無かったらおかしいですよね。」
「ここで、おのろけをぶち込んで来るのか。」
「良いでしょ、私の旦那さまは最高なのだから。」
「覚悟は分かった、黒猫、猫又の問題は化け猫組でも検討して行くよ、それで白猫組の方はどうなんだ?」
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